環境省自然環境・生物多様性外来生物法資料等特定外来生物の選定(専門家会合資料・議事録等)

第8回 特定外来生物等専門家会合議事録


1.日時

平成21年10月2日(金)14:05~15:10

2.場所

合同庁舎7号館西館 金融庁共用会議室1(903号室)

3.出席者

(座長)
小野 勇一
(委員)
石井  実  岩槻 邦男
岡  敏弘  小林 正典
多紀 保彦  武田 正倫
村上 興正
(環境省)
鈴木自然環境局長
塚本野生生物課長
牛場外来生物対策室長
宇賀神外来生物対策室長補佐
(農林水産省)
圓谷環境バイオマス政策課長補佐
高橋鳥獣被害対策室長補佐(室長代理)

4.議事

【外来生物対策室長補佐】 定刻を過ぎましたので、これより第8回特定外来生物等専門家会合を開催したいと存じます。
 それでは、開催に当たりまして、鈴木自然環境局長からご挨拶申し上げます。

【自然環境局長】 どうも本日はお忙しい中、委員の先生方にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 先生方のご検討を踏まえまして、これまでに96種類の外来生物につきまして特定外来生物に指定させてきていただいております。今回、第8回目となるわけですが、前回は平成18年8月ということでございましたので、若干期間があいてしまいましたけれども、このたび、7月にシママングースにつきまして輸入の届け出がございまして、これを受理したところでございます。したがいまして、この判定に当たり、ご検討をお願いしたいということでございます。
 また、後程、いろいろ詳しいお話があると思いますけれども、そうしたところを踏まえて、またご意見を賜れればというふうに思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【外来生物対策室長補佐】 それでは、前回第7回の専門家会合、平成18年8月にございましたが、約3年経過しておりますので、改めまして事務局の方より委員の先生方のご紹介をさせていただきます。
 まず、座長を務めていただいております小野委員でございます。
 石井委員でございます。
 岩槻委員でございます。
 岡委員でございます。
 小林委員でございます。
 多紀委員でございます。
 武田委員でございます。
 村上委員でございます。
 なお、本日、角野委員、亀山委員、長谷川委員、平井委員はご欠席とご連絡をいただいております。
 続きまして、事務局の出席者を紹介させていただきます。
 まず、環境省側からでございます。鈴木自然環境局長でございます。
 塚本野生生物課長でございます。
 牛場外来生物対策室長でございます。
 農林水産省側からご紹介させていただきます。
 農林水産省農業生産支援課鳥獣被害対策室長の大島室長でございます。

【鳥獣被害対策室補佐】 大島は所用がございまして、代理の高橋と申します。よろしくお願いいたします。

【外来生物対策室長補佐】 
 同じく環境バイオマス政策課圓谷補佐でございます。
 私、本日、司会を務めさせていただきます外来生物対策室の宇賀神と申します。よろしくお願いします。
 それでは、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 資料をご覧いただければと思いますが、議事次第、ホッチキス留めでございますが、裏をめくっていただきますと、資料一覧でございます。それに基づきましてご説明いたします。別添で委員名簿、裏に座席表がついてございます。続きまして、資料1、未判定外来生物について、2枚目めくっていただきまして、資料2、未判定外来生物の輸入届出の概要、添付の資料、大変たくさんございますが、15枚ほどめくっていただきまして、資料3、シママングース(Mungos mungo)に関する情報(案)というところでございます。これが2ページほどございます。そのあとは参考資料ということで、全部で10ページほどございます。上から順番に第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意事項(哺乳類・鳥類)、今後の検討の進め方(哺乳類・鳥類)、我が国におけるジャワマングースによる農作物被害状況、奄美大島におけるジャワマングース対策について、沖縄島北部地域(やんばる)におけるジャワマングース対策について、最後に、1枚ですが参考資料としまして、鹿児島市で確認されたマングースについてというものが添付されてございますが、過不足等ございませんでしょうか。
 もし、あれば、ご連絡いただければというふうに存じます。
 それと、あと、委員の皆様につきましては、特定外来生物被害防止基本方針という冊子を用意させていただいております。ちょっと部数の関係で、会議終了後、回収させていただきますが、お手元にあるかと存じます。
 会議資料につきましては、郵送をご希望される方は、お手元の封筒にご住所をご記入いただければ、後ほど郵送させていただきます。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の議事進行につきましては、小野座長、どうぞよろしくお願いいたします。

