環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)議事録


1. 日時 平成17年1月21日(金)14:00~15:25
2. 場所 環境省第1会議室
3. 出席者  
   (座長) 多紀 保彦
   (委員) 北田 修一    櫻井  博
細谷 和海    村田  修
   (環境省) 小野寺自然環境局長
福井審議官
名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (水産庁) 長畠生態系保全室長
佐々木沿岸沖合課課長補佐
小林栽培養殖課課長補佐
5. 議事  
【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)の第2回会合を開催したいと存じます。
 前回、出席しておりませんでしたが、今回、環境省の方、新たな出席がございます。小野寺自然環境局長、それから福井審議官、名執野生生物課長でございます。
 お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。資料の1-1が特定外来生物等選定の作業手順。資料1-2が選定に際しての留意点。資料1-3が情報及び評価。資料1-4が特定外来生物、未判定外来生物、その他種類証明書添付生物の例。資料2-1がオオクチバスの取扱いについて。資料2-2がオオクチバスに係る情報及び評価。資料3が要注意外来生物リスト(魚類)の(案)。参考資料としまして特定外来生物等の概念図がございます。参考資料の2が前回の会合の議事概要。参考資料3から6までがオオクチバス小グループ会合のこれまでの議事概要。それともう一つお付けしておりまして、日本生態学会自然保護専門委員会の方から出ております特定外来生物等の選定に関する意見書。
 資料の方は以上でございます。もし不備がございましたら事務局の方にお申し出いただければと思います。
 それでは議事進行につきまして、多紀座長、どうぞよろしくお願いいたします。
 すみませんカメラの方、ここまででお願いいたします。

【多紀座長】 本日はそろそろ年度末でお忙しい中、ご出席くださいましてありがとうございました。
 ではこれから議事に入ります。まず特定外来生物(魚類)の選定についてです。前回の第1回の会合では選定の仕方や具体的な選定対象などについて議論いたしましたが、時間の制限もありすべてを尽くせたというわけではありません。そこで今回は、前回の議論、指摘を踏まえて、さらに内容を整理していきたいと考えております。なおオオクチバスにつきましては、一昨日オオクチバス小グループの4回目の会合を行いまして、報告を取りまとめたところです。このオオクチバスについては後ほど別途取り扱うことにいたしまして、まずはそれ以外の特定外来生物の指定について検討を行いたいと思います。未判定外来生物と証明書添付生物も含めて、まずは第1段階としてどう整理されたかということについて事務局からご説明をお願いいたします。

【堀上補佐】 それでは資料1に基づきましてご説明させていただきます。
 資料1-1は前回お出しした資料と同じでございます。それから資料1-2は前回の会合でお認めいただいたところでございますので、今回説明は割愛いたします。
 前回資料1-3のところですが、特定外来生物の候補としてこの7種挙げてございました。これにつきましては前回会合で大体このくらいであろうということで、ある程度お認めいただいていたわけではありますが、未判定外来生物あるいは書類証明書添付生物についてはもう少し精査が必要であるということで、事務局の方で整理をしておりました。それが資料1-4というところでございます。
 資料1-4の左側の方から四つ目が特定外来生物の候補としてこの七つ挙げてございます。それらについて生態が似ている、あるいは特徴が似ているということで、判断がまだできないけれども、被害を及ぼす疑いがあるというものについては未判定外来生物としようということでここに挙げてございます。
 それから右側の種類名証明書添付につきましては、特定あるいは未判定と外形上よく似ているというもので、税関において判断するときに紛らわしいというものには証明書をつけるということで整理をしていたところです。それでコクチバスとブルーギルにつきましては未判定外来生物についてはここで挙げてありますとおり、サンフィッシュ科、コクチバス、ブルーギルを除く。それからパーチ科4属。その下がペルキクティス科の4属。モロネ科の2属。ケツギョ属ということで挙げてございます。前回オヤニラミ属を挙げておりましたが、これは生態が違うのではないかということでオヤニラミ属は外してございます。
 パーチ科の4属は最初4属すべて挙げていたわけですが、4属の中からヨーロピアンパーチとパイクパーチは除いてございます。これは別途輸入の状況とか、そういったものをヒアリング等しまして得たところ、あるいはそのいろいろ業界の方の雑誌等を見て得たところ、これらかなりたくさん入って輸入されているということでございます。未判定外来生物は基本的には輸入されてないもので、その生態等がわかってなくて、それでも特定外来生物と非常に近いような生態を持っているだろうと思われるもの、同属の中から指定をするということでしたので、ヨーロピアンパーチとかパイクパーチはそれには当たらないだろうということでここからは外してございます。同様にモロネ科の2属の中からストライプトバスとサンシャインバスを除いてございます。これも同じような理由です。ケツギョ属の中からはケツギョとコウライケツギョを除いております。これも同様の理由です。未判定外来生物は基本的にはそういった性格のものですので、これから日本に入ってくるかもしれないけれどもまだ入ってなくて、その判断がつかないものということで挙げているところです。もう既に入っていて日本で飼われていたり野外に出ているようなものは判断がつくとして、それはここからは外しているという整理です。
 種類名証明書添付については、基本的には前回と同じでございます。アカメ科とナンダス科とその二つの科を挙げてございます。
 それでこれに関連して、要注意外来生物についても説明をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
 ここでヨーロピアンパーチとパイクパーチを除いておりますが、これらはここで外してはおりますが、生態系等への影響について何らかの指摘自体はございますので、これは注意をする必要があるということで、実は要注意外来生物の方に掲げております。要注意外来生物についてちょっとご説明したいと思います。資料3を御覧いただければと思います。
 要注意外来生物リストといいますのは、他の分類群でも既に議論されておりまして、全く同じような形で内容を提起させていただきます。
 目的でございますけれども、ここに書いてあるとおりですが、生態系等への影響が文献等で指摘されている外来生物について、今回特定外来生物の選定作業をする過程で被害にかかる科学的知見が十分ではないという理由から選定されなかったものというのが幾つかございます。ただし被害を予防するという観点からは、世の中に何らかの形で示していく必要があろうということで、注意を要する外来生物のリストとしてまとめまして公表することによって世の中に知らせていこうと。知らせるときには利用する関係者の方々に、この外来生物が与える可能性がある影響の内容を周知しまして、その管理されている場所から逃げ出さないように、あるいは逃がさないように、そういった取扱いについて留意するべき事項を掲げて注意喚起すると。もう一つは知見が十分ではないということですので、さらなる知見の集積を図るというのが目的でございます。これ自体は中央環境審議会の外来生物対策小委員会で、岩槻小委員長から談話として出されていた中に既に入ってございまして、同様の趣旨でこういったリストをつくる必要があるということが指摘されていたところでございます。要注意外来生物リストの内容につきましては、そういった生物をリスト化して、その注意喚起の内容について書いた上で公表するということでございます。
 3番目のリストの公表につきましては、環境省において公表するということにしておりまして、この専門家会合のご意見を受けて、最終的には今月末に行われます全体会合のご意見を承って環境省において公表するということでございます。公表に当たりましては、このリストの目的、取扱いを明記しまして、さらにここでの掲載種が外来生物法の規制の外であるということもきちんと付記しまして、現在外来生物を利用している方々に余り混乱を与えないように留意しようということでございます。
 要注意外来生物リストについては次のページを御覧いただきたいのですが、これについては先ほどの特定外来生物の選定作業について整理をする中で、幾つか有識者の方々のご意見も伺いながら資料を整理してまいりました。上の方から例えばソウギョ、アオウオ、オオタナゴというものが挙がっておりますが、こういったものは生態系に影響を与えているという文献等での指摘がございます。備考欄に書いておりますけれども、どういう目的で導入されて利用されているのかということ、その利用によってどういうことが起こる可能性があるのか、そういったどういう影響が指摘されているのかということと、どういう管理を行うことが必要なのか。あるいは管理を行うよう普及啓発を図ることが必要であろうとか、そういったことを種ごとに付記しているところでございます。
 基本的なイメージはこういうイメージでございまして、情報が多くなればもっとここの備考欄なり情報を整備していきたいということで考えているところでございます。先ほど未判定外来生物の方から抜いたヨーロピアンパーチですとか、パイクパーチ、あるいはストライプトバス、サンシャインバスといったものはここの方に載せております。ここについてはまだ事務局の方ですべての作業を実はできているわけではございませんで、いろいろ知見も足りない中で短い時間の中でつくっているということもありまして、先生方いろいろとご指摘あろうと思いますが、一応この第1陣に伴う作業として出てきたものについてはこういう取りまとめをしていきたい。いずれ知見がもっと整えばこれらは中身も充実させ、さらにその知見が高まって被害についての知見がある程度そろってきたら、それは特定外来生物の候補としてまた検討していくということで考えているところでございます。
 それで戻りまして、資料1-4ですけれども、コクチバス、ブルーギルの周辺につきましてはこういった作業を実はしておりまして、ですがその下のカムルチー、タイワンドジョウ以下につきましては、実は未判定を整理するときに委員の方々からいろいろご意見をいただきまして、そもそも特定外来生物としてどうなのかというのは前回の会合で余り十分議論し尽くしてなかったのではないかということがございました。ですので、ここのところは本日ご意見を承ってもう少し中身を詰めたいと思っておりますので、本日ご意見いただければというふうに考えております。
 以上でございます。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 今ご説明にあったとおり、資料1-4関連についてはさらに吟味の必要ありということで、委員が見直しをしてまいりました。また資料4の要注意外来生物の方は今説明がありましたとおり、最終的なものは出にくい状態にあるのではないかと思います。そこで本日はこれについていろいろとコメントいただきまして、それをもとにそれを整理していこうと考えております。
 ということで、まずは資料1-4について、細谷委員から種々ご指摘願いたいと思っております。よろしくお願いします。

