環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第5回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)
セイヨウオオマルハナバチ小グループ会合 議事録


1. 日時 平成17年5月13日(金)13:01~14:26
2. 場所 経済産業省別館11階 1111会議室
3. 出席者  
   (座長) 土田 浩治
   (委員) 池田 二三高   小野 正人
五箇 公一    横山  潤
   (利用関係者) マルハナバチ利用普及会 光畑雅宏
   (環境省) 上杉生物多様性企画官
名執野生生物課長
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 野菜課課長補佐
5. 議事  

【環境省 長田専門官】 これから特定外来生物等分類群専門家会合の第5回セイヨウオオマルハナバチ小グループ会合を開催させていただきたいと思います。
 まず始めに、私、今回初めてこの会に出席させていただきます、環境省の野生生物課の移入生物専門官の長田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まずお手元にお配りした資料の確認からさせていただきたいと思いますけれども、クリップを外してご確認いただければと思いますが、一番頭に議事次第ですね。それで、申しわけありません、早速ですが、議事次第、訂正がございます。日時、5月13日(水曜日)となっておりますが、(金曜日)ですので、申しわけございません。
 それから、資料の一覧ですね。
 資料の一覧に続きまして、委員名簿の下に1枚物の資料1、特定外来生物等の第二次選定にあたっての基本的な考え方。
 それから、資料2、セイヨウオオマルハナバチに関する検討の進め方について(案)。
 それから、資料3、平成17年農業生産の技術指導について。
 それから、参考資料でございますけれども、参考資料の1としまして、1枚紙の外来生物法施行までのスケジュールをお配りしています。
 それから、参考資料の2としまして、第3回の昆虫類会合で提出をいたしましたセイヨウオオマルハナバチの取扱いについての資料。
 参考資料の3としまして、これまでの検討で作成していただきましたセイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価(案)。
 それから、参考資料の4、参考資料の5に、それぞれ第4回の小グループ会合の議事概要と第3回の昆虫類の会合の議事概要をお配りしております。
 そのほかに、参考資料の6としまして、37種類の特定外来生物の指定に当たってパブリックコメントを行った際に、セイヨウオオマルハナバチに関して寄せられたご意見の概要をお配りしています。
 それから、もう一つご参考で、高山植物を守るということで、大雪山国立公園の中でのマルハナバチの監視活動についての新聞記事をお配りさせていただきました。これはきのうの新聞でございます。
 以上ですけれども、過不足はございませんでしょうか。もし資料に不備がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それから、本日の議事進行につきましては、座長の土田委員にお願いしたいと思いますので、早速ですが、土田委員、よろしくお願いいたします。

【土田座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 本日の議題は、セイヨウオオマルハナバチに関する検討の進め方についてとなっております。本日は、前回会合でご議論いただいたセイヨウオオマルハナバチの取扱いを受けての今後の検討の進め方について、ご議論いただくこととしております。
 まず初めに、前回の小グループ会合以降の分類群専門家グループ会合及び全体会合でのセイヨウオオマルハナバチに関する検討結果について、ご説明いただきたいと思います。

【長田専門官】 ご説明いたします。
 前回、セイヨウオオマルハナバチの小グループ会合が1月12日に開催されておりまして、その議事概要を参考資料の4でお配りしておりますけれども、小グループ会合の中で、セイヨウオオマルハナバチの取扱いについてご議論をいただきました。さまざまなご意見をいただきまして、最終的に参考資料の2にお配りしておりますセイヨウオオマルハナバチの取扱いについてのペーパーを、セイヨウオオマルハナバチ小グループとして取りまとめていただきました。
 議論の結論としましては、簡単に申し上げますと、セイヨウオオマルハナバチは生態系等への被害を及ぼす可能性が高い。それから、調査、普及啓発を進めながら、小グループ会合での議論を随時継続をしていくと。さらに、1年程度を目途にして、特定外来生物への指定を前提にして検討を進めるということでございました。
 セイヨウオオマルハナバチの取扱いについてのペーパーについては、その翌日に開催されました昆虫類専門家会合の中でご議論をいただきまして、結果として承認を得たということになっております。
 その昆虫類の専門家会合の議事概要も、ご参考で、参考資料5でお配りしておりますけれども、その中でのご議論の内容をかいつまんでご紹介いたしますと、セイヨウオオマルハナバチの会合の結論については、野外で見つかる個体が増えたけれども、影響は分からない面があると。今後、普及啓発により、ネットを張る準備等をしてもらうというようなこともご紹介をいただいています。
 指定を前提として検討を進めるのかということについては、指定を前提とするけれども、確実に指定がされるかどうかというのは、現段階では確実ではないと。ただ、野外における生態系への影響については、そのおそれが強く示唆されているということでした。
 それから、ネットを張ることの効果については明らかになっているので、ネットを張るまでの準備期間が必要であるですとか、セイヨウオオマルハナバチは管理して飼養することが可能であって、飼養の許可などのシステムの構築も含めて、この1年間の検討課題であるというようなことが紹介をされております。
 資料1に戻りまして、そういった結果を受けまして、今年の4月5日に開催されました各分類群の座長等で構成されます特定外来生物等専門家会合の全体会合の中で、資料1というのは特定外来生物等の第二次選定、今後の選定対象の検討に当たっての基本的な考え方についてご討議をいただきましたが、各分類群ごとの検討とは別に、セイヨウオオマルハナバチについては、年内程度を目途に指定についての検討作業を進めるということで、この資料の真ん中のあたりに括弧書きでご紹介をしてありますが、これについて専門家会合にご説明をし、了承をいただきました。
 なお、年内程度と書いてありますのは、昆虫類会合での結論が出ましたのが1月で、そのときに1年程度を目途にということですので、特に事実関係に変更があるということではございません。
 簡単ですけれども、ご説明は以上でございます。

【土田座長】 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたら、お願いしたいと思います。
 よろしいですか。ご意見がないようであれば、本日の議題でありますセイヨウオオマルハナバチに関する検討の進め方について、事務局からご説明をお願いします。