【小野座長】 わかりました。皆さん、久しぶりでございます。3年ぶりという。実はこの3年間は何もしなかったわけではなくて、分科会もしくは個別の相談ということで、今までは何とかクリアしてきたわけです。
 本日は、案件が一つしかありませんので、後は状況報告にとどまると思います。よろしくご協力のほどをお願いいたします。
 それでは、議題1というのに入りまして、未判定外来生物の判定ということをやらないといけないということで、今日はお集まりいただいているわけです。
 それでは、説明をどうぞ。

【外来生物対策室長】 資料1をご覧いただきたいと思います。もうここはおさらいのようなお話でございますが、未判定外来生物については、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の第21条に輸入の届出の規定がございます。「未判定外来生物を輸入しようとする者は、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その未判定外来生物の種類その他の主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない」。22条には「主務大臣は、前条に規定する届出があったときは、その届出を受理した日から六月以内に、その届出から係る未判定外来生物について在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かを判定し、その結果をその届出をした者に通知をしなければならない」とございます。この通知がある前には届出者は輸入をすることはできないという制限がかかってございます。
 同法律の施行規則には、29条でございますけれども、届出者は、次に掲げるような事項を届けることになってございます。
 次のページをご覧いただきますと、これは法律の概要をポンチ絵で説明しております。中央に未判定外来生物とございますが、現在、約2,600種類、うち哺乳類が134種類になってございます。そのうち、今回、シママングースについてご判定をいただくということでございます。
 今回、被害を及ぼすおそれありといったご意見をいただいた場合には、特定外来生物への指定の手続を進めたいと思っておりますし、被害を及ぼすおそれがないというご判断をいただきました場合には、規制がないものとして輸入が認められるということになります。
 次のページでございますが、特定外来生物被害防止基本方針における位置づけということで、ここもおさらいの部分になります。未判定外来生物についての記述がございます。
 4ページ目の方をめくっていただきますと、判定に係る届出の事項の内容、こういったことを記載しております。また、(5)には判定の手続ということで、届出があった場合は、基本方針の第2の2から4までの考え方に沿って予防的な観点を踏まえつつ、最新の科学的知見を用いて適正に判定することとするとございます。
 ここで参考資料の方をご覧いただきたいと思いますが、参考資料の1と2の方に基本方針の抜粋を挙げさせていただいております。
 1ページ目、2ページ目、ここでいう第2の2から被害の判定の考え方を記載しております。あるいは、3には選定の際の考慮事項、それから4、特定外来生物の選定に係る意見の聴取、今回、このような形で専門の学識経験者の方からご意見をいただいていると。以降、パブリックコメントの手続、WTOの通報手続などが行われることになってございます。
 続きまして、資料2の方を、もとに戻っていただいてごらんいただきたいと思います。今回の未判定外来生物の輸入届出の概要でございます。
 先ほど、局長の方からご説明がございましたが、届出が平成21年7月3日に行われておりまして、7月6日に届出を受理しております。
 未判定外来生物の種類、入手国名、生態的特性に関する情報、表の中に書いてございますように、種類としては、シママングース(Mungos mungo)、入手国名:タンザニア、生体特性に係る情報として、サハラ以南のアフリカに生息地の分布がございます。文献その他根拠を示す資料として、以下に掲げるようなものが添付資料として提出されてございます。その添付資料がコピーでございますけれども、添付させていただいております。
 資料1及び2につきまして、ご説明は以上でございます。

【小野座長】 ありがとうございました。
 ただいまの1、2についての説明について、各委員からのご意見、ご質問等をお伺いしたいと思います。どうぞ。

【武田委員】 こちら、簡単なことですけれども、これ、どういう目的で輸入の届けになっているんですか。

【外来生物対策室長】 今回は、ある動物園が展示をしたいということで、輸入の届出があったものでございます。

【小野座長】動物園展示用、だから自然界に放すわけじゃない。まあ、数頭でしょうね、これ。頭数はわかっていないですか。

【外来生物対策室長】 頭数については届出はございませんので、今のところ承知しておりません。

【小野座長】 この場合は、頭数の申請は必要ないんですかね。

【外来生物対策室長補佐】 手続上は今回提出していただいています未判定外来生物の届出の中身につきましては、先ほどの資料で出させていただいたんですが、実際に輸入するという段になったときに、特定外来生物に指定されたという前提でございますが、国内の飼養等許可の手続をしていただいた中に数量等が入っていますので、その認められた数量等を輸入するという形になると思います。

