環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第4回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)
オオクチバス小グループ会合 議事録


1. 日時 平成17年1月19日(水)12:58~15:02
2. 場所 経済産業省別館10階 1028会議室
3. 出席者  
   (座長) 多紀 保彦
   (委員) 瀬能  宏    中井 克樹
丸山  隆    水口 憲哉
   (利用関係者) 全国内水面漁業協同組合連合会 橋本啓芳
(社)全日本釣り団体協議会 來田仁成
(財)日本釣振興会 高宮俊諦
   (環境省) 小野寺自然環境局長
福井審議官
名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (水産庁) 佐々木沿岸沖合課長補佐
長畠生態系保全室長
4. 議事  
【環境省 堀上補佐】 それでは、ただいまより特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)のオオクチバス小グループ第4回会合を開催したいと存じます。
 本日、環境省の方から、小野寺自然環境局長及び福井審議官が出席しておりますので、ご紹介いたします。

【環境省 小野寺局長】 小野寺です。よろしくお願いいたします。

【環境省 福井審議官】 福井でございます。よろしくお願いいたします。

【堀上補佐】 それでは、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 委員名簿がありまして、資料が1から3までございます。資料1が特定外来生物等の選定の作業手順。資料2がオオクチバスに係る情報及び評価。この二つにつきましては前回と同じものでございます。資料3につきましては、今回、オオクチバスの取扱いについての案を出させていただきました。
 参考資料としまして、前回の議事概要、それから、委員の方から二つ資料が出ております。一つは、全国内水面漁連の方から「特定外来生物に指定することによる利用等団体の影響」、もう一つが、財団法人日本釣振興会の方から「日釣振のバス問題に対する現在の考え方」、これが表、裏ということでございます。もし資料に不備がございましたら、事務局の方までお申し出いただければと思います。
 取材の方、カメラの頭撮りはここまでということでお願いいたします。
 それでは、議事進行につきまして、多紀座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【多紀座長】 皆様、お忙しいところ、今日は何か非常に寒い日ですけれども、ご参集くださいましてありがとうございました。時間を節約するため、あいさつはこれだけにして、本日の議事に入らせていただきます。
 この委員会は今まで3回行いまして、3回目ではある程度のまとめを試みたんですが、今日は一応第4回目としまして、前回の論点を整理した後で結論的なものをできれば出したいということでございますので、議事進行に協力のほど、よろしくお願いいたします。
 が、その前に、全国内水面漁連漁業連合会から資料が提出されておりますので、それについてご説明をお願いしたいと思います。
 橋本さん、よろしくお願いします。

【橋本氏】 座長、その前にご説明いたしますけれども、この前、宿題が残っておりましたので、その説明をさせていただいてよろしいでしょうか。例の漁業センサスの人数について、よろしいでしょうか。

【多紀座長】 はい、どうぞ。

【橋本氏】 前回のこの場で、漁業センサスでは、ブラックバスの延べ人数が90万人ということに対しまして、いろいろご意見をいただきまして、私の説明がおかしいんじゃないかとの話がありました。漁業関係だけですとか、あるいは漁業権の設定されたところの調査のみでないかということで、私の方は漁業センサスですからそのようなことはあり得ないということでお話をいたしまして、ただし、確認をいたしますということで、農水省のセンサス室の方に確認いたしましたところ、やはり漁業センサスですので、地区を設けて、その中の地区、やっているところはすべて対象ですということで、お役所の方、農水省の方で確認できるところの調査はすべてやったものの結果が漁業センサスの延べ90万人ということです。その点をご報告いたします。
 それで、釣り団体の皆様からは300万人という数字が出ておりまして、何でそんなに差があるのかということをちょっと考えてみましたら、お役所がやっている仕事は、センサスは、要は対象としてわかるところしか調査できないわけです。例えて言えば、自分で池を持って、そこでブラックバスを放流して釣っている人は、それはお役所の方ではわからないと、例えばそんなことだと思います。片や、釣り団体の皆さんが算定した数字はすべて入っているわけですから、この前ご指摘された方々の意見も、そういう意味でおっしゃったんだと、我々の方はお役所としてオープンにされたところだけの数字だと、そういうことからいけば、ちょっと次元の違う話をしていたのかなと思っております。まず、その点、ご報告を申し上げます。
 それと、ちょっと長くなってすみません。これに関連しまして、私どもがこの前ご説明を求めましたのは、釣り団体、日釣振さんが300万と言っておるのは、推計になっておりますけれども、やはり自分のところの構成員でありますし、メンバーを推計するのはちょっとおかしいんではないかと。自分のメンバーなら名簿をつくって、積み重ねて300万というならよくわかるんですけれども、そこのところがちょっと、私ども、できれば、今後、指導官庁の方からもご指導をいただければなと、そういうふうに思いました。
 それから、また関連しますけれども、300万と、先ほど言った延べ90万。延べ90万というのは、漁業センサスと、実数は、実は聞いても、ちょっと公表していないのでわからないんですけれども、前からお話ししていますように、バス釣りの方は多分釣りの好きな方が多いので年間1人5回行っても18万人となります。

【多紀座長】 すみませんけどね、それをやっていると……。

【橋本氏】 ちょっと、もうすぐ終わりますので。
 要は、結論的に言えば、実数を見積もった場合、90万というのは、多分、10万、20万なんですけれども、その中で300万と20万の差は何かと、280万は、言うなればブラックボックスです、と。わからないところでやっていると。今回、環境省さんがこういう法律を出されたのは、そこのところを何とかするという話だと私は思っております。したがって、結論として申し上げますと、早くこの法律を適用しないと、管理しないとまずいんじゃないかということです。そういうことです。

【多紀座長】 ありがとうございました。

【橋本氏】 それで、私どもの資料についてご説明をいたします。

【多紀座長】 いや、おっしゃることはよくわかりましたので、読めばわかりますので、別にどちらの味方をするではなくて、もう今日の段階はそういう論議をしている段階ではないと思いますので、これは別の場ででもなさってください。

【橋本氏】 わかりました。

【多紀座長】 また、同じような意味で、この橋本さんのご説明に対しては、今日は前回の補足資料ということでもって、特にこれについては質疑はいたしませんのでご了承ください。

【橋本氏】 わかりました。

【多紀座長】 それからもう一つ、日釣振の方からも、1枚、紙が出ていますが、それは論議の中でそれに言及していただくということで了解をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、ここでオオクチバスの取り扱いについてのまとめをいたしたいと思います。
 ここに、これまでの各委員のご意見、論議、資料等すべて踏まえまして、事務局の方で取りまとめに際して資料を用意しております。資料3に基づきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【堀上補佐】 資料3のオオクチバスの取扱いについての案につきましてご説明させていただきます。
 21日に魚類専門家のグループ会合がありまして、その後、今月末には全体会合が予定されてございます。
 この小グループでの、このオオクチバスの取扱いについてというものをそのグループ会合等に報告するということになろうかと思いますので、そういった性格のものとして作成をしてございます。
 頭の方ですが、「本小グループでは、オオクチバスによる生態系等への被害の実態、分布抑制対策、規制の効果、防除の考え方等について4回の会合を重ねて議論を行ってきたと。以下、小グループとしてのこれまでの検討結果を報告する」という形になってございます。
 丸が全部で六つありまして、最初の五つにつきましてはこれまで議論してきた内容でございます。それから、一番最後の六つ目の丸が、オオクチバスの取扱いに係る報告、提案という形になってございます。
 最初の丸ですが、ここは被害に係る知見ということでまとめてございます。オオクチバスの全国的な分布実態、生態系への影響のメカニズムにつきましては、必ずしもその全貌が明らかにされているわけではない。ですが、これまでの本小グループでの検討の過程では、オオクチバスは、[1]としまして、地域的な在来生物の絶滅をもたらしうるということ、[2]としまして、在来生物の生息環境に著しい変化をもたらしうる、[3]としまして、生物群集あるいは種間関係の著しい変化をもたらしうるということから、生態系へ被害を及ぼすものであることを否定することはできないと。また、水産業へも一定の被害があるとの報告がございます。ただし、被害の状況につきましては、これ以外に環境改変等の影響もあること、個々の水面によっては差異があって一律にはとらえられるものではないこと、こういったことにも留意が必要であるということでございます。
 それから、二つ目の丸ですが、ここは分布拡大の現状ということでありまして、既に漁業調整規則に基づきまして内水面への移植禁止措置はとられてございますけれども、いまだに新たな水域でオオクチバスが発見される事例もございます。その原因は不明というご意見もございましたが、これまでの知見によれば、人為によって持ち込まれているものと推定するのが妥当ではないかと考えられてございます。
 こういった分布拡大に対応する対策としての規制について、3番目の丸で書いてございます。このような状況も踏まえて、オオクチバスのこれ以上の分布拡大を抑制する必要がある、と。このことについては、このグループの中で共通の認識となっている。こうした面に全国的に的確に対応できる法令としては、生物の輸入、飼養、運搬、保管、譲渡譲受等、そういったものを規制することができる「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、この法律があると。この法律はこの面で効果的な枠組みであるということでございます。その際に、もう既に漁業権が設定されている四つの水面につきましては配慮が必要となるということも書いてございます。この法律上は、釣りの行為そのもの、あるいはキャッチアンドリリースを禁止するものではないということ。それから、適正に管理された釣り堀に関しましては、基本方針において「許可規制を行うことで遺棄や逸出等に対する十分な抑止力が働く生業」ということで、許可の対象とされているということに留意が必要であるということも書いてございます。
 それから、四つ目の丸ですが、ここは防除にかかわる現状と課題ということで書いてございます。既にオオクチバスが分布している全国各地で生態系等への被害の状況、これはそれぞれ差異があって、地域によっては防除のための活動に着手しているところも多くございます。一方で、水面によってはオオクチバスを釣りの対象として多くの利用者が存在していると、そういう現実がございます。
 こうした状況におきまして、釣り関係者の方々からは、今すぐ指定されると釣り人の間に混乱が生じるおそれがあるという指摘がございます。このような状況において、どのような水面でどのような防除を行っていくのか、直ちに防除に着手する必要がないのはどういう水面なのかということについて、あらかじめ一定の考え方、方向性を整理して示すことが必要であるということでございます。
 五つ目の丸につきましては、外来生物法でそういった防除の考え方あるいは課題というものを整理しますとこうなるということでございまして、基本的な考え方は基本方針に示されているところでありますけれども、被害の状況を勘案して、完全排除、封じ込め、影響の低減、そういった目標を掲げること、それとともに、予算、人員、技術的可能性、地域の事情等に応じて優先順位をつけて防除を実施していくことは必要となるものと、そういうことと考えられますけれども、防除に係る方向性、考え方を明らかにするためには、全国の水面の特性、被害の差異に応じて防除方法の考え方を整理する必要がございますけれども、いまだ、その面につきまして、十分な情報・知見は得られていない状況にあるということでございます。
 最後のところは提案ということでございますけれども、以上のことを考え合わせまして、このグループではオオクチバスについて以下のように取り扱うことを提案するということで、四つ、ここで掲げてございます。
 オオクチバスについては、広範に現に利用されている実態に鑑み、指定する前に、指定後の防除のあり方、例えばどの水域について防除に着手するか、そういったことですが、防除のあり方について、あらかじめ準備を行うことが法律の円滑な運用と制度適用の実効性を確保するために適切である。
 被害防止のために不可欠な防除については、防除のための行動及び情報双方の観点から関係者が大同団結し、国民運動的に取り組んでいくことが重要である。このため、防除対象の水面の特定あるいは実態の把握を行うとともに、防除に係る指針についての共通認識を形成することに直ちに着手する。
 グループには学識経験者を中心に、環境省、水産庁、地方公共団体、漁業関係者、釣り関係者等によります、基本的にはこの小グループのメンバー等を基本としまして合同調査委員会の設置を決めて、2月初めにも直ちに作業方針を決定し、調査に着手すると。
 調査委員会では以下の作業を行うとしまして、[1]から[3]まで掲げてございます。[1]につきましては、モデル防除事業実施を含めた防除の指針の策定、どのような水域において早急に防除を行うのか、どの水域では直ちに防除を行う必要がないと、そういった指針をつくると。[1]のために必要な現地調査及びケーススタディ分析を含めた全国の生息状況や被害状況の把握、それから、[3]としまして、そういったことを普及啓発していくための方針の策定づくりといったことが必要である。
 最後のところですが、オオクチバスによる生態系等に係る被害を防止することは喫緊の課題であり、本法の枠組みを活用することが重要であると。上記の準備を経て、半年を目途に指定に向けた検討を進めるということをこの小グループの提案としてはどうかということでこの資料をまとめさせていただきました。
 以上でございます。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 以上が今後の取り扱いについての案ですが、議論をスムーズに進める意味で、問題を三つに分けたいと思います。
 まず第一は最初の3つの丸についてです。1番目はオオクチバスによる被害についてです。2番目は、分布の拡大について。そして、3番目は、この法律の中身はどのようなものかということです。この三つにつきましては前回の会合で共通認識が得られているとは思いますけれども、ご意見、ご質問等がありましたらお願いをいたします。
 水口委員。

