環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群グループ会合(魚類)
オオクチバス小グループ会合 議事録


1. 日時 平成16年12月7日(火)10:00~12:06
2. 場所 経済産業省別館11階 1111会議室
3. 出席者  
   (座長) 多紀 保彦
   (委員) 瀬能  宏    中井 克樹
細谷 和海    丸山  隆
水口 憲哉
   (利用関係者) 全国内水面漁業協同組合連合会 橋本 啓芳
(社)全日本釣り団体協議会  來田 仁成
(財)日本釣振興会      高宮 俊諦
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (水産庁) 重沿岸沖合課長
長畠生態系保全室長
田中生態系保全室補佐
5. 議事  

【環境省 堀上補佐】 それでは、予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)のオオクチバス小グループの第2回会合を開催したいと存じます。 全日本釣り団体協議会の來田理事につきましては遅れていらっしゃるというふうにお伺いしております。 それから、今回からの事務局の出席がございますので、紹介いたします。環境省の野生生物課長、名執でございます。

【環境省 名執課長】 環境省の野生生物課長の名執でございます。前回会合、海外出張中で欠席いたしまして、申しわけありませんでした。よろしくお願いいたします。

【堀上補佐】 それから、水産庁の方で、生態系保全室、今日は田中補佐がお見えです。よろしくお願いいたします。

【水産庁 田中補佐】 おはようございます。田中でございます。

【堀上補佐】 それでは、配付資料を確認させていただきます。環境省の方からご用意いたしました資料が、オオクチバス小グループ委員名簿の下に資料1としまして、特定外来生物等の選定の作業手順。それから資料2としまして、オオクチバスに係る情報及び評価(案)。この2つにつきましては前回第1回の資料と同じものでございます。
 それから参考資料としまして、第1回オオクチバス小グループの議事概要、これをつけております。
 それから、本日各委員から資料を出していただいております。一番最初が日本釣振興会さんから「万一、オオクチバスが特定外来生物に指定されたとしたらどのような問題が懸念されるか」という資料。それから瀬野委員から「サンフィッシュ科3種による在来生物への影響」という一つづり。それから全日本釣り団体協議会から「オオクチバスの特定外来生物指定によって発生する可能性のある問題点について」。全国内水面漁連から「オオクチバスの選定について」。細谷委員の方から「日本産淡水魚の保護と外来魚」という、これは資料[1]から[3]まで一つづりになっておりまして、もう1つ細谷委員の方からは「外来魚ブラックバスに関する文献集」という冊子が配られております。それから水口委員から「オオクチバスが特定外来生物に指定されたらどのようなことが想定されるか」という資料でございます。
 もし資料に不備がございましたら、事務局の方にお申し出いただければと思います。
 それでは、ただいまより議事を始めていただきたいと思います。多紀座長どうぞよろしくお願いいたします。

【多紀座長】 今日は委員の皆様方、それからお役所の方々、お忙しい中をご出席くださいましてありがとうございました。最初のところだけ座らないで立ってごあいさつをさせていただきます。
 前回は11月26日でしたね、それに続いて2回目なのでございますが、前回は座長の不手際もありまして論議が時々脱線とは言いませんけれども、発散して、放散して、私分布をやっておりますけれども、ラディエーションというような、死滅回遊のようなことになった部分もございました。ということでその反省も込めて、今日は委員の先生方のご協力も得て、なるべく的を絞って建設的な議事、意見交換にしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それで、これから、前回委員の先生方にほんの数分ずつお話願いまして、さらにそれをつけ足しもあるでしょうし、データもあるでしょうということで、文書にして出していただけた。今回それをお出しいただいたわけで、それを簡単にご紹介願うわけですが、今言ったような意味も込めまして、その中身につきましては、もちろん確認はしなければならない点もあるのでしょうけれども、それはそのテーマが論議されるときにしていただくということにして、それぞれのご発表が終わったら、すぐに本日の議題でありますオオクチバスの取扱いについてと、この中身については後ほど申しますけれども、に入りたいと思いますので、どうぞご協力のほどをよろしくお願いをいたします。
 では、この前と同じ順序で。

【橋本委員】 議事に入る前に1つよろしいですか。前回もお話がありましたのですが、座長の方から建設的な意見を出して欲しいとのお話しがありましたが、私もそう思います。ただ、建設的な意見というのは、皆さんがお話しするとき、自分は建設的な意見だということで歯止めがかからない可能性がありますので、座長の権限で、そこは建設的であるかないかということは判断していただきたいと思います。それもなかなか難しいとすれば、時間をある程度限定する必要があるのではないかと思います。説明ですと長くなるのはわかるのですけれども、やたらと長くなるのはちょっとやめていただく。後の皆さんの話もあるのでしょうから。ということである程度時間を限定して、必要であれば座長はもう少しやってもいいというような、そういう形で臨んでいただければ、全員が話ができると感じておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【多紀座長】 ご忠告ありがとうございました。委員によってはある程度簡単な方もありますし、長くなる方もありますけれども、全体的な時間を見て。前回も1人10分なさったら、1時間半になってしまうというお話を申しましたけれども、ご協力を得て40分か30分でも過ぎまして、今回もその程度にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 発表の順序はこの前と同じで、まず日釣振の方から、またこういう順序でもって、前回と同じ順序でやりたいと思いますので、高宮、瀬能というふうによろしくお願いをいたします。

【高宮委員】 お話のテーマは。

【多紀座長】 テーマは、今日出していただきました、それについてもしも、読めばわかることなのですけれども、補足説明というか簡単なサマリーと。
 それから、これ事務局にお願いしたいのですが、提案がございますね。この提案の方も一緒でよろしいですか。
 それでは高宮さん、提案の方も一緒に。

【高宮委員】 それではトップバッターということでよろしくお願いします。前回も、座長の方からもお話がありましたように、この会議の本来の目的と少し外れたようなところも、私どももあったのではないかなということで、せっかくこのような機会を設けていただいたのですから、今もありましたようにできるだけ前向きな考え方でやっていきたいというふうに思っています。
 それで前回終わりに中井さんの方からオオクチバスが特定外来生物に指定されたら、あるいは私どもの方から指定されなかったら、どのような問題が懸念されるかということで、今回書面で、できれば日釣振としては出したいというようなお話をさせていただいておりましたので、今お手元のような形に整理をして出させていただきました。
 概略は読んでいただければご理解いただけると思いますが、要旨だけお話をさせていただきたいと思います。
 まず私ども釣り人を含む日本釣振興会で、今回の特定外来生物の生態系等にかかわる新たな法律に対して、9月からいよいよ具体的な選定ということに入っているのですが、このオオクチバスを今回の政令で特定外来生物に選定すべきか否か、というようなアンケートを、各釣り人、あるいは釣り団体、あるいは釣りに関係するような企業を中心に実施をいたしました。結果はここに書いてありますように172件の回答を得まして、その中の159件が選定されるべきではないと、それから、選定されるべきが4件というような比率でございました。これは当然釣りにかかわっている人たちですから、このような数字は、予測はできるわけですが、この釣りをいろいろしている人の中にも、アユとかヘラブナとか渓流とか、必ずしもバスフィッシングを快く思っていない釣り団体もございます。そういう中にあって、かなりこれは高い比率で、選定されるべきではないというふうな考えを現在、持たれていることがわかりました。 これは7月に実施をされた環境省のパブリックコメントが、これは基本方針案ということで、選定すべき、すべきではないと、そういうことではなかったのですが、その中での個別の案件もオオクチバスが一番関心が高かった。そして、指定すべきではないというのが95%ぐらい、すべきであるというのが3%ちょっとというようなことで、そのときは、一般の方々にも同じように出されたパブコメですが、釣り人アンケートとほぼ同様な数字が出ていました。 それでは、指定をされたらどういうような具体的に問題点があるかということですが、具体的に懸念される主たる問題点を全部で8つ掲げております。これはお話はどうなのでしょうか。今読んでもいいですか。時間の関係で、本来ならば1つ1つ読まさせていただきたいのですが、時間がございませんので、主要な部分だけお話をさせて頂きます。 1番は県・市町村、地方自治体の中で、この法律の主旨・内容が十分に精査されないままに、新たなキャッチアンドリリース禁止の条例化や全面駆除とか、あるいは実質的にバス釣り禁止になる可能性が高いと。 2番は、教育現場でも、やはり事実が正しく伝わらないままに、違った施策、あるいは指導が行われる可能性が高いと。 3番は、純粋にバスを楽しんでいる人たちが、周りの人達から間違った情報でそのバス釣りそのものが妨害にあって、非常にできにくくなってくる事などが予想されます。 4番、5番。この辺のところは今までもずっとやってきたバス釣り、もちろんこれはバス釣りだけではないのですけれども、バス釣りは300万人以上の人口がいますので、そしてそれらの釣り人で構成されているNPOとかバス釣愛好団体で、ごみの回収とか湖底清掃などを全国で定期的に実施をしております。そういうような環境保全活動が非常にやりにくくなって、既に減少をしております。当然釣り人が減るわけですから、そのような活動が減少していく訳です。 5番は、オオクチバスを有効活用しているかなりの人たち、300万人のバス愛好者だけではなく全国で数十万人に及ぶ関連の業者がいます。もちろん、バス釣りの入漁料等が最大の収入源となっている漁業者の人たちもその中におられますけれども、釣り人だけではなくていろいろな人たちに社会的、経済的に大きな影響を与えることが予想されます。既に5~6年前よりこのバス害魚論というものが、かなり日本全国で情報として発信をされて以来、大変な大きな打撃をこうむっております。私も今回、全国のそういう地域や団体からいろいろなお手紙をいただきましたけれども、秋田県など地域によっては8割以上釣り人が減っておる。売り上げも7割近くダウンしているということで、既に釣り人を主として対象にしていた飲食店とか釣具店とか廃業されているところが出てきているというようなことも聞いております。次回、それについての詳しい資料を出したいと思います。 あと6番は、地域の人たち。この漁業組合とか観光協会とか商工会とか、地域の人たちが何とかこのオオクチバスの新たな活用をしてほしいという要望が数十カ所全国から来ております。またそういうところから、釣り大会やマナー講習会などを、ぜひやってほしいという要請もあるわけですが、そういうような流れが今後途絶えることになるということです。そのほか、漁業権魚種で成り立っている、あるいはバスで成り立っている地域からの、漁協や地元からの反発がかなり高くなってくるのではないかなと思っております。 それで、そういうようなことがいろいろあるのですが、当然そういうようなこととともに、8番に書かせていただいておりますが、同様に今回のアンケートで、オオクチバスに対してコンセンサスを、じゃあ釣り人は何もしなくていいのかということですが、まずどういうことが意思統一され始めたかというと、当会では当初からの考え方でしたが、1番目がオオクチバスの生息域をこれ以上拡大させないこと。2番目が、これは今回の法律でももちろん出ているわけですが、海外からの輸入に対して一定の制限ルールを策定すること。3番目が国内の移動についても一定の制限ルールを策定すること。4番目が希少種の生息する湖沼等については、防除にできるだけ協力をしていくこと等、そういうようなコンセンサスが多くの釣り人の間で得られております。 また、特定に選定される事によって具体的に影響を受けると思われる漁業者や関連企業など。経済的な問題だけで、直接的な経済効果が約1,000億と言われておりますが、間接的なものまで含めるとそれの数倍になると言われております。具体的にどんなところが影響があるかというところを列記させていただいておりますので、後ほどごらんをいただきたいと思います。 特に今回、前向きな建設的なということが方針にありますので、それでは、日本釣振興会として、釣り人としてこのバス問題の解決に向けて何ができるのかと、何をしていかなければいけないのかと、これは非常に大事なことになるというふうに思っています。特定に入れるべきではないというような考えを基本的に持っておりますが、それを言うのであれば、同時にこのバス問題解決に向けて、それぞれの、特にこの釣りにかかわる人たちがやっていかなければいけないということが、もう1つの日釣振からの提案という資料で書かさせていただいております。 1、2は今までずっとやってきたことをさらに積極的にやろうと、この環境美化への積極的な取り組みと地域貢献活動。それから2の釣り人のマナー・モラル向上をさらに積極的に実施をしていくということですが、3番の外来魚問題における今後の具体的かつ新たな取り組みということで、今までの考え方に比べてかなり踏み込んで日釣振、それから釣り人の間でコンセンサスをとってここに提案をいたしております。この問題につきましてまた後ほど、この話題になったときに詳しくお話をさせていただきたいと思います。 以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。ご提案はこの後ということで、かなり踏み込んだご提案をいただいておりますので、それはまた後ほど論議をさせていただきたいと思います。
 それでは、瀬能委員よろしくお願いします。

