1. | 日時 | 平成17年1月7日(金)10:00~13:26 (休憩12:59~13:03) |
2. | 場所 | 経済産業省別館9階 944会議室 |
3. | 出席者 | |
(座長) | 多紀 保彦 | |
(委員) | 瀬能 宏 中井 克樹 細谷 和海 丸山 隆 水口 憲哉 |
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(利用関係者) | 全国内水面漁業協同組合連合会 橋本啓芳 (社)全日本釣り団体協議会 來田仁成 (財)日本釣振興会副会長 高宮俊諦 |
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(環境省) | 名執野生生物課長 上杉生物多様性企画官 堀上野生生物課課長補佐 |
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(水産庁) | 佐々木沿岸沖合課長補佐 長畠生態系保全室長 |
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5. | 議事 |
【多紀座長】 皆さん、おはようございます。寒いところを朝早くから。この小グループ会合も3回目になりましたので、前書き、枕言葉は抜きにしまして、早速審議に入りたいと思います。後は座ったままやらせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
今日の議題は簡単に、オオクチバスの取り扱いについてということでございますが、今日は先ほど堀上課長補佐からご説明がありましたように、5名の方から資料をいただいておりますので、まずその資料のご説明をお願いをしたいと思います。時間は別に何分とは切りませんけど、できれば5分程度を目途にお願いをしたいと思います。ということで、例によって順番が斜め斜めに行きまして、高宮さん、瀬能さん、來田さん、中井さん、そして橋本さんと、その順でご説明をお願いをしたいと思います。
では、どうぞ高宮さんからひとつよろしくお願いします。
【橋本氏】 よろしいでしょうか。今説明があった中に、ブラックバスの人数、300万というお話がありましたけれども、それに対して、私どもも300万という答えに対してペーパーを用意しておりますので、あわせてやっていただいた方が議論が進みやすいと思うのですけど、いかがでしょうか。
【多紀座長】 はい。では、全内水の方からのご説明として、一括してお願いをいたします。
【橋本氏】 高宮さんの後でも結構です。
【高宮氏】 先にやっていただいて結構です。
【橋本氏】 そうですか。では、私の方からさせていただければ、日釣振さんと一緒に中身が議論できると思います。
【多紀座長】 いや、それから申し遅れましたが、今日は1人のご説明で、時間の都合もございますし、その都度の質疑はなくします。そうして、後で全体の討論の中でもってご意見をいただいて討議をすると、そういうシステムにさせていただきますので。ですから、それは別々にやっていただいて結構だと思いますので、いかがでしょうか。要するに時間の進行の都合もございますので、その都度の質疑応答はなしにいたしますので、よろしくお願いします。
【橋本氏】 ちょっと失礼しました。言い方が悪いんですけれども、まず日釣振さんがお話しした案件について私ども絡むので、そのペーパーを配っておりますので、それについて私の方からご意見を申し上げると。質問ではなくてご説明したいということです。それはよろしいでしょうか。
【多紀座長】 順序の問題ですか。
【橋本氏】 案件ごとにやっていただければと思ったんです。
【多紀座長】 いえ、案件ごとといっても後の整理があれなので。
【橋本氏】 わかりました。
【多紀座長】 論点がぼけるというようなご心配があるんでしょうか。
【橋本氏】 ご説明した中身が、多分、今お話ありましたブラックバスの人数が何百万人というご説明がありますから、それに対して私もペーパーを出しておりますので、その件については引き続きやった方が論議が進むんじゃないかということでお話ししたわけです。
【多紀座長】 私のあれではむしろ20分程度後でやっていただいた方が、かえってわかりやすいんじゃないかと思いますので、今の順序でよろしくお願いします。
【橋本氏】 わかりました。
【多紀座長】 では、高宮さんからよろしくお願いします。
【高宮氏】 それでは、お配りをいたしております資料に沿ってご説明をさせていただきたいと思います。これは前回、前々回と、2回にわたりまして委員の方からご質問が釣り人・釣り団体の方にございましたので、当振興会が代表してご回答を申し上げたいというふうに思っております。
まず1番目ですが、全内漁連さんの方から、バスフィッシング人口が300万人及び市場規模が1,000億円の根拠について、どういうことからこういうことが言われているんですかというお尋ねがございましたので、それについてご説明を申し上げたいと思います。3枚ほど後に資料1、2、3とございますので、それを御覧いただきながら、私の方で手短にご説明をさせていただきたいと思います。
この資料は、社団法人日本釣用品工業会と矢野経済研究所がもう20年ほど前から、ちょうどこの資料が9回目、来週には10回目が出てくるわけですけれども、その資料に基づいて発表をさせていただいています。この第9回目、10回目の資料から抜粋をいたしておりますが、1998年から2003年までの5年間の釣り用品の釣り種別の出荷金額が、まずその資料1に載っております。これを見ますと、左の一番下の方ですが、小売市場規模が1998年は3,295億というふうになっております。それがこの5年間でどのように推移をしているかが記載されております。全体の合計の上の行に1998年が売り上げ指数100としまして、どういうふうに変化をしてきているのかということ。それから釣り種別のここでは九つに分けて分類されておりますが、この売り上げ、この数値は出荷の製造メーカー各社の数値をベースに出しておりますので、極めて正確に近いものと思っております。
この資料によりますと、今回テーマのルアーフィッシングあるいはバスフィッシングということが書かれているわけですが、7番のルアーフィッシングのところが1998年が846億、これは出荷ベースです。これが急激にダウン致しまして、2003年には386億ということで、現在、半分以下の売り上げになっています。当然ルアー釣り人口もそれに従って減ってきているわけですが、売り上げそのもの、出荷金額そのものがこういうような推移であるということです。そういうことを前提に、釣り用品の小売市場規模が2002年を見てみますと、2002年の小売市場規模が2,246億ということになっています。その中の釣り種別のルアーフィッシング出荷金額が419億。そして、この全部の中で、ルアーフィッシングの構成比が28.9%、小売売り上げが649億ということが出ております。そして2002年度の釣り人口、これは資料3に示しておりますが、レジャー白書によりますと、2002年が1,670万人ということになります。したがって、このレジャー白書の1,670万人を単純に売り上げ比率で乗じますと、482万人ということが推定されます。
ルアーフィッシングの中身なんですが、1990年代の前半のバス釣りが最盛期の頃は、ルアーフィッシングの中で90%から95%がバスフィッシングでございました。ところが、この7~8年の間にバスフィッシングの人口がさまざまな理由により減ってきました。逆に海でのソルトウォーター、ジギングやシーバス、ロックフィッシュなどのルアー釣りが新たに増えてきたというようなことで、現在ではこの全体の70%近くまで低下をしているということになります。
そういうことからしますと、先ほどのルアーフィッシングの売り上げに70%を掛けて、次のページ上段の方に書かれてありますが、337億ということが出てまいります。しかし、この数字は、内容をさらに見てみますと、アユ釣りとか船釣りというものは竿1本で10万円とか、電動リール一つで5万円、6万円という非常に高額なものが多いため、バス釣りの1人当たりの買い上げの購買金額に比べて1.5倍から3倍ぐらいになっております。したがって、これを逆算してみますと、数値上337万の20%から30%の数字、400~450万人という数字が2002年当時のバスフィッシング人口というふうに、私ども日釣振では推定をいたしております。ただ2003年、2004年とさらに減少が続いておりますので、この数字より実数はかなり減少して、現在では360~370万人ぐらいになっておるというのが今現在の私どもの推定でございます。
次にバスフィッシングの経済効果1,000億ということですが、このルアー用品の売り上げが649億ということで、そのうちの約7割がルアー、バス用品の売り上げということで、454億というのがございます。この454億はバス釣り用品のみの金額ですから、これ以外に当然経済効果ということになれば、バスフィッシングで生計を立てているボート業や漁業者の人たちは全国に数万人いますし、バスガイド料、漁業組合の年間入漁料、それから1艇が数百万と言われるバスボートやそれを保管する駐艇場、全国各地で1,000近い釣り大会の開催費用などの直接的効果の他、300万人~400万人と言われるこの釣り人が釣り場の近くで利用するコンビニをはじめ、いろいろな交通機関や宿泊施設、4WD自動車など、間接的なものを加えますと、1,000億円をはるかに超えるというふうに考えております。
ちなみに米国の釣りの経済効果の資料が毎年発表され、ここに持参しておりますが、これは添付はしておりませんけれど、これによりますと2002年、釣り人口5,300万人。釣りによる経済効果約5兆円、バスフィッシングの人口が1,500万人、バスフィッシングによる経済効果は1兆2,000億円と報告をされています。この数字からも私どもでは、日本のバスフィッシングの経済効果1,000億円以上、それから釣り人も300万人以上間違いなくいるというふうに思っております。ただ、ここ5年間ぐらいを見ますと、先ほども申し上げましたように、全ての釣種別ジャンルを見ても、急激に売り上げも落ちておりますし、釣り人も減少しております。売り上げの幅がこの金額を単純に見ましても、大体3分の1、2004年度ではこの売り上げが大体380億ぐらいというふうに想定をしておりますので、7~8年前の1,162億からすると売上が3分の1近くまで減少をしております。
これほど減少した原因は何かというと、これはいろいろなところで調査をしておりますが、最も売り上げが減少した理由は添付の大阪フィッシングショーの釣り人アンケート調査にもありますように、第1位が「オオクチバスの釣り場が少なくなった」、第2位「近場でバスが釣れなくなった」3位「キャッチアンドリリース禁止がされた」、4位「バスが減って釣れなくなった」というように、1、2、4位の理由、「バスの釣り場が減ったり、バスが釣れなくなった」ということをあわせますと、全体で68.8%が「釣り人がバス釣りをやめたり、行かなくなったりしている理由」にあげています。
【多紀座長】 高宮さん、毎度で申しわけございませんけども、既に8分30秒経過しておりますので、よろしくお願いします。
【高宮氏】 そうですか。はい、わかりました。かなりこの辺のところのご認識が一般の方には情報として正確に伝わっていないのではないかと思います。1回、2回のご質問やご意見の中でそうではないようなご発言がありましたので、詳しくご説明させていただきました。
2番目の「キャッチアンドリリースと子供の情操教育の関係について」、それから3番目、「在来生物の減少要因やその復元の手法などについて」、4番目の、「釣り人には、バス釣り継続の客観的理由を提示して欲しい」というようなことにつきましては、それぞれお手元の「バスフィッシングの有用性と社会的意義」に詳しく掲載をしております。非常に大事な部分だと思いますので、私どもの見解を掲載させていただいておりますので、後ほどごらんをいただきたいと思います。
【多紀座長】 どうもありがとうございました。資料をお配りしてありますので、どうぞお読みいただきたいと思います。
先ほど申しましたように、それぞれの個々の質問は後でもってその状況が出たときにお願いをいたすということにいたしまして、次に瀬能委員から、ご説明をお願いをいたします。
【瀬能委員】 はい。資料は二つ用意しましたが、一つは昨年の1月に分類学会連合という学会の連合がありますが、そのシンポジウムで発表した内容を『生物科学』という雑誌にまとめたものです。これはタイトルが「多様性保全か有効利用か-ブラックバス問題の解決を阻むものとは-」という、総説ですので、これにつきましてはまたお持ち帰りいただいてお読みいただければと思います。
今日は、もう一つの資料ですが、「日本におけるオオクチバスの拡散要因」ということで、簡単に説明したいと思います。
オオクチバスが特定外来生物に選定されることが妥当であると我々が判断する根拠なんですが、一つは生態系への被害が甚大であるということと、2番目として人為的かつ意図的な拡散が近年も継続しているという、この2点に要約されます。1につきましては、もう既にいろいろ資料も出しておりますし、もう十分に我々としては証明されているというふうに判断しておりますので、今日はこの2番目の人為的かつ意図的な拡散が近年も継続しているんだという科学的証拠について、簡単に紹介したいと思います。
一つは、最近、昨年の魚類学会で発表がありましたが、琵琶湖でフロリダバスというオオクチバスの亜種の遺伝子が大量に見つかったということです。フロリダバスは1988年に奈良県の池原貯水池に放流されたというふうな記録が残っておりますが、それが琵琶湖で大量に見つかったということは、これは密放流、意図的な放流があったという動かぬ証拠だと考えています。一部、1988年に放流されたフロリダバスが琵琶湖の方に持ち込まれたものがその後増えたのではないかという指摘がありますが、それは遺伝子頻度の分布様態からその可能性はないというふうに判断しております。また、ごく最近の研究ですが、1996年~1997年にかけて、琵琶湖を含む全国の湖沼河川12カ所から得られた標本に基づいて遺伝子の解析を行ったときには見つからなかったフロリダバスの遺伝子が、最近2003年~2004年にかけて、近畿圏の6湖沼のうち3湖沼から見つかりました。新たに見つかった京都の深泥池、また京都の宝ヶ池、それから、これは奈良県の津風呂湖と読むんでしょうか、この3水域からフロリダバス由来の遺伝子が検出されております。これも密放流の意図的な放流の証拠だというふうに判断しております。
それから2番目としまして、これは項目の安定同位体のタイが「対比」の「対」になっていますが、「体」という字ですので、ご訂正願います。これは最近北海道で見つかったオオクチバスを炭素と窒素の同位体比を調べることで、それが他から持ち込まれたものなのかどうかということが判断できるという、そういう手法に基づいて調査されたものです。これは道立水産孵化場の研究チームが調査を行っております。その結果、北海道余市ダムとかあと南幌町の親水公園で採集されたオオクチバスが、この方法によりごく最近放流されたものであるというふうに推定されております。この研究成果は、北海道立水産孵化場の研究報告、これは今年の3月に発行される予定ですが、これに掲載される予定です。
それからこれは直接的な証拠ではありませんが、コクチバスの拡散状況というのがあります。コクチバスはアユやヘラブナ等の種苗の産地では繁殖しておりませんので、種苗への混入を想定する必要がない種類なんですが、そのため水系単位で見た場合に、その分布というのが即密放流によるものと容易に判断できるわけです。そして重要なことなんですが、このコクチバスというのはオオクチバスと並んでルアーフィッシングの対象となりますので、その拡散状況というのはオオクチバスも同様な方法で拡散したということを強く示唆するものであるというふうに考えております。コクチバスの分布については全内漁連さんの方でかつて調査が行われておりますが、当時は分類学的な認識というか、そういったものがまだそれほど浸透しておりませんでしたので、オオクチバスの幼魚を誤認している可能性があるという指摘があります。
そこで、標本や画像により確実にコクチバスであるというふうに判断される記録について、今回、調査を改めて行いました。その結果、コクチバスは19都道県47水域から記録されていることがわかりました。特に最近でも密放流が続いているということを示す目安として、2000年以降にどの程度新たに見つかったのかということをその中から抽出したところ、12道県19水域、そういう水域があるということが判明しました。また一部の、例えば東京都の多摩川では男性3名のコクチバスを所持しているところが監視員に見つかっていたりとか、また2002年6月には長野県の木崎湖で釣り人が釣り上げたコクチバスをレジャークーラーに入れて運び去るというようなところが目撃されたりもしております。そういう事例があることから、現在も密放流が続いているというふうに判断しております。
それから、日釣振さんのホームページの方で、このオオクチバスの拡散についての見解ということで幾つか見解が出されておりますが、それについていろいろ問題点があるというふうに我々の方では判断しておりますので、一つ一つその見解につきまして我々の判断をここにまとめさせていただきました。これを全部やっていると時間が多分足りないと思いますので、かいつまんで申し上げますと、重要なところでは、5番目、特に1950年以降、養殖場や琵琶湖等から全国各地へ、アユ・ワカサギ・フナ等の放流事業が盛んになったが、その放流に混ざって外来魚の仔稚魚が混入して拡散したんじゃないかという指摘があります。これにつきましては、アユにつきましてはオオクチバスの遺伝子の調査ですとか、あと、それからオオクチバスが種苗の産地である琵琶湖で爆発的に増加した時期というのは1980年代になってからのことなんですが、70年代には既にオオクチバスというのは全国にほぼ広まっていたというふうに言われておりますので、そういう不一致からアユへの種苗混入というのは余り想定しなくてもいいんじゃないかというふうに考えています。
それから、幾つか質問といいますか、例えば9番、ペットブームに乗って観賞魚が輸入されたりとか、それが不要になって放されたということが「報告されている」というふうな記述があります。それから、10番にも「魚食鳥や渡り鳥等による魚卵付着等による拡散も報告されている」という記述がありますが、この「報告」というのがどういうレベルのものなのかというのを、ぜひこの場でお聞きしたいと思います。それから、11番の「その他、自然界で解明されていない拡散も数多くある」というふうに書かれておりますが、この自然界で解明されていない拡散要因というのはどういうものが想定されるのか、それについても説明いただければと思います。
私の方では、以上です。
【多紀座長】 どうもありがとうございました。今質問もありましたけども、先ほど申し上げましたように、お答え等については後ほど一括して議論の中でお願いをしたいと思います。
次に來田さん、よろしくお願いします。
【來田氏】 お手元にあります「オオクチバスの秩序に関し釣り人からの提案」という1枚ものを御覧ください。私たちの全日本釣り団体協議会、つまり釣り人の方から、これから皆さん方と一致しておる部分についていろいろな合意事項ができたとして、こういうふうなことをやりたいなという提案でございます。ただし前提としまして、私たち全釣り協はオオクチバスの指定について暫定的な秩序の形成がまず先行する。つまり、防除と言っていいのかどうか、まだ私たち判断がついておりませんけれども、ともかく秩序の形成が先行すべきである。いま可能な手を打って、しかる後にゆっくりと話し合いをしながら、こういったような状況を進めていきたいなというふうに思っておりますので、前書きのところは省いていただいて結構です。1ページの「釣り人がこれから出来ること、なすべきこと」というところから始めたいと思います。
まず、この指定がなされなかった場合に積極的に新たな秩序ということは、秩序をつくるために指定をされることにより非常に困難な状態を伴う。指定をすることが困難を伴うんじゃなくて、指定されたことによって困難な状況が生じる。だから先に指定はしないでほしい、という考え方でございます。
