1.日時
平成26年3月7日(金)10時~12時
2.場所
新橋貸会議室 田中田村町ビル5階 会議室5A
3.出席者
- (委員)
- 村上 興正(座長)、石井 信夫、岡 敏弘、角野 康郎、小林 達明、成島 悦雄、平井 一男、風呂田 利夫、細谷 和海、森本 信生(敬称略、座長以外は50音順)
- (環境省)
- 自然環境局長、大臣官房審議官、自然環境局総務課長、自然環境局野生生物課長、自然環境局野生生物課外来生物対策室長、外来生物対策室長補佐、外来生物対策係長、移入対策係長
- (農林水産省)
- 大臣官房環境政策課課長補佐
4.議事概要
(自然環境局長)挨拶
〔外来生物法の一部改正および第9回専門家会合開催の経緯〕
(事務局から参考資料1、2、3、4、5にもとづき説明)
- 参考資料5p5、未判定外来生物の一番上の箱のアについて。意図的に持ち込まれたものを未判定外来生物の選定対象とするとのことだが、非意図的に入ったものはどのように扱うのか。
- (事務局)意図的・非意図的を問わず、野外で定着しておらず現在国内に入っていない外来生物を未判定外来生物の選定対象とする。‘導入’の解釈として、非意図的なものも含んでいる。
- (参考資料4p1、参考資料5p1)明治元年以降に導入された生物が選定対象、という部分に関して。一つは、「導入」「輸入」「侵入」「持ち込み」等の言葉の整理がされているか。「導入」は意図的な行為という気がするが、「非意図的導入」とはどういうものか。もう一つ、「明治以降に導入された」の後ろに「あるいは侵入した」と追加するほうが良いのでは。
- (事務局)ここでは「導入」に意図的、非意図的の両方が含まれている。変更出来ない文章なので、説明資料作成の際に注意したい。国際的には、意図的導入はインテンショナルイントロダクション、非意図的導入はアンインテンショナルイントロダクションで統一されている。イントロダクションという言葉は非意図的な側面が見えにくいので、使い方には注意が必要。
- (事務局)今回の参考資料は抜粋のため言葉の定義が割愛されているが、「基本方針」本体では言葉の定義をした上で使用している。
〔特定外来生物等分類群専門家グループ会合における検討内容の説明〕
(事務局から資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7を説明)
- (事務局)哺乳類について、アカゲザルとニホンザルとの交雑個体(資料1)及びタイワンザルとニホンザルの交雑個体(資料2)鳥類について、カナダガン、魚類について、ホワイトバスとストライプトバスの交雑個体、植物について、スパルティナ属(資料5)及びルドウィジア・グランディフロラ(資料6)の指定を検討。
〔哺乳類・鳥類分類群専門家グループ会合での検討内容の補足〕
- タイワンザルとニホンザルとの交雑個体に関しては、青森県では根絶、和歌山県では群れとしては根絶された。次に問題となってきたのがアカゲザルとニホンザルとの交雑個体で、しっかり対策すべきという議論になった。カナダガンは亜種の扱いについて多少議論があったが、原案を結論とした。
〔魚類分類群専門家グループ会合での検討内容の補足〕
- 今までは種単位で指定を行っていたが、管理釣り場には釣魚対象として交雑育種により生じた個体が持ち込まれており、今後は生態系に影響を及ぼすと考えられる。分類群会合では、今回の法律改正によってこのようなものが選定対象に挙がったのは大きな進歩であるとして、全会一致で指定すべきという結論となった。
- 参考資料5p1の上の箱に、特定外来生物の選定の前提として「容易に識別可能」という条件がある。参考資料8-1は交雑個体の判別のポイントだが、このように親種と容易に判別出来ることが選定の要件なのか。
- (事務局)特定外来生物の選定においては外見上容易に識別出来ることが要件であるため、交雑種についても親種との区別がつくことが選定の要件と考えている。現実的には戻し交雑で生じた個体は形態による区別が困難な場合がある。防除の際は判別が難しい場合は遺伝子判定を行っているが、専門家でないと出来ない技術。警察には外見で判別可能でないと摘発出来ないという事情がある。「特別な機械を使用しなくとも判別可能」という基準と現実とのずれが生じつつあるが、現時点では基準に沿って選定していく。個人的にはDNA鑑定は既に普通の技術だと思うが、時期尚早とのことである。実際問題として、入ってくるのは釣り対象種であり、現実にはほとんどのケースで交雑ないしはその由来個体になるかと思う。ご指摘の問題は全般に及ぶことである。いずれは交雑個体をもう少し想定に含めた形にしていくことが、今後の課題であろう。現段階では形態で区別できることが要件で、実際に区別もつけられているが、識別方法を見いだせないと選定対象に挙げられないことがネックになりつつある。