【細谷委員】 第1回目の本委員会で予防原理的なところを重視いたしまして、載せられるならばよりカテゴリーの高いところへという視点が一つと。それと前回の基準が科学的な知見を可能な限り取り上げるということで、文献に基づいた資料づくりがなされてきたと。その辺を踏まえながら私たちはこういった種類を取り上げてきたわけですが、この間会の性質、あるいはようやくどの辺にこの委員会の焦点があるのかということが読めてきたわけですが、そうしますと日本の現状をよく踏まえて現実的なものを考えますと、やはりリストを再考せざるを得ないという反省といいますか、そういう視点で今見ているわけですが、具体的には何を示すかといいますと、カムルチー、タイワンドジョウ、それからノーザンパイク、ヨーロッパオオナマズは確かに文献等でサイトはされてはいるんですけれども、こういったものの事例がそのままそっくり日本に載せられるのかなという点で、より科学的な根拠がまだ薄いし、それからそういった意味では、この特定としておくのはやはり今考えものじゃないかなと思っております。
 一つ一つ考えてみますと、例えばカムルチー、タイワンドジョウ等はこれは多かれ少なかれ100年ぐらい我が国に移植されてきております。食う食われる関係を見ても、十分にその動向というのは把握されているわけですけれども、なかなか具体的な数値を示すことは難しいですけれど、例えば環境省で保全基礎調査を行ったところ、65湖沼、153河川のうち、わずか11湖沼と19河川でしかその生息を確認されていないという報告もございますし、それから私どもプライベートコレクション等記録相当持っておりますけれども、これらタイワンドジョウ科の魚類を稚魚は別ですけれども、実際に個体数を多く取るというのは極めてまれであると。その辺考えますと、現実的ではありませんし、もう少し生態学的に考えた場合に、我が国の魚類相は確かにかつてタイワンドジョウ科ございませんけれども、ほぼよく似た朝鮮半島のそれと比較しても、いわゆる生態系の中でこれらタイワンドジョウ科魚類がある程度食物連鎖の高いところを維持しながら、協調しているのではないかというそういう感じがございます。ならばこの辺はある程度もう少し様子を見ながら、地域的なところも当然考えていかなきゃいけませんから、そういった視点で、少なくともカムルチー、タイワンドジョウは今事務局が移しかえをされたわけですけれども、もっともではないのかなというふうに感じております。
 次にヨーロッパナマズですが、これについても第1回目に再三私はしぶしぶ難癖をつけてきたわけですが、イギリス、スペインで定着はしています。もともとヨーロッパナマズそんなにヨーロッパ全域というわけではございませんし、大きくなるという点で釣りのターゲットにはなっておりますけれども、その意味で移植されてはいますが、その生態系被害の事例そのものについては文献に至っても報告がないという点でございますので、やはり現実味がないという印象を持っています。しかし好餌の食生態を持っておりますから、その点では何にもしなくてもいいよというわけではございませんので、やはりもう少し慎重に動向を見るという視点で要注意としておくのがいいのではないかというふうに考えております。
 それからなかなか悩ましいところなんですが、ノーザンパイクにつきましては、もちろん大きな被害をアメリカ等では原産地で水平移動いたして、被害が出るという事例はございますけれども、それを全く根本的に異なる動物相の中で我が国に当てはめていいかどうか。まして先生方よくご存じのように、温度帯も少し北の方に傾いていますし、ですからその辺も今指定するのは科学者として少し痛しかゆしで時期尚早のような感じがいたします。ですからずるい言い方ですが、これも動向を見ながら要注意で、現状の知見のみで判断するのは困難ですから、要注意外来生物で少しトーンダウンをしてみた方がいいのではないかと。つまるところオオクチバスについては後ほど座長の方から論議するということですから、既に出された案件の中では、確実に我が国の魚類相に被害を与えているという点、まだ対処し得るというそういう視点を考えますと、少なくともコクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ、この3種、オオクチバスはあとで論議があるということですけれども、これが特定種にしておくのが科学的な裏づけもあって現実的ではないのかなというふうに私どもは考えております。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 日本の淡水魚と同時に外国の淡水魚を数多く見てきた私としては、今の細谷意見と全く同意見です。そしてもう一つ、データ主義といいますけど、そのデータにも科学的に正確なものから風評的なものまでいろいろありまして、それを吟味・判断をするのが我々の専門性ではないかと思っています。ちょっと偉そうですけど。その意味で、オオクチバスを除けば今の時点でこの3種を特定外来生物に指定することについては私も同意見です。
 葛西水族館でいろいろな地域の魚を扱っていらっしゃる櫻井委員、結論的でなくても結構ですのでご意見、コメントをお願いいたします。