そこで1番目なんですが、そういう条件下におきまして、積極的に新たな秩序を形成する意識を確立するためのムーブメント。これは釣り人としての精神的な位置づけをきちんとしていかないといけないよと。
それから2番目は、違法放流は既に行われていないと判断しております。先ほどの瀬能先生の考え方とは随分違うんですが、それはまた追ってご説明させていただきますが。それから、生息域の拡大は、これは何としても防がなければならない。だから、放流・移殖に関して、違法行為であることをもっと周知徹底させるように、頑張って釣り人全体に呼びかけていきますよと。それからもう一つは、全釣り協の組織を挙げてこのテーマに積極的にPRをしていきます。
3番目が新たに、この問題というのは自然環境、魚の生息環境というものと随分密接に関係がある問題だと思いますので、まず周囲の生息環境に対する知識というものを、釣り人みんなに持ってもらわなければならない。あわせて、今後違法放流があってはならない。また、違法放流がどこかで行われたとしても、犯罪者的な人はこれは全然ゼロとは私たちも言えませんので、もしそういうことがあった場合に素早くチェックして排除できるような、防除できるような制度というものを設けるべきであろうと。
それから4番目は、在来貴重魚種保存のための防除地域を我々自主的に検討していきたいなと。ここにバスがいては困るなというところを排除していきましょうよというふうなことも、これも考えておりますと。
5番目が、やはりバスに関しては地域の人々の意見というのが最優先されるべきであろうと思っておりますので、地域の人たちと魚の生息環境その他を含めて、あるいは釣り人がよくご指摘を受けておりますごみの問題、駐車場の問題、トイレの問題、そういうことも含めて、地域の方々と密接な話し合いの機会というのを持てるような方法を考えていきたい。
それから6番目、地域との話し合いにより、緊急防除地域とは別に自主的防除地域というもの、先ほど申し上げたとおりですけど、ここはバスがいてはいけない地域ですねという話し合いが成立したときに、そこからバスを持ち出す。持ち出すということは移動の禁止、例えば現在の法律の中では移殖の禁止に当たるわけですけど、これについても地元と話し合いの上で、別の安全な場所といいますか、そういうふうなものに移すような方策というものを考えていきたいというふうなことを計画しております。
それから7番。共生地域においては、地域の実情に応じた外来魚対策及び管理ルールを策定する。共生地域というのは、現在いろいろなところ、漁業組合さんからも実情で確認しておりますけれども、バスがいる、しかしワカサギが繁殖している。あるいは、バスがいる、しかし、そこでアユが自然繁殖しておる。そういうふうな場所というのはやはり共生地域ではないかというふうに思っておりますので、そういう地域をバスを有効利用するための地域として整理整頓しないと、現在のバス人口の不満、あるいは精神的ないわゆる抑圧感というものはとても処理できないだろう。そのためには受け皿が必要ではないですかというふうな提案をさせていただいております。
それから8番目、こういうふうな考え方を皆さんでご了承いただいた場合、要するに実質的な今回の問題処理にご賛同いただいた場合に、ガイドライン、当然そういうふうなものや具体的な管理体制。要するに地方によっては、まだまだ、バスというのは悪い魚だから排除しようというふうな雰囲気が非常に濃厚なんです。だから、有効利用されておる一面や、ありとあらゆるところにバスがおって非常にそれをありがたく思っておる若い人たちがたくさんいるということもこの際認識していただいて、こういうふうな実情も地方の行政の方々に認識をいただきたいな。そして、整理整頓、秩序づくりの方向に動いていきたいなというふうに思っております。それから、もちろん暫定的な問題ですから、ある程度の秩序ができましても、やはりそれをきっちり監視していかないといけない。釣り人たちはもちろん、漁業組合の方々や、あるいは生態系の先生方あわせて、バスというものが今現在どういう状態にあるかということを冷静な目で見守りながら、最終的な方向への結論を導き出すための材料に協力をしたいというふうなことを、9項目にわたってまとめてみました。
以上でございます。
【多紀座長】 具体的なご提案を含む発表をありがとうございました。
続きまして、中井委員の方から発表をお願いします。
【中井委員】 琵琶湖博物館の中井でございます。今日は全部で3枚、6ページの資料を出させていただいております。今回の会合で初めてやっと資料を出させていただきました。(オオクチバスについては)影響だけじゃなくて後々の防除についてもいろいろ考える必要があるというお話もございました。今回は、琵琶湖を対象に、これまで外来魚を中心に見たときに、どういうような影響が出てきた水域なのかをまず最初に紹介し、後半の部分で実はそれが琵琶湖だけの問題ではないという、これはまた既に先般の会議でも紹介されている部分と大分重複しますけれども、やはり非常に大きい影響が出ているということを、ちょっと蒸し返すようで申しわけございませんが紹介します。そして、最後に、実際こういう幾つかの水域で防除の取り組みがなされているわけなのですが、実際にどういう効果が出ているのかということも含めて、紹介させていただきたいと思います。
まず最初の1ページから3ページの上ぐらいまでが琵琶湖についての概要です。
(1)の年表は、琵琶湖にはブルーギルの方が先に入っていて、湖じゅうに広がっていたけれども、その後80年代の後半、これが一つのかぎになると思うんですけれども、(後から入った)オオクチバスが(先に)激増のピークを迎え、それと相前後して琵琶湖の魚たちの生態系が大きく変わったという経緯を示しています。では、実際にどういうふうに変わってきたかですが、これは幾つかの複数のデータが同じような傾向を示しています。まず漁獲データです。これは、前々回ですか、漁獲データの取り扱いには非常に注意が必要であるとのご指摘もあり、私もそのとおりだと思います。漁業は人間社会の営みですから、さまざまな社会的な事情によって、例えば漁業者が減少していること一つとっても漁獲量の減少に結びつくとか、さまざまな影響を受けますので、これだけに頼って議論をするというのは賢明ではないと私も思います。ただ、全体として大きな傾向をとらえるには、ある程度使えるデータだと思っています。そこで、まず漁獲データから見ますと、バスが増加の兆しを見せるのが気づかれ始めるのは83年ということなんですが、大体それと時期を合わせるように在来の魚たち、その中でも琵琶湖の沿岸域に依存している魚、すなわちふだんから沿岸域で過ごしたり、沿岸域で産卵する、あるいは稚魚が育ったりする、そういう魚たちが減少傾向が続いています。漁獲量とオオクチバスの関係につきましては、最近、WWFジャパン=世界自然保護基金ジャパンの水野さんという研究員が、漁獲統計をかなり詳細に分析していて、その中でニゴロブナあるいはホンモロコの漁獲とオオクチバスの生息量との間にかなり相関があるという結論を出しております。(漁獲データ以
外のデータを見てみますと、)実際に魚類調査をやってみて、定量的な調査データを紹介します。今から10年ほど前の(1994年から95年の)データになりますが、この時期は、オオクチバスが一旦ピークを迎えた後、琵琶湖では90年代に入ってかなり減少した時期にあたります。この時期のバスの減少傾向は、漁業者も釣り人も、あるいは研究者も、皆、声をそろえて指摘しています。その減少傾向が底を打ったとされるのが大体94年、95年あたりなんですが、琵琶湖の沿岸域ではオオクチバスが全体の中で一番重量では多かったというデータです。すなわち、減ったといえどもまだまだ多い状況が続いていたということです。
2ページ目ですが、では、1980年代後半にオオクチバスが激増した時期に、どんな変化があったのでしょうか。その前後で、実際に(南湖の同じ場所で)投網を打って、どれぐらいの魚がとれるかというものを比較したのが次の表です。バスが増える前には30種確認された水域・場所なんですが、そこでは同じ程度の捕獲努力をしても、15種が捕れなくなってしまいました。つまり、(種類数で)半分の魚が、その地域からはほとんど姿を消してしまったような状況が述べられています。さらに、オオクチバスが増え始めたことに危機感を抱いて、1985年の段階でバスのおなかの中をあけてみたら、アンダーラインを引いたような魚たちが、実際に食われていたこともわかっています。また、同時期に、オオクチバスの稚魚の胃内容物も分析されているんですが、その結果は、体長10ミリ台の魚から、既にほかの魚の稚魚を食っているということもわかってまいりました。そのような形で、成魚も稚魚も、在来の魚たちをかなり深刻に食べているというようなことが、こういうデータから示されているわけです。ちょっと時間がないので、このあたりの詳しい説明は端折りますので、皆さん見ておいていただきたいと思います。
まとめとしましては、結局は琵琶湖ではやはりオオクチバスとブルーギルが圧倒的に、圧倒的は言い過ぎかもしれませんけど、非常に優占した状況、幅をきかせた状況にあったということです。そしてその一方で、在来の魚たちのうち、とくに沿岸域に依存する魚たちの減少が続いている。実際、オオクチバスの増加のピークを境に、全く確認されなくなった魚種もある。それから、実際にオオクチバスは在来の魚を食っていた、ということです。いろいろな情報をまとめますと、結論として、琵琶湖の沿岸域では80年代後半にオオクチバスが激増しました。食われる側の魚たちは減ったり、いなくなったりしました。つまり、食う側が増えて食われる側が減っている。そして、実際食う側が食われる側を食っていた。ということは、やはり両者(食う側が増えたことと食われる側が減ったこと)の間には因果関係がある、ということが合理的に推測されるということです。ただ、もちろんこれはよくご指摘があるように、琵琶湖というのはさまざまな環境改変をこうむっております。ですから、バスだけが影響したということを言うつもりは毛頭ありません。でも、実際バスの影響がどれほどのものかということを、区別して論じるのは極めて難しいのが現状であります。
ということで、それでは、他の水域ではどうなのかというのを見たのが2以降の話です。まず最初のが深泥池です。これは、前回細谷先生の方からもご指摘があった深泥池の例ですけれども、バスとギルが1970年代の終わりごろに確認されるようになって、それを境にやはり琵琶湖で見られたのと同じように、何種類もの魚、特に小型の魚たちが姿を消しているということがわかってまいりました。同じように今度は宮城県の伊豆沼でも、1996年にオオクチバスが著しく増えた。それを境に小型の魚たちを中心に姿を消した魚たちが出てきております。
次の4ページ目ですけれども、今度は琵琶湖の沿岸域にオオクチバスの生息量が、ほかの魚と比べて抜きん出て多くなる現象に関する事例に関して、ため池のような小さな水域では秋田県ではかなり数多くの例で見られておりますし、皇居外苑のお濠でも、見られます。実は、皇居のお濠のデータは「バスが少なかったデータ」として、よくバスの影響がないと論じる方々のデータとして使われるんですけれども、これについてはかなり説明しないと事情がわからないと思い、詳しく説明しています。まず、この濠に関して、ふだん使われているデータは「掻い掘り」という調査をやって、水を干上げて全部魚をとったデータです。その時に何匹とれたかという(個体数に関する)データを使っているわけです。ところが、魚同士の食う食われるの関係を論じるうえでは重量も見ないといけない。ということで、重量の比率で見たところ、バスの存在比がかなり大きくなってくる。おまけに、この掻い掘りという事業は、実はこの年度の最初から、全部で11回にわたって、いろいろな漁具を使ってバスとギルをねらい撃ちにして、どんな方法でやったらうまく駆除ができるかが試された後、その後で取りこぼした魚をとる事業だったわけです。ですから、掻い掘りよりも前に捕らえれていた魚の分量も合計しますと、実はオオクチバスが、かなり大きな割合を占めてくることを示してあります。この事業は、多紀座長のおられる自然環境研究センターの委託業務としてなされたもので、報告書としてもまとめられておりますので、またぜひごらんいただけたらと思います。
ということでまとめますと、琵琶湖で見られたような捕食の影響とか、あるいはバランスを崩して増える現象といったことは、ほかの水域でもまさに類似した現象として確認されている。すなわち、琵琶湖の場合はほかのさまざまな要因が関与している可能性があるんだけれども、少なくとも80年代後半にオオクチバスが著しく増え、時を同じくして在来魚のかなりの部分が著しく減ってしまった、あるいは見られなくなったというのは、オオクチバスの影響が大きく関与しているということは、これまた合理的に推測できることだと思います。
ちょっと時間が長くなって申しわけありませんが、実際の防除の事例として池干しによる駆除、これがどこまでうまく行くかに関しても、いろいろな例があると思います。池は干したけれども結局うまく行かなかったという話もよく聞きますけれども、実際うまく行っている事例の積み重ねも出てきております。そういう成功事例に学ぶべきことは多いと思い、具体的に幾つか例を挙げました。もう一つ、なかなか池干しのできない自然の水域として、深泥池と琵琶湖の例を挙げ、継続的に駆除の努力を続けることによって、(対象となる外来魚の)生息数をかなり抑えることもできてきています。ただ、数を継続的に減った状態に保つことは、実際どこまで継続できるかという問題も当然ありますので、今後の検討が必要だと思います。
あと、実際外来魚を駆除したところで、環境がそのままでは元のいた魚が戻らないんじゃないかという指摘もよくあります。しかし、これについて、さきほどの皇居のお濠の例では、追跡調査がちゃんとなされている。外来魚を排除した結果~よく見ると完全に排除できていなかったわけですけれどもね。1匹ブルーギルが捕れましたから~、バスとギルが圧倒的に少なくなった状況で、それまで確認されていなかったモツゴとかフナの稚魚が大量に見つかるようになってきたのです。これはまさに、外来魚の捕食圧を減らすことによって在来魚がある程度復活し得ることを示唆するものであると結論づけられるような調査結果なのです。
最後に6ページの下の方です。一番下の「しばしば、」というところなんですけれども、バスを擁護する立場からは、環境さえ整えればバスなどの外来魚と在来魚はうまく共存できるんだとの主張がなされますけれど、これは希望的な観測と言わざるを得ないというのが私の結論です。共存が難しいことを示す事例については、陸上の外来種においても最近やっとわかってきたのです。よく共存の事例として出される中で、関東地方の平野部の湖の例が出されることがありますが、こういう湖は人為的な改変を著しく受けている。そういう水域で、見かけ上の共存が成り立っている例はないことはない。でも、それは一体何を意味するのだろうかということを考えてほしいのです。はたして環境が整ったから共存できているのか、というようなことも考えなきゃいけない。逆に、環境が十分整っているところでバスと外来魚がうまく共存できている事例、多分芦ノ湖とかが具体的な例として挙がってくる可能性はあると思うのですが、じゃあ、そこの湖ではなぜ共存がうまく行っているのか、その事情を明らかにすることこそが大事だろうと私は思います。もし将来的にバスを適正に賢く管理するのであれば、まさにバスの資源管理が重要課題になってくるわけですから、どうやったら餌となる魚とうまく共存できるのかを明らかにすることは大事だと思います。ただし、その場合でも、そのような共存がどこでも成り立つわけではない、特定の、ある特殊な条件が組み合わさったときに初めて成り立つものであるという、まさに予防的な立場というのは忘れてはならないと、そういうふうに思っております。
以上です。
【多紀座長】 非常に細かい、科学的な解析を含めた報告をありがとうございました。
最後、橋本さんすみません、一番最後になっちゃいましたけれども、お願いをします。
【橋本氏】 はい。資料は1枚紙で、全国内水面漁連と入れるのを忘れましたけれども、中身はタイトルと注書だけは手書きですけど、あとは切り張りの資料です。一切加工しておりません。センサスの結果からです。
まず遊漁者数ですけれども、ここに書いておりますようにバスの延べ人数は90万8,500人となっております。先ほど日釣振さんからいろいろご説明ありましたけども、そのような推定をしても意味がないと思います。数字が出ておるわけですから、この数字はセンサスの方で調べております。農水省の方で調べておる数字です。1人何回やったという数字は出ていないのですが、バスの方は皆さんお好きですから、年間10回とした場合は9万人となります。先ほどの300万人というのはよくわからないのですけれども、9万人か、5回としましたら18万人ですか、そんなもので実際の数字はどう考えましても前後するかもしれませんが、10万人か20万人じゃないかと思います。これは1人が何回やったかわかりませんから推計しかないんですが、そういう数字でご判断をいただくしかないのですが、これは最近の第11次漁業センサスの結果です。
そういう数字になっておりますので、私の方は今先ほど300万という数字が先般の大手の新聞にも出ていますし、何かあちこちに300万、300万と出ていますけれども、正直なところ、まずお役所の方にもちょっとお尋ねしたいんですけれども、特に水産庁さんは同じ所管の農水省中で、こういうセンサスがあるのに300万人を放置しているのはいいのかと思います。特に、環境省さんも日釣振所管のお役所と聞いておりますけれども、そこはご意見を伺いたいと思います。言うなれば過大表示じゃないかと。結局皆さんがその300万人だから大事だという話で多分今まで来て、そこで我々も呼ばれているんだと思います。ですから、そこの数字をはっきり明確にしておかないといけないと、そういう認識でいないといけないと思っております。
下に参考で、内水面漁業協同組合の組合員数を書きました。なぜこの数字をのせたかといいますと、まず一つは前回私の方は60万人ぐらい内水面漁業者がいるというふうにお話ししましたけれども、実はこれ、まだ11次の漁業センサスが発表されていないようなので、前回の漁業センサスです。多分外来魚の影響だけじゃないと思うんですけれども、私個人としては今までの流れからいって60万人ぐらいに人が減っているだろうということで60万とお話ししましたのですが、実際のセンサスでは平成13年ですけれども62万人となっております。この数字的なものを比較しますと、今回の法律によって利用サイドの我々がどういう影響を受けるかというところが私どもの一つのポイントだと思うんです。正直なところ、私、前回我々生活かかっているというお話をしました。我々というのは、組合員数だけでなくて我々携わっている人間、例えば全内漁連のみんなも、組合員数が減れば、当然我々もリストラの対象になります。生活がかかっているわけです。
一方、釣り団体の皆さんのことを言うのはなんですけれども、じゃあ、釣り団体の方は要は愛好家といいますか趣味でやっていると言った方がいいかもしれませんが、その方々は多少は影響は受けるかもしれません。少しぐらいは遠慮してもらってもよいのではと思います。今まで100で来たのが80ぐらいになるかもしれません。多分、今回の法改正でどこまで制限されるかわかりませんけれども、多少我慢していただくと。あとは関連している皆さんも大変でしょうということはわかります。ただ、ボーナスが減るとか、恐らく首になるようなことはないんじゃないかと思います。ですから、そういうことを考えますと、全体の利用サイドとしては我々としましては非常にもうまさに生活がかかっているという一言なんですけれども、そういうところはやはり十分ご配慮していただかないといけないということだけ、ちょっと言わせていただきます。
