環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第3回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)
セイヨウオオマルハナバチ小グループ会合 議事録


1. 日時 平成16年12月15日(水)14:00~15:45
2. 場所 経済産業省別館11階 1111会議室
3. 出席者  
   (委員) 池田 二三高   小野 正人
五箇 公一    横山  潤
桐谷 圭治
   (利用関係者) マルハナバチ普及会 光畑雅宏、米田昌浩
   (環境省) 上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 岡田野菜課課長補佐
4. 欠席者  
   (座長) 土田 浩治
5. 議事  

【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合のマルハナバチ小グループの第3回会合を開催したいと存じます 。
 前回の会合で在来のクロマルハナバチの利用について説明をというような指摘がありましたので、今回、マルハナバチ普及会の光畑さんには、この部分をしていただくということで、さらにマルハナバチ普及会の方として、米田さんに今日はお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします 。
 それから、本日、昆虫類グループ会合の委員であります桐谷先生もご参加ということで来ていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきますが、委員名簿の次に資料が1から3までございまして、資料1が選定の作業手順、資料2が前回お出ししましたセイヨウオオマルハナバチに係る情報及び評価、資料3がセイヨウオオマルハナバチ小グループ会合のこれまでの論点整理ということでございます。参考資料は、前回の議事概要をお付けしてございます。それと、委員の方々には、アリスタライフサイエンス株式会社から「在来種マルハナバチの利用現状」という紙が行っているかと思います。中に未発表資料が含まれているということでございまして、傍聴者の方には、申しわけありませんが、別途コピーしたものを張っておりますので、これを見ていただければと思います。これにつきましては、環境省のホームページにもちょっと出すことはできないというふうに聞いております。以上、もし資料に不備がございましたら、事務局の方にお申し出いただければと思います 。
 それでは、本日、土田座長がご欠席ですので、議事進行につきましては、前回、座長から代理の指名がございましたので、五箇委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【五箇座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 まず、議題1の方がセイヨウオオマルハナバチの取り扱いというふうになっております 。
 前回まで、セイヨウオオマルハナバチによる生態系被害に関する事柄と、それから農業現場での利用の状況について、委員の方々から意見を出していただいて確認しまして議論をいたしました。本日は、前回に指摘がありました在来マルハナバチの利用状況について、マルハナバチ普及会の光畑さんの方から、まず説明していただきたいと思います 。
 では、説明の方、よろしくお願いします。

【光畑委員】 それでは、説明させていただきます。
 最初のページをめくっていただきまして2ページ目からなんですが、まず日本の在来種のマルハナバチのご説明をする前に、ほかの国々でセイヨウオオマルハナバチ以外の在来種として利用されている国々のご説明を若干させていただきたいと思います 。
 ほとんどの国といいますか、私どもが得ております情報では、世界で利用されているマルハナバチ、増殖されているマルハナバチのコロニー数の約85%がセイヨウオオマルハナバチということなのですが、それ以外に、カナリア諸島ではカナリエンシスという種類、それからアメリカ合衆国ではインパティエンスという種類、アメリカ合衆国では、それ以前にはインパティエンスという種類と、もう一つ、オキシデンタリスという種類が増殖をされておりましたが、オキシデンタリスの方がノゼマ病等の感染が確認されたり増殖率が下がったりということで、現在、オキシデンタリスの方は増殖がストップしておりまして、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコではインパティエンスのみの利用ということになっています 。
 それからあと、今日ご説明させていただきますクロマルハナバチ、ボンバス・イグニタスという学名になりますが、この4種類が、今、商業ベースで生産をされて商品化されているものということになります 。
 その次のページに移りまして、具体的にインパティエンスとカナリエンシスのそれぞれの生産数量といいますか、利用現状ということで簡単にお話しさせていただきますと、インパティエンスは製造企業がコパート社と、それからバイオベスト社、それぞれオランダとベルギーに本社を置く会社でございますが、この2社がアメリカ合衆国内に工場を持っておりまして、そこで増殖をしておるということでございます。アメリカ合衆国では両者合わせて1万9,000コロニー、カナダでは2万5,000コロニー、メキシコでは2万1,500コロニー、利用されているという情報を得ております。主な利用作物としましては、トマト、ベリー類、それからバラ科果樹ですね。特に、リンゴであるとか、洋ナシであるとか、そういった露地にも使われているということでございます 。
 カナリエンシスの方は、これはやはり同じコパート社、バイオベスト社、両社で生産をされておりまして、カナリア諸島のみの利用になっております。3万3,000コロニーが年間で利用されているということでございます。主な利用作物はトマトということになっております。これは施設のみです 。
 日本の話に移らせていただきますと、在来種のマルハナバチの開発経緯ということで、これは、これまでの小グループの中でもたびたび議論されておった影響が93年からいろいろと取りざたされておりまして、その中で、解決策として在来種のマルハナバチの実用化をということがたびたび論じられておりました。そこで、私どもの話をさせていただきますと、94年に在来種の、特にオオマルハナバチ亜属の女王蜂を中心に全国各地で採集をして、それをオランダのコパート社に送りまして増殖検討を開始したということです。それよりも大きな動きとしては、以前一度お話しさせていただきましたが、97年にアピさんと、それから東海物産さんと私ども、3社で、STAFFの助成金を受けて在来種の実用化研究を実施したということがございます 。
 そういった経緯がございまして、その中で検討された種類というのが、その次のページになります。写真でご紹介しているのがクロマルハナバチ、それからトラマルハナバチ、オオマルハナバチ。クロマルハナバチとオオマルハナバチがセイヨウオオマルハナバチと同じ亜属に属するオオマルハナバチ亜属のマルハナバチ、トラマルハナバチはトラマルハナバチ亜属に属する種類の蜂ということになります。その中で、オオマルハナバチは、まずアピさんが試験販売をされて、その次にクロマルハナバチ、トラマルハナバチを私どもで試験的に販売をさせていただいたのですが、現在、今残っている在来種の商品化されている種類としてはクロマルハナバチのみということになります 。
 その次のページ、クロマルハナバチの特徴ということになりますが、分類としては、先ほど申し上げましたように、セイヨウオオマルハナバチに非常に近縁なオオマルハナバチ亜属に属する種類であるということ。それから、分布としては日本、北海道、沖縄を除く地域ということと、それから大陸ですね、韓国、中国にも広く分布しておるということが知られております 。
 特徴といたしましては、やはり実用面のことを考えなければいけませんので、セイヨウオオマルハナバチに匹敵するような大きな巣、たくさんの蜂を生産してくれるような種類でなければいけないということで、その中の種類の一つということになります。それから、働き蜂と雄の蜂の識別が容易であるということ。これは利用上のメリットとして出てくるところでありますけれども、セイヨウオオマルハナバチの場合は働き蜂と雄の蜂の色、黄色いバンドがあっておしりが白いという部分に関しては同じですので、識別が簡単ではないということです。それ以外に関しては、科学的なデータはないんですけれども、性質がおとなしいであるとか、それから花粉の要求量が多いんではないかというようなことが言われておりますが、これは科学的なデータはありません 。
 その次のページ、これは実際に私どもで流通させていただいているクロマルハナバチと、それからセイヨウオオマルハナバチの、特に生産者の方、利用者の方が心配されるところであります、巣箱をハウスに導入してからどれぐらいの期間、使えるんだろうかということを調べたデータでございます。ばらつきはあるものの、平均値をとりますと、セイヨウオオマルハナバチで61.58、それからクロマルハナバチで59.27ということで、ほぼ両種とも約2カ月の利用期間が平均値としてとれますので、特に生産者の方が言われる性能としては大きな差はないだろうということで、実用化、それから販売をさせていただいています 。
 その次のページが在来種クロマルハナバチ、商品化しているものが利用されている作物としては、主にトマト、ナスが中心でございますけれども、ウリ科の果菜類、それから最近では果樹、これは施設果樹になります、オウトウであるとかモモというところにも若干利用されるようになってきております 。
 その次のページ、利用に際してのメリットとデメリットということになりますが、これはもう生産者の方のご意見をそのまま反映しております。多く聞かれているものをピックアップさせていただいておりますが、デメリットとしては、働き蜂の増え方が遅く、導入初期の活動に不安を感じる。これはほぼ同じですけれども、外勤個体の活動数が少なく感じる。初期の段階で、少し、農家さんのお言葉をかりると飛びが悪いんではないかというようなことを言われることが多ございます。その次に、黒くて大きいので見た目が怖いというようなこともあります 。
 メリットとして三つほど挙げさせていただいていますが、先ほど申し上げました、働き蜂と雄蜂の区別が容易なので巣箱の交換時期の目安になると。最終的に、利用をしていただいていますと、ほぼすべて働き蜂が死滅していって雄の蜂に切りかわっていきます。生産者の方には、基本的にはバイトマークという、トマトであるとかナスの葯の部分に残った跡を確認して活動の確認をしていただくんですが、中には、まだ蜂が飛んでいるか飛んでいないかで確認をされる方がいらっしゃいまして、その場合、蜂は飛んでいるんだけれども実がならないというようなことがトラブルとして、たまにございます。そのときに、飛んでいる蜂が雄の蜂だということがすぐにわかれば、これではもうトマトはならないな、ナスはならないなということがわかりますので、巣箱の交換のタイミングが来たんだなという一つの目安の一助になるということでございます。その次に、おとなしいですとか刺されにくいというようなご意見も、よく聞かれます。それから、体のサイズが大きいので活動の確認が容易であるというようなご意見もいただいています 。
 その次のページが、実際に今、私どもが販売している、もしくは流通をさせていただいています年次変動ということで、99年から試験的な販売をさせていただいていまして、2000年からは本格販売ということで販売をさせていただいておりまして、2004年の場合は、まだ終了していませんので推定ではございますけれども、3,000コロニーを超える在来種クロマルハナバチの巣箱が流通をしております 。
 その次のページに行きますと日本の地図がありまして、赤い点と、青い点、このプロットしてあるところが実際にこの商品が流通している場所ということで、大体の位置をプロットさせていただいています。特に多いのが群馬県で500コロニーであるとか、それから栃木県で400コロニーであるとか、それから高知県で300コロニーであるとか、それから福島県香塩のトマト産地で100コロニー以上の分が流通しているというようなことで、まとまって使っていただいている産地も多ございます 。
 そのプロットしてある下といいますか、地になっている色分けしてある緑の部分、これは97年に出版されましたマルハナバチハンドブックに書かれている、クロマルハナバチの分布でございます。それ以外に、今現在、東京農業大学の飯島先生を中心に、クロマルハナバチの自然分布域の再調査ということで改めて分布域の調査をしていただいておりまして、黄色い部分は既に公表されている部分で、緑以外の部分でも、これだけのもともと自然分布があったということがわかっています。それ以外、今、分布調査は継続中ですので、それよりもさらに新しくわかった部分がオレンジ色ということになっています。主に都道府県別に塗り分けてしまっていますので、例えば九州の熊本県に全部色がついてしまっていますが、これは熊本県の沿岸部にまでいるということではなくて、特に阿蘇山系を中心に分布しているということです 。
 その次が、最終的なクロマルハナバチを利用するに当たって利用上の課題ということで、私どもが今現在、課題として挙げておるところです。これは、私が申し上げるまでもなく五箇先生からご指摘をいただいていたりすることもあるんですが、自然分布域が確認されていない府県や、もともとクロマルハナバチが分布していないような北海道での利用に関して、今後どうするのかということがございます。それに関係しまして、北海道に生息する種類、北海道にしか分布していないような種類がございますので、その辺の商業的生産の実用化の検討もしなければならないだろうということです。それから、在来種の利用であっても環境影響が懸念されますので、在来種の利用時にも必ずネットを張っていただくということ、これを徹底することができるかどうかということで、今現在、流通をさせていただいている際にも、セイヨウオオマルハナバチと同じようにネットを必ず張ってくださいというようなお願いをしております 。
 それからまた、利用上の部分で言いますと、セイヨウオオマルハナバチでは実際に併用して散布していただく化学農薬の影響は調べられておるんですが、まだクロマルハナバチではすべて調べられておりませんので、こういった実用部分でのデータの蓄積ということも必要であろうというふうに考えております 。
 以上です。

