環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第3回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)議事録


1. 日時 平成17年5月27日(金)10:00~11:47
2. 場所 環境省第1会議室
3. 出席者  
   (座長) 多紀 保彦
   (委員) 北田 修一
細谷 和海
櫻井  博
              
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (水産庁) 丹羽生態系保全室長
4. 欠席者  
   (委員) 村田  修
5. 議事  
【環境省 長田専門官】 予定の時刻となりましたので、ただいまから特定外来生物等分類群専門家グループ会合の魚類の第3回会合を開催したいと存じます。
 本日、委員の先生方全員ご出席の予定でしたが、ちょっとけさ方、村田先生からご連絡がありまして、急遽、ご出席ができなくなったということでございました。ご紹介いたします。
 それから、事務局側の新しい出席者をご紹介したいと思います。
 まず、自然環境局の室長の中島でございます。

【環境省 中島室長】 中島です。よろしくお願いします。

【長田専門官】 それから、水産庁の生態系保全室長の丹羽室長でございます。

【水産庁 丹羽室長】 丹羽です。よろしくお願いします。

【長田専門官】 私、環境省の移入生物専門官の長田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、続いてお手元にお配りしました資料の方の確認をさせていただきたいと思います。資料、大変数が、種類が多くなっておりますけれども、順番に申し上げたいと思います。
 お配りした資料の一番上に議事次第がございます。議事次第の次が委員名簿、続きまして、資料一覧、これに基づいて順にご説明したいと思いますけども、まず、資料1として一枚紙の特定外来生物選定フロー(第二次)、資料2として特定外来生物等の第二次選定にあたっての基本的な考え方、資料3としまして、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順、資料4として横長の表ですけれども、第一次特定外来生物選定種及び要注意外来生物分類群別一覧表というのが1枚目になっている資料です。それから、資料5、一枚紙で外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(魚類)(案)、資料6も一枚紙です。今後の検討の進め方について(魚類)(案)、資料7も1枚で横長の表ですが、第二次選定の検討対象種一覧魚類(案)、それから、資料8としまして、一番厚い資料ですが、第二次選定の検討対象種に関する情報という種別の情報を記した資料でございます。
 残りは参考資料でございますけれども、参考資料の1が外来生物法の施行までのスケジュールです。参考資料の2は、今回の施行に合わせた未判定外来生物及び種類名証明書添付生物について。それから、参考資料の3は、第一次の特定外来生物指定対象になった種の評価の一覧でございます。参考資料の4は、現段階での要注意外来生物リストの魚類の資料でございます。それから、参考資料5は、これは第一次の特定外来生物の指定の際に行ったパブリックコメントに寄せられたご意見のうち、その指定の候補に上がっていた37種類以外についてコメントをいただいたものについて、ご参考までに抜き出してお配りさせていただきました。参考資料の6は、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づく特定外来生物等の選定に係る学識経験者からの意見聴取要領、参考資料の7は、本グループ会合の運営方針でございます。もし、資料に不足等ございましたら、事務局の方までおっしゃっていただければと思います。
 それでは、開会に当たりまして、野生生物課長の名執からごあいさつ申し上げます。

【環境省 名執課長】 おはようございます。野生生物課長の名執でございます。
 先生方におかれましては、大変お忙しいところ、特定外来生物の魚類の専門家グループ会合、これが第3回になりますけれども、ご出席いただきましてありがとうございます。
 また、先生方には、外来生物の問題を初めとしまして、野生生物行政に日ごろよりいろいろご助言、ご協力いただいていることをこの場をお借りして御礼申し上げたいと思います。
 この魚類グループでございますけれども、昨年の11月から1月にかけましてお集まりいただいて、特定外来生物の第一次指定についてご議論いただいたところでございます。魚類につきましてはコクチバス等3種、それから、オオクチバスについては、オオクチバスの小グループが設けられておりまして、この小グループの結論と、それから、魚類グループの各先生方のご意見というのがそのまま1月31日の全体専門家会合に報告されました。それで、全体専門家会合の結論といたしましては、オオクチバスについても第一次の指定が適当という結論になりまして、魚類4種を含む全体で37種類につきまして、2月から3月にかけまして1カ月間パブリックコメントが行われました。特に、オオクチバスについては、賛成、反対含めて相当数の意見が寄せられたわけでございますけれども、このパブリックコメントの結果につきまして4月5日に開催されました全体専門家会合で議論が行われまして、特に新しい知見、その37種類を指定するということを変更する必要があるような新しい知見は見出せなかったということで、37種類すべて指定することが適当という結論が得られて、4月22日に特定外来生物37種類を指定する政令が閣議決定されまして、この6月1日から施行と、法律自体が施行されるという状況になっております。この間の先生のご協力に改めて感謝申し上げたいと思います。
 きょうお集まりいただいたのは、第二次指定についてご議論いただくということで、第二次指定につきましては後ほどご説明いたしますけれども、4月5日に開催されました全体専門家会合で第二次指定についての考え方の議論が行われまして、これについて二次指定を進めていくということで、事務方の希望といたしましては、7月の下旬までには第二次指定候補が出るということを希望しているところでございます。先生方の忌憚のないご意見をお願いいたしましてあいさつさせていただきます。
 ありがとうございました。

【長田専門官】 それでは、本日の議事にこれより入らせていただきたいと思います。
 議事の進行につきましては、座長の多紀先生よろしくお願いいたします。

【多紀座長】 多紀でございます。以下座ったままでやらせていただきます。
 ただいま名執課長からお話しがありましたように、第一次の指定は魚類4種を含む37種で全体会合で決定をいたしまして、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、いわゆる外来生物法が6月1日に施行になります。
 本日の主な議題は第二次以降の特定外来生物等(魚類)の選定でございます。そこでまず全体会合で検討された選定の作業手順等につきまして事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