【多紀委員】 資料には、今まで2ヶ所の動物園で既に飼われているとありましたけれども、これは我々等が確認する前に輸入されたその子供とか、そういうことでしょうか。

【外来生物対策室長補佐】 外来生物法の規制がかかる前に輸入されたものの個体でございます。

【小野座長】 現在の状況、例えば、増加の具合であるとか、そういうものは調べてあるんですか。そこで飼われてから。

【外来生物対策室長補佐】 もともとシママングース自体が国内に入っている数、限られてございまして、主に動物園で飼育されているものでございます。聞き取り調査をしている中では、一部の動物園で増えたものを他の動物園に分けるということはされているようですが、大きく数が増えるということで国内でどんどん増えていますということではなくて、今回の届出があった動物園も、以前、飼育されていて、その個体が死亡してしまったので、それを補充するという形で輸入したいという届出の内容でございます。

【小野座長】 質問はよろしいですか、以上で。
 それでは、資料3の説明をしていただきましょう。

【外来生物対策室長】 それでは、資料3に基づいた説明をさせていただきます。
 本件につきましては、8月31日に分類群の専門家グループ会合が開かれておりまして、そのご意見も受けた上で資料3を作成しております。
 シママングースに関する情報(案)という形でまとめております。
 原産地、サハラ以南のアフリカ(コンゴ及び南西アフリカを除く地域)となってございます。
 国内外での定着実績の事例は知られてございません。
 評価の理由の欄は、少し後でご説明をさせていただいて、次の丸ポツ、被害の実態・被害のおそれについてご説明させていただきます。
 (1)生態系に係る被害。雑食性で、地表性昆虫類を中心に鳥類の卵、ネズミ、カエル、トカゲ、小型のヘビなども捕食しており、生態系への被害が発生するおそれがある。近縁種のジャワマングースでは、奄美大島・沖縄島で希少な在来生物が捕食される被害が生じている。
 ここで参考資料の方もご覧いただきたいのですが、参考資料の9ページ、10ページ、奄美大島におけるジャワマングース、あるいは沖縄北部地域におけるジャワマングース被害の実態、あるいはこれを防止するために、あるいは被害を軽減するために環境省等が行っている取り組みの状況を取りまとめてございます。ご参考にしていただければと思います。
 (2)資料3に戻りますが、農林水産業に係る被害といたしましては、果樹を餌資源として利用するため、農作物への被害が発生するおそれがある。近縁種のジャワマングースでは、鶏卵、鶏雛に対する養鶏被害や、農作物への被害が報告されているとございます。
 こちらで農水省側から提出されている資料もございますので、補足をいただければと思います。

【鳥獣被害対策室長補佐】 今の資料の8ページをご覧いただきたいんですけれども、我が国におけるジャワマングースによる農作物被害状況ということで取りまとめてございます。毎年、私どもが都道府県を通じまして農作物の被害状況を取りまとめたものでございます。それによりますと、15年度で、全国、鹿児島ですけれども、106万円の被害があった。17年度で9万、19年度で25万、20年度で、これは見込みということなんですけれども、58万円の被害があるということです。作物は、ここにありますように、サトイモだとかいも類、野菜のカボチャ類、20年度について、工芸作物(サトウキビ)とありますけれども、これにつきましては、報告によりますと、小動物を追いかけて畑を荒らすと、サトウキビの芽を食いちぎったりするというような報告を受けております。
 以上であります。