【櫻井委員】 海外の事例になるんですけれども、実は最近ハワイの本をちょっと読みまして、非常にハワイには沖縄と環境が似ているところがあります。島しょだということと、周りが亜熱帯と、熱帯と亜熱帯はちょっと違うんですが、水域的には熱帯ですね、沖縄も。ハワイではホームアクアリュウム用の魚が非常にたくさん定着しておりまして、そういうものについても若干考慮が必要かなと思っております。それからあと今回指定の候補に上っているコクチバスとブルーギルとチャネルキャットフィッシュは、日本の温帯にはすべて広がる可能性がありまして、場合によっては北海道とか、南西諸島の方にも広がる可能性がある魚種です。今回はこれらの魚種のようにほとんどの日本を囲うような、カバーするような魚種だけをまず候補として考えた方がいいのでしょうかという点に関して、ちょっと私は逆にお伺いしたいところがあるのですが。要注意の方では、例えばサケ科についてはすべて要注意になっていますけれども、当然これも北の方か、冷水帯しか生息できないわけですから、考えようによっては現時点での分布が可能な日本の分布域をすべて覆っていると考えた方がいいかなと思うんです。これらのサケ科魚類もぜひ入れた方がいいんじゃないかというように私自身は思っておるんですが。ちょっと話が飛んでしまいましたが、その二つを少し。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 では他の委員のご意見を先に伺いましょう。北田委員、お願いします。

【北田委員】 私は前回はこういうものは安全を見て多いについては悪いことではないと申し上げたんですけど、今のようにデータを当たられて、直接被害の具体的な証拠がそこまでないということであれば、これはこれで外して結構かと思います。要するに立場ですよね、全部をだめというのか、被害がないのはよろしいというのかという話であって、外来生物全部だめという話も、そういう立場もあると思うんですけど、ちょっと現実には無理ですよね。そうすると被害のあるものということになってきて、こうなっているわけですから、この3種で専門的にこれ検討された結果なんでしょうから、これで結構かと思います。ただ要注意の要注意種というのがこの法律の枠外であるということなので、そこが何かちょっと大丈夫かなという、被害が未判定の方はまだ入っていないわけですよね。要注意は入っていると。要注意の方が赤信号に近い黄色かなんかわかりませんけど、そういうものだと思うんですけど、これを要注意に移すといいますか、特定から外すというのはこれで結構なんですけど、要注意の扱いはどういうふうに考えたらいいか。前回はなかった話ですよね。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 これからおおいに検討を要するのが要注意というカテゴリーだと思うんです。それからもう一つ申し上げたいのは、このような委員会というのはかなり永続的にやっていかなきゃならないものであって、要注意を含めてこれからずっとトレースしていく必要があるだろうと思います。
 では村田委員、お願いいたします。

【村田委員】 私としましても、特に大きな意見はないんですが、今先ほど来お話のありましたように、特定種とすれば3魚種ということになろうかと思いますが、確かに私北田委員のご意見に同調するんですけれども、やっぱり要注意という魚類についての今後の更なる検討というのですか、そういうものが必要かなというふうに感じております。
 以上です。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 事務局の方から要注意も含めて、これからどういう展開を想定なさっているかということも含めてご説明をお願いしたいと思います。

【堀上補佐】 まず特定外来生物の方なんですけれども、前回一応お話をしましたが、資料1-1で選定の作業手順というのを書いておりまして、それの2ページになるんですが、どういう知見を活用してこれを選んだかというのが書いておりまして、2ページの一番下のところですが、(2)の被害の判定に活用する知見の考え方、それのイなんですが、国外で現に生態系等に係る被害が確認されており、被害を及ぼすおそれがあるという科学的知見を活用すると。これは国内でそういう知見がない場合でありますけれども、そういう観点から先ほど細谷先生ご指摘のあった種類については、選んできた経緯が一応事務局としてはございます。ただその知見については日本の気候、地形等の自然環境の状況、社会状況に照らして、国内で被害を生じるおそれがあると認められる場合に活用するということでしたので、細谷先生のおっしゃるところはここにまだちょっとその知見が足りないんではないかということだと理解しますので、科学的にそういうふうにご判断されるということであれば、これは特定の候補として今回置いておくものではないのかなと。むしろ要注意の方に、先ほど細谷先生要注意の方に移したという、さっきお話ししたのはヨーロピアンパーチ等は移しましたけれども、それ以外のところはこれから整理ですので、今回そういうようなお話であれば、この4種については要注意の方に移してもよろしいのかなというふうに思います。
 要注意外来生物ですが、未判定と要注意とのまず違いということなんですが、未判定外来生物は国内に入ってないと、先ほどご説明したとおりですが、それが影響があるかないかというのはよくわかってないと。ただし申請があったときには黒か白か判定するということにしています。そういう意味では影響がないものも。含まれている可能性があります。それはその国内に入れたいという場合に判定するということで、黒だと、被害があるとなれば特定にすぐしますし、被害ないとなればそれは特に要らない。その段階では要注意に入れるというよりはもう判断してしまうことになります。要注意外来生物はもう国内に入っていますので、知見があるかないかをこれはもう見ていくということで、その知見があれば今の段階でもうそれは特定にします。そうでなければやはりもう少し知見が必要だといって、これはその知見収集に努めるということになりますので、要注意という言葉がちょっときついということもあるかとは思いますけれども、法律で規制をするということまではいかなくて、注意を要して十分知見を集積としていくという性格のものであるということであります。ですから今後知見を十分集積できたら、それは特定外来生物にしていくということでございます。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 今要注意がちょっときつい言葉かという話がありましたが、要注意というのはわかりやすいですよね。私にはむしろ未判定の方が何か曖昧な用語のような気がします。