- 資料4p2、「日本でも一部の釣り場で利用」とあるが、特定外来生物に選定されると釣り場でも駆除、根絶という方向になるのか、またそれは実現可能なのか。河口湖等で何らかの手続きをして飼養されているオオクチバスのような例もあるが。対象種について補足すると、名称に‘バス’とあるがサンフィッシュ科の類縁関係にはなく、スズキの仲間。内水面ではなく汽水域に広がっていくため、これまで想定し得なかった河口域や内湾で予防的視点からの抑制が必要。東京湾でも採集報告がある。オオクチバス等とは状況が異なるが、今の時点では予防的な原理でエラディケーションも含めて対策を進めることが必要だと考える。
- (事務局)外来生物法の枠組みでは、指定時に既に飼養されているものは、釣り場であれば生業の維持という観点で、飼養施設等の整備が基準に合致していれば手続きを取った上で継続飼養が許可される。飼養頭数も含めた許可のため、許可時の数を超えてはいけない。また、新たな釣り場での飼養は認められない。水域の場合は洪水や豪雨等逸出しやすい条件が多く、実際に管理する立場としてはかなり大変であろう。十分に注意しないと、生業の維持で許可したことで逸出が進む恐れがある。具体的な対策は今後の課題である。タイリクスズキが増加しているのも、そうした条件のためだろう。
〔植物分類群専門家グループ会合での検討内容の補足〕
- 資料5スパルティナ属について補足。既にスパルティナ・アングリカが特定外来生物に指定されていたため、今回発見されたスパルティナ・アルテルニフロラは初期侵入時に高い関心が集まり、防除されてほぼ根絶間近の状態である。このグループは塩湿地で非常に旺盛に繁殖するため、抑える必要があり、会合では新たな侵入を防ぐ意味でもぜひ指定すべきという結論を得た。
- 参考資料9p2、スパルティナ・アングリカの「その他の関連情報」の一番下「昆虫を用いた天敵導入が検討されている」に関して、国内での情報があれば教えていただきたい。アシ一般の天敵としてはメイチュウ類程度しか無いと思われるが。海外の事例である。少なくとも今、国内の例は存じていない。
- (事務局)参考資料9は既に特定外来生物に指定されているスパルティナ・アングリカの参考情報を提示しており、海外の情報である。
- 資料6ルドウィジア・グランディフロラについて補足。兵庫県で発見された際には、山の中の貧栄養な池であったため広がりを見せなかった。その後琵琶湖に侵入してから驚くべき速さで増殖した。ビオトープ植物や水質浄化植物として行政が導入したものに交じっていた可能性が高い。そうした侵入ルートへの注意喚起や、琵琶湖以外の他水域への侵入、拡大予防のためにも今指定すべきであると考える。
- (資料7)ルドウィジア・グランディフロラの指定に関して、チョウジタデ属全種に種類名証明書添付としたが、チョウジタデ属は、アクアリウムプランツとして非常に多種のものが専門業者だけでなく個人輸入も含めて流通しており、全種への種類名証明書添付が可能かどうか、どこがどのように対応するか、分類群会合において課題として挙げられた。
- (事務局)このような指定の形にしないと輸入時の見分けが困難で、外来生物法の仕組み上必要な措置である。また植物防疫法でも植物の輸入時に検査証明書の提出が求められるので、基本的には輸入元に書類の発行をきちんと依頼していただきたいと考えている。指定には意味があるが実効性に疑問があるという状況。専門業者はしっかり対応されると思うが、個人輸入に関しては普及啓発以外には対策が無い。インターネット売買の規制は多方面に影響があり、非常に困難であろう。今後、検討の必要があるかもしれない。
- (事務局)外来種被害防止行動計画(仮称)において様々な普及啓発を進めることを謳っているので、そうした規制に係る情報についても普及啓発していきたい。