以上、この1点に絞りましてお話をいたしました。できれば、先ほどのお役所からのご回答をいただきたいと思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。これで一通りご説明をお願いして終わったところでございますが、いろいろ意見は当然出ますけれども、今までどういうことが論点で、どんなことが話されて、どんな意見があって、どんなことが意見が合わなかったかというようなことと、それからもう一つ、この政令というのがどういうものであるかというのを、もう一遍ちょっと認識を新たにして、それからいろいろと質疑応答をしたいと思いますので、まず環境省の方から、今の橋本さんのあれもできれば含めて、資料をもとにご説明をお願いをしたいと思います。
【堀上補佐】 それでは、事務局の用意した資料に基づきまして、ご説明させていただきます。
資料3でありますが、オオクチバス小グループ会合におけるこれまでの主な論点としまして、これまで第1回、第2回と行ってまいりまして、そこで出されたご意見、あるいは共通認識となった事項について取りまとめをさせていただきました。基本的には今お聞きしますと、本日の委員会での各委員の方々のご説明についても、この中には含まれていくものと考えております。
1から4までございます。1につきましてオオクチバスによる被害の実態ということでありまして、共通認識としましては希少な生物の生息する小さな水域などにおいては、被害が確認されている地域があるということにつきましては、全体の共通の認識となったのではないかと。論点としましてはオオクチバスの全体的な生息状況、それが生態系等に与える影響に関しての知見というのはまだ不十分ではないかと、そういうご意見がございます。一方で、現在の知見で生態系等に係る被害は明らかであると、そういうご意見がございました。
それから、二つ目ですが、オオクチバスの分布拡大の抑制ということですが、共通の認識としましては、これ以上分布の拡大がなされることを抑制しなければいけない。これについては共通で、そのためには輸入あるいは移動、そういった行為を制限する必要があるということでございました。論点としましては、新たな分布地の拡大が見られて、人為的に拡散されている可能性が否定できない、そういうご意見がございます。一方で、拡散があるとしてもその原因は不明であると、そういったご意見もございました。
それから3番目としまして、先ほど座長からもお話がありましたが、外来生物法によりましてどういう規制がされるのか、規制されて何が困るのかといったことなんですが、規制に関する共通認識としましては、特定外来生物に指定されることによって、飼養、保管、運搬、輸入、譲渡、そういった行為が規制される。ただし、釣りそのものあるいはキャッチアンドリリースについては規制されるものではないということは皆さんご理解いただけたものと思います。論点につきましては、先ほど来、利用者側の方の話としてありましたが、現段階で新たな規制を行う。このことによって利用者であります釣り人に混乱を与える。バス釣りに対するイメージが悪化する。これによって関連業者が大きな影響を受けるので、新たな規制を行うことは現段階では不適切ではないかと、そういうご意見がございました。一方で、分布拡大の抑制は急務である、と。これは2の方の共通認識にもありましたとおりですが、分布拡大の抑制は急務であるので本法による規制は効果的であると、そういうご意見もございました。
それから、4番目の防除ですが、今日中井委員の方からご指摘ございましたが、まだ具体的な中身の議論、実は余りこれまでされてきておりませんでした。ただ共通認識としては具体的に被害がある地域で影響緩和のための防除を行う必要性、これは皆さん共通の認識としてございました。ただしこれまでの会合の中で、どういった地域でどういう防除を行っていくのかということについては、まだ議論が余りなされていなかったということでございました。
以上が、これまでの会合における論点としまして、1から4までまとめたものでございます。
それから、先ほどのセンサスの関係につきましては、水産庁の方から補足がございましたらお願いします。
【水産庁 佐々木補佐】 先ほどの橋本委員からのご質問ですけれども、水産庁といいますか農林水産省では第11次漁業センサス、これにおきましてはバス類として90万9,000人というデータが載っています。ただし、これらのセンサスの調査におきましては、漁業権が設定されている区域を対象としているということで、漁業権のない湖沼、ため池、ダム湖におけるブラックバス釣りの遊漁者についてはデータ上計上されていないということでありまして、簡単に言いますと漁業権のあるところを対象に調べているということで、カウントの方法としては遊漁承認証の発行枚数を基本としているということで、上記の対象となっていない魚種、バス類等の遊漁者についてある程度の人員が把握できるところもカウントしているということでございます。よろしいでしょうか。
【橋本氏】 いや、わからないです。わかりません、それじゃ。
【佐々木補佐】 センサスにおいては、調査方法として内水面漁業協同組合調査ということで、内水面の漁業協同組合及び連合会への聞き取り調査を行っているという、それの数字です、と。それで11次センサスにおきましては、内水面漁業協同組合を中心に地方公共団体、遊漁者案内業、漁業精通者へ複数の者からの聞き取りの調査によりますと。調査の対象区域は漁業権が設定されている区域を対象にしております。漁業権のない湖沼、ため池等によるバス釣りは対象となっておりません。
【高宮氏】 今のお話、いいですか……。
【佐々木補佐】 で、カウントの方法としては、先ほども言いましたように、遊漁承認証の発行枚数を基本としております。漁業権の対象となっていない魚種、これはバス類等ですけれども、これらの遊漁者数についてもある程度人数が把握できるところはカウントしております、と。ですから漁業権が設定をされていない、これはバスの漁業権だけでなくて、いろいろな漁業権が設定されているところに釣りの方が来られて、その釣りの方にいろいろ聞き取りを行ったり、バスを実際に釣っている人たちの人数を把握した数字が90万9,000人と。ただし、漁業権が設定されていなくてだれも監視のできていないところにおいてはここには計上されていませんということで、定かなバス釣り人口が幾らかというのは、特に水産庁の方としては把握はしておりません。
【橋本氏】 そんなばかなことないですよ。今のご説明は、じゃあ、何のための漁業センサスですか。不備な漁業センサスなんてあり得ません。多分、こういう調査ですから少しはネグってもいいというところがあるとは思いますが、そこはわかります。また、調査人員も決まっていて全てを網羅できないとは思います。しかし、それがどの程度あるかとなれば、そんなに多いわけではないと思います。ですから水産庁のおっしゃるこういう条件で発表するなんていうのは意味のない数字になってしまうので、それはちょっと私は理解できないし、そこは再度漁業センサスをやっているところから私ども確認させてもらいたいと思います。
今のご説明ですと、意味のない数字じゃないかと思いますし、こんなもの発表したって全く意味がないので、そんなことはあり得ないはずで、それは多分ネグってもいいところがあるということだと思います。1%、2%はしょうがないですと、そういうことならわかります。これが倍にもなるようなことはあり得ないわけで、延べ90万ですね、これが180万になるとかそんなことはあり得ないので、そういうご説明ならわかりますけれども、今のちょっと、これはあくまでも不備ですというようなお話しかないので、使い物にならないという言い方になってしまうので、それはちょっとおかしいんじゃないかということだけ申し上げておきます。
【多紀座長】 どうぞ。
【高宮氏】 まず、私の資料の方からこの話が出てまいりましたので、今の点について。
これまでも水産庁にたびたびこのセンサスについての確認をさせていただきましたが、今お話がございましたように、間違いなくこれは、あくまで海の場合でしたら遊漁船という船を利用して、そしてそこで把握できている、海の場合はこれは防波堤とか磯釣りとか、いろいろな釣りがあるわけですけれども、それは把握はできないと。把握できるのはあくまでも遊漁船を使ったものだけですよ、と。
それから、この内水面に関しては、今お話があったように漁業権としてそういう入漁料をもらっているところ、そこだけですから、これ3万ぐらい全国にため池がある。それ以外に、河川や湖沼も相当にある。バスの場合は四つしか全国で漁業権魚種としてされていないわけですし、全国で漁業権がある場所も限定されている訳ですから、この数字は全内漁連の専務さんがその基本的なことをちょっとご理解いただかなくて、その話をされたというのは、私はちょっとびっくりしたんですけれども、そういうことではなくて、これは我々が出した釣人口は四つの漁業権魚種漁場をはじめ、漁業権のある場所でやられている釣り人ということではなくて、全国でバス愛好者がどれだけいるかというお話をしておりますので、当然そういうご質問だと思っておりましたから、そういうふうに答えさせていただいたということです。
【多紀座長】 よろしいですか、橋本さん。
【橋本氏】 わかりました。余りこれで時間をとりたくないんですけれども、要は作ったところに確認して、次回当会合をやられるのであれば私の方も調べさせていただきます。センサスを作った方に、不備ですということを言ったら、作った方は怒りますよ。そういうことはあり得ないと思います。何か注書きはあると思いますので、私も専門家じゃないからそこは確認させていただいて、センサスの方にも話してみたいと思います。そこは、今議論してもしょうがないので、作った方に確認させていただいてということにします。
【多紀座長】 では、お願いします。
それでは水口さん。
【水口委員】 今の橋本さんのご意見に追加で、次回までにこういう資料を出していただきたいというのを参考までに、それはブラックバス関連と思われる遊漁証の発行枚数です。これは非常にややこしくて今先ほど言った4湖以外は正式な形ではないんですけれども、実際に芦ノ湖なんかでもそれがワカサギとブラックバスは別かというと一緒になっているし、非常にややこしいんです、この把握は。それはそれとして、実は全国の内水面漁協で漁業権魚種としてブラックバスがないところでも、ボート料金とかトローリングという形でかなりのところが遊漁料を取っているんです。雑魚券などとして。それは組合はみんな把握しています。それはむしろ全内漁連さんが実際に傘下の組合がどれぐらいこれで収入を得ているかというのを、ぜひ把握して報告していただきたいんです。これが多分一番近い数字なんですよね、経済行為ということでは。
【多紀座長】 いい意見をありがとうございました。では一応この話題はこれ以上は実質的には進展をしそうもないので、まず事務局の方から――それでは水産庁。
【佐々木補佐】 ちょっと説明の仕方が悪かったかもしれませんけれども、これは先ほど高宮委員の方がおっしゃった4湖について90万9,000人という話ではありません。全国で90万9,000人ということでございます。それで、このセンサスについて、ただ調べる条件として先ほど言ったような形で調べてあるということで、水産庁としては300万人がいいかどうかという話は、決してそういう話をしているわけではありません。現実的に90万というのは先ほど言ったような条件のもとで調べた数字ということで、ご理解をしていただければいいかと思います。
【多紀座長】 それでは、遊漁者数については橋本さんの方でもお調べ……。
【橋本氏】 調べてきます。
【多紀座長】 お願いいたします。では次の話題に行きまして、ちょっと一つ日釣振に、私、素朴な質問をしたいんですけれども、親子のきずな、ブラックバスのルアーフィッシングなんですけれども、ほかの魚でほかの釣りでは親子のきずなはできないんですか。
【高宮氏】 そのお渡ししている資料に、ブラックバス、バスフィッシングの社会的意義と有用性というのが書かれています。その中に書いてありますように、今、子供たちあるいは親子連れで行くということになると、基本的に余り遠くにはお金をかけて行けない。どうしても身近なところに行く事が多くなります。これが20年前、30年前というのは身近にフナ釣りとかタナゴ釣りとかハヤ釣りとか、そういうような釣りができるところがあったわけですが、そういう小川が宅地化等によって埋め立てられたり、あるいは水質汚濁であったり、コンクリート護岸化、河口堰建設等の環境破壊によって、そういうようなことの中で、非常にそういう魚が釣れなくなっています。結局身近で釣れるというのが、水質汚染にもある程度耐えられる魚で、20~30年ぐらい前から、一つのポピュラーな釣りとしては極めてそういうバスフィッシングというのが増えてきた訳です。
ですから、この自然体験、野外体験をする、あるいは親子の触れ合いをするというような方法としている、やはり一つは手軽で身近なところというようなことがあるわけです。そういう意味で、結果的にバスフィッシングがそういうような役割を果たしている。それから非常にバスという魚はやはり頭がいいですから、創意工夫とか、それを釣るために相当な釣技というか技術とかがなければ釣れないというようなことも、非常にこの釣りの奥の深いところと、自然体験の中で将来的に、青少年の生きる力や考える力、問題解決能力が育まれると思っています。
【多紀座長】 はい。私のご質問の底にあるのは、座長が余りこういうことを言っちゃいけないのかもしれないけれども、ちょっと素朴な。
もちろん、それ、おもしろいですよね、バス釣りは。けども、私のお聞きしているのは、オオクチバスがかなりいろいろなところで生態的な在来魚種とか在来の生物集団に影響を及ぼしているという、それから、非常に外にはみ出しやすいというような魚種であるということを前提にお願いしてお聞きしているんですけれども、もしもこれがバスを飼えるようなところでヘラブナも飼えるでしょうし、それほどおもしろくはないけども。けども、ただし、これが、私、第二の故郷ラオスへ行ったら、ラオスでもってそんな高級な釣りをしていないけれども、親子のきずなはちゃんとありますよ。その辺はいかがですか。
【高宮氏】 今のお話だと、もう既にバスが害魚に決めつけられていると思います。一般のファミリーとかは、少なくとも今までの大半の人たちはそうではなくて、やはり身近なところで野外体験の一つにそういうようなバスフィッシングという釣りがあって、それが非常に手軽にできると思って、自然な形で純粋にそれを楽しまれているわけです。従って、何でそんな害を与えるような釣りをするんだということを言われましても、これは現実にそのご本人たちがタナゴやフナ釣りが宅地の埋立他で少なくなって、最も身近な釣りになったからだと思います。バス釣りをしたから、生態系を壊しているとは、ほとんどの一般の人達は考えていないと思っています。そしてご家族から何通も手紙もいただいていますが、何回かのシンポジウムの中での意見発表の中で、私どもも親子から非常に自分たちは、バスフィッシングを始めた事によってコミュニケーションが深まり、親子の断絶が直りましたというような、そういうようなご意見もたくさんいただいています。
【多紀座長】 はい。そういうのはいろいろ聞いていまして、うちの親子は別のことで断絶を修復したことがありますけれども、それは別にして。一つ、ちょっと來田さんにお聞きしたいんですけども、私の質問も含めて。いろいろと非常に釣り人がこういうことをしなきゃいけないとか非常に建設的なご意見があったけども、特定はしてもらいたくないというのが基本的な立場ですね。抑圧感があるとおっしゃいましたっけ。何かそのような感じがあると。その辺ちょっともう少し踏み込んでお話し願えませんか。
【來田氏】 まず、このバス問題について、影響があるということはよくわかっております。ただ秩序づくりをするために、今現在日本全国で今度の法というのはともかく公有水面であろうと私有水面であろうと、あらゆるところでバスの移動を禁じるということになるわけですよね。そうしますと、私たちが考えております秩序というのは、やはりここにいてもいいよ、ここはいてはいけないよという場所を分けながら、徐々に整備していきましょうよという考え方です。その中に、ここでは本来論じるべきではないかもしれないですが、キャッチアンドリリースという問題も密接に関係してくるんです。
ということは、今の10代から40代ぐらいまでの方々がルアー釣りを覚えたときに、すべてルアー釣りというものは、キャッチアンドリリースを伴う釣りなんだというふうに信じていらっしゃる。いいことか悪いことかは別として、ともかくそういうスタートでルアー釣りが始まっておる。この実情を見ましたときに、排除地区や、防除地区から別の場所に魚を移さないと、精神的に安定しないであろうな。つまり、悪いやつだから殺せということは、そういう言い方をされてもちょっと納得できませんという部分があると思うんですよ。だからその部分をある程度緩衝期間を設けて置かないと、ショックが大き過ぎて、結局は全員に罪を犯されてしまうような結果になったら、法としてはまずいんじゃないですかと。
それからもう一つ、先ほど座長のおっしゃったコミュニケーションというところなんですが、私も別にバスにこだわるところはないと思うんです。どんな釣りでも、またどんな遊びでも親子のコミュニケーションというのはとれると思います。ただ社会的に見て非常におかしな風潮なんですが、今都道府県の1級河川なんか行きますと看板が立っているんですよ。その看板が「よい子は川に入らない」。こういうことを日本国民全体の認識として持っていいものかどうか。自然に親しむことで共通認識のある先生方も、これにはおかしいと思われる。でも、その状況下において魚釣りをしようと思うと、ルアー釣りというかリールを使う釣り以外に水辺に取りつけない。お母さん方皆さん、それでも川のそばへ行くのはだめ、池のそばへ行くのはだめ、そういう現状があるもので、その辺のところをちょっと補足しておきたいと思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。確かに、例えば淡水魚研究者で君塚君という人がいますけれども、彼なんかもいつも悲憤慷慨していますよね。いわゆるミズガキですか、カワガキですか、というような者がいなくなったと。それはちょっと余談になってしまいますけれどもね。今の話でもって事務局にちょっと伺いたいんですが、キャッチアンドリリース、一般の釣り人がその辺今度の法令がどういう性質のものかというのは余りやはり当然まだPRしていないからわかっていない部分もあるんでしょうね。その辺もちょっと事務局の方からもう一遍確認の意味でもってご説明願えませんか。
【環境省 上杉企画官】 はい。先ほど資料3の3番のところで、外来生物法による規制というところで、法律の趣旨といいましょうか、法律の内容の一部が若干説明がございました。実はこの法律こういう幾つかの行為について大きく規制をすると。「してはいけません」「許可をとらないとできません」というようなことが幾つか書いてありまして、これは飼養、保管、運搬ということで、基本的には家で飼ったりあるいは湖に放したりということも含めてになりますけれども、物を買って売買をしたり、あるいは輸入したりと、そういうような行為自体が規制をされるわけですけれども、釣りという行為そのものは基本的には規制の対象になっていないと、あるいは今お話になりましたキャッチアンドリリースも直接釣りに伴ってやっている分については、全然規制の対象にはなっていないということがはっきりしております。
その上で、もう一つ4番の防除というところがございまして、これは既に全国的にいろいろなところに分布をしているものについて、影響をどういうふうに抑えていくのか、影響緩和という言い方をしておりますけれども、そういう地域によって必要な場所で必要な行為をとっていくということがございます。これについては法律上は国だけではなくて、地方自治体、あるいは民間の団体の方も含めて、影響緩和をする必要性のある地域から必要な防除のための措置をとっていこうということになっています。具体的にはお手元のこの基本方針という冊子の中にもう少し詳しく考え方が書いてあります。基本方針の中では、ページ数でいいますと8ページのところになります。第4、防除に関する基本的な事項という部分に、この防除についての考え方が示されています。