【外来生物対策室長】 ありがとうございます。
 引き続きまして、資料3にまた戻っていただきますが、影響をもたらしている要因でございますが、(1)生物学的要因。食性は昆虫類主体であるが、昆虫類以外にも両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類も捕食する。寿命は飼育下では12年程度である。群れの中で複数のメスが繁殖に参加できること、性成熟までに最短で8ヶ月であること、一度に1から6仔(平均1腹産仔数は3.2)を出産し、年に複数回の出産が可能であることから、繁殖力は大きい。
 次のページですが、(2)社会的要因。これまでの輸入及び国内での流通は動物園での飼育に限られる。しつけが容易で、ペットとして適当であるとされている。
 特徴並びに近縁種、類似種などについてでございますが、頭胴長30から40cm、尾長20から25cm、体重が1から1.5kgの中型肉食獣、6から最大75頭からなる家族を中心とした群れを形成する。昼行性で、38から130ha程の行動範囲を徘徊して採食する。行動範囲の中に複数の巣穴を持ち、また、低木の茂みの下などに巣穴を掘ることから、定着した場合には発見や防除が困難となるおそれがある。
 マングース科に属するジャワマングース、エジプトマングース、ハイイロマングースは他地域に導入され、在来生態系に影響を与えている。
 幅広いハビタット選好性を有し、サバンナや林地、草地、川辺を主な生息地とする。人里でも見られる場合がある。
 群れの分散は、オスまたはメスのみの小グループを単位として起こる。分散する個体に性の偏りは見られないが、メスは群れから追われ、オスは自発的に移出する傾向がある。
 その他の関連情報といたしましては、現在2箇所の動物園が、国内でございますが、シママングースを飼養しており、牛肉、馬肉、鳥肉の頭・首、ヒヨコ、ウズラのひな、マウス、卵、サツマイモ、リンゴ、ドッグフード等を餌として与えている。
 繁殖を抑えるために、皮下に避妊薬を挿入して飼養した動物園がある。
 タンザニアから日本に持ち込まれたシママングースから、原虫クリプトスポリジウムが検出された報告がある。
 主な参考文献を列記をしてございます。
 これを踏まえて、1ページの方に戻っていただいて、評価の理由としてまとめてございます。
 雑食性であり、野外に放逐されれば在来の地表性昆虫類を中心に捕食され得ることから、生態系への被害のおそれがある。鶏卵、鶏雛に対する養鶏被害や、農作物への被害のおそれがある。幅広いハビタットに生息することや国内の動物園における飼養実績等から、野外での定着の可能性は大きい。また、一度に1から6仔を出産し、年に複数回の出産が可能であることから、潜在的な個体数の増加速度は大きいということを評価内容としてございます。
 以上でございます。

【村上委員】 8月31日の議論のポイントを言っておきます。
 そのときの資料では、日本における飼育状況というのが十分書いていなかったので、それについてちゃんと追加してほしいという話と、それから、ペットとしての可能性がどのぐらいかということも議論すべきだという話があって、今回はそれが入っています。
 それから、類似種の被害についてですが、ジャワマングースについて、農水省の資料が出ていたんですが、環境省の資料がちょっと出ていなかったので、やはり、ジャワマングースの環境省の資料を出して、対策の可能性と、どのぐらいお金がかかっているかという話もちゃんと示したらどうかという話で、今回、そういうものが入っています。
 それから、あとは定着の可能性については、もう少し研究した方がいいというので、ハビタットのことなどを入れました。
 そういう点と、最後の議論は、マングース一つ一つ取り上げるのではなしに、マングース全体として指定してはどうかと。そういうことを考えた方が早いんではないかという議論が出たのですが、これは法律の制度上、申請があったら、それについて議論するという話になっていますので、だからマングース全体についてどうかという話をするのは、それは不適切だと。それは選定のときに、もういっそのこと、マングース全体を指定したらどうですかということをしない限りだめだということで、今回は見送っています。でも、ポイントの一つにはなるかと思います。だから、1種ごと、類似した種がいっぱいいるのに、それが出るたびにそれを議論して、こういう会議を開くのかという問題は、ある程度考えた方がいいんじゃないかという話は、今回の会議とは別に考えておいた方がいいという問題だと思います。種の選定の仕方の時のことだと思います。
 それが大体の主な論議の内容です。今回の資料は、それを踏まえて修正して出ております。この前、論議になったポイントは、すべて修正されています。ですから、そういう形で、より完成に近いものが今回出ています。というのが状況です。

【小野座長】 分科会の議論は、今のような話でありますけれども、ここで分科会のご意見も対しながら、この委員会としてどういうふうに考えるかという結論を出していきたいと思っていますので、皆さん方のご意見をいただきたいと思います。
 どうぞ、武田さん。

【武田委員】 分科会へいく前の話かもしれませんが、この資料、とってもよくできていると思うんですけれども、この中で今のお話で、マングース全体を指定するというのは、今、これからは難しいことなんですか。

【外来生物対策室長】 今回は届出から6ヶ月以内にとにかく判定しなきゃいけないということで、切り離して議論をさせていただいておりますが、特定外来生物の指定につきましては、データが集まって判定をするというのは、随時行うことは法律上可能になっております。
 後でまたご紹介する予定でございましたけれども、来年、法律の施行後5年を迎えるということで、施行状況の点検を行っていく中で、そういった議論も当然出てくるのではないかというふうに考えております。