- (資料6)ルドウィジア・グランディフロラは、特定外来生物指定におけるネーミングがこれで良いか。一般的には「オオバナミズキンバイ」で普及しており、特定外来生物を分かりやすく周知するには、ラテン名よりも和名を挙げて指定したほうが効果的ではないか。「オオバナミズキンバイ(ルドウィジア・グランディフロラ)」として指定する、あるいはどこかに「オオバナミズキンバイ」という名称を示すというご提案である。分かり易さという意味ではその通りだが、このグループは亜種がいくつかあり、どれが入っても被害があると予想され、また既に入っているものもあると思われるので、それらも含めるには現在の表記になる。その上で分かりやすい示し方を議論するのが良いと考える。
- (事務局)特定外来生物の指定では学名があるものはそれを記載するというルールだが、指定したものを環境省ホームページなどに掲載して普及啓発する際には、和名等を併記するなど国内で分かりやすいように工夫したい。サンシャインバス等も同様に留意したい。分かりやすく示すことは重要で、基本的な方針として併記には賛成。学名が並んでいると分かりにくいと思われる。
〔分類群専門家グループ会合における検討結果を踏まえた特定外来生物等専門家会合としての結論について〕
- 今回の原案について、資料の情報に基づいて6種全てを特定外来生物に指定するという提案であるが、全て了承という結論でよろしいか。
- (一同了承)
〔指定に向けた今後の手続きについて〕
- (事務局)本日の案件は全て特定外来生物に指定という結論をいただいたので、今後、特定外来生物の指定には輸入規制を伴うためWTO通報を行い、並行してパブリックコメントを1カ月行う。その後、5月に政令改正の閣議決定をし、6月に予定している改正外来生物法の施行に合わせて特定外来生物の追加指定の政令改正を出来るように手続きを進めたい。
〔外来種被害防止行動計画(仮称)策定および侵略的外来種リスト(仮称)作成について〕
(事務局から参考資料14、参考資料15を説明)
- (事務局)(参考資料14)外来種被害防止行動計画(仮称)は、平成24年の中央環境審議会の意見具申に基づいた総合的、中期的な外来種対策の戦略で、環境省、農林水産省、国土交通省の3省で今年の夏頃の公表に向けて策定作業中。外来種対策の考え方、行動指針を明らかにして社会全体で対策を進めることを狙いとしている。また、非意図的導入、国内由来の外来種といった、これまであまり対策されていなかったものについても対策を進めようというものである。
- (事務局)(参考資料15)侵略的外来種リスト(仮称)は、平成22年のCOP10で決議された愛知目標の個別目標9の達成に向けて、また外来種対策全般の基礎資料として作成するもので、特定外来生物だけでなく法規制の無いものも対象に選定する。利用のある外来種は適正な管理情報も提供する。環境省、農林水産省が、今年の夏頃の完成を目標に、専門家、各関連団体等の意見を聞きながら作成作業中である。
- 今後の特定外来生物指定の進め方と関連して、今回選定対象とならなかった分類群については今後どのように進められるのか。対象とならなかった理由は何なのか、検討された種はどのようなプロセスで選ばれたのか、社会的にも説明する必要があるのではないか。今後の侵略的外来種リスト(仮称)の策定にあたっても重要なことであると考える。
- (事務局)今回の選定検討対象は、昨年度の外来生物法改正で新たに対象となった交雑種で法律施行までに緊急に指定するものと、中環審の意見具申で緊急に指定すべきと指摘されたスパルティナ属や国会で意見のあったオオバナミズキンバイなど、緊急指定が必要な生物であった。それ以外については、今後作成される侵略的外来種リスト(仮称)を踏まえて、法律で規制すべきものは各分類群で見直しや追加指定の作業を進めていきたいと考えている。今回の最大の選定理由は交雑種を含む形への外来生物法改正。例えばタイワンザルとニホンザルの交雑個体は指定前から駆除が行われていたが、やはり明記すべきということで法改正に伴う緊急的措置がとられた。そこに緊急性の高いものが幾つか加わった。海産無脊椎動物は対応が遅れているので、まずは実際の定着実態も含めて議論を進める必要があり、その中から適正に選定されることが重要である。