【長田専門官】 それでは、資料2に基づいてご説明をしたいと思います。
 先ほどの説明と繰り返しになりますけれども、まず、専門家会合における結論でございますが、野外における影響については十分な知見が得られていないために、この点に係る調査を重点的に今後実施していくということ。それから、ネットの展張等の逸出防止の措置については、農家等に対して普及啓発を行っていく。さらに、これらの状況を踏まえつつ、1年程度を目途に指定について検討をするということでございました。
 今後の検討の進め方としましては、野外における影響の状況に係る調査、逸出防止技術の開発及び効果の検証を特に重点的に実施いたしまして、その成果をもとに指定も含めた検討を進めていくということでございます。
 主な調査内容としては、大きく下に項目を掲げてございますけれども、まず、分布の状況調査、それから営巣や採餌の競合関係に係る調査、種子繁殖への影響に関する調査、それから野外での交雑の確認、さらに効果的なネット展張方法の開発、ネット展張の効果の確認といったことを進めていくということにしております。それから、農協、農家、業者等の関係者を対象に、小グループ等の検討状況、逸出防止措置の普及啓発を図っていくということとしたいと思います。
 具体的な検討のスケジュールですけれども、本日が第5回目の小グループ会合になりますが、今回、このような検討の進め方についてご確認をいただきますとともに、今度5月25日に第4回の昆虫の専門家グループ会合が開催されますので、そのグループ会合の中で、今回のセイヨウオオマルハナバチに関する検討の進め方について簡単にご報告をいただいて、承認をいただこうと思っております。専門家グループ会合につきましては、そのほかに昆虫グループの第二次の選定についての基本的な進め方等についてご討議いただくことを予定しております。それから、6月上旬に全体会合、第4回特定外来生物等専門家会合を予定しておりまして、その後、8月ごろには、これからご説明をいたします調査の中間的な状況もまとまってまいりますので、そういった状況の報告、それから普及啓発の状況の確認等をしたいというふうに考えております。また、その先につきましては、スケジュール等は今後ご検討いただくことになるかと思いますけれども、11月ごろを目途に再度小グループ会合を開催いたしまして、調査の結果について確認をしていくということと、あわせて管理体制についても検討をしていきたいと思っております。さらに、必要に応じてもう一度程度小グループ会合を開催して、取りまとめを行いまして、その結果を小グループ会合の結論として昆虫類の専門家グループ会合にご報告をしていくというようなことで考えております。
 それから、先ほどご説明をしました今後の主な調査の内容につきまして、引き続きご説明をしたいと思いますけれども、資料1をめくっていただきまして、第4回の小グループ会合として取りまとめを行った結果に基づいて行っていく調査等の内容について、ご説明をしたいと思います。
 この資料で表の左側に書いておりますのが、先ほども資料として参考資料でお配りをしました、セイヨウオオマルハナバチの取扱いについてのペーパーをそのまま引き写しをしたものでございます。右側にありますのが、それに対応して今後実施していくことを予定している、関連する調査等の内容になります。
 私の方から簡単にご説明をしまして、必要に応じて、委員の先生方等から補足等をいただければ幸いです。
 まず、セイヨウオオマルハナバチについては、生態系等へ与える影響については以下のとおりであるということで、取扱いについての結論が出ております。
 まず、定着の可能性ですけれども、定着の可能性については、北海道で自然巣が発見されて周年の活動が確認されている。また、継続的に大量な利用がなされているということから、定着が確認されなくても、大量に野外に逸出すれば定着しているのと同様の影響を与えることから、その可能性は高いというふうに推測をされております。
 その関連する調査の内容としましては、野生化コロニーの推定のための分子遺伝学的調査としまして、商用に飼育されておりますコロニー、それから野外採集個体の両方を用いまして、分子遺伝学的な手法でセイヨウオオマルハナバチの野生化コロニー数を推定するような手法の検討を行っていくという予定です。それから、北海道の方ですけれども、セイヨウオオマルハナバチの地理的分布実態調査としまして、野生化の状況の把握を行っていくと。その際、在来のマルハナバチの分布調査もあわせて行いまして、セイヨウオオマルハナバチとの存在比率を広域的に調査を行うということです。それから、国立公園においては、大雪山国立公園を中心に、地域の自然保護ボランティアの方等の協力も得ながら、セイヨウオオマルハナバチの侵入状況の監視調査を実施する予定でございます。先ほどご参考でお配りしました新聞記事の内容でございます。
 それから、在来マルハナバチへの影響のうち、営巣場所をめぐる競争でございますけれども、これについては、実験室内で巣の乗っ取りというのが確認されておりますので、その可能性はありますが、野外での実態は不明確という結論でした。
それから、餌資源を巡る競合につきましては、活動地域の餌資源量も含めた競合の状況が不明確であると。あわせて、在来種の分布の変化状況等についても不明確であるという結論でございました。
 これに対応しまして、在来種との競合に関する生態学的調査として、セイヨウオオマルハナバチの捕獲数が多い地点において、踏査による自然巣の探索、ラインセンサスによるマルハナバチの個体数調査等を行いまして、セイヨウオオマルハナバチの野生化がまだ確認されていない地域での調査結果と比較して、種間競合の強さというのを推定していくというような調査を予定しています。
 それから、生殖攪乱の問題ですけれども、こちらにつきましてはセイヨウオオマルハナバチの性フェロモンは在来種と共通の誘引・忌避物質を含んでおり、実験室では在来種との交尾が確認されているため、その可能性がありますが、野外での交尾の実態は不明確であるという結論です。
 調査としましては、在来種との交雑実態調査のための分子遺伝学的調査として、在来種女王の野外採集個体及び室内交雑実験個体における受精嚢内の精子DNA分析を行って、種間交尾の実態を把握していくこととしております。それから、マルハナバチのフェロモン成分の種間比較分析、それを活用した誘引トラップの開発ということで、トラップの開発を視野にフェロモンの詳細な比較分析を行いまして、両マルハナバチの交信攪乱の可能性を把握をしていくということを予定しております。
 それから、さらに寄生生物につきましては、検出されている寄生生物がありますけれども、在来種にそれが影響を与えるかどうかは不明確であるという結論でございました。
 寄生生物に関連する調査としましては、持ち込みと影響評価ということで、野外個体、商用コロニーの両方を用いまして、マルハナバチポリプダニ等のセイヨウオオマルハナバチに随伴して侵入するおそれのある寄生生物の実態調査を行っていくということです。
 それから、在来植物への影響でございますけれども、盗蜜行動は確認されているけれども、それが結実率に影響を与えているかどうかについては不明確であるという結論でした。
 これにつきましては、植物の繁殖に対する影響評価として、在来植物へのセイヨウオオマルハナバチの訪花頻度と結実率との関係を調査をしまして、種子繁殖への影響を評価していくこととしております。
 ここまでがセイヨウオオマルハナバチが生態系に与える影響についての委員会としての結論と、それに対応して実施して、今後の調査になりますけれども、それから現場での利用状況、逸出防止措置の実施状況と効果ということで状況の紹介をさせていただきますけれども、一つは、結論として7万コロニーが流通されているということで、減農薬、省力化等の効果が発揮されていると。
 それから、ハチの逸出を防ぐためのネット展張、使用済み巣箱の回収処理については、普及推進が図られているものの、全国的にはまだ普及率は高くない状況にあるということでしたが、ご紹介しますけれども、「平成16年農業生産の技術指導について」、それから「平成17年農業生産の技術指導について」において、飛散防止用ネットの使用及び使用済み巣箱の適正処理について指導を行っているということでございます。これについては、後で農林水産省の方からご説明をいただく予定です。
 それから、ネット展張、使用済み巣箱の回収による逸出防止効果については、北海道における調査では効果的という結論が出ておりますが、経年的な調査は実施されていない状況にあります。
 これに対応いたしまして、施設からの逃亡実態、逃亡防止技術に関する調査として、ネット展張による逃亡防止効果の検証、それからネット展張率の実態調査、コロニー処理技術の開発といったことを予定をしております。具体的には、有効なネットの展張技術を開発する、それからネット展張による逃亡防止効果の検証、ハウス内の温度上昇等によるハチの行動やトマトの成長への影響を調査するということ。それから、展張率の実態を調査して、農家の意識調査アンケートを実施すると。それから、コロニー処理技術につきましては、ビニール袋に入れるなど、簡便かつ低コストな処理技術を開発して普及を図っていくということでございます。そのほかに、セイヨウオオマルハナバチの有効なトラップの開発としまして、雄蜂のフェロモンの人工合成を行って、誘引トラップの開発を目指していく。それから、熱力学を応用した誘引巣箱の試作を行い、その誘引率を調査するといったようなことに取り組んでいく予定でございます。
 そのほかに、調査としまして、在来種のマルハナバチの商品化開発・商品化におけるポテンシャルの評価を行っていくということです。北海道においては、エゾオオマルハナバチの繁殖を行い、実用性の評価、安定した飼育生産技術の開発により商品化を目指すということでございます。さらに、マルハナバチDNAデータマップの作成としまして、日本各地のマルハナバチ個体群の遺伝分化の状況というのを把握をするために、DNA情報をもとに日本産マルハナバチの進化的重要単位に関する情報を整理しまして、データマップとして作成をしていくということを予定しています。
 以下、丸がついております3項目は、小委員会及び昆虫グループとしての取扱いについての結論ですので、ここでは説明は省略させていただきます。
 私からは以上ですけれども、資料3について、農林水産省さんから。