まず基本的な考え方としまして、8ページの防除の1、防除の公示に関する事項の(1)のところになりますけれども、これはまず国はどういうふうにこの防除を進めるかということで、制度上その保全を図ることとされている地域など、全国的な観点から防除を進める。優先度の高い地域から防除を進めるということを言っております。ただ国だけではなくて、地域の生態系等に生ずる被害を予防する観点から、地域の事情に精通している地方公共団体あるいは民間団体が行う防除も重要である。そういう人たちの取り組みもぜひやっていただきたいということが書いてあります。
その上でどういうふうに防除を進めていくのかということで、次の9ページの方の(3)防除の内容というところに考え方を少し示しておりますけれども、防除の目標ということがありまして、これは防除の対象となるそういう生物のいろいろな特性を見て、さらに予想される状況を勘案する、地域の状況をよく見ると、そういうことを含めて区域から完全排除していくのか、あるいは影響を封じ込めていく、あるいは影響の低減をしていく、つまり生息する数のある程度コントロールができるのであれば、それを数として見ていくというふうな、いろいろな考え方がとれるよということを書いてあります。個々具体の、この場合ですと水面が対象になると思いますけれども、どの水面をどういうふうに扱っていくのかということについては、当然それぞれの状況を見ながら、あるいはだれがどこでどういうふうな取り組みをするのかということを考えながらやっていくのが、この法律上の防除の考え方ということになっています。そういう意味では、法律上の指定がされた場合には、大きく二つの観点があって、一つはその流通等の規制をするということと、防除をする必要性のある地域において、それぞれの必要性を感じている主体が取り組みをやっていくと。その際にはいろいろな状況を見て一律の考え方ではなくて、その地域の状況なども見ながら、それぞれの地域で必要な取り組みを進めていくということにされているわけです。
【多紀座長】 では、來田さん、お願いします。
【來田氏】 私の説明が多分不十分なのだろうと思うんですが、まずキャッチアンドリリースに関しては禁じられていないというのは、釣り人ほとんどはもう既に承知しておると思うんです。ただ防除という時点というか、区分けする、ここはだめよと言われたときに、そこで釣り上げた魚を別のところ、安全なところに移動するためには、移動の禁止というのが問題になるんじゃないかという恐れがあるわけですね。それは拡散防止に反するじゃないかというのも、もちろん先生方からあると思う。釣り人自身が持って歩くということは、これはやはり避けなければならないと思うけれども、一定の機関にお願いして集めていただいて、いてもいい場所へというそういう秩序をつくらないと。人数によっては、皆さん異論があるかわからないが、私は300万人以上おると思っております。ということは、バス釣りもする釣り人、そういうのをあわせますと、もっと膨大な数に上るわけです。ですから、そういう人たちに快く前向きに国の方針に対応し、順応できる体制を何とか皆さんでお考えいただきたいというお願いの部分ですので、ひとつご理解いただけたらと思います。
【上杉企画官】 ちょっと説明が足りなかったようですので、続けて補足的に説明をさせていただきますが。
今の9ページの同じ防除の目標の下に防除の方法ということも書いてありまして、防除の目標に照らして捕獲、採集、殺処分、防護さくの設置等、いろいろなやり方があるということを書いております。さらに捕獲した個体の取り扱いをどうするのか、そういう方法も防除の中で明らかにしていくということにしております。この法律上実は防除、ちゃんとした国の公示に沿って地域でも確認や認定を受けていれば、この法律上の先ほどの規制、例えば運搬をするということについては、特例的に許可をとる必要性がないというふうな制度になっておりまして、しっかりとした防除の計画として実施される場合であれば、例えば生きたまま問題のないところに運び出す。例えば動物で言えばある動物を捕まえて動物園に運び込むというようなことが想定されるわけですけれども、そういった形は十分とれるわけです。その場合、これも例えばになりますけれども、許可をされているような釣堀があって、そういうところに運ぶということについては、当然この防除の中で十分見ていくことはできるようなものだというふうに思っています。そのやり方、方法自体は防除を具体的にどうしていくかという中で決めていけばいい話ということになると思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。
では、水口さん。
【水口委員】 今のことと関連してなんですけれども、キャッチアンドリリースは規制されるものではないと。しかし、現在、各県の委員会指示で規制されていますね、事実として。漁業法の関連で、環境省は関係ないんですけれども、別の法律で規制されているわけです。ですから、今はキャッチアンドリリースができない県がかなりあるわけです。そういった県の数は増えていますけれども。そうなりますと、例えば子供の場合、釣りますね。そうすると、環境省はリリースしていいと言っているけれども、県はだめだと言っていると。じゃあ、持って帰って飼おうかということも考えます、子供は。何かというと飼いたいですから。でも、それもいけないわけですよ。今度は環境省の方の法律で飼うのはいけないということになると、基本的にはもうこれ、この両方の法律ができたら、釣ったら殺せということなんですよね。それしかないんですよ、方法は。飼うこともいけない、放すこともいけない。そうしたら、殺すしかないんですよね。それを法律で、ある意味では子供たちに指導するということなんです。そのことの影響はいろいろあるんじゃないですかということですね。
キャッチアンドリリースという一つの、バスフィッシングやる人たちの楽しみというかよりどころみたいなところを、禁止はしていないんだけれども結局は殺せということになるんです。しょうがないんですよ、他の法律がそういうふうにしているわけですから。それでここでは今度は飼ってはいけないとなっちゃいますから。今まではリリースしないで家に持って帰って飼えることはよかったんです。今度は家に持って帰るときに、運んでいるだけでもしそれが見つかればだめだから、まず無理になりますよね。そうすると殺すしかないんです。死体を運ぶのは問題ないという、この法律でちゃんと言っていますから。だけど、食わないけれども殺して捨てていくという、それをある意味では引き起こすことです。
【多紀座長】 どうぞ。
【上杉企画官】 その委員会指示あるいは県の条例で確かにやっているところが9県くらいでしょうか、あるかとは思います。ただ、法律と各自治体の規則なり条例という関係だけで見ますと、そこは完全には矛盾をしていない話でありまして、個別の場所でどういうふうに扱っていくかということについては、先ほどの防除の考え方の中でといいましょうか、扱いとしてどうしていくかということについては、もちろん、いろいろな考え方がとり得るということだというふうには思います。
現在既にリリース禁止になっている地域でそれぞれの場所でどうしていくかということは、もちろん例えばこういう防除の計画を立てなきゃいけなくなったということがあるんであれば、そういう考え方を十分に議論をしていくことはできるんではないかというふうには思います。
【水口委員】 よろしいですか。可能性としてはもしこちらの法律が通れば、リリース禁止をしているところにこちらの法律の方のリリース禁止はしていないんだということの方が働きかけて、各県でリリース禁止になっているのをやめさせるということもあり得るということですか、今のお話は。
【上杉企画官】 いえ、そういうことではなくて、例えば防除をどういう形でやっていくのかという話だと思いますので、基本的にはリリース禁止のままであれば、先ほどのように生きたまま持ち運ぶということは基本的に禁止されることになっていきますので、ないようにということは原則だと思いますけれども、例えば防除というような計画の中で位置づけている行為であれば、それはそれで運び出すという形は、十分できるということになると。
【水口委員】 子供が釣って、一々そういう防除の計画で許可をとって運ぶなんていうことはあり得ないわけで、実際には防除というのも全国的ではないわけで、部分、部分で始まっていくわけですから。そうすると、そういう防除の網がないところで釣った魚は殺せということになるんですよね。
【高宮氏】 今の件で。今のご説明の中に今回の法律、これ特定に入っても入らなくてもこういう釣りそのものは禁止ではない、キャッチアンドリリースも禁止ではないというご説明なんですが、現実に一つの事例として、今まであったことを幾つかご説明をしたいと思いますけど、一つは秋田県の八郎潟、これ2年ほど前にキャッチアンドリリースが禁止になりました。そのときにもバス釣りそのものは禁止ではありませんよということだったわけですが、これは地元のNPO法人ヘブンの調査ですけれども、平成14年と15年の釣り人の差、これはゴールデンウイーク中、年間でも一番多い日の期間を調査をしておりますけれども、前年比で19.7%まで釣り人が落ち込んでいる。結局80%以上釣り人が減少したということなんですね。これは琵琶湖の例でもあるわけですけれども、釣りそのものは禁止をされないということで言われていますが、実際はこういうことになっているわけです。ましてや、今度この特定というような形になったときに、このキャッチアンドリリース禁止以上の影響があると思っていますから、現実的には釣りを禁止するということとそれほど変わらないことになってしまうということは、ご理解をいただきたいというふうに思っています。
それから、さっきの中で、座長のご質問の中に何で親子ということですが、一つちょっと言い忘れておりましたのは、これは一部今回の資料でも載せておりますが、毎年東京、大阪でアンケートをとって、最初に釣りをするのは何の釣りですか、それから今何の釣りをしていますかということですが、1998年当時でしたら82~83%が最初の釣りの入門種としてはバスフィッシングです、というようなことが答えられていました。この資料に書かれておりますように2002年は72%の人が釣りを始めるときに、先ずバスフィッシングをやっています。フナ釣りとかそういうような釣りは数%なんですね、3%とか4%ぐらいなんです。それぐらいにやはり釣りを初めて始める、あるいは身近なところでいるというのは現実的にバスフィッシングが多い、そしてそれがまた野外体験とか自然体験とか親子の触れ合いに現実的にそういう人たちが多いということで、結果的にそういうふうなお話をさせていただいておりますので、何でフナ釣りじゃだめなの、と。フナ釣りでだめなことはないんですけど、小川などが減少して実際釣る場所が少ない、それから我々が子供の頃と違って、釣れなくなったというようなことで、そういうお話をさせていただきました。
【多紀座長】 はい。今までごめんなさいね、ずっとそちら側。座長が今日はちょっと本性をあらわしておしゃべりになってしまったので。では、まず細谷さんからお願いをします。
【細谷委員】 私からは、意見ではなくて提案させていただきたいと思います。この会議は選定対象をどう絞り込むかという会議であったはずで、今日はもう既に1時間35分費やしていますけれども、事務局の方から資料3として4点ほど整理されていますが、1、2については論議すべきところであって、3、4については今後のところで、今そこのところに入ってきているかなということで、親子の問題であるとか命の大切さについて、その辺に今論議が入ってきて、この会合はそれについて論議すべきではなくて、本会合は釣り団体のヒアリングではないはずです。
やはりもう既に5名の方から資料説明があったはずですから、その提出いただいた資料の不整合について論議すべきであって、それについてもう既に1個しか、特に釣り人口、人数について答えは出ていませんがそれの論議があっただけで、密放流の存在の有無であるとか、生態系の実際の科学的な影響についてだとか、全く論議せずに、そういった、ある意味で方向性がずれていますので、もう一度原点に返って、座長の方、かじ取りをよろしくお願いいたします。
【丸山委員】 賛成。
【多紀座長】 わかりました。
次は、もう一人どなた。丸山さん。そっちの方から、じゃあ、かじ取りを変えてください。
【丸山委員】 細かい点、幾つかあるんですけれども……。
【多紀座長】 僕はそれ以上できませんから。
【丸山委員】 やはり日釣振さん、全釣り協さんのお話を聞いていて全体に感じますのは、バスという魚、捕食する肉食魚ですよね、エビ類や小魚を主に食べていく。こういったものというのは一定の面積で狩猟できる量がどうしても限られる。その狩猟できる量の中で、また釣りで実際に利用できる量はまた限られるわけです。そういう総合的な利用可能な資源の量に比べて、今の釣り人の数あるいは釣りに行く頻度、そういったものは本当に適正なのかどうか、それが適正であるにもかかわらず、こういうバスの議論が起こったことによって不当にそのイメージが悪くなって、業界として被害を受けたという証明があれば、我々もそのように考えますけれども、ただ釣り人が減ったというだけですと、はっきり言いましてこれはバスが減ったから人が減った。あるいは、ブームを起こして一度にたくさんの釣具を売ってしまったから、それがだぶついて売れなくなった。これはもう構造的な問題でして、どうしようもないわけです。その辺やはりきちんとした資料に基づいて話をしなければ、多分ここではもう、これ以上の議論はできないと思います。
その他、本当は親子のことをしゃべりたいんだけれども、実は私そういう話を來田さんからずっと聞いていましたので、反論するために実験をやりました。小学生相手に教えますと、ハゼ、チチブ、テナガエビ、何でも喜びます。なぜそういうことが起こるのかといいますと、はっきり言ってバス問題のおかげでいろいろなことを考えさせられました。子供の様子を見ていて感じましたのは、本当に子供たちが孤立しているということです、一人一人。昔のようなガキ大将がいて、大きい子と小さい子が一緒に遊んだりする、そういうシステムがない。結果的に子供たちの遊びというのがものすごく単純化しているんです。複雑なルールなんかない。それでおもしろくないんです。それよりは大人から与えられる既存のルールのしっかりした遊びの方が楽でおもしろい。ですから、テレビゲームとか、そういった大人が与えるゲームの方に走っているんです。
はっきり申しまして、釣用具屋さんがテレビで紹介しておられる釣り番組、そこに、バスは大分減っていますけれども、バス、アユ、ヘラブナ、渓流、これ以外の淡水魚の釣りって、ないでしょう。だから、子供たちにとってはそれ以外の釣りはないんです。だから、釣りたいとは思わないんです。どちらが先か、それはニワトリと卵の問題がありますから、私自身は実際子供たちに教えてみて、本当にハゼ釣りで十分に楽しみます。これは大人たちが楽しみ方の入り口を与えてあげるから、それがわかる。わかれば夢中になるんです。本当に35人の子供たち相手に教えて、坊主だったのが2人だけなんです。その2人は何かといいますと、自分の釣りのスタイルにこだわりがあったから、あくまでも僕らが与えた道具じゃなくて、自分の釣りをやったら坊主を食った。だけど自分で納得できると。だから全員が楽しんでくれたんです。これはだから、大人たちがどうやって子供たちに関わっていくかという問題です。そこを抜きにして、ただバスと関係づけて論ずるというのは間違いだと私は思っています。
細かいことはいいんですけれども、できればここは議論する場としては、先ほど細谷さんが言われたように、バスという魚がどういう魚なのか、それは本当に日本の自然になじめるものかどうか、なじめる場合があるとするのはどういう場合なのかと、そういった具体的な資料を1個ずつ積み重ねて、その上でどういう共存のあり方があるのか、あり得ないのかというふうに議論を詰めていかないと、恐らくもう堂々めぐりでどうにもならないという気がします。
一つだけ、私、先ほどそういう話が日釣振さんの方からもあったので少し言わせていただきますけれども、一見見ていますと在来種とブラックバスがかなり長期間にわたって共存しているように見える水域というのは存在しています。先ほど芦ノ湖という話が出ましたけれども、その他にもたくさんあります。それを一応パターン分けしてみました。そう漁場数が多いわけじゃないですけれどもね。そうすると、大体4タイプに分かれます。
一つは山岳湖沼です。先ほどの芦ノ湖とか、こういうもともと冷水性の魚に適した環境。ブラックバスが思いっ切り活動できるのは、夏の水温成層よりも上の岸辺だけ。ほかの場所は全部他のタイプの魚が占有する場所なんです。要するに、バスの利用できる空間が時間的にも限られてしまう、そういうところではそう増えませんので、在来種を食い尽くすようなことはなかなか起こらないようです。特にダムの場合には農業用水、灌漑用水の水源として使われている場合には、バスの産卵期である春から初夏の時期に水位が下がっていきますから、産卵しても干上がりやすいので、ほとんど増えません。そういった事例は例えば利根川水の相俣ダムとか、河内ダム、幾つもあります。
もう一つは、極端に富栄養化した水域です。先ほど手賀沼とか牛久といった話がありました。ここはバスが産卵のために必要な砂利とか砂、そういったものの上にやわらかい軟泥が厚く積もります。こういう場所では極めて産卵がしにくい。繁殖力が抑えられます。それと水草が茂ります。特にヨシなどの挺水植物ですけれども。隠れ場は豊富なので、在来種も食い尽くされにくい。それと夏場のセイソウ期には水底の方に非常に広く低酸素層が広がりますので、バスはそう全体を使えるわけじゃない。そういったことで食い尽くしが起こりにくい。これ、いずれも極めて特殊な環境がバスの繁殖あるいは活動を抑えているから活動できないという場所です。
その他に四つ目、もう一つあります。これは汽水湖です。汽水の入る湖。例えば宍道湖、中海、涸沼、こういうところはバスが入っていますけれども増えません。実は霞ヶ浦もこれと同じだったんですよね。これがあるときから性質が変わったおかげでバスが増えてしまった。それは多分閉め切りです。常陸川水門、これは1963年につくられましたけれども、その後試行期間を経て75年から本格的に操作が開始されています。それを閉め切ったことによって汽水湖としての性質を失ったと。そう言うと、塩分とすぐ思い込んでしまうんですけれども、恐らく塩分ではありません。スズキです。スズキの子供がバスの産卵よりも早く、大量に汽水湖に入ってきます。これがいるとバスは恐らく増えられないんだと思います。
逆に八郎潟なんかの場合には水門で完全に閉ざしています。それでスズキが入れません。そういうところではバスが抑えがきかない形になってしまった。だから、環境で非常にきいています。ただ単に人間の荒らす環境、人間の手が加われば全体にだめなんだとか、そういう漠然とした話でやっている分には、話が進みません。きちんとこういう、一つ一つ具体的な対応をする要因を明らかにしていけば、逆にそれが抑制の方にも使える情報になっていくと。その作業を一つずつやっていかないと、もう一般論は私は聞き飽きたというのが本心です。
【多紀座長】 はい、すみません。では、またちょっと言わせてください。今の丸山さんの発表とか、今日の瀬能さん、中井さんのあれが雄弁に物語っているんであって、だから、ある意味で、ある意味じゃないな、全体的な意味でどこまで防除するかは別として、外来魚としてかなり生態的に影響を与えているということは全委員が、程度の差こそあれ認めていることなんですよ。なぜこの小グループがあるかというと、それはもう認識ですから、特定の候補になっている。ただし、釣り人口も何万人か知りませんけれども非常に多いし、それから産業的に大きな産業になって、それに付随したような産業もあるので、どのようにしてその辺を調整をしてやるかというような問題があるので、3種だけがこの小グループをつくっているわけですよ。あとマルハナバチとかクワガタとか。
そのためにあれなので、しかも琵琶湖の内湖とかザイコとか、その辺は産業界の、それから釣りの会の委員の方々もお認めになっているんじゃないかと僕は思うんですよ。そんなことはないという人は、少なくともいない。まあ、どこまでがどうだという論議はありますけれどもね。ですので、そういう意味でもって、だから、これから例えば釣りの方の人はどういう見方をしているか、だからこうしてどういうことを一緒にやってくださいませんかとか、そういうふうなことをやる。ですからこちらに座っている4人の方は、もう全部手持ちのカードは出しているわけですよ。だから、僕は今のちょっとおかしなあれになったけど言っているので、その辺は細谷委員も理解をしていただければありがたいと思っています。