【水口委員】 この取り扱いについて、案の内容と今のお話と重なることで、読み方の問題なんですけれども、一番最初の丸のところの7行目、「ただし、被害の状況については」というのは、その前段の、「水産業へも一定の被害」の報告がある、と。その前の生態系への影響云々というのと、両方受けるものと考えていいわけですね。ちょっとこの流れだと、後の方だけにかかるような書き方なので、実際には両方にかかると。

【堀上補佐】 はい、両方にかかると。

【水口委員】 わかりました。

【多紀座長】 ほかにございませんか。

【高宮氏】 ただいま環境省の方からご提案という形で報告がされましたが、前段の部分についてはかなりコンセンサスが得られているのではないかという点に対しましては、拡散の実態や生態系への被害状況など、私どもでは必ずしもコンセンサスが得られて納得がいっているというような状況ではないというふうに思っております。幾つかございますが、これまでの3回の会議の中で、不法移殖あるいは在来種に対する外来魚の自然水域での影響というものが必ずしも具体的には出されていない、また、我々も充分に納得できるような資料が出たというようなことは現段階では考えておりません。ですから、今の段階では、やはり特定にオオクチを入れるという事に対し、資料の中ではすぐに特定ではなく、特定を視野に入れた継続協議をしていく、現在ではそういうような状況ではないんではないかというふうに思っております。
 また、私どもの現時点での考え方というのの資料を出してありますので、これは一緒にご報告しましょうか。

【多紀座長】 では、お願いします。

【高宮氏】 これは、この委員会に出したものではなくて、環境省に出した資料です。
 その中では、「将来に向けてのバスフィッシングのあり方」と共に、『「在来種への影響を鑑み、オオクチバスの特定外来生物の選定も視野に入れながらの検討」に前向きに取り組んで参ります。これは、これまでの経緯からして、当会及び釣り人として苦渋の選択になると思われますが、密放流の疑義やキャッチアンドリリースの正当性などを明確にしつつ、地域や関係者の人々との連携を深め、協調関係を築いていくなど問題解決の為に、また、将来の健全なバスフィッシングを確立していく為にも、最善の方向に向かって真摯に取り組んでまいりたいと考えております。』などが謳われております。

【多紀座長】 すみません。目を通せば皆さんわかりますので、ご説明はなるべく簡潔に。1行1行をお読みにならなくても目で追えますので、肝心のところだけおっしゃってください。

【高宮氏】 はい。非常に重要なことだと思いますので、私どももこの中で問題解決に向けて、いろいろな、日釣振サイドそれから釣り人サイドでも協議を続けてまいりました。何とか問題解決をさせるために、前述のように、当初の「オオクチバスは実態からして、特定に絶対入れるべきではない」とはかなり違った考え方をしています。これは第2回目のときに日釣振からの問題解決に向けての新たな提案というところでも、かなり具体的には書かさせていただいておりますが、ここに書いている、日釣振のバス問題に対する現在の考え方と、同時に、これを実現するための環境省に対する要望事項というのが具体的に書かれてありますので、ぜひ、この考え方をもう一回見ていただきたい。
 ただ、この中のかなりの部分が先ほどご説明された環境省からの提案の中で取り入れられているんですが、一番基本的なところがまだ少しだけ我々とは意見の相違があるというふうに思っております。まず、それぐらいのお話をしておきたいと。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 私が共通認識と申しましたのは、この委員会の全メンバーの中で、差異はあるにしてもある程度共通の認識があるということで、日釣振の中ではいろいろございましょうけど、そのことを申したのではなくて、また一々そういう議論にしたくないんですけども、例えば、証拠がないとおっしゃいますけれど、オオクチバスが出現する水域が実際に増えているということは、やはり放流があるんではないかというふうに多くの委員が考えているということです。ですから、もちろんそうでない方もいらっしゃるんでしょうけれども、全体の、この委員会としての共通的な認識はこのようなものでいいのではないかと。いかがでしょうか。日釣振として……。

【高宮氏】 これは日釣振だけではなくて、全釣り協とかほかの団体も、少なくとも、生息数は10年前と比較して全国的には確実に減少していると。これは釣り人のほぼ100%の認識だというふうに思っています。生息域に関しては、やはり減ったり増えたりしているところがあるので、必ずしもこれが減っているというような断言はできないと思っています。生息域は、この20~30年ぐらいを見ればもちろんそういうことなんですけれども、ここ4~5年の中では、生息域が拡大というとらまえ方はしていないということです。

【多紀座長】 はい、わかりました。これ以上、また私が言うと、また今までの、3回目までの議論と同じことになってしまいますので、私はこれ以上は申しません。
 では、水口さん。

【水口委員】 [2]のところで、漁業調整規則という一つの制度的なものがあるわけですけれども、それがあるけれども分布区域の拡大が起こっているということを言っているわけですね。そういうことと絡んで、こうであるがこの法律ができれば、そういうこと、分布区域の拡大を抑制するのに効果的な枠組みであるという、3番目の丸のところの5行目ですね、「本法はこの面で効果的な枠組みである」。ということをここに書いてあるんですけれども、私はこの会議で多分2回にわたって聞いていますけれども、いわゆる屋上屋を重ねるということで、漁業調整規則があるのにこれをやったら、具体的に効果があるということを、どういうことがあるのかと。単に罰則が重くなるからかということを聞いたけど、それに対する答は一つもないんですが、今のところ。ですから、「本法はこの面で効果的な枠組みである」というのが、この会で共通認識であるというのはちょっと言い過ぎであるんじゃないかという。期待はわかりますけれどもね。いわゆる願望とか期待ということで言うのであればあれですけど、ここの委員会で、これは効果的だということまでみんなが共通認識としてなったかというと、それはちょっと問題があると。

【多紀座長】 では、事務局、お願いします。

【環境省 上杉企画官】 既に第2回会合で同じ質問を水口委員からいただきまして、ここに書いてございますように、輸入、飼養、運搬、保管、譲渡譲受ということで、現行の漁業調整規則にはない法的な枠組みを持っているという点と、それから、罰則についても非常に厳しいものになっているという2点からして、こういう分布拡大を抑制する力については非常に効果があるだろうというご説明をしているところです。

【水口委員】 そうなりますと、この一番最後のところで、今後やるべき検討の中に「水産庁」という言葉は入っているんですけれども、今の効果的な枠組みの後の4水面について、第5種共同漁業権が設定されることに配慮が必要となるということは、これで始まったんですけれども、これまでの3回ではほとんどこの議論はしていないですよね、具体的には。それで、結局は、そうなると、この読み込みとして、最後のところで、いろいろな防除を行う水域を何段階に分けて考えていくという中で、一番最後まで防除を考えないで残るけれども、最終的にはどうなるかわからないという範ちゅうにしか入らざるを得ないんで すよね、これを読んでいけば、丁寧に読んでいけば。そこらのところはどういうふうに、この4湖のことを含めて、第5種共同漁業権のことをもう少し踏み込んで検討の内容を最後のところに少し入れた方がいいんじゃないかという気がするんですけれども。今まで議論していないですからね。

【上杉企画官】 ここでは、法律に、例えばこの外来生物法という法律の規制という面で、この共同漁業権との関係がどうなるかということを書いている部分だということでございまして、そういう意味で、既に漁業権が設定されているということを配慮しながら進める必要があると、そういうことを述べております。
 具体的な中身については、当然、法律上、どのように、法律間で調整ということになりますので、それは、この本法、外来生物法自体、実は環境省と水産庁、この共管になっているんですけれども、漁業法は水産庁が所管されているということで、その間で調整をするということになると思っています。

【多紀座長】 來田さん。

【來田氏】 個々の言葉を一つずつ掘り下げていきますと大変時間がかかります。アバウトな話として、この[1][2][3]、ほぼ合意できる事項ではないかと私は思っております。ただ、実行段階において一つずつ詰めていかなければならないことは多いですが、この三つについて、大筋としては、もちろんお二人のおっしゃること、私、十分わかりますし、同じような意見を持っておりますけれども、先へ進ませてもらった方がいいんじゃないですか。

【多紀座長】 非常に貴重なご意見をありがとうございました。文言などにひっかかるところはそれぞれおありでしょうが、今、來田さんがおっしゃったとおり、大筋のとおり、このような理解でよろしいのではないかと。ということで、いかがでございましょうか。

(了承)

【多紀座長】 ありがとうございました。それでは、ということにさせていただきます。
 次に、4番目と5番目に続きます。
 4番目と5番目は防除についてでございます。この法律では、全国一斉に防除をするというんじゃなくて、優先度とか必要性というものを考慮して行うとしておりますけれども、この4と5ですね、ですから、1ページ目の一番下と2ページ目の上の方について、ご質問、ご意見等がございましたらお願いをいたします。
 一口に防除と言っても非常にいろいろな、多岐にわたる複雑な局面を持っていまして、非常に言うは易く行うは難いものなんですけれども、大綱の考え方としてはいかがでございましょうか。