【環境省 中島室長】 それでは、ご説明をさせていただきたいと思います。
 資料の1をまずごらんいただきたいと思いますけれども、特定外来生物選定フロー(第二次)と書かれた紙でございます。今、名執課長からもご説明いたしましたように、4月5日の第3回全体専門家会合におきまして、第二次指定以降の進め方の確認がなされたところであります。それで、7月の下旬に第二次の特定外来生物の候補のリストを作成するということで、それまでに6月9日に全体専門家会合が一度ございます。その第4回の全体専門家会合の前と後に専門家グループ会合、分類群ごとのグループ会合を最低1回ずつ開催をしていくと。最初のグループ会合では、グループごとの選定方針あるいは対象生物の確認をしていくということでございまして、次回のグループ会合で特定外来生物候補の検討、未判定外来生物あるいは種類名添付生物の検討、あるいは要注意外来生物リストの整理をするといったようなことで、このときにほぼ案を固めるというような形で進めてまいりたいと思っております。
 なお、全体会合のときに分類群ごとのグループ会合でございますけれども、これにつきまして、若干、移動がございましたので、それをご紹介いたしますけれども、昆虫類と無脊椎動物の仕切りでございますが、陸生節足動物というふうに、昆虫類等の方をクモ、サソリを含めた陸生節足動物というふうなくくり方にして、無脊椎動物は主に水生のものを扱うというような仕切りに一部変更になっておりますのでご紹介をしたいと思います。
 なお、法律は6月1日に施行をするということで、現在、さまざまな準備を行っているところでございます。7月の下旬に特定外来生物候補が決まりましたら、その後、パブリックコメント、WTO通報をまた手続をいたしまして、最終的に政令で第二次の特定外来生物の決定がなされるのは11月か12月か、そのあたりになるだろうというふうに考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、資料2でございますけれども、4月5日の全体専門家会合におきまして、基本的な考え方というものを確認をいただきました。まず、1つ目が検討対象の考え方ということでございますが、一次選定におきましては、さまざま条件が整っている37種類を選定したということでございまして、二次選定におきましては、一次選定のときに要注意外来生物のリストと暫定版というものを整理をいたしました。これを主な検討対象として新たに知見が得られたもの、それから、IUCNでつくっております「世界の侵略的外来種ワースト100」等につきまして予防的観点から検討対象として取り上げていこうということでございます。
 それから、その下の○でございますけれども、他法令上の措置で外来生物法と同等程度の規制がなされているというふうに認められているものは選定の対象としないというふうに閣議決定の基本方針で定められておりますけれども、そのあたりが、若干、不明確なものがありますので、この法律で規制対象とする可能性がないかどうかというのを検討するというものが一部ございます。それから、セイヨウオオマルハナバチにつきましては、第二次選定の流れとはちょっと別に、年内程度を目途に指定についての検討作業を進めるということにしております。
 それから、2番目の検討方法でございますけれども、第二次選定作業におきましては、第一次の選定のときには文献主義といいますか、文献によって被害の知見がはっきり書かれているものというものを取り上げていったわけですけれども、第二次の方は専門家会合の討議によりまして生態系等への被害が確実と推定されるものについても、その生物学的な根拠を記述しながら、選定の検討に当たっての根拠として採用していこうというような考え方をとっております。
 なお、分類群ごとに「外来生物の特徴と選定に際しての留意点」という紙を一次のときにもつくっておりますけれども、これを改訂して、随時検討していきたいということでございます。
 続きまして、資料3でございますけれども、第一次の選定のときにもつくっております選定の作業手順というペーパーでございます。閣議決定されております基本方針、特定外来生物被害防止基本方針で基本的な部分が書いてございますが、さらにそれにもう少し注釈を加えているといいますか、細かい方針を書き加えたものという位置づけでございます。
 まず、この一次指定のときにつくったものですが、先ほどの基本的な考え方を踏まえて、若干、変更になった部分がありますので、それをご紹介したいと思います。
 まず、選定に関する基本的な事項の囲みの下の部分でございますけども、今回、第二次の選定の検討の母集団といいますか、検討のベースとなるものとして第一次のときに整理をいたしました要注意外来生物のリスト。それから、事務局があらかじめ専門家の方々にいろいろお話を伺う中で新たに知見が得られたもの。それと、世界の侵略的外来種ワースト100、IUCNがまとめたもの。それと、生態学会のワースト100もございます。それから、先ほど申し上げたほかの法律で規制されているものかどうかが明確でないものについても少し取り上げていきたいというようなことで、それらを今回の指定の検討対象としていこうということでございます。
 それから、被害の判定の考え方ですけれども、囲みは変わっておりませんが、その次のページ、2ページの一番上の部分で「在来生物の種の存続又は我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれ」というのをどういうふうに判定するかということで、これは、前回の資料でも4つこのようなものを掲げているわけですが、4番目のところに、後半ですね、全体会合で指摘がありましたので書き加えておりますが、在来生物の個体群の遺伝的構造を著しく変化させているというところを明記しております。人の生命、身体に係る被害、それから、農林水産業に係る被害のところにつきましては、特段の変化はございません。
 それから、次のページに被害の判定に活用する知見の考え方とありまして、国内の知見、国外の知見、両方活用していくというふうに書いてあるんですけれども、囲みの下の段落、3番目の段落に、「また」以下ですけれど、今後の検討対象が必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にない、あるいはその予防的観点を踏まえて、そういう文献に加えて、文献にまとめられていない情報の集積に努めると。それから、専門家へのヒアリング、分類群専門家グループ会合における意見、これらの科学的な知見を十分に活用していきたいというふうなことを記述しております。
 それから、その次の選定の際の考慮事項というところですけれども、囲みの下の部分のなお書きの部分ですが、今回、第二次の特定外来生物指定の対象としないものについては理由を明らかにして、その後また被害の判定に向けた情報収集・検討を継続していくという記述を書いております。
 続きまして、未判定外来生物あるいは種類名証明書添付不要生物につきましては、特段の変更はございません。これが資料3の選定の作業手順でございます。
 その選定の作業手順で、今回、第二次指定の検討の対象にする検討の母集団といいますか、ベースになるものといたしまして幾つか挙げましたけれども、それを資料4で表にしてまとめてございます。
 まず、1枚目の表が、上の部分は第一次の指定で特定外来生物になったものでありまして、網かけになっている真ん中の部分が要注意外来生物リスト(暫定版)の各個別の種名でございます。魚類につきましては、この中に29種類の種が入っております。その下は新たな知見が得られたものということでございますが、魚類についてはここにはございません。
 それから、次のページがIUCNのワースト100のリストでございまして、魚類につきましては、要注意外来生物リストに既に掲載されているものが幾つかありますが、それ以外のものはないということでございます。
 最後の紙は生態学会のワースト100のリストですけれども、これにつきましても、該当のものは一次で指定されているか、要注意外来生物リストの中に載っているということで、今回の我々が情報収集をして個表をつくっているものは、要注意外来生物リストの対象の29種類ということでございます。
 以上でございます。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 ただいま、これまでのどのような経過で第二次選定に至る検討がなされたかということのご説明でございました。第一次の選定のときに、余りにも硬直した文献主義はおかしいんじゃないかというようないろいろな意見が出まして、それらの見解を消化してここの文章に取り込んでくれたというふうに私は理解をしております。ただいまのご説明についてご質問、ご意見をお願いいたします。
 ここで一度復唱しますと、きょうが第1回の専門家グループの会合で、ここで大体の方向性ややり方を決めて、7月の中旬ぐらいまでに検討して第2回で委員会としての最終案を出すということでございます。
 では、櫻井委員、どうぞ。

【櫻井委員】 資料3の特定外来生物の囲みの下の2-1の関連というところがございますね。

【多紀座長】 1ページですね。

【櫻井委員】 はい、これの4行目なんですけれども、4行目の後ろの方に「流通の規制がない等」とありますけれども、これは流通の規制がない以外にどういうものを想定されているんでしょうか。実は、恐らくかなり不法、例えば昆虫なんかの例なんかでよくあると思うんですけれども、不法に入れられて、不法に入ってしまったものについては、個人でやりとりする分には全く規制対象外になってしまうようなものって結構あると思うんですけれども。魚でも熱帯魚なんかですとあり得る話だと思いますので、この規制がない等の「等」というところがどんなことを想定されているかというのをちょっとお伺いしたかったんですが。

【多紀座長】 はい、お願いします。

【中島室長】 ここで記述いたしておりますのは、特定外来生物被害防止基本方針の中で、特定外来生物の選定の対象にするものを規定をしている部分がありまして、その中にほかの法律で特定外来生物と同じような規制をかけて、もう既に措置されているものは対象にしないようにしようという記述がございます。幾つかの法律が念頭にありまして、その1つが植物防疫法であるわけなんですが、植物防疫法で同じような規制がもう既にされているものは、今回、特定外来生物選定の対象としないというふうに書いてありまして、仮にそういうふうなものであっても、植物防疫法の方は輸入の規制は非常にがっちりしているんですけれども、国内に入ってきた後につきましては、必ずしも同様の規制というふうに言えるかどうかというところが、若干、わからない部分がありまして、そういったものを今回、こちらの方で対象になるかどうかを検討していきたいということでございます。念頭にありますのは植物防疫法等ということでございます。

【多紀座長】 よろしいですか。
 じゃあ、細谷委員、どうぞ。

【細谷委員】 第二次選定に当たってぜひとも確認しておきたいことがございます。それは、第一次選定の際の反省点といいますか、守られなかったことに対する私からのリクエストでございます。それは資料3、そこの3ページでございますが、囲みの3番目、矢印で3ページが消えていますけれども、第3番目、第2-2の関連の囲みの3、選定の際の考慮事項というところでございますけれども、そこのスタンスとして、「原則として生態系に係る被害の防止を第一義に、外来生物の生態的特性や」とございますけれども、生態系等に係る被害の防止を第一義ということと、そして、そのくだりの一番最後のところでございますけれども、「特定外来生物の指定に伴う社会的・経済的影響も考慮し、随時選定していくもの」と。この辺のバランスのぐあいが第一次選定においてほとんど無視されていたという経緯がございますので、第二次選定に当たってはぜひとも遵守していただきたいというふうに考えております。

【多紀座長】 何かコメントありますか。

【中島室長】 基本方針に書いてありますとおり、生態系等に係る被害の防止を第一義に、社会的・経済的な影響も考慮しながら随時選定するということで、優先度というか、重みというか、そのことはこの基本方針に書かれているとおりというふうに考えております。第二次指定についてはしっかりやっていきたいと思います。

【多紀座長】 よろしいですか。
 ほかに何かコメントございますか。

(なし)

【多紀座長】 では、これは全体のことですので、魚類グループの選定においてはどういうスタンスで、どういうことに留意しながら、どういう基準で選定をしていくかということのご説明をお願いしたいんですけども、まず、問題がいろいろありますので、資料5と6について、選定の基準といいますか、そちらの方からご説明をお願いしたいと思います。