【農水省】 それでは、農林水産省の方から、引き続き資料3の方のご説明をさせていただきます。
 野外へのハチの逸出を防ぐためのネットの展張及び使用済み巣箱の処理というところの普及ということになります。既に農林水産省の方は、前の資料にもございましたとおり、平成16年3月22日付で、農業生産技術の指導についてという中で、これらについては指導しておったんですけども、引き続きまして、今年度も、お手元にあります資料に基づいて指導をするということにしてございます。既に平成17年の4月27日、先月の末にこの通知は発出されておりまして、全国の都道府県及び関係団体を通じまして、市町村の関係者のところには行くというようなことにしてございます。
 内容でございますけども、野菜の項目の中に入れてございます。項目としては、花粉媒介昆虫の利用というところにおりまして、この最初のところは、基本的には小グループ会合の結論を受けてということになっていますけども、16年度は中央環境審議会の答申を受けてという形にしていますけども、それは変更してございます。内容的に言いますと、マルハナバチの利用に当たっては、飛散防止用ネットの使用及び使用済み巣箱の適正処理と、施設外への拡散を防止するための適切な措置を講ずるというふうに指導してございます。17年度から一つつけ加えたことがございまして、今回、小グループ会合の議論の中でもありましたとおり、在来種マルハナバチというのもございましたので、「また」という中で、在来種マルハナバチの切りかえについても考えてくださいというようなものもつけ加えてございます。「なお」のところは、当然のことでございますけども、在来種を利用するに当たっても同じような措置は講ずる必要がありますよという形で指導しております。
 以上、これは毎年出るものですけども、農水省としては、引き続き、これに基づいて単に通知を出すというだけではなくて、関係会議等では、この趣旨の徹底を図って、生産者一人一人にまでこの考えが行き届くようにというふうに考えてございます。
 以上でございます。

【土田座長】 ただいまの説明につきまして、調査に関して補足していただくことや、ご意見やご質問がありましたらお願いしたいと思います。
 どうしましょうかね。これは逐次何か説明を加えてもらえますかね。どうしましょう。要らないですか。
 はい、どうぞ。

【池田委員】 すみません。調査の期間というのはどうなっていますか。単年度ではないですよね。何年間ぐらいというのは、おおよそ。

【長田専門官】 調査については、とりあえず単年度でやっていく中で、まず、この委員会としては1年程度を目途に指定について検討するということですので、今年の中で出てきた結論に基づいて、この小委員会としても検討を進めていただくということになります。

【池田委員】 じゃあ、この調査の中では、要するに継続性というのは考えてないんですか。例えば地理的分布の実態調査とか国立公園における監視の調査というのは、単年度だけでということでいいですか。

【五箇委員】 今回示しておりますのは、とりあえずはこのセイヨウオオマルハナバチを特定外来生物に指定するか否かの検討をするに当たっては、この秋ぐらいまでには一つの結論を出す必要があるということで、それを目指して、今年度中に必要と思われるデータについてこれだけのことをやっていこうということを示してあります。しかしながら、指定した後もなおモニタリング等も必要であると同時に、今後、在来種に置きかえるなど代替策も必要になってくるということもありますから、研究そのものは、今、池田さんからもご指摘ありましたように、特に在来種の分布に関する情報や、あるいは既に野生化してしまっているセイヨウオオマルハナバチの駆除という部分に関する技術開発及びその事業化という部分については、さらにあと2~3年の研究計画を立てて、継続的にやっていきたいというふうには考えています。

【池田委員】 とりあえず2~3年で終了というんですが、これは私の方の要望なんですが、そんなこと言わずに20年間ぐらいやることはできませんか。ということは、私は前もちょっとお話ししましたが、いろんな侵入害虫の調査をやってくると、10年間は右肩上がりです。問題になっているのは大体右肩上がりで上がっています。10年すると安定しちゃって、むしろそれ以上過ぎてくるといなくなってきちゃう。だけど、なかなかゼロにはならない。どこかで居場所を連中が探して辛うじて住んでいると。だけど、それは農業上ほとんど問題にならないと。だけど、何かの原因でもって、またそれこそ10年ぶりとか20年ぶりに出てくるというパターンが非常に強くなっています。これは現場の人たちしかこういう事情はわかっていません。これは国を挙げて調査したことありませんから。静岡県におけるデータというのは、私は持っています。そういうことを考えると、セイヨウオオマルハナバチも、私はかねがね言っているように、右肩上がりで10年間があっとふえると思います。それからどうなるかというのは、これはわかりませんが、一応、だからそういうことを踏まえまして、継続して調査をお願いできないかということをここで要望しておきます。

【環境省 上杉企画官】 この資料2でお示ししておりますが、あくまでもこの小グループとして、検討をするに当たってどういう調査項目が今後材料として必要になってくるかという形で整理をしております。もちろん、この調査研究そのものは各大学あるいは試験研究機関がそれぞれの立場でやられるものでありまして、それは多分今までやられている調査もあると思いますし、これから何年間かかけてやるものも入っていると。それは、この今年これからの検討の中で、この部分をどういうふうに見ていけるかという形での整理をした資料というふうにお取りいただければいいかと思います。
 今、ご意見がありましたような、できるだけ継続的に見ていくということについては、我々もその必要性については十分感じているところでございます。

【土田座長】そのほか、何か質問ありませんか。特に議論していただくのは、この資料2について細かい点を詰めるという、共通認識を持ってもらうということにとどまると思いますので、特に何か、文言程度のことでもよろしいですけど、ありましたらざっくばらんにお願いしたいと思います。

【池田委員】 これもちょっと要望というんでしょうかね、環境省の方でどういうふうにお考えになっているかわかりませんが、例えばの話ですからいいんですが、地理的分布の実態調査をしている、あるいは国立公園によって監視調査をしている、このデータが途中で、検討されない前に途中で出るおそれというのが多分にあるわけですよね。これはいつ発表ということになりますか。ということは、新聞社……、新聞社だけではないんだけど、マスコミ等がいて、途中でもって書きたくてしようがないというマスコミがあると思うんですね。そうすると、Aという国立公園もBという国立公園もCというのもいるとかといって、それこそまたそれについて大々的に報道するということもなきにしもあらずですが、ですから途中のこのデータの取扱いというのか、発表ですね、これは環境省の方として、まだ予算を出しているところで、それは規制しておりますか。普通であると、こういう調査とか何かというのは、金を出した方ですね、環境省なら環境省の方の許可がなければ出してはいけないというのは徹底しておりますか。その辺のところをちょっと。

【環境省 名執課長】 この特に国立公園の関係の調査ですけれども、東京大学の依頼に基づいて、現地の国立公園の実際巡視活動をしている方々にボランティアベースで協力をお願いするというようなことでやっているもので、データについては東京大学の方で一括管理ということになると思います。ですから、その出し方については、今後、東京大学の方と相談していきたいと思っておりますけども、池田先生のご指摘というのは、現地レベルで余りぽろぽろ出てくるのは好ましくないということであれば、現地のそういった調査に協力してくださる方々にその旨は徹底していきたいと思います。