【水口委員】 これもこの委員会で議論されて、中井委員から出された意見に私も賛成したと思うんですけれども、防除というのは、これは人によっては絶滅とかゼロにするという考えの人もいますし、そこで、「適切なレベルに管理する」という言葉が出てきたと思うんですね。何かそういう一つの到達目標がないと、ただ「防除」と言うと、人によってはどういう考え方もできるわけですから、そこの点はぜひ、文言としてですね。適切という言葉がよいかどうかはみんなで考える話なんですけれども。

【多紀座長】 それは、事務局が言う前に、私もそう思います。だから、「防除」という言葉自身もかなりいろいろ考えた果ての言葉だろうと思うんだけれども、その防除の中身についてはいろいろあるので、これはこの次のフェーズになったときにかなり検討しなきゃいけない問題だと思っています。
 事務局、お願いします。

【上杉企画官】 ご指摘のとおりのことを、五つ目の丸、裏の方の2ページ目の一番上の丸といいましょうか、これの2行目のところに書いてあるつもりでございまして、「完全排除、封じ込め、影響の低減等といった適切な目標を掲げる」と、こういうことは基本的な考え方になっていると思います。そういう意味では、地域、その場所の状況、被害の状況等をちゃんと見た上でしっかり考えていくということが必要だろうというふうに考えております。

【多紀座長】 他に、ご意見、ご質問はございませんか。

(なし)

【多紀座長】 それでは、ないようですので、論議を4番と5番の丸をとばして6番目の丸に進めさせていただきます。
 防除については、皆さん、お考えだと思いますけど、これから詰めなければならないことがいっぱい、基本的考え方や優先順位などいろいろありますが、それはこれから先の問題といたします。
 六つ目は小グループとしての提案です。このことにつきまして、ご意見がございましょうか。事務局の資料としては、今後の方針として合同調査委員会というものを設置して作業を進めるという案になっております。このことを含めてご論議をいただきたいと思います。
 では、來田さん。

【來田氏】 合同調査委員会の設定は、もとより、私ども、最初からご提案を申し上げておりましたことで、また、この6番目の項目については、指定する前に指定後の防除のあり方を論じないと何も進みませんというのがこれまでの意見でございましたから、これで結構なんですが、一番最後の、「上記の準備を経て、半年を目途に指定に向けた検討を進める」という1項目が大変ひっかかります。
 ということは、別に、こういう問題というのは、まず、ここにおられる先生方の良心といいますか、お互いに信じる心というのを前提にして事をこれから運んでいくべきだと思います。そして、私どもとしては、できる限り早く事態を収拾したい。あるいは、先生方のご賛同を得られることができたならば、早い話が、明日からでも防除すべき地域がわかれば、それは取りかかるべきものであると思う。
 しかし、これをいつまでに完結させろとか、この方向性をいつまでに終了させろということについての期限を設けられることについては、甚だ自信がございません。ですから、この半年を目途にということは、少なくともこの席に連なっておる私どもを信じていただいて、なるべく速やかにというふうな表現にしていただけたら非常にありがたいなと。決して引き延ばそうという意図はございません。

【高宮氏】 同じようなことですけど、ここのところは今日のお話の中でも、我々にとっても最も重要なところです。これは、皆さんもそうだろうと思うんですけれども。私どもの考えはまた後ほど申し上げますけど、ここのところの、「上記の準備を経て、半年を目途に」、いつから半年なのか。それから、「指定に向けた検討を進める」というのは、どういうイメージなのか。できれば、その「半年」というのは、いつから半年なのかも含めて、お答えいただきたいと思います。

【多紀座長】 わかりました。事務局からご説明願います。

【上杉企画官】 はい。ここでの提案では、三つ目の黒ポツになっておりますけれども、ここでいう「合同調査委員会」は、この場で設置を決めていただきたいというのが趣旨でございまして、そういう意味では、直ちに、全く直ちに入る、と。そういう意味で、作業するのに6カ月程度あれば、既存の知見もそれなりにありますので、方向性の整理ということは十分できるのではないだろうかというのがここでいう「半年程度」ということの意味になっております。
 後段の、「指定に向けた検討」というのは、まさに、1番目、2番目、3番目の丸で書いてありますような生態系等に係る被害の防止という観点からすれば、そういう方向に向けて検討を進めていくという趣旨で書いているところでございまして、それ以上のものでもないということでございます。

【多紀座長】 よろしゅうございますか。どうぞ。

【高宮氏】 法律ができて半年ということで理解をしてよろしいのですか。

【上杉企画官】 いえ、調査委員会を直ちに設置したいということですので、作業をそういう期間を目途にやればいいのではないかというのがここで一つの目安として書いてあると。

【高宮氏】 その、「半年を目途に」とは、防除地域のある程度具体的な場所とか、あるいは防除のやり方とか、あるいは防除をするための対応とか、そういうことを半年以内に決めるということなんですか。それとも、これは「半年を目途に指定に向けた検討を進める」という意味と、そこのところの「検討を進める」という、それからスタートするというのか、その「防除」ということはそれとは切り離して直ちにやって、そして、ある程度の資料・データが出た段階で指定に入れると言うことなのですか。何を申し上げているかというと、今日の段階で、「指定に向けた」ということを明確に入れるということのコンセンサスがこの3回までにできているんでしょうかということなんですね。

【上杉企画官】 一つは、先ほどと同じなんですけれども、三つ目のポツに書いてございますように、合同調査委員会を立ち上げて、そこで作業をすると。作業の中身については[1]から[3]まで書いてあるとおりをイメージしているわけですが、防除であらゆる水域のどこをどうするというのは全部決め切るのはできないということだと思っておりますけれども、ここでは防除の指針ということで、いろいろな仕分けをしていく、考え方の整理をしていくということは十分にできるものというふうに考えています。それの作業が見えてくれば、一番上に書いていますように、法の円滑な運用と制度適用の実効性を確保するためにも、もし指定されたとした場合の防除のあり方をあわせて示していくことができるだろうということでございます。

【高宮氏】 今の、もし指定された場合と言うのならわかるんですけれど、現段階で「指定に向けて」というのが文言に入っているのは、もう100%前提にしてというとらえ方をされるので、そういう合同の調査委員会の状況を踏まえて検討するというようなとらえ方でいいんですかという話です。

【多紀座長】 それに関連して、水口委員も一緒にやってください。

【水口委員】 今のところは微妙なんですけれども、そのことと絡んで今の6番目のところというのは、基本的にはいろいろな水体でオオクチバスをどう扱うかを、いわばグループ分けするということだと思うので。
 実は、環境省が編集した、お手元にありますこの報告書でも、実はその作業まで行きかけたんですけれども、時間的に期限切れになったという実態がございます。そして、ただ、この報告書というのは完全なデスクワークで、今までの知見を検討しただけなんです。ここに書いてあることは、これは大変なことを考えているわけで、[1]のために必要な現地調査及びケーススタディ分析を含めた全国の生息状況や被害状況の把握ということがありますね。これを文言どおりとったら、これ、大変な調査の時間とお金がかかるわけです。
 ですから、結局は、こういうのは何でもそうなんですけれども、お役所がやると、予算の切れ目が縁の切れ目で、もう予算がなくなったからそれでもう結論を出すんだみたいにならざるを得ないんですね。そういう意味では、この段階で、これは来年度予算でやる部分が多いわけですけれども、今年度でもできるところもありますけれども、これは具体的にどのぐらいの予算を考えられているのかというのを聞いておかないと。これはもう、1,000万円しかないからそれで終わりだという話になれば、お役所としてはそういうことになっちゃうんですよね。

【多紀座長】事務局からお答え願います。

【上杉企画官】 予算については、関係するところにそれぞれ主体として関わっていただく中でご相談をしていきたいというふうに思っています。
 それで、実は今ご紹介をいただいたような調査報告書で一部、そういう方向性の議論をもちろんしているわけですけれども、その中で、全く、今、現状で知見・情報がないかといえばそういうことはないわけでありまして、それなりに各地域地域に情報は当然あるわけです。そういう意味で、我々はまず、そういう既存の情報をしっかり集めて整理・分析をすると。
 それから、2番目のところに書いてございますような、現地調査及びケーススタディ分析というのもまさにモデル的に見ていけば、一般的な指針づくりができるだろうということを中心に考えております。
 そういう意味で、これはまた二つ目の黒ポツのところに戻るんですけれども、関係者が全体大同団結してやっていくと。そういう意味では、釣り関係者の方の情報も、当然、我々としてはすごく期待をしているところでございますし、自治体の方にも当然ながらいろんな面で関わっていただいて情報提供もしていただくと。そういうような全体的な枠組みを考えていくということだろうと思っております。

【多紀座長】 ちょっと付け加えさせてください。確かに全国の生息状況という字面で言うと、この辺の、確かに文言はちょっと注意した方がいいのかなという感じもなきにしもあらずです。それから、調査というと、何か実査のみのようだけれども、データの収集整理などもかなり大きな比重を占めるわけですよね。
 では、水口さん。

【水口委員】 私は何も全国の生息状況だから悉皆調査をやらないからといって、かみつくつもりは全くありませんので。
 ただ、大事なことは、この委員会のときの報告書はそれぞれの人が言ったものを具体的に検討しないでそのまま載せているんです。この委員会でもこれまでそうなんです。皆さん、各委員がこういう研究報告がありましたかと言うと、それの内容までは精査していないんですよね。ああそうですかで終わっているんで、やはり大事なのは、例えば私は1回目のときに環境省の挙げている伊豆沼というのはいいだろうということを言いましたけれども、その後のいろいろな議論の中では伊豆沼ももう少しいろいろな観点から検討しなければいけないということを申し上げていると思うので。ですから、この合同調査委員会の中では、幾つかのグループに分けて、そのモデルケースについてやはりきちんと調査すると。そうすると、幾ら何でも、普通、研究者は半年でそういうのをやるというのは非常に難しいんですよね。環境条件とかいろいろなものがあるので。もう最低1年は、まず。それでも本当の研究者はそれでだめなんですけれども、これは研究報告を出すわけじゃないからいいですけれども、ただ、余りにも半年というのは、特に今からだと7月までということですよね。そうすると、いろんな子供が生まれて増えているかどうかのチェックもできないんですよね。大事なことは、防除して、親がいなくなったならば次の再生産がないかどうかも確認しないと、効果というのはチェックできませんよね。そうなると、7月で終わるというんでは、もう、ちょっと、幾らなんでも問題があり過ぎだと思うんですけれども。