【中島室長】 それでは、まず資料5の方でございます。外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(魚類)(案)ということで、これまで事務局の方で情報整理をして、魚類の現在、日本でのいろんな使われ方ですとか、あるいは魚類の特性でどんな影響が出やすいのかといったようなことを主に事実関係の整理というような形でまとめた紙でございます。
 まず、導入形態・利用形態でございますけれども、最初の○です。食用や釣りの対象として、養殖や開放水面への放流が行われてきており、これまでに、90種以上の外来魚類が我が国に導入されたとの記録があるが、そのうち現在利用されているのは数十種程度と考えられる。
 次の○でございます。利用されている外来魚類には漁業権が設定されているものと、設定されていないものがあり、その利用量、流通量、利用者の数や形態はさまざまである。利用の形態としては、生けす内での養殖、開放水面の一部を区画しての養殖、開放水面への放流、人工釣り堀への放流などがございます。
 次の○ですが、近年は、水族館のみならず家庭内でも観賞用の水槽の中で外来魚類が飼育されております。その種類は年々多様化しておるということでございまして、我が国に持ち込まれています観賞用の外来魚類の種類、飼育状況は正確な把握はちょっと困難でございますが、数千を超える多様な種が観賞用として流通していると。それから、グッピー等の特定の種については大量に流通して、極めて多くの飼育者がいるという現状でございます。
 最後の○ですけれども、放流、逸出、遺棄等で導入されて、我が国で自然繁殖している外来魚類はこれまでに約30種類が知られております。
 (2)の生物学的特性と被害に関する知見でございます。最初の○、国内外を問わず、魚食性淡水魚の導入により在来生物相が甚大な被害を受けた事例があり、我が国に広く定着し得る温帯域の魚食性淡水魚については在来生物相への影響が大きいと考えられます。
 次の○、タナゴ類、イワナ類などについては、交雑による遺伝的攪乱や産卵場所をめぐる競合が確認をされております。
 それから、次の○は、水温への適応性や繁殖生態等の特性から、我が国では限られた水域でしか定着できないものがあります。
 次の○は、亜熱帯域である沖縄には多くの観賞用熱帯魚が定着しております。あるいはその定着の可能性がありますが、定着によって在来生物相に与える影響は種によって異なると考えられます。
 最後の○は、観賞用として、在来種と近縁の大陸産淡水魚が流通しておりますけれども、在来種と大陸産の類似種の分類学上の関係について、知見が十分でないものがあるという現状でございます。
 関係する他の法令でございますけれども、漁業法に基づきまして漁業権が設定されて、漁業の対象魚類として利用されている場合があります。
 最後に、規制により期待される効果というところですが、水槽における飼育個体は、規制により逸出防止の徹底を図ることは比較的容易であります。
 それから、魚食性の強い外来魚については、規制により未定着の水域への放流の防止を図ることが生態系等への被害の防止の観点から極めて効果的であるというふうにまとめております。
 続きまして、資料6でございます。資料6につきましては、今の留意点を踏まえまして、これから第二次選定を進めていくに当たって我々の方が考えていく考え方につきまして、先ほど座長から基準という言葉が出ましたけれども、ちょっとまだ基準というところまではいってないというふうに我々認識しておりまして、当面、こういった項目を着目点として情報を整理していきたいというような程度で考えていただきたいと思います。
 それでは、読んでいきたいと思います。「第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順」に基づいて、検討対象の生物について、例えば次の特性、下に書いてある箇条書きのものですが、次の特性やその組み合わせに着目して知見と情報の整理を進め、生態系等に係る被害を及ぼし、または及ぼすおそれがあると判断されるものについて選定するものとする。その際、文献による知見が不足していると思われるものについては、下記の特性に関する文献以外の情報の蓄積に努め、これらの情報をもとに、専門家会合における判断が可能かどうか検討する。
 それから、海外で被害をもたらしているものについては、海外での被害の内容を確認し、次の特性等に着目して我が国に定着して被害を及ぼすおそれについて検討するということにしています。
 なお、漁業権が設定されている外来魚類につきましては、漁業権の免許状況、利用形態に応じた管理の容易さ、代替性等を踏まえつつ、慎重に検討を行うというふうにしております。
 最後に、特定の水域でしか繁殖できず、当該水域での被害の実態が不明確なもの、あるいは全国的に多数の飼養者がある一方で被害のおそれのある地域が限定的なもの。それと、直ちに規制に行うと大量に遺棄が生じ、かえって生態系等への被害が生じかねないものについては、今回は対象にしないという考えでやっていきたいというふうに考えております。
 箇条書きの特性、我々として着目していくべき特性でありますけども、まず、在来生物に対する捕食能力が高いこと。魚食性が強いなど、食物連鎖の上位段階の影響が大きいこと。在来生物と比べ繁殖能力が高いこと。分布拡大能力にすぐれていること。環境への適応能力が高いこと。野外に遺棄されやすい性質、例えば、観賞の対象として利用されて、かつ大型化することとか寿命が長いということを有している。それから、野外に意図的に放流されやすい性質、例えば釣りの対象として利用されるなどを有していること。在来生物と交雑を起こす可能性が高いこと。大量に流通・飼養されていること。これらの特性を着目点として情報を整理していきたいというふうに考えております。
 以上が資料5と6の説明でございます。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 まだ基準にまでは至ってないということで、どういう点に留意して、どういう立場からということで検討ということでございます。
 最初に私の方からお伺いしたいんですけれども、資料5の1.の(2)の一番下の○で、「観賞用として、近縁種が流通しているが、在来種と大陸産の類似種の分類学上の関係について、知見が十分でないものがある」とありますが、確かにそのとおりです。このような、学名で表記すると属名にsp.を付けるようなものの実際的な処置はどうなるんですか。初めに先走った質問なんですけども伺っておきたいと思います。

【中島室長】 法律によりますと、特定外来生物なり未判定外来生物等の指定につきましては、政令なりで決定した後に官報で告示をするということにしているんですけれども、その決定の正式文書として、学名を用いてそれを表示するというような形になっております。
 ですから種が、種名が確定していないようなものについては、今回の法律による特定外来生物の選定の対象にはちょっとしづらいということでございます。ただ、1つの属すべてを全部特定外来生物にするというような措置をもしするべきだということであれば、その属が明快になっていればいいというような形になっております。

【多紀座長】 以前にもあった議論の蒸し返しはしたくないんですが、法律では学名を人間の本籍(本名)のようなものと考えている。そしてそれを片仮名で表記しているが、片仮名書きは学名ではないということを知りつつ法律上それを学名と言っているんだということですね。
 ほかにどうぞ。

【細谷委員】 後で具体的な作業に入ってくると思いますけれども、タイリクスズキと、現在、学名がついていないものは対象にならないという、この文面に限りではそうなりますし、さきのこの会を進めるに当たってのスタンスとして予防的な視点が十分に考慮されるということを考えますと、その辺に矛盾点が出てくるんじゃないのかなという感じがいたします。
 ですから、これは何とか運用で、例えば和名をもって1つの対象にするとか、その辺は考えないとなかなか先に進まないんじゃないかなという感じはするんですが。

【長田専門官】 学名がついていないというのは、その法の実効性の観点から実際には非常に重要になってまいりまして、最も基本的な規制の1つが輸入の規制になるわけですけれども、輸入の規制をするときに、当然ながら相手国にどの種が規制の対象になるかということについて通報をしなければなりませんので、和名では相手国側で種を特定することができないということになります。学名上のいろんな問題も当然ございますが、少なくとも学名で相手国にどの生物が対象になっているかということをはっきりと示すところまでは少なくとも我が国側の義務というふうに認識しておりますので、先ほどの属名、属まとめて影響が大きいということで規制をするというようなことは一般論としては当然あり得ると思いますけれども。

【細谷委員】 一般論としてはよくわかるわけで、実態がわからない、学名がなければ実態をとらえようがないということは私も承知しております。ただ、タイリクスズキについては、たとえ種称名にラテン名がついていなくても明確な、しかもそれが英文によって特定できる状況にございますので、例えば具体的に例を挙げますと、東海大出版会の中坊徹次先生がまとめられた英語版、これで十分に特定ができますので、その辺は相手国に対して十分に説明はつくと思います。したがって、学名がなくても予防的な原理、現実的に我が国に与える被害が目の前に予想されるような状況については、やはり学名がなくても何らかの形で対応できる以上はぜひとも運用していただきたいなというふうに感じています。

【多紀座長】 じゃあ、それに続いて、櫻井委員から。

【櫻井委員】 それに関連してなんですけれども、例えば、1つの種が実は2種含まれていた場合なんかは、当面の間、いわゆる記載という行為がされる間は片方は未記載種になっちゃうんですね。例えば、これ、極端な話ですけど、例えば、今、ラージマウスバスが例えば2種含まれていると。それで、じゃあ、例えば学名の方が、1つの方のグループは学名が未決定だとすると、今回、その時点で対象から外れちゃうことになるんですね、これ。ですから、種として記載という行為はされていませんけれども、十分にそのグループが認識されているようなものについては、学名がついているのと同じような扱いに、それが先生がさっきおっしゃられた和名はついているけど未記載になっている、当然ありますので、そういうものをうまく実際に即したような格好で運用できるような形に決めておかないと、後で大変なことになると思います。