【土田座長】 横山先生の方から、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

【横山委員】 地域分布の実態調査に関しましては、環境省の地球環境研究総合推進費及び農水省の高度化事業の資金に基づきまして行いますので、もちろん各省庁から要請があればすぐお出しすることはできますけども、基本的には、ある程度そういった資金を提供していただいている省庁の方からの要請に基づいてという形になるかと思いますけど、データの管理に関しましては、混乱を招かないように配慮して出す方向で考えております。よろしいでしょうか、そのような形で。ちょっと中途半端な説明で申しわけありませんけども。

【池田委員】 こうした趣旨で行われるんですから、少なくともこのデータの解釈については、やっぱり国の方の意向というのがあると思うんですよ。それを審議されない前に出ていって、そしてマスコミならマスコミの、一マスコミというか、マスコミの考えでもって報道されてると。結構、それで受け取る方は正常な判断のもとでやらずに、自分たちの有利なというんでしょうか、曲解した、そうした考えのもとでもって判断されるというのが多分に出てくるんじゃないかと思うんですね。ですから、私はやはり国の方の予算でやったら、やっぱり国の全部許可を得た中で公表すべきだというふうに思いますね。
 それで、各県なんかもそうなんですが、試験成績なんかでちっとも出てこない、成果が出てこないというのがあるんですが、近年は非常に各県、私、ずっと県の試験場におりましたが、県のいわゆるお墨つきの中でやらないと、最終的には県の責任ということになりますから、この場合も国の方の責任ということになりますから、やはり私はまずいんじゃないかなというふうに思います。独自でやっていいんだったら、それは構いませんがね。いかがでしょうか。

【名執課長】 ご指摘のとおりで、特に東北大学、国環研が地球環境研究推進費でやるものについては、当然、データを出す前に、地球環境局の方の承認というんでしょうかね、それが必要だというふうに認識しております。
 それでもう一つ、国立公園の東京大学の方は、これは東京大学の独自の調査ですので、我々も協力しているという立場で、データを出される際には相談していただくようにしたいと思います。

【土田座長】 データ管理ということになりますと、今後、例えば8月に中間報告なんていうことがありますが、この場合、どう対応したらよろしいんでしょうかね。

【名執課長】 そこはもう環境省の地球環境局で予算を出している方との相談で、その時点でどこまで出していいかという話になるかと思います。

【土田座長】 農水省の方も、それでよろしいでしょうか。

【農水省】 高度化事業のデータの出し方ということになろうかと思いますけど、ちょっと私が所管課ではないので余りあれですが、基本的には契約関係で縛っているはずなので、契約に基づいてということになる。特に知的所有権の部分ですね、ここでいうならばフェロモントラップとかを開発されるという分になって、それがぱっと出ると特許の問題とか起こるかもしれませんけど、その他、余りあれだったらば、そこは相談しつつというところが出るのかなというふうには考えています。

【土田座長】 了承いたしました。
 ほかに何かございますでしょうか。

【池田委員】 ちょっとすみません。横山先生の方にちょっと要望しておきますが、植物の繁殖に対する影響調査というのをご検討になりますね。これは結実率と書いてあるんですが、この結実率というのは、結実率ももちろん必要なんだけど、播種をして発芽率のところまで調べていただけませんか。

【横山委員】 はい、それはわかりました。そのようなデータはできますけど。

【池田委員】 これは私かつてやったことがあったんですが、害虫に食われちゃってこれはしようがないやと言うんだけど、害虫に食われて残った種というのは、簡単に言うと発芽率は非常に高いです。そうしますと、半分ぐらい食われたとしても、最後の発芽率というところで見ると、カバーされちゃってほとんどないと。そういう事例がありますので、これはすべての種子にそういうのが共通するとは限りませんが、結実率から見ると半分ぐらいなんだとか、あとの発芽率というようなことを考えていくとそうでもないということがありますので、特に結実率が非常に劣るものについては、そういうのをちょっと配慮していただきたいというように思います。

【土田座長】 どうも重要なご指摘をありがとうございました。
 ほかに何か。そういった細かい点でも結構ですので、ありましたらお願いします。

【長田専門官】 今回の資料2の別添の方は、各ここにご出席の方が中心になってやられるその他の調査について、事務局の方でごく概要を取りまとめたものですので、先生方同士で確認をされる事項とかもあれば、ふだんからよくお話をされているのかもしれませんが、この機会にご指摘等をいただければと思いますけれども。

【五箇委員】 幾つかの生態影響に関する調査を進めるということになっていて、8月にはもう既に中間報告をまとめて、11月では調査結果をまとめるということになるんですが、実際やってみないとわからないところがあるんですが、どの程度のデータをもってリスクありと判定するかということを、あらかじめというか、少し考えておかないと、何分にも生態学的な調査ということで、バリアンスも非常に大きいでしょうし、この1年に限ってセイヨウマルハナバチが全然出てくれないということもあるかもしれませんし、どういった形で判断すべきなのかということですね。その辺について、研究者レベルでこれぐらいの結果が出ればいいであろうという部分と、行政サイドの方でこれぐらいの結果が欲しいという部分ですよね、その辺のすり合わせがあった方がいいのではないかなという気がするんですけれども。
 例えば我々がやるようなDNAの研究なんかですと、例えば精子のDNAを調べると、セイヨウマルハナバチの雄が在来のマルハナバチと交尾をしているという実態を把握するという部分において、どれぐらいの頻度で出れば、それを影響ありと見なすかと。1匹でもいいのかとかですね、その辺はちょっとご意見をいただいた方がいいのではないかなという気がするんですけれども。最初に、じゃあ環境省、農水省あたりにもちょっと意見をいただければと思うんですけど。それを聞いてからやった方が、我々も安心して研究できるかなというのがあるんですけど。

【上杉企画官】 予見的にこうであるというのは、なかなか現時点で言える話は余り持ってないということだとご理解をいただきたいと思います。
 今回の法律の趣旨からすれば、本当に広がってしまってから対処するのではなくて、ある程度予防的な観点も一応持った法制度にはなっていると。そのおそれをどう見るかというところをむしろ考えて、研究過程は非常に重要なポイントではないかと思っています。そういう意味で、一つだからだめだとか、一つでいいとかということではないと思うんですけども、いずれにせよ、前回まで議論していただいている中で、不明確な点が幾つかありますよという結論としておまとめいただいていますので、そこがどれぐらいクリアになってくるのかと。その辺を、データをベースに再度議論をしていただければいいのではないかというふうに思います。

【土田座長】 ほかに何かございますでしょうか。
 実はこの研究内容につきましては、かなり研究者間で何回も議論を重ねていまして、かなり成熟した項目になっていると思うんですよね。そういう意味では、ちょっとここで質問というのもなかなか出ないのが現状です。
 なければですね、よろしいですか。ほかにご意見がないようでしたら、セイヨウオオマルハナバチに関する検討については、きょう議論いただきました資料2のとおりに検討を進めていくこととしたいと思います。
 あと議題では2番目のその他とありますが、この際、何かご発言されることはございますでしょうか。