【瀬能委員】 瀬能です。
 オオクチバスが選定されるに当たって必要なことの1つとして、その影響というものがどのようなものなのかというのをできるだけ正確につかむことが必要です。いろいろと調査報告書等これまでも出ていますけれども、例えば現在見直しが進められている環境省のレッドデータブックがあります。しかし既にかなり情報としては時間が経過しているという事情もありますし、また環境省とは別に県単位でも各地でレッドデータブックの編さんが今進められておりますし、また表には出てきていませんが現在進行中の調査というのも結構多くあります。その他、オオクチバスの影響というのは魚には限らず、水生昆虫や水草等にも及ぶというふうに考えられますので、その影響をできるだけ正確につかむ目的で、日本魚類学会自然保護委員会はこの11月に、全国の水生昆虫ですとか魚類ですとかの研究者に、緊急のアンケート調査を行いました。その結果を今お手元にお配りしている資料に示してあります。
 表が3つ出ているペラがあります。それとは別に影響を受けたと思われる希少生物の一覧があります。また委員の皆さんには、このもととなった情報、要するにアンケートの集計表を回覧させていただきます。これは希少生物の保全上の目的のまだ未発表の情報がかなり含まれていますので、ちょっとまだ公表するわけにはまいりませんので回覧のみとさせていただきます。
 お手元の表の3つ出ている資料を簡単に説明させていただきます。
 まずオオクチバスと言っても、サンフィッシュ科という単位で考えると、オオクチバスがいる池だけではなくて、オオクチバスとコクチだけがいるところとか、オオクチバスとブルーギルがいるところとか、あとコクチバスだけとか、いろいろなパターンがあるわけですけれども、ここで問題となるのはオオクチバスの影響ということですので、オオクチバスだけがいて、しかも環境の変化があると、その変化を受けたりということも考えられますので、オオクチバスがいて環境の変化というものがオオクチバスの侵入の前後でないと判断される事例だけを注目したいと思います。
 総数43都道府県、761水域からの情報が集まったわけですけれども、その中でオオクチバスだけがいて環境の変化がその侵入の前後になかったという影響の評価の表は、左の一番下の表になります。これを見ていただくと一目瞭然なのですが、環境の変化のあるなしにかかわらず、オオクチバスの影響というのは非常に大きいということが言えると思います。例えば環境の改変があったという水域は全部で19水域あったわけですけれども、その中で影響が顕著と判断された水域、あと、あるいは影響があったと判断される水域は全19水域すべてに及んでいます。
 また環境の改変がなかった水域は全部で199例事例が集まりましたが、その中で影響が顕著だったか、あるいは影響があったと判断されるところは、それぞれ86、27水域ありまして、これも不明なものが82含まれていますので、かなりの割合で影響があったというふうに言えると思います。
 結論としまして、環境の改変に関係なく影響があると、それから影響をどのような生物が受けているかということなのですけれども、それは表の方にRDBの影響を受けた方の一覧表にまとめてありますが、特にメダカだとかタナゴ類です。それからモツゴ類、それから水生昆虫、ゲンゴロウ等の絶滅を伴うような事例を含めて大きな影響を受けているということが言えると思います。
 在来生物がよく、ありていに言う、食い尽くされるみたいな話がありますけれども、そういう事例もあり得るということです。ですから少なくともため池のような止水環境、オオクチバスの影響が最も大きく出ると予想される水域では、環境の改変に関係なく在来生物との共存というのはあり得ないと言えると思います。ため池の場合特に、そこにオオクチバスが存在すること自体が密放流によると推測されることを考慮すれば、オオクチバスを特定外来生物に指定して適正な管理が行われていくべきだろうというふうに考えます。
 以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。前回データがないとかというような論議がありまして、それを補足する意味を持ってお出しをいただいたということでございます。ありがとうございました。
 次は、來田さん。よろしくお願いします。

【來田委員】 それでは、失礼いたします。
 まず、お手元にお持ちいただいておりますプリントでございますが、前提となる条件についてというのは、これまでも私どもずっと主張してきておることの集約ですので、これはお読みいただいたらよろしいかと思います。それで今回はこの駆除、あるいは排除、あるいは管理の具体的な手法は、先の議論として省かせていただきまして、テーマどおりにさまざまな問題について、もし特定された場合、特定に指定された場合にどんな問題が起こるであろうかという想定のもとにだけ箇条書きさせていただきました。
 まず1番。オオクチバスに関する被害の認識についてというところです。今、瀬能先生の方からデータをお示しいただきましたが、確かにオオクチバスが他の生物について、フィッシュイーターであり昆虫も食べるわけですから、もちろん影響があるということは承知しております。ただ、私どものスタンスとしまして、現実の問題として、これだけ全国にこれだけの数存在しておるオオクチバスを、じゃあどうやって管理するのか。管理することが可能なのか。そういう視点に立ちますと、軽々に物事を決めていくわけにはいかないなというふうに感じておる釣り人が多いわけです。
 つまり冒頭に書いておりますように、生息場所の不拡大。それから少しずつ減らしていきたい。それから生息数もどんどん減らしていきたいという考え方については一致しておりますけれども、また、オオクチバスが環境に影響を及ぼすということについても皆さん方とこれについては異存がある方はございません、と思うのです。 ただ釣り人側の感覚だけをちょっとお伝えしてしておきたいと、まず1番目の1の[1]です。食害被害が挙げられているけれどもデータがない。これはお示しいただいた。しかし日本中の釣り人の中で、このことをきちんと理解しておるという人が意外と少ないのではないか。もっとこういう知識を普及しなければならないなという感想を持っております。 2番目として、オオクチバスについて害魚であるということが長い年月言われてきております。確かにフィシュイーターというものはすべて害魚というふうに一くくりにすればできるわけですが、ただ釣り人たちが持っている印象からいきますと、一種の犠牲の羊と言いますか、他のすべての在来生物の減少要素をすべてオオクチバスに集約されているのではないかというふうな、多少ひがみ根性でございましょうが、そういうふうなものをかなりなバスファンが持っておると、こういう印象を持っておること自体が大変な問題ではなかろうか。それを払拭する手段というものをどんどん講じていかなければならないなと。そうでないと理解を得られなくて、またもや例えば世情密放流と言われている不心得な人たちが出るかもわからない。私たち正常な釣り人の方からいきますとそういうことはあり得ないわけですし、そういう人たちはあってはならないわけです。また釣り人の世界では、そういうことをしたということが明らかになったら、まあまあ釣り人なりの社会を持っておりますから、そういう部分では抹殺されるとか無視されて、将来釣り人として大をなすことができない存在になる。これは火を見るより明らかですので、まずそんな不心者はいないとは思いますけれども、でもやはりその中にいないとは限らない、確信を持って絶無とは申し上げられません。 それで3番目に、オオクチバスに在来の生態系を混乱させたさまざまな要素に対しての指摘がない。というのは先ほど申し上げたことと同様でございます。 いわゆる在来生物の産卵所、繁殖場所がかなりな高確率で減少しておるけれども、それらがすべてバスのせいにされているのではないかというふうな感触を釣り人が持っておる、そのことを一応お伝えしておきたい。 その次4番目です。現時点で指定した場合、何らの合意形成が図られないままに、つまり外来生物、つまりオオクチバス…、それではこの4番目は適当に読んでおいてください。 それから大きい2番目。移動の禁止について。これは既に全国の都道府県の内水面漁業管理規則によって、移植の禁止というのが全国ほとんどの府県でありまして、これは釣り人は遵守しております。したがってこの上に移動の禁止についての新たな法の枠組みをつくる必要があるかどうかということについては、やはりこれから先議論の対象であろうと思います。 それから管理の方法について。3番目ですが、これも具体的な管理方法という部分に多少入りますので、お読みいただいておけば結構かと思います。ただ、私どもが大変気にしておりますのは、この3番目の中の[2]というところなのですが、現在までに内水面の湖沼4カ所でオオクチバスの漁業権が与えられております。この今回特定魚種に指定された場合、このまずはこの4カ所というものが将来的にどういうことになるのか。バス釣りというものがこの国からなくなるのかどうか。つまり大正14年にバスが日本に輸入されてからこの方ずっと続いておる議論なのです。今回この会合である程度のめどがつきそうな気もするのですが、ただ、これもまた80年続きました日本の釣り文化の1つ、つまりヘラブナ釣りとほぼ同じくらいの歴史を持つ魚種なのです。このことをどう扱うかということについて慎重にお話し合いをお願いしたいということと、比較的柔軟な姿勢で臨んでいただければ我々釣り人としてはありがたいなという部分でございます。 4番目。一応こういうことも実際上取り締りとかそういうことが非常に難しい場所がたくさん生じてきます。それをどういうふうに扱うかということについては、これも先の議論かと思います。 それから5番目。多分に精神的な部分でありまして、生命体というふうなものをどう扱うかという、これは具体的にじゃあどうしろという話ではなくて、心の問題ですから、我々自身、ここにお集まりの皆さん自身が恐らく自分自身の心に問いかけながらすべての処理を行っておられるだろうと思いますけれども、さらにもう一度生き物を駆除したり、あるいは増やしたりということについての問いかけをこの際やっておくべきだろうという、甚だ生意気な提案でございます。 それから6番目。その影響についてということですが。私どもは釣りの中でブラックバス釣りが大変流行しました。これも釣り文化の一つのプロセスとして次第に落ちついて秩序のあるものになろうとしているものではないかというふうに見ております。こういうふうなさまざまなルールのない時代を経過しますと、一定の落ちついた状態になる。そのプロセスであるというふうなことをご理解いただけたらまことにありがたい。 それから実際上の問題として、オオクチバスの駆除がもはや現実的に難しいということで、何とかそれでもって生き延びたいという方々もかなりの数に上っておるということもちょっと考えておいてほしいし、そういうことがこれからの方向というか、暫定的な方向として考えられるのではないかと。というふうなことでございます。 時間が経過しまして申しわけございません。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 それでは次、中井委員お願いいたします。 