【多紀座長】 すみません、ちょっと追加させてください。今の私たちの議論は、ある特定の魚を入れたいから言っているんじゃないんです。分類というのは意見です。万国統一の分類判定委員会なんていうのがあるのではなくて、例えば多紀はこれを2種とする、細谷は3種とするというような見解の相違があるのが分類学なんです。魚類のようにこれからまだまだ分類が変遷する可能性のあるグループでは大きな問題です。人間の戸籍のように産まれて区役所に届ければもう済むという話ではないわけなんです。その辺を留意していただいて、今すぐは無理としても、あるもののアイデンティティをはっきり示すことが出きるような措置が欲しい、というのが委員の方の希望なわけです。

【長田専門官】 座長のおっしゃるとおりで、ちょっと説明が不十分だったかと思うんですけれども、学名がついていないものは検討の俎上に上げないということではございませんで、学名がついていないと、実際に指定をしたり、法の執行をしていく際に技術的な問題があり得るということを申し上げたまででして、個別に生態系に係る被害があるかどうかということについては、この委員会で十分にご検討いただくべきものだというふうに考えております。

【多紀座長】 はい、わかりました。

【櫻井委員】 いいですか。

【多紀座長】 どうぞどうぞ。

【櫻井委員】 違う点でもよろしいですか。

【多紀座長】 結構です。

【櫻井委員】 資料6なんですが、資料6の下に今後の検討の進め方についての、下の方に○があります6個目で、野外に遺棄されやすい性質の中に、簡単に繁殖するというのを入れといていただいた方がいいんじゃないかと思うんですが。飼育繁殖が非常に安易にできるものについては、非常にふやしちゃった後、処理に困って放流される危険がありますので。

【多紀座長】 お願いします。

【中島室長】 わかりました。それを追加したいと思います。

【多紀座長】 ほかに何かコメント、ご質問ございませんか。

(なし)

【多紀座長】 それでは、引き続きまして、今度は資料の7と8に基づきまして、どのような情報に基づいて何をどう選ぶかということについてご説明をお願いしたいと思います。