【堀上補佐】 いまだ判定してないという趣旨です。

【多紀座長】 いまだ判定してないというのでは、要注意も未判定。魚全部未判定になっちゃう。

【堀上補佐】 ただ未判定外来生物は法律上の位置づけがありますので。

【多紀座長】 未判定外来種というのは、まだ入ってないんですよね。入った場合にはよく調べる必要があるというような意味と解釈していいわけですね。

【堀上補佐】 そこの被害があるかないかの知見については、その特定にするかどうかというところでボーダーラインができるんであって、その下の未判定と要注意はそれぞれどうかというのは余り実は比較ができないと思います。未判定は明らかに輸入の制限でありまして、入れたいとしたときには判断して入れることもできますし、あるいは特定になれば許可を取って入れるということですので、規制がかかっていると言えば輸入のところだけなんですね、そういう意味では。ですから、そういう意味ではそんなに実は変わらないんですが、外にあるのか国内にあるのかの違いであるのは確かにそうだと思います。

【多紀座長】 特定外来生物については今細谷委員からも提案がありました3種を、この会合で了解をして親委員会に上げるということですね。要注意生物の方は、今のところこういうリストがありますというふうに全体委員会に提出するんでしょうか。

【堀上補佐】 要注意の方は、他の分類群のもまとめまして、性格をもう一度こちらの方で整理して要注意として全体会合に出すということを考えております。実は全体会合の日程は1月31日を予定しておりますので、実は余り時間がございませんので、もし中身について何かあればできれば今日ご指摘いただいて、今後は全然受け付けないということではありませんし、これは随時更新していくべきものですので……。

【多紀座長】 その辺をちょっと指摘したいんですが、魚の世界、特に観賞魚の世界には多数の魚種がありまして、この場である程度の完成度を持ったリストを作ることは無理だろうと思うんですよ。ですから今後も検討を加え、その上で31日の委員会に出すということでいかがですか。

【堀上補佐】 座長のおっしゃるとおりで結構だと思います。

【多紀座長】 ではそういうことで、今後も委員で相談して最終的には私がまとめて出させていただくということでよろしゅうございますね。

【堀上補佐】 それで基本的に結構なんですけれども、1点この要注意リスト、他の分類群との兼ね合いもありまして、文献でなるべく指摘されているところを引いておく必要があると思っております。ですからある程度こういう文献等でこういう指摘があるということもあわせてデータをいただければ非常に助かります。

【多紀座長】 文献のないものは不可ですか。

【堀上補佐】 余り吟味している時間が実はないということです。暫定版としてはなるべく文献をいただきたいということです。

【多紀座長】 ということはあくまでこれは暫定版であって,今後変更もあり得る、と理解してよろしいわけですね。ありがとうございました。

【細谷委員】 前回1回目の反省もございまして、文献を余りにも偏重すると著者自体が気まぐれで書いているところもたまにございますので、特に海外の図鑑等ですね。あるいはマニアックな釣り程度の著者が書いているような現状もございますから、その辺はたとえプライベートインフォメーションであったとしても、現実的に各委員それぞれ経験もお持ちですから、そういったところを文献がない場合についてはだれだれ委員の情報によるとかいうようなこともある程度状況証拠として座長に伝えてもよろしいでしょうかね。

【堀上補佐】 それは座長のご判断にお任せしたいと思います。

【多紀座長】 私の判断基準の一つを言いますと、伝聞情報や引用を重ねていくうちに意見が事実になってしまう恐れがある2次情報、3次情報はなるべく入れないということです。ということで、互いに連絡しながら慎重に検討して、信頼できる文献情報があるなというものをなるべく絞っていきたいと考えております。
 バス以外の特定生物の指定についてはこれでよろしいですか。

【堀上補佐】 最後ちょっと確認させていただきますけれども、先ほどご指摘がありましたカムルチー、タイワンドジョウ、ノーザンパイク、ヨーロッパオオナマズは特定外来生物の今回の候補から除くということで、それに連なる未判定外来生物についても基本的には除くという理解でおります。そういう意味で1回中身をきちんと整理して座長とご相談をして全体会合に上げると。除いたものにつきましては、要注意、除いた特定外来生物候補であった4種については要注意外来生物の方に入れるということでよろしいでしょうか。

【多紀座長】 その未判定の中で括弧して何々を除くというのは、よろしいですね。事務局と相談の上、委員のご了承を得た上で、最終的なリストを親委員会に提出したいと思います。よろしいですね。
 櫻井委員。

【櫻井委員】 細谷委員にお伺いしたいんですが、今回実際に、タイリクバラタナゴとか、あとカダヤシとか、ニジマスとか、明らかな被害が出ている魚種というのがこの要注意の方に回っているような印象を受けるんですが、例えばこの3種を今回特定外来種の候補にあえて入れなかったというのはどういうような理由でしょうかね。

【細谷委員】 非常に難しい現実として、これほどまで日本の生態系を遺伝的にも生態的にも汚染しているのは事実なんですが、これに対して今具体的にどのように対策を立てるのかというところも視野に入れた場合、私自身名前だけあって、そのあと具体的なところまで責任を持って発言ができるかと。なかなか難しいところがございますので、ですから行く行くはその例えばバイオテクノロジーを用いたような方法を具体的に開発するとかというような方向性が見えたときに論議しておいた方がいいんじゃないかなと思うんです。その辺は科学的な事実だけをもって私もしたいところですけれども、ただそれに伴う現実性という点で戸惑う部分があるというところなんです。ですから全く名前つけないわけではありませんから、ちょうど要注意にとりあえずしておいた方がいいんじゃないかなというふうに感じているところなんですが、おっしゃるところは全く同感ですが、処置法が見当たらないということです。

【多紀座長】 これはこれから施行していきながら改善をしていくという生まれたばかりの法律なので、そういう点が今櫻井さんがおっしゃったほかにも結構あるんですよね。魚種指定の線をどこに引くかということも難しい問題で、いわく言いがたいところもあるし、我々ももっと勉強しなきゃならないところもあります。そこで環境省にお願いしたいのは、本法施行後も引き続き調査検討をしていく組織体制をぜひ維持していただきたいということです。
 ということで要注意外来生物も含めて、それから未判定の括弧内の何々を除くも含めて、これをさらに、もう一度整理した上で31日の全体会合に提出してよろしいでしょうか。

(異議なし)