【中井委員】 琵琶湖博物館の中井です。
 個人の意見を述べる場ですから、今お伺いした方々の意見に対する感想を余り交えるべきではないのですが、この問題はまさに人の心情という部分というものにどう配慮していったらいいのかがかなり重要な部分を占めていることを、今までのお話をお伺いして、改めて認識させていただいております。
 先ほど瀬能委員が紹介していただいたデータですが、私もいろいろとメールで問い合わせて情報を集める部分には関わらせていただきました。それにご協力いただいた方のなかには、この場に傍聴に来ておられる方もいますので、まずご協力いただきましたことを感謝いたします。
 私どももちょっと驚いているのですけれども、今回のデータには、実際にかなり現場の人々が(意図的放流を)見ている例が含まれています。実際に放流行為そのものに関わる記述がアンケートの中に含まれてもいました。まとめていくと、残念なことですが、末端では本来あってはならない行為が現実に、それこそ希少種を保全している現場ですら行われている。前回も指摘されたことですが、まさに今いろいろな生き物の存続が危うく待ったなしの状況に追い詰められている状況のなかで、(オオクチバスをこれ以上広げないために)いかに適正な管理を求めていくか(が緊急のチたなしの状況に追い詰められている状況のなかで、(オオクチバスをこれ以上広げないために)いかに適正な管理を求めていくか(が緊急の課題)です。前に意見を申し上げたことと重複しますが、今までのルールの枠組みでは不十分であるということが露呈しているわけですから、それに加えて新しい枠組み、それも今回は外来生物の中で適切な管理が求められているものについて、ある物差しで管理していこうという方向性の中に、やはりどうしてもこのオオクチバスというものが含まれるべきであるというのが私の意見です。 意図的に魚を入れてしまうという行為ですが、私どもの立場からはよく目についてしまって、バス釣りをやっている人たちにはあまり目につかないことは、考えてみれば、ある意味当り前のことだと思います。といいますのは、バス釣りをされる方はどこへ行くかといいますと、多くの場合、バスが既にいて釣れる場所に行って釣るわけです。ところが我々、在来の希少な魚たちの生息を調べたり、分布調査をしたりする者はといえば、実は外来魚の影響のあまりないようなところ、まだ在来の魚たちが生息していないところへ行く傾向が強いわけです。そういう形でのバイアスが反映しているのではないかと思います。意図的に入れる行為について、密放流だという言葉で悪いレッテルを張るのはどうかと思いながらも、ほかの幾つかの(生息域拡大の)要因が指摘される中、あえて問題視する理由のひとつは、分布の拡大に直結しているということなのです。移殖放流(への混入)であれば、そのルートはある程度固定しているであろうし、現在は縮小する傾向にもあると私どもは見ています。一方で、意図的な放流は、新しい場所、いない場所だからこそなされてしまうという側面があるわけです。意図的な放流を今以上にどういう形で抑止できるかという点からも、今回の法律の枠の中で管理していくことが非常に大事だと思います。 そこで管理ということなのですけれども、全国一律の国の法律ですから、(特定外来生物に指定されると)さまざまな管理の網がかかるとはいえ、全国一律に一斉に防除していこう、駆除していこうという話までは行かないということですよね。これについても、末端と言ったら失礼かもしれませんが、実際に現場に立つ釣り人の方々にまでは十分理解されていないようです。自分たちの楽しみが奪われてしまうのではという危機感が先に立って、いろいろな感情に訴える主張がなされてしまうのだと思います。ここでは、実際に法律を施行する側が想定している内容と、(利用者側が指定されると)どうなると受け止めているのかという内容の食い違いや、指定されたらどうなるのか、されなかったらどうなるかという考えについても、具体的な内容理解の行き違いについては、整理していく必要があるのではないかと考えております。 私が準備した資料がない理由を説明するよう(今、事務局から)指示がありましたので説明させていただきますと、今回にむけて幾つか資料を準備していたのですが、先ほど紹介されたアンケート調査によるデータ集めに協力していたこともあり、琵琶湖の事情についてもちゃんと説明しておく必要があると感じていながら、その話題は今後、防除をどういうふうに進めていくかという議論のときに説明させていただいた方がよろしいかと思い、宿題を先送りさせていただきます。こちら側から(アンケート調査の)データが出ることもわかっておりましたので、これに沿ったお話を今回はさせていただいた方が適切かと思います。以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。ということで中井委員の中身は、かなり瀬能委員の方の表にも入っているということでございますね。どうもありがとうございました。
 続いて橋本さん、お願いいたします。

【橋本委員】 基本的な考え方と書いてありますけれども。内水面の漁業者は、漁業センサスでは60万人となっており、うち、私どもの全内漁連は40万2,000人が末端の会員になっております。ここに書いておりますようにブラックバス、ブルーギル等によって、要は我々は生活がかかっていまして、生活できなくなっており、漁業経営も成り立たなくなっている、そういう状況が現実にあります。漁業を営むサイドとして生活がかかっているということです。
 それで駆除のために物すごい経費と労力をつぎ込んでいるということで、非常に現場では苦労しています。一番の問題は、前回の委員会でも申し上げましたけども、やはり密放流の問題であり、これにも書いておりますように、私ども一貫してすみ分けができないと、すみ分けをやってもほかのところに移される、密放流されるということで反対してきたのですけれども、基本的に今回そういう新しい法律ができて、管理が進めばできるだろうと思います。前回も今回も釣り団体の方々から説明がありましたけれども、基本的には密放流に対して協力しましょうというお話なので、それであれば我々と全く同じ考え方で、それはそういう前向きのお話であれば、別に我々釣りの愛好家を対象にしている全く同じスタンスなので、そういう面では別に足並みがそろっているので団体間では何ら問題がないのではないかと思います。だから密放流の対策ができる方向に向かっていけばいいのではないかというふうに考えます。そういう面ではうまくいくのではないかと思います。
 ただ、前回もお話しましたけれども、新しい法律ができたからすぐ密放流がなくなるかというのは、これは私はちょっと若干疑問です。正直なところそんなにすぐなくなるものではないと思いますけれども、ただそういう制度上仕組みができておれば、いろいろ手直ししていけばよりよい方向にいけるということなので、ぜひオオクチバスの選定をお願いしたいわけです。それからもう時間的にも、ここまで広がったのですから早くやらなくてはいけないという感じを持っております。
 それから2番目に生息域等の実態調査と書いてありますけれども、これは前回、生息域の実態が余り把握されていないのではないかというお話がありましたのですが、私ども自体は今ブラックバス等の生息域が広がった時点から、当然のことながら調査をやっておりますし、平成9年からはもう大々的に本格的な調査もやっており、さらに関係の公的機関におきましても、いろいろ以前からかなりの経費、労力を投入してやっていただいています。そういうことから、特に今回も指定の問題ですから、1池に、何尾いるとか、その必要性はないということで、もう早くやらなければいけないということを優先すべきだと思っております。ただ、将来的には精度を高めていくことは必要だということをつけ加えておきます。
 質問事項につきまして、これはぜひ答えていただきたいのですけれども、先ほども出てきましたけれども、市場1,000億と、バス釣り300万人とのことで昔からそう言われておるようですし、かなりのいろいろな文章にこれが出ているのですけれども、ちょっと私どももこれは疑問だと言う声もありますので、関係する方のご説明を、根拠はどういう根拠でこうなったかを、市場調査というのは、私は昔ちょっと別のことをやって難しいと思うのですけれども、そこは納得できるような形で、バス釣りの300万人と市場1,000億というのはどういう根拠か教えていただきたいということです。
 それから、これも先ほどご説明ありましたけれども、キャッチアンドリリースと子供の情操教育と、これは我々釣り仲間からしても余りこれを言うのはいかがかなと、というのは、釣り自体がはっきり言って口に針をつけて上げるのはかわいそうだと、そんな話になってくると、魚をとること食べること自体も問題ではないかと、変な話になってきますので、それは我々仲間としてやめてもらいたいと、かわいそうだから、かわいそうなら釣りやるなという話になるのではないかと、そこもお答えいただきたいと思います。
 それから、3番目の在来生物の復元の手法と書いておきましたけれども、手法でなくて、これよく言われているのは、これだけ広がったものを、在来種が復元できるかと、そういう学者さんなり評論家の方もおられますけれども、これは後ほどむしろ研究者の方といいますか学者先生に、できれば手法というよりも本当に復元できるかというところが我々一番心配しておりますので、その点をお尋ねしたいと思っております。
 この3点の質問をよろしくお願い申し上げます。
 以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 今の最後の質問事項について、先ほど申し上げたとおり、今日この場でまたこれをということになりますと、また今考えていた次の議題が、実はそれが今日のメインの議題なのですけれども、そこに差し障りがありますので、その辺は適当に調節をさせていただきます。
 では細谷委員。よろしくお願いいたします。