【武田委員】 もう一つ、ちょっとついでなのですが、こういう形でこれが輸入が禁止されるとなると、国内に今、2ヶ所飼っているわけですね。これは避妊をどうこうというのは過去の話かもしれませんが、この動物園がどんどん繁殖させようというか、こういう発想になっていくものでしょうかね。国内で増えていく可能性というのは、これは許可なのかもしれませんが。

【外来生物対策室長】 特定外来生物に指定された場合は、原則輸入はできないと。ただ、国内での飼養の許可が認められれば、その許可をとった上で輸入ができるということなってございます。

【武田委員】 そうすると、増やすことも可能ですね。割合増えやすいという感じでしょう。

【外来生物対策室長】 もちろん飼養の条件といいますか、一定の枠組みの中で飼養していただくことになりますが、適切な管理のもとでは種を増やすと、許可をとっていただければ認められるということになります。

【武田委員】 ということは、今、ここの動物園は、これは輸入禁止だよと、被害者意識じゃないですけれども、どうしても欲しいとなったら、こういうところに改めて国内で売買されるようなことになるわけですね。

【外来生物対策室長】 いずれにしましても、譲り受ける側も適切な施設を用意しなければなりません。その上で譲り受け等が行われるということになろうかと思います。

【武田委員】 それは許可で可能だということですね。

【小野座長】 関連質問ございますか。よろしいですか。
 どうぞ。

【岩槻委員】 外国で既に野外に定着したというような例はないんですか。そういう報告は。

【外来生物対策室長】 外国でもそのような事例は知られてございません。生息域以外ではですね。

【岩槻委員】 飼育したりはしていないということですね、この種は。

【武田委員】 そういうことじゃないですかね。

【村上委員】 だから持ち込まれているかどうかがポイントですね。持ち込まれて、それが逸出したことがあるかどうかということですね。それが入ったことがあるかどうかがポイントですから。

【武田委員】 例えば、ジャワマングースだと、割合ポピュラーだから、あちこちで飼育している。(シママングースは)アフリカの方ですから、世界に拡まっていないという、そういうこともかもしれないですね。

【村上委員】 そうかもしれませんね。

【小野座長】 シママングースそのものも、そんなに個体数が多い動物じゃありませんから、ジャワほどは。

【岡委員】 ペットとして適当であるという情報があるということは、これはどこかでペットとして飼われているということですか。

【村上委員】 これは動物園の方がそういう形で、やはりペットとして飼いやすいと。飼った場合に、非常に飼いやすい動物だと。動物園の飼育下でも非常にゆうゆうと生きておると、ということです。だからこれはペットとしてなつきやすいし、入った場合はペットとして流通する可能性が高いという話です。

【岡委員】 実際にペットとしてどこかで飼われているということではない。

【村上委員】 ということではありません。動物園飼育の実績から見て、そうらしいと。したがって、日本ではペットになる可能性があると、許可した場合に、ということです。

【小野座長】 それは我が国は割合ペットはたくさんの人がいろんなものを飼っていますから、中に入る可能性はゼロではない。

【石井委員】 今回のは、したがって、引用されている参考文献なんかを見ても、図鑑とかハンドブックとかという形が多くて、一般論でやっているんですね。決め手として実際に外国等で何か問題があったというのを指摘しているわけじゃないんですね。ちょっとその辺弱いのかなと、私も思ったりするんですけれども。
 ちょっと質問なんですけれども、一番最後のその他の関連情報で、原虫クリプトスポリジウムですか、検出されたという報告があるということなんですけれども、これは何かどういう問題がありますか。

【外来生物対策室長補佐】 直接的な知識がなくて恐縮なんですが、これは体内に寄生するというものだと思われますが、そのもの自体、シママングース自体は、宿主と申すんでしょうか、そういった形で体内に入ってきたというところの事例ですので、対象種であるシママングース自体がどうのこうのというところではなくて、そういう原虫が棲む対象であるというところなんだと思っておりますので、関連情報として入れさせていただいております。

【石井委員】 人獣共通感染症みたいな形とか、マングース同士ってあまり考えることはないんでしょうけれども、ほかの哺乳類とか、在来の哺乳類にうつる可能性があるとか、それで病気を引き起こすとか、そういうことではないわけですかね。ちょっとその辺弱いかなと。