【多紀座長】 ありがとうございました。
 それでは、次に一昨日行われましたオオクチバス小グループ会合の結果についてご説明をいたしますが、その前にその会合の論議について一言だけ座長としてのコメントを申し上げたいと思います。もちろん委員には各人各様の立場と意見がありますが、特に私がこの場で申し上げたいのは、オオクチバス等についてずっと魚類学的、生態学的な研究をしてきた3名の研究者側の委員、具体的に名前を出しますと、丸山委員と中井委員と瀬能委員ですが、この3人の方は、データが十分ですぐにでも特定外来生物とすべきである、あるいは6カ月を目途に検討するという場合も、指定を前提とすべきであるという意見でした。しかしこの3委員は、委員会をなんとか成立させるため、苦慮の末最終的には同意をしてくださったということでございます。
 では小野寺自然環境局長からご説明をお願いいたします。

【環境省 小野寺局長】 自然環境局長の小野寺でございます。お世話になっております。
 説明の議論に入ります前に一言だけ申し上げます。今日大臣からオオクチバスについてはまず指定ということを考えるべきであるという指示がありました。自然環境局長の私、あるいは担当の自然環境局としては、それを前提に物事を考えたいというふうに思っております。先生方同時に今日これからしていただくご議論、それから31日の専門家の全体会合のご意見が重要であることは引き続き同じでありますので、闊達なご議論をぜひお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 では、続きまして、事務局から資料のこれは2になりますか、についてご説明をお願いしたいと思います。

【堀上補佐】 オオクチバスに関する資料2-1と2-2でございまして、2-2の方は情報ということでありまして、この情報をもとに今まで議論が小グループの方でなされております。その結果資料2-1の方で最終的に提案がされたというところでございます。
 資料2-1についてざっとご説明をしたいと思います。オオクチバスの取扱いについて。この小グループで議論を重ねてきたということで小グループとしてのこれまでの検討結果を報告するという形になってございます。
 報告の内容につきましては表裏ございますが、最初の方が今までやってきた知見についての考え方の整理ということ、それから裏の方で下の方の丸が提案という形になってございます。
 最初の丸ですが、ここは生態系への被害の内容について書いてございます。オオクチバスの全国的な分布実態、生態系への影響のメカニズムについて必ずしも全貌が解明されているわけではない。しかしこれまでの小グループでの検討の過程で知見が得られておりまして、その中では地域的な在来生物の絶滅をもたらし得るということ。それから在来生物の生息環境に著しい変化をもたらし得るということ。生物群集や種間関係の著しい変化をもたらし得る。そういうことから生態系被害を及ぼすものであることを否定することはできないと。水産業へも一定の被害があるとの報告がある。ただし被害の状況についてはこれ以外に環境改変等の影響がある。あるいは個々の水面によって差異があると。一律にとらえられるものではないことに留意が必要であるということでございます。
 二つ目の丸ですが、分布拡大の現状に関しまして書いておりまして、漁業調整規則に基づきまして46都道府県ですが、内水面への移植禁止措置が取られていると。しかしいまだに新たな水域でオオクチバスが発見される事例があって、その原因不明とする意見もございますが、これまでの知見によれば人為により持ち込まれていると推定するのが妥当であると考えられるということでございます。
 三つ目の丸ですが、外来生物法による規制をかけた場合の中身ということで書いておりまして、オオクチバスのこれ以上の分布の拡大を抑制する必要があることについては小グループ会合では共通の認識となってございます。こうした面で全国的に対応できる法令としては外来生物法が効果的な枠組みであろうと。外来生物法では対象となる生物の輸入、飼養、運搬、保管、譲渡譲受を規制することができるということでございます。その際には芦ノ湖等4水面について既に第5種共同漁業権が設定されておりますので、そのことには配慮を必要とすると。法律上は釣りそのものの行為、あるいはキャッチアンドリリースの行為は禁止するものではないと。適性に管理された釣り堀に関しては、許可の対象とされるということ、こういったことに留意が必要だということでございます。
 それから四つ目の丸が防除の現状と課題ということで挙げておりまして、既にさまざまな地域で防除のための活動に着手しているところがあると。一方で水面によってはオオクチバスの釣りをしていると。釣りをしている利用者が多く存在すると。こうした状況において今すぐに特定外来生物に指定されると釣り人の間に混乱が生じるおそれがあると。そういう指摘がございました。そういったことからどのような水面でどのような防除を行っていくのか。あるいは直ちに防除に着手する必要がない水面はどういうところなのか。そういったことについてあらかじめ一定の考え方、方向性を整理し示していくことが必要であるということが示されてございます。
 その次の丸ですが、ここは外来生物法における防除の考え方を述べておりまして、防除の考え方としましては、被害の状況を勘案して完全排除、封じ込め、あるいは影響の低減といった適切な目標を掲げると。優先順位をつけながら防除を実施していくことが必要となると考えられると。防除に係る方向性・考え方を明らかにするために必要なデータ、全国の水面の特性あるいは被害に応じた防除方法の考え方についてはまだ十分な状況ではないということを認識として掲げておるところでございます。
 これらを受けて、提案として小グループはオオクチバスについて以下のように取り扱うことを提案するとしております。
 以下読み上げますが、オオクチバスについては広範に現に利用されている実態に鑑み、指定する前に指定後の防除のあり方(どの水域について防除に着手するか等)について予め準備を行うことが本法の円滑な運用と制度適用の実効性を確保するために適切である。被害防止のために不可欠な防除については、防除のための行動及び情報双方の観点から関係者が大同団結し、国民運動的に取り組んでいくことが重要であり、このため防除対象水面の特定、実態等の把握を行うとともに、防除に係る指針についての共通認識を形成することに直ちに着手する。具体的には、学識経験者を中心に、環境省、水産庁、地方公共団体、漁業関係者、釣り関係者等による合同調査委員会の設置を決め、2月初めにも作業方針を決定、調査に着手する。調査委員会では以下の作業を行う。一つ目がモデル防除事業実施を含めた防除の指針(どの水域において早急に防除を行うか、どの水域については直ちに防除を行う必要がないのか等)の防除の指針の策定。指針策定のために必要な現地調査、ケーススタディ分析を含めた全国の生息状況、被害状況の把握。三つ目として、そのようなことに関して普及啓発方針の策定をすると。
 こういった作業について作業をこれから生かすということなんですが、最後のところですが、オオクチバスによる生態系等に係る被害を防止することは喫緊の課題であり、本法の枠組みを活用することが重要である。上記の準備を経て、半年を目途に指定に向けた検討を進める。
 以上が小グループ会合での報告でございます。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 要するに、生態系や水産業に対する影響があることはもうこれは否定できないことであり、人為による持ち込みがあることも否定することはできない。そして一方、本法は釣りそのものやキャッチアンドリリースを禁止するものではない。ただし本法の施行に当たってはそのさまざまな背景を考慮し、法の円滑な施行と実効性の確保のために合同調査委員会を設置し、半年を目途に指定に向けた検討をするというのが結論でございました。
 これをこの内容のとおり31日の全体会合に報告することになるわけですが、先ほど自然環境局長もおっしゃいましたように、魚類グループは魚類グループとして各委員のご意見を述べていただいて、それを忠実に親委員会に報告したいということで、オオクチバスの取り扱いに関し皆さんの率直なご意見をお願いをしたいと思います。
 まず、北田委員からお願いいたします。