- (参考資料14)外来種被害防止行動計画(仮称)について。普及啓発は大切だが、外来生物だけが着目されている傾向がある。教育現場では外来生物は悪いものだと教師が子どもたちに教えている現実があり、学校によっては、命を奪うことが正当化されて、どんな殺し方をしても構わないと教えられているようである。ぜひ第3章第1節で、命としては大事だがこういう理由で排除する、万が一排除する場合にも動物の福祉に配慮した方法をとっている、といったことを記載してほしい。
- 今回は法改正に応じて指定したとのことだが、これまでは問題が大きくなってから指定のための会合が臨時に開催されてきた。侵略的外来種リスト(仮称)と外来種被害防止行動計画(仮称)が出来た段階で、よりシステマティックに指定出来るようになるかと思う。そこで今後のプロセスとして、例えば年1回は意見聴取、必要なら会合開催、等、具体的な手順について考えがあれば説明をいただきたい。
- (事務局)全体的状況を把握しないと優先的に指定すべき種の判断が困難なため、これまで未判定外来生物以外のものはなかなか指定出来なかった。今回の侵略的外来種リスト(仮称)は法律で規制すべきものだけのリストではないが、法律規制が効果的であると整理されたものは改めてこの会合でご議論いただきたい。また、リストの定期的見直しが今後は必要になるので、そういった作業をきめ細かく行っていくことを考えている。リスト作成によって、特に問題が大きく指定の効果が見込まれるものを指定するという動きになるのは確実で、選定対象種は増えるだろう。未判定外来生物を単に特定外来生物に移行させる手続きをするのではなく、指定の必要があるものを選ぶ節目になると考える。
- 6月頃にリストが取りまとめられる前に、リストの作成状況について本会合委員に再度情報を入れて意見聴取をしていただきたい。リストをオーソライズする前に会合を開催して検討することを希望するが、最低限、情報を流して意見を聞くプロセスが必要である。リスト作成の親委員会には、専門家会合委員からの意見を反映した案を挙げるのが望ましい。専門家会合として、リスト作成への責任があると考えている。
- (事務局)リスト作成の本体会議が設置されており最終的にはそこで了承いただくが、今回既に本会合や各分類群会合の委員の先生方にも情報提供して意見をいただいており、今後リストの検討が進んだ段階でまた同様に意見聴取させていただきたいと考えている。
- (参考資料14)行動計画について。外来生物は基本的に産業活動で意図的・非意図的に導入されてきており、最大の責任主体は産業界である。p1第2パラグラフに「国・地方自治体・民間団体等」とあり、‘民間団体等’に環境NPO等が含まれるとすると、これらは被害的立場から止む無く対策している主体である。最大の発生源であり、責任を持って対策してほしい産業界、産業団体に対して具体的な対策を要求するような記述を、もう少し明確に入れてほしい。
- (事務局)行動計画策定に当たり、経団連や外来種を利用している関係団体との意見交換を行い、外来種問題の認識や適切な取扱をお願いしてきているところである。また行動計画の中で、事業者に期待することを明記する予定である。昨年10月1日に緑化等の関係団体、NGOとの意見交換会を行った。利用サイドからは、極端なものでは「利用している種はリストから除外せよ」といった意見もあった。利用のある外来種のリスト掲載は利用団体としてはかなりマイナスになるという意識であり、しっかりと意見交換、合意形成しなければならない。リストの名称案は、最初は「ワースト100、ワースト500」という案だったがそれでは表現が強いということで、「ブラックリスト」に変えたがまだ強いという意見を受け、「侵略的外来種リスト」に変えてもまだ強いとの意見がある。リストの扱いについては、業界団体、業者と話し合っていく必要がある。