【細谷委員】 今日私どもが用意いたしました資料は、とじとして2編ございます。1つは資料[1]と打ってあるものと、それと前回ブラックバスほど情報が多いということを申し上げた具体的な資料として、きょう2番目、「外来魚ブラックバスに関する文献集」というものを取りまとめて提出しております。前回の流れで位置づけていただきたいと思います。文献集では約500論文ございます。
 さて資料に基づいてお話したいと思います。とじの方ですが、このコピーの方ですが、資料の中身は全部で3つの論文をまとめてあります。資料[1]の「日本産淡水魚の保護と外来魚」と、それから中ほどを見ていただいたらわかりますが、資料の[2]でございますが、琵琶湖研究所の西野先生と浜端先生がまとめた「生物多様性からみた内湖復元の重要性について」、先送っていただいたらわかりますが、今度は資料[3]、右肩の方に書いてありまqの所報で、もう既に論文化なされています。以上3つについて今からご紹介したいと思います。文書が多くてわかりにくいかと思いますがご容赦願います。
 今日のお話ですが、バス、ギルなどサンフィシュ科魚類が与える影響について、閉鎖水域と開放水域に分けてご紹介したいと思います。
 まず閉鎖水域についての影響ですが、ちょうど3枚目をめくっていただけますでしょうか、そこの右下のページで言いますとと15ページ、右上のページ数で言いますと277ページに相当します。そこに表3、京都市深泥ヶ池における魚類相の変遷と書いてあります。池沼、ため池などの閉鎖水域の事例として取り上げたのですが、全国的なものはもう既に瀬能さん、中井さんからご紹介がありましたので省略いたします。今日は時間がございませんので、かいつまんでご紹介いたします。深泥池は典型的な池沼でございます。私が調査を始めたのは1972年ですが、そのときの在来種率は種数で言いますと12種、パーセンテージで言いますと91.7%で占められていたということでございます。
 それが1985年の時点で初めてオオクチバスとブルーギル、両方を確認いたしましたが、この時点で既に種類総数は9種に、在来種率はパーセンテージで半減しております。 1997年に見てみますと、一番右端になりますが、種類総数も半減し、在来種率もほぼ平衡に達して50%になっています。残った魚種を見てみますとブラックバスとブルーギルと、彼らのえさとなるトウヨシノボリがいて、それにわずかなギンブナやコイが生息しているというパターンでございます。 このように外来種が侵入すると在来種が消滅し、在来の生物群集は個性を失い、要するに固有種がいなくなって単純な生態系に変わるのは、ごくごく言われている生物多様性の喪失例です。こういった質的な変遷は全国的に起こっているという、閉鎖水域の事例でございます。 次に、開放水域のお話をしたいと思います。今度は資料[2]をご確認いただけますでしょうか、少しめくっていただいたらわかると思います。次のページです。タイトルとて「生物多様性からみた内湖復元の重要性について」という論文がございます。これは2001年から滋賀県より委託された内湖の生物多様性に関するプロジェクトの成果でございます。プロジェクトリーダーは琵琶湖研究所の西野麻知子先生ですが、内湖というのは琵琶湖周辺にある衛星湖でございます。 次にこのページの113ページの図2を見ていただけますでしょうか、2枚めくったところでございます。図2、琵琶湖があって番号を振ってある図でございます。琵琶湖には周辺を取り巻く内湖がございますが、現在約30ございます。多くが干拓によって消失しておりますが、かつてはコイ科を初めとする淡水魚の非常に重要な繁殖場であったことが認識されております。実際にお隣の表2を見てみましょう。そこに琵琶湖周辺の抽水植物(ヨシ)帯およびヤナギ林の面積の比を示しています。内湖と本湖の部分と河川の河口データでございます。 内湖の琵琶湖に対する比率はわずかに0.6%であるにもかかわらず、ヨシ、アシ帯は琵琶湖全体で見てみますと、内湖の占める割合が60%にも及ぶ。この事実をぜひご理解いただきたいと思います。 次に116ページ、2枚めくっていただけますでしょうか。図4を見ていただきたいと思います。そこに2つのグラフがございますが、図4は琵琶湖内湖におけるオオクチバスとブルーギル個体数の合計が、全採集魚類の個体数に占める割合の在来種数との関係を示しております。内湖における事例でございます。横軸はオオクチバスとブルーギルの個体数です。在来魚の種数を縦軸にあらわしています。見て明らかのように、ブルーギルとブラックバスの数が多いと、繁殖場である内湖の在来種の指数が明確に減少し、両者に負の相関があるということが言えます。このように単純に琵琶湖の面積だけを考えるのではなくて、湖岸などその質について論議をしていく必要があろうかと思います。 次に資料[3]を見ていただけますでしょうか。大分行きます。4枚ぐらい行きます。そこに、こういう可能性が出てまいりました。すなわち現在琵琶湖の資源が減っている理由は、在来魚の繁殖場そのものをブラックバスやブルーギルなどの外来種が占有しているという事実がわかってきました。仔稚魚の出現状況から琵琶湖の内湖の現状について4年間調査いたしました。その概要についてお話ししたいと思います。 最も内湖の中で生物多様性が高いとされた尾上町の野田沼で調査を行いました。20ページ、そこの図3を見ていただけますでしょうか。もし参照されるのでしたら、このとじの一番最後のカラーページのところにも、同じ4ページにその図がございます。どちらを見ても構いません。 私たちの結果をお示ししたいと思います。調査では、仔稚魚についてだけ定量採取しております。成魚については調べてはおりません。図では横軸にそれぞれの仔稚魚の出現の時期を、そして縦軸に在来種、外来種問わず仔稚魚の全個体数をあらわしています。 これを見て驚くべきことがわかりました。矢印で示されたように、現在のコイ、フナの産卵期が4月から6月の上中旬に限られていることです。かつての琵琶湖における産卵期が4月から8月であったことから、驚くべきことにコイ科など在来種の産卵期が、何と2カ月も早くなっているということです。しかもその出現のタイミングを見てみますと、オオクチバスとブルーギルが時期をたがえており、そのわずかなすき間を得てコイ、フナが産卵期を早めているのです。同時に琵琶湖では秋産みのカネヒラが徐々に異常に増えはじめています。こういう生物相の構成の変化もつかみとることができました。 この理由を考えてみますと、オオクチバスとブルーギルが個別に影響するのではなくて、共調しているからです。その食性を、24ページ、図7に示してあります。野田沼におけるブルーギルとオオクチバスの仔稚魚の食性について分析しました。オオクチバスは明らかに在来の仔稚魚を食害するのに対して、ブルーギルはその出現時期において動物プランクトンを独占しているということがわかりました。 そこでもとに戻っていただけますでしょうか。先ほどの図3ないしは最終ページのカラーの図3。どちらでも結構です。そうしますと在来種にとって現在の琵琶湖環境は、その繁殖場である内湖において、まずせっかく生まれ出ても最初にオオクチバスの仔稚魚によって食害を受けてしまいます。たとえ生き残ったとしてもブルーギルによって餌を横取りされてしまいます。こういったことが在来種減少の非常に大きな原因であるということです。
 したがって外来魚の影響については、ブルーギルだけとか、オオクチバスだけとか、個別で考えるべきではなくて、当然セットで考えるべきです。そうしますと以上のことから、私はこういうふうに提案したいと思います。すなわち琵琶湖の水産資源を回復させ、その基盤となる生態系の保全を図るとするならば、オオクチバスの判定を個別に行うべきではなくて、ブルーギルと同じカテゴリーに位置づけるべきです。同時にそれを実際に行うためには、防除は琵琶湖から、それも内湖から率先して行うべきだと提案します。

【多紀座長】 ありがとうございました。ブルーギルもセットとして考えるべきであると、内湖から始めるべきであるという科学的な考えのご紹介でございました。ありがとうございました。
 続きまして水口委員にお願いをいたします。