【中島室長】 それでは、資料7、横長の表でございます。それと、資料8について説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料8の方ですけれども、これが先ほど要注意外来生物リスト(暫定版)に掲載されております29種類のそれぞれの種ごとに定着実績であるとか、あるいはその被害に関する現状、それから、その要因といった情報を整理した個表と我々呼んでいるものでございます。これをすべて整理をした上で、それに基づいて、現在、事務局の方で、当面、今後、第二次で特定外来生物の選定作業が必要と考えられるもの、それから、被害に係る知見は一定程度あるんですけれども、今後、引き続き指定の適否について検討していく必要があると。第二次では選定せずにということですが、そういったもの。それから、被害に係る知見がまだ十分でない、あるいは被害が特定に掲載するほど大きいというふうに今のところ言えないというようなものについては、これまでの要注意外来生物リストと同じというような形でさらに知見の収集をうまく図っていくという、この3つのグループに分けて整理をしております。
 まず、第二次の特定外来生物の選定作業が必要というふうに考えられるものといたしましてはカダヤシ、ケツギョ、コウライケツギョ、ストライプトバス、ホワイトバス、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、マーレーコッド、ゴールデンパーチ、ノーザンパイク、マスキーパイク、この11種でございます。
 それから、被害に係る一定の知見はありますけれども、まだそれが一部十分でないと、あるいは規制によっていろんな問題が生じるといったようなことを含んでさまざまな理由がありますけれども、引き続き、今回は対象とせずに今後もその検討をしていくというものの中にタイリクバラタナゴ、ニジマス、ブラウントラウト、カワマス、グッピー、この5種を入れております。
 それから、それ以外の知見がまだ十分でない、あるいは特定に指定するほどの被害というふうに言えないんではないかというふうに我々が考えたものとしてソウギョ、アオウオ、オオタナゴ、ナイルパーチ、タイリクスズキ、ナイルテラピア、カワスズメ、カムルチー、タイワンドジョウ、コウタイ、ヨーロッパナマズ、ウォーキングキャットフィッシュ、マダラロリカリア、この種類を入れております。
 続きまして、資料8に基づきまして、それぞれの種の現在の被害の知見に関する情報を、ちょっと種類が魚類の場合は植物に次いで多いもんですから、たくさんございますけれども、ちょっとはしょりながら説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目、カダヤシでございます。原産地は北アメリカで、日本にはかなり古く導入されておりまして、蚊のボウフラの退治のためにどんどん広がって、放流されて広がっているということで、かなり定着をしております。それで、冬の低水温にも耐えるということで、汚濁にも強いと。それから、特別な産卵場所を必要としないというような特性も持っておりまして、主に都市近郊の水田、用水路等に定着しております。今後も都市化に伴って分布を拡大するおそれがあると。それから、沖縄県の河川、水路などでは、カダヤシがメダカに置きかわるという事例が報告されております。被害をもたらす要因といたしましては、まず、比較的汚濁に強いというようなことだとか、海水のまじっているようなところにも見られると。それから、雑食性であるといったようなことがあります。それから、水槽の中の実験によりますとカダヤシがメダカの尾びれを食いちぎったり、あるいは小魚を食べるというようなことが見られており、メダカと競合して駆逐されるということが示されております。利用面の要因ですけれども、蚊の幼虫のボウフラ退治に利用されていまして、各地で放流されていますが、現在は利用実態は不明でございます。それから、世界各地でカナダ、東南アジアなどでも導入されておりまして、現在では熱帯から温帯に広く分布していると。IUCNの世界の侵略的外来種ワースト100にも選定をされております。なお、沖縄におきましては、カダヤシが減って、それがグッピーに入れかわっているという、そういう現状が見られるということでございます。
 めくっていただきまして、3ページ、ケツギョでございます。原産地はアムール川水系、中国ということで、日本での定着実績というものは今のところないと考えられております。被害の実態ですけれども、冬の低水温にも耐えることが可能、日本にも定着できる可能性が高いということと。大型になるスズキ亜目の魚食性淡水魚であると。強い捕食圧で直接あるいは間接的に在来生物群集に影響を及ぼすおそれがあるということです。その要因ですけれども、魚食性であると、甲殻類も捕食するということで、小さな仔魚もほかの魚の仔魚を食べると。動物プランクトンを捕食せずに魚を最初から食べているというようなことであります。それから、産卵数も非常に多いというようなことであります。社会的な要因といたしましては観賞魚として流通しているという現状がございます。国内には同属種、あるいは類似種というものはないということです。それから、中華食材として用いられるということでありますが、このあたりの情報は今のところちょっと不明ということであります。
 続きまして、コウライケツギョであります。これにつきましても、同じように定着実績はないと考えられております。ケツギョと同じように日本に定着できる可能性があって、魚食性の淡水魚であると。ケツギョと同じような影響が可能性としてあるということであります。生物学的要因等につきましてもケツギョと同様であります。それから、大きさはケツギョよりも小さいかもしれませんけれども、最大で30センチほどになるということで、淡水魚としては大きい方に属するということでございます。
 続きまして、7ページ、ストライプトバスですが、北アメリカ原産で、何回かに分けて導入が試みられていますけれども定着をしていないということですが、最近、東京湾あるいは霞ヶ浦で採捕されているということですが、定着をしているかどうかというところについてはまだよくわかっていないということです。これにつきましても大型になるスズキ亜目の魚食性魚類であるということで、カリフォルニアでは駆除が行われていると。それから、日本での定着の可能性が想定されるということであります。これも非常に大きくなる大型の上位捕食者であって、主に魚類と甲殻類を食べていると。それから、塩分への耐性も広くて、淡水域から海域まで生息できるということでございます。日本には同じような、同じ属に関する種は生息していないということでありまして、釣りの対象として人気があるということで、日本でも一部の管理釣り場の中で利用されているという状況でございます。
 それから、9ページ、ホワイトバスですけれども、これも定着実績はないと考えております。先ほどのものと同様に大型になるスズキ亜目の魚食性淡水魚ということで、導入された場合に日本の在来生物相に影響を及ぼすおそれがあると。しかも、定着の可能性もあるということであります。これも最大で45センチほどに達する大型の上位捕食者であって、主に魚類、甲殻類、水生昆虫などを捕食するということです。産卵数も比較的多いというようなことがわかっております。これにつきましても日本に同属種は生息していないと。それから、メキシコでは定着しているということですが、在来魚に対する影響はわかっていないと。Morone属の4種については、イングランド、ウエールズについては、保有、放流することが禁止されております。それから、サンシャインバスというストライプトバスとホワイトバスの交雑種の養殖がアメリカで行われているという状況があります。原産地では釣り用の魚として人気種であるということであります。
 続きまして、11ページ、ヨーロピアンパーチでございます。ヨーロッパ原産で日本の定着実績はないと考えられております。これも同様に大型になるスズキ亜目の魚食性淡水魚ということでありまして、オーストラリア、スペインでこれが導入されて在来の生物相に著しい変化が起こっていることが確認されております。日本での定着の可能性があるということであります。生物学的要因ですけれども、全長50センチに達する大型の上位捕食者であるということとか、魚類、トゲウオ類、パーチ類、ドジョウなどを食べる。あるいは大型の甲殻類を捕食するということであります。低水温に耐えて日本全国で生息が可能だろうということであります。同じように、日本には同属種は生息をしていないということであります。パーチ科5種につきましては、イギリスでは保有と放流が禁止されているという情報があります。
 それから、13ページ、パイクパーチであります。これも日本の定着実績はないというふうに考えております。同じように大型になるスズキ亜目の魚食性淡水魚ということで、ヨーロッパ諸国では導入されて在来生物相に被害をもたらしているところがあると。日本での定着の可能性もあるということです。生物学的要因ですが、全長130センチに達する大型の上位捕食者ということで、主に魚類を捕食しているということであります。日本での生息が可能というふうに考えられます。これも日本には同じものがいないということであります。観賞用としての利用で、ザンダーという名前で流通していることが多いということであります。それから、もともと分布していなかったイギリス、デンマーク、フランス等各国に定着しておりまして、幾つかの水域では在来の魚類が激減するというような被害が確認をされています。パーチ科、先ほどと同じですけれども、イギリスにおいては保有、放流が禁止されているということであります。
 15ページのマーレーコッドですが、オーストラリア原産で、これも日本の定着実績はないと考えられております。大型になるスズキ亜目の魚食性の淡水魚ということで、日本にも定着する可能性があるという整理にしております。最大の体長は1.8メートルにも及ぶということでありまして、オーストラリア原産で低水温に耐えるというふうに言われております。魚、甲殻類を食べますけれども、カエル、小型の哺乳類、鳥類なども捕食するということが知られております。日本に同属の種は生息していないということで、これにつきましては、IUCNのレッドリストの方で絶滅危惧種に選定をされているということであります。日本にも一部観賞魚として流通しているものがあるということでございます。
 続きまして、17ページ、ゴールデンパーチでございます。オーストラリア原産で日本の定着実績はないということであります。これも同じように大型になるスズキ亜目の魚食性淡水魚ということで日本の定着も可能だろうということであります。最大体長は70センチ以上にもなるということでありまして、魚、甲殻類等を捕食していると。それから、これについても日本に同属種はいないということと、IUCNのレッドリストでは危急種というふうになっております。これも一部観賞用として流通しているということでございます。
 それから、19ページ、ノーザンパイクであります。北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部原産ということで、日本の定着実績はなしというふうに整理しております。これはまた大型になる魚食性の淡水魚ということで、ちょっとダブっておりますけども、イギリス、アイルランド、フランスからスペインなどへ導入されて定着していると。在来生物相に被害を与えた事例が知られております。それから、カリフォルニア州に導入されて、これは国内移動ですけれども、駆除が実施されているという情報がございます。これも日本に定着する可能性があると。それから、要因の方ですけれども、全長150センチに達する大型の上位捕食者であるということで、成魚は主に魚食性ですが、ザリガニなどの甲殻類、カエルなどの両生類も捕食しているということであります。卵の数は比較的多くて15万ぐらいということですが、巣あるいは縄張りを持たないというような行動が知られております。それから、日本には同属の種は生息していないということで、ニュージーランド、イギリスでは持ち込みが制限されているということであります。日本でも一部観賞魚として流通しているということであります。
 それから、21ページ、マスキーパイクであります。北アメリカ原産で日本の定着実績はなしということで、これも大型になる魚食性の淡水魚ということで、日本に定着する可能性がある。全長1.8メーターに達する大型の上位捕食者ということで、主に魚類を捕食しているということであります。それから、日本には同属の種は生息していないということで、原産地では釣りの対象魚として人気種だそうであります。イギリスとニュージーランドでは同じく輸入が制限されているということであります。
 それから、次であります、23ページ、タイリクバラタナゴ、今のマスキーパイクまでが、今回、第二次指定で特定外来生物に選定をしていくのが適当ではないかと我々が現段階の情報で考えているものであります。23ページ、タイリクバラタナゴでありますが、アジア大陸東部と台湾の原産で、日本には1942年にハクレンなどの種苗にまじって関東地方に導入されたというふうに考えられておりまして、放流によって分布を広げたと。現在では、ほぼ全国各地に分布しているという状況になっております。ニッポンバラタナゴと容易に交雑をいたしまして遺伝的な攪乱をもたらしているという報告がたくさんございます。それから、ほかのタナゴ類も含めまして産卵場所あるいは生息場所をめぐって競合する可能性があるという指摘があります。生物学的要因ですけれども、亜種関係でありますニッポンバラタナゴと容易に交雑するということと、それから、淡水性の二枚貝の中に産卵をするためにほかのタナゴ類と競合する可能性があるということです。社会的要因としては、観賞魚として大量に流通して売られているということであります。意図的なものだけでなくて、種苗の混入などの非意図的な要因で分布拡大が起きたというふうに想定をされております。それから、特徴でありますけれども、ニッポンバラタナゴとの形態のみの識別がなかなか難しいということであります。ニッポンバラタナゴについては、現在、大阪府、香川県と九州中北部のみに分布しておりまして、絶滅危惧ⅠA類に指定をされております。観賞魚として非常に大量の飼育者がいるということで、直ちに規制を行うと大量遺棄を生じてかえって被害が増大するおそれが考えられます。
 続きまして25ページ、ニジマスでございます。北アメリカ原産で、九州以北の冷水域に積極的に導入されておりまして、特に本州では何度もといいますか、大量の放流が行われておりますけれども定着をしていないと。ただ、北海道では定着をしておりまして、70を超える水系で生息が確認をされております。それから、被害のおそれでありますけれども、ほかのサケ科の魚類などの産卵床を掘り起こす、あるいはえさや生息場所をめぐって競合する可能性があると。定着すれば、在来のサケ類に被害を与えるおそれが指摘されております。北海道におきましては定着が進行しているということで、在来のサケ類を駆逐している可能性というものが指摘されております。被害をもたらす要因ですけれども、冷水を好むということですが、サケ科の魚類としては比較的に高温耐性があるということで、短期間だったら水温25度にも耐えるというようなことがあります。それから、主に水生・陸生昆虫を捕食するということですが、そのほか小動物なども食べて40センチぐらいまで大きくなるということであります。それから、釣りの……、時間が余りありませんので、説明をなるべく短くしていきたいと思います。
 それでは、ブラウントラウト、27ページですけれども、ヨーロッパ、西アジア原産ということで、現在までに北海道の36河川で生息が確認されていると。そのほか本州では中禅寺湖、それから、黒部川で確認をされております。被害の実績ですけれども、北アメリカ、ニュージーランドなどでは、競合、捕食によってサケ科魚類の激減などが報告されております。北海道でもアメマスが急減するというような例が知られているということであります。
 それから、続きまして29ページ、カワマスでありますが、かなり古くからといいますか、日光に1902年に移植されて、北海道、栃木、長野などで定着をしているということであります。イワナの類と容易に交雑するということが知られておりまして、日本でも上高地の河川でそういった事例が知られているということであります。釣り用の魚として、特にフライフィッシングの人気種であるということであります。
 続きまして31ページ、グッピーでありますけれども、観賞用として非常にたくさんの輸入流通がなされているということで、温泉地で定着しているということとか、あるいは琉球列島で自然繁殖が確認されているという、そういう定着実績でございます。それで、メダカ類を駆逐する例が知られているということでありまして、沖縄におきましては、グッピーがカダヤシに置きかわると事例がありますが、カダヤシとともにメダカを駆逐するおそれもあるというふうに見られております。
 続きまして、ソウギョ、33ページでありますが、食用を目的に導入されて、あるいは最近では除草を目的に放流されております。東北地方から九州までの主な河川に広く、既に生息が確認されているということであります。木崎湖等ではコカナダモの除去を目的に導入されましたが、ほかの在来の水草までも激減しているという被害が報告されております。ただ、繁殖生態の関係で繁殖が可能なのは利根川水系などに限定されるということでございます。
 それから、アオウオでございます。ソウギョとともに、1943年から移植されたものが定着していますが、ソウギョと同様に自然繁殖は霞ヶ浦・北浦と利根川水系だけということであります。タニシ、エビ等の小動物を食べる雑食性ということでございますが、国内では被害の実態は不明ということであります。
 続きまして、オオタナゴであります。37ページ。霞ヶ浦を含む利根川水系で既に定着をしているということで、大型のタナゴ類ですけれども、在来の二枚貝類に産卵するかどうかもまだ判明していないというようなことで、在来種に対して生息場所等をめぐる競合が心配されておりますけれども、現在のところ、生物学的な特性に関する知見が不足しているということであります。
 それから、ナイルパーチであります。39ページですが。観賞魚としての利用はありますけれども、定着あるいは導入の記録はないということであります。これにつきましては、アフリカのビクトリア湖におきまして外来種としての非常に大きな被害を出しているという実績がございます。非常に大きくなる魚ということでありまして、日本には同属のアカメが生息しているということであります。
 それから、タイリクスズキ、41ページでございます。これにつきましては、成長が早いというような理由で「スズキ」として養殖用に導入されているということで、西日本、九州沿岸で生けすを使って飼育されているということですが、これが逃げ出していて周辺の水系に定着しているということでございます。在来のスズキと競合するおそれがあるというふうに懸念をされているということでございます。先ほどちょっと話がありましたけれども、和名はタイリクスズキということでありますが、学名がまだ与えられていないということでございます。
 それから、ナイルテラピアでありますが、これについては、西日本は南日本を中心に自然繁殖をしているという実績があります。特に、沖縄ではかなり分布を拡大して優占をしているという実態でございます。塩分耐性がありまして、ならせば海水でも飼育できるというような性質を持っております。
 それから、カワスズメでありますが、これにつきましても、沖縄の池沼や河川で定着をしているということで分布拡大中ということであります。ただ、在来生物の被害実態については今のところまだ詳しく知られていないという状況でございます。
 それから47ページ、カムルチーであります。1923年に導入されて定着をしておりまして、日本各地に既に分布しているということであります。比較的繁殖力が強くて、既に定着しておりまして、上位捕食者として魚類、甲殻類などを捕食していると。それで、在来の生物相に被害を及ぼしているおそれがあるということであります。ただ、各地で定着しておりますけれども、大きな被害というものは確認されていないということで、影響はそれほどではないんではないかという意見が多いということでございます。
 それから50ページ、タイワンドジョウでございますが、これにつきましては、西日本を中心に侵入、既に定着をしているということでありまして、これも古くから入ってきていて、上位捕食者であるということから生態系へ被害を及ぼしているおそれがあるということですが、国内での被害実態についてはほとんど把握されてないし、影響もそれほどではないんではないかという意見がございます。
 それから、52ページのコウタイであります。台湾から導入されたものが石垣島に定着していると。大阪でも生息が確認されているというのが定着実態であります。これも上位捕食者ということで生態系に被害を及ぼしているおそれがあるということですが、詳しい被害実態についてはまだよくわかっていないところがあるということであります。
 それから、ヨーロッパナマズ、54ページですけれども、かなり大型になる上位捕食者ということで、ヨーロッパでは影響を及ぼすおそれが指摘されております。ただ、日本には定着をしていないということでありますが、定着する可能性があるので、導入された場合には生態系に被害を及ぼすおそれがあるだろうと、いろんなものを食べるので生態系に大きな影響があるんではないかというふうに懸念をされているということでございます。
 それから56ページ、ウォーキングキャットフィッシュですけれども、定着実績はないということですが、大型になるナマズ類ということで、アメリカ、東南アジア諸国などでふえて、競合・駆逐で在来魚類に影響を及ぼしているおそれがあるという指摘がございます。ただ、冬の低水温には弱いということで、日本では限られた温暖な地域でのみ定着の可能性が想定されるということであります。
 58ページ、マダラロリカリアですけれども、現在、少なくとも沖縄の6水系で生息が確認されているということで、これにつきましては、付着藻類、デトライタスを主に摂食しているということでありまして、そういったものを使っている在来のハゼ類などと競合する可能性があるということであります。日本には同じ属の種類は生息していないということであります。
 以上が、個表の説明でございます。ちょっと長くなりまして失礼いたしました。