【多紀座長】 要するに防除を続けてその効果を見てからという意味ですか、今おっしゃっているのは。

【水口委員】 いやいや。

【多紀座長】 でなくて。

【水口委員】 内容はわからないんですけれども。

【多紀座長】 だから、この半年というのは、産卵期のことを頭に入れていたんじゃないかと思うんですよ。いかがなんですか、この辺は。

【上杉企画官】 一応念頭には置いてございます。それで、例えば今、伊豆沼が例に出ておりますけれども、伊豆沼自体も既にいろいろな報告書が出ております。そういう意味で、既存の知見は十分に活用するという前提だと思っております。
 それから、まさに水口先生がおっしゃったとおりだと思うんですけれども、悉皆的にやるというよりは、そういう意味ではモデル的に方向性を決めるための必要なデータをきっちり整理すると。そうしていけば、[1]にいう指針というものがちゃんとでき上がっていくというふうな趣旨でございます。

【水口委員】 はい。その産卵期を入れてあるというのは、それは当然なんですけれども、結局は完全排除、封じ込め、影響の低減等といった目標を掲げるためには、産卵期の何らかの具体的な防除策をやって、その結果を見ないと。すなわち再生産というか、稚魚の出現、そして加入がどうなったかを見ないとやれないんじゃないですか。進めないんじゃないですか。そのモデル自体もつくれないんじゃないんですか。

【多紀座長】 その辺、皆さん、いかがですか。1年やるより2年やった方がいいと。

【水口委員】 そこまでは言わない。
 最低限1年は必要なんじゃないですかと。

【多紀座長】 來田さん。

【來田氏】 ここで半年とか1年とか、日にちを入れますと、この内容をずっと見ておりますと、恐らく先生方にとっては大変不満な部分が多いであろうと思うんです。これはもう、これまでのご主張から見ても十分わかると。ここで日にちを限るということをやめにして、誠心誠意頑張りましょうという相互の信頼関係さえ成立すれば、本来は何の問題もないと思います。

【多紀座長】 丸山委員。

【丸山委員】 ちょっとあきれ果てて発言を控えておったんですけれども、何か言っておかないと、何も意見がなかったと言われたら困りますので、ちょっと言わせていただきますが。
 ちょっと來田さんにお聞きしますが、ブラックバス釣りに関していろいろな社会的な話題になっているということをご存じになったのはいつですか。何年前ですか。

【來田氏】 私が一番最初に問題にしました、25年、経過いたします。

【丸山委員】 前ですね。
 高宮さん、いかがですか。何年ぐらい前から認識されました。社会問題として取り上げる声があるということは。

【高宮氏】 私は七、八年ぐらい前。

【丸山委員】 前ですね。これは、今言われている半年とかという年月と比べますとずっと長い、昔から認識しておられる。今までの間に、バスはそんなことはないと、言うあれではないということを証明するような証拠等、どれだけされたのか。もしあるならば、なぜその資料をここに出されないのか。その辺、ちょっとお聞きしたい。

【來田氏】 私がご返事申し上げます。
 バスが在来魚に影響があるということを言い始めて25年経過しております。ですから、その間に何かできたかと言われれば、それは私としては非常に心に手痛い思いをずっと抱えてきております。そのことは既に丸山先生もご存じであろうと思う。ですけれども、その25年前から現在に至るまでの、いわば社会的な変動といいますか、バスについてもっと考えましょうという考え方は、最近、特に、この環境省の、この問題ができて以来、随分と喚起されていると思うんです。今を除いて、この問題に手をつけるチャンスはもはやあるまいと思っております。ですから、何とかしてここで着手したい。
 これとは別に、非常に多数の若い人たちがバスを非常に大切に思い、バス一筋で、現在、バス釣りを目標に生きているのも、これ、大げさなようですけれども、現状だと思うんです。ですから、その人たちの感情を少しずつきちんと理解させてやるための年月という、年月まで行きません、お時間をちょうだいしたい。
 ですから、例えば、今ここで私がなぜ半年を嫌がるかといいますと、この中で既にある漁業規則と今度の法律との整合性を検討するだけでも半年はかかると思うんですよ。これまで私の知見ではどうもその部分にひっかかっておりまして、具体的プランをつくれずにおりました。ですから、今後、これを急速に進めていただいて、これまでの法律をどう活用し、新しい枠組みをつくっていくかをご相談いただきたい。そして、その上で対策を考えておきたいというふうな提案を含めまして、サンプルをつくりますのに、我々としてはできるだけわかりやすい、みんなにわかってもらいやすいサンプルを大至急用意して、先生方のご意向を聞きたいと思うんです。ただただ申し上げているのは、ここで半年というお約束が非常につらい立場にありますよと。ですから、ここは決して争いの場にしてはならないと思いますし、その辺で、ただ一つ二つの言葉のことでこの話を壊したくないと思いますので、私の、また、釣り人の心情と言うと笑われるかもわかりませんが、私の心情をご理解いただければなという希望でございます。

【多紀座長】 橋本さんは今まで発言がないですから。

【橋本氏】 私ども全内漁連とすれば、半年も待たされるのかというのが、私ども全国の漁業者の意見で、これを漁業者にどう説明するかと困っておるわけですけれども、それはさておきまして、今、生物的な話も出ましたけれども、先ほどお話がありましたように、センサスが20万しかいないと。300万のうち280万が、不法に、どうなっているかわからない世界です、と。そこは、もう、今日からやらないとまずいんじゃないか。その280万がどうなっているかわからないんですよ、先ほどの数字。ですから、そんな放置していいんですかと、それはもう管理しないとまずいんじゃないかというのが、この前の数字で特に感じました。
 そういう面で、半年も待てないというのが本当の私どもの気持ちで、まあ、半年が決まったら、そこまでは私どもも漁業者に説得して、半年我慢してくれという言い方しかないので、そこは私どもの意見です。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 ここで一言言わせてください。半年というのはいろいろあって、水口委員がおっしゃるように、本当に生物学的調査をするんだったら、やはり3年ぐらいはしなければならないと。そういう意味の長期調査も、もちろん、合同調査委員会でやるけれども、ここでいう調査は法律の実際の適用を検討するためにはどのような防除の方法があって、どのような優先順位があるか、例えば、多様性の高いところや希少種が生息するところはどうするかとか、止水と流水をどう考えるかといった基本的なことを既存のデータを主にして、さらにそれを補足補強するために実際のケーススタディを行うということというふうに私は理解をしております。

【高宮氏】 さっき質問が丸山先生から、先ほど日釣振に対しての考え方ということでご質問がありましたので、「この何年間か、バス等の外来種が在来種に与える影響についてほとんど反論を具体的にされてこなかったがそれはどういうことか」ということだったと思うんですが、これは、私どもが関わって、実質的にはもう6年ぐらいになると思うんですけど、その間に恐らくバスに関して五、六百ページ以上の資料を出してきたと思っています。全国の事例とか文献とか、在来種に与える影響度合いというのがそれほど多くないというようなことについて、私どもでもそれを反論すべく、いろいろな地域のデータを出して、実際は霞ケ浦の問題とか、あるいは琵琶湖もそうですけど、特に工業排水や農薬など水質の問題等、そういうものについてもずっと出してきましたので、それはホームページでもかなりの内容が出ておりますので、御覧をいただきたい。
 それから、今の全内さんのことに対しては、今回はもう反論は一切しないと思っていましたけど、今もバス釣人口が20万人と言われていましたけれども、これは第11次漁業センサスでも90万人と出ているわけですね。その90万人というのが、ここに県別のバス釣人口が全部出ているんですけど、そのうちの10県ぐらいがゼロになっているんですね。一番、今、キャッチアンドリリース禁止で大きな話題となっている秋田県の八郎潟でも、バス釣り人がゼロになっているわけです。ゼロということは、これ、わからないからゼロになっているわけで、結局調査をされていない、あるいは知見がないわけですね。ですから、先般も水産庁の方からご説明がありましたように、漁業権がある場所で、わかるところだけでは90万人ですよ、それ以外のことはわからないということですから、今のように90万人と300万人の差が、密放流とか、把握されていないとか、そういうことではないと思っています。2001年には、バスの有効利用を願って、108万人の署名運動もあり、当時の水産庁長官に提出した経緯もありますし、滋賀県だけでも琵琶湖へ年間70万人のバス釣り人が来ていると公式発表されています。

【多紀座長】 いや、ですから、この委員会としては、今の人口問題これ以上取り上げないこととしたいと思います。

【高宮氏】 いやいや、だから、それに対して、もうコメントは要らないんですけど、一応そういうことは正確に理解をして頂きたいと思います。

【多紀座長】 わかりました。

【高宮氏】 前回の漁業者が62万とこだわられるけど、水産庁の発表では漁を業いとしている専業漁業者は4万1,600人という数字が出されていますので、それはきちっと事実を踏まえて申し上げてくださいということです。

【多紀座長】 はい、わかりました。
 中井委員。

【中井委員】 今、座長から打ちどめということだったんですけれど、人数に関わる部分について少しだけコメントさせていただきたいんですけど。
 今、漁業者の方が何十万人もおられるという。これは、今、困っている人たちですよね。片や、釣り人の方は何十万か何百万か知らないけど、これまたたくさんいる。これは、今もある程度困っているかもしれないけれども、これから先、もっと困るかもしれないと不安になっている人たちです。これらどっちも大きい数ですよね。今困っているか、これから困るかもしれないかという人たちの、どちらの側にもたくさんの人数がいるというお話なんですけど、結局この法律でやろうとしているのは、別に困る人を増やそうとする、そんな法律ではないはずなんですよね。今困っている人をできるだけ減らしていき、これから困る人をできるだけないように配慮していこうという方向性で考えていただくと、いままでやってきた数の多い少ないというのは、余り議論をする必要はないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 瀬能さん、何か。

【瀬能委員】 何も言わないと全部合意したものとみなされるようですので、ちょっと事務局の方にお伺いしたいんですが。
 今の、これまでの説明を聞いていますと、この「半年を目途に指定に向けた検討を進める」というのは、指定された場合の防除の指針というか、枠組みみたいなものを、この半年を目途に進めていくというふうに今理解したんですが。ということは、指定については、当然その間に検討は進められるんでしょうけれども、半年を目途にして指定されるか、あるいは指定を前提にという意味とは全く異なるというふうに今とらえたんですが。その場合、ちょっと視点を変えて、いろいろこれから議論が進む中で、もし指定がされないというような場合があるとすれば、それはどういう理由によると想定されるんでしょうか。

【多紀座長】 事務局、お願いします。

【上杉企画官】 あくまでも、ここに書いてございますように、本法の枠組みの活用は非常に重要であるというふうに考えております。そういう意味で、指定に向けた検討をするというふうに書いております。

【瀬能委員】 いや、ですから、もし仮にですよ、指定されないというような結論が出るとすれば、それはどういう理由によってなのかという、想定される理由を考えておられることをお示しいただければと思います。

【上杉企画官】 そういう意味では、指定されない場合があればという、イフの話だと思うんですけれども、そういうことは、今、想定をしていないわけですね。ここで想定しておりますのは、あくまでもこの法律の枠組みの活用は非常に重要であるということがありまして、なおかつ、防除の指針という法律においても非常に重要な観点についてはもう少し詰めなければいけない作業が残っている。そういう作業をした上で、指定に向けた検討を進めますというのが今回の報告の、そういう意味で一番核心部分になっていると。