【五箇座長】 未発表データも含めましてご説明いただきまして、本当にありがとうございます。
 ただいまのクロマルハナバチの利用状況に関する説明につきまして、ご意見とかご質問があったらお願いいたします。よろしいでしょうか。

【池田委員】 クロマルハナバチの特徴の中で、一番最後の4のところの「花粉の要求量が多く、乾燥花粉を大量に補給すると活性が上がる傾向」があると。その「活性」というのは、どういうことを指していますか。

【光畑委員】 訪花活性といいましょうか、働き蜂が実際にハウス内で活動する個体数が増えるのではないかというような、これは生産者の方から利用時にお話をいただいている内容です。

【五箇座長】 よろしいでしょうか。

【池田委員】 ちょっとデータがとりにくいね、そういうのはね。

【光畑委員】 はい。

【五箇座長】 ほか、ございませんでしょうか。

【横山委員】 明らかに天然に分布していないと考えられる、例えば沖縄県などでのクロマルハナバチを利用する際のネット展張率や、あるいは実際に野外に出ているかどうかというような情報について、何かございますでしょうか。

【光畑委員】 クロマルハナバチを販売させていただく初期段階は、できるだけ産地を選んでということで流通をさせていただいておりましたので、必ずネットを張っていることを確認しながら販売させていただいておったんですが、年々流通量が増えて、そこまで確認が追いつかないという現状がありまして、完全な確認はとれていません。また、外に逃げ出しているかということに関しては、ネットを張っていただいても若干逃げ出してハウスの外の花に行っていたというような話は生産者の方からいただいていますので、いわゆる暴露はあると思います。

【五箇座長】 よろしいですか。ほか。

【池田委員】 利用期間の比較というところがあるんですが、これ、棒グラフになっていますが、ここがやっぱり現実には、かなり生産者の方とすると問題視されるんだけど、この40日というところが、クロマルの場合がどうしてもテレストリスより低いですよね。

【光畑委員】 そうですね、はい。

【池田委員】 ここだけね。だから、要するに50日を超えてくると、むしろテレストリスはいいという、そういう傾向になりますよね、これを見ていると。今、一番問題になってくるのは、ハウスへ入れて、テレストリスがどれぐらいもつかということになってくると、大体現場では1カ月半から2カ月というご指導をしているんです。じゃあ、クロマルを使用してこれはいいなというふうに一月を超えてくると、今度はだんだん減ってくる。一時的に、これ減ってくるような現象なんですが、そこがやっぱり現場では問題にされているんです。それを我慢すれば、さらに2カ月ぐらいたてば、かえって優位になるよということでしょうが、この落ちてくるっていう原因は何でしょうか。つかんでいますか。これは、現場でもって一番指摘されるところです。

【光畑委員】 その部分まで、このデータで読み取れるかというのはわからないんですが、例えば30日、40日未満で終わってしまうものと、それから50日を超えてきて五、六十日、きちっともつものと。例えばこのグラフだけで、クロマルハナバチが商品化して流通されているものが、寿命で見てふた山型に見てとれるという池田先生のご指摘なのかもしれませんが、そこまで私どももきちっと見ておるわけではなくて、ただ日数を頻度でずっととっていて、どれくらいの平均寿命があるかということを見ただけですので。この40日の数字ががくっと落ちているところに関して、今、池田先生がおっしゃられたような、どれくらいの意味を持つかというのは、これからきちっとデータをとっていく必要があるのかなというふうに思います 。
 ただ、これ、残念なというか、どうしても不確定要素がございますのは、先ほど生産者の方のご意見で、乾燥花粉をあげると活性がよくなるよというようなお話がありましたが、生産者の方で小まめに面倒を見ていただいていて使っていただいている方の方が、花粉を頻繁にあげていただいて補給をしていただいている方の方が寿命が延びる傾向がありますので、えさをやらないで使ってくださいというようなご指示はさせていただいていませんので、その部分での差が出てくる可能性はありますし、その辺は不確定な部分が非常に多いので、単純に商品としての能力かどうかというのはなかなかとらえがたいなというところはございます。

【池田委員】 ちょっとうがった考えをすると、これは正確にはノウハウがあると思いますから、お答えは結構ですが、これ、2系統があるんじゃないですか、短命の傾向と長命の傾向という。まだ、そういう面での選抜というのが、今後、開発研究の余地があるんじゃないかな、そんなふうにはお考えになりませんか。

【光畑委員】 やはり99年に試験販売をさせていただいた当時から比べると、これも科学的な根拠を持ったお話じゃなくて恐縮なんですが、生産者の方から、ずっと使い続けていただいている方からのお話ですと、やっぱりよくなっているというようなことは聞かれますので、累代飼育をすればするほど系統選抜ということがかかわってくる可能性はあるのではないかなと思います。もし、後ほど五箇先生からお話をいただけるのであれば、私どものクロマルハナバチの商品の遺伝的な多様度の部分の減少という、これは環境影響の部分で問題になってくる部分だと思うんですけれども、どれくらい系統選抜をされているかというか、どれくらい絞られているかというようなお話は、五箇先生の方でデータを若干持っていただいているというふうに聞いておりますので。その辺、もし、大分絞られてきていて、系統選抜されていて、固定しつつあるのであれば、大分、この傾向も変わってくるのではないかなというふうに思います。

【五箇座長】 今、系統選抜のところについて少しご質問があったんですが、光畑さんの方からもご指摘いただいたように、うちの研究所でも、商品そのものの遺伝的多様度というものを、いわゆるオリジナルの女王蜂の集団の多様度と比較するということをやりましたが、まだ、それ、実際はちょっと商品にされて間もない、1999年から2000年にかけての商品しか調べていなかったんですが、多様度は明らかに減っているということは、やはりかなりのボトルネックをかけている、イコール選抜は相当かけているんであろうということは、予想はできるという結果は得ています。現段階でどれだけ、さらに絞られているかというのは、まだちょっと未評価ですけれども、評価検討課題としては考えられるかなというふうには考えております 。
 ちょっと、私の方から少し聞きたいのは流通量です。クロマルハナバチそのものの流通量が1999年から見て2004年まで、非常によく伸びていると見られますけれども、要するに、それだけだんだん売り上げが伸びているというふうに考えられますけれども、これはやはりセイヨウオオマルの代替として置きかわっているというふうに考えられるんでしょうか。

【光畑委員】 一部、そういう形で置きかわっている地域もあるかと思いますが、ただ単純に、先ほどの利用上のメリットの部分で、例えば雄の蜂がわかりやすいであるとか、おとなしいとか扱いやすいとかというような理由で、ただその部分だけを気に入って利用されている方も非常に多ございますので。ただ単純に、こういった環境影響の部分が取りざたされて、セイヨウオオマルハナバチが外来生物に指定されるから切りかえてしまえというような方だけではないと思います。