【多紀座長】 ありがとうございました。非常に種の数が多いんで、どうもお疲れさまでした。
 いわゆる要注意生物には、最初はいろいろな性格の種が入り込んでいたんですが、もっとちゃんと整理すべきであるという声がありまして、それに基づいて交通整理をして3つのグループに分けたわけです。
 最初にここでコメントさせていただきます。細かいことなんですが。カダヤシの項の「その他の関連情報」で、「世界各地で卵生、胎生を問わず、土着のメダカ類を駆逐」とありますが、いわゆるグッピーのような魚と日本のメダカとは目の段階で別物です。以前は同じだったのですが。
 では、委員の先生方からコメント、ご意見をお願いします。
 細谷委員、まずどうぞ。

【細谷委員】 恐らく時間がありませんので、スピーシーズ・バイ・スピーシーズがやりがたいということがありますので、単刀直入に私の意見を述べさせていただきます。
 当然、特定外来生物の候補種になりますので、資料7の一番最初のこのリストをまずたたき上げていこうかなと思っています。その前提として、先ほどの蒸し返しになりますけれども、ご説明いただいたストライプトバスとホワイトバスの中でサンシャインバスの取り扱いがどうなってくるのか。これ交雑種でございますよね。ですから、その辺も、当然、視野に入れていかなきゃいけないかなという、これは前置きですけれども、これは前置きです。いずれにせよ、飼育品種のようなものも外来生物と同じような位置づけにしていかないとエイリアンとして論議しにくいのかなと。サンシャインバスの取り扱いも十分に視野に入れるようにということをまず言っておいて、それでざっくりいきたいと思いますが、第一次選定と第二次選定の私の意識の違いというのは、今回は第二次に送り込まれたというのは、十分に情報がなくて第一次に入らなかったという経過があると思いますけれども。となると、今回のリストはかなり予防的な要素が盛り込まれているなという印象でございます。その予防的な印象は何かというと、既に資料6に基準を設けられておられるわけですが、この場合には生態的な特性ばかりであって、社会経済的なニーズであるとか、地域性であるとか、そういったもので影響を与えやすい、要するに釣りのニーズが高いとか、非常に日本に近くて簡単に安易に移植しやすいだとか、そういったものも私、勘案しまして、資料6プラス今の社会経済的なニーズ、それから地域性、要するにオーストラリアに比べれば韓国や中国の方、台湾の方がはるかに日本に近いよという点を踏まえて、資料7をざっくり見ますと、まず大きく2つに分かれると思います。これは、カダヤシとそれ以外という分け方だと思いますが、つまりカダヤシは、これは言うなれば観賞魚あるいは防疫、要するに蚊の防除、マラリア等の対応ですけれども、それ以外のケツギョからマスキーパイクに至るまで、すべて釣りの対象魚であるという認識の仕方でございますね。ですから、カダヤシは当然、私個人は対象種になると思いますが、ケツギョ以下マスキーパイクに至るまで私なりにこれ整理しますと、3つのグレードがあるんじゃないかなというふうに見てとれます。そのグレードは社会経済的なニーズと、それから地域性、それから資料6にありました生態的な特性、要するに在来生物に対する捕食能力が高い、食物連鎖の上位段階、大量に流通・飼養、野外に意図的に放流されやすい。そういったもので、グレード1番で一番真っ黒いのがケツギョとコウライケツギョだと思います。これは、ご用意いただいた資料でも文献でありますので、もう文句ないというふうに考えておりますけれども。要するに、Doi et al. に書かれているような資料、論文が出てますので、これはもう文句ないと思いますが、それから第2段階ですが、要するに危ない、暗い、グレードの危ないものですけれども、これはストライプトバス、ホワイトバス、ヨーロピアンパーチ、それからパイクパーチ、ノーザンパイク、マスキーパイク、要するにマーレーコッドとゴールデンパーチを除いたもの、残り何種類ですかね、6種類ですか、こういったくくりができるんじゃないのかなというふうに考えています。
 要するに、第3段階は、マーレーコッドとゴールデンパーチが残るんですが、これは環境省から説明ありましたように、確かに魚食性であるということでは注意しなきゃいけませんが、私の物差しでいう地域性、オーストラリア産でちょっと離れているということと、プラスご紹介がありましたように、IUCNのリストでマーレーコッドが絶滅危惧種、ゴールデンパーチが危急種に位置づけられているという、ストックの限界といいますか、可能性としてはやや低いわけですから、これが一番白に近いかなという意識があります。残りのものは、アメリカのものとヨーロッパのものがございますが、特にヨーロッパのものについては、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、ノーザンパイク、マスキーパイク、これはすべてもちろん釣り対象魚なんですけれども、イギリスとニュージーランド等はそれなりの対応処置で法律で行っているということを考えますと、それも注目に値するかなと。とりわけノーザンパイクとマスキーパイクはイギリスとニュージーランドとも輸入が認められてはいませんが、ヨーロピアンパーチとパイクパーチは入ったにもかかわらず国内に対して対応していくというご紹介でありましたので、それは第2段階としてグレード2ぐらいで対応していく。総じて、このリストの中では、もちろん予防的な原理で入れておけばいいんでしょうが、結果として、私個人は第3グレード、一番白に近いマーレーコッドやゴールデンパーチは、場合によってはその危急性によって環境省がお示しになりました第3カテゴリー、関係者に利用に当たっての注意を呼びかけるというところに戻しておいてもいいのじゃないのかなというふうに感じております。
 以降、環境省がお示しになった第2のカテゴリー、第3カテゴリー、被害に係る一定の知見のある云々等は、またその段階になってからコメントしたいと思います。
 以上です。