【小野座長】 クリプトスポリジウムについては、少し獣医さんの意見を聞いておいた方がいいと思いますよ。原虫ですから、胞子をつくってふんの中に出てくるやつですから。どういうふうな拡散の状態か。むしろ、動物園におるやつでも持っていれば危ないですから。どういう病気になるかわかりませんからね。その辺はちょっと調べておいた方がいいですね。

【外来生物対策室長】 その辺は確認させていただきたいと思います。

【小野座長】 では、後で確認して。

【小林委員】 私は獣医じゃないんですけれども、若干のあれがありますので。多分、人間の方には大丈夫だと思うんですが、この近縁の種同士では当然、ですから、ジャコウネコ科でしたっけ、そのあたりと、例えば在来の動物で、タヌキですとか、そういう食肉目関係あたりと接触すると、当然うつる可能性はあります。

【小野座長】 どういう病気に。

【小林委員】 私も詳しくはちょっと。要するに、一くくりで言いますと、原虫ですから、一回、人間でもそうですけれども、体内に入られてしまうと、非常に厄介な虫です。

【村上委員】 その点は、分科会でも議論していません。ですから、実態を調べてもらって、書ける範囲で、そのおそれがあったら書いておいてもらうということにした方がいいと思います。

【小野座長】 今、特定外来生物に指定する、指定しないということと、今のクリプトスポリジウムの話はちょっと話が違いますので、これは後ほど調べて、情報として皆さんにお流しするということにして、とりあえずは、特定外来生物にするかしないかというところで結論を出していきたいと思います。
 それに関する反対という意見もあれでしょうけれども、ほかのご意見があればお伺いしておきたいと思います。

【村上委員】 その点に関しては、分科会の方、哺乳類・鳥類の分科会の方では、これはペットとして流通する可能性があって、その場合に野外に逸出して定着する可能性が高い。そうなった場合は、個体数増大して、非常に問題が多い。しかも、その場合の影響が、書いてあるように、生態系被害が起こる可能性が非常に高い。対策の可能性としては、茂みの下に巣穴をつくるので、発見が困難である。ということは、早期発見、早期駆除というのは非常に難しいだろうと。そうすると、今後そういうものが一旦入ってしまうと、対策が困難であると。そうすると影響のおそれが大きいにもかかわらず、対策困難であるから、これは指定しておくべきであるというのが結論です。

【小野座長】 分科会のご意見で、大体いいように思うんですけれども。
 それでは、シママングースを生態系及び農林水産業に関わる被害を及ぼすおそれがある生物として特定外来生物に指定することが適当であるという当委員会の結論でよろしゅうございますか、今のくくり方で。
(異議なし)

【小野座長】 それでは、そういうことで皆さんご了承いただきましたので、そういうことにいたしたいと思います。
 事務局、よろしくお願いします。

【村上委員】 それで1点、あるんですが、いいですか。そのこととちょっと関係なしに1点議論しておきたいんです。

【小野座長】 はい、どうぞ。

【村上委員】 これ、評価の理由づけのところで、今まではだらだらとした文章になっているんですけれども、やはり、もうそろそろ、いろんな文章を私も見てきましたけれども、内容的に幾つかのポイントがあって、そのポイントごとにきっちり書くようにした方がいいんじゃないかと思っているんです。だから、例えば、野外に逸出する可能性がどのぐらいあるか。逸出した場合に、定着する可能性がどのぐらいあるか。定着した場合に、生態系等、健康被害を起こすおそれがどのぐらいあるか。それから、その対策がどのぐらい多いかというような、この4点ぐらいに集約されるかと思うんですが、この4点ぐらいをきっちりと項目立てて、評価の理由が今は全部文章になっているんですが、よく見れば、それは書いてあるんですけれども、そろそろ、それを項目立てして、例えば、将来的には、こいつについてはAだけれども、これはBだとか、ABCぐらいの段階で、定量的に総合評価Aと、Aというのはこれは危ないということで決めるとか、多少、そういった科学性を持たせた話にした方がいいなと思っているんです。それはいきなり、個々の分科会でやるよりも全体として考えていこうと思っていますので、そのことは将来視野に置いて、評価項目の設定ということをいって、そうすると、みんなが問題が非常に明解になると思うんです。そのことを考えた方がいい段階だなと思っていますので、これは親委員会でしかできないと思うんですけれども。