【五箇座長】 それともう一つは、クロマルハナバチの分布域に関するデータを見ますと、主に本州と九州の一部に本来は分布する、在来のものは分布域としては本州から九州の一部という分布地図になっていますけれども、これも環境研の方で調べたところでは、本州と九州では遺伝子組成が違うという結果も出ているんです。この場合、この商品とされているオリジナルの個体群というのは、主にどこから採集されて商品化されているのかと 。
 あと、実際に商品化のプロセスそのものについても少し説明していただければと思います。要するに、どこで採集されたものが、どこで生産されて、どのような形で日本に入ってきているかということについて、少し補足説明してください。

【光畑委員】 先ほど若干ご説明させていただきましたが、94年から少しずつ在来種のマルハナバチを採り始めて、本格的に商業生産ベースのために採集を始めたのが1996年。ですから、96年、97年、98年の3カ年かけて、主に長野県の北部で採集したものが中心となっています。女王蜂を採集するタイミングというのは、交尾をして越冬後の、要は早春に越冬から覚めた創設女王蜂と呼ばれる、これから営巣を始める準備ができた女王蜂を採集いたしまして、これをオランダのコパート社に輸出といいますか送ります。そこで、3カ年かけて採りました1,000個体弱の女王蜂をもとにクロマルハナバチの商業化生産を始めましたということです。製造はオランダのコパート社で、この3カ年かけて採集した女王蜂を累代飼育して商品化を99年からしておるということです。98年以降、野外のクロマルハナバチの女王蜂を採集して追加したということはございません。

【五箇座長】 ということになりますと、基本的にはオリジンは限られたローカルの集団からスタートしていると言ってよろしいということですか。長野県の北部の。

【光畑委員】 長野県の北部のみではないです。それ以外にも、中国地方であるとか少し関東の北部であるとか、そういった分布域からも若干採集しておりますので、その辺は多少ミックスされているということになると思いますが。一番採集個体数が多かったのは長野県の北部ということになります。

【五箇座長】 わかりました。
 あと、このクロマルハナバチそのものは、分布が日本のみならず韓国、中国にも、アジア域に分布しているということで、この辺について、たしか小野先生の方で、アジアのクロマルハナバチと日本のクロマルハナバチの遺伝的な違いについて研究された報告をなされていたと思うんですけど、ちょっと補足説明しておいていただけますでしょうか。

【小野委員】 今、五箇先生から話がありましたように、中国と韓国の研究者とある意味で共同して、中国の研究者が分析をしたわけですけど、サンプル数は非常に少ないものです、ですからサンプル数はもっと大きくしなきゃいけないと思いますけれども、アメリカの遺伝学会誌に一部データを中国の方が報告しています。その結果ですと、大陸のものと日本のものとの間には若干の差が見出せたわけなんですけれども、そのサンプルの中には、先ほど五箇先生からありましたような九州産のサンプルは入っておりません。入っているのは中部のものだけなんですけれども、大陸のものと島国の日本のものとの間で若干の差が見出せたというようなところじゃないかと思います 。
 ただ、ほかのマルハナバチ、例えばオオマルハナバチなんかと比べてみると、もともと遺伝的な振れ幅といいましょうか、変異っていうのは、クロマルハナバチの種自体が少ないような印象を受けています 。
 以上です。

【五箇座長】 どうもありがとうございます。
 そのほか、このクロマルハナバチの商品利用に関しまして、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

(なし)

【五箇座長】 では、次の議題に移りますけれども、本日は、これまでの議論の論点をもう一度確認しまして、何が共通認識となっていて、何が今後の課題になっているのかというのを、この場で明らかにしていきたいと思っております。まず、これまでの議論の論点というところについて、事務局の方から資料の説明をお願いします。

【堀上補佐】 それでは資料3に基づきまして、これまで2回にわたって、この会合で取りまとめてきました論点、議論してきました論点について整理したものを説明させていただきます。1番から5番までございまして、大きく分けますと、1から3が生態系への影響、4から5が管理についてということになっております 。
 1番が定着の実績ということでございまして、共通認識としては、27都道府県で野外においてセイヨウオオマルハナバチの目撃あるいは捕獲例があると、そういう報告がなされているということ。それから、北海道においては自然巣の発見があって、調査が進むに従って、その発見例が増加しているということ。こういったことが共通認識となったわけですが、その中で論点として「野生化」あるいは「定着」という用語の整理をする必要があるであろうというご意見が出されておりました。その一方で、野生化または定着という問題ではなくて、個体が継続して野外に供給されるということと、それらの個体によって生態系が侵略的な影響を受けるかどうかと、そういうことが問題であるというようなご意見がございました 。
 それから、2番目が在来マルハナバチへの影響ということでございまして、それは三つほど挙げておりますけれども、(1)としまして営巣場所を巡る競合と。これに係ります共通認識としまして、一つは北海道においてセイヨウオオマルハナバチが在来種より長い期間、野外で活動しているということ。それから、実験室内におきましては、セイヨウオオマルハナバチによる在来種の巣の乗っ取りが確認されているということ。野外におきまして、同じ巣に在来種とセイヨウオオマルハナバチの働き蜂、ワーカーが出入りしているということが目撃されている、ただし、この両者の関係は不明であったということ。ここに係ります論点としましては、在来種の分布の変化といった競合を裏づけるような、そういう影響が不明確であると。これにつきましては、もっと在来種の分布の経年変化を調査していくことが必要であろうということでございます。巣の乗っ取りに関しても不明な点がありまして、野外で実際に巣の乗っ取りが起きているのかどうかと、そういうことについての調査が必要であろうということでございます 。
 それから(2)が餌資源を巡る競合でありまして、共通認識として、イスラエルにおいて、外国において在来のハナバチ相が減少したという事例が報告されていると。ただし、これはイスラエルの一部地域でセイヨウオオマルハナバチが自然分布しているということと、この事例が競合の結果なのかどうかというのがよくわからないというようなご意見もございました。それから国内におきましては、北海道において在来種とセイヨウオオマルハナバチが同じ植物を餌として利用している、そういう事例が多数確認されているということがございました。ここに係ります論点としては、在来種との餌資源を巡る競合について、まだ情報が不十分であろうと。2ページ目ですが、餌資源を巡る競合を説明するためには活動地域の資源の量の把握をすることが必要であろうというご意見が出されておりました 。
 それから、三つ目が生殖攪乱ということでございますが、共通認識としては、フェロモン成分が在来のクロマルハナバチとオオマルハナバチと共通の成分をセイヨウオオマルハナバチが含んでいるということが確認されている。実験室におきましては、在来のメスにセイヨウのオスが誘引されて交尾にまで至ることが確認されていると。同じく実験室ですが、交尾したクロマルハナバチの女王蜂が受精卵を産むというところですが、その受精卵は孵化には至っていないという報告があったということでございます。論点としては、フェロモン成分での誘引、忌避行動というのが、実際にどうなのか、野外においてどうなのかということについて解明する必要があろうということ。それから、同じく野外での交尾行動というのが実際にどうなのかということで、これにつきましては、野外で女王蜂の受精のうの中からセイヨウオオマルハナバチ由来の精子があるのかどうか、それからDNAレベルで、それがどうなのかということを調べる必要があろうということが指摘されてございます 。
 それから(4)ですが、天敵・寄生生物が随伴されてくるという問題がありまして、これについて、寄生生物はかなり多種にわたっていることが確認されているということ。それから、微胞子虫ノセマ・ボンビが警戒すべき寄生生物であって、国外、アメリカのマルハナバチの生産工場では、これによる壊滅的な被害が与えられているということが報告されているということ。ただし、この微胞子虫による在来種の個体群においての感染率というのは不明であるということ。それから、マルハナバチポリプダニが輸入されているセイヨウオオマルハナバチから検出されていますが、これについて、在来種の間での水平感染までは確認されているというようなご指摘があったということは共通認識としてあると。論点としては、検出された寄生生物が、実際、在来種にどの程度影響を与えているのか、これについては不明であるということが出されておりました 。
 それから、3番目は在来植物への影響でありまして、北海道においてセイヨウオオマルハナバチが盗蜜行動を行っていることが確認されていると。論点としましては、こうした盗蜜行動が、実際、植物の結実率に影響を与えているかどうか、それは不明であると。このことについて、野生植物の結実率へ与える影響を調べる必要があるということが示されております 。
 それから、4と5は管理に関することということで、4番はネット展張の実施状況と逸出防止効果ということでありまして、共通認識として、メーカーさん、あるいは農協、国がネット展張を推奨していて普及推進を図っているということ。それは、害虫防除あるいは受粉効率の向上の観点からも展張が効果をもたらすことが報告されていると。ただし、温室の形状あるいは換気口等の規格が多様であるためにネットを張るコストに差が出ることが報告されているということでございます。論点としては、ネット展張をすることによって温度、湿度等が変化するということ。それから、コストアップがネット展張の普及を阻害しているのではないかと。これは、もっとネット展張しやすい温室の開発を考えていく必要があるということでございます。それから、ネット展張後の野生化の個体群が実際にネットを張ることによって減るのか、あるいは増えてしまっているのか、そこはまだ不明であるということで、これは野外におけるモニタリング調査が必要であるということと、温室内でのハチの挙動に関する調査も別途必要であろうということが出されています 。
 最後、5番目ですが、現場での利用状況と防除の取り組みについての内容ですが、共通認識としては、流通量として年間約7万コロニー以上流通していると。マルハナバチ利用によって減農薬が進められた側面もあるということ。そういった減農薬、あるいはマルハナバチを利用することによってブランド化が可能となって、地域によっては非常にトマト生産にとって貢献していると、そういう事例が報告されているということ。多くの生産者のネット展張の意識はかなり高いということですが、一方で巣箱の処理に関しては抵抗感を持っている方も多いということ。一部の地域、北海道の平取町ですが、そこではセイヨウオオマルハナバチの駆除までやっているということ。論点としましては、実際に定着しているセイヨウオオマルハナバチの撲滅を目指していくのか、それとも数を抑制していくのかというような防除戦略も考えていく必要があるということが示されていたところです 。
 以上、説明です。