【細谷委員】 先生、よろしいでしょうかね。多紀先生のおっしゃるとおり、プロセスはまさにそのとおりだと思います。聞いているというところですけれども、そのためにはコンセンサスとして生態系に影響を与えているというところではあると思います。その程度に認識の違いがあるというのもわかっております。
じゃあ、実際にそれにどう対応するかというところまで来ているわけですが、一つ秩序の問題がこれから当然論議される。それは皆さん当然だと思っておられるんですが、秩序とは何か。これは密放流の存在の事実確認をしなければ先に進まないということであって、今日は日本魚類学会からかなりサイエンティフィックなデータが出ていますが、日釣振の高宮さんについては、どうも書きぶりが先回とは少し違うようで、密放流があるかないかという文面は提出いただいたところではなかったんですが、來田さんは今回も密放流はないというふうに文書でお書きになっていますけれども、この科学的な知見に対して、再度高宮さんとそれから來田さんから、どのようにお考えなのか、どのように評価するのか、意見を賜ってよろしいでしょうか。
【多紀座長】 はい。では、どちらでも結構です。
【水口委員】 その前に。
【多紀座長】 その前に。はい。
【水口委員】 先ほどの今日出たものを検討するという中で今の細谷さんのが出たと思うんですけれども、その前の多紀座長のまとめとそれを受けた細谷委員の発言は、今日配られた資料3のオオクチバスによる被害の実態1、共通認識、それから論点というところと矛盾するんですよね。というのは、生態系に被害を与えるとか、影響を与えるということはもう共通認識だってお二人おっしゃったんですけれども、そんなことはこの整理された論点には書いてないですよ。共通認識は「希少種の生息する小さな水域などにおいて被害が確認されている地域がある」。そこまでしか書いていない。これは私もそのとおり認めたんですけれども。だからその後に論点として、「……生態系等に与える影響に関する知見はまだ不十分であるとの意見がある。一方、……生態系等に係る被害は明らかなものであるとの意見がある」。お二人ともこの後者だけで進めようとしているから、私はおかしいと。
【多紀座長】 違います。
【水口委員】 違いますか。
【多紀座長】 僕は、「程度のこそあれ」というような、余りうまくない日本語だけど、ちゃんと言ったつもりでございます。
【水口委員】 いえいえ、程度の差こそあれ生態系に影響するんですよ。
【細谷委員】 それは私も……。
【多紀座長】 だから、そういう言葉じりの問題じゃないんですよ。
【水口委員】 いや、言葉じりじゃなくて、私が1回目のときに言いましたように、多紀さんが座長でやった、この『ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策』の中で、はっきりと書いてあるじゃないですか。あなたが責任をとって出した本の中に、環境省の報告の中に。
【多紀座長】 それはあなたが委員だから、ちゃんとその意見も入れて書いてある。そういうところもあるし、そうじゃないところもある、というようなことを書いてあって、今それを持ち出されても、僕は……。
【水口委員】 ここにはそんなこと書いていないですよ。
【多紀座長】 それを持ち出されても困るなあ。
【水口委員】 あれっ、何でですか。ここにはブラックバス、ブルーギルが侵入、定着することで、本邦の湖沼生態系がどのような影響を受けているかについての知見はほとんどなかった、と書いてあるじゃないですか。
【多紀座長】 「なかった」でしょう。
【水口委員】 はい。
【多紀座長】 なかったので、それをやって、それ以後、だからお堀をやったり、いろいろして。
【水口委員】 いえ、うそです。この中でお堀のことも全部検討していますよ。
【多紀座長】 だから、「なかった」って。
【水口委員】 だから、ないということじゃないですか。知見がない、ということなんじゃないんですか。
【多紀座長】 いや、だから知見が……。
【水口委員】 そうすると、そういうことは言えないんじゃないですか。
【多紀座長】 じゃあ、今まで出てきたこちらの委員の……。
【水口委員】 それはあなたが一方的にそういう評価しているだけで、この委員会では評価されなかったんですよ。
【多紀座長】 どの委員会で。
【丸山委員】 委員会でじゃなくて、だから水口さんはどういう評価をされているの。
【水口委員】 私はこれでいいと思いますよ。
【丸山委員】 じゃあ、なら、今回出てきた資料についてどう評価されているの。
【多紀座長】 この小グループのことでやっているんでしょう。
【水口委員】 だから、生態系って……。
【多紀座長】 過去の、だからこれで例えば今日瀬能委員が出したもの、中井委員が出したものというようなことでも言っているわけで、この小グループのことで言っている。
【水口委員】 だから、私はそのことで言おうと思っていたんです。瀬能委員が日本魚類学会の自然保護委員会外来魚問題検討部会という名前で出していますから、この文章には日本魚類学会は責任を持つんですよね、当然。瀬能さん、そうですよね。あなた、個人的見解じゃないですよね。そうすると、その中で、「生態系への被害が甚大であること」ということもはっきり言っているわけです。そんなことはちゃんとしたかたちであるんですか、「生態系」という言葉を使って、論文は。
【多紀座長】 瀬能さん。
【瀬能委員】 前回提出した資料と今回中井さんが示した資料で十分だと思います。反論があれば、具体的な資料を示しながら言っていただきたい。それから、どの部分がどうだめなのかということも、具体的なデータなり資料なりに基づいてお願いします。
【細谷委員】 先ほどの私の質問を……。
【水口委員】 ちょっと待ってください。それで、今瀬能さんのことについては、瀬能さんは中井さんの資料と、それから前回というのはアンケートですよね。アンケートというのはどういう考えを持っている人たちがやったアンケートですか。魚類学会がそういうことを心配している人たちに出したアンケートですよね。
【瀬能委員】 ホームページ上でもう既に公開していますので、その具体的なものを一応理解した、あるいは読んでいただいた上でご質問いただきたいですが。
【水口委員】 何を言ってるんですか。だから、それはもう前回配った資料でわかりますから、それは魚類学会がそういう関係者に配ったアンケートという、それでいいんでしょう。
【瀬能委員】 関係者。
【水口委員】 ええ。関心を持っている人たちを。
【瀬能委員】 中でも、研究者ですとか……。
【水口委員】 例えば魚類学会員全員にとか、そういうんじゃないですよね。
【瀬能委員】 関係ない人に配っても仕方がないので。
【水口委員】 私には来なかったですよね、少なくとも。
【瀬能委員】 そういう調査をされている方たちを中心に、アンケート調査を行っています。その辺のことは、もう既に公表されていますので。
【水口委員】 ええ、わかります。ですからその対象、こういうアンケートというのは、どういう人たちを対象にアンケートしたかによって、全然違うわけです。そうすると、もう初めからやらなくてもわかっているわけですよね。
【瀬能委員】 一つの目安ですから、我々はそれを影響があるというふうに判断しています。
【水口委員】 まあ、いいです。ですから、そういうものを論文と同じように扱っていいのかというのが一つあるんですけれども、それはさておくとして、中井さんの出された論文はほとんど、この報告書の中でも中井さんも委員ですから、ほとんど出しているんですよね。そういう中でこういう結論になっているので、それを今さら中井さんのもあるでしょうと言われても困るので、そうすると……。
【瀬能委員】 具体的にどこがだめなのかということを、データなり何か示しながら言っていただかないと、議論にならないと思います。
【水口委員】 私が言っているのは、この報告書を否定するんですかと聞いているんですよ。
【瀬能委員】 何度も申し上げますけれども、具体的なデータを出しながらお願いします。
【水口委員】 だから、この報告書というのは、200以上の論文をもとに検討した一つの結論なんですよ。そこは、それこそ具体的、それはもう中井さんや多紀さんに聞いてくださいよ。何も具体的になしにそういうことになったのかという話になりますよ。
【瀬能委員】 ですから、どこがどうだめなのかというのを言っていただかないと、回答のしようがないと思うんですが。
【水口委員】 いやいや、だから「生態系への被害が甚大である」ということを、あなたが言うようないろいろな資料をここでは検討しているんですよ、みんな。そして、そういう結論にならなかったんですよ。
【瀬能委員】 ならなかったという事実はないと思います。
【水口委員】 いやいや、ここになっているじゃないですか。ここに印刷されていますよ。お手元にあるでしょう、配られて。あなたの前にありますよ。読んでくださいよ。ならなかったという事実なんて、何でそういうことを言うんですか。
【瀬能委員】 調査報告とかアンケート調査とか、いろいろ出ていますので、そういったものを勘案して甚大であるというふうに判断しています。
【水口委員】 いやいや、ですから、だからこの報告書の56ページをあなたはどう評価するんですか。1回目から私はそういう提案をしているんですけれども、全然議論されていないんですけどね。
【瀬能委員】 報告書の56ページというのはどこのことでしょう。
【水口委員】 この報告書です。あなたのお手元にあります。私は1回目、その部分を問題にしたんです。だから「生態系」という言葉でやるのは、ですから座長も「生態系」という言葉は使わないようにその後されています。それはよくわかります。
【多紀座長】 ああ、そのこと。
【水口委員】 はい。
【多紀座長】 ああ、そう。「生態系」という言葉。生態系はエネルギーのフローやなんかがあって、だからというので、僕はその辺素人で、僕は生態学者じゃないので、それはお代官様すみませんと言って僕は使わないと……。
【水口委員】 そう言っちゃ専門家としてはいけないので、そうしたら、ここにだれが生態学者がいるかという変な話になってしまうので。
【多紀座長】 だから専門家じゃなくてもね……。
【水口委員】 魚類学者だからだめだという話じゃないでしょう。めちゃくちゃなことを言わないでくださいよ。どうですか、瀬能さん。
【瀬能委員】 言葉の定義はともかくとしても、言っていることは十分理解されていると思っています。
【水口委員】 そうでしょう。これに対して……。
【瀬能委員】 ですから、これに対しての議論は意味がないと思います。実際の在来生物に影響を与えているということで十分だと思います。
【水口委員】 いや、在来生物に与えているんじゃない、生態系に影響を与えているというのと、在来生物に影響を与えるというのは違うでしょう。
【多紀座長】 わかりました。だから、それはこの前と同じように瀬能さんとしては今答えはあれだろうけれども、「生態系」という言葉の定義のことでしょう。
【水口委員】 そうです。
【多紀座長】 だから、それじゃ私が引き取りまして、それは生態系ということじゃなくて、答えは何でもいい、あなたの好きな言い方でもって結構でございますので、そのようにご理解したら。
【水口委員】 そう言っちゃったら、議論できないので。ここは研究者の専門的なところですよ。法律にあるんですよ「生態系」という言葉が。
【多紀座長】 いや、ですから、それは余りもう……。
【水口委員】 お好きなようにという話じゃないんですよ。
【多紀座長】 いや、お好きなと、だからここの場の議論ではないんですよ。
【水口委員】 出発点じゃないですか。法律で定義ですから。特定外来生物を指定するところ……。
【多紀座長】 だから、それを一番最初に言ったんだよね、あなたね。
【水口委員】 そうです。
【多紀座長】 だから法律は生態系というのを、だからそれをごく一般的に言う生態系と読んでくださいということだったと僕は思って。
【水口委員】 じゃあ、魚類学会もそう求めているんですか。
【上杉企画官】 ちょっとよろしいでしょうか。法律上「生態系」というのをどういうふうに使っているかというのは、1回目のときに水口先生が既におっしゃっておりまして、資料1-4にありますけれども、被害判定の考え方ということで、生態系に係る被害については[1]~[4]、つまり在来生物の捕食、競合による在来生物の駆逐、生態系基盤の損壊、交雑による遺伝的撹乱、こういう被害の態様をまず見ましょうというふうに言っております。その上でこれにどういうふうに具体的被害があるのかということで、資料1-4の2ページ目になりますけれども、1)~4)までで、例えば種の絶滅をもたらすかどうか、あるいは地域的な個体の絶滅をもたらすかどうか、生息、生育関係を著しく変化させるのかどうか、群集構造や種間関係を著しく変化させるのかどうか、こういう観点で見ていこうというふうにしております。そういう意味で法律上の生態系という用語についてどういうふうに見るかということについては、ここで整理をされておりまして、ここに沿った議論が進んでいるものというふうに理解をしています。
【水口委員】 わかりました。それは環境省のお考えだし、この委員会及びこの法に対する対応を説明されたわけですね。それと魚類学会とは別なんです。魚類学会は研究者のあれですから、行政対応の世界じゃないんです。ですから「生態系」という言葉は一応この環境省が出している多紀さんが座長でやっているこの報告書に書いてあることと全く矛盾するんだけど、それをどうお考えですかと聞いているのに、これは関係ないというか、根拠がないとかで。根拠はこの本の中に全部載っています。
【多紀座長】 じゃあ、時間もありますので、それは、じゃあ、後でやってください。だって、こればかりで……。
【水口委員】 そういうことじゃ、大事なことじゃないですか、生態系に被害を与えるという定義は。
【多紀座長】 いや、ですからそれは魚類学会と水口委員との話であって。
【水口委員】 そんなことないですよ。そういう話じゃないでしょう。だって、法律にとって大事なことじゃないですか、生態系……。
【多紀座長】 いやいや、ですから法律は今企画官がおっしゃったように読むんだということですよ。
【水口委員】 じゃあ、魚類学会も環境省の……。
【多紀座長】 いや、だからここは魚類学会じゃないんだから。
【水口委員】 発言者の責任の問題じゃないですか。
【多紀座長】 いやいや、ですから、それは後で魚類学会とあなたとやってくださいよ。
【水口委員】 そういう話じゃないって。
【多紀座長】 では座長裁定で、これで終わります。
【水口委員】 研究者の討論でそうなるわけですね。
【多紀座長】 研究者でなくても何でも結構ですから。座長裁定。
それで、先ほどの細谷委員の提案がありまして、いわゆる質疑について密放流というようなことについての細谷委員からのコメントがありましたので、それをちょっと再開をしてください。
【細谷委員】 私が投げかけたところで、お答えをまだいただいていなかったので。
【高宮氏】 今細谷さんの方から密放流について日釣振としてどのような考え方を持っているかということです。これは今までもたびたび書類でもまたこの場でもお話をさせていただいたし、また初日にもある程度のお話をさせていただいたと思いますが、再度お話をさせていただきます。
【細谷委員】 今までの経緯じゃなくて、今日具体的にデータが出てきたわけですが、特にそれに言及していただいた方がいいかなとは思うんですが。
【高宮氏】 それも含めて。日釣振のスタンスとしては、これまでも申し上げてきておりますが、こういう不法移殖に対して、私どもは当初より明確に発言しております。不法移殖はこれはもう絶対にあってはならないと。断固反対していると。むしろこういうようなルール違反をするような人がいるのであれば、この罪というか、更に罰則を強化してもやむを得ないというスタンスです。ただ、「日常的に密放流が横行している」また最近は、事実がご理解いただけたのかかなり言われる事も少なくなりましたが、「組織的に密放流が行われている」というようなことに対しては、これは現在そういうことはあり得ないというふうに思っています。
もちろんそういうことをこのような公的な場で発言しているわけですから、当然、日本釣振興会としては非常に大きな問題だと思っています。不法移植は、これはあってならないと言っている以上、私どもも本当にそういうことが前述のようにあるということであれば、この外来魚問題に対して口を差し挟むような資格はないというふうに思っています。この特定の是非に関しても「釣り人の不法移植が日常的に横行している」というようなことが事実であれば、特定の是非に対して、釣りを振興する立場の人間としては発言してはならないと、私自身、個人的に思っていますので、それもあわせてお伝えをしておきたいと思います。
そして今のお話ですが、今日もいろいろな事例が出されました。私もここ3年間ぐらいいろいろな方に、全内漁連も含めて魚類学者の方に直接お尋ねをしたことがあります。本当に密放流ということをたびたび言われていますが、具体的な事例というものがあるんですかということでお話をさせていただいています。今まで我々が理解できる、どこの場所でだれがどういうようなことをやったというようなことは、一度も具体的なご返事がありません。
少なくとも、人が特定できない、そのときにどうしてあるというので出さないのですかというと、公表するとその人の人権が問題とか、あるいは現認者がわかると非常に後で危ない目に遭うというようなお話も、中にありました。しかしこれはもう犯罪行為なんですから、これは既に1992年以降ずっと順次内水面の漁業調整規則で外来魚、バスの移植ということに対しては、そういう禁止をされているわけですから、これをそういうようなかばう必要は全くないんではないかと思っています。このような発言で、純粋に釣りを楽しんでいるバス愛好者300万人や釣り関係者がどれだけ苦しい思いをしているかを考えれば、不法移植の事実をもっともっとオープンに、そういうことがあったら出してくださいということを言っています。それが全くないわけですね。そして、なおかつそれがもしなければ、じゃあ、少なくともここ一、二年でバスが非常に増えているというところがあったら、我々も知らないでおくことがたくさんあると思うので、ぜひ教えてほしいという話もしています。ですけど、いまだにそれに対して具体的にどういう場所が増えていると、ここ一、二年で、現在、生息域が拡大していると言われている訳ですから、ここ一、二年に増えているというようなことを教えてほしいということがありますけども、それもない。
そして、今のお話をずっとお聞きしていますと、今回もすべて憶測なんです。いないところにあるとき増えた。これは秋田県の事例でも我々も調査して相当わかったんですが、秋田県のいろいろな報告で、1999年から2004年ぐらいに急速に増えたというようなことがあって、どこが増えたのかということの資料をいただいたんですが、それをつぶさに調査をしましたら、ほとんどもう20年前、10年前から生息をしていて、釣り人がもう日常的に釣りをしていた場所で、たまたまそういうような魚類を漁業者とか、当時はそういう関係者がバスに関心がなかったという事です。
【橋本氏】 長いね。ちょっといいかげんにしてください。
【高宮氏】 さっきから、前回もそうですけど、我々が話をするときには必ずそういう横やりが入ります。水口先生の話のときもそうですけれども、これは座長が仕切ってやられているんでしょうから、途中でもしそういうことがあれば、座長の方からされれば私も聞きますが、そういうような発言は控えていただきたいというふうに思います。
今のお話ですけれども、秋田県の場合でも、実際調べてみたら既に10年、20年前から、もう生息をしているというようなことが多いわけです。たまたま、そのときにフロリダバスのこともそうだと思うんですけれども、あるときに気がついたから、じゃその数年前に入れられたのかと。バスがある程度広がるというのはやはり10年近くかかるというふうに、我々もアメリカの事例でもそういうふうに見ておりますが、1年や2年でそれだけ拡散して多くの数にいきなり増えるというようなことはあり得ないというふうに思っていますので、その辺のところがどうも私どもには理解ができない、具体的なそういう事例、誰がいつどういう場所で不法移植を行ったのかと、そういうようなことが1回ぐらいはあってもいいんではないかと思うので、具体的に何でそれを出そうとしないのか、逆にお尋ねしたいと思います。