- (参考資料14)行動計画は国の決意表明であるが、現実には生業、産業との関係が課題。いわゆる合法的な環境放出すなわち意図的導入の問題、しかも産業レベルの問題である。我が国の水産業の種苗放流に対してすぐ中止を求めるのは産業に大打撃を与えるため困難だが、少なくともリストを農林水産省と作っているのなら、愛知目標自体が骨抜きにならないためにも、将来的な目標としての産業上の環境放出の在り様を示す視点を打ち出すべき。実際に海域において大きな被害を出しているのはアサリ、ハマグリ、マダイ、イサキ、サワラ等、近隣諸国から導入されているもの。また、淡水魚には「第5種共同漁業権」があり、概ね日本中で業者によって放流種苗を獲得して放流をしているのが実態。これらについてはすぐにも対策可能だと思うので、生物多様性保全に立脚した法改正も度視野に入れて考えたほうが良いのではないか。国内由来の外来種の問題についても、水産業と関連してかなり複雑な話で、正面から規制の議論をするのが難しいが、この問題に全く手をつけないのは問題。生物多様性の保全をより意図した放流の検討は将来的には必要で、どう実現するかが課題。アユだけを放流するのは問題無いが、アユ種苗に他の種が混じってしまうのが問題。いろいろなものが混じるのを防ぐ手段はあるはずである。トウモロコシやムギ等の種子への雑草種子の混入の対策も今後の大きな課題。農林水産省との協議が鍵になるだろう。個別の種で利用状況も異なるため、一般的にこうだとは言いにくい。外来生物法で対処出来ないものも多いので、出来るだけ幅広く盛り込んでほしい。環境省だけでの対策は困難で、農林水産省と接点を作り、相互に話し合いをすることがベースになるのではないか。緑化も同様に、生物多様性に配慮した緑化がキーワードになるだろう。
- 教育、産業関連についてご指摘があった。外来種のリストを作成し定着経路を特定したら、それをどう管理するかが次の課題となる。
- (事務局)外来生物の非意図的導入対策に関する補足情報。バラスト水管理条約が国際的に採択されているが未発効で、日本は未締結という状況。環境省と国土交通省で海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を2月28日に閣議決定し、今国会に提出予定である。今国会で成立した場合、バラスト水管理条約の発効1年後にこの法律が施行される予定。改正法律案は国土交通省のホームページに掲載されている。
- (事務局)指摘のあった動物愛護については、特定外来生物被害防止基本方針で、防除においては出来るだけ苦痛を与えない方法で行うことと定めている。また外来種被害防止行動計画(仮称)の中で、防除と動物愛護の考え方を整理して記載したいと考えている。
- 侵略的外来種リスト(仮称)は国際会議をベースとして作られるとのことで、海外でも同様のリストが作成されると思うが、各国で掲載基準が異なると使い勝手が良くない。統一的な掲載基準の情報収集や調整について検討されているか。もう一つ、掲載基準としては生物多様性への被害が基本とのことだが、健康被害や経済的被害等も掲載基準とするのか。
- (事務局)国際的な動きに関しては、オーストラリアのWRA等は認識している。ただ、国際的な評価の手法について情報収集しているものの、まだオーソライズされたものはあまり無いという認識である。また被害については、生態系被害、農林水産業被害、健康被害、その他建築物の汚損や通水被害といった経済的被害も考慮してリストアップしたいと考えている。植物防疫法との関連で議論になったことがあるが、関連領域では片方の法律で拾っていると言って抜ける場合もある。植物防疫では膨大な資料を持っており、我々は直接扱っていないが重要な関連領域である。家畜伝染病予防法も含めて、外来生物法との間で抜けが出来る部分をどうカバーするかは課題。リストに関しては外来生物法の所掌とは別個の問題だと思うので、どの範囲を収録するかは外来生物法に則する必要は無いと理解している。
- 昨年提示いただいたリストを私の持っているデータベースと整合させてみたが、学名の不一致があった。学名は、厳密には原記載まで遡らないと正しいか分からないので、分類の専門家の方にも参加いただいて、きちんとした学名のリストにすべき。リストは公文書となり一つのスタンダードになるので、責任が大きい。「これに準じる」「この場合はこちらを採用」等、引用元を決めておかないと後で混乱する恐れがある。在来種に関しては生物多様性センターで出している「絶滅の恐れのある野生生物」の選定時の基礎となるリストが一つの基準だが、外来種に関する基準は明快ではない。元をたどるのは分類学者でないと無理なので、現実的にはある程度信頼出来る図鑑やインターネット登録リスト等によることになるだろう。
- (事務局)その点はご指摘を踏まえて確認したい。