【瀬能委員】 わかりました。

【多紀座長】 いいですか、それで。

【來田氏】 今のお話で。

【多紀座長】 では、來田さん。

【來田氏】 指針をつくるために半年ということですか。今、瀬能さんのおっしゃった。指針をつくるための半年ですね。

【瀬能委員】 そういうふうにとらえましたが。

【來田氏】 はい。では、そういうふうにとらえていただけるなら、私は別に異存はございません。

【多紀座長】 今おっしゃっているのは、防除の指針をということですか。

【來田氏】 いや、要するに、「半年を目途に指定に向けた検討を始める」ということになっていますから、では、半年でそれだけの議論とかサンプルが進めるかという話でありましてね、私が申しておりますのは。でも、防除の方向を決めるということであれば、早い話が、この会議の先生方とちょっとお話しして、あそこをどうしても私はバスがいちゃいけない場所だと思っている場所があるわけですよね。そこから、じゃあ、帰ったらみんなとすぐに始めましょうという話は可能なわけですよ。でも、半年後に指定を検討するだけに読んでしまうと、これはちょっと力が及ばないなと、こういう話でありまして。ですから、今、瀬能先生のおっしゃったようなお話であれば、これは問題ないのではないかなということでございます。

【多紀座長】 何ですか、瀬能委員がおっしゃったのは……。

【瀬能委員】 だから、いや、これまでの説明を聞いていますと、要するに指定された場合の防除の指針というものを、既存の知見ですとかを総合して、多少現地調査なんかもあるんでしょうけども、要はこれまであるものを中心につくり上げていくというふうに、この半年というのは理解したんですが。ですから、要するに指定するかしないかの決定というのは、またさらにその先なのかというふうに、今の時点では僕は理解しています。

【多紀座長】 前段の、そのために研究というか調査をするというのは、私もそのとおりだと思います。ただし、指定ありかなしかということについては、これこそ事務局にお答えをお願いする以外は。目途にということ自体が、実際、非常に苦心の一策だろうと。私は、初めメモをしたときには、ASAPと書いたんですよ。“as soon as possible”、できるだけ早くというのを、私は2カ月とか3カ月ぐらいとイメージをしていたんです。実際の文章では「半年を目途に」になりましたが。これを7カ月にしても1年にしても、書かないと、本当にいつやるのかというその決意が伝わってこないですよね。

【瀬能委員】 いや、ですから、これは半年と書かれていますけど、今、私の理解では、全然指定に関しての具体的なめどが書かれているというふうには理解していませんので。だから、後でまたいろいろと言いたいことはありますけれども、とりあえず今の時点での、この議論のここまでの中では、この半年というのは、あくまで防除の指針を示すだけの期限なんだなというふうにとらえていますが。

【多紀座長】 そうですか。そういうふうにとらえているということですけれども、事務局、いかがですか。

【上杉企画官】 調査委員会で防除に係る指針というものがある程度示されれば、実は、この上にずっと述べてきていますように、法律の面で見たときに、今、何が課題で残っているかということで言えば、防除の部分が十分まだ明らかにされていないところが課題ですよということを述べてきているつもりです。そういう意味で、そういうことをちゃんと整理をしていった上で指定に向けた検討を進めるのです、ということを述べています。

【瀬能委員】 ですから、もしそうだとすれば、あくまで指定というものが前提に防除のいろいろなそういう枠組みなり指針なりという議論がされるということであれば理解できるんですが、指定するかしないかということを議論するために、この防除の枠組みを検討するということであれば、指定するかどうかを決めるために、その防除の枠組みを議論するということであれば、それはちょっと話がおかしいんではないかと思います。

【多紀座長】 私は半年を、ですから、指定のためのものだと思っています。いろいろな問題を抱えているバス釣りなので、この法律をいかに影響が少なく有効に適用できるか、たとえば防除には完全駆除もあるし個体数のコントロールもあり、その辺あたりの見当をつけないと安心して指定できない。そのような意味だと私は思っているんですけれども。

【高宮氏】 私どもの今回の提案の中でも、現状のような状況では指定されるべきではないということは書いてありますが、同時に、今回、特定指定に向けた小グループ委員会で現実に沿った別紙の――別紙というのはこの2枚目に書かれている要望事項ですけど――を前提とした上で、「当振興会では、将来に向けて広くバスフィッシングのあり方及び健全性を伝えていく為にも、バス釣りそのものに関する今回の法律の主旨をできるだけ正確に広報し、普及していく」とともに、「在来種への影響を鑑み、オオクチバスの特定外来生物の指定も見据えた検討に一緒に関わってまいります」、ということをここの中で書いています。今まではもう、特定に入れるべきではないということだけで言っていましたが、この3回の議論の中で、いろいろな選択肢があって、また、そういうことを視野に入れたこともやっていく。それは、必ずしも釣り人にとってマイナスの部分だけかというと、場合によっては、先ほどの密放流の疑義とか、あるいはこのキャッチアンドリリースの正当性というのをきちんと伝えていく場になる可能性もあるということですから、そういうこともすべてをオープンにして、いろいろな場に臨まなければいけないというのが今の日釣振の考え方です。
 ですから、今日の段階で特定の指定に向けたというのが前提ということでこの議論が進められるということになると、やはり我々は「特定も視野に入れた前向きな議論の場には積極的に出ていこう。そして、具体的な提案をしていこう」という事になると思います。これからやらなければならない事は、合同の調査委員会とか、防除に向けての、いろいろなことがあります。これはやはり釣り人とか釣り関係者が一体となってやらないと実現はなかなか難しいというふうに思っておりますので、そういう部分はぜひ直ちに協力をさせていただくということには異論はないんですけれども、何度も申し上げますように、先ほども水口先生からも言われたように、やはり最低1年ぐらいの時間はこの問題を協議するのにかかるんではないかなというふうに思っていますので、そことそこのところを何とかやりかえていただきたいというふうな思いが当会にはあります。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 丸山さん。

【丸山委員】 ちょっとよろしいですか。非常に話が錯綜していて、私、頭でとらえきれないんですけれども、最初の段階で、高宮さん、この取りまとめの最初から3回目までも、必ずしも共通認識に達していないと。バスの被害そのものにも異論があるし、密放流に対しても異論があるとおっしゃった。先ほどお聞きしましたら、日本釣振興会として、バスの無害性について非常にたくさんの資料をお持ちだと。その資料を具体的に今回お出しになりましたか。

【高宮氏】 当会の資料の中には、オオクチバスが無害と表現したものはないと思います。在来種減少の要因は複合的な要因があるという資料は、これまでも一部はもちろん出していますが、全部は出しておりません。それは環境省事務局から委員の資料を全部持ち寄って欲しいというような依頼はなかったからです。過去の資料を全部持ち寄って、それぞれの人達が議論するというような事は、とても時間が無いからだと思います。また当初から、そういうことではなくて、もともと事務局からは、そういう過去に出した資料や発言についてそれぞれ議論するのではなくて、これからの前向きな議論に向けてしっかりやってくださいということでしたので、我々もそう認識しておりました。従って、我々もそういう資料は一部しか出しておりません。

【丸山委員】 それを出すのは半年もかかりませんよね、まとめるのはね。

【高宮氏】 そうです。それはそんなにかかりません。

【丸山委員】 私自身、そこら辺で、だから、半年待てば、本当に何が出てくるんだろうかと。本当にその……。

【高宮氏】 それは事務局からも座長からも話が出ているように、半年間というのは防除の仕組みや合同調査委員会等を実施して、多くの問題を抱えているバス釣りを、出来るだけ円滑に進めていく為の準備期間だと思います。会議の中でも、具体的な防除の優先地域や防除に対するしくみや考え方は今までほとんど議論されてこなかったと思うんですね。

【丸山委員】 地域って、それぞれの地域に住んでいる方がいらっしゃるし、釣りをしている方がいらっしゃるんですよ。それを半年でどうやって合意に達することができるのか、私はどうしても信じられない。

【高宮氏】 いやいや、そうではない。合意とかではなくて、この委員会の中で、既に資料のあるものをそれぞれが持ち寄って、それが適正かどうか、そういうものをこの中で話し合って、優先順位のものからやっていきましょうと言われていたと思います。そういうことに関して我々は、合同の魚類調査委員会の設置は、もともと非常に不透明な部分が多いので、きちっと環境省・水産庁など公的機関も入って一緒になってされるということに対しては、当初から望んでおったわけですから、そういうことがされるというので、そういうことに関してはできるだけの協力はさせていただきますよということです。

【丸山委員】 何か話がどんどんずれていっているような気がするんだけど……。

【高宮氏】 いや、全然ずれていないと思う。事務局の方から、できれば再度ご説明して頂ければと思います。

【丸山委員】 ちょっと聞きたいのは、例えば他の種、今回リストアップされようとしているのについて、こんな、非常に突っ込んだ議論はされているんですか、それぞれの種で。

【上杉企画官】 こういう小グループを設けているのは二つであります。セイヨウオオマルハナバチとこのオオクチバスですが、他にも個別の種で個々に、深い議論をしているのは、例えば昆虫の中で言うと、クワガタ類なんかは個別の専門家の方に来ていただいてヒアリングをするというようなことをやっている部分もあります。

【丸山委員】 となると……。

【上杉企画官】 今の話で少し補足をさせていただきますと、ここで具体的な調査委員会で作業を行う中身は、あらゆる水面の当てはめをしようということではありませんで、あくまでも防除の指針をつくるということでございます。それは、先ほどからありますように防除の方法を新たに開発していくということではなくて、今、いろいろなやり方がされておりますので、それはそれで検証なりも当然されている前提で、そういうことを活用しつつやるということが想定されると思っております。

【多紀座長】 では、水口さん。

【水口委員】 今日で4回目になりますけれども、この委員会、どうも混乱しているんですよね。というのは、防除というのは、ある意味では、1回目に言いましたように、地域指定で、ある程度片がつく問題なんです。それから、輸入等の規制は、これは全国的にやらないとだめだと。それから、今度、そういうものを法律で枠組みをつくるために、法で指定しなければいけないという、三つの局面があるんですよね。今議論しているのは防除の指針をつくるために半年あればいいという話なんですけれども、それは産卵と加入の問題を考えれば、私は最低1年は必要だというのが考えですけれども、それはそれとして、あと輸入等については、またこれは別の法律でもできるし、そういう例が諸外国では多いわけで、そういうことができる。問題なのは、最後の、指定ということなんですよね。実は、釣り関係者を含めてオオクチバスに関心を持つ人たちが一番心配しているのは、この指定ということによって、この魚は悪者であると、防除されて当然だという烙印を押されるということなんです。法で烙印を押すわけですから。さらに怖いのは、この中にすごいことが書いてあるんですよね、この文章の中で。被害防止のために、最後のところの黒ポツの二つ目ですけれども、「不可欠な防除については、防除のための行動及び情報双方の観点から関係者が大同団結し、国民運動的に取り組んでいく」って。何ですか、この「国民運動」というのは。これは何かもう、敵前上陸に竹やりでやるのを、もう半年間訓練してやりましょうみたいな話で、国民運動というのはよくわからないんですよね。それが怖いんですよ。国民運動として、国民の総意で指定されて、これは悪い魚なんだとなることが私は一番問題だと思うので。
 そういう意味で、きちんと整理して、指定することと、防除の指針をつくることと、それから、輸入等のいろいろな法の中の他の問題とは、何も指定ということをしなくてもできるんじゃないかというのは1回目から言っていることですけれども、そういう検討はされていないですよね。基本的にはもう法ありきで始まったこの委員会ですから。そこのところを、ちょっと整理されていないから今みたいな錯綜した考え方が出てきて、はっきり言って環境省もお困りだと思うんですよね。これ、言われても整理がつかないんですから。もともと、法の体系がおかしいから。