【水口委員】 私は、オオクチバスが特定外来種生物に指定されたら、どのようなことが想定されるかということの1つの考えをお話したいと思います。
 これは昨年の5月のこの小グループの委員会の大親元の委員会の環境省の第5回移入種対策小委員会においてお話したことを特定外来生物の指定という観点からもう一度見てみます。
 生物多様性という観点から多くの意見が出されていますけれども、生物多様性というのは、基本的には群集、種、それから遺伝的グループ、この3つで考えるというのが基本的な考え方ですけれども、この昨年の5月に出されました「改定・日本の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータブック):汽水・淡水魚類」環境省編。これは種レベル、主に種を中心に考えています。どちらかというと、今お手元に皆さんのところにあります、このブラックバス、ブルーギルが在来生物群種及び生態系に与える影響と対策というのは、どちらかというと群集中心に考えています。あと問題の遺伝的グループということについては、残念ながらこのレッドデータブックでも、それからこの影響と対策の報告書の中でも扱われていません。 むしろ逆で、例えばこの1991年のレッドデータブックに入っていたサツキマスが、2003年には掲載されていません。その理由としては亜種以下のグループは載せないことにしたのだということなのですけれども、この本レッドデータブックはそこいらのところが統一がとれていなくて、琵琶湖博物館の前畑さんがビワマスのところではサツキマスは亜種とちゃんと言っていますけれども、これは非常に難しい点なのですけれども、それはそれとして、実はこのサツキマスを亜種以下だとする扱いによってレッドデータブックから除くことで、結局は絶滅を促進してしまっています。 それは長良川河口堰で建設省、国土交通省が非常にそれを歓迎して、結果としては、今もうサツキマスの中にも2つ遺伝的なグループがあると考えられていますけれども、そういうのもめちゃくちゃになっているというのがあります。 それでは種レベルで、このレッドデータブックで検討していることをもとにオオクチバスを特定外来生物に指定されたら、どういうことが想定されるかということを考えてみたいと思います。 このレッドデータブック記載種、98種についての生存に対する脅威と存続を脅かしている原因として考えられた279件のうち、捕食者としてのブラックバスによる捕食者侵入をその原因として考えられるものは13であった。これはこの資料の1枚目の裏と2枚目の裏表に、このレッドデータブックを整理した結果が出ています。まず登載種が98種であるということと、次にレッドデータブックに見る生存に対する脅威と存続を脅かしている原因の変化ということで、これはタイプ区分のコードで存続を脅かしている原因というのはこのようにレッドデータブックの中では扱われています。 そして2003年に、そういう存続を脅かしている原因が98種について279件出てきているわけですけれども、その項目別の割合を見てみると、捕食者侵入というのが、ここで問題になっているラージマウスバスと関係してくるのです。この捕食者侵入に関する23件のものについて2枚目の裏に、2003年レッドデータブックで存続を脅かしている原因の1つとして捕食者侵入が推察された魚種として、ブラックバス・ブルーギル、ブラックバス・ブルーギル、まあいろいろほかの外来魚もあります。ここでブラックバスという形で明記しているのが13種ということです。これが先ほど瀬能委員が出したレッドデータブックの中の13種というのと多分重なるわけです。 ここで問題なのは、瀬能委員はそこで、あくまでもラージマウス、ブラックバスによって被害があると考えられているものだけを出しているわけです。しかし大事なことは、いろいろな原因で在来種、また絶滅危惧種等は存続を脅かされているわけです。その全体の中でこのラージマウスバスが原因と考えられる被害というものを位置づけないと、ただもう初めからラージマウスは悪いのだと、それによってどれだけ被害があるのだという形で見る見方というのは、非常に問題が大きいわけです。 実は、このお手元にあります「ブラックバス、ブルーギルが在来生物群種及び生態系に与える影響と対策」という報告書も、初めからブラックバスとブルーギルを害を与えるものとして、どういう害を与える報告があるかというのを集めたものなのです。ただそれだけでは問題があるからと環境の影響というのをコラムでやったりしていますけれども、基本的には初めにラージマウスバスは悪いのだ、ブルーギルは悪いのだということで始まっています。 瀬能さんのもそれは同じことなので、それを各県版のレッドデータブックに広げたにすぎないわけです。ですから、ここで13件ということで約5%弱が存続を脅かしている原因としてラージマウスバスがあるのですけれども、実際には95%がここにも書いてありますように、河川開発が51件、水質汚染が46件、埋立等開発が38件というふうにいろいろなのがあって、この原因として3つとか4つ挙げられて、その最後に多くの場合ラージマウスバスが挙げられています。併記されているのです。ですから、ラージマウスバスだけによって存続が脅かされているということが書かれたものはなかった。ただ、これは地域を特定しないで全国で見ればどうしてもそうなるということと関係するのだと思いますけれども。 ですからこのレッドデータブックでは、前回丸山委員が言いましたように地域を特定して挙げるとそこに密漁が入って、これも存続を脅かす原因になってしまいますから、熱帯魚店でプレミアがついていますから、このレッドデータブックに載っただけで。そこいらのところは瀬能委員がメダカについて、実際そういう事態が起こっているということを昨年の5月の委員会で報告されていますけれども。 そういうことで生物多様性の保全の観点からオオクチバスを特定外来生物に指定することがぜひ必要という意見が多いのですけれども、その結果というか淡水魚類に関する生物多様性の保全に対する効果を針小棒大的に評価しようとしているのではないかというふうに私は考えます。 すなわちオオクチバスを特定外来生物に指定し、密放流を防いで分布域を縮小し減らせば、この在来魚を初めとする生物多様性の保全には非常に効果があるのだと。だけども実際にこのレッドデータブックでは、客観的にいろいろな研究者が見て、それぞれの種について生物多様性の保全の観点から現在重要なのは、生存に対する脅威と存続を脅かしている原因をどうするかということなのですけれども、その原因の95%を超す河川開発、埋立等開発、そして水質汚染ということが明らかにされているのですけれども、それに本当は早急に厳しく取り組むべきなのです。そうしない限りは幾ら5%の原因のオオクチバスを絶滅させたとしても、95%のがもしそのままであれば、それはどれだけの効果があるかということがあるわけです。もちろんこちらの95%の方も一生懸命やっているということがあるとは思いますけれども、オオクチバスが特定外来生物に指定されたら淡水魚の生物多様性保全は、それで事足れりとする風潮が強くなり、95%の原因の防止及び中止への活動が弱まることが危惧されます。 それで、例えば全内魚連の委員の方も今の内水面漁業が大変なのは、オオクチバスのせいだということのようですけれども、実はほかにもいろいろ内水面漁業の経営が困難なものがいっぱいあるわけですけれども、そういうものがこれで全部ちゃらになるみたいな話になっている、それも同じことです。 それで先ほどレッドデータブックから、サツキマスを除くことで絶滅を促進するということを言いましたけれども、オオクチバスを指定することによりバスは減るかもしれませんが在来種も減っていく可能性があるという、そういうことを危惧しているわけです。 以上です。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 個人名指しで、瀬能委員としてもいろいろと言いたい、この場はそれぞれの委員の主張がそっちになってしまったのでしようがないのだけれど、申しわけないけれども瀬能さん、ここはこの場ですぐに反論はしないということで、ちょっと我慢してください。

【水口委員】 紹介しただけですから。

【多紀座長】 そういうのを論議のすりかえと言うのです。
 それでは次、丸山さんお願いします。

【丸山委員】 非常に興味深いお話をたくさん聞かせていただきまして、幾つか私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 その1つは日釣振さん、全釣協さんのご提案ご主張を聞き及んでいますと、ほとんどの部分でこの特定外来生物の指定の理由と一致すると。つまり矛盾しない。はっきり言いますとどうしても相入れない部分があるかなとすれば、それは実は経済的な面に関する風評被害。もう1つは、釣り人の気持ちという、この2つだけです。だけと言ったら悪いですけれども、この2つです。
 はっきり言ってこれについてはここで論じ始めると多分非常に難しい。それで私自身、以前からその辺は來田さんとも個人的にもいろいろなお話をしてきました。とても言われたことをそのまま認める気はないのですけれども、一応ここではそれは飛ばしておきます。
 それともう1つは、水口委員からのご発言ですけれども、環境も重要だと、これはもう当然共通の理解だと思います。 それでただ特に指摘しておきたいのは、希少種といってもいろいろなパターンがあります。もともと非常に数が少ない、生息地も限られている。ゆえに希少種として扱われているもの。それともともと、物すごくたくさんいた、どこにでもいた、それがあっという間に減ってきて希少種となってしまったという両方あります。 このバス、ブルーギルの間で特に問題になっているのは、それまで何の異常もなくどこに行ってもごく普通に見られた種があっという間に姿を消した。そこに行って調べてみたらバスやギルがいたという、そういう事例が非常に多いということです。つまり本来、そういう少なくあるべくしてある種ではなくて、割りにタフなはずの魚種がやられていると。そのメカニズムといって、そう完全にわかっているわけではありませんけれども、先ほど細谷委員の方からご紹介があったような、特に仔稚魚期、その時期に非常に強くプレッシャーがかかるといったことが恐らく働いているのだろうと。だから非常におもしろい現象も出ています。例えば、ゼニタナゴというのは非常に極端に食害を受けやすい種というふうに言われています。ところが同じようなカネヒラは余り被害を受けない。ところが同じような時期に産卵をします。ほぼ同じような時期に子供も出てきます。にもかかわらず片方だけが圧力を受ける。多分出た後の成長速度の違いなのです。カネヒラのように非常に成長速度の速いものは途中からバスが産卵して追いついてきても抜けない。すると無事に残っていける。ところがゼニタナゴの方は成長速度が遅いですから、途中でバスに抜かれてしまう。そういったことがきいてくるのだと思います。こういう非常に細かいことをきちんと、それぞれの現場でやっていかなければ本当のことはわからない。 ついでにバスという魚の特徴で、先ほどお話の中で微妙な言い方だったのでわかりにくかったと思うのですけれども、在来の魚との違いを挙げてみますと、在来の魚の中にも魚を食べるものは幾つもいます。ただ不思議なことに多くがかなり大きくなってから魚を食べるのです。だからバスという魚は非常に小さい時期、20ミリという段階でもう子供を食べ始める。ですから食べられる方の在来の魚の立場から言いますと、本当ならばお互いに食べ合うのではなくて、お互いに食べられ合う仲間のはずの稚魚が、同じように、ナーサリーグランドといいますが、稚魚の生きるような場所で一緒に仲よくというか、えさを奪い合いして生きていくはずのところに入ってきたバスが、おきて破りをやっていると、突然仲間を同じ魚を食い始めるという、それに在来種が対抗できていない。そういう場所にそういう時期にいるものが皆そこで、だまし討ちとも言いませんけれども結果的にやられてしまっているというのが現実だと思います。 それを改善する方向。幾つもあります。1つは先ほど細谷委員から説明のありました、いわゆるナーサリーグランドの機能を復活させると。これをすることによって在来種の増殖能力が復活できる。実はそれだけではなくて、在来種自身が今度は多分外来種を多分抑え始める。それが期待できると、そんな荒唐無稽なとおっしゃるかもしれませんけれども、実際にこの方法は、もっと人工的な形ですけれども、ヘラブナの稚魚生産の現場で実施されております。つまり従来はヘラブナを春収穫して、その後一部の親を残して自然産卵をさせて世代交代をしていたわけです。それがブラックバス、ブルーギルが入って資源量ががっくり減ってしまって商売にならないというので、現在では中間指定業者が早目にフナを新魚を養殖池の方に移しまして、そこで早目に水温を上げて早く産卵させて、早くバスに食べにくいサイズまで大きくしたヘラブナの稚魚を池に戻すと、これをやるとその後産卵して出てきたバスやブルーギルのえさを先にフナが食べてしまう、まだ稚魚に対しても食害をフナの方が起こしていく、その結果として数年でブラックバスとブルーギルは一緒に密度ががっくり下がってしまっていると、こういったことが実際現場でも使われております。そういう従来からわかっている増殖の手段だとか、あるいは内湖の持っている機能、これなんかも昔から生態学者その他が言い続けてきたわけです。これをきちんととらえて、それを本気になって復元する。あるいはどうしても復元できない場合には、それにかわる施設を用意していく、これをやれば単に在来種の生き残る機会を増やすだけではなくて、外来種に対する抑制の効果も多分期待できると私自身はそう思っております。 ですからきょうの議論を聞いていますといろいろなところで、さっき言いました釣り人の気持ちとか、経営上の問題とかと一緒に、バスという魚をコントロール不能だとか、だれも抑えられないとか、何かそういう恐怖心とか何かがいろいろな委員の発言の裏にあるような気がします。ただ私はそれは時代遅れ、今となりますとかなりわかってきたと、それでもっと冷静に話し合えばいいというふうに感じております。 以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 これで委員の方々からの発言を終わります。今の複数の委員からの発言にもありましたけれども、程度の差こそあれ、オオクチバスが生態的な影響を及ぼしている場所があると、どの程度か、どことか、広がってとか、それに対していろいろな意見がありますけれども、それは共通認識でありまして、また何らかの適正な管理が必要であると、ということも共通の認識で、そこでそれからどっちへ今の丸山さんが言ったみたいに心情的にどうだというのがいろいろあるけれども、その辺が共通的な認識があると思うのです。
 今、ちょっと振り返って、なぜこの小グループの委員会が開催されたかというと、かなりやはりそこでも異論があるのだろうけれども、全国にバスは広がってすみついていると、それと一方ではバス釣りというのはかなり大きなレクリエーションにもなり、産業にもなっていると。またそれに対して在来の内水面魚などがかなりの影響を被っているということも事実です。
 それから、もう1つ考えなければならないのは、私がよくインターネットなどを見ますと、これでもうバス釣りができなくて全国バスがいなくなるようにしてしまうのではないかというふうな、言ってみれば誤解というと怒られるかもしれない、情報が徹底していないわけで、そういう意味でもって釣り関係の団体の方々とかという方が、先ほどの発表にもありましたけれども、ご努力を大きく期待するものであります。
 ということで今日は、何と言いますか、バスを規制されたら何が困るか。それから、規制されないと、また何が困るかということについて話し合おうということを前回決めました。今日の発表の次のメインの議題はこれにしたいと思いますので、先ほど高宮さんの方からご提案がございましたね。それをまず皮切りに論議を始めたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