【五箇座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきました説明につきまして、上から論点を順番に確認していきたいと思います。  まず、定着の実績についてですが、この部分に関して何かご意見、ご質問がありますでしょうか。よろしいですか。

(なし)

【五箇座長】 捕獲例が非常に北海道を中心に増えているということ、第1回目の会合から、そのことを指摘していただいて議論しておりましたが、論点として「野生化」「定着」といった言葉の問題もありますけれども、これが商品として入ってきているという状況、商品として流通しているという状況を考えますと、定着しようがしまいが、ハウスからワーカーや女王蜂、雄蜂が常に逃げ出しているとなれば、それ自身に野生化の能力がなかったとしても、常に生態系に対して何らかのインパクトを与えるおそれがあるであろうということも考えられると。そういった意味で、逃がした個体というものが侵略的か否かというのを、どう評価するかというのが、ここの上での論点になっていたと思います 。
 この部分に関しては、よろしいですか。桐谷先生、何かありますか。

【桐谷委員】 ここに書いてあることだけでは、すぐにわからないので。私、基本的には、余り言葉の定義をどうするかということを延々と論議するのは無駄だと思っているんです。ただ、この場合に、ここではこれをもって「定着する」と言うとか「野生化する」とか。野生化と言っても、侵入害虫は屋内に入ってくるやつもありますからね。ですから、これ、野生化と言うたら外だけやということになると、これもおかしいですし 。
 定着という問題でも、例えばミバエが定着して根絶作業をやっていると。これは定着を防ぐために根絶をやっているんだというのが行政の立場のようですから、ですから我々から見れば定着のはずなんですけれども。そういうふうに定着自体でも、どういう立場でこれを見るかということによって定義が変わってくるんじゃないかと思います 。
 それから侵略的というのも、これもまさに難しいと思うんです。定着して、それがどんどん分布を広げて、数がふえて分布を広げる、密度が高くなる、こういう現象を侵略的と言うのか。あるいは被害があったら、例えば菓子箱の中に1匹死体があったと、それでも大騒ぎになるといえば、これも侵略的なのかと。ですから、この辺の問題もやっぱり。この場合、どういうことをもって言うかということを、この場である程度決めておく以外には、ちょっと一般的なことは、昆虫の場合は特にいろんな例外がありますから、かえってややこしいだろうと、そう思っているんですけど。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 特に、侵略的云々に関しては、次の在来マルハナバチへの影響というところにも係ってくることだと思うんですが。まず、ここでは要するに野生化ですね。ハウスの外で彼らは生きているか生きていないかという部分の議論が、ここの論点だったと思うんですけれども。これで第1回、第2回とやってまいりまして、各分野の立場の方からご意見をいただいているんですが、まず、この部分に関して、生態学の立場から見て、これは定着している、あるいは分布が拡大していると言えるかどうかということについて、横山委員の方はどうお考えでしょうか。

【横山委員】 前々回の委員会のときに、例えば5年ぐらいのタームで、野生で世代が回っていることが確認されるということを、もし定着の基準にするならば、そこまではもちろん歴史がありませんので、確認されていませんから、その定義を適用すれば定着ということにはならないかもしれないんですけれども。例えば、私たちの目から見ますと、周辺に放出源がない場所で、恒常的に飛来するような距離から逸脱した範囲で一般的に考えられるマルハナバチの生活史を全うしている個体群が観察されることと、それから野外で実際に営巣が確認されていること、ここを根拠に私たちは、少なくとも今、主に観察している鵡川町では確実に定着をしているものであるというふうに考えています 。
 それから、分布の拡大なんですけれども、これも経年的な調査をできている場所というのが日高周辺にしかありませんので、非常に限られた事例でしかないとは思うんですけれども、例えば平取町と門別町にしか今まで観察されなかったものが、例えば鵡川町でも観察されるようになったという形で、少なくとも、ここ二、三年の動向では明らかに分布域が拡大しているというふうに考えられます。分布域の拡大をシンプルに侵略的というわけにはいかないと思いますけれども、定着と、それから分布域の拡大ということに関しては、少なくとも、この二、三年の傾向では確実に起こっているだろうと考えていいと思います。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 一応、研究者というか、現場において野外調査をしている横山先生の意見としては、恐らく野外で生活史を完結している個体群があるであろうと。また、実際に分布域を調査している限りでも、年を追って発見される割合が非常に増えているということが指摘されているということで、こういったデータに基づいて、実際にマルハナバチそのものの生物学をされている立場として、小野先生の方から、何かご意見はありますでしょうか。

【小野委員】 私も、これが社会生活を営んでいる蜂という点で、単に、例えば交尾をした女王蜂が外に飛んでいて野外で巣をつくったとしても、その巣から次の世代の新女王蜂と雄蜂、生殖能力を持った個体が生産されるかどうかというところが非常に重要じゃないかなと思います 。
 ところが、そういった点から見ても、今まで北海道で採集された巣に関しては、雄と新女王の羽化した跡が野生の巣から見出されていますので、とにかく一巡、生活史は回っているだろうということは少なくとも言えると思うんです 。
 また、私自身も北海道で蜂の調査をしている中で、グミの花などにたくさんのセイヨウオオマルハナバチの女王が初夏に来ているのを見たことがあり、それを採集したことがもちろんあるわけですが、そういった個体を実験室の中に持ち帰って、箱の中に入れて飼育を開始すると受精卵を産んで、立派なコロニーができるというようなことをつなぎ合わせても、初夏に交尾をしたセイヨウオオマルハナバチの女王が飛んでいるということも多分間違いないわけで、そういった意味から考えると、マルハナバチを生物学という観点から見ても、いわゆる日本の地で生活史を全うさせるということはできているんじゃないかなというふうに思います。だから、単にハウスの外に出て飛んで活動している状態を野生化とするならば、それよりもさらに一歩進んだ生活史を一巡させるという部分での、それを定着と言うのであれば、そういう部分は可能ではないかなと思います 。
 しかし、その結果として、今度は侵略なんですけれども、今、これが論点だと思いますけれども、在来の植物とか近縁のマルハナバチなどに対して負のインパクトを、その定着の結果、及ぼしているかどうかということについては、さらに慎重に話を進める必要があるんじゃなかなと思います。

【五箇座長】 ありがとうございます。

【池田委員】 この問題を出したのは私でしたので。私は、このときに野生化とは何か、定着とは何かということを、私の方からむしろお聞きしたいということで、一つの問題を投げかけたわけです。これは、生態学会から出した本でも、この問題が十分に説明されていなかったということがありまして、また、今回の法案について、野生化か、あるいは定着かというのは非常に大きな判断材料になるところじゃないかというふうに感じたわけです 。
 今、セイヨウオオマルハナバチの定着と野生化の問題がありますが、確かに一般的なことで言えば、これは当分の間増えていくと、私も、昔、書いてあります。これは予想してあります。それは、農生態系あるいは私たちの生活の環境域、言うなれば攪乱された生活圏の中で、これが増えていくんじゃないかということを私は予想しております。これはどういうことかと言いますと、余り外来種について、野外での実態というのを今まできちっと調査された例がないんです。私は、たまたま農業の侵入害虫と言われるものについて、ずっと防除試験をやってきた関係上、野外でどんなふうにして連中が生き残っているかということについて、今なお、いろいろと調査しているんです 。
 そういう実態を簡単な言葉で言いますと、侵入した当時は、大体5年から10年ぐらいは右肩上がりで爆発的に増えていきます。ところが、その後、自然に絶滅しちゃうものもありますが、おおむね平行ないし非常に右肩下がりで下がってきまして、少数の発生をしています。10年以上発生しているのは、これは定着と言っていいと思うんですが、爆発的に右肩上がりになってくると、この先どうなるかと思うんですが、それが小康状態であるとか非常に密度を下げてくるという実態がありますから、私はやっぱり、マルハナはどうなるかわかりませんが、そういう観点からも、こういった調査あるいは研究を進めていただきたいというふうに考えております。それは、判断するのはまだちょっと時間が短くて、ちょっとしたデータしかありませんから、論点は私も避けますが、一般的にはそういう傾向が非常に強くなっています 。
 ですから、外来種のことにつきまして、本当に今までデータがないというので非常に判断しにくいんです。そういうときに、こういう問題だけ「定着、定着」、あるいは「野生化、野生化」ということになってくると、そのことだけで進んでいくような気がしてなりませんので、一般論として紹介しておきます。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 とにかく、ここの時点での論点としては、まず、要するに野外で生きていけるかどうかということについて少し議論していただいたということで。その後の個体群のダイナミクスがどうなるかというのは、今、池田先生がご指摘されたように、過去に入ってきたいろんな害虫に関しても、衰退するものもあれば小康状態を保ったものもいるということもありますが、それはやっぱり予測不能であるというのが現時点での判断であろうというふうに考えます 。
 一般則が必ずしもすべてに通用するとも限らないのも生き物ですから、そういった害虫なり、これまでの侵入害虫なり、そういった侵入してきた生き物の動向のみで、これを判断するというのは、やはり危険であろうというふうにも考えますので、マルハナバチはマルハナバチとして評価もせざるを得ないだろうとは思います 。
 今、一応、生態学及びマルハナバチの生物学という立場で、少なくとも生活環は一巡していて完結しているということで、野外で生きているであろうと判断されるという意見が出ておりますが、実際にこれを供給されている会社の立場としては、どう判断されるか、その辺について少しマルハナバチの利用普及会の方からもご意見をいただければと思います。