【多紀座長】 はい、わかりました。
【橋本氏】 すみません、よろしいですか。そこまで言われたので、私もちょっと一言。
先ほど細谷委員がおっしゃるとおりで、大体我々の位置づけはまさに利用者関係、参考人なんですね。余り憶測のことは言っちゃいけないので、聞かれたことに対して答えるという立場なので、余り物もしゃべる必要はないんで、どうも私は本委員会がスムーズに行くためにはもっとそこら辺をわきまえて我々やらないといけないと。あくまでも利用者の関係で専門家の皆さんに聞かれたことを答えるという立場だと思うので、私はちょっと長いと言ったわけです。
あくまでも我々は内容について、基本的なことは言います、事実関係は言いますけれども、憶測の話はもうやめた方がいいと。こう思いますとか、それはもう皆さんから、聞かれたときに答えると。私は参考人の位置づけだと思っております。そういうことで一言申し上げます。
【多紀座長】 細谷さんはいいですか。では、來田さん。
【來田氏】 まず、ちょっと先生方に教えていただきたいんですけれども、一昨年ぐらいから、このフロリダの件です。琵琶湖で60センチ前後のバスが突然釣れ始めた。これはどうもフロリダらしいよといううわさが広がった。バスが60センチぐらいに育つのにどのぐらいの年月が必要なものなのでしょうね。私どもよくわからないんですが。
【細谷委員】 その前に、來田さんのお答えを賜っていないような気がするんですが。
【來田氏】 じゃあ、あれなんですね、私が今お話ししようとしておるのは、例えば60センチのバスが稚魚、例えば10センチぐらいで放流されたとしましょうか。それから、60センチになるまでの年月を考えますと、一般的に私が魚に持っておる知識なんていうのは先生方と比べものにならない微細なものですけれども、だから60センチのフロリダが存在するからといって、今フロリダバスが密放流されているんだという証拠にはならないんじゃないかなというふうに考えたんですがね。それでどのぐらいの年月がかかっておりますかということを教えていただきたかったわけです。
【多紀座長】 細谷さんお願いします。
【細谷委員】 生態については中井先生の方が詳しいので、その辺、後でフォローしていただこうかなと思うんですが。
まず確認したいことは、いずれにせよ、ここに今日瀬能委員と中井委員等の出されたものに対して、お二方は憶測であるというふうに判断された。それは構わないでしょうか。まずお話を承って、高宮さんの方はどうやら密放流あるいは違法放流があって、それが組織的なレベルではないというようにニュアンスを受けとめられた。その点よろしいでしょうか。
【高宮氏】 いやいや。もう個人レベルでも。
【細谷委員】 個人レベルでもないという。
【高宮氏】 もちろん、そう思っています。しかし、事実は全てが見えるわけではありませんので、基本的にはわからないという事だと思います。我々がこれまでの調査で、又、我々の関知しているところでは全くないと言えます。
【細谷委員】 それは十分熟知しているんですが、要するに私が質問したのは、ここに出てきたデータに対してどうなるかということをきょうはお伺いしたかったんですが、結局それは憶測であるというような、信憑性がないもので……。
【高宮氏】 直接的にいないところにいたんですね。これはコイヘルペス、ブルーギル、アユの冷水病などを見ても拡散の要因はたくさんあると思っていますが、それを密放流と断定するための根拠と言えば、一番具体的なことは、これは日時や氏名を明らかにすることだと思います。そういうことが全くされていないで、ただいないところにいた、これは密放流に違いないという考え方は、まさに憶測ではないですかと思っています。これは憶測で犯罪者呼ばわりするということですから、大変な問題になると思っています。ですから、そのような事を具体的に示してほしいとお願いをしているのです。
【細谷委員】 要するに現行犯逮捕以外は、事実の確認はできないと。
【高宮氏】 いやいや、現行犯でなくてもわかります。こういうものは常識的に考えても、あるとすればやはりかなりお金も人手もかかりますよ。内部告発もありますし、事前・事後からも、いろんな証拠が出てくると思います。
【丸山委員】 ちょっとよろしいですか。長くなりますのでちょっと間に入れさせてください。私がお聞きしたいのはどういう場面をどういう形で押さえたら、それは現場を押さえたことになるんでしょうか。例えばバスが入ったポリ袋を持って水辺に近づいていって。まだ放していませんよね。それは現行犯ですか。
【高宮氏】 私どもはそういうところだったら、かなり状況証拠というか、疑わしい行為と思います。
【丸山委員】 いや、現行犯でしょうか。
【高宮氏】 それは私どもは法律の専門の立場ではないから、まだ実行していないとするなら、それを現行犯か現行犯でないかは判断できません。
【丸山委員】 だったら、じゃあ、次に行きます。その袋を持って水辺へ行きました。ざっと中の水を池へあけました。バスが入っていたかもしれない。だけども、バスは袋の中には残っています。それは現行犯でしょうか。
【高宮氏】 そういう現行犯かどうかは別にして、かなり状況証拠としては犯罪性も高いものではないでしょうか。
【丸山委員】 我々はそれをやらなかったらば、いやいや、そういった場面がどれだけ見つけやすいものなのか見つけにくいものか、これをきちんと明らかにしなかったら、我々の努力が足りるの足りないのということを言う権利もないでしょう。
【高宮氏】 そのような事を申し上げているのではありません。
【丸山委員】 言葉の遊びはやめましょう。
あなたの経験を聞いているんですから。
【高宮氏】 そのような具体的なことがあれば、それは我々は不法移植と思いますと認めているんですよ。
【丸山委員】 思いますね。
【高宮氏】 思いますよ、そういうことは。ですから、それを具体的に出して頂きたいと言っているのです。
【丸山委員】 そういう基準だそうです。いいですか。
別に袋の中に入っているものがバスであることを確認する必要もないし、そのバスが水の中に放される必要もない。そういうところで怪しい動作をしていればいいんですね。
【高宮氏】 いやいや、バスでないものをバスの密放流というふうに言うことはできないと思います。やっぱりバスということがわからないと断定は出来ないと思います。
【丸山委員】 放してしまった後はわかりませんよね。
【水口委員】 それは、私は環境省に法律的なことを聞きたいですね。
【丸山委員】 非常にこれは厳しいんですよ。難しいんです。ですから魚類学会の方では。
【水口委員】 手を引いた方がいいです。
【丸山委員】 いやいや、そういうところを追いかけるよりは、科学的な情報で行こうという格好で、今度は違った事例を出しているわけです。確かに憶測は入っています。ただこれは単に状況、そこにバスがいたからというだけのことで憶測しているのではありません。それなりのデータをそろえた上で、科学的なスペキュレーション、推測をしているんです。これを単に「憶測」と言われたんでは、非常に困ります。
【高宮氏】 どの部分が科学的と言われるのかが理解できません。
【丸山委員】 北海道の事例。フロリダもそうですね。これは単なる憶測ではありません。もちろん仮定が入っていますけれどもね。
【高宮氏】 これは、じゃあ、一つだけ、フロリダの事例でさっきどなたかからも質問がありましたが、それが密放流というふうに断定をされている理由をちょっとご説明してください。
【中井委員】 断定ではなく、可能性が高いという言い方です。先ほど來田さんの方からありました60センチになるのにかかる年数、これには多分幅があると思いますけれど、私ども今回分析したサンプルで、予備的にうろこを見始めたところ、一番大きいもの(全長約60センチ)で、最低でも6年と読みとれています。ですから、この(2003年に捕獲された)最大個体が琵琶湖で生まれたとすれば、それは6年ぐらい前、90年代の半ばから後半ぐらいではないかと。加えて、その年生まれの当歳魚から6年たった最大級の個体まで、いろいろなサイズからフロリダバスの遺伝子が検出されている。すなわち交雑がかなり琵琶湖の現場で進んでいると考えざるを得ない。
そして、90年代の前半、まだフロリダがいるなんて思ってもみませんから調査地点は限られているのですが、遺伝的な分析がなされた結果、琵琶湖のオオクチバスからは(フロリダバスの遺伝子が)全く検出されていないのです。今では湖全体で非常に高頻度でフロリダの遺伝子が出るのに、(90年代前半は)その状況には全くなかった~もしかしたらそのときに既に少しはいたかもしれないけれども~ということは言えます。すなわち、90年代以降、急速にフロリダの遺伝子が浸透してきたということです。ちなみに滋賀県琵琶湖ではそれ以前からもずっと漁業調整規則で特定魚種以外は放流禁止ですから、フロリダバスに関しても完全な密放流だ、違法行為だと言えます。
【來田氏】 それで、今私がお話をしたいのは、現在の時点というかここ数年の間では、釣り人の間ではもはや密放流はあり得ない。例えば釣り人にもそれぞれグループ社会がありまして、だれが何をやったかというのはほぼ想像つき、今現在の時点で例えば密放流と呼ばれる行為をする人がいたら、そういう人というのは釣り人社会というとおかしな話ですが、そういうところから確実に放逐されるということが目に見えているわけですよね。相手にされなくなる。そういう状況下で、これから先そういう危険をあえて冒す人がいるとは思えないというふうなお返事の仕方しか、しょうがないですね。
【中井委員】 確かに釣り人の方々が末端まで、非常に社会化された組織であれば、それを利用してどんどん周知啓発していけばいい話なんですよ。ところが、実はそうはなっていないからいろいろなことが起こってしまっているというのが現状じゃないですか。ですから、今のお話は、実際釣り人の社会の実情には反映していないように私は思いますけれども、いかがでしょうか。
【來田氏】 まあ、あれですよね、いわゆるバス釣りでそこそこに名前の知られた人たちはというか、グループに入っておる人たちはというふうな限定しかできないわけですよ。それから先の、いわゆる一般大衆と呼ばれる人たちであったり、あるいは特にマニアックで意識的に悪事をたくらむ人、まず意識的に犯罪行為をする人について、これを制限することは不可能ですよね。それから一般の大衆というか、休みの日に琵琶湖へ行くとたくさんおりますよね。こういう人たちにいろいろなルールを教えていく、密放流を含めてさまざまなことを認識していただくというのは、これは我々の務めではないかと思います。その部分で怠っていた部分があると指摘されたら、これはやむを得ないと。
【多紀座長】 だから、そういう建設的な意見をおっしゃって、ある、ないと言ってさっき丸山さんが言ったみたいに、現場を押さえる以外にはということじゃなくて、憶測、推測、推定、推論、いろいろ言葉があり、英語もいろいろありますけれども、科学の世界でも全く見ているわけじゃなくて、それから統計的にも信頼限界がどうだとか、スタンダードエラーがどうだとかいって、何%だからこれは事実であろうと最終的には推測しているわけですよ。ですから、別にここは今ある、ないをここでもって今言っても、もうこれは影響に結論が出ない話でもって、ですからこれからはお互いに協力して、なるべくもしもそういう不心得者があるのならば、なるべくそれはやめるような、釣りの方面の方々にもご協力をお願いし、我々もどうやったら密放流、もしも本当にあるならば、それこそDNAもあるんだけども、なるべくそういう行為をやめるような具体策というものをやっていきましょうぐらいでもって、ある、ないということは、もうここでは、この場ではもう、これ以上議論しても時間がないと思うんですよ。
もう一つさらに、防除の話がこの資料3で、これまでの主な論点ということで、防除の話が出ていますけど、まだ全然ここで話題になっていなくて、ここでは要するにこの小グループで一つのやらなきゃならない役割というか仕事は、場所によっては防除は必要であるということは皆さんお認めになっているわけですけども、それがどういうふうな地域といいますか、どういう場所で、要するに基準をつくって例えば多様性が多いところとか希少性が要るところとか、それから公有水面はどうするとか、そういうこともやるような、今ここですぐ結論が出るわけじゃないですけども、そのようなことをやはり話し合う場のきっかけをつくるべきじゃないかと思うんですけど、丸山先生その辺はいかが思いますか。
【丸山委員】 その辺は議論すべきではないという細谷さんの意見もありますし、何とも言えないんですけれども、私、この防除論で一つひっかかりますのは、先ほども出てきましたように、それを生命倫理の問題と絡めて、子供たちの教育と絡めてという形の論じ方、これは非常に私としては嫌な論じ方だと思います。何も駆除の現場に子供たちを連れ込む必要はありませんし、子供たちが釣ってしまったそれを殺さなきゃいけないという状況をつくる、これはおかしいと思います。これについてははっきり言いまして各都道府県のそういうキャッチアンドリリース禁止の条例という委員会指示というのは、こういう新しい法律がないという枠組みの中で考えられたものですから、そこでもう一回再検討されて、各地域の実情に合うものにしていかれれば。特にこの法律の成立・指定を阻害するものではないと思います。
私が一つだけ言っておきたいのは、私が考えている防除といいますか抑制策というのは、決して人間が1匹ずつ取っつかまえて殺すといったやり方ではありません。在来種を使って繁殖を抑制していく、あるいは生残率を下げていくという方式ですので、これは基本的に人間が生命を殺すといった問題は伴わないと思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。
細谷先生。
【細谷委員】 もちろん、プロセスとして防除は必要だと思います。しかしゴールがどう見ても指定を前提にしない立場と、指定を前提にする立場が全く相反する立場を持ちつつ、プロセスについてだけ合議しても、本来の目的にかなうのかどうか。本末転倒じゃないのかなという感じもいたしますし、繰り返しになりますが、この会そのものが選定をするかしないかという、まさに前提そのものを論議する場であって、本来の趣旨から外れているように思います。もちろん今後の過程については、座長にお任せしようかなとは思いますが、その点をご確認の上、論議を進めていただきたいなというふうに思っております。
【多紀座長】 何といいますか、指定を特定するかしないかを決める小グループであるという意味ですね。そうすると、それがまだはっきりしないのに、防除の具体策とかを検討してもむだというか、余り意味がないのではないかということですね。
【高宮氏】 いいですか。
【多紀座長】 はい、どうぞ。
【高宮氏】 一つ、また新しい資料を持ってきています。それは今細谷さんの方から特定するか、しないかと、直接的な議論がいいんじゃないかということで、一番最初にお話ししたのは、ご質問があったということですが、それを外来種が結果的にはバスが減っているということがこういう数値からも理解できますよという形で、それだから我々は特定に今するような状況ではないというお話をしたつもりです。
それとは全然別に、現在、日本全国の商工会や観光協会、漁業組合の約50カ所ぐらいの地域から、一部はもう既に環境省の大臣の方に届いていると思いますが、このバスの有効活用を願っての請願書とか嘆願書、要望書が出ています。今ちょうどここに50カ所ぐらい持ってきておりますけれども、既に出ているところ、それから現在最終段階に入っているようなところがあります。この中の文章を、これは一つ一つ違うんですけれども、見てみますと、その理由として、どうして請願をするかという理由として、「本湖ではブラックバスが初めて確認されてから約20年となりますが、特に食害は認められないという事実がわかっています。漁業権認定魚種の食害が認められないことなどにより、現在では湖の環境に順応し、釣り愛好者(ブラックバス愛好者)の来訪により、地域経済に及ぼす地域経済効果が非常に大きいこと。また近年氷結期のワカサギ釣り、開氷時のバス釣りとの均衡がうまく保て、なおかつブラックバス愛好者のワカサギ釣りへの参入などもかなり増え、さらに地域経済に及ぼす経済効果が大きくなりつつあります」。
また全然別のところですが、「当湖の中心的な漁業権認定魚種はワカサギ、ヒメマスなどです。この湖でバスが初めて確認されてから約20年となりますが、特に食害は認められておりません。完全に湖に順応して適応している次第であります。条件認定魚種の食害が認められないことなどにより、現在では湖環境に順応し、釣り愛好者の来訪により地域経済に及ぼす地域経済効果が非常に大きいこと。また、近年、ワカサギ釣りとバス釣りとの均衡がうまく保て、なおかつバス愛好者のワカサギ釣りへの参入などもかなり増え、さらに地域経済に及ぼす経済効果が大きくなりつつあります」が出されています。
【多紀座長】 ありがとうございます。
【高宮氏】 このようなことが全国各地の漁業組合それから地元の商工会、観光協会等々で出されておりますので、そういうことの声が全国からかなりあるということもご承知おきいただきたいというふうに思います。
【多紀座長】 ですから、この小グループ委員会でご発言になったということは、そこでもってちゃんと残りますので。
【高宮氏】 はい。そういうことですから、我々は特定にこういうような要望もありますのでということをお伝えさせていただいております。
【多紀座長】 では中井さん。
【中井委員】 私どもも、現状ではそういう利用水域がある状況であることは認識しているつもりです。私の記憶によれば、特定に指定されることで一律排除ということになるわけでもないし、優先順位をつけて実際の防除策はとられていくのでしたよね。このあたりは事務局にお伺いした方がいいと思うんですが、利用水域、それが漁業権魚種に認定されているかどうかは別にして、具体的にバス釣りで結構にぎわっているようなところに対して、今回の法律がどう影響を及ぼし得るのかということで整理した方がいいと思います。
【多紀座長】 お願いします。
【上杉企画官】 先ほど基本方針の中身に沿って、防除の考え方というのを少しご説明をしました。そういう意味では防除をどこでどういうふうに実施していくかというのは、当然今中井委員の方からもありましたように、優先順位といいましょうか、国は国としてやるべきところ、あるいは地域は地域の事情に応じてそれぞれやっていく必要性のあるところというところからまずやっていくことになると思います。
防除をするに当たっては、当然関係者の間での話も踏まえた上で、どういう方式で何を目指していくのかという議論が地域の関係者の中で行われるものだと思いますし、そういうことを協議会等を設けて計画づくりをしていくようにということが、この基本方針の中にも書かれております。個別具体の場所については、それぞれのそういう意味では地域の事情ですとか、あるいはそもそもそこでの被害の状況、生息の環境の状況と、そういった状況が異なっておりますので、そういう状況を踏まえた上で、それぞれの地域での取り組みの仕方ということが定められていくべきものというふうに考えております。
【多紀座長】 ありがとうございました。そろそろ大分時間が迫ってきましたんですが、どうぞご発言ある方は一言ずつ、それぞれぜひお願いします。