【五箇委員】 今言われたとおり、実はここで示しています研究課題というのは、研究予算そのものの出どころは環境省地球環境局の地球環境研究総合推進費、もう一つが今年から始まります農水省の高度化事業という予算で行っておりまして、実際に我々自身がこの事業の部分に関して立案して計画も立ててということもあって、計画そのものに対して何らか質疑するというのは、このメンツではどうしようもないところもあるんですけれども、せっかくというか、こういうオープンの形でやっている意味としては、要するにここに示している課題の実効性みたいなものについて、ある程度、少し意見を出した方がいいのではないかという気はするんですけれども。要するに、例えばここに示していますさまざまな研究課題ですね、これそのものがどの程度この1年間でできそうかというのは、実際にこれを担当される研究者もいらっしゃいますし、これを専門にされる方々もいらっしゃいますから、そこを少し、せっかくですので、意見を出し合ってはいかがかと思いますけれども。

【土田座長】 では、個々に一つずついくということですか。どの程度進んでいて、どの程度現実的であるかということですね。じゃあ、そのあたりをちょっとざっといきましょうか。
 では、最初のこの野生化コロニー数推定のための分子遺伝学的調査に関して、ちょっとざっくばらんに。

【五箇委員】 この課題については、ちょっとぱっと読んだらわかりにくいと思うんですが、要は遺伝子鑑定によって、そこに飛んでいるハチの兄弟姉妹関係ですね、こういったものを調べることで、一体、その地域にどれだけの家族がいるか、要するにコロニーがあるかということを計算するという研究を進めるということです。これについて、要するに遺伝子鑑定ですね、DNA鑑定をすることで、そこにいる個体の類縁関係を調べて、一体どれぐらいのコロニーがそこの花に飛んできているかというのを調べると。そのための数学的な手法を開発するということをやっています。この辺に関しては、既に春の学会でも計算方法そのものはある程度でき上がっているということは発表していますので、あとは実際に野外で野生化していると思われるセイヨウオオマルハナバチを捕獲して、その遺伝子分析を行えば、この部分に関しての実効性はあり得るであろうというふうに考えています。

【土田座長】 私もこれを聞きましたら、かなり進んでいる技術でして、実効性があると私も判断しています。
 では、2番目のこの地理的分布調査について、横山先生の方から。

【横山委員】 昨年度、全道というほど広範囲ではないんですけども、ある程度北海道の広い範囲において、セイヨウオオマルハナバチの存在の有無についてモニタリングをするためのポイントを設定いたしましたので、その設定ポイントでの継続調査を行うことと、それから、さらにその調査範囲を広げることによって分布の実態の解明ができるというふうに考えておりますし、また、継続ポイントの調査を続けることによって、分布の拡大、それから在来種の置きかわりがどのように進行しているのかというようなことについて、これはまだある程度期間のデータは必要かとは思いますけども、一定の知見が得られるのではないかというふうに考えています。

【土田座長】 それでは、続いて東大のもありますが、これは東大のは……。

【環境省 中島室長】 国立公園におきまして監視調査をするというものでございますけれども、これにつきましては、今回のセイヨウオオマルハナバチの特定外来生物の選定の話とはちょっと性格が違っておりまして、国立公園の、特に大雪山国立公園の上には非常に大きな高山帯がありまして、そこの近くまで現在セイヨウオオマルハナバチの分布が広がっているという研究者からの話がございまして、なるたけ予防的に我々としては国立公園の管理の立場からどこまで来ているかどうかということを調査をして、来ていれば、それをなるたけ高山帯に入らないように排除をしていきたいということで、国立公園の管理の一環として、こういう調査をやっていこうというふうに決めているものであります。ただ、その過程でたくさんの方に参加をしていただいて、どこで発見されたかとか、何が発見されたかというようなデータが結果として集まるものですから、それについては東京大学の方にデータをお送りして解析をお願いしようというふうにしているものでございます。

【土田座長】 続きまして、在来種との競合に関する調査についてお願いします。

【横山委員】 これは既に2年間継続調査を行っている地域がございますので、ここで今年度も同様の調査を行います。今年度は、さらに資源量の把握等を行いまして、在来種のみが生息している地域と比較することによって、実際に競合関係がどのようになっているのかということ、それから、あと3年間の調査でやはり減ってきている種類が明らかになるのかどうかということをきちんと把握することによって、在来種の競合関係を以前よりは定量的に把握できるようになるんじゃないかというふうに考えております。

【土田座長】 次の在来種との交雑実態ですね。

【五箇委員】 セイヨウオオマルハナバチと在来マルハナバチとの交雑に関しましては、こちらにいらっしゃる玉川大学の小野先生のところでも研究をされてきたことですけれども、要するに種間交尾をするということはかなり実験的にはわかっていると。さらにその後の調査で雑種が生まれたという事例は1例なんですが、その後の追試験の結果、種間交尾はして受精までは行くと。ただし、受精した卵は胚発育できずに成虫に産まれることができないということがわかっているということで、要するに専門用語で言えば交尾する前には生殖隔離が働くというという交尾前生殖隔離が働かず、交尾した後に子供が産まれないという交尾後生殖隔離が働くということがわかりましたので、野外でこうしたことが、要するに野生化したセイヨウオオマルハナバチの雄が在来のマルハナバチの女王と交尾をするということが起こると、生殖攪乱を起こすであろうということが予測されると。そのリスク評価のために、実際に現在北海道などにおいて、セイヨウオオマルハナバチの野生化が著しい地域において、そこに生息する在来の女王マルハナバチがどれだけの頻度でセイヨウオオマルハナバチの雄と交尾をしてしまっているかということを調べるために、マルハナバチの生殖に関しましては、一たん雄から受け取った精子というものを女王バチの体内の受精嚢というところに蓄えて、それを産卵する際に、その受精嚢から精子を供給して受精させて卵を産むという、いわゆる精子そのものをストックさせるという形で体内に保存しますので、女王バチを捕獲しまして、その体内の受精嚢という組織を取り出しまして、その中にある精子ですね、それをDNA分析することで交尾相手が在来のハチであるのかセイヨウオオマルハナバチの雄であるのかということを識別すると。それを野外で捕獲した個体について一斉に調査していって、どれだけの頻度セイヨウオオマルハナバチの雄と交尾をしてしまっているかということを調査するということです。これに関しましても、既にDNAの変異ですね、セイヨウオオマルハナバチと在来のマルハナバチを区別するという技術というものはでき上がっておりますし、岐阜大学を中心に交雑実験を行い、受精嚢の中の精子を取り出すという技術もでき上がっておりますので、あとはやはりサンプルを集めれば実行可能というふうに判断しております。

【土田座長】 この項目は、もう実験室レベルではかなり確立されておりますので、あとは野外の調査に応用するということのレベルでかなり進んでいると思います。
 続きましてフェロモンですね。玉川大学の方からお願いします。