【米田委員】 小野先生からあった1点だけ、我々の方から言うんであれば、越冬できているかどうかという部分がブラックボックスにはなっているんですけれども、現実の問題として野外に見える時間内に出てきて生活史を終えているという意味でのとらえ方であるとすれば、定着というのでしょうか、というのはしているだろうと。つまり、越冬期間中のマルハナバチを観察したことのある人間というのはほとんどいないという意味で、その意味では、見える範囲内で生活史を完結しているということは言えると思いますし、それと、じゃあ「定着」という我々の言葉が違うかというと、同じであろうというふうに判断していますので、生活し野生化はしているだろうというふうに考えています。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 ここで1回、1番目の論点についてまとめますと、各立場からご意見をいただいた限りでは、今のデータで見る限り、「野生化」、「定着」という言葉の問題がありますので、少なくとも、この蜂は、ハウスの外でも現時点で生きているということは認識されるというふうに結論づけられると思います 。
 続きまして、そういうふうに外に出ているセイヨウオオマルハナバチが在来のマルハナバチに影響を及ぼしているかどうかということについて、次の議論を移したいと思いますけれども、これについては、営巣場所を巡る競争、それから餌資源を巡る競争、それと生殖にかかわる影響、それと天敵・寄生生物というパラサイトの持ち込みという影響という部分について、これまで評価されてきているということなんですけれども、この点について、どの項目でも結構ですけれども、まず、何かご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。

(なし)

【五箇座長】 それでは、また順番にまとめていきたいと思います。まず、営巣場所を巡る競争という部分について、室内実験及び野外の観察において、推測としてセイヨウオオマルハナバチが日本のマルハナバチの営巣場所を乗っ取る可能性があるのではないかということが指摘されているという部分ですが、この点について、また順番に、生態学者として横山先生の方はどのように判断されるかということを聞きたいと思います。

【横山委員】 乗っ取りに関しては実験室で確認されている話なんですけれども、野外では、基本的に、そうと思われる観察例を1例観察しているのみで、野外での乗っ取りが起こっているかどうかに関しては実際には全くわかりません 。
 ただ、北海道で観察している事例では、セイヨウオオマルハナバチは在来種の、特に同じような環境に営巣する、エゾオオマルハナバチやエゾトラマルハナバチよりも、はるかに早い時期に、「はるかに」はちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、女王蜂が早く出てきますので、まず好適な営巣場所をセイヨウオオマルハナバチが占めてしまうという影響の方が、私はむしろ強く効果としてはあらわれるんじゃないかなというふうに考えております。

【五箇座長】 では、続きまして小野先生の方はどうでしょう。現時点でのデータから、どのように判断されるかというご意見をお願いします。

【小野委員】 まず、マルハナバチが初夏に1匹で巣づくりを開始するということなんですけれども、出てくる女王蜂の数と、それから営巣に適した場所、候補地の数のバランスみたいなことを考えたときに、多分、マルハナバチの女王蜂は自分自身で土を掘ったりということはできませんので、ある程度、営巣に適した空間みたいなものがないと、最初のきっかけがないと巣づくりはできませんから、そういう場所というのは結構限られていると思うんです。ですから、営巣可能な場所を巡って女王蜂同士で争うというようなことは、何もセイヨウオオマルハナバチと在来種だけではなくて、在来種同士でも、かなり野生の中でそういうことはやっているんじゃないかなと思います 。
 セイヨウオオマルハナバチについては、もともとヨーロッパの方にも、もちろんその名のとおり、いるわけですけれども、近縁種にボンブス・ルコラムというのがいまして、その巣に入り込んでルコラムの女王を殺して乗っ取ってしまうという、そういうことが非常に高い頻度で起きるという報告は、ヨーロッパでセイヨウオオマルハナバチ、ボンブス・テレストリスとルコラムの間では報告されているわけです 。
 それで、セイヨウオオマルハナバチなんですけれども、実際に実験室の中で、非常に限られたタイトな状況ですけれども、置いてみますと、在来の巣の中に入っていって女王を追い出すとか、あるいは逆に在来の蜂がセイヨウオオマルハナバチの巣に入っていくということも当然起こるわけですけれども、そういうような、いわゆる相互作用が見られるということは確認されています 。
 では、野外ではどうかということになりますと、これは生物学的に見ても、先ほど生態学的な観点から横山先生が指摘されたと思いますけれども、どちらの女王が早く越冬を終えて活動を開始するかという前後関係が、乗っ取られるか乗っ取るかということとも関係してくると思うんです。ただ、乗っ取る乗っ取らないということとちょっと話がずれてしまいますが、営巣可能場所が限られているということであれば、最初にその場所をセイヨウオオマルハナバチが占有してしまう、使ってしまうということで、後から越冬から覚めてきた在来種の営巣可能場所が奪われてしまうという、いわば乗っ取りがストレートパンチであればボディーブローのような、そういうようなきき方で影響を及ぼすようなことはあるかもしれません。もちろん、後から越冬を追えて出てきた在来のマルハナバチの女王蜂がセイヨウオオマルハナバチの巣を逆に乗っ取ってしまうようなことも可能性としては起こり得ると思うんですけれども、いずれにしろ、そういう営巣場所を巡っての相互作用というものは、室内同様、野外でも、セイヨウオオマルハナバチの数が増えてくるにつれて、その摩擦も強くなってくるということは考えられるのではないかなというふうに判断できると思います。

【五箇座長】 今のお二方の意見を総合すれば、セイヨウオオマルハナバチの生態的特性をもってすれば、在来種の営巣場所確保という部分に対して何らかのプレッシャーがかかるおそれがあるであろうと推測されているということですが、この点に関しまして、やはり利用者側というか供給側として普及会の方、また何か反論があれば反論を、また、この部分に関して意見があれば、お願いいたします。

【米田委員】 反論はないです。おっしゃるとおりだと思います。営巣場所が一定であって、その中で在来種同士ですら早い者勝ちをやっている、その中に新参者であるセイヨウオオマルハナバチが入ってくれば当然軋轢が生まれる。あとは、力関係においては今のところ強い弱いというようなことに関して、つまり、それが横山先生のおっしゃった、どちらが先に巣をつくるか、どちらが勝負に勝つかというもの、そこら辺についてはまだ何も言えませんけれども、プレッシャーが、あるいは軋轢が強くなるという意味では同じ考えをしています。

【五箇座長】 池田先生、桐谷先生の方からは、よろしいでしょうか。
 今の営巣場所をめぐる競合について整理しますと、基本的には、もちろんデータ不足ではあるけれども、現時点で生態特性から予測するに、セイヨウオオマルハナバチが野外で増えれば、営巣場所という部分に関して在来種を圧迫する可能性があるということが指摘されたというふうにまとめられると思います 。
 次が、最も評価が難しく、また、この部分で一番意見がコンフリクトしている部分なんですけれども、餌資源を巡る競争という部分についてですが、これについて何かご意見、ご質問がありましたら、どうぞ。よろしいですか。

(なし)

【五箇座長】 じゃあ、また順番に意見を伺っていきますけれども、まず、海外においては、実際にこの蜂が増えたことで在来の蜂に対して影響が出ているという事例が幾つかあると。その中でイスラエルの事例なんかも挙げられているんですが、実際のところは、なかなかそういったものもデータとしては振れも大きく、また環境攪乱の部分も大きく影響しているということもあって、はっきりしないということなんですが、一応我が国におきましても、さまざまな研究者がこの部分に関して操作実験もしているということがあります。これまでの審議において出てきたデータに基づきまして、横山先生の方はどのように判断されるかということを、少しご意見をまとめていただければと思います。

【横山委員】 多くの海外での、例えば侵入のハナバチに対する研究というのは、社会性のハナバチが単独性のハナバチしかいないところに入り込んで、単独性のハナバチを圧迫するという形での影響を評価したものだと思いますけれども、今回の場合には同じような社会性ハナバチ同士の影響ですので、今までのそういった研究事例というのは、参考にはなると思うんですけれども、実際に直接評価するのは非常に難しいと思います 。
 北海道での我々が観察している事例に関してお話をさせていただければ、例えば、ここにも挙げていただきましたけれども、在来とセイヨウが同じ植物資源を利用している。それから、もちろん競合によってどちらかが減るという直接的なデータがお示しできればいいんですけれども、まだ、恐らくそこまでの影響というのは出ていないんじゃないかというふうに。確かに数は、少なくとも鵡川町で2年間、比較した段階では、特にエゾオオマルハナバチが減っているというデータにはなっているんですけれども、これは経年変化を見る必要があると思いますので、今回の2年間のデータだけでそれを言うのは尚早であろうというふうに考えています 。
 ただ、そういった形で経年変化のデータがとれないので、現在、我々は、実際にその両種というか、セイヨウとそれ以外の在来のマルハナバチ類が、どういった資源を利用しているのかということを数値的に評価して、競争が起こりそうかどうかということを評価していますけれども、それから判断すると、在来のマルハナバチ同士の利用資源の重なり合いのぐあいというのはそれほど高くないのに対して、セイヨウオオマルハナバチと、それから在来のマルハナバチとの資源利用のパターンというのは、かなり大きくオーバーラップしているというふうに判断される数値データが出ておりますので、そういったことから評価すると、餌資源を巡る競合というのは起こり得るのではないかというふうに考えます 。
 ただ、餌資源の資源量の把握に関しては、実際、我々も十分に行えていませんので、その地域にどれくらいのポテンシャルがあるのかということについては、今後、きちんとした研究を行っていく必要があるというふうに考えます 。
 以上です。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 続きまして、小野先生の方はどうでしょうか。この部分に関しまして、ご意見がありましたらお願いします。