【北田委員】 突然でちょっと準備してなかったんですけど、これはこういう結論に落ち着くまですごくいっぱい議論があって資料をいただいて目を通していたんですけれども、妥当なところに落ち着いているなという感想を持っています。半年というのが長いか短いかですけども、すぐにやるといった場合は、全国にこれだけ広がっているものをすぐには取りかかれないと思うんですよね。その期間として半年というのがどれぐらいかかるかわかりませんけども、やっぱりこういう期間はいるなと思います。ただ先ほど少しご紹介があったように、半年を目途にするのか、何か期限をするのかというのがあったようですけども、やっぱりある程度決めておいた方がいいかなと思いますけども。こういう方向でよろしいんではないかと思います。
 将来は私個人の意見は、特定4湖は平成25年までたしか漁業権免許されてますよね。ですからそこはもう平成25年まではいたし方ないんだと思うんですけども、その他の地域については順次駆除をしていくと。議事録を読ませていただいて、ある程度のところで管理するというのが可能ではないかと、そういうご意見もあったと思うんですけども、ある程度のところじゃおさまらないわけですよね、この魚種は。それはこれまでの実績でわかると思うんですけども、だからやるんだったらもう全部駆除するという方向が私は望ましいと思います。1回目はこれで指定していくということで第1ステップはこれで結構かと思うんですけども。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 前提としてこのような準備期間を設けるのもよいのではないかということですね。

【北田委員】 もちろん今日大臣がそういうことをおっしゃったということですけども、すぐにできるのであればやはりその方がいいでしょうけど、でもちょっとすぐにはなかなか難しいかもしれませんね。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 あとは特定4湖は別にして、将来的には中途半端なものではなく全面的な措置が必要であるというご意見ですね。わかりました。
 それでは櫻井さん、ご意見を、長くなっても結構ですから。

【櫻井委員】 現在はバス自体が沖縄を除く全都道府県で移植を禁止されていると、表向きはそうなっていますが実際にはこの移植禁止措置はあってないようなもので、かなり自由にというか、バス自体が広がっているのは事実だと思います。ですから今回のオオクチバスの取扱いについては苦汁の策というか、そういうイメージを私自体は持っております。この半年間で要は実際のバスがどのくらい在来の生物、これは魚類だけじゃなくて、あらゆる他の生き物に対して影響を与えていると思うんですけれども、こういうものが実際に起きているんだということをバッサーの方が納得するための期間じゃないかというぐらいに私自身は思っています。ですから本来でしたら明日にでも指定すべきだと個人的には思っております。でもそれやっても実際に現在でも移植禁止の都道府県の条例のような形で、この法律が全く実行性のないものになってしまったら、それはそれで困りますので、そのための冷却期間といいますか、そういうふうにとらえるのがいいのかなと思っております。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 できれば明日にでも実行すべきであるけども、実効性を考えると、ある程度の助走期間があっても悪くはないというように集約してよろしいですね。ありがとうございました。
 次は細谷委員です。よろしくお願いします。

【細谷委員】 私は本委員会とそれから小グループ会合、両方の委員を兼ねておりますので、それぞれ立場を変えて意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず小グループ会合に対して、私は一昨日は自らの意思によりもうこれ以上論議をする必要がないという判断で白票といいますか、欠席させていただいたわけですが、その理由は、今日もう既に科学的な知見を十分に論議し尽くしているにもかかわらず、それが会議の進捗上一向に評価されないと。これが第1点と。2番目は指定を前提としない論議が常に先行してきたと。なぜならばこの特定外来法そのものは選定を目指したものであって、決して対策を目指したものではないというところから始まっていたにもかかわらず、主題が本末転倒になってきたというところにございます。それに対して結論に対して小グループの委員としての私の印象ですが、第4回目に出された最終的な結論でございますけれども、これは一つ一つ見ても依然として指定を前提としていない。それがために半年後たったときにそれを収拾する可能性があるかどうか。甚だ疑問であるということと、モデル一つ一つ見ても、先般水産庁が同じような論議をして同じくゾーニング案が出されて、水産庁でさえもそれをまとめ切れなかったものが実際にはこういう形で直ちに防除を行う必要がある場合とそのない水域に分けてケーススタディを行うと。それが環境省、産業のバックグラウンドがないような環境省が、なぜそのところまで踏み込むのかということがまず非常に疑問に思います。
 それから櫻井委員が言われたように、この半年とそれから②のケーススタディを行うというこの期間の時間的なずれ、科学的に見ても何ら整合するところがないというふうに考えております。もちろんこの間ルアー釣り団体と研究者が同じ土俵に上がってお互いに主張するところは理解できたとは思いますが、そこのところに何か私たちが反省するところがあるかというと、そういうわけではございませんので、ここに出てきた案は何ら実行性のない、ひどい言い方ですが、まさに絵にかいたもちに過ぎないというふうに思います。もちろん3名の先生方、魚類学者はそれをゴーサインを出されたわけですが、突き詰めて科学者倫理といいますか、研究者倫理を考えたときに、何ゆえ半年をもってできるのかという点では、最後まで私は理解することができないということでございます。したがって、また繰り返しになりますが、小グループの委員としては出てきた結論に対してはいまだ納得がいかないということでございます。
 それから、今度は本委員会、専門家グループとしての委員でございますけれども、これはあらゆる意味においても緊急の事態であるということを私たちは認識すべきであるというふうに考えております。その理由は小グループでも既にデータは出しましたし、被害実態が極めて深刻に進んでいるということであって、たとえ密放流がないと言われたとしても、科学的に遺伝的にあるいは栄養学的に証明されるように、あれは道路の周辺ばかりがどんどん年々ため池がブラックバスで汚染されている状況。それからレッドリストの中で、絶滅危惧一類の全タナゴが急減している理由は、まさに外来種、ブラックバスの影響があると。その辺を考えれば、一刻も早く何らかのマークをすべきである。それは特定外来種としてのマークであるというふうに理解しております。そういう意味では国内の事情を考えても、あるいは本法がもともとこのことをまさにオオクチバスを目途に進んできたというふうに私は理解してきましたが、まさにそれをもってしてしか、この法律の意図するところは方向性は全うできないのではないかと。これは国内的な理由でございます。
 第2に国外的な理由でございます。これはもちろん生物多様性条約締約国でございますし、それを受けて国家戦略ができて、環境省が画期的にこのような特定外来生物法を提案してきたわけですけれども、国際的に見た場合には、現在韓国、中国、タイに我が国からまさにブラックバスが秘密裏に安易に移植されているというような事情を考えれば、これは輸出国も責任を問われるような事態になってきますが、そういった意味で我が国が外国に向けても東アジアの環境先進国を自負するならば、一刻も早くその決断をしていただきたいというふうに考えております。31日はもうまさに一番最初にイの一番にオオクチバスを特定外来種として出していただきたいというふうに考えておりますし、繰り返しになりますが、GBS、グローバル・バイオダイバスティー・ストラテジーの中で外来生物を含む地方生物、生物多様性の取り組みはその国の文化程度をはかるツールであるということでございますので、ここは我が国の姿勢がまさに問われるという意味で考えていますので、ぜひとも31日はこれを挙げていただきたいというふうに考えております。
 以上です。