【上杉企画官】 そこははっきりしていると思っております。法律上、そもそも、この被害防止のために何をするかといえば、輸入等、あるいは流通等の規制という部分と、現にあるものについては、それをどのように防除していくかというのは、これは総合的にやらなければいけない話です。両方とも欠かせない話になっております。ただし、今回、課題として残っているのは、要するに防除と言っている部分ですが、現にある場所で、具体的に何か被害が起こっている場合、それをどのように対処していくのか。そういうことについて、まだ十分考え方が整理されていないと。そこを整理したいということでございます。そういう意味では、ここの中で、そこを分けて整理をして上段の方では書いておりますけれども、まだ十分整理されていない部分について早急にそこを整理するための取り組みをしたいということでございます。

【水口委員】 これまでの議論の整理の中に、指定することの是非ということについての合意形成といいますか、それについての議論の結果というものは、ないと思うんですよね。いろいろな意見が、両方から出てきて、それはそのままになっているんです。ですから、それと防除についてとか、それはここに書いてあるとおりでいいと思うんですけれども、そうすると、検討の段階で防除の指針をつくると同時に、やはり指定についての合意形成ということも並行して必要だと思うんですよね。時限的に防除の指針ができたら、それは指定の合意形成ができたということではないというのはおわかりだと思うんですけれども。

【上杉企画官】 そういう意味では、「指定に向けた検討をする」という表現をしております。

【水口委員】 そうすると、瀬能委員の意見で僕はいいと思うんですけど、それではないんでしょう、やっぱり。瀬能さんは半年間で指針をつくって、その後、指定するかどうかを議論するという、そういうことですよね、瀬能さんはね。私もそういうふうに考えるんですけど、そうだとおっしゃっていないですよね、環境省としては。

【上杉企画官】 趣旨は非常に同じようなことだと思っております。

【多紀座長】 橋本さん。

【橋本氏】 すみません、いいですか。先ほどからご議論されているんですけど、私の頭にあるのは、もう全国の漁業者にどういう言いわけをするかとか考えているんですけれども、例えばこんな考え方でよろしいんですか。本当は今、直ちに指定してもいいんですけれども、準備ができていないので指定しても意味がないと。何も動かないから。じゃあ、その準備期間ができた時点で指定すればいいんじゃないかと、そういう考え方でよろしいんですか。そういう物の考え方で私ども、漁業者に説明したいと。そうであれば、6カ月も待たなくて、3カ月で準備ができれば3カ月でやってもいいんじゃないかと思います。目途ですから、早めてもいいんじゃないかと、そんなふうにも思いまして、ちょっと私どもも、対外的に62万の漁業者に説明しないといけないので、非常に、実は頭の中はそっちでいっぱいでありまして、そこの整理としてはそういう考え方でよろしければ、本当は今指定してもいいんだけれども、ちょっと準備期間、指定しても動かないんだから、どうせ動かないものは準備ができたところで動いたと同じだからと、ちょっと待ってくれと、そういう物の考え方でよろしいかなと。ちょっとお願いですけれども。

【多紀座長】 來田さん。

【來田氏】 今、全内漁連さんがおっしゃいました。私どもは全内魚連さんは釣り人の非常に大切なパートナーであると思っております。また、そのようにしてこれまで接触してまいりましたけれども、事実上、これ、私が頭を痛めておりますのは、全内漁連さんの中にもバスを有効利用したいという非常に強い希望を持っておられたり、既に別の形で有効利用しておられる方がかなりおられるわけです。ですから、あえてそのことを話題にせずに、ともかく一つずつのケースについて先生方とご相談を申し上げていこうというふうな考え方で来ておりますので、人様の内側のことでまことに失礼ではありますけれども、今後時間をかけて、ともかくみんなで納得できる形というのをご相談申し上げるということで、ひとつ、文言一つずつにこだわっておりますと本当にいつまでたっても合意形成ができないと思いますので、その辺ひとつ、座長、よろしくお願いいたします。

【多紀座長】 座長があまり自分の意見を言うと、またご注意をこうむりますので、なるべく差し控えますけど、いろいろな、確かに瀬能さんのおっしゃったことについて今、イエスともなかなか言えない立場にあるのかなと。ただし、その辺で一応の合意ができないものですかね。
 中井さん、どうぞ。

【中井委員】 私の立場から本音を言えば、当然、すぐにでも指定されるべきものだという認識です。きっと私たちと同じような立場の人からすれば、何で今さら半年待たないといけないのか、腰が引けて何事か、というような批判すら受けることでしょう。そのことを甘んじて言えば、私は今回の半年程度時間を置くということについては、かなり前向きに考えている部分があります。それはなぜかというと、一つ、時間がかかる理由として、防除について、せめて指針ぐらいを立てないことには、選定した直後に動けないという現実的な問題があると思うんですね。そして、もう一方で、特に、日釣振さんとか全釣り協さんの主張でもあるように、資料3の裏側の頭ですね、(理解が十分に行き届かないために)混乱が生じてしまうだろうという懸念もある。せっかくこの法律を、ちゃんと認知してもらい、実際それを受け入れてもらうための準備といいますか、それでどうしてもそういう時間があった方がいいという事情があるというのは、私はそのとおりでしょう。間に立つ立場である事務局としては、そのとおりではないかと思うんですね。ただ、気をつけておきたいのは、防除の指針のいかんに関わらず、指定されるべきかどうかというのは、決まってくるはずなんです。防除できるからする、できない、あるいは難しいからしない、という話では絶対ないのです。そういう問題ではないということは、まず共通認識にすべきではないかと私は思います。
 それと、後のはちょっと後から言います。すみません。

【多紀座長】 今、釣り人がときには不当に悪者みたいに思われている面はあるだろうと思いますけど、バスがある場所、ある局面においては生態的にかなりの影響を及ぼしていることも事実なんですよね。ただし、いま一挙に特定してしまえば大きな混乱が起こるからこそ、この小グループができているわけですので、來田さんがおっしゃったとおり、何か玉虫色のような書き方ですけれども、中井さんがおっしゃったように、それは混乱をなるべく少なくして、しかも規制もうまく実施され、利用する人にも一番被害・影響の少ない方途を探る期間であるというふうに私は皆さんに理解をしていただければありがたいと思うのです。
 どうぞ、日釣振さん。

【高宮氏】 確かにそれぞれのお立場がありますし、こういう場でなかなか、一つの方向性に皆さんの意見がまとまるというのはやっぱり非常に難しいとは私どもも思っております。幾つかの選択肢の中で、今、一番いいことがどういうことかということは事務局としても判断せざるを得ないということは、当会でも理解できるのですけど、ただ、対策や実態の中で、幾つかのことは認識しておかなければいけないと。例えば、今、世界に60カ国以上でオオクチバスが生息しているというふうに思いますが、原産国のアメリカ以外は全て外来移入種という事になります。その中で、数カ国かは確かに海外からの移入とか、あるいは国内移動についての制限はありますけど、国の予算をつけて、オオクチバスの駆除ということ法律を作って規制している国は一つもないんですね。これは世界で日本が初めてということになるわけですから、いろいろな国がオオクチバスの影響があると予想される中で、日本だけで特別に法制化するという事は、これはいろいろな国々で同じようなところもあると思っていますので、そういう海外の取り組みも踏まえて、やはりこれは慎重の上にも慎重を重ねた議論が必要ではないかなというふうに思っています。

【中井委員】 確かにオオクチバスの生息する国が非常にたくさんあるのは私も存じておりますけれども、それではそれぞれのそういう国々で、例えばバス釣り人300万人、あるいは経済効果が何百億か何千億か知りませんけど、その規模でバス釣りがはやっている国というのはありますか。アメリカ本国は除いてですよ。アメリカ本国以外で。

【高宮氏】 スペイン、フランス、それから、今、中国、韓国、人口比でいけばそれほど変わらないぐらいの――中国は、今、スタートして、まだ10年ぐらいしかなりませんけど、台湾とか韓国とか、それからスペイン、フランス、こういうような国は非常にバスフィッシングが盛んな国です。アメリカはもう原産国ですから当然ですが、バス釣人口は1500万人以上と言われています。数でも比率でも日本よりもずっと高いですね。

【多紀座長】 その辺はともかくとしまして、これは座長としてのご提案なんですけども、「半年を目途に指定に向けた検討を進める」というのは、ある意味では玉虫色で、魚類学者の方は魚類学者としての、内水面漁業業界の人は内水面漁業業界としての不満があり、また釣り人たちには釣り人たちの不満がありましょうが、これまで4回、議論を重ねてきて、30度ぐらい違うのかもしれないけど、皆さん同じような方向を向いてことを運んでいこうよという合意はできていると思うんですよ。それで、この取り扱いについての案は、一つ一つの文言には、例えば水口さんがおっしゃるとおり「国民運動として」といったちょっとぎょっとするところはありますが、将来的に改編できるところは改編するということを条件として、この案を基本的にお認め願いたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

【橋本氏】 賛成です。

【多紀座長】 丸山さんは。

【丸山委員】 私はとても賛成しかねます。二つの理由です。一つは、この種の指定というのは被害の大きさ、及び今後の被害の拡散の程度、それで最終的に判断されるべき議論だと思います。それについては、既に不十分ながら我々の出せる資料は出しました。半年調査期間が延びようが、恐らく、そんなにこれ以上資料の質が変わるとは思いません。それに対して、日本釣振興会の方としても、今回の、これは会議には出しておられませんけれども、資料はあるとおっしゃっていますから、それを出していただいて、両方の資料をつけて親委員会に差し戻すと。それで十分だと私は思います。それ以外の、それぞれの釣り団体の中での意見調整その他、必要でしょうけれど、それは運用段階で調整すれば幾らでも済むことです。いつから、どういう形でこの法律を運用していくということは一切決められていませんので、それも決めてしまってから調整すれば十分じゃないかというのが私の意見です。

【多紀座長】 來田さん。

【來田氏】 私どもが最初から先生方にお願いしておりますのは、一つの法を実行しようと決める前に、要するにこの指定をしようという前に防除の方法やら対策を先に考えた上で法の網をかぶせるのは、それはいたし方がないけれども、まず法がありき、その中で処理をしろというのは話の筋が違うのではないか。まず、内容を検討させてほしいというのが私のスタンスでございますので、どちらが先かという話になるわけですが、その辺を、大変ありがたいことに、こういうふうにお扱いいただきましたので、私としてはこれ以上とやかく申し上げるべきではなく、むしろ私どもの立場を先生方に何とかご理解いただけたら、釣り人の心情というものの調整に時間がかかるということもご理解いただけたらと、お願いするということしかございません。