【瀬能委員】 ちょっと話題がまたもとに戻るかもしれませんけれども、まだ、さっき細谷さんから質問していただいた、我々が出しているこの証拠というものについての評価といいますか、意見はいただいていないと思うんですが。結局のところ、これまでもそうですし、今回『生物科学』という雑誌に出した資料、後で帰ったら読んでくださいと最初に申し上げましたが、なぜこれを持ってきたかというと、それは99ページのところに少し書いてあるんですが、結局自然科学というものの立証手法ですよね。憶測と言いますけれども、一応自然科学の中でのちゃんと方法にのっとってこういうふうに推論されますよということですから、単純に思いつきだとかで言っているわけではないんですね。一応ステップを踏んでいます。物によっては、例えばちゃんと査読性のある学術雑誌に論文として投稿して、それが受理されているようなものも含まれているわけですよね。ですから、ただ単に一言、憶測だとか信用できないという話になれば、これはもう議論が成立しようもないですね。信用できるかできないかという話は、もうこれは宗教と同じですから、自然科学を一応我々土台にして物事を言っていますので、その辺はよく理解していただきたいということです。それだけは言っておきたいと思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。
では、水口さん。
【水口委員】 いわゆる違法放流、密放流についての科学的な根拠という話のことだと思うんですけれども、私はこれはもう非常に消耗な話で、余りこれ以上議論する必要はないと思うんです。もっと先に進むべきだと思うんですよね。それで前回も質問しているんです。例えばフロリダバスの問題については、これはまた本当に資料が出てどうかという、先ほどの何年生きるのかというのも全部含めて実際にやらないと、査読されたからどうという、これはまだ査読されていないわけですけれども、そういうことでちょっと、それこそこの場にはそぐわないんです、一つずつの論文の評価をするというのは。そういう場じゃないですから。あと安定同位体比による証拠というのも、これはそうですかと。事実そういうことは考えられます、ということで終わりだと思うんです。
実は大事なことは、密放流があるというのと密放流がないというのがゼロ・ワン・ゲームで来ているからおかしいので、それはもう世の中いろいろですから、あるに決まっているんですよ、そんなのは。それをただ証明したからといってどうという話ではないので。今大事なのはそういう事実を踏まえて、この法律で特定に選定したらば、この密放流がどう抑止できるかということまで話さないと、意味ないんですよ。そういう意味では先ほどの丸山さんの質問は、むしろ環境省に対して、移植・放流を、移動を禁止すると言うけれどもそれをどうやってチェックするのか、どの段階でそれを犯罪になるのかという話なんです。これは警察とも絡んでくる話なので。それをここで議論する段階ではないので、むしろ法の抑止力効果をやはりここで評価しないといけないんです、密放流については。だから、「ある」という前提でやるしかないんです、それは、はっきり言って。なければ、そんな議論してもしょうがないんですから。私は……。
【細谷委員】 彼らに言うべきことで。
【水口委員】 いや、私は、彼らに言っているんじゃなくて、私は筋論で言っているので、私は何も彼らにどうのこうのじゃなくて、当然彼らも聞いているでしょう、それは。それで判断するだけの話で。だから、何かゼロ・ワン・ゲームでやったって、意味ないんですよ。あるのは、もうこれ、科学的かどうかは別として、事実としてあると思いますよ、この結果から。だから、それはそれで先に進まなきゃいけないのでね。
【丸山委員】 同じことなんですけれどもね。いろいろな事情があってお互いに言えることと言えないことがあって、歯に物が挟まったようなものになったりしますけども、はっきり言いまして密放流というものを否定されれば否定されるほど、バスという魚が不可思議な、とんでもない拡散能力を持った魚というふうにならざるを得ないんです。魚は広がってしまっているんですから。
先ほどの幾つかの、例えばほとんどダム湖だと思いますけれども、山村の方から、新しくバスを漁業権魚種の認定を求めるような請願があるというような話があったと思います。これなんかもそこでの漁業権魚種の管理だけを考えれば、恐らく特に問題ないと思います。私もさっき言いましたように、山岳湖沼ですから、そうバスは増えません。ただ漁業権魚種だけを管理すれば済むわけじゃありませんし、下流への波及効果。例えば相模川なんかですと、本当に昔から結構下流の方までバスが出てきています。これが果たして人が持ち出して放流したものなのか、ダムから落下したものなのかわかりませんけど、かなりやはり落下する可能性はあると思います。ですから単にそのダム湖の中だけ、あるいはそれにかかわる地域だけでそういう議論をして、了解を受ければそれでいいという問題ではない。やはり水系全体の管理、あるいは在来種、漁業権魚種以外の魚、あるいは魚介類全体の管理というものを考えた上でしか、これは論じられないです。その辺での本当は基本的な構想から、きちんとこういう場所で議論できるといいんですけど、お互いに密放流は存在しないと思うと、それ以上話は進みませんし、こっちもバスは1匹たりとも生存することは許さないなんて言ったら、もうそれでおしまいですからね。できれば、もっと具体的な話でやっていきたかったというのは思っております。
【多紀座長】 ありがとう。
はい、橋本さん。
【橋本氏】 一言。しゃべらないと、何かうちの団体はだめだと思われるから、しゃべりますけども。
要は先ほどの2人のお話で、昔はあったかもしれないけれども、今はないと。特に來田さんはそうおっしゃっているんですけれども、それは余り論議してもしょうがないんですけれども、ないということを断定するのもちょっと私はおかしいし、前からお話ししているのは、それはだれがやったかわからないと。愉快犯かもしれないし、あいつをいじめてやろうとやっているかもしれないと。そこはいいんですけれども、魚が飛んでいくわけではないので、実際にどなたかが動かしているわけですから、だからそれは防除しないといけないということだと思うんですね。
だからそういうことで、我々は現実としてそういう実態があるから、実態に対応していかないといけないと。ですから、私は今回の法律が100%とは思いませんけれども、少なくともそれに近づいてくれると。それは、私どもも釣りは関係ありますので、釣り団体の方も余り意見が変わらないんじゃないかと思っております。そういう面で、やはりそういう体制でこの法律にのっかっていきたいと、そういうことだと思いますので、一言申し上げておきます。
【多紀座長】 ありがとうございました。
では、來田さん。
【來田氏】 先ほどから、丸山先生は私が「ない」と断定しているというふうにおっしゃっていますけれども、私、いまだかつて密放流がないと断定したことは、一度もないんですよ。ずっと過去、10年ばかりの会議の席で。ということは、これはもう根本的に断定できるものじゃないですよね。だからといって、立場じゃなくてむしろ願望をも含めていますがね。釣り人というのは本来自浄能力を働かせて、そういう犯罪が起きないように相互の自浄能力を働かすべきものであったはずなんです。悲しいことに、今のところそういう状態になっていないかもしれない。ですから、放していない証拠をもって放していないと言え。じゃあ、放されたという証拠と言うことになると、これは瀬能先生のご研究に関する評価とは全く別問題で、認めるとか認めないとかという次元じゃないんですよ。ただ現時点にかぎって言えばこの論文は放されたという証拠にはなり得ない。少なくとも今お伺いしたとおり、6年ぐらい前までさかのぼらないといけない。でも、これは勝手に琵琶湖から生じるわけのものでもないですから、その前の結果としてこういうことが行われたであろうという証拠にはなると思います。
【多紀座長】 わかりました。じゃあ、ちょっとすみません。
【中井委員】 「過去の」とおっしゃいましたけれども、仮にこれが6年ぐらい前だとして、では「今は」という話をするのであれば、過去とどこで区切られますか。また、それで事情はどう違ってきますかということをお聞きしたいです。私はその辺が全くわからない。というか、6年ぐらい前は、琵琶湖ではもう既にバスが激増してむちゃくちゃな時期、バス会議というのも設けられたりもしましたけれども、(そうした経緯を経た後で)駆除にも大変な努力をしてきていた時期でもあるわけです。だから、琵琶湖というのはバスで苦しみ続けてきていた、そういう時期でもあるわけですよ。そういう時期に(フロリダの導入が)なされたということですよね。
【高宮氏】 ちょっと今の問題も含めて、日釣振の見解ということでお話をさせていただきますと、過去に一度も不法移植がなかったなどとはいっておりません。これまで我々のつくっている釣人宣言のポスターでも、それから今回の出した資料でも、こういうことがないようにしていきましょうということはうたっております。現在ではそのような事はほとんどありえないと思っていますが、先程も申し上げたとおり、全国には4万近い河川や湖沼、ため池がある訳ですから、事実はわからないというのが基本なベースにあります。何度も出てきていますように、我々が釣り人の末端まですべてが管理できるわけではありませんし、また釣り人でない人たちがそういうようなことがあるのかもしれない。それからまた、原因としてはもっともっと違う放流事業の混入とか多くの要因もあります。それから、今日のテーマは、瀬能さんから出されたことをお認めになりますかと言われることを細谷さんから聞かれたので、これでは我々がこの資料だけで密放流があったということは断定できませんよというお答えをしたわけですから、その辺のところはご理解いただきたいと思います。
それと先程の6年前という話ですけど、これはそういうふうに書いてあったから來田さんがそのころに入ったというのは本当なんですかと。來田さんが6年前とか3年前とか、そういうふうに思われているわけではなくて、そういうふうに書かれてあるから、あくまでそういうふうなお尋ねをした訳で、全然わからないわけですね、何年前かと。フロリダバスは88年に奈良の池原ダムに入ったわけですけれども、それ以降どういう経緯でどういうふうになったかというのはよくわからないというのが事実だと思います。
【多紀座長】 わかりました。ですから、高宮さんのあれは、要するに瀬能さんのあれをそのまますぐに証拠として100%とは受け入れられないけども、密放流がないということは、日釣振がご存じの範囲ではないとおっしゃるけど、全然ないとは言えないということでしょうか。
【高宮氏】 そうですね。客観的な今までの経緯からしても、この30年、40年の経緯からしても、全くゼロかというと、それはそういうことは断定もできないし、可能性はあるというふうに思っています。しかし、現在では基本的なレベルの釣り人としてはあり得ないと思っていると申し上げております。
【多紀座長】 いや、だから、「密放流」と言うんですよ。ちゃんとした人がちゃんとやったら、「密」じゃなくなってしまうんです。
【中井委員】 今、多紀先生に補っていただいた、まさにそこの部分なんですよ。いつも、いつもと言ったら失礼ですけれども、密放流を否定されるのは、例えば「組織的で恒常的に行われているわけではない」とか、部分否定なんですよ。「ちゃんとした釣り人がやるわけがない」とか。でも、実際、今この魚の管理が問題になっているのは、そういうちゃんとした人じゃないような~恐らくそういう人たちは釣り人という資格もないかもしれない~そういう人たちが、ちょっと出来心でついついやってしまうことも含めて、どうしていったらいいのかということが問題になっていると思うんですね。
実際、私も、個人的に氏名を含めて知っている密放流者が何人かいることを、あえて言っておきます。で、なぜ具体的に言わないんだと言われるかもしれません。一部は子供だからという事情もあります。(密放流者の存在を議論するときも)子供は違うという言い方をされたことがあります。また、子どものことはタブーかもしれません。でも、子供たちがついついやってしまう今の彼らの認識、これをやっぱり改めていかなきゃいけないんですよ。子供たちがついつい自分たちのマイポンドがつくりたいからバスをひそかに入れてしまう。私もこれが20年ぐらい前だったら、多分自分でもやっていたかもしれません。やっていないという自信は全然ありません。それぐらい子供たちにとっては魅力的な遊びかもしれないんですよね。中には大人もいます。でも、なぜその実名を出さないんだと(言われるかもしれません)。そういう人たちは、私に対して信頼のもとで告白してくれているわけですから、そういう人たちを裏切るわけにはいきません。言葉を選ばなければ難しいんですけれども、これはジャーナリズムでも同じでしょうが、ある信頼のもとで告白してくれているような人を犯人にすることはできないです。私は以前の会合で、あえて「釣り人への配慮」という言い方をしました。これにはやはり最大限配慮しよう、する必要があるんじゃないかと、末端の釣り人にも配慮する必要があるんじゃないかというお立場の(利用者側の)人が、(密放流者を知っているのなら、なぜ実名を出さないんだといった)そういう無配慮な発言を絶対にしてほしくないんです。
以上です。
【多紀座長】 大分中身が全部出て、中身は見えてきたけどゴールはなかなか見えそうもない感じですけども、この分では、まだ日にちもあることなので、やはり少なくとももう一回ぐらいは会ってまた話をしなきゃならないかなと思っておりますが、最後にこれだけは言っておきたいという。
では、細谷委員。
【水口委員】 今日はこれで終わりなんですか。
【細谷委員】 そのことをも含めてですね……。
【水口委員】 2時まで。
【細谷委員】 ええ、今日の時間はちょっとわからないんですが、今後のこの会の位置づけから考えて、もう既に皆さんのお立場であるとか、それからお考えであるとか情報であるとか、洗いざらい出尽くしたかなという感じはするわけですね。その意味では選定のための情報交換ということですから、所期の目的を十分に果たしたというふうに私は理解しております。もちろん、妥協点や同じような意見が出てきたわけではありませんが、少なくとも情報、お立場はもう把握できたわけですから、今後の予定としてこの会議をさらに続けていく意味があるのかどうかということがまず1点と、仮に、さらに続ける場合に、何について具体的に論議していくのか、その点事務局等を含めてお話しいただけたらと思っているわけです。
それで私の最後のところで個人的な意見は、情報は十分に出ているわけですから、まさにこの時点で親委員会に上げるべき時期が来たんじゃないのかなというふうに考えておりますけれども。
以上です。
【多紀座長】 ありがとうございました。
あれ、水口さんは何か。いいの。
【水口委員】 今日、2時までと聞いていましたから。
【多紀座長】 ほんと。
【水口委員】 このまま終わるのかなと思って、今ちょっと。
【多紀座長】 飯が出るんじゃないかな。
【水口委員】 飯が出て……、いや、だから最後に一言とおっしゃったから、何かわからなくなってきた。
【多紀座長】 いや、「10時~」になっていたのでね。もし……。
【水口委員】 「2時」と書いてありますよ、こっちには。
【多紀座長】 「2時」と書いてあるの。すみません。
【水口委員】 まあ、じゃあ、一応今日はこれで締めるというつもりで。
【多紀座長】 はい。ですから、何か発言があったらぜひお願いを。
【水口委員】 この後、飯食った後、もう一回あると思って、のんびりして……。
【細谷委員】 論議が薄まるので、私の意見に対して……。
【多紀座長】 いや、ですから、でも意見に対して。じゃなくて。
【細谷委員】 だから、私はお答えを聞いた上で、それで水口先生の。
【多紀座長】 いずれにしろ、今までのものをまとめて確認、もしも細谷ケースがあった場合には、これまでのことをまとめて確認しなきゃなりませんよね。
【細谷委員】 そうですね。
【多紀座長】 議事録なりつくるなり。それを確認する、そうなった場合でももう一度、たとえ30分でもやはり一堂に会する必要が出てくるわけです。それをそうするかしないかは、それは今度は我々はもしその場合は、その報告書なり議事録を環境省に出して、環境省がそれを判断をするわけですので。その辺はそうじゃないの。
【細谷委員】 どうでしょうかね、議事録を確認するという。
【多紀座長】 いや、確認というか細谷委員が言うのは、今ここでもってそれじゃその議論をして、ここでおしまいにしようかどうかということを議論するという意味ですか。
【細谷委員】 その辺の手順も含めてですが、その辺は事務局の方だとは思うんですが。
【多紀座長】 じゃあ、事務局から。
【來田氏】 ちょっとその前に。
【多紀座長】 関連ですね。
【來田氏】 いや、関連というか、話し合い、何も始まっていないんですよね。これで3回やって、本来は具体的な防除の方法を皆さんの方から、先生方の方からも提示していただき、私たちの方でできること、歩み寄れる方法を考え出すのが本来の目的であったはずです。だけども、ここで話が終わりますと、集まってそれぞれの意見を言っただけで終わるんですよね。そういう申しわけないことで終わらせていいんですか。むしろ、話はこれからだと思います。
【多紀座長】 ありがとうございます。
では、これについて関連意見をどうぞ、どうぞ。
【橋本氏】 関連ですけれども、私の方は先ほど言いました遊漁者延べ90万のこと、これはご回答しないといけないと。本会合をやらなければ別途委員さんには結果を報告しますけれども、そういうことでお願いしたいんですけれども。ただ、全体としてはもう出し尽くしている感じはいたしますので、あと何をやるのかなという感じがしますので次回は短時間で結構じゃないかと。そういうふうな感じを持っております。
【多紀座長】 はい。
【高宮氏】 今の話をちょっとだけ話をさせていただきますけど、このバス釣り人口については、延べ90万人とか9万人いうような数字であれば、恐らく、今回のオオクチバスが魚類グループから別に取り出されて、このような場所で議論されることもないでしょうし、これだけの大きな社会的な経済的な影響が出ているから、それだけやはり関係する人口も多く影響力が多いから、こういう場に一つだけ出されて、議論されていると思います。従って、これは我々が出しているバス釣り人口の数値というのは、極めて事実に近い数字だと思いますので、これはもう、どういう角度から調べていただいても、またどんな出し方をしても、この数値と極端に違うというようなことは、まずないというふうに思っています。
それから今回の協議の中で2日目に出してあるんですが、特定外来生物にオオクチバスが入れられたら、どのような影響があるのかということについて出させていただきました。それについてほとんど意見が深まっていません。それから、日釣振から、あるいは全釣り協から出しているバス問題解決に向けての提案、それを実現するためにどういうことができるのかというような提案に対しても、掘り下げた話が全く出ていない。又、今回のオオクチバス小グループの最も大きな役割であるはずの問題が、魚類学会、他の先生の方々からほとんど出されていない。その問題解決のためにどういうようなことを釣り人にも要請し、またそういう委員の研究者の方々も、こういうような前向きな姿勢でやっていこうというようなことがほとんどなされていないような気がします。ですから、その辺のところ、今まで過去にこういうデータがあった、こういうふうに在来種に影響があると、あるいは密放流にこういうようなものがあるというようなことだけではなく、もうちょっと前向きに取り組んだご発言というのがこの会の趣旨ではないかなと私も思いますので、そういう部分についてもっと議論をする必要があるのではないかなと思います。
【多紀座長】 ありがとうございました。
水口さん。
【水口委員】 私は、今日はまだあと1時間ぐらいやって、あと次回もあるというふうに、もうそういうつもりで議論を進めてきたんですけれども。それで、なぜそういうことを言うかというと、まず1点は法の関係の問題で、今ブラックバスが漁業権魚種に指定されている4湖についてこの委員会としてはどう考えるかということは、これは必要なんですね、これは。これは法律との関係でどういうことをするか。これは全然ここでは議論していないですよね。それ抜きでは、法が施行できないんじゃないですか。何らかの形でやらないと、何で4湖はいいのかという話になるんじゃないですか。一応最初のときの説明では4湖はもう漁業権魚種だから、ここでは別扱いだみたいなことしか言っていないですよね。どういうふうに別扱いにするかという、具体的な措置は何も言われていないんです。読みかえとか読み込みか、別の法律でやるのか。