【多紀座長】 31日には、ぜひとも全体会合でオオクチバスを特定外来種に指定してもらいたいと。結論的にはそういうことですね。ありがとうございました。
 では村田さん。よろしくお願いします。

【村田委員】 私は一つちょっとお聞きしたいんですが、半年を目途にというその半年の目途の作業というんですか、その辺はどういうような内容になっているのでしょうか。

【環境省 上杉企画官】 資料の中で書いてございますように、合同調査委員会を設けまして、関係省庁あるいは地方公共団体、漁業関係者、釣り関係者等というところで情報を持ち寄って防除の指針について作成をしていくと。現地でのモデルケーススタディーなんかも含めてそういうものをつくっていく。そういう作業をするのに6カ月程度かけたらどうかというのがこの提案でございます。

【村田委員】 どちらにしましても、すぐにというのは大変なんだろうと思いますけれども、先ほど細谷先生がおっしゃられましたように、やはり一時でも早くというんですか、そういう一つの率直な私の意見でございます。
 以上です。

【多紀座長】 一時もでも早く指定をしてもらいたいというのが、村田委員のご意見ですね。お四方の意思を確認する意味で私がまとめて発言しましたけれども、このようなご意見はそれを忠実に私から全体会合に報告いたします。
 ということでよろしゅうございますか。

(異議なし)

【多紀座長】 ありがとうございました。
 あと議題はその他に入りますが、ここで一つ質問があります。この魚のグループ会合は、委嘱期間が過ぎてあとはどういうことになるのでしょうか。

【上杉企画官】 まず非常に実務的な話から申し上げますと、未判定外来生物が何種類も指定をされることになってまいります。そうするとこれが例えば輸入をしたいという方から届け出が出た場合に、直ちに判定をしなければいけないと。そういう場合には当然この魚類グループにお諮りをして決めていくということになってくると思います。そういう意味では年度を越えて法律が動き出して、そういう申請があれば直ちに判断をしていただく場が出てくるというのが1点でございます。
 それからもう1点は、先ほど話がありました要注意外来生物を含めてということになりますけれども、もちろん今回選定されたもの以外にまだ特定外来生物たり得るものも当然今後あり得るということで、来年度におきましても少しそういった観点から情報を我々としてももう少し集積をしまして検討を深めていく場をつくっていきたいというふうに思っております。具体的な作業の方針はもう少し時間をいただいて、それからお示しをしていきたいと思っています。

【多紀座長】 この法律が動き出してからも機能は必要であり続くということですね。
 ここで水産庁の方から何かご発言はありませんでしょうか。

【水産庁 佐々木補佐】 1点だけ前回北田委員の方から海面養殖において、外国の種苗を導入して影響があるものがあるのではないか。調べてみるべしというご指摘いただきまして、これにつきましてこれは水産庁の委託事業で15年度実施したようなことがございます。そしてその中にもちろん専門家も入っていただいての委員会を設けて見ていただいたところ、今直ちに被害が科学的に確認された種はないということでございますけれども、先ほど資料の中にありましたタイリクスズキにつきましては、心配がございますので、要注意種に載せるということが今日お話し合われて、それで今後調整して確定すると存じますので、それにつきましては今後養殖業界にこのような状況を知らせまして、そして先ほど来のご議論ではありませんけれども、ちゃんと水産庁としましてもしかるべき調査、状況のモニターというものを行い、絶えず注意を喚起していくということで対応したいと存じます。そしてまたそういった状況がこれでおさまればいいですけれども、もし万が一不幸にも魚種が増えるような場合につきましては、またそのときにご意見をいただきながらできるだけ抑制的な方向で対応していきたいと考えております。
 以上でございます。

【多紀座長】 ありがとうございました。前回も話がありましたが、水産養殖では外来種の問題が発生する可能性があり、その意味で村田委員、北田委員の存在が大きいと私も理解をしていました。ありがとうございました。
 他に委員の方からその他として何かご発言されたいことありましたらぜひ。

【櫻井委員】 これどちらが所管されるかちょっと私は存じ上げないんですが、最近管理釣り場、ルアーフィッシング用の釣りが非常に増えていまして、中にはとんでもないものを釣らせるところもあるようです。例えば今回の資料に入っていますが、グレーリングが入っていたりとか、またバラムンディーと言うのですか、日本のアカメのもとのやつですね、あれを釣らせたりというのです。ひどい場合ですとピラルクが入って、これはもうちょっと(特定外来種の問題とは)関係ないんでしょうけれども、基本的に何が入るかわからないという実態がありまして、当然その中には非常に怪しいやつが危ないやつが結構ある可能性が高いわけです。ですからここら辺の情報をどこかでリアルタイムとは言いませんけれども、かなりそれに近い格好で魚種を抑えて、どういうものが実際に放流されているのかというのを把握していただけると非常にプラスになるであろうと思います。それからあと管理釣り場と言いましても、河川そのものみたいなものから、完全に区画を切ってしっかり管理しているところまであるとは思うんですが、特に河川の一部を切っているようなところに関しては、(飼育している魚が)そのまま逃げちゃう可能性が大なわけです。そういうような管理の状況も含めましてどこかで把握していただけるといろいろな意味でプラスになるかと思っております。

【多紀座長】 貴重なコメントをありがとうございました。確かにそのとおりで、釣りもそうだし、観賞魚もそうだし、本法が実際に施行になった場合、業界の自主的な努力をプロモートする仕組みも必要ではないかと思います。
 他に何かコメントはございませんか。じゃあ事務局からその他で何かございましたら、ありませんか。まだ時間もありますので。