【多紀座長】 わかりました。
 水口さん。

【水口委員】 今の丸山委員のお考えは、今日欠席されている細谷委員のお考えとも、ほとんど同じなんですよね。被害はもう明らかになったから上に上げればいいだろうという。そうなりますと、私、前回、終わりそうになったので、4湖の問題はどうするのかとか、いろいろ言ったけど、そういうのは全部なしで上がってしまうわけです。それはやはりこの委員会としては問題ありなので。ですから、そういう意味では、今日出された取りまとめ案で、いろいろ問題はありますけれども、最後の部分が、多紀座長の玉虫色というのが議事録に載るでしょうから、これはまた、国民がそれこそ、運動じゃなくて、それぞれの関心を持って、どういう色にするかはまたこれからの話だと思うので、私はこれでやむを得ないと思います。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 何といいますか、玉虫色というのは、表現が玉虫色。確かに、初めに特定ありきじゃなければ防除をやっても意味はないという意見の方もいますよね。ただ、一方においては、どうやって影響を、痛みを軽減することがわからなければ特定はなかなかできないという意見もあるので、私としては、この一応今の文言で同意を求めたいのですが、丸山さん、どうですかね。

【高宮氏】 私ども意見をまだ言っていないので発言させて下さい。

【多紀座長】 はい。

【高宮氏】 日本釣振興会としては、これは恐らく最後のまとめの意見だと思います。今日も、またこれまでも、当会の基本的なスタンスというのはずっと伝えてまいりました。それ自体は変わってはいないんですが、やはりここは現実を見据えて、いかにいろいろな形で前進をするかということが非常に重要な局面に来ているというふうに思います。恐らく座長も環境省の方々も相当に苦慮をしてここまで持ってこられたものだと思っています。そしてまた、先ほどの、ここの一番最後が気になるところですが、これをどういうふうにそれぞれが理解するかというのは大分それぞれで違うと思いますけど、来月から具体的ないろいろな協議に入っていこうということ、これは現実的に非常に大事なことだと思っています。そういう部分で多少ひっかかるところはございますけど、これはここの小グループ委員会でやっぱり方向性をきちんと出すということは大事なことだというふうに思いますので、私どもとしてはこの案に対して、苦渋の選択ではございますが支持をせざるを得ないというふうに思います。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 そうしますと、丸山委員と瀬能委員、反対の意味で非常に苦渋の選択になるだろうと思いますけれども、いかがですか、この今の私の提案に。

【丸山委員】 はっきり申しまして、この提案というのは、全釣り協さんや日釣振さんにとってはいろいろメリットがあるかもしれません。我々にとって、何のメリットもないんです。

【多紀座長】 いや、我々にとってのメリットじゃなくて、法律にとってのメリットですよ。法の施行に対してのメリットです。

【丸山委員】 いや、両方の人間の思いというものが一致しなければ、この法案は有効にならないわけです。片方の方だけはその思いがある程度何かの形で入れられる可能性が出る。だけど、もう一方の方は……。

【多紀座長】 いや、もう一方の方も、そして、話が終わって、指定に向けていろいろと努力をするという道があるんじゃないですか。

【丸山委員】 はっきり言いますと、さっき言いましたように、25年間、あるいは六、七年間にわたって問題があることを知りながら、私に言わせれば、はっきり言いますと、ほとんど何もしないで来られた。その方がこれからはきちんとこの問題に取り組んでくださるだろうと思わせる担保、私はそれをまだ受け取ったという気がしないんです。なぜ、いまだに信じられないんです、私は。

【來田氏】 丸山先生とこういう問題で接触を始めて、10年でございます。私はずっと引き続けてオオクチバスを整理整頓すべきであると申し上げてまいりました。しかし、整理整頓することに賛成されなかったのはどちらであるかということをお考えいただきたい。それは、つまり、釣り人を信じられないから整理整頓にかからないということではなかったでしょうか。

【丸山委員】 その辺について、私、以前、魚類学会で出した本の中でかなり書いておいたつもりです。釣り人を信じられないなどとは書いておりません。具体的にもっといろいろ述べています。私はむしろ、そういう、今おっしゃっている言葉は、いわゆるすみ分けと言われる、駆除した魚を集める、飼養する場所をつくってほしいというストーリーから来ていると思いますけれど、それがいかに悲惨な結果を招くかと。それはアウシュビッツだというようなことを書いて、それは現場の釣り人たちに恐らく受け入れられないだろうと。彼らが受け入れられなければ効果を期待できない、という書き方をしております。

【多紀座長】 今、少なくとも、ひとつの土俵に上がって、みんなでお相撲をつくっていきましょうよというとき、その土俵を維持するということが一番大事なことじゃないんですか。ここでこれがもしも決裂すればどうなるんですか。

【丸山委員】 私自身は特に何か変わるという気もしておりません。

【多紀座長】 いや、私自身じゃなくて。法律は余り関係ないということですか。

【丸山委員】 じゃなくて、一つお聞きしますけど。
 この案をのまなければ、全国でどこでも我々の駆除に関する実験とか何かできないんでしょうか。違いますよね。これは環境省のリードでやられる、その調査のための駆除の、あるいは今後の指針をつくるための実験ですよね。ですから、それ以外は何も関係ないんですから、私自身は、はっきり言って、本当に、來田さんや高宮さんが、その言葉の一番の典型的な部分は、バスを悪者にするとか、バスのイメージが悪くなるといった表現をされる、そこでもう言い尽くされていると思うんですけれども。バスは悪くないということをもし本当におっしゃるつもりならば、悪くないバスを駆除することを業界として認めるという、その論法は非常に子供にとってわかりにくいですし、わざわざ悪いから駆除するという必要もありません。はっきり言うと、日本の在来資源を管理するために都合の悪い種というだけで構わないです。

【多紀座長】 日本在来の個体群を保護するためでしょう。

【丸山委員】 ですけど、そこのところで、イメージが悪くなるとか風評被害だとか、余り表に出されると、要するに本当にこの方々は在来種に対する被害というものを認めておられるのかというところから、はっきり言って、私、信じられない気がしています。

【多紀座長】 だから、そこまでクリアできなければ、丸山委員は賛成も反対も……。

【丸山委員】 だって、そのことをクリアできなかったから、半年待とうが、それは変わらないと思います。

【多紀座長】 瀬能さん、いかがですか。ちょっとお願いします。

【瀬能委員】 非常に、いろいろ発言するのが難しい状態になって困っちゃうんですが。
 要するに、全釣り協さんの方からさっき信じてくれみたいな話がありましたが、日釣振さんの方の説明を聞いていると、最初の方で会の立場を話されて、実際に出てきた資料の方に書かれていることと比べると随分食い違いといいますか矛盾しているなというふうに、まず最初に印象を持ちました。
 この会が始まる前に、この資料だけをざっと、ずっと見ていたんですけれども、非常に前向きにとらえられているなというふうに感じて、それだったら、例えばここに、最後の今の文言、問題になっている「指定に向けた」というところも、ひょっとすると信頼していいのかというふうに思えていたんですけれども、実際、話が出てくると、かなり違ったニュアンスのことでしたし、それからあと、事務局側からの説明も、この「半年」というのが「指定に向けた」というふうには書かれていますが、むしろいろいろなことを検討する期間ということにすぎず、実際には指定するかしないかというのは、どうもそれから始まるようなニュアンスというか、そういう意味合いのことを強く持ちました。
 それから、じゃあ、指定されない場合というのはどういう場合があるのかということをお聞きしたら、それは想定していないというふうにおっしゃられたわけですけれども、そういう状況の中で、この半年というものを、ここに書かれていることを納得がいくのかと聞かれれば、やはりちょっとこれまでの経緯からしても納得し切れないなと。ただ、この委員会自体を壊してしまうようなことは、やっぱり僕自身はあってはならないというふうに考えていますので、もう少し最後の一、二行のところを、もう少し明確にしていただきたい。そうしないと、やはり丸山さんの方がおっしゃったようなふうに考えざるを得ないのかなと。もう少し突っ込んで何とかならないんですか。この、「指定に向けた」というところが、半年という期限がどうも、指定するかしないかというか、そういう議論よりももっと前の段階の、防除の話に終始していると思うんですが。その話というのは、別に技術的な話でありますので、それが指定が決まっていても決まっていなくてもできる話ですよね。ということは、別に指定が前提になっていても特に問題ないんじゃないかと。
 それから、釣り人への心情という話も、これもよく理解できます。ですから、この半年という期限とは全く無関係に、今すぐからでもいろいろなPR活動、広報活動というか、そういったことを始めていただければ、その後ろがどこまで必要なのかというのはなかなか難しいですけども、その話は別に、釣り人への心情の配慮という点では、期限というのは特に半年とか1年とかって区切らなきゃいけないようなものでもないと思いますし、いつから始めなきゃいけないというものでもないと思うので、すぐにでも始めていただければ、もう少しこの最後の文言というのは変えられるんではないかというふうに思います。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 そうしますと、「半年を目途に」というところを例えばなくするとか、そういうこと。具体的には。

【瀬能委員】 だから、「指定に向けた検討」というのが何なのかということですよね。そこがもう少し明確にならないと非常に何か、不満じゃないな、何か疑いの目を向けざるを得ないというか、そういうふうに感じますね。

【多紀座長】 事務局、いかがですか、そこのあたり。

【上杉企画官】 ここの最後の文字だけではなくて、流れ全体をぜひ見ていただきたいなと思っております。そもそもこの法律の適用についての是非をずっと議論してきているわけでありまして、残っている課題は何かというところを、最後、防除の方向性というのは、実は法律の適用上、非常に重要な課題であるという認識をずっと述べてきております。そういうことを前提にした上で「指定に向けた検討を進める」ということでございます。

【水口委員】 この委員会、専門家が集まっていていろいろデータを出し合って検討するのに、日釣振その他がデータを出さないから、出せば話はつくというのが丸山さんの意見のようですけれども。一応、委員の表を見るとなかなかややこしくて、専門委員というのとはまた違う立場で出ているというのが一つはあるんですけれども。専門委員同士の議論の中で、この環境省の編集した報告書とレッドデータブックしか、私は資料を出していないんです。それで議論してくれと言うけど、他の専門委員、全部そのことについては避けているんですね。こんな専門家の委員会というのはないですよ。
 丸山さんも霞が浦について勝手なことを言っていましたけども、ずっと私は25年以上霞が浦で調べてきて、どう考えてもバスが被害を与えているというのは考えられないわけです。もう、つい最近は、被害を受けている代表のモツゴとかタナゴは増えているんですよね。バスは減りっ放しですけれども。そういうようなことを含めて、もう少しきちんと議論をしないと。ただ被害がある、被害がある、被害のないことを証明できないじゃないかというような議論をしていてもしょうがないわけで。
 そういう意味では、これはまた全然別の視点からいくと、この法律ができれば、例えば霞が浦のバスにとってみれば、自然物の権利として、もう完全なぬれぎぬなんですよね。そういう問題も出てくるわけで、私は法律的にも含めてきちんと対応しないとやはりだめなので、そういうためには、少なくともあと半年の期間は必要だろうということです。