【高宮委員】 今回は先程もお話を申し上げたように、環境省や座長からも前向きなというようなことでございますので、そういう方向で資料も準備をさせていただいております。その前に、少しだけきょうのご発言の中にもありましたけど、また釣り人、あるいは日釣振としての考え方でつけ加えておかなければいけないことがございますので、先にそれをお話をさせていただきます。 まず先ほどいろいろな事例が出されました。もちろん日釣振でもいろいろな事例があるわけですが、今回はそういうようなことをしていると、それが違うとか正しいとかいうようなことになるので、極力その部分は避けようということでございましたが、2~3だけご紹介をさせていただきます。 これは先々週NHKで、地球不思議大自然という番組、テーマは琵琶湖の人と魚、生き物のかかわり、そこに住む人達の水辺との関わりなど、実際に琵琶湖や琵琶湖を取り巻く周辺の河川でどういう状況が起きておるのかというのを非常に克明に、またわかりやすく映像でとらえているものだと思います。去年から大体こういう種のものが4本ぐらいNHKを含めて、琵琶湖付近の自然環境や魚類の実態が放映されておりますが、本当にこれを見ても豊かな自然がまだ残されている、そして在来種が非常に豊富に生きている、アユとかコイとかフナとかヨシノボリとか、もうたくさんの種類が大量にこの中に厳然としていろいろなところに生息している。これは琵琶湖博物館の方もご一緒に撮影協力されているようですので、もちろん中井さんなんかは詳しくご存じだと思いますけれども、先ほどからちょっと外来魚の影響というのが針小棒大、余りにも大きいという話が特定に入れるというのを前提にしたような資料が随分出されておりますけれども、日本の自然界では必ずしもそうではない、このように問題になっている琵琶湖でさえも多種多様な在来の魚類が大量に生息しているという資料もたくさんあります。 次に去年の皇居のかい堀り、これはその前に相当にこれは外来種でお濠が占められている。大半が外来種で占められ、在来種が危機的な状況になるということでしたけれども、実際に全て水抜きが行われ、かい堀りをされてしまった後の結果が、オオクチバスが0.59%、テナガエビやモツゴなどの在来種が90%以上というような結果でした。また、既に80年前にこの芦ノ湖で、日本で一番最初にバスが入れられた訳ですが、そこを見ても極めて正常な形で在来種と外来種のバランスが取れ共存をしている。そういう事例はたくさんあります。ですからそういうもし事例を出すということであれば、日本を代表するような湖沼や河川の霞ヶ浦や信濃川などバスがほとんどいないというような資料も私どもでは数多く持っておりますので、別の機会にそういうお話はさせていただきたいなというふうに思います。 それからもう1つは、釣り人がこういうふうに非常に心情的、あるいは感情的になっている要因の1つに、キャッチアンドリリースという行為を条例等で禁止をしたこと、これがより複雑化したと思っています。キャッチアンドリリースという行為は、言うまでもありませんが、釣った魚をまたそこに戻す行為であって、外来種の生息数を増やしたり、あるいは生息域を拡大したりするようなものでは決してありませんので、そこのところは明確に知っておいていただきたい。 それから、漁業者の方々が駆除することに日釣振が真っ向から反対をしているわけではなくて、そういうようなところで外来種を外から持ってきてするというのは、これは余りにもひどいのではないか、これは間違っているというようなことは共通認識であるわけですから、そういう行為とはキャッチアンドリリースは全く違うということです。 それから、2つ目は密放流に対しての、これは絶対にあってはならないということは全く間違いないわけですけれども、そのようなことは前回も申し上げたように、現在日常的かつ組織的に横行しているというような事は有り得ないということを日釣振では確信をしているということだけを明確につけ加えさせていただきます。 本題に戻りますが、この先ほどお手元にお渡しをいたしました日釣振からの提案の3番でございます。具体的にこの外来魚問題に対してどんな取り組みを当会でしていきたい。あるいは釣り人、釣り団体と連携をとってどういうことをしていきたいかということが、その3番に書かせて頂いております。それではこの中身についてご紹介をさせていただきたいというふうに思います。 1番が希少種の生息する湖沼等で公的機関から生息数抑制の要望が出た場合、基本的に釣り堀などの指定された閉鎖水域への移しかえを前提に積極的に防除に協力をしていきたいと思っています。また地域住民、釣り人、漁業者など多くの人たちが協力できる体制を築いていきます。この1番ですけれども、今まで当会の主張としては、客観的なデータだとか生息の実態、そういうものが科学的に示されてからでないとこれは難しいよというようなものとか、あるいはオオクチバスが著しく増えているというデータがあることも前提にしながらこんなことに協力していきますよというようなことを掲げてありましたが、今回の中では地域での合意形成さえできれば、これまでの制約事項というような形と切り離して、新たにこういうような提案をさせていただいています。 それから2番目の、やはり将来的には、ライセンス制など一定のルールをきちっと確立をすべきだと。やはり内水面漁業の方たちもきちんとそれで、ある一定の在来種の増殖、育成、それから外来種に対しての1つのルール、そういうものを維持していくためには、これは財源が必要になってきています。これはやはり利用する側ができるだけその財源となるものを出して、そしてそういう保護増殖とかあるいは管理とか、そういうものを皆でやっていく1つの仕組みをやはりつくっていく必要があるのではないか。海の場合でしたら非常に難しいのですが、内水面であれば、これは海外でもかなりやられておりますように、日本でも、国が先頭に立って関係者がその気になれば、十分にやれるのではないかなと思います。 3番は前の1、2と少しダブりますが、4番は、この魚類調査合同委員会。やはりこれは今までの環境省、あるいは自民党の内水面小委の中でも今後の方向性として出ておりましたように、これはやはりやっていかないといけないと思います。これは単にバスだけではなくて、在来種、外来種すべての魚類について、ある程度の生息実態、あるいは影響度合いというものを公的機関がかかわってやらなければいけないのではないか。この中で今まで幾つか出されていた資料がありますが、ここでは詳しく申し上げませんけれども、非常に事実と異なっている資料が多いというふうに思っています。ですからそういうような資料がもとで進められるのではなくて、やはり公的機関が入って、そしてなおかつ、我々日釣振もこのような生息実態調査に対しては釣り人と連携をとって、できるだけ積極的に協力をしていきたいというふうに考えています。 それから、やはりオオクチバスの食害は、魚類の中でも高いというふうに思っておりますので、もちろんゾーニングという考え方が前提ではありますが、実質的な生息域、生息数の抑制など自然水域のゾーニングということだけではなくて、環境省からもお聞きしておりますが、釣り堀等の人工的、閉鎖的な場所への移動や移し変えという事も可能だと思っています。地域や自治体から要請があれば、この防除ということに対してもできるだけ協力をしていきたい。またキャッチアンドイート釣り大会も併用して、生息数の抑制にも、このような形で協力をしていきたいというふうに思います。 6番が、特にこのためにどういうことができるかということで相当釣り団体とか釣り関係者と話し合っているのですが、オオクチバスの生息数や生息域及び特性など、生態解明に向けて、モニタリングの積極的な協力を行っていきます。全国におけるバス釣り大会において大会主催者や釣り人へモニタリング調査協力を依頼し、オオクチバスの生態等に関する報告を積極的に行います。全国各地で定期的に実施されているバス釣り大会の情報を、直接または日釣振を通して関係省庁に知らせることが可能です。 今過去のものが約700ぐらい釣り大会の記録が手元の方に集まっています。ただ、その記録は単純に日時とか場所とか、天候、釣果(重量・匹数)、参加人員、そういうようなことぐらいが主で、少なくとも今後参考にするような資料としてはちょっと乏しいというふうに思っています。これまでの大会記録は主催団体や大会規模等によって報告事項が異なりますが、今後は下記基本要綱などをベースにして、釣り団体や釣り人の協力のもとに報告していくことができると思います。日時、場所、天候、水質、水温、在来種、外来種など生息魚種の全般の状況、釣果、これは当然表彰の対象になったりしますから、重量とか匹数というのは極めて正しいものが出てくると思います。それから参加人員。同様に今までになかったのですが、水辺環境の変化や状況等について、その他もろもろのこと。報告書の定型フォームは大体こういうことをベースに今考えていますが、せっかく今回このような会議の場が出ておりますので、魚類学会の先生方や環境省と協力をしながら、当然漁業者の方とも連携をとって、さらによりよい報告書をつくっていけるのではないかなと思っています。 7番目は、この日本が掲げている新生物多様性国家戦略の第3の危機と言われている中、この身近な自然との触れ合いの場、自然環境教育のフィールドの場として、この里地、里山の保全がうたわれております。通常市民が入らなくなった過疎地帯、ため池や小川などの水質や水辺環境の異常を300万人と言われるバスアングラーがいち早く発見・通報することなど、これまでも自然や水辺の監視人としての役割を果たしてまいりましたが、さらにこの使命を釣り人に啓発をしまして、環境省や自治体と連携をとって、そのシステムづくりに協力してまいります。 上記の点が現在当会で考えておる問題解決に向けた実施可能な提案ですし、またこの機会を得まして皆様方からいろいろなご意見がいただければ、さらに前向きな検討をさせていただきたいと思っています。 ただ、本提案は、特定外来種の指定いかんにかかわらず、当会釣り人としてこうあらねばならないということで提出をさせていただいておりますが、現実問題として、これまでキャッチアンドリリースが禁止された琵琶湖や八郎潟などの経緯から考えて、釣り人の理解がほとんど得られない中での指定であれば、非常に残念なことですが、今まで列記したようなことに対しての釣り人の協力というものが大幅に減少することも予想がされるということもつけ加えさせていただきたいと思います。 以上です。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 これからちょっと私、座長ではなくて一委員として発言を許してください。
 先ほど高宮さんが、皇居のお堀でブラックバスが5%ぐらいしかいないと、あのホームページ私も見まして、実はあの調査を環境省の委託でやっておりますのは、私の現在所属しているところでございます。そして何年も前からずっとやっておりまして、12年、13年、15年、報告書も公表しております。そうしますと、かい堀をやったのは、牛ケ淵というところなのですけれども、多いところもあるし少ないところもあるし、環境によっていろいろであります。
 それでこの前かいぼりをした牛ケ淵では、その何カ月前かは忘れましたが、サンプリングをしまして、標識放流をして、まことにオーソドックスな方法で再捕率から資源量を推定しております。それとほとんど変わらなくて、我々は、ああ割合に我々の推定は当たっていたんだなと、むしろほっとしたぐらいのところでありまして、いっぱいいるからってかいぼりしたら少なかったので黙ってしまったというのは、あれはうそでございますので。ここで攻撃してもしようがないけれども、だからお互い様、そういうのはなるべく、話し合って、もしそうだったらば聞いてくださいと、こちらもわからなかったら聞きますよと、だから余り泥試合を進めてしまうとどうにもなくなるので、別に高宮さんを攻撃しているわけではなくて、だからお互いにそういうのはもうやめて、聞くことがあったら聞いて、虚心坦懐にやりましょうよということをご提案。
 委員としての発言は、以上の通りです。
 続きまして、今のご提案について何かコメント等ございましたら。