そうすると、先ほどの委員会指示とこの法律との関係で、釣りをした子供は殺せということを、このあれで決めちゃうというのと同じ問題が起こってくるわけで、矛盾するんですよね。だから、いろいろな法律との関係をやるのは、特に生態系に被害を与えるという考えの人たちは、じゃあ、その4湖はそれがいいのかという話になって、生物多様性と利用との非常に難しい判断を迫られているんですよ。だから、その議論もしなければいけないし。それから、今日配られた資料3の主な論点というのは、あくまでも両論併記なんですよね。共通認識の部分は確かにそうなんですけれども、これについては特別異論は出なかったんですけれども、論点が両論併記だからみんな余り言わなかったわけです。だけど、私は、両論併記じゃないような進め方を座長がされたから、さっき異論を唱えたんです。ですからこの両論併記でそのまま報告を出すということで細谷さんはいいわけですか。むしろそうした方がいいと。
【細谷委員】 出さないで。
【水口委員】 結論は出さないで。「出せない」じゃなくて「出さない」で。出せないとは思わないですか。
【細谷委員】 やりたいですけれども、希望的なところはありますけれども、今までの論議……。
【水口委員】 まあ、それは一応皆さん次回も聞いているんだから、次回まで最大限努力するのが筋じゃないですか。場合によっては、それを無理だからもう少しという話にも当然なるかもしれないし。
【細谷委員】 希望的にはそう思うんですが、今の私の個人的な研究者の現状を考えて、今結論は急ぐべきではないかなというふうに思っております。
【水口委員】 研究者のですか。
【細谷委員】 ええ、それはもうもちろん、また論議を蒸し返しますけれども、今の実情を見ていけば、野外に起こっていることを思えば、非常に急務であるというふうに感じていますけれども。
【水口委員】 ということは、もう、選定されるという前提ですね、あなたの場合は。
【細谷委員】 個人的にはそうです。
【水口委員】 わかりました。じゃあ、選定を急ぎたいと。上部の委員会の人がそういうことを言っているから、非常に怖いんですけどね。ここの委員会としてはもう、細谷さんに任せてしまうと、こうなるんです。
【細谷委員】 だからここの場において論議は今までは、この委員会の委員として科学的にお話をしてきたつもりではありますけれども。事務局から伺っていなかった。
【多紀座長】 少し皆さんの話を伺ってから事務局にお話を伺おうと思っていたわけです。ですから、要するに細谷さんは両論併記で、これ以上言っても。それからもう一つの先生のあれを見ると、実際に防除の具体例やなんかは前提がないとやってもしょうがないんじゃないかということですよね。そういう意味でもって前提が特定がないときに、どこから始めるとか言ってもしょうがないという、そういうご意見なわけですね。
【細谷委員】 そういうことです。
【多紀座長】 ですから、細谷委員の意見はそういう意見であるという。事務局に伺いたいんですが、何かありましたか。
【橋本氏】 すみませんが、トイレの時間はないんですか。
【多紀座長】 ごめん。
【橋本氏】 3時間たったので、お願いします。
【多紀座長】 はい、座長すみませんね。では、どうぞ。
【橋本氏】 いやいや、続けるのであれば。もう終わるのであればいいんですが。
【多紀座長】 いやいやいや、どうぞ、じゃあ、トイレ休憩を。
本当にすみません。トイレ休憩だけにしてください。
(休憩)
【多紀座長】 すみません。司会が不手際で、トイレ休憩もとらずに、まことに申しわけございませんでした。
それこそ、今日のあれではちょっと終わりそうもございませんので、瀬能さん、最後に発言を願って、一応本日の発言は。
【瀬能委員】 我々としてはもう被害ということについてもそうですし、拡散ということについてもそうですが、今日の段階で出せるものはもう出したと。それは用語の定義等、多少ご指摘がありましたけれども、一応自然科学という土俵のもとでこれだけのことは示せるということはもう示しましたので、その土俵に乗っかった反論なりご指摘がない限りは、これは議論の進めようがないというふうに今考えています。
それからあと、日釣振さんとか全釣り協さんの方から示されている要望あるいは提案、あるいは資料等、特に例えば経済的な影響という点について言えば、これは私個人の認識ですけれども、何ら具体的なものは示されていないというふうに考えています。確かに影響を受けるであろうと想像される人たちあるいは業種といいますか、いろいろなカテゴリーがありますが、そういったものは羅列されていますけれども、具体的にバスに関してどの程度その人たちが依存しているのか、例えば収入の中でどの程度のものがバスと関連しているのかということはわかりませんし、そういったものが。
それとあと、バス釣り産業の大きさということは、今日お示ししていただいた資料、それが90万人か300万人か議論がありましたけれども、どっちにしてもかなり大きいということはよく理解できましたが、それが特定に指定されることでどの程度影響を受けると予想されるのかという資料も全く示していただいていない。そうなるんじゃないかという、まさにこれは憶測は示していただいていますけども、具体的なそういう数字等、予想されるものは一切出ていない。
要するにこの3回の会合の中で、我々は出せるものは出したし、それを反対する側の、利用する側の人たちからは具体的な、言ってみれば我々側を納得させるだけの資料は出してもらっていないというふうに思いますので、細谷さんからも提案がありましたけれども、この場で指定がされるという前提のもとに例えば防除だとかそういったところに踏み込むのであれば、議論の余地は十分にあると思うんですが、そうじゃない前提のもとでの議論というのは、もうもはや余り意味がないのではないかというふうに私は考えています。ですから、もうこれだけのそれぞれの双方の立場から出たものを材料にして、上の委員会等でご判断いただくというのが一番いいのではないかというふうに思います。
以上です。
【多紀座長】 ありがとうございました。
では、來田さん。
【來田氏】 この委員会そのものの成り立ちが、本来的に考えると私たちは人体に影響を与えない魚、つまり後から追加されましたタイワンドジョウを含めた、要するにオオクチバス、コクチバス、それからタイワンドジョウ、こういうふうに生き物を人間が指定するということには、余り賛成しておりません。しかし、それを論じる席を与えられないまま、オオクチバスだけ論じろということで、この席へ出てまいりました。しかし私の方から申し上げると、じゃあ指定した場合にどういうビジョンで、具体的にどうなるのかというのは、失礼ながら抽象論だけであって、先生方からは何の提案もなされていない。バスが害がありますよということは先生方から提示されました。影響があるということは私もこの席に出る前からわかっております。そして、釣り人のほとんどがわかっておる。
で、防除をすべきである。「防除」という言葉を使うならばですよ、そうすべきだ。全体にまず網をかけて、バスは悪者だから、だからバス釣りをする人も悪者なんだという印象そのものに反発しておるわけで、秩序をつくるということは前提条件でここへ出てきているわけです。しかし悪いよという話だけ聞いて、それでこの会議終わりました、上へ上げます、と。これでは、この会議を開いた意味、どこにもないじゃないですか。という意味で、やはり釣り人の立場、利用者はまさしく今先ほど橋本さんがおっしゃったような、意見を聴取される側の位置づけで出てきておると、私は思っておりません。それよりも、ここで出した結論をどうやって釣り人の皆さんに納得してもらって、健全な釣りというか内水面の世界を新しい発想で構築していくためにここへ出てきたのだと思っておるのです。だから、これを中断しないでいただきたい。
【多紀座長】 ありがとうございました。
では、高宮さん。
【高宮氏】 まず、この委員会の位置づけということなんですが、最初もありましたし、またその前の魚類グループの中での議事録の中にも、このオオクチバスの小グループ委員会の位置づけはどういうものなのですかと、たしか細谷さんだったと思いますが、何人かからご質問があったと思います。それの中にも記載をされていますし、また環境省の方に私個人からも何回かお尋ねをしたことがあります。それによりますと、この全体の合同委員会だけではとても議論できない。まず六つのグループ委員会をつくろうと。その中でできればやりたい。しかし、先ほども出ていましたように、3種類、最初は2種類だったと思いますが、2種類については非常に利害関係とか、あるいは意見の違いとか、非常に社会的且つ経済的影響が大きいので、もっと専門的に掘り下げて、そこで徹底的に議論をすべきだということで、このオオクチバスが別途にグループとして分けられたとお聞きしております。ですから、そこで最終的に出る結論は、全国からこのオオクチバスに対して最も知識の深い人たちが出ているはずで、その人たちが時間をかけてオオクチバスだけに集中をして出る議論というのは、これは非常に重いと。そこで出た結論に対しては、極めて尊重をするというようなことをお聞きしておりますので、その点はそれで間違いないと思いますが、もし違うようでしたら後ほどお話をいただきたいというふうに思います。
それから、今日、もうこれが最後ということなので、本当に、2時と言っていたのにこれでいいのかというような気がしています。それは議論がほとんど深まっていないし、これまで3回は、それぞれがご自分のお考えを一方的に発言しているだけで、そのことに対してのいろいろな質問とかやりとりが非常にまだ少ない。
今日の魚類学会の先生方のお話を聞いておりましても、10点ぐらい、やはり不思議というか理解ができないことがあるんです。例えばこれは多紀先生もかかわっているので大変申しわけないんですけれども、このお話を中井・瀬能さんからされましたが、皇居のかい堀調査での捕獲された魚類の重量比というようなお話があって、数量比では0.6%だが、重量比で行くとバスが30%以上になるんですよという話です。しかし、そのときにどうして、とれた大きなコイとかレンギョとかソウギョとかを省こうとするのか、これはコイだけで重量比全体の72.5%になっています。IUCNでも、コイは外来侵入種ワースト100に入っていますが、何故こういうものを除こうとするのかとか、これは当然重量比ということですから、そのときに皇居でとれたすべての魚を匹数、個体数かないしは重量比できちんと出してご説明をいただくのが公平だと思うんですが、このコイ、ソウギョ、レンギョというのを全部除いて、これらの魚は1メートル近くあって、1匹でも数キロと大きいんですけれども、こういうものを取り除いて数値を出されているというような理由もわかりません。中井さんの資料でもある通り、事実は重量比でもバスは30%ではなく、3.6%です。何とかバスを多く見せたいのでしょうが、事実を伝えて欲しいと思います。それから琵琶湖の中でヨシノボリに対してもお話がありましたけど、これはWWFで非常にブラックバスの影響が多いと報告をされたと聞いております。
しかし、滋賀県から我々が今までいただいた資料では、ヨシノボリはもう圧倒的にブルーギルの影響が多いというふうに記載されておりますので、この辺のところも詳しくお聞きしたいなというふうに思います。又、密放流に関しては先ほどもうちょっと突っ込んだ、どうしてそれが根拠になるのかというようなことで具体的に幾つかお話をさせていただきたいところもあります。いろいろなことが私はもう少し委員の先生方にお尋ねをして、これはどういうことなのかということで、それで納得できるようなことであれば、当然理解はしていかなければいけませんし、それから、最初から申し上げています魚類の生息調査の実施です。魚類の調査なんかは時間がかかって意味がないと言われていますけれども、やはり前回魚類学会の方から出されたアンケートも、水口先生からもありましたように、そういうご自分たちの意見に沿った方々に大半が出された資料という事です。それから得られる資料、これは逆に釣り人側でも似たようなアンケート調査はあります。そういうことで国の方向性が決められていくというのは、どうしてもやはりおかしい。せっかくこういうような委員会ができたのですから、全国組織できちんとした客観的な事実をできるだけ出していこうという中で、ある程度のそういう時間もかけて、そういうような調査も継続していきながら、こういうところの議論と事実関係を両方リンクさせていく必要があるというふうに思いますので、ここで結論をどちらに出すにしても、そう簡単なことではないんではないかというふうに思っております。
【多紀座長】 ありがとうございます。ほんと、2時と1時でちょっと情報の齟齬がございまして、申しわけございません。
【橋本氏】 あと、もうないんでしたら。どこまでやるかという話ですけれども、下部の機関として上に上げるというときに、先ほど言ったように事実関係としてどうだと申し上げるべきと思います。私ども利用する立場から、じゃあ、これはどういう迷惑がかかるんだと、やった場合。そこはちゃんと事実関係で今大体出ましたので、両釣り団体の方からもここで困るという話があるんですけれども、先ほどお話ししましたように、要は分析といいますか、数字的な分析がもっとできればいいんですけれども、私ども62万人が現実にもう今影響を受けているわけですし、まさに外来種で在来種がいなくなりましたら、これはもう生活がかかっているという話が出てきています。現実にもう、組合でも危ない連合会もあります。そういう事実関係があります。先ほど言ったように事務局として我々も危ないと申し上げました。首をいつ切られるかわからないということです。
そういうことと、先ほど言った延べ90万人ですが、先ほどちょっと300万と90万の差と言っていましたけれども、90万人は、あくまでも延べですから、もっと少なくなるので、そこは300万と90万の差でなくて、さっき言った、10回やれば9万人ですから。そこをまずご理解下さい。そういうことで、それぐらいの方々には、釣り愛好家の方々には別にブラックバスだけではないんでしょうから、多少我慢していただくこともお願いしたい。そしてあと関係者の方、関係者の団体の方もそうでしょうし、釣具メーカーの方もいるかもしれませんが、そこは先ほど言った、多少仕事の評価が下がるかもしれませんけども、少なくとも首にならないだろうという感じでおりますので、どういう影響を受けるかということだけは私はお話ししたつもりですから、そこは座長から上部組織の方にはお伝えいただきたいと、そういうふうに思っております。
【多紀座長】 だれ。では、高宮さん。
【高宮氏】 この委員会そのものが当初から、できるだけ過去の、それぞれが出したデータとか、言った発言については追求しない、議論しないというような話が事務局からあったと思っておりますので、極力そういう過去に出したのではなく、この場で出た議論に対してのご質問というようなことにさせていただきたいと思います。そういう意味で、先程、全内漁連さんに対して直接的に、前回のご質問に答えさせていただきました。そのような訳で、ほとんど過去の事に反論というようなことはしておりませんが、今のこの内水面漁業組合員が62万人という話がありましたが、今日は水産庁も来られておりますので、お尋ねをまずしたいんですけど、本当にこの内水面の専門に漁業をされている方、それがどれぐらいおられるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。水産庁でも、これまでの資料で数字も出ていると思いますし、私どもも資料は持っていますが、その数字は全く違うと認識しておりますので、再度お聞きしたいと思います。
【多紀座長】 では、これを最後にしてください。じゃあ、お願いします。でも資料をお持ちなんですか。だったら、それでいいじゃないですか、それをお読みになったら。
【高宮氏】 いやいや、それは……。
【多紀座長】 水産庁の口から確認か。
【高宮氏】 水産庁から確認をしたいんです。内水面専業の漁業者を。
【多紀座長】 そこまで、今、水産庁、ありますか、その資料は。
【高宮氏】 ないということなのであれば、ご存じと思いますけれども、水産庁から出された資料には内水面の専従者(販売目的として採補を行なった者)は41640人という数字が出ているというふうにお聞きしております。これは水産庁の資料ですから、また後ほど確認をしていただきたいと思いますから、組合員と内水面漁業で専業で従事されている方というのは、かなり違うということは、ご理解をしていただきたい。それから、300万人というのは、私どもが出している300万人というのは決して延べではありません。
【多紀座長】 わかりました。
【高宮氏】 水産庁の方の漁業センサスで、釣人口が延べで四千何百万人と出されたことがありますが、私どもは延べではないということを申し上げたいというふうに思います。
【多紀座長】 いや、もうですから、その辺の話、そこでもってまた300万人を持ってくるから、また話が長くなっちゃうので、今は水産庁、その辺の資料をお持ちじゃないので。
【高宮氏】 次回で結構です。
【多紀座長】 次回でも、それでもあれしますということでも、次回がもしありとすればですよ。それは……。
【橋本氏】 漁業センサスがだめだということを、水産庁は言っていますけど、農水省のセンサス担当のところへ行って、そんなこと言えるわけないんじゃないですか。だから、水産庁は高宮さんの言っていることが間違いだと反論しないとだめです。
【多紀座長】 わかりました。ですから、別途機会にお答えをして皆様にもお知らせできるようにいたしますので。じゃあ、すみません、長時間と言っちゃ反対に怒られるんだが、2時までだと聞いていたぞと言われるんですけれども、どうも長い間ありがとうございました。
今までの各委員のご意見を踏まえて、最後に事務局の方からコメントをお願いをいたしたいと思います。これからの見通し等につきまして。
【上杉企画官】 第1回の会合の際に資料の1-5ということでお出しをした中に、この小グループを設置するという、魚類全体のグループの方で説明した紙についても説明をいたしました。その中で本小グループの結論を分類群専門家グループ、魚類専門家グループに報告をするというふうにされております。きょう事務局サイドで用意した資料の中で、資料3、これはまだ論点ということでまとまった報告の体裁にもなっていない形になっておりまして、そういう意味ではちゃんと次回、会合して、一つの報告をできるような形のものをご議論いただきたいというふうに思っています。そういう意味ではちゃんと次回、第4回目を開催した形で、議論を再度続けていただきたいと思っています。
それから、本小グループの位置づけについても、高宮さんの方からお話がありましたけれども、これは特定外来生物を選定する全体会合、全分類群を入れたものが最終的にはそこで最終的なリストというのをつくっていくということになるわけですけれども、分類群ごとに六つに分かれて、それぞれの分類群についてはそこで専門的に議論する。さらにオオクチバスについてはこの小グループで専門的に議論するということであります。今言いましたように、そういう意味ではここで議論をしたことについては、ある程度まとめというものを、その魚類全体のグループの方にまず報告をしていただくという形になると思っています。座長が両方とも多紀先生でございますので、基本的にはこの小グループの何らかのまとめのものを魚類グループの方に報告として出して、そこでそれを見ていただくという形になるかと思っています。
以上が今後の扱い及び位置づけということでございます。
【多紀座長】 ということで、その先はまだやってみなきゃわからないことです。第4回は開催をいたすということでもって、ご了承願いたいと思います。本日はどうも、司会が下手だったり。次回のこと。はい。
【堀上補佐】 すみません。次回の第4回ということでお聞きしましたので。事前に委員の方々にお伺いしていましたところ、1月19日がご都合がよろしいということですので、19日に開催するということにしたいと思います。1月19日午後からということで予定をしております。
今日は大変申しわけありませんでした。14時までということで委員の方々に連絡をしていたこともありまして、お弁当は用意をしておりましたけれども、議論の流れがある程度区切りがいいところでということで考えておりましたので、ちょっと座長と進行の方の調整が合わず、申しわけございませんでした。これが終わりましたら、ぜひここで昼食にしていただければと思います。
【多紀座長】 はい。では、どうも皆様ありがとうございました。