【小野委員】 この部分は、やはり一番判断が難しいところじゃないかと思います。横山先生がおっしゃられたように、社会性の蜂が単独性の蜂を圧迫するというような報告はあるようです。それは、単独性の蜂というのは文字どおり一匹オオカミですから、自分たち自身の花粉なりを確保すれば、それで採餌行動は基本的にはおさまるわけですけど、社会性の場合には、マルハナバチももちろん社会性のハナバチですけど、個体の飢えよりは、むしろコロニーの飢え、自分がおなかいっぱいになるだけでは事足りず、巣の中にいるたくさんの幼虫のために餌を集めなければいけないわけですから採餌能力も高いですし、また、採餌能力の中には花のにおいを学習したり色を学習したりという、そういったものも含まれてくるわけですけれども、単独性の蜂にしてみれば、けんかする相手が悪いという形になるんじゃないかなと思います 。
 今回の場合は、そういうような観点からちょっと見てみまして、我々、実験室内でのこれもまたデータにはなるわけですけれども、女王蜂1匹から一つの大きなコロニーを育てるのに、生の花粉で1.5キロから2キログラムぐらい。飼育の仕方によっても違うと思いますけれども、大体それくらい必要じゃないかなと計算はしているわけです。そうしますと、それだけの花粉を花から集めないと一つのコロニーが全うできないということ、この辺のデータは多分、野外も室内も余り変わらないんじゃないかなと思います。そうしますと結局、マルハナバチが生息している地域の中で、どれくらいの花が咲いている。具体的には花の数じゃなくて、どのくらいの花粉がハナバチのために利用可能な状態にあるかということが多分重要じゃないかなと思います 。
 一つのコロニーが1キロ、2キロという花粉の量を必要としていて、在来の蜂、在来のマルハナバチあるいは在来のハナバチ、あるいは花粉を利用する昆虫はほかにもたくさんいると思いますけれども、そういう昆虫たちが、その地域で利用するのに余るほどの花粉がそこで生産されているのであれば、そして、その余剰分でセイヨウオオマルハナバチが生活史を全うしているのであれば、これは影響がないということは考えられると思うんですけれども、提供され得る花粉の量が不足していて、在来種間でもそれを奪い合って物すごい競争があり、負けたものはコロニーの運営が止まってしまう、発展が止まってしまうというような状況になっているとすれば、そこにまた新たなライバルが加わってくるという形になるわけで、その場合には、花粉、餌資源を巡る競争相手が一つ増えたということになりますから、当然、相互作用、どちらが勝つかという強い弱いというところは別問題としても、相互作用という観点では新しいファクターが加わってくるという形になろうかと思います。

【五箇座長】 この部分に関しては、池田先生、桐谷先生、ご意見はありますか。

【桐谷委員】 今、お話を聞いて、非常にやっぱり厳しい。普通の昆虫を扱っている場合では、それほどエクスプロイテーションが問題になったり、あるいは資源の取り合いが、そこまで不足するというのは、特にハービボラス(食植性)のやつでも、それほどないと思います。カーニボラスなどの肉食性ならともかくも。ですから、そういう点では非常に際立って、何かすごい、そういう種間あるいは個体間の相互作用があるなという印象です。

【池田委員】 今、問題になっている平取のところ、私、ちょっと見させてもらったんですが、平取に限らず、今、マルハナが導入されているというのは、何回も申しますが農生態系の中なんです。その中でどういう植生が成り立っているかということが、やっぱり非常に大きな問題になるんです。私はあそこを見てみると、簡単なことを言いますと、今の生態系の中での自然植生というのはどうなっているかというと、ほとんど外来種が占めているんです。そういう中で外来植物に対して、外来植物というより帰化植物という方がいいか。帰化植物に対して、こうしたマルハナバチが、どちらが選択性が強いかというようなことで一つには判断されると思うんですが、その中では、たしかセイヨウの方が非常に選択性が高いというようなことが、横山先生の方からの報告にもあると思うんです 。
 とにかく、こういう植生が非常に限られた現状になっているということと、それから小野先生がおっしゃったように、農生態系の中ではいわゆる雑草になるわけですから、非常に花粉量が少ないんです、全体的に見ますと。そういう中で、とにかく日本の在来のマルハナバチも必死になって生きているというような状態じゃないかと思うんです。そうすると、やっぱりセイヨウのような非常に生殖能力の高い、繁殖力の高い種が入ってくると、それはそれでかなり優位な状態になってくるんじゃないかと思うんです 。
 もっと簡単なことを言うと、雑木林の真ん中へ入ってくると、もっと豊富に、例えば樹木の花があるとか、あるいはほかの植物の花粉量も多いということになってくると、そうすると、その中では在来のマルハナバチも非常に豊富になってくるだろうし、それから、その中へもしセイヨウなんかが入っていったとしても、十分な花粉量というんですか、そういったものがあれば、そんなに増えてこないんじゃないかということも考えられます。それ以前に、私はちょっと話が飛ぶかもしれませんが、セイヨウはそういう中には入っていかないというのが私の持論ですから、もし入っていったとしても、そんなに大きな量にはならないんじゃないかというふうに思います 。
 そんなふうにちょっと考えますと、ここでの事例というのが、何か極論化されているんだけれども、一般論ではないということを、ぜひ意識していただきたいというふうに思います。じゃあ、一般論がどうなっているかというのは、一般論のデータも余りないので、そういう意味で非常にデータがこういう分野でも不足しているということをお話ししたいと思います。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 今の部分については、私も、ちょっと個人的に考えるのは、普通に在来種のマルハナバチ自体も、北海道は非常に豊富というか、非常に見つけやすいですよね。あれは、やっぱり北海道そのものが、実際のところは、もうほとんど攪乱地に等しい状況ですよね。開拓時代に、あらゆる森林も切り倒されてオープンエリアになっているという状況の中なので、本州のいわゆる自然林なんかよりも全然マルハナバチを見つけやすい、普通種のように飛んでいるという環境があるということを考えますと、そういった部分では、やはり最初から攪乱地になっているということを考えると、セイヨウオオマルハナバチというものも比較的入りやすい状況になっているんじゃないかということも逆に推測できるというふうにも考えられる 。
 だから、今、池田先生がおっしゃったように、一般則としては侵入種、外来種が、自然林には入りにくいというのは、これはある意味、生態学的に見れば、生態系システムというのが共進化の過程でしっかりつくられた中には、そこには外来のシステムがそう簡単には入り込めないという法則があるからであろうということは読み取れるんですが、実際の問題としては、今、人間が生きているという空間はほとんど攪乱地が中心である。そんな中で何とかかんとか生きている在来種というものに、セイヨウが入ってくると影響が出るであろうということは、やはり否めないのではないかなというふうには感じます 。
 この部分について普及会の方で、何かご意見があればお願いします。

【米田委員】 在来種のことに関して、今までの、例えば営巣場所を巡る競合とかというのであれば、かなりダイレクトな形で、どっちが勝ったかという結論が出せると思うんですけれども、この餌資源を巡る競合については、どんな状態になったらセイヨウが勝ちで、どんな状態になったら在来が勝ちだという、その部分というのをもうちょっとはっきりと。最終的には、恐らく全部共存しちゃうんじゃないかなと。それそのものをやめましょうというか、共存させないようにしようという立場であるんであれば、今後の方向性もちょっと変わってくるのかなという気はしますけれども。

【五箇座長】 この部分、どうでしょうか。横山先生、ご意見があればお願いします。

【横山委員】 一つ、指標になるというふうに考えているのは、まれなマルハナバチが北海道に何種類か分布しているんですけれども、そういったものの個体群がどういうふうに動くかというところなんじゃないかなと思うんです。恐らく、たくさんいるマルハナバチは、完全に絶滅まで追い込まれるということは非常に考えにくいんじゃないかと思うんですけれども、私ども、マルハナバチの形態の調査もしているんですけれども、特に採餌行動にかかわる形態形質なんかを調べますと、セイヨウオオマルハナバチは、確かに同じ亜属に属するエゾマルハナバチと非常に似ているのは当然なんですけれども、コマルハナバチに属するマルハナバチともかなり形態的な類似性が高くて、恐らく似たような採餌、植物を利用する可能性があるんじゃないかというふうに今考えているんです 。
 そうしますと、例えばアカマルハナバチといった、数がもともとそれほど多くないものが、例えば、どういうふうにセイヨウオオマルハナバチの影響で個体群が動いていくのかというところが、一番私どもが気にしているポイントでして、これが、もしかなりクリティカルなラインまで追い詰められてしまうということがあるとすると、やはりセイヨウオオマルハナバチが何らかの影響を持っていると判断せざるを得ないんじゃないかなというふうに考えております。