【橋本委員】 ちょっと気になりますのは、先ほど密放流はないと断定されています。この前もお話しましたように、まさに愉快犯もいるでしょうし、恨みの人間もいるでしょうし、そこはいろいろな形があって、多分今の話では、もう日釣振関係はないと断言されているのでしょうけれども、そうかもしれませんけれども、そこは前提として密放流はあるということは私ども先ほど述べたようなことです。私も頭が悪くてよくわからないのですけれども、要するに結論がよくわからないのですけれども、今の、一方で協力しますと言いながら一方で選定しないでくださいというような、そこがよくわからないので、皆さんはおわかりになるのかわかりませんけれども、私は、理解できません。やはり私どもは、前にお話しましたように、すみ分けができないというのは、結局こういう仕組みがないからできないということで主張してきたのですけれども、今度仕組みができましたので、それはすみ分けと言ったらおかしいですけれども、少なくとも適正な管理はできるという前提なので、ちょっとおっしゃっていることがよくわからないので、正直なところ、私だけがわからないのかもしれませんが。

【多紀座長】 それで來田さん、ということは指定されたら何が困るのか、どう困るのかということに当然なってくるのだろうと思いますので、その辺についてぜひご意見を、コメントをお願いいたします。

【來田委員】 本来は、そこのところだろうと思うのです。それで私は単なる釣り人ですから、わかりやすい言葉で話をしますと、ともかく今までオオクチバスについてルールがなかった。ルールがないままにやたら広がってしまった。これは困ると。では何かのルールが必要でしょう。では何かのルールを定めるときに、全国一律にバスは飼ってはいけないとか、あるいはさまざまな形での制約管理が行われますけれども、じゃそのときに既におるバスはどうするのでしょうかと、これが今回の話の本題だと思うのです。
 それでそこに入る前の前段として、こういうふうに皆さんの合意事項を確認しておるわけで、その点からいけば皆さん全く同意見だと。それで特定に指定されたら困るということを私が申し上げているのはまさにその部分でして、じゃあ特定した場合にどういうふうな管理体制が組み上げられるのだろうかと、その具体案をお聞かせいただけますと、それに対して、それは困りますよとか、こうした方がいいのではないですかという話ができる。ですから釣り人としては、こういうふうに基本的には考えておるのです。内水面の管理というのは、まことに大変なことですけれども、ずっと50年間漁業組合さんにお願いしてきたわけです。周辺の環境も含めて。環境という言葉が妥当であるかどうか。それでその状態の中で私どもが認識しておりますのは、内水面の漁業組合さんでバスの害による漁業権魚種の被害の問題よりも、むしろ現在の漁業権魚種というのが大変危機的な状態にある。それで我々釣り人としては、相棒である漁業組合さんが疲弊されたら困るわけです。一緒になって元気に川や湖を管理していただかないといかん。それのお手伝いをしましょう。漁業組合さんのお手伝いをしますということならば、日本中の釣り人は大喜びで賛成すると思うのです。それで、そうしたときにノーと言われたら非常に困る。将来的に、今ノーと言っていらっしゃるわけではない。ノーと言われなくて済む方法を我々考えていきたい。 そうすると、そこで浮かび上がるのは、オオクチバスについても、やはりこの特定がなされた場合でも内水面の組合さんが管理されるのだろうなということを想定する。 そうすると結果として漁業権魚種というものが存在して、そこで在来魚種がおって、在来魚種は漁業権魚種に相当しないわけです。これまで管理してこられたのは漁業権魚種だけであった。だけとは言いません。もちろん周辺を含めて随分ご尽力はいただいておりますから、だけとは申しませんけれども、では現在の状態で指定した場合にそういう管理がこれから果たして可能なのかと、我々がお手伝いできる方がいいのではないかと思う。地元の意志で全部で寄ってたかって管理していくしかない。ではそれには今のところ各地元でいろいろな意見が出ております。これを画一的にイエス、ノーを決めるのではなくて、地域ごとの発言というものに耳を傾けられるような体制というものを考えていただきたい。 だからいきなり指定するというのはちょっと時期的に早いのではないかと。もっと議論が必要でしょうし、地元の意見というものを今まで吸い上げてきていないのではないかと。漁業組合さんの会だけではなくて、地元の釣り人を含めた意見というのをもう少し聞いていただいたらいい管理方法が生まれるんじゃないかなと思っております。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 こちらからちょっと伺いたいのですけれども、その前に先ほどもおっしゃっているように、指定された場合にどこがどうなるのか。その辺、私も法律が素人でなかなか読み込めないので、それから実際の一般の釣り師の中にはかなり、又聞きのインフォメーションが多くて、正確な情報というのは伝わっていないわけです。そういう意味でお役所の方も、私の方も、団体の方も大いに正確な情報を流さなくてはいけないという役目があるのですけれども、その意味も兼ねて、一度、今度の法律の中身を復習の意味でもってちょっと事務局に説明をしていただきたいと思うのですが、よろしくどうぞお願いいたします。

【環境省 上杉企画官】 それでは法律で指定された場合に具体的にどうなるのかということについて、簡単に説明したいと思います。
 基本的には大きく2つのことが法律上の管理の対象になるということでありまして、1つは種を飼養、栽培、保管、運搬と言っておりますけれども、こういう行為が規制をされると。この中にはいわゆる釣りをされる捕獲というのは入っていませんので、釣り自体は規制をされない形になっています。そういう意味では売買、例えば流通そのものが規制をされるということになりますし、それから許可を持っていないと輸入ができなくなるということで、輸入も制限がかかる。そういうことになっています。それからそういう飼養等をしている特定外来生物については、野外への遺棄の禁止ということがかかるわけですが、この場合も捕獲してすぐに放すような行為は、実は法律上では対象外になっておりますので、いわゆるキャッチアンドリリースも法律上は対象外になっているという形になっています。
 これは規制の中身です。そういう意味で個別の個人の方が家で飼うとかというのは規制されますし、ある湖から湖に持っていく、これも規制をされると、ただし個々の湖で釣って放すということだけについては、それは規制の対象外ということになります。これが規制の方の中身ということになります。
 もう1つが防除という言い方をしておりますけれども、既にそこに存在している特定外来生物をどう扱っていくのかということになっています。これは基本的に必要があれば、国として防除の公示をしまして、必要なところで防除を実施していくという構造になっています。その際さらに地方自治体ですとか、あるいはそのほか民間の団体の方も、国で考えている防除の方向に沿っていれば確認や認定を受けて、同じように防除に参画できるという仕組みにしています。これは全国一律に強制的にやるということではありませんで、地域の必要性を見ながら優先度、緊急度というのを加味しながら実施をしていくということにされております。 具体的に見ますと、例えばこれは環境省の方で考えてみますと、もう既に閣議決定されている基本方針の中に書いているわけですけれども、例えば保護を図るべき地域ですとか、保護の対象にすべきような種類の生物がいるような場所、こういうところが環境省としては優先順位が高いというふうに考えていまして、そういう場所については関係者の当然いろいろな意見を聞きながら、防除の計画をつくって実施をしていくということが考えられると思っています。 そういう意味で今既にいろいろ存在している水域ということを見ますと、かなり地域の事情といいましょうか、その場所の事情に応じて具体的な防除のやり方を考えていくと、その際には当然関係者の方といろいろ意見を聞きながら進めるのが必要ではないかというように思っています。 法律上の枠組みとしては、大きくそういう規制ということと、それから防除をどう進めるか、これはあくまでも法律の目的は被害を防止する、例えば先ほどから出ています生物多様性上のいろいろな意味で被害が生じるわけでありますので、そういうことを防止するために必要な措置ということで、1つは野外に新に拡散をしないためのルールをちゃんとつくっていくということと、既に被害が生じているところでは防除をやっていきましょうという大きく2つの点が法律上の中身になっております。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 よろしゅうございますか。あと、何か。

【來田委員】 私が申し上げたかったのは、肝心なところは、この法律で全体にかぶせてしまうことで、逆に今までルールがなかったわけですから、無秩序が逆に広がるのではないかというおそれ、この方が大変怖かったわけなのです。ですからある程度従来の漁業の形態と類似したような形で、内水面漁業が行われてきたような形での整理整頓というか秩序というふうなものがつくれれば、皆さんはそれには従うわけですし、だから防除しようということで呼びかけたら、その部分は防除しよう。それから従来の内水面漁業で4湖既にあります。これについてはほぼ、きちんとした形で管理が行われていると思うのです。だからそういうふうな管理のできる場所を幾つか用意していただくことで、皆自然に釣り上げた魚を、例えばそこへ持っていこうねとか、という気運が醸成できると思うのです。それは手法の問題ですからまた改めて言いますが、一番心配しておるのは、かえって逆に無秩序になりはせぬかということを心配しております。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 では、水口さん。