【多紀座長】 丸山さん。

【丸山委員】 余りお話とは関係ないんですけれども、今言われた水口さんのお考えは知っていますけれども、それは誤っているというふうに思っておりまして。

【水口委員】 また議論しましょう。これからの委員会でゆっくり話し合いましょう。霞が浦について議論しましょう。

【多紀座長】 それはそれとして、いろいろあるけど、水口委員としてはこれで……。

【水口委員】 やむを得ない。

【多紀座長】 この際、やむを得ないと。
 どうしましょうね、こういうとき。

【橋本氏】 座長、全内は聞かれていないんですが。

【多紀座長】 ごめんなさい。では、ぜひ。

【橋本氏】 最後なので、難しい話をまとめていただきまして、名座長だったと思います。
 それで、あとお願いが、私どもが漁業者に説明するとき、また、座長、ひとついろいろな弁明のところでお願いをしたいと。それだけはお願いしまして、私の方はこの案で賛成いたします。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 そうすると、今、結局あとは、瀬能委員と丸山委員の、この最後の行についての意見ですけれども、その辺は環境省としてはいかがでしょうかね。
 それでは自然環境局長から一言お願いします。

【小野寺局長】 大変勉強になりました。ありがとうございました。勇気づけられました。
 分科会でおつくりになる文言を役人が何か妙なことを言うのはおかしなものですが、役人的な考え方から言うと、全体のここまで進めてきた経緯を、この文言ということではなくて経緯を含めて判断すると、正直申し上げて、これが限界ぎりぎりのところだろうと思います。
 我々として、事務局からもごもご言っていたのは、法律を運用するに当たって、実態の部分が非常に大事だから、もう一度専門家及び関係者が一定期間議論をして中身を詰めましょうよ、と。データを見、現場を見てやりましょうと、こういうことになったわけですね。そのときに、結果も見ずに、先取りしてある結論を、それも行政事務局が決まったごとく言うのは、ある種論理矛盾なんですね。これから専門の方にお願いをして話をして聞いて判断をしようと、こういう理屈の組み立てになっているものですから、それを今、行政が、いや、こういう形で先に何かがありきでというのは論理的におかしいということで、それは幾ら何でも僣越でしょうということで、事務局が苦渋の答弁を何度かしているので、特に丸山委員と瀬能委員から、もっと明快にと、こういうことなんだろうと思うんですけれど。そういう全体を含めた上で、プロセスはお願いをして議論をし、データを見、現場を見るということであるから、その上で判断するというのは、受けて実行する行政当局としては、それ以上踏み込んだことをこの場で言えというのはなかなか難しいだろうと思います。

【多紀座長】 今の行政的な判断という件について、いかがでしょうか。

【丸山委員】 では、いたし方がないと申しますかね。一つだけ、ただお約束を願いたいのは、もう一回、同じ議論の繰り返しだけはやはりやめたい。ということは、一切それを拒否するとも言いません。ただ、もし、今まで既に論じた話題についてもう一度論じる場合には、必ず新しい資料を出してください、具体的な。資料に基づいた判断、合意的にやれば我々もそれについて考えられます。資料なしで結論だけを言われたり、心情だけを言われても、我々はもうこれ以上語ることがないんです。それだけお約束いただければ。

【多紀座長】 苦渋の選択。

【丸山委員】 はい。と思います。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 そうすると、何かロシアンルーレットの最後みたいになっちゃったけれども、瀬能さん。

【瀬能委員】 基本的には同じです。とにかく利用者側の方に特にお願いしたいんですけれども、今日ここで、ここの場で発言されたことと、この配られた資料に書かれていることとというのは食い違いがありましたので、ここの場で発言されたことというのは、いろいろ、売り言葉に買い言葉とか、そのようなこともあるかもしれませんし、この委員会の雰囲気というか、そういうものに流される部分もあるかと思いますので、ここに書かれていることというのは着実に前向きに取り組まれるということを信じて、納得はできませんけれども、このまままた委員会を継続して、いい方向に向かっていただければなというふうに考えます。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 何か非常に、橋本さんには褒められましたけれども、交通整理が下手で、どうも、まことに失礼を。それから、失礼な発言があったかもしれませんけど、どうぞご容赦ください。
 ちょうど1時間50分経過いたしましたので、この資料3につきましてはこれをお認めいただいたということで、それに基づきましてこの方向で報告書をまとめたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それで、ここで次に、お配りする資料が何かあるんですよね。

(追加資料配付)

【多紀座長】 この資料については事務局で読み上げていただくまでもないことで、お読み願いたいと思います。そして、何か、ご質問、ご意見等があればお願いをいたします。
 水産庁、どうぞ。

【水産庁 長畠室長】 非常に難しい議論が続いておりましたので、ある意味、質問をいただいてお答えしていないのが、來田さんの、既存の水産庁の方の枠組みにあります漁業調整規則とこの法律との整合というのは、それの検討に少なくとも半年かかるんではないかというご指摘がありましたけれども、その担当に問い合わせましたところ、事務方としての整理は極めて短い時間の間にできるということでございますので、この件は6カ月の律速段階になるということは決してない、と。とにかくできるだけ早くこういった検討が終わって、実効的な措置がとれるよう水産庁としても努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【多紀座長】 どうもありがとうございます。
 瀬能委員。

【瀬能委員】 この設置についての意見ということでよろしいですか。

【多紀座長】 はい、結構です。

【瀬能委員】 構成メンバーのところで、この小グループのメンバーに加え、関係行政機関とか関係団体をということで出ているんですが、ここで構成員のイメージということで学識経験者となっていますが、学識経験者というのは我々だけのことなんでしょうか。というのは、この問題、特に学会側としては、魚類の関係者だけではなくて、蜻蛉学会とか鞘翅学会、それから昆虫、特に水生昆虫の関係者の方と一緒になって取り組んできた経緯もありますので、また、そういう方面の方の意識というのが非常に大きいわけですね。ともすれば魚の問題だけに矮小化されがちだという意見をしょっちゅう聞かされていますので、この構成員の学識経験者のところには、特に水生昆虫の関係者に参加していただくということをお願いしたいと思います。

【多紀座長】 いかがでしょうか。

【上杉企画官】 適宜追加ということを書いてございますので、またご相談させていただきたいと思います。

【多紀座長】 ここで念のため申し上げておきますと、黒ポツで一番下の防除実施団体というのは、いわゆる実際にやっている市民団体とかNGOとか、そういうのをイメージしております。
 來田さん。

【來田氏】 防除実施に最も頑張るべきは釣り人ではないかと思っておる。その他の防除実施団体の方々がどういうふうなお顔ぶれであるか、事前にお聞かせいただけたら。私どもが周辺に持っております団体もございますので、ひとつご検討をいただけたらと思います。

【上杉企画官】 また、ご相談はさせていただきたいと思います。

【多紀座長】 わかりました。
 他に。

【高宮氏】 もう何回もお話しさせていただいておりますけれども、漁業関係者の中にも、全国から数多くオオクチバスの資源活用をしていただきたいという声もありますし、また、商工会や観光協会、旅館組合など、地域にもそういうところがありますので、できればそういうようなことの具体的な地域の選定をするときに、どういう形でするのか、第1回目だけはこのメンバーでやって、そういうことも踏まえて検討するのか、その辺はまたお知らせいただきたい。

【多紀座長】 わかりました。
 メンバーをどうするかといったようなことは、事務局が皆様とご相談しながら決めていきたいと思います。
 ということで、個々の実際の名前まで出ておりませんが、このようなオオクチバス合同調査委員会を設置することでいかがでございますか。ご異議ございませんか。

(異議なし)

【多紀座長】 ありがとうございました。
 それでは、この提案を受けまして、環境省にはオオクチバス合同調査委員会の設置をお願いいたします。
 また、今まで論議していました資料3につきましては、本日ご指摘のあった修正点を加えまして、座長と事務局で整理をします。基本的にはこの内容で、これからあまり逸脱しない形で、明後日の魚類グループの委員会に提出をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(了承)

【多紀座長】 ありがとうございました。
 それでは、まだいろいろとおっしゃりたいこともあるんでございましょうが、時間もちょうど参りましたので、オオクチバスの取扱いという議題につきましては、以上といたします。
 恐らく委員の方々には、これからも合同調査委員会に加わっていただくことになるんだろうと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 あと、何か特にありますか。では、中井さん。

【中井委員】 時間ぎりぎりのところで、申しわけございません。
 今回、こういうプロセスで、いわゆる特定外来生物の第1陣の顔ぶれからオオクチバスは入らないということになる方向だと思うんですけれども、こういうことになるとすぐに、外されたとか、もう指定されないんじゃないだろうかという形で、話がひとり歩きしてしまうところがある。それを非常に心配しているんです。先延ばしというと非常にネガティブなイメージがつきまといますけれども、これからますます建設的にいろいろ議論をしていこうという体制が継続すると。それと、大体こういう法律の取り決めって、第1陣が指定されたらそれでOKだという形でほとぼりが冷めてしまうことが多い、と個人的には思っているのですけれども、そういう意味では、即決できない、非常にシンボリックな生き物の議論が、これからも継続するということは、みんなで前向きに考えていけたらと思います。
 以上です。

【多紀座長】 こういう席上で、委員として非常にいいことを言ってくださいまして、どうもありがとうございました。
 事務局の方から何かございましょうか。
 では、最後に、小野寺自然環境局長からごあいさつをお願いしたいと思います。

【小野寺局長】 本当に大変ありがとうございました。本当にいい結論を出していただいたと思います。短い時間で非常に複雑な、煩瑣な議論をやっていただきました。結論を受けとめるのはもちろんでありますけれども、ご発言いただいた、それぞれ議事録に残っていること自身ももう一度見直して、この結論の文言に書いていることだけが何か大事なことであるというふうに私どもは思っておりませんので、ここに盛り切れなかったことはたくさんあると思います。それも含めて今後どうしていくかについて考えてまいりたいと思います。
 それから、今日設置していただきました、次のステップの委員会でありますけれども、我々が恐らく事務局の一角、これは水産庁なり国土交通省と議論をして共同事務局ということになれば我々が一角をということですが、少なくとも気持ちとしては事務局を背負うつもりでおりますし、また、委員の一員として、今、これまでにいただいた意見、これから必要なことを精力的にやってまいるつもりであります。また、今後ともご指導をお願いいたします。どうもありがとうございました。

【多紀座長】 どうも、長時間ありがとうございました。
 以上をもちまして、オオクチバス小グループの第4回目の会合を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

【小野寺局長】 ありがとうございました。