環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第1回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)議事概要


1 日時 平成16年11月12日10時~12時
2 場所 環境省第1会議室
3 出席者 (委員)多紀 保彦(座長)、北田 修一、細谷 和海、村田 修 (櫻井 博委員は欠席)
(環境省)生物多様性企画官、野生生物課課長補佐
(農林水産省)水産庁生態系保全室長、水産庁栽培養殖課漁船検査官、水産庁沿岸沖合課課長補佐
4 議事概要
(事務局より資料を用いて説明し、質疑応答。)

(委員からの主な意見)

〔特定外来生物の選定の進め方について〕

  •   資料2-2の選定の際の考慮事項について、生態系等に係る被害防止と社会的・経済的影響の関係について環境省の考え方を再度確認したい。経済的影響はまだ良いが、社会的影響という部分の意味は分かりにくい。いずれにしても生態系等への被害の防止が第一であると考えて良いか。
(事務局) 生態系等に係る被害の防止が第一義であるが、社会的経済的な影響についても個別にみていきながら考慮していく必要があると考えている。

〔特定外来生物(魚類)の選定について〕

  •  日本のワースト100,世界のワースト100とあるが、何がワースト何か教えてほしい。
(事務局) 侵略的外来種として世界で影響の大きなものをIUCNが100種選定したもの。日本のものは生態学会が作成した。
  •  IUCNは、侵略的か否かは、生態系、農林水産業、人の生命身体などについても評価しているのか。
(事務局) IUCNは生物多様性への影響があるかの観点から評価している。

〔オオクチバスについて別の小グループを作って議論することについて〕

  •  オオクチバスの小グループができると、この魚類分類群グループでは、オオクチバスについて一切議論しないということなのか。
(事務局) 小グループの結論は、最終的には、この分類群グループに報告して確認した上で、全体会合にあげていくことになる。
  •  小グループがあげてきたものについて、この分類群グループでもう1度ディスカッションすることはできないのか。
(事務局) この分類群グループで議論が可能なのは当然ではあるが、小グループでは関係者を集めてより深い議論をしてくることになる。
(事務局) 小グループの意見は、参考というよりは、かなりしっかりと議論をし、結論を出してきたもの。
(事務局) 法律上、意見を聴く相手は学識経験者。利用者代表は、実質的には対等に議論に参加してもらって良いと考えている。
(事務局) 全体専門家会合の議事要旨を読むと、全体会合の委員も各分類群グループ会合の案内をもらい、参加した場合には意見を言えることとされている。この分類群グループと小グループとの間でも同じ事を確認しておけば有用ではないか。
  •  分類群グループの委員が小グループにまで参加していると人数が多くなりすぎて大変。そういうやり方はあり得ないのではないか。
(事務局) 実際出るかどうかは各委員のご判断。この分類群グループにしか属さない委員にも、事前に案内があり、出席して発言することも可能であり、常に議事要旨が届くということを確認しておけば良いのではないか。
(事務局) 小グループ会合開催の案内は各委員にもお送りするので、発言する必要があると思えば来てもらって発言していただいて良い。適宜、情報は流すということでやっていきたい。
(事務局) 今回の小グループは特定外来生物の選定にあたって学識経験者の意見をきくもの。この小グループの学識経験者には、市民団体の動きにも詳しい人が入っていると考える。県の対策の現状については、地方自治体へのヒアリングが必要であればやっていきたい。
-特に反対する意見なく了承-

〔特定外来生物の選定作業が必要と考えられる生物(資料3-4)について〕

  •  この場で確かめておきたいのは、これからも種の追加、異動がありえるということで良いか。
(事務局) 全体の作業手順も踏まえて、今回、整理しないといけないものを入れたもの。第2、第3次の指定もありえる。
  •   当面、これに絞って議論しようと言うのは分かるが、特定外来生物と未判定外来生物の関係がわかりにくい。次回以降に選定を考える目録として種を追加することは可能か。
(事務局) 今回挙げたものは、被害について明記した文献があったもの。情報が有れば、対象にはなりえる。
  •   ノーザンパイクとヨーロッパオオナマズは日本には定着していないが、海外の事例があるからここに入れたとのことだが、資料3-5では未判定の候補としてケツギョが挙げられてる。ノーザンパイク同様未判定ではなく、一気に特定外来生物に指定した方が良いのではないか。
(事務局) 海外で被害があって国内でも被害を及ぼすものであれば、特定外来生物にすべきであるが、こちらでそのような指摘のある文献は見つけられていない。また、輸入実績のないものから未判定を選ぶことになっており、ノーザンパイクとヨーロッパオオナマズは既に輸入されているので、未判定とするよりは特定外来生物とするほうが良いとの観点でこのように整理している。
  •   魚類は哺乳類などとは違って、コイの中にも魚食性のコイもいれば、プランクトン食性のコイもいる。科とかで網をかけるのでは危険。また、未だに分類も流動的で動き続けているものなので、科や属の単位で切るのではなく、実態に即して考えるべきである。
(事務局) それに関連してご欠席の櫻井委員より意見をいただいている。「特に熱帯産淡水魚は、業界名や流通名、杜撰な同定による学名を記されて近年多数輸入されており、ナマズ目魚類などでは未記載種と思われる個体さえ含まれるなど、種・亜種名でリストアップしても実効性のあるリスト作成は期待できないと考える。」これは、特定外来生物というよりは、未判定外来生物の選定に際して特に参考になると考える。    

〔未判定外来生物、種類名証明書添付生物(資料3-5)について〕

  •   未判定外来生物に、パーチ科4属をあげているが、ヨーロッパでスポーツフィッシングの対象として人気のあるパイクパーチは何故入っていないのか。どのようにして選ばれたのか。
(事務局) フィッシュベースというデータベースから、魚食性のものを選択し、さらにその中で体長の小さいものを除くなどして絞り込んだ。パイクパーチが入っていないのは、選定上のミスが生じているようなので、再度精査してみたい。
  •  精査も必要なようであるが、未判定外来生物について、今日、すべて決定する必要があるのか。
(事務局) 今日全て決めていただく必要はない。こういった情報があるなどのご指摘が有れば事務局までいただければ、修正して次回の会合の際にお示ししたい。
(事務局) 資料の内容については水産庁とも相談しながら作成しているが、再度確認することにしたい。

〔その他について〕

(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)