【多紀座長】 第2カテゴリー以下も一緒にやってください。その方がやりやすいでしょう。

【細谷委員】 そうですか。じゃあ、そうすると、今、私は抜いた方の話をしましたが、入れる方の話も座長から指示がございましたので、第2カテゴリー、つまり被害に係る一定の知見なり、被害の防止に向けた普及啓発、防除、手法の具体的な方法の中で、ブラウントラウトとカワマス、ニジマス、いずれもサケ科魚類で非常に注目に値するところで、場合によっては第1カテゴリーに移した方がいいかなとは思いますが、とりわけブラウントラウトについては、ニジマスに比べれば分布の面積は狭いんですが、近年の分布拡大動向に注目すると、むしろこれは第二次選定の外来生物に入れておいた方がいいんじゃないかなというふうに考えています。一方でニジマス、カワマス、特にカワマスについては本州等入っていますが、その被害の実態等を考えますと、もうプラトーに達しているように私個人は見受けますので、北海道、ニジマスも大きな被害これから拡大していく可能性はありますが、環境省がご用意いただいた資料の書きぶりを見る限りにおいては、カワマスの方が非常に緊急性が高いと思われますし、産業の分野のおいても、きょう水産庁の方おられますけれども、ニジマスとカワマスと比べた場合に、ニジマスの方が定着の程度は高い。結論として、ブラウントラウトについては、これは外来生物の指定に入れた方がいいんじゃないのかなというふうに考えております。
 すみません、長くなって。以上です。

【多紀座長】 つづいて委員お一人ずつご意見を伺いたいと思います。
 では、櫻井委員、よろしく。

【櫻井委員】 先ほどの細谷先生のお話なんですが、レッドリストに入っている種でも、結構、移されるとやばい例って日本でもありますよね、例えば、オヤニラミが多摩川で完全に定着しちゃっている。あれもレッドリストに入っていますが、あと、イチモンジタナゴ、これはちょっと減った要因が違うんで、一概にオヤニラミとは同列に扱えないとは思うんですけれども、東北地方で大分ふえているところですね。ですから、危ないものはそれなりに残しておいた方がいいんじゃないかというのが1つです。
 それから、あとマーレーコッドとゴールデンパーチが入るようでしたら、ほかにも何かいっぱい入りそうな感じがするんですが。というのが2点目です。
 あと、サンシャインバスの取り扱いが、先ほど先生がおっしゃられましたが、例えばコイの品種なんかはどういう扱いになるか、非常に興味があるんです。コイ自体は非常に危ない生き物で、これは国内の話になっちゃいますけれども、以前の放流でかなり植物初め底生動物、魚類まで被害を受けている例がありますので、もう海外から最近コイは輸入されないとは思いますが、かつてはかなり

【多紀座長】 ヒレナガゴイなんかね。

【櫻井委員】 そうですね。
 あと、裏側の方の関係利用に当たっての注意を呼びかける云々のこのリストについても言及してもよろしいんでしょうか。オオタナゴなんですけれども、オオタナゴがここに入っているのはちょっと、もう少しランクを上げてもいいんじゃないかというのが私の印象です。
 以上です。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 次に北田委員、お願いします。

【北田委員】 今回、予防的な観点もさらに注意してやるということで、そういう点からいくと、この第1カテゴリーについては、先ほどご専門の見地からグレードがつけられましたけれども、実態がよくわからないんです。この第1カテゴリーはカダヤシ以外は全部定着実績がないけれども、釣りあるいは観賞で利用されているというものですね。予防的見地からこれらを上げてあると思うんですけれども、これは賛成ですね。ただ、これが上げられるんであれば、第3カテゴリーのこの中でも同じようなものがあると思うんですね。例えば、定着実績はないけど観賞用というのはナイルパーチ、ヨーロッパナマズ、ウォーキングキャットフィッシュです。一番下のマダラロリカリアというのは、定着実績は少しあるけれども微妙なところですが、少なくともナイルパーチ、ヨーロッパナマズ、ウォーキングキャットフィッシュ、これは第1カテゴリーに持っていってよいのかなと、第1カテゴリーと同じものであるというふうに思います。
 あと難しいのは、定着しているというものの取り扱いです。第2カテゴリーは定着しているものばかりですし、第3カテゴリーでも定着しているものはたくさんあるわけですね。今回は無理でしょうが、これをどう扱っていくかがこれからの課題だと思います。7月ぐらいまでにこれを入れるかどうかはなかなか情報がありませんし、日程的に間に合うのかも心配されますけれども、これから十分検討しないといけない種類ですね。タイリクスズキなど、海面養殖されている種類が逃亡したり産卵するということもありますよね。在来種との交雑については、先ほど種類の議論もありましたけども、日本の中でだけ考えても、同種であっても地域個体群では遺伝的な特性が違うということもかなりわかっていますし、閉鎖個体群に放流を長年続けると遺伝子頻度が変化してくることも徐々に確かめられてきているわけなんですね。ですから、予防的観点に立つと、タイリクスズキはもっと上の方に上がっていくべきなのかなという気がいたしますね。
 カムルチーとかタイワンドジョウ、この辺は定着しているけど、被害がよくわからない。これはちょっと後回しにしても、一番大きい問題は、水産業、養殖業が絡んでるニジマス、ブラウントラウト、カワマス、これをどうするかですね。基本的には、法律の趣旨は大変結構だと思っていまして、外来種の侵入を防いでいくというのが基本方針なわけですけども、どこまでやるかというのが問題であって、結局、人間がやっていることですので、こういうことをやることでベネフィットがあるということで最初導入しているわけですよね。そのベネフィットに比べてリスクとかコストの方が大きいという判断に立てば、指定するという考え方がいいと私自身は思います。リスクというのは起こり得る可能性で、それは挙げてあるんですけど、実際にどれぐらい起こるかというのはなかなか調査が難しいのです。だから、こういう問題というのは予防的な観点というのが非常に大事だと思います。例えば観賞魚とか、遊魚とか、養殖は、一部の人のベネフィットなわけです。そういう限られた人たちのベネフィットに対して生態系にコストとかリスクをかけているわけです。こういう視点が大事だと思うんですけどね。だから、どうしても人間が生きていく上で必要なら、それは当然やっていくべきだと思うんですけども、そこまでのものかどうかということですよね。
 いずれにしても環境は破壊されていきますから、長い目でみれば地球環境は悪化していくわけです。それをなるべくゆるやかにというのが環境保護だと思うんですね。ですから、ここではなるべく多くの種類を上げていくべきですけれども、定着しているものとか、産業の関係等あるものについては、もう少し情報をそろえて検討する必要があると思います。ここの第2カテゴリーは上げていく方向のものも当然ありますけれども、今回、入れるかどうかについては、慎重に議論する必要があると思います。
 先ほど申しました第3カテゴリーの定着なしの観賞対象というのは、第1カテゴリーに入れたほうが統一できるのではないかと思います。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 これからもご発言願いますけど、ここで今までの各先生の発言をまとめますと、3つぐらいに要約できると思います。1つは、マーレーコッドとゴールデンパーチ、他と比べて被害を及ぼす危険性が低い。この2種を入れるくらいならほかにももっと入れるべきものがあるだろうということで、再考を要するというご意見でした。
 2番目は、主に北田委員からの指摘ですが、養殖用の種苗のことで、今までも問題はあったが今後はさらにいろいろ出てくるだろうと。今言った種名がわからないというような問題もありますが、これからはしっかりした体制でモニターし研究をしていく必要がある、そういうご指摘でした。
 それからブラウントラウト等ですね。今、2番目のカテゴリーに入っていますが、当面このカテゴリーに入れておいてもう少し検討してみるべきであると、北田委員の意見はそういうことでしたね。