【北田委員】 せっかくの機会なので。この法律は外来種を対象にしているものですけど、非常にいい画期的なものだと思います。これはあれですよね、対症療法といいますか、種類を決めて、こういう被害のあったものは特定に挙げて、そういうことのないようにしていこうということですよね。それから対症療法プラス予防が入っていて、未判定なものはまだこれからなんだけどというのも入っていますよね。これはこれで非常に素晴らしいわけですけれども、個別対応なわけですよね。個別魚種と言いますか。それでかねがね私たち海の方の水産の分野の方は、放流とかいろいろやっているわけですけども、天然資源というのが、野生資源もそうでしょうけれども、無主物ですよね、日本の法律では。民法法上はそうなっているということなんですけど、それで内水面の第5種共同漁業権とかそういうものは海の方でも第1種共同漁業権、そういう対象種は漁協が管理するというふうなそういう権利を免許しているわけですよね。だから資源そのもの、制度そのものは無主物なわけですよね。だからこの野生の内水面のこういうものがそこをちょっと私わからないんですけど、例えばため池、個人の所有のため池、そこに入っているものは個人の所有物なんでしょうね、きっと。森林なんかでありますよね、下草なんかキノコ類は山の持ち物のだけど、何かちょっと大きいものは何か違うとかなんかです。いろいろあるんですけど、それはどういう。

【多紀座長】 自分のところのため池の魚は自分のものなんでしょうね。

【北田委員】 ちょっとわからないんですけど。

【多紀座長】 どうなんですか、その辺は。

【水産庁 小林補佐】 漁業法上の話をしますと、釣り堀等については一切かかわりはないといいますか、河川ですとか海面については漁業法で規制をされますけれども、釣り堀については漁業法上も管理されないということで、この法律ができれば恐らくこの法律に基づいた形で釣り堀等も一緒に含めた形で管理をしなければいけないというふうには考えておりますけれども。よろしいでしょうか。

【北田委員】 釣り堀だとそういうことを営業としてやっているわけですね。そうではなくて、野池というのですか、そういう池で魚がいますよね。そういうものはだれのものなのか。あるいは無主物なわけですね。ここで議論している話は、川でも池でも沼でも、そういう野生生物、特定4湖以外は漁業権ないわけですから、だれが釣ってもいいわけですね。そういうものを管理しようとしている話であって、そこのこれはこれでいいわけですけれど、もうちょっと別の視点があるんだと思うんですよ。そういうものの何かなんていうかな、これからそういうものが、海の方ではライセンスなんか今ないですけど、そういう別の枠組みというのがいるのかなという気がするんですけど、そういう検討は水産庁あるいは環境省はされていないでしょうかね。

【上杉企画官】 にわかにお答えしがたいところがございますけれども、基本的に公的な水面の生きもので見れば、これは基本的に無主物になりますので、陸上であれば例えばけものは鳥獣保護法という法律で一応管理をする形ができておりますけれども、これは狩猟するというふうな形になっておりますが、ちょっと水の中については先ほどの漁業法の解釈ということになると思います。そういう意味では適切にどう管理していくかという観点で必ずしも十分カバーできてない部分があり得るかなということを今お話を聞いて感じ取ったところでございますが、ちょっとまたそこの点については我々としても勉強は少ししていきたいというふうに思っております。現時点で多分そこを的確に対応しているようなものはなかなか見当たらないのではないかなという感じを持っております。

【北田委員】 これは野生生物が無主物であって、今非常に大事だというのが皆さん共有認識ですよね。だからそういうものは国民共通の財産というふうに思えば、そういうものに対する制度といいますか、そういうのがこれから必要になってくるんではないかなと思ったりもするんですよね。おっしゃるように今後の課題なんですけども、せっかくの機会なんでちょっと申し上げたのです。

【多紀座長】 法的なしっかりした解釈と立場が必要だという意味もありますね。わかりました。他に。細谷委員、お願いします。

【細谷委員】 まだお時間があるということで北田委員の意見からちょっと頭にピンと思い浮かんだことがございますので、今北田先生がおっしゃったように、たとえ無主物であっても国民共通の財産であるという、それはまさに生物多様性の視点そのものであるというふうに私は感じております。この法律はもちろん選定ではありますけれども、その後に防除の仕方であるとか、実際の駆除のプロセス等今後さらに発展していくと思います。オオクチバスについては、確かに一筋縄ではなかなか個体の壊滅的なものにまで戻すことはできないとは思いますが、できないできないといって現実に実行しているわけではないわけです。伊豆沼であれ、琵琶湖であれ、徐々にその効果が出始めているということ、それと今先生が無主物でこういったものの在来生物が大事だということは、外来種問題は裏を返せば在来種を守るというまさに生物多様性の問題根幹にかかわってくると。私が今感じるところは、たとえゴールが遠かろうが、今駆除そのものをすることによって髄分あちこちで付加価値が出てきていると。すなわち各地でNPOであるとか、それから小さな自然保護団体がたくさん生まれて、いまやまさにバス駆除を通じて里山の自然を見直そうというそういう機運が生まれているという、これは今までにない方向性ですから、ネガティブにとらえるだけではなくて、まさに小グループでもう少しいい方向に持っていけばいいと思いますけれども、やりようによっては私たちが予想もしないような、駆除そのものがもっと生物多様性に結びついて日本の自然を見直そうと、まさに本当の意味の環境教育に適合していくんじゃないかなと、そういうような期待感があります。いわば河川清掃、小学校の児童がみんなそろって河川を清掃するように、生き物の清掃をする。もう少し実際に皆さん子供であれば、みんな狩猟本能がありますから、我先にとっていく。大人であっても童心に返って狩猟本能がありますから、それを通じて都市住民とそれから里山の人たちがまたつながりを持つとか、あるいは忘れかけていた日本の自然の風土、そういったものを見直す機会にもなりますから、ですからそうネガティブなものばかりではなくて、駆除を通すことによって地域、村おこしも発展していくんじゃないかと、そんなふうに感じております。

【多紀座長】 ありがとうございました。
 他にございませんか。もし事務局もないようでしたら、最後に小野寺自然環境局長からごあいさつをお願いしたいと思います。

【小野寺局長】 大変ありがとうございました。ご結論、ご意見を重く受けとめて次のステップにまいりたいと思います。それから最後に幾つか根源的なことについてもご示唆をいただきました。私はずっと自然保護の世界で仕事をしてきております。全くおっしゃるとおりの問題意識でやってきておりますし、何か具体的に一歩を踏み出すようなことも今後考えるべきであるというふうに思っております。いずれにしましても本日はまことにありがとうございました。

【多紀座長】 どうもありがとうございました。
 今、局長がおっしゃったように、短時間ではありましたが貴重なご意見を賜り、実りの多い会合であったと思います。
 どうも皆さんありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。