【小野座長】 一つの提案ですけど。

【武田委員】 僕は理想的には、そのとおりだと思います。数字ではっきりと評価すべきかとは思うんですが、哺乳類だというか、動物群によってかなりいろいろな面で温度差があるんじゃないかという感じがして、無脊椎の方だと、恐らく評価項目を全部そう表現された場合、恐らく一つも評価できないんじゃないかなという、そういう心配があります。そういうものは大丈夫だということかもしれませんけれども、はっきりとデータにしているものだけを指定すべきかもしれないんですけれども、ちょっと難しい面があります。定量評価と定性評価の問題が無脊椎動物の方ではいつも問題になります。

【村上委員】 私どもは定量評価をせよというのは、ABCに分けるのはあったとしても、少なくとも項目設定をしてやっておくことは、いろんなことを考える上で便利だなと思います。ただ、定量化は確かに非常に難しくて、それがゆえに、かえって指定が困難になるようなことになると困りますから、そういう意図ではないんです。

【武田委員】 予防原則みたいな、それで指定ということもあり得るのかもしれませんですね。

【村上委員】 そういうことです。

【小野座長】 皆さん、あまり他に異議がないみたいですから、今のような、どういう項目があるかということをチェックして、この項目を少なくとも網羅しておくということが必要であろうという意見にしておいた方がいいと思います。「てにをは」まで指定すると、書く方の楽しみがなくなりますから、それはやめておいて、一応、項目指定と、こういうことについてかけたということにしておきましょう。それでいいですね。

【村上委員】 はい、結構です。

【小野座長】 それでは、村上さんのご提案は受け入れられたということでいきます。
 それでは、その他、これに関するパブリックコメントとか、そういうものがあるでしょうから、その辺の説明を、牛場さん、よろしく。

【外来生物対策室長】 ありがとうございました。
 それでは、本日の検討結果を受けまして、シママングースの特定外来生物の指定に向けた作業を引き続き進めていきたいと思っております。WTOの通報手続につきましては、既に9月24日から始めておりまして、また、パブリックコメントにつきましては、今月中、早いうちにパブリックコメントの実施を行いたいというふうに思っております。6ヶ月以内の通報ということになってございますので、特定外来生物に指定して、その規制の効果を発揮させるために22年、来年2月頃の施行を目指してございます。
 スケジュール等につきましては、以上でございます。

【小野座長】 今のは報告ですから、皆さん、そのようにお受け取りください。
 よろしければ、その他にいきますけれども。

【岩槻委員】 農水の方に伺いたいんですけれども、今も理由に農水の被害も考えられるからという表現が入ったんですけれども、私、ジャワマングースの農作物被害というのが、この程度でおさまっているのかというのは知らなかったんですけれども、ジャワマングースがあれだけ増えていても、この程度の被害なんですから、シママングースがジャワマングースに勝って拡がるというのは、あまり想定できないと思うんですけれども、その場合、作物に被害が、もちろん1円でも被害があれば被害があるということなんですけれども、1円でも被害があれば、輸入はやっぱり禁ずべきだというふうにお考えなんでしょうか。

【鳥獣被害対策室長補佐】 まず、それが予測されれば、私どもとしてもやっぱり対策を今まで講じておりますし、何らかの対策を講じなければいけないというふうに考えていますので、やはり、今回指定していただいて、きちんとした対応をしていくというのが原則だと思います。
 それと、ジャワマングースについてなんですけれども、今回の会議がございましたので、県の担当の方に聞いたところによりますと、わずかな被害ですと、農家の方が被害の報告をしない場合もあるらしいので、それらも含めると、これだけの被害にとどまっていないのかも、そういうおそれもございますので、やはり、今回、きちっとした形で指定するべきではないかと、私どもも、そういう視点に立ってご検討いただきたいなというふうに思った次第でございます。

【岩槻委員】 一般の人々の感覚から言いますと、生態系に対する被害と並べてこれが出てきますと、生態系への被害というのは極端に大きいわけですよね。この程度の、特にこれ数字ではっきり出てくるわけですから、この程度でもそんなにという言い方で、生態系に対する被害もその程度のものかと見られるというのが、このぐらいというのは、一般の人にもっともっと周知していただく必要があるわけで、そのときの説明資料として、何かやっぱり同列にただ並べるというだけでは、問題なんじゃないかという。もちろん、被害がたとえ1銭でもあれば、それに対して防御するというのは当然なことなので、それはまさにおっしゃるとおりで、被害がちょっとぐらいあってもいいじゃないかとは決して申しませんけれども、そういうPR効果ということを含めての取り扱いに注意される方がいいんじゃないかと思いましたので、発言させていただきました。

