1.日時
平成29年2月23日(木)10時00分~11時40分
2.場所
環境省第1会議室(22F)
3.出席者(敬称略)
- (委員)
- 村上 興正(座長)、石井 実、角野 康郎、小林 達明、芝池 博幸、成島 悦雄、長谷川 雅美、風呂田 利夫、細谷 和海、森本 信生
- (環境省)
- 自然環境局長 亀澤、自然環境局野生生物課長 植田、外来生物対策室長 曽宮、外来生物対策室長補佐 立田、外来生物対策係長 若松
- (農林水産省)
- 大臣官房政策課環境政策室課長補佐 髙濱、消費・安全局植物防疫課係長 田中、農村振興局農村環境課鳥獣対策室課長補佐 久保、水産庁増殖資源部漁場資源課課長補佐 城崎
4.議事概要
(1)今回指定の考え方について
(事務局から資料1、資料2に基づき説明)
<哺乳類・鳥類グループ会合における議論の補足>
- (村上座長)鳥類2種の指定について異論は無く、賛成との結論であった。哺乳類ではリスト掲載種のうちクマネズミ、ドブネズミ、ノネコ、ノイヌ、ハクビシン、フェレットなど12種が未指定で、生態系影響が顕在化しているものも多い。一方で指定の効果や合意形成に問題があり、管理も比較的困難なため、今後は優先順位のつけ方について議論すべきとの意見が出された。
<昆虫類等陸生節足動物グループ会合における議論の補足>
- (石井委員)今回の結論に達した背景としては、マルバネクワガタ属10種は、国内希少野生動植物種との交雑のおそれがある。クビアカツヤカミキリは定着初期であり早急な指定による対策が求められる。アカボシゴマダラは意図的な移動や放蝶による奄美諸島固有亜種との交雑のおそれがある。
<その他の無脊椎動物グループ意見聴取会合における議論の補足>
- (風呂田委員)本分類群には、まん延状態のものや非意図的に導入されるものが多いが、対策を進めるにはモニタリングや情報収集の体制構築が必要との意見が出された。またシナハマグリやホンビノスガイは一般に利用されているが、購入者に外来種であることを知らせるような及啓発が必要との指摘がなされた。
(2)特定外来生物等の選定について
<鳥類>
(事務局から資料3、資料4に基づき説明)
- (細谷委員)ヒゲガビチョウは愛媛県で定着しているとのことだが、迷鳥の可能性はないか。迷鳥でない根拠を教えてほしい。
(環境省 若松)ガビチョウの仲間は現地では渡りをせず、移動距離が小さい。日本でも放たれた場所で定着し、そこから徐々に分布域を拡大していると考えられる。
- (細谷委員)ヒゲガビチョウの移入個体と原産地の個体の遺伝子解析はされているか。
(環境省 若松)解析されているとの情報は得ていない。
(細谷委員)予防原理での指定は理解できるが、議論の過程をうまく説明できるかが気になる。
(村上座長)ヒゲガビチョウは未判定外来生物指定時点では定着の有無が未確認であったが、その後定着が確認された。また同様の特徴をもつ他のチメドリ科ガビチョウ属の3種が特定外来生物に指定されていることから、指定が妥当であるという理論になる。未判定外来生物では実態にそぐわない。
- (村上座長)当専門家会合として、シリアカヒヨドリ、ヒゲガビチョウの鳥類2種類を、資料3の「評価の理由」に基づき、生態系に係る被害を及ぼすおそれがある生物として、特定外来生物に指定するべきとの結論でよろしいか。
(一同了承)
<昆虫類>
(事務局から資料3、資料4に基づき説明)
- (芝池委員)クビアカツヤカミキリが加害するというバラ科果樹には様々な種類があるが、果樹園への侵入状況の把握は進んでいるのか。
(農林水産省 田中)現に今、徳島県で果樹園での被害が確認されている。
- (村上座長)アカボシゴマダラはマニアが飼育、放蝶しているのか。
(石井委員)関東地方では自力で分布拡大しているが、飛び地で発生してそこからまた拡がる傾向がある。また、奄美在住の人が神奈川県から外来亜種を持ち帰って飼育していた例があり、今後も奄美大島で外来亜種が飼育、放蝶される可能性はある。
- (村上座長)ホソオチョウもそうだが、マニアによる繰り返しの放蝶があり、やがて定着してしまう。指定後の管理はどのようにすべきだろうか。
(石井委員)昆虫学会や日本鱗翅学会、商業誌等のチャンネルを通して、外来種の生態系被害を啓発し、持ち運びや放蝶はやめるように呼びかけている。しかし学会員以外には伝わりにくい。モラルの徹底、普及啓発は、継続していかなければならない。
- (細谷委員)アカボシゴマダラ奄美亜種には、亜種和名はついていないのか。亜種和名があることによって、外国産亜種との区別がつきやすくなり、希少な固有亜種であるという理解がされやすいのではないか。
(石井委員)昆虫はそれぞれのグループで和名の付け方に文化がある。チョウ類では種名を重視し「○○亜種」とする伝統があり、この亜種に和名はない。
- (長谷川委員)クビアカツヤカミキリは、まだ侵入初期とのことだが、果樹やサクラで確認された場合、迅速に駆除されているのか。
(環境省 若松)ここ数年で拡大しつつあり、農業被害や生態系被害のおそれがあるため、農林水産省と環境省の連名で各都道府県に発生情報周知と防除徹底の通知を出している。
- (長谷川委員)加害が確認されたサクラは必ず伐採し、チップ化、焼却する必要があるのか。それとも樹木を保存しながら防除する方法があるのか。
(農林水産省 田中)成虫に対しては寄生菌を用いたバンド型の農薬が登録されており使用可能だが、幼虫に対してはフラスに針金を挿入して駆除する程度。現在、食入孔に挿入して使えるエアロゾル剤の農薬登録拡大を進めているところである。
- (村上座長)当専門家会合として、マルバネクワガタ属の10種、クビアカツヤカミキリ、アカボシゴマダラの12種類を、資料3の「評価の理由」に基づき、生態系に係る被害を及ぼすおそれがある生物として、特定外来生物に指定するべきとの結論としたい。
(一同了承)
(3)その他
事務局から今後のスケジュールについて説明。
(特に議論無し。)