【小野委員】 フェロモンの方に関しましては、在来種間では先ほど五箇先生の方からありました交尾前の生殖隔離というものが生じているわけですけれども、それが雄バチの生産するフェロモンであるというようなことが強く示唆されています。セイヨウマルハナバチ、それからクロマルハナバチ、オオマルハナバチ、その他の在来のマルハナバチも、雄バチのフェロモン分泌腺から発散する揮発成分の分析の中で、メジャーな成分については既に分析方法を確立しましたのでデータがたまりつつあり、一部は学会等で発表させていただいているという段階に来ています。実際にヨーロッパから輸入されてきているセイヨウマルハナバチ、原産地が日本ではないセイヨウマルハナバチについては、日本のマルハナバチの生産するフェロモンと共通のものを持っていて、実験室内のレベルでは異種間の交雑が起きてしまうということに、先ほどの五箇先生、土田先生の話の中にもありましたけども、あるわけですけれども、このフェロモンを使って逆に逃げ出した雄バチなどを誘引する、集める、回収する、あるいはハウスの中で飛んでいる生殖虫を回収するというような技術に結びつけていくというようなこと、そういったことを視野に入れた研究をこれから展開していくという形になろうかと思います。
 この会合の中でも、実験室の中でフェロモン成分が共通しているからということがどうか、多分、そうだと思うんですけども、交雑が起きても、野外でそれが実際に起きているかどうかという点についてまだ確認されていないということで、先ほどの受精嚢の中の精子の確認という形に多分なってくるわけなんですけども、そういった意味では、野外で1匹でも在来の女王の受精嚢中にセイヨウマルハナバチの精子が見つかった場合、事例が少ないとはいえども、野外で実際にそういうことが起きたということが確認されたという意味合いはすごく大きいんじゃないかなというふうに思うんですけど、この会合の中でも、実際に野外でどうかという点が問題になっていて、これが1例でももし野外で確認されれば、そこが確認できたということの位置づけになると思うので意味合いは大きいと思いますし、1匹そういう例があるということは、これは計算でわかるのかわかりませんけども、少なくともほかに何例かあるということになってくると思うので、この同じ枠の中に入っているわけですけども、五箇先生、土田先生のグループと非常に関連の深い関係にあるんじゃないかなというふうに考えています。
 以上です。

【土田座長】 そういう意味では、かなり重いデータになると思いますが、よろしくお願いします。
 では、次の寄生生物の持ち込みについて。

【五箇委員】 セイヨウオオマルハナバチは、生きた生き物として流用しているということで、当然、マルハナバチそのものにくっついてダニとか寄生虫が一緒に移動するというリスクも考えられるということで、この寄生生物の持ち込みという部分に関するリスク評価を行うと。既に環境研の方ではマルハナバチポリプダニという体内寄生性のダニが外国から持ち込まれているということは発見しておりまして、今後、そういった寄生生物が野外にどれだけ感染して蔓延していくかということを追跡調査する必要があるということで、野外で採集される在来のマルハナバチの体内にどれだけこういった寄生生物が存在するかということを解剖学的に、あと分子遺伝学的に追跡調査を行っていくということを考えています。

【土田座長】 では、次の植物の繁殖に対する影響ですね、お願いします。

【横山委員】 植物の繁殖に対する影響は、実は過去にもずっと指摘をされてきながらなかなかデータがなかったものですので、ここできちんとその評価をしておこうということで、今回、この分野を入れるということにいたしました。これまで、我々の調査でセイヨウオオマルハナバチが在来の植物に訪花をするということが確認されている植物というのは、何種類か挙がっていますので、そういったものの中から特に影響がありそうな、あるいは、その植物の存在自体が、例えば日本国内のマルハナバチの種類を支えるのに非常に重要であるというふうに考えられるような植物種を特にピックアップしまして、その植物の繁殖に対する影響ということをきちんと評価していこうというふうに考えています。これにつきましては既に実験を開始しておりまして、5月の初旬に、まだ1種類だけなんですけれども、操作実験を野外で行ってまいりました。恐らく、先ほど池田先生のご指摘があった発芽率というところまではすぐ出ないと思いますけども、結実率に関しましては、ある程度の期間に結果が出てくるものというふうに考えております。
 以上です。

【土田座長】 次はネットのあれになりますが、五箇さんの方からお願いします。

【五箇委員】 次はですね、今までがリスク評価と考えれば、次が現場でのリスク管理の方ですね、リスク管理手法というところに関する技術開発と研究というところになると思うんですが、特にネット展張ですね、ハウスにネットを張るという部分に関しての技術開発というところに関しましては、特に農水省の高度化事業の部分において、農水省の野菜茶業研究所及び愛知県農業総合試験場の方に委託を出しております。既に現場では、ハウスの周辺というのは、害虫防除の観点から防虫ネットを張るというところが非常に多くて、ネット展張率そのものは、あと少しカバーすれば十分100%に近い数字が達成できるんですが、肝心なのは、害虫防除の場合、ハウスの天井部分にあいている窓ですね、天窓というんですが、この部分がどうしてもネットが張りにくいし、張る上でコストがかかるというところがネックになっていると。マルハナバチの場合、大体、そこから逃げ出してしまうというケースが多いので、この天窓ネットというものをどう低コストでかつ簡単な方法で普及させるかということが、多分、ここの部分での鍵になるであろうと考えております。それで、特に今、いろいろな業者さんの方からも、そういった技術に関する開発はされてはいるんですが、やはりコストの部分となると、普及のスピードを考えまして、より簡単な方法が必要であるといったところで、現実に今神奈川県の方なんかですと、天窓の方から簡単に垂らすだけの、天窓の上を垂らすだけのネットみたいなものも今考案されております。こういった簡単な方法が果たしてマルハナバチの逃亡防止に有効かどうかということを至急に実地試験をしていただくというふうに今考えています。

【土田座長】 ありがとうございました。

【五箇委員】 あと、コロニー処理技術に関しては、これは既にある程度現場なんかではいろんな方法がとられているとは思うんですが、できれば農薬とかそういうケミカルを使うよりも、より安全で簡単な方法で、ここに具体的にビニール袋に入れるという方法なんかも書いてあるんですが、そういったものをできるだけ早く普及させて、いろんな農家の方々にそういう簡単な方法を知っていただくという手段ですね、むしろ方法よりも普及させる手段というもの、具体的には、プランとしては商品を売るときにそういうパンフレットを一つつけるとか説明をつける、あるいはビニール袋そのものをセットで売るとか、そういったことも検討していただくというふうに考えています。

【土田座長】 どうもありがとうございました。
 次の有効なトラップの開発ですね。これは、じゃあお願いします。

【光畑氏】 これに関しましては、一度野外に逃げて定着してしまったセイヨウオオマルハナバチを捕獲するというよりも、今後、利用継続を考えた場合に、これ以上、セイヨウオオマルハナバチの特に生殖活動と呼ばれる個体ですとか、それから雄のハチのこれ以上の逸出をさせない、防止するためのトラップの開発ということを考えたいと思っています。既にトラップに関しましては、市販されている大型の鱗翅目害虫ですね、農業害虫、蛾のトラップが小野先生のところでスズメバチのトラップに十分効果があるということがわかっていますので、マルハナバチをまずこれを使ってトラップできるかどうか探っていきたいと思っています。
 施設の中にぶら下げますので、特に黄色とか青い色のものに、よくマルハナバチは農家さんが使っておられる資材で黄色とか青色に誘引されてうろうろしてたりしますから、そのトラップの色を黄色であるとか青色に変えることによって、より誘引しやすいというようなことを考えたり、あとは一番注意しなければいけないのは、働いている働きバチを誘引してしまっては農業利用の目的はなくなってしまいますので、雄のハチだけであるとか、新しい女王バチだけを誘引できるような構造というか、小野先生のところで分析されたフェロモンを利用して、そういったものの開発を目指したいというふうに考えております。