【五箇座長】 希少生物に対する影響というのは、どんな外来種においても、まず検討しなくてはならない項目になると思います。確かにマルハナバチについてもいろんな種類がいて、希少個体群というのも、ノサップのように納沙布地方でしかいないとか、そういったものもありますから、そういう部分の保全も含めて考えなくてはならないだろうというのもありますし、今の議論を通じて感じたことは、マルハナバチ対マルハナバチばかり議論されているんですが、実際には、そのほかのハナバチや昆虫というものも含め、それらに対する影響が全く未評価ということも少し考えなくてはならないだろう。諸外国では、イスラエルでは実際に単独性の蜂にも影響しているというデータもあれば、日本にだって、実際は単独性の蜂も含めているわけでして、そういった部分に対する影響評価が今のところ全くされていないというのも少し検討課題として考えるべきであろうとは思います 。
 ちょっと時間もありますので、次に行きたいと思います。
 続きましては生殖攪乱の部分なんですけれども、この部分について、もし何か最初にご意見があればお願いします。よろしいですか。

(なし)

【五箇座長】 この部分については、主にフェロモンといった部分ですね、生理学的な部分について、小野先生の方が詳しく研究されておりますので、この部分について意見を総括というか、まとまったご意見があればお願いいたします。

【小野委員】 この点につきましては、前回、相当お時間をいただきまして、未発表データではあるものの客観的な立場からの見解を述べさせていただきまして、その要点が、ここに3点、まとめられているんだと思います 。
 セイヨウオオマルハナバチの雄蜂のフェロモン腺から日本産のクロマルハナバチと、それからオオマルハナバチの成分と同じものが確認されたということははっきりしていて、その物質を用いた生物検定によって、これ2番目の点なんですけれども、セイヨウの雄のにおいに対して、少し活性は落ちるわけですけれども、クロマルと、それからオオマルの雌が誘引されてしまうということも確認されたわけです 。
 また、もう一つ、ここでちょっと触れておきたいことは、クロマルとオオマルの場合には同じ場所に生息している地域があるわけですけれども、交尾する前に雄の生産するフェロモンの成分がクロマルとオオマルでは違うわけですが、お互いに忌避作用を持っていて、種が違えば雄と雌が野外では出会わないような交尾前の生殖隔離機構があるのに対して、その両方の成分を持っているセイヨウオオマルハナバチの雄のにおいに対しては、両方の新女王が引き寄せられてしまう可能性が考えられるという点で、セイヨウオオマルハナバチと日本のマルハナバチとの間に交尾前の生殖隔離機構があったとしても弱いのではないかなということが示唆されたという点が結構大きなところじゃないかなと思います 。
 3番目の室内の狭いところにセイヨウの雄と日本の例えばクロマルの女王を置くと、交尾が起きてしまうわけですけれども、それについては、交尾をしてもその受精卵は今のところ孵化しないということになっておりますので、遺伝子汚染という観点からの心配は今のところ考えなくていいとは思うんですが。ただ、一度、セイヨウの雄と交尾してしまうと、そのクロマルの女王は、ほかの雄と交尾する可能性が非常に低くなってしまいますから、それなりの影響はあるということが言えるんじゃないかなと思います 。
 あと、論点のところは、実際に、今までのお話しした点はすべて室内実験の結果ですので、野外でどうなっているかということについて、あるいは野外で日本産のマルハナバチの女王蜂のお腹の中にある受精のうにセイヨウの雄の精子が入っているのかどうかという点について、早急に確認してみる必要はあるんじゃないかなというふうに思います。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 この部分については、私自身も、特に受精卵の遺伝子分析を室内でやって、雑種の卵はできるけど孵化しないという結果を得ているということで、やはり同じ意見でして、室内レベルでの評価は終わっているけれども、野外でこれが確認されるまでは、この部分に関する影響についての議論はできないと判断しております 。
 この部分について、何かご意見があれば、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

【桐谷委員】 今日のこの問題に直接関係ないんですけど、交尾、交雑するのはF1ができるとか、そういうことで評価を時々されがちですけれども、私は必ずしもそうではなくて、例えば、私が研究していたミナミアオカメムシとアオクサカメムシというのは、種間交尾をするんですけど子供はできないんです。ですけれども、結果的には前者が後者を種間交尾行動によって駆逐するのです。皆さんもご承知のように、沖縄のミバエですね、不妊雌を野外にまいて、野生虫にたいする不妊虫の比率が、圧倒的に変わったときに、最終的には野生虫は子供ができなくて絶滅してしまうのです。それと同じようなことが起こり得るわけで、今の場合は、外来の方が少数なんでしょうけれども、逆にこれが非常に優勢になったときには、そういう種間交尾をするということだけで相手(土着種)を絶滅させてしまうというようなこともあるんで。ですから、なかなか、こういう問題の評価というのは、単に実験室でしないから野外では起こり得ないというようなことも言えませんし、野外で見ても実験室ではうまいこといかない場合も結構あるわけです。ましてや今のような問題になってくると、もっと生態学的な判断が必要なことが起こると思います 。
 以上です。

【五箇座長】 ありがとうございます。
 今のご指摘どおり、実際に雑種ができる、できない、あるいは妊性がある、なしという部分での種間交雑の評価だけではなくて、実際問題、今、桐谷さんがおっしゃられたように、ミバエの根絶で、これをそのまま応用しているというケースがある以上、実際問題、やっぱり逃げ出す数が多ければ、これ自体も在来種の個体群に影響を及ぼすおそれはあるということも考えられることから、やはり今後も研究・調査は続けていく必要はあるであろうと判断されます 。
 では、この部分についてはこれで議論を終わりまして、次にパラサイトの持ち込みの部分についてですけれども、この部分については、何か、ご意見、ご質問があればお願いします。よろしいでしょうか。

【池田委員】 持ち込みの方の、今のパラサイトの話はよく出ているんですが、在来種のパラサイトというのは、どの程度、影響されているんでしょうか。むしろ、日本の在来のパラサイトが、逆にセイヨウに対して非常にマイナスになるのではないかということもあるんですが、その点、いかがでしょうか。

【五箇座長】 ご指摘のとおりでして、この部分に関しては、特に国立環境研究所の方もメインになって研究しておりまして、輸入されてくる部分に関しての評価が今のところ中心になってしまっていて、現実問題として、日本在来のマルハナバチの野外の個体群における寄生生物の存在状況というものに関しては、ほとんどアンノウンですね。全く、データはほとんどない状況です。唯一、マルハナバチポリプダニというものが、在来種にも在来のマルハナバチポリプダニが北海道と東北の一部にのみ生息しているということが確認されているというのが、一つ。この事例、一つしかありません。そのほかに関するウイルスや細菌、菌、原虫に関しては、まだ未調査という状況です。だから、この部分に関する評価も必要になってくるということです 。
 今、おっしゃられたように、逆に言えば、今までセイヨウオオマルハナバチが侵入して定着したところには、近縁なるマルハナバチがいなかったゆえにパラサイトフリーで繁栄しているという状況を考えれば、こちらの方は、既に在来のマルハナバチがいるということを考えると、そのパラサイトが侵入種に対して、また何らかのインタラクションを起こすということも期待されるということもありますから、その部分の基礎研究というのは今後もやっぱり発展させていく必要はあるであろうというふうに、今、考えております 。
 実際、この部分に関しても、ここに書かれているように、幾つか海外の事例で微胞子虫がアメリカ合衆国における工場を壊滅させたとかという事例もあるんですが、これは工場を壊滅させたということであって、野外の個体群を壊滅させたというのとはまた違うという話です。そういった意味で、パラサイトが侵入したことによって、要するにセイヨウオオマルハナバチが持ち込まれてパラサイトが蔓延したことによって野外で何らかの影響を及ぼしているという事例については、まだデータがないという状況になります 。
 ただし、生き物ですから、どのようなものを持ち込んでいるかというのはやはり評価すべきであろうと。ただ、その部分については、このマルハナバチについて、一つ、救いと考えられるのは、工場内で生産しているということから、無菌状態で生産すれば、こういった部分は排除されるだろう。現実にマルハナバチポリプダニについては、既に我々の研究成果も公表されたのを受けて、オランダの工場でもう既に駆除されて、輸入品からはほとんど見つからなくなってしまっているという状況もある。その辺に関しては、パラサイトはコントロールが可能であろうというふうには考えています 。
 ただ、とにかく、まだ調査しなきゃいけない部分はたくさんある。寄生生物に関しては、非常にたくさんの種類がいるということがわかっているだけで、種が不明なものも含めて未知の部分は多いので、その部分に関しては、やはり今後も評価が必要ということを考えています 。
 したがいまして、この部分もまとめてしまいますと、リスクについては検討しなくてはならないけれども、それに答えられるだけのデータはなく、調査が必要であるというふうに結論づけられるということになります 。
 このほか、この部分に関して、何かご意見がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

(なし)

【五箇座長】 では、続きまして、これが在来種・外来種の生物間相互作用という部分での影響という部分の議論ということになりましたが、続いて在来の植生ですね、植物そのものに対する影響という部分について議論を移していきたいと思います 。
 この部分については、特に北海道において、セイヨウが在来の植物において、盗蜜行動といって花に穴をあけて蜜を盗んでしまうという行動が観察されるということが、横山先生の研究グループを初め幾つか報告されております。この部分に関して、こういったことが在来植物に影響すると考えられるかどうかという部分で、横山先生のご意見をお伺いしたいと思います。