【北田委員】 上に持っていくのはちょっと、まだ……。

【多紀座長】 今、上に持っていくのはちょっと早計であろうと、

【北田委員】 情報がないので判断できないですね。

【多紀座長】 判断資料が少ないということでございます。
 今、北田委員がおっしゃったように、環境を全体として守っていくのが環境省の仕事ですよね。水産庁の方は、現業の水産業を守りつつ環境に配慮していくということだと思います。そこで、この問題に対する水産庁の基本的な立場、考え方について、一言お願いをしたいと思います。

【丹羽室長】 水産庁の丹羽でございます。
 今の座長のご発言に関してでございますけども、水産庁といたしましても、今、座長がまさしく言われたように環境に配慮しながら漁業を振興していくというような立場でございまして、ただ、先ほどの今後の検討の進め方にもちょっとありますように、やはり、現実的に漁業として利用されているというものにつきましては、先ほど北田先生も言っていただきましたような形で、漁業実態等、利用の実態等を十分把握した上で、慎重に検討していくというところが必要だというふうに考えておりまして、そういった意味で、今後、同じ事務局でございますが、環境省様とも一緒に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 櫻井委員、どうぞ。

【櫻井委員】 ブラウントラウトというのは、水産上の重要種になっているんでしょうか。

【丹羽室長】 先ほど環境省の方からご説明があったかと思いますが、ブラウントラウトにつきましては、既に漁業権という形で設定がされておりまして、ただ、先ほどご説明の中にもありましたように、北海道等で被害報告があるというような実態が報告されていると。ただ、北海道につきましては、水産関係の話といたしまして北海道の漁業調整規則で移植が禁止されているということで、道としましても、北海道では駆除にもう既に努めているというような状況になっているということでございまして、そういった意味で、全国的な今回のこの特定外来種というような指定をするかどうかというところにつきましては、慎重な検討をさせていただく必要があるんではないかというふうに考えているという次第でございます。

【櫻井委員】 どうもありがとうございます。
 私の印象なんですけれども、ブラウントラウトというのはミニブラックバスじゃないかという、構造が全く同じじゃないかと思うんですが、一部で、要は水産上非常に重要だということで、当然、それで生活されている方もいらっしゃる。なおかつ、ゲームフィッシングの対象魚としては非常に人気があるということですよね。なおかつ、かなり在来魚種に被害を及ぼしているという、こういう現実がありまして、これって全く、ブラックバスを北海道に持って行った場合の問題の構造と全く同じじゃないかと思っておるんですが。
 それと、北海道に限るというように、分布が限られるから入れないというようなことにしてしまいますと、前回も申し上げましたけど、1つの魚種で沖縄から北海道まで分布するような魚って基本的にはいませんよね。というと、あらゆるものがそれを外す理由にされてしまうような気がいたします。
 ですから、私個人としては、かなりブラウントラウトについては真剣に議論して、特定外来種に指定するかどうかというのは、かなり優先的に議論する必要があると思っています。

【多紀座長】 細谷委員。

【細谷委員】 それに関連して、私を含めたお三方の委員は基本的に同じ方向を向いているなという感じがするんですね。うまく説明できませんでしたけれども、北田先生おっしゃったように、私どもカテゴリーのⅡについては、これはベネフィットとリスク、コスト、その辺のバランスを考えつつ、先ほどブラウントラウトに、今、言及したわけで、今、櫻井先生指摘されたようにブラウントラウトの問題では、その中でもベネフィットとリスクのバランスが極端に外れているような印象があるんですね。
 そこで、水産庁にお聞きしたいんですが、ニジマスとブラウントラウト、カワマスは、これはもう論外だと思いますけれども、具体的な数値は今ちょっと難しいでしょうけれども、相対比で結構ですから、経済的な効果ですね、現実的なところ、あるいは生産額、急に言われても大変でしょうけど、大体なところ、どんなぐあいなんでしょうか。といいますのは、この会議は、大体、生物多様性の情報は多いんですが、産業にかかわるところの情報というのは少し見えてこないもんですから、判断基準がなかなかなくて。大ざっぱで結構です。

【丹羽室長】 データ的な話としましては、ニジマスについては養殖生産というようなデータがありまして、これは今回のところで、該当するかどうかはわかりませんが、とにかくデータとしてあるとすると、養殖生産が平成14年で9,861トン、養殖生産額として48億円という数値になっております。これは内水面養殖ということでございまして、それ以外に先ほど来ちょっと出ております漁業権という形で内水面でこのニジマスについての漁業権設定がされているということでございます。ブラウントラウトにつきましては、養殖生産というものは、当方の方では把握できているような数字はございません。ただ、漁業権設定ということでは、日本国内で5件の漁業権設定がされているというようなことになっております。ニジマスはもっと非常にたくさんの漁業権設定がされているということでございます。

【細谷委員】 ニジマスは何件でしたか。ここに書いてありましたね、288件ですね。

【丹羽室長】 そうですね、288ですか、失礼しました。

【細谷委員】 ブラウントラウトとニジマスの漁業権の対比は5対288ということですね。養殖に関しては、額としては48億円とゼロということでよろしゅうございますね。

【丹羽室長】 ゼロとは断言できませんが、当方の資料の中には今のところ数字としては把握できてないということでございます。

【多紀座長】 ほかにございませんか。
 ブラウントラウトは、道の漁業調整規則で移植が禁止されているということや、閉鎖水域ではなくオープン水域に導入しているので管理が大変というようなこともありますけども、例えば他水系に移らないようにするにはどうしたらいいのかとか、全体的な防除に対する計画、見通しのようなものを将来的には見せていただければありがたいと思います。ひとつ水産庁によろしくお願いいたします。
 もう時間も迫っておりますので、まとめますと、本日の議論を踏まえて、事務局で引き続き被害に係る知見その他の情報を収集しまして、委員の先生方とは緊密にご連絡を保ちながら、次回の会合で結果を提示できればと思っております。水産庁の方も、今、申し上げたあたりをよろしくお願いをいたします。
 私からは、本日の魚類グループの検討結果を6月9日の全体会合で報告をいたします。議題にはその他とありますが、この際、委員の先生方からご発言ございますか。

【細谷委員】 よろしいでしょうか。どこだかわからなくなったんですけど……、どこの資料だったかな、コイの由来について環境省がIUCNのリストの中でご紹介いただいたんですが、我が国のコイの実態の中で移植という何かリストがございましたですね。今ごめんなさい、すぐに見つからないんですが。

【多紀座長】 そんなリストがあるんですか。

【細谷委員】 ありましたですね。IUCNのワースト100の中の取り扱い、資料何番でしたっけ。

【中島室長】 資料4の一覧表の2枚目の表がIUCNのワースト100のリストであります。

【細谷委員】 ございましたね、そこの2枚目のど真ん中ですね、世界侵略的外来種ワースト100の。在来生物または明治維新以前に導入された生物としてコイと堂々と出ていますが、そうなると、日本のフナも、キンギョが入っているおかげでフナも移植という誤解をですね。

【多紀座長】 第三紀の壱岐などからコイの咽頭歯その他の化石が出ております。現在の大方の意見では、コイは日本自生のものであります。ドイツゴイのようないろいろな飼育タイプが入ってきてはいますが。

【細谷委員】 そうですね。資料そのものもパブリシティあるでしょうから、誤解のなきように対応願いたいなというふうに思います。

【多紀座長】 それでは……。

【中島室長】 すみません、今のちょっとあれなんですけども、ここの表はIUCNは世界の侵略的外来種をすべて包含する形でまとめておりまして、その中には、そもそも日本の在来の生物も含まれていると、日本の在来生物が外に出て行って影響を及ぼしているというようなものも含まれておりますので、そういったものについては、今回、我々の外来生物法には該当しないということで、在来生物あるいは明治維新以前に導入された生物というものがここは一緒になっておりますけれども、これに該当するものが載っているということでございますので、コイは在来生物ということで、今回、我々が検討の対象とする生物ではないということでございます。
 一応、補足して説明いたしました。

【多紀座長】 委員の方、よろしゅうございますか。櫻井さん。

【櫻井委員】 あと、今ちょっと思い出したんですが、カラドジョウはどうなっていますでしょうか。

【細谷委員】 カラドジョウの実態、現状わからないですね。

【櫻井委員】 かなり野外に出ているというような話を伺っていますが。

【多紀座長】 田んぼの生き物調査なんかでも出てくるんですよね。わかりました、それでは、実態はどうであるかということは調べます。いいですね。

【中島室長】 次回までに少し情報を調べて整理したいと思います。

【多紀座長】 大分時間も迫ってまいりましたので、議事はこれでおしまいにいたしまして、事務局の方へマイクをお返ししたいと思います。

【長田専門官】 それでは、以上で終了させていただきたいと思います。どうも皆様ありがとうございました。