【土田座長】 ありがとうございました。
 次は誘引巣箱の開発になりますが、お願いします。

【五箇委員】 今、アリスタライフサイエンス株式会社様の方からも説明あったように、逃げ出したセイヨウオオマルハナバチ、特に女王バチですね、これを有効にトラップするための一つの手段として、巣そのものですね、越冬して目が覚めたセイヨウオオマルハナバチの女王バチが巣をつくるというときに、彼らが利用しやすい巣箱をつくることで効果的に、かつ選択的にセイヨウオオマルハナバチというものをトラップしようという方法がこれです。具体的な手法とかノウハウについては、やっぱりそれこそシークレット事項になるので、ここでは言いませんけれども、熱力学をうまく応用しまして、実際にこれは今テストしていますが、既に誘引効果がありそうだということはもう既にわかっております。特にこの部分については、一応申し添えれば、ほかの昆虫の方でお世話になっているクワガタの愛好家の方々の協力を得ているということだけはつけ加えておきます。

【土田座長】 では、その他二つございますが、簡単にお願いできますか。

【光畑氏】 まず初め、在来種マルハナバチの商品化開発・商品化におけるポテンシャル評価という項目でございますが、特に緊急を要すると考えられる北海道でのエゾオオマルハナバチの増殖開発を行いたいというふうに考えております。昨年、玉川大学とアリスタライフサイエンスの方で、既に事前に共同研究でエゾオオマルハナバチのまずコロニーの生産性は事前に調べておりまして、これは学会等で発表させていただいております。
 何を調べたかと申しますと、商品化されているセイヨウオオマルハナバチの基準ですね、働きバチが何頭以上であるとか、幼虫数はどれくらい必要であるとか、ハウスの中で働かさせるためのコロニーの規模をまずエゾオオマルハナバチがクリアしているかどうかということを調べました。これに関しては、十分にクリアする巣が得られる、コロニーが得られるということがわかりましたので、今度は規模を広げまして、国内で増殖工場を持っておられるアピ株式会社さんの方で、ある程度の規模ですね、エゾオオマルハナバチの女王バチ、野生の女王バチを採集いたしまして、増殖をしたいというふうに考えています。そこから得られた一部コロニーを用いまして、実際に北海道の生産者の方の圃場をお借りして、トマトの訪花能力があるかどうか、実用性に耐え得るかどうかという評価を行いたいというふうに考えております。

【土田座長】 では次、お願いいたします。

【五箇委員】 最後になりますけれども、マルハナバチDNAデータマップの作成ということで、これは農水省の技術指導通達の方にも書いてありますように、セイヨウオオマルハナバチの生態リスクを回避する一つの代替策としては、在来のマルハナバチに置きかえていくと。利用コロニーを在来マルハナバチ種類へ転換していくということも一つの方法と考えられますが、ここで注意を必要とするのが、例えばクロマルハナバチは既に商品化されておりますけれども、この種類は本州にしかいない種類で、これを北海道に持ち込むというのは、やはり少し慎重な議論が必要であるということは、たびたびこの会合でも議論になっております。そういった意味で、今後、さまざまな地域に即してというか、幾つかの種類を商品化するに当たっても、地域個体群という部分ですね、それぞれの地理的な固有性というものも把握した上で、その管理利用というものを考えていく必要があると。そのための基礎情報を今のうちから蓄積しておく必要があるだろうということで、今回、このテーマを事業の中に入れております。具体的には、各地域から在来のマルハナバチを採集しまして、その遺伝子情報というものを収集しまして、それに基づいて、どういった地域にどういった遺伝子を持つハチが存在するかということをデータベースとして管理できるようにするということを目指しているということです。

【土田座長】 ざっと説明していただきましたが、私の感じといたしましても、分子遺伝学的な調査とかフェロモン関係の調査は、かなり実効性があるというレベルまで来ていると考えてもらって結構だと思います。あと地理的な分布調査ですね。実態調査も、これももうかなりデータを積み重ねておりますので、今年また取るということで。残念ながら、おくれるのはやはり野外での繁殖とか、そういう生態的な調査はやはりどうしても遅れてしまうというところがありますが、それは横山先生の頑張りで何とかカバーしていただきたいと思っております。
 という現状ですが、環境省の方と農水省の方、よろしいでしょうか。
 池田先生、よろしいでしょうか。

【池田委員】 この研究のどこまでというときになると、何かちょっと線引きがはっきりしないなというのは、生態的な調査等を重点にやると言いながら、一部コロニー処理技術の開発だとかトラップの開発だとかという防除に結びつけるようなところがある。ネットの方もそうなんだけど、それだったら、もうちょっと踏み込んで防除というところまでは行かないんですか。当初から何かそう言っていながら、ちょっと線引きがはっきりしないなという気がしますがね。

【五箇委員】 よろしいですか。今回、この会合の部分に関しましては、特にこの1年以内でこれを特定外来生物として認定するかどうかという部分に焦点を当てる必要があるということで、その部分は、どうしても議論の土台となるのは生態リスクに関する生態学的なデータが必要となるということで、大半をその部分に割いてはいますが、必然的に特定外来生物に指定した後のことも考えると、当然のことながら、防除技術というものも必要になってくる。その点に関しては、昨年度の会合から、池田先生の方からもたびたびご指摘があるように、これをどう駆除するのかということが、次の実はもう来年から、実際にそれがスタートした時点からそれが本当に最大の課題になる。その部分に関しても、言ってみれば、せっかくお金をいただくのであれば、その部分に関しても並行して研究はしておく必要があるであろうということで、確かに防除技術としても非常に基礎的な部分からスタートはしているんですが、そういった形で土台をつくるということを今考えて、防除という部分についても、今、この事業の中には含んでいるということです。
 特に、そういった意味で防除という部分に関して、この1年においては、そういった基礎的な部分以上に一番大事なのは、やっぱりネットの部分だと思うんですね。これが一番肝心なところで、将来的には、特定外来生物に指定された場合においては、ネットが張ってない限りは使用はもう絶対不可能になりますので、この部分に関して、いかにこの1年以内に確実な技術を確立して普及させるかというのが一番の焦点になるかなという気はします。その部分に関しては、だから、逆にちょっと今回この場を借りて、あえてメーカーさんの方にも言っておきたいのは、実際、どれだけ現場によってこういったものを普及させることが可能かどうかですよね。そのめどが立っているかどうかというのも、結構、この特定外来生物に指定する上では、要するに指定しても使えなくなってしまうかどうかということなんですね。指定してもまだ使えるかどうかというのは、むしろこのネット展張の部分が大きな鍵になるであろうというふうに考えられるということです。
 要するに、今回、この会合がここ1年延びているという背景には、確かに生産現場の問題というのもあるんですけれども、あくまでも環境省の会合ですから、ここで議論が延びているのは、そういった農林水産という部分でのトマト生産という部分以上に、やっぱりそれを踏み越えてでも生態リスクという形でこれを指定するには、まだやはり基礎的な部分で十分に議論ができない、それだけのデータがまだ十分であるとは言えないということで延びているに過ぎなくて、これで1年生態リスクを評価した上でクロとなれば、これは指定されますし、指定された時点で十分に管理している環境が整っていないのであれば、これは使用禁止ということになるだろうというふうに考えています。その辺に関して、一番現場を知っておられるのがやっぱり企業の方になると思うんですけれども、どういった見通しが立ちそうかというのを少し意見をいただければというふうに思います。