【横山委員】 我々が観察している事例は、セイヨウオオマルハナバチが北海道で、ここに挙がっていますけれども、エゾエンゴサクと、それからクサフジ、野生植物では、この2種類で盗蜜行動を行っているということです。どちらも盗蜜行動を行っているということを観察しているだけでして、実際に結実率が下がっているかどうかということについては確認しておりません。エゾエンゴサクに関しては、在来のエゾオオマルハナバチも盗蜜を起こすことが知られていて、一応、盗蜜がされても結実はするという論文が出ていますけれども、ただ、結実率自体は、適法に訪花されている、ちゃんと口の形がきちんと合っていて、ちゃんと受粉できるような形で蜜を吸われているものに比べると、実際には低くなってしまいますけれども、結実はするということが知られています。ですので、完全に結実しないということは非常に少ないんじゃないかというふうに考えています 。
 ただ、セイヨウの個体数が増えてきて、例えばエゾエンゴサクに主要に訪花する昆虫になってくるとすると、結実率の減少というのは避けられないんじゃないかというふうに考えています。

【五箇座長】 どうもありがとうございます。
 この部分について、小野先生のご意見はいかがでしょうか。

【小野委員】 これについては、特につけ加えることはございません。

【五箇座長】 普及会の方はどうでしょう。いいですか。

【米田委員】 特にないです。

【五箇座長】 この部分については、残念ながら、まだ研究がそれほど進んでいないというのも現状でして、これもここ一、二年、研究が、特に横山先生のグループのみで調査されているに等しい状況ですので、実際のところはデータ不足と判断せざるを得ないと思います。ただ、相対評価として結実率に影響する盗蜜行動があるということは言えると、まず判断されると考えられます 。
 ここまでが生態影響という部分になりますけれども、今後、この蜂をコントロールするという方法でネット展張というものが何度も議論されてきましたけれども、この部分について、4番のネット展張の実施状況と逸失防止効果という項目について、まず、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。よろしいですか。

(なし)

【五箇座長】 この部分については、やはりネット展張というものを実質的に現場で指導するということになりますので、普及会の方でご意見、あるいは不足事項があれば、それも補足していただいて説明いただければと思います。

【米田委員】 大体、この共通認識に書かれてあることで問題はないと思います。
 ただ、後のところにも出てくるんでしょうか、現場の認識としては、今こういった会議が持たれて、こういった議論がなされているということは重々承知で、では次にどうするかと言われると、やっぱり結果が出るまで待つという方が大半なようで、なかなか今の状況下でネットを張ってくれというようなところに拍車をかけるインパクトには欠けているというのが現状です 。
 ただ、理解のある方、理解の深い浅いというのは人それぞれありますので、ご自身で納得された方から徐々に張っていっていただいているというのが現状です。実際、コストアップのことについても、工夫の仕方も人それぞれありますので、いろんな見方があるとは思いますけれども、大体、この筋で問題ないと思います。

【五箇座長】 この点については、池田先生、桐谷先生はよろしいですか。
 端的に言えば、この部分については、要はコストの問題に集約されるであろうということです。ここが、要するにお金がかかると。農家さんの負担が増えるということは、結局、ネット展張をという事業を拡大する上でも多分大きな壁になるだろうということが、この中でも議論されていて、ここの委員会でお金の動かし方は全く議論できるところじゃないんですけれども、できるだけこの部分は強調して、お金のかかることが必要である、つまりリスク回避にはお金が必要であるということは委員会として意見をして、できるだけ予算確保のしやすい方向に持っていければというふうには考えております 。
 最後に、現場での利用状況・防除の取り組みということですけれども、これも、ここに書かれていることどおりだと思います。もし何か、ほかに追加意見がありましたら、お願いします。

【光畑委員】 先ほどのネット展張のところで、一つだけ、よろしいでしょうか。
 実際に現場で、あともう一つ、コスト面だけではなくて、いつからネットを張ればいいのかと。例えば、これは以前も申し上げましたが、栽培をしている最中にネットを張りなさいと突然指導が来ても張れないという現状がありますので、ネットを張るタイミングであるとか、法を施行するなり、こういう指導が入るタイミング、これは地域地域によって、もしくは栽培体系によって異なってくると思いますので、この部分に関してのご考慮というのも必要だというふうに考えておりますので、この部分もつけ加えていただければと思います。

【五箇座長】 はい、了解しました。
 あと個人的には、5、現場での利用状況・防除の取り組みで終わっているんですが、実際は将来的な部分として、6として在来種への置換というものを、今日も冒頭でクロマルハナバチの説明はいただきましたけれども、多分、将来的にはそこの議論も必要になるであろうと考えています 。
 この法律そのものは、在来種の国内移送に関しては全くタッチできないようになっております。したがって、今後、このセイヨウオオマルハナバチそのものを管理するという方法の一つとして、ネットをかけるという選択肢と、もう一つ、在来種に置きかえるという選択肢が、ここに生じてくるということになります。先ほど、クロマルハナバチの説明も幾つかあった中で、いろいろ議論もありましたが、クロマルハナバチそのものが分布域が限られている種類で、これを移動させるということは、実際には生態学的には国内移入種という問題が将来的には発生するということも考えなくてはならない。この法律での議論とは別にまた、そういった意味で新しい問題が生じてくるということも考えなくてはならないだろうということはつけ加えておきたいと思います 。
 以上、セイヨウオオマルハナバチの会合での議論、論点の整理というものをやってまいりました。
 今いただいた意見を総括しますと、まず、1の定着の実績という部分について、どのようにこの会合で判断されるかということですが、委員の意見をまとめると、まず野外で生活環は完結しているというふうに判断されるということです 。
 それから、2番の在来マルハナバチへの影響という部分について、まず営巣場所を巡る競合については、これは可能性が高いと。要するに野生化が進めば、野外での個体数が増えれば、起きるのは間違いないだろうと判断されると結論されます 。
 それから餌資源を巡る競合については、これについては残念ながら意見はさまざまとなります。恐らく生息環境というものの不連続性ですね。現実に、農業環境もあり自然環境もありという、日本のマルハナバチの生息環境という部分の不連続性というものも考慮に入れなくてはならない。そういった中で実際に、そういった競合というものが、どの範囲で起きるかということは、今の段階ではデータ不足で見ることができない。ただ、一つ言えることは、間違いなくマルハナバチが生きていく上での規定要因は餌資源量であるということを考えれば、今後、野外の評価としては餌資源量の分布というものもファクターとして入れて、リスク評価を考えていく必要があるであろうと結論づけられます 。
 生殖攪乱の部分も同じです。これに関しましても、室内実験のデータはあるけれども、野外での可能性に関してはまだ検証されていないということ。結論から言えば、これは不明ということになると思います 。
 それから、パラサイトの持ち込みにつきましても、これも、持ち込まれているという事実はありますが、影響という部分についてはまだ未確定、不明ということになると思います 。
 続きまして在来植生への影響、この部分につきましてもデータ不足で、要調査というふうに結論づけられると思います。
 以上が、マルハナバチの生態影響という部分に関しての、この会合でのこれまでのデータに基づく総括ということになると思います。結論から言えば、残念ながら、確実にこれが影響ありと判定するには、まだデータがかなり不足しているというのが結局のところの結論だと思われます。したがいまして、今後、調査・研究というものを広く、さらに深くやっていく必要があるであろうと考えられる。この部分に関して、研究者自身も研究を進めるということに関して努力をしていく必要もあるだろう 。
 同時に、利用者の方としても、これ以上の逃亡というものを防止する上での技術の開発が重要な意味を持つ、その部分がネット展張であろうというふうに考えられます。特に、在来種への置換ということを考えると、ますますもってネット展張というのがやはり重要な意味を持つ。たとえ在来種を利用するに当たっても、単純に国境線で引かれた種概念で在来種とくくられているに過ぎないものであって、移動させるという部分ではリスクというものは同じに考えなくてはならないということは、この委員会でもきちんと明言しておく必要があるのではないかと思います 。
 以上、論点整理と、これまでの議論を一応整理してみましたけれども、これまでの部分について、もし何かご意見がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

(なし)

【五箇座長】 それでは、本日の議題としましては、この論点の整理までということになっております。若干時間も余っておりますけれども、今日の質疑はここまでとします 。
 いよいよ来年、第4回の会合を行いますが、その時点で、このマルハナバチにおける法律の中でのマルハナバチの扱いに関しての何らかの方針は、次回、もう決定しなくてはならないということになりますので、そのときにまた皆様方のご意見をお願いしたいと思います 。
 それでは、あと議題として「その他」とありますけど、そのほか、ご意見があればお願いします。よろしいでしょうか。

(なし)

【五箇座長】 では、最後に事務局の方から、何か補足事項がありましたらお願いします。

【堀上補佐】 今、座長の方から、第4回ということでご指示をいただきましたので、これまでの議論、論点整理を今日はしていただきましたが、今日の部分も含めて取りまとめをしまして次回の資料をつくりたいと思います 。
 一応、先生方のご都合を伺っておきましたところ、1月12日が、恐らく皆さん、ご都合がよろしいのではないかということで、それを仮に第4回として作業を進めていきたいと思っております。個別にまた先生方、ご意見、事前にヒアリングをさせていただくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【五箇座長】 それでは、今日の会合はこれで終わりたいと思います。
 では、来年、第4回が最後になる予定ですので、そのときによろしくお願いいたします 。
 どうも、今日はお疲れさまでした。
 ありがとうございました。