【水口委員】 今の法のご説明のことと、何人かの方が、これが指定されると密放流が防げるというようなこととの関連で、確認なのですけれども、具体的には第9条で放つことを禁止しているわけです。そして32条の4項で第7条または第9条の規定に違反したものは3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またこれを併科する。ということの期待のもとに密放流がなくなるということだと思うのですけれども、具体的にはそういう考え方でよろしいのですか。抑止力としては。

【上杉企画官】 はい。密放流という行為と言いましょうか、そもそも入れてはいけないところに入れるという行為については、この法律上で言いますと例えばそこを運搬をしている、あるいはだれかが買っているということで言いますと譲渡がかかってくる。いろいろな形で法律上違反する可能性が高い行為になりますので、そういうものについては当然摘発の対象になります。その場合には今回の法律で言いますと今ご紹介いただいたような罰則規定が適用される可能性があるということです。

【水口委員】 現在もいろいろな内水面の漁業調整規則とか、いろいろな形で、もう少し軽い量刑のものがあるわけで、ある意味ではより厳しくして、ある意味では屋上屋を重ねるという、今あるのでは有効ではないから、もっと重くしようというふうな期待で密放流がなくなるということを指定すれば起こるのではないかということで、むしろそれは密放流がなくなることを指定することに期待している方の意見を聞きたいのですけれども、そこら辺のところがよくわからないので、法律的には今のとおりだと思うのですけれども。屋上屋を重ねてより厳しい法律をつくれば密放流はなくなるということだと思いますけれども、それでよろしいのでしょうか。

【多紀座長】 密放流のところだけ、罰金だけ取り上げればそうだけれども、じゃなくて全体としての枠でもってやっているわけで、だからそこだけで罰金だけ増やして…。そうか、私が言ってはいけないのか、また。ごめんなさい。

【上杉企画官】 罰則が強くなるだけではありませんで、例えば漁業調整規則で対象にしているのは、いわゆる公有水面と言いましょうか、普通のため池等で対象になっていないところも当然あります。今回はあらゆるところが水域として対象になるというのが1点あると思います。それから先ほど言いましたように譲渡譲受、売買に係るところも当然規制の対象になっています。つまり根っこのところです。そこも対象になっている。それから海外から入ってくるもの、輸入自体も規制の対象になっているということで、そういう意味では、漁業調整規則とは規制の中身もかなり違っているということになると思います。

【多紀座長】 すみません、今日ここは後の会議が控えておりまして12時5分にはあけなければならないので、細谷さんまだ大丈夫です。ですから、どうぞまだこちらご発言願っていないので、お2人でも3人でもよろしくお願いいたします。

【細谷委員】 5分しかないそうですが確認事項です。特定外来生物にかかわる禁止事項というのはとにかく3つ柱があって、それぞれ飼養の禁止、輸入の禁止、及び譲り渡しの禁止です。その罰則として300万円以下の罰金があると。もっときついのは学術目的などを偽って国の許可を得て飼養などをした場合には、1億円以下の罰金刑であるということで、なかなか厳しいとは思います。しかし、バス釣りをするにしてもそれぞれの3つにおいては今までどおりであるように思いますし、日本釣振興会であれ、全釣協であれ、とにかく歩み寄りがあるという点では評価できると思っております。 確かに、高宮さんも言われていましたが、特定外来種に指定されると釣り人の協力を得られないことが危惧されます。しかし、やはりここで得るべきは方向性であるということ、これは明確にしておく必要があると思います。私自身その方向性というのは、まさに指定そのものであると考えております。先ほど事務局から今後の展開について説明がありましたが、方向性の確認なくして防除の対策について論議しているのが歯がゆいなと考えています。 ここでお伺いしたいのですが、釣り人の協力が得られないということですが、全釣協と日本釣振興会は全員がバス釣り師だけから構成されるのか、お伺いしたいのですが在来種を対象とした釣り人の意見が全然聞こえてこない。

【多紀座長】 それでは高宮さん。

【高宮委員】 それでは今のご質問と、それと関するようなお話を少しさせていだだきたいと思います。
 細谷先生のただいまのバス釣り以外の人たちの意見はどうかということですが、これは先ほど冒頭で申し上げましたように、このオオクチバスを特定に選定されるべきかどうかというのをバス釣り以外の人たちにも数多く、このときに聞いております。それで、97.5%の人達がやはり選定されるべきではないというような意見が出ておりますので、今の段階では、これは特定外来生物法というのができた、これによってバス釣りだけでなはなく釣り人全体からも非常に大きな危機感を持っているようです。しかし同時に、やはり今のままで単に釣りを楽しんでいるだけではだめですねと、もっといろいろなことを奥深く考えていかなければいけない。これは当会からの提案の中に書いてありますが、そういうようなことと、それとともに、もっと具体的に釣り人としてできることを、この外来魚問題に対してもやろうではないかというようなことが、バスをする人だけではなくて、もちろんいろいろな人たちから意見が出ています。ですからそういうことに対しては非常に前向きな、今まで無関心であった人、あるいはこれぐらいでいいじゃないかと思っていた人たちが、そうではないねと、それだけでは済まないですよというような流れに変わってきたということです。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 それでは來田さん。一言でお願いします。

【來田委員】 いろいろな種類の釣り人の団体です。ですからバスオンリーではありません。

【多紀座長】 では中井委員。

【中井委員】 今のお話ですが、単に指定されることについてどうかと聞かれれば、されない方がいいと答えられるのは当然だと思います。今日いろいろなご提案をいただいている中で、特に日釣振さんの方は、選定されるかされないかにかかわらず、提案の内容を進めたいとおっしゃっていただいていることは、非常にうれしく思います。全釣協さんと日釣振さんの両方の意見を聞いて感じたのが、少なくとも今、細谷さんがおっしゃった管理の方向性について、団体としては何らかの形でしっかり管理していく必要性があると認識されているのだと理解しました。しかし、末端と表現すると申し訳ありませんが、1人1人の個々の釣り人の心情が、なかなか理解するほうに向いてくれないことにお困りのようだと聞こえて仕方がありません。普及・啓発にも時間をかける必要があるということなのでしょうが、釣りに関係された団体さんはどういう対応を考えておられるのか。一定以上の危険があるとされる生物として、ある種の危険物として適切に扱う必要性が強く求められるにもかかわらず、もし指定されないとすれば、これでバスはもう影響ないのだ、無罪放免なのだというような、誤解を生みかねないという弊害もあるでしょう。これは最近でもかなり厳しい報道がありましたが、外来種に対していろいろ抑制をかけていく方向で世論が形成されつつある中で、オオクチバスの指定を外す方向に変な力が働いているとの疑いが生まれることで、より一層の対立が生まれてしまう弊害を、私自身はすごく気にしております。こうした側面についてもお考えいただければと思います。

【多紀座長】 ありがとうございます。
 瀬能さん一言。

【瀬能委員】 では、一言だけ。オオクチバスの影響も大きいのですが、やはり拡散が人為的に行われているということが、やはりこれはあらゆる状況証拠から見て疑いようのないことだというふうに考えています。今回のため池のアンケート調査の中でも、かなり具体的な事例も、目撃事例とかそういったものがあります。それで実際今ここにお配りはしませんでしたけれども、事例集みたいなものも取りまとめておりますので、これを言ってみれば公開してしまうのは本意ではありませんので、そういう実情があるということを、言ってみれば認めて、より先の防除等、建設的な議論に進めていただければなと考えます。
 以上です。

【多紀座長】 ありがとうございました。丸山さん。最後まとめてください。

【丸山委員】 はい。隔靴掻痒というか、何か接点が見えてきそうで何となく、なるのですけれども、私自身業界の方、それもかなり大手の企業の方と何人も個人的にお話したことがあるのですけれども、つくづく感じますのは、業界の方が意外とこの問題の深刻さを認識しておられない。どの程度、どういう形で業界の内部にこのバス問題に関する情報が配られているのかと。例えば今度のこのアンケートを各企業や団体あてにされましたけれども、そのときにどういう資料をつけてやっておられたのか。それで全然状況が変わると思うのです。私自身はっきり申し上げまして、嫌なことというのは皆お互いに嫌ですから、こっちもバスの影響がないような水域は余り調査したくないという気はあります。しかしやはり公的な機関、代表する機関としてやられる場合には、やはりその辺もきちんとやられないと、恐らくもっと混乱を増していくのではないかという気がします。できるだけこういう情報も正確に、それから釣り雑誌だけではなくて、それぞれの機関の広報、ホームページとかあると思いますから、なるべく詳しく皆さんに流していただきたいと、その上で本当の皆さんの意見を聞いていただきたいという気がします。
 本当を言いますと、來田さん、私も個人的に知っていてわかるのですけれども、來田さんはバス釣りをされないのですよね。だから当事者じゃないんだよね。当事者の入っている団体の代表だから、それはいいのですけれども、私自身やはり本当は、本当の代表というか、当事者に出ていただかないと、本当は気持ちはわからない、特に釣り人の気持ちというときには、それはわからないというような気がします。余計な一言ですけれども。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 時間がもう迫ってまいりまして、もっといろいろと議論をしたいのですけれども、次回に持ち越しということで、こちらの不手際もございますけれども、いたしたいと思います。
 その他というのは、事務局から1つだけお願いをしたいと。

【堀上補佐】 2点ほど。さっき細谷委員がおっしゃった罰則に関してちょっと誤解があるといけませんので、個人が行った場合には罰金300万ですが、法人が行った場合には1億ということでありますので、個人とちょっと分けていただけると。
 それから、一応委員の方々にいろいろとご日程を伺っておりますので、次回の委員会ですけれども、12月中の予定は皆さんかなり埋まってしまって難しいということでした。ですので1月7日で行いたいと思います。また事前に資料等をお願いすることもあるかもしれませんが、一応1月7日の予定でいただければというふうに思っております。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、まことに残念でございますけれども、第2回の小グループの会合は以上をもちまして閉会といたしたいと思います。
 どうも皆さん、ありがとうございました。