【光畑氏】 第4回の小グループの結論を受けて、各マルハナバチ普及会に加盟しているメーカーの方では、日々の販売活動・営業活動の中で、現場を周りながらネットの展張の必要性、それから準備の必要性については説明をさせていただいている最中であります。ただ、その中で感じますのは、地域による温度差が非常に激しい。地域の感度ですね。感度によって、もう既に準備が終わったよとか、もうこういう予算も立てて、ある程度できる準備が整っていると。栽培が終わり次第、すぐに作業に入りますというような産地さんもあれば、ただ単に報道等を斜め読みしてというか、先送りになったんだろと、まだ1年ぼうっとしている余裕があるねというようなご発言をいただくような産地さんもあります。これは私どもの責任も痛感しておりますし、一方で普及指導員の方々の、指導に携わる方々の感度にも随分左右されているんじゃないかなというふうに思っていますので、より一層の啓蒙活動が必要であろうなというふうに考えています。
 そういった中で、例えば農業関係の専門誌にマルハナバチ普及会としてはネットの展張に関する広告を出させていただいたりしながら、同時に先ほどの推進活動の中を通じて説明会等を開いたりしながら、さらにこの活動を強調していく必要があるだろうというふうには考えておるんですが、なかなか、大きな産地というのは比較的感度が高いんですけども、細かな産地まで行くとなかなか手が届かないところもどうしてもあるものですから、そういったところをどのように啓蒙活動をしていく必要があるのかなというのは少し頭を悩ませているところであります。
 その中で、ちょっと話が飛んでしまうんですが、参考資料6のパブリックコメントの結果概要の中で、慎重対応という項目の中で「今回のリストに入らなかったことに賛成。猶予期間をいただいたものと捉え、まだ危機感の低い農家の間に法律についての普及をしたい。生産者団体の多くは、指定予告さえあれば、即時にネット展張を生産者団体全員に強制することが可能という見解なので、逸脱防止を一定期間内に確実に実施するためには、指定予告に類したものが必要。」というふうにコメントを寄せられて、この方は読むに恐らく指導機関の方、指導にかかわる方なんだろうなというふうに推察しますが、例えばこの検討を進めていく過程で、8月ごろの例えば中間報告のときに、ある程度、データにもよると思いますけども、データが出た段階で、こういった指定予告に類するようなものが出せるのかどうか。本法律が出せるのかどうか、ちょっとお伺いしたいなと思うんですが。

【五箇委員】 いいですか。これは前年度最終会合で結論を出したときも、指定を検討すると、1年を目途に指定を検討するという形で締めくくっていまして、指定を前提に検討するというふうにはならなかったと。いろいろ波紋も呼んだんですが、何度も言うように、これはやはり科学的議論を踏まえた上で決定するということであれば、この1年の間に逆転無罪というような結果も出てくる可能性がある、科学的にですね。そういったことも考え合わせますと、今、この時点でより科学的に慎重に議論するということを踏まえた上で、これ、今、会合を続けていることを考えれば、指定を前提にとは言えないんですね。したがって、この部分で予告的というのは、やはり行政的にも難しいだろうというふうには判断はしています。
 ただし、先ほども言いましたように、ここであと1年データもとって踏まえて、それで議論して、それでクロとなれば確実に指定はされるんですね。その時点で網がろくに張れてない、あるいは張る気もない、張ることもできないというような状況であれば、それで使用禁止になってしまうという状況になります。そういったことはきちんと説明しておく必要がある。実際のところ、もう既にかなり灰色の状況なんですね。これまでのデータを踏まえれば。もうあと一歩踏み切っちゃえば、本当にクロになるであろうというところです。もちろん、先ほど言ったように、それを逆転させるようなデータも出てくるかもしれないけれども、ただ、こういった場合、無罪を主張するよりも有罪を主張する方が、こういった生態影響というのは非常に簡単なんですね。何か一発でも少し悪さをしているのを見つけてしまえば、それでしまいということがあります。それを目してというか、そういうこともカバーするために、これだけ細かいさまざまなテーマも立案されているという状況で、これのどれにも一つも引っかからないということは、むしろかなり難しい状況を考えれば、研究という部分からすれば、かなりきわどい状況にはもう既に来ていると考えるべきで、そういった意味では、現時点でできるだけ早く管理できる体制をとらないことには、今後、これが指定された場合には、もうしばらく使用するということはできなくなってしまうということを念頭に置くべきではないかというふうに考えています。

【名執課長】 あとご参考までに、今回の特定外来生物の一次指定なんですけれども、1月の末に全体専門家会合で一次指定するのが適当という37種のリストを示す、その後パブリックコメント、WTO通報をやって、その後政令の公布、一定の周知期間を置いて6月1日から施行ということで、これはかなり早いケースでも結論が出てから4カ月ぐらいあるわけですね。ちょっと指定予告の期間がどのくらいが適当なのかというのはあるのかもしれませんけれども、今回の一次指定は、とにかく6月1日に施行するというので、かなり急いだ早いケースなので、ちょっと4カ月では足りなくて、例えば6カ月だということであれば、政令の公布をして、実際の施行をもう少し、もう1カ月、2カ月延ばすということもあり得る選択だと思いますので、その辺は普及啓発の状況も見ながら検討していくことはできるんじゃないかと思っておりますけど。

【土田座長】 どうもありがとうございました。
 どうぞ。

【光畑氏】 あと、すみません、引き続きなんですが、一方で感度の高い産地の中では既に準備を進めてはいるんですけれども、どうしても栽培の合間合間ですね、栽培と栽培の谷間のハウスの中に何も植わってない時期にネットを張るという作業をするんですが、大体、一つの産地の中で、その期間というのは、皆さん同じほぼ栽培期間を持っていますので、大体1カ月から2カ月ぐらいの間、短いところで1カ月から2カ月ぐらいの間にその作業をその地域は全部しなければいけないというところがありまして、感度が高くて、もう準備を進めてはいるんだけれども、一挙に大量の農家さんのハウスを施工するには、業者が足りないであるとか資材が足りないというような問題も一方で出てきているということが、現場からの訴えといいますかね、間に合わない、間に合わないというような声も出てきているのは事実です。確実に、この問題に関して、以前に比べれば全体的には生産地の感度は高くなっていますし、1年猶予があるんだろうと言いつつも、やはり常に耳を立てて、どういう動きになるのかというのはメーカー側に問い合わせをするというような、癖というんですかね、そういうような雰囲気はでき上がってきていますので、ある程度、先ほどの指定予告ではないですけども、その期間、4カ月間、WTO通報だとかというような期間の間で徹底することが可能であるんじゃないかなとは思うんですけども、ただ、もう技術的にどうしてもだめだというハウスが幾つかやっぱりありますので、そこは先ほどの研究内容の中でクリアすべき問題なのかなというふうに考えております。

【土田座長】 先ほどもありましたように、指定を前提にという話がちょっとできないということで、この会合ではまだちょっとそこまで踏み込むにはまだいっていないという、私は考えますので、次回以降にこれは申し送らさせていただきます。
 その他、何かご発言等ございますか。その他にもう実は入っちゃっているんですけども。なければ、よろしいですか、ここで。きょうの主な項目、議論をし尽くしたという感じはいたしますけども。
 よろしければ、事務局から何かございますでしょうか。

【名執課長】 本日は、大変お忙しい中、セイヨウオオマルハナバチの小グループ第5回の会合にご出席いただきまして、また非常に活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。
 今回ご議論いただいたような形で、調査研究、それから技術開発、普及啓発など、委員の先生方には進めていただきますとともに、1年を目途に検討ということで、きょうお示ししたスケジュールのような形で進んでいきたいというふうに思っておりますので、今後ともご協力をお願いしたいと思います。
 本日は、どうもありがとうございました。

【土田座長】 以上をもちまして、セイヨウオオマルハナバチ小グループの会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。