【村上委員】 分科会で実は農作物被害だけ出てきました。僕がこれを見て、こんなものの被害じゃ話にならんと言って。実際、ジャワマングースの問題は、生態系被害なんだから、したがって、生態系被害でそれに対してどれだけの対策費を使っているかということも含めてやるべきだというので資料が入ったんです。そういう意味では、入った場合、シママングースが生態系に被害を与えるよというので、順番を変えて生態系を中心にしてもらって、後にこれを補足資料で3番目にしてもらおうと。そうすると、その方がウエイトが少なくなって、わかりやすいと。これはたまたま出た順番になっていますから、おかしいんです。そういうふうにしていただいたら、今の話が。

【小野座長】 表現の問題であろうかと思っています。しかも、マングース属は平均して大体肉食に偏った雑食性ですから、野菜を食べるというのは、彼らはまあ言うならば、刺身のつまみたいにして食っているわけですから、そういう意味では農作物被害は本来起こさないやつなんですね。だから、それを農作物の被害まで出たよ出たよというと、何かおかしなことを考えているんじゃないかというふうに疑われかねませんので、そういう意味では、今の村上発言のとおりでありますので、一つ扱い方を考えないといけないと思っております。ありがとうございました。
 では、以上でマングースについては終わりまして、その他ですけれども、事務局から説明することがあれば、説明資料をお願いします。

【外来生物対策室長】 これもマングースなんでございますが、参考資料の方にございます、鹿児島市で、九州本土の方で確認されたマングースについて新聞報道されている部分がございますが、概要を少しまとめておりますので、ご報告をさせていただきたいと思います。
 確認の経緯でございますけれども、本年6月22日に鹿児島県が鹿児島市喜入付近でマングースの生息が見られることを発表しております。
 その内容につきましては、2007年、高校の教諭がマングースの轢死体を収容した。2009年4月、野鳥の会会員がマングースを撮影したと。その後、30年、20年前に付近で捕獲された動物の剥製がマングースであることが判明しております。本年の7月1日から県が中心となりまして調査を開始して、9月25日までに累計24頭の生け捕りが行われているということでございます。
 対応の状況でございますが、県が情報交換会を招集しまして、環境省の九州地方環境事務所、あるいは県の博物館、鹿児島市、鹿児島国際大学の教授、日本野鳥の会の方を招集しまして、6月23日、それから6月29日と2回の会合が持たれております。
 これを受けまして、捕獲調査用の箱の設置、あるいは自動撮影カメラの設置、生息状況のアンケート調査等が行われております。
 7月15日から県が緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して生息地確認調査、防除事業等を実施することを発表されております。これにあわせて捕獲調査用の箱ワナの増設も行われております。
 8月になりまして、県が第1回マングース生息確認調査・防除事業検討会を招集しまして、先ほどのメンバーを中心に検討会を実施しております。その中で今後の事業内容について議論が行われております。
 9月1日になりまして、県がワナ20基を追加してございます。9月7日にはさらに追加、現在、計32基でマングースの捕獲作業を行っているという状況でございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【小野座長】 ありがとうございます。
 何か今のについて。どうぞ。

【武田委員】 これは村上先生かもしれませんが、今、24頭生け捕りということですけれども、これでさらにいるものなんでしょうかね、かなり。

【小野座長】 捕獲努力量がどれぐらいであったか、面積がどれぐらいでやったか、それによってこの評価が変わってきます。勝手にその辺に置いておいたやつに24頭かかったということは、バックグラウンドは壮大な個体群になります。

【小野座長】 だけど、本当にある地域を囲い込んで、集中的にかけてやれば、比較的相当な部分までやれる。これは奄美大島の実例がそうですから、やれると思いますので。これは本当、どうなのかな、どういう生け捕りのやり方をやったのか、それによりますね。

【外来生物対策室長】 ワナは箱ワナなんでございますけれども、従来は鹿児島市を中心にアンケート調査、聞き取り調査を行っていたんですけれども、県の方では周辺の市町村にもアンケート調査等聞き取り調査を拡大しまして、生息状況の把握を、まず、並行して、優先して行っているというふうに聞いております。

【小野座長】 市内で適当にばらまいたやつが24頭かかったんですか。

【外来生物担当室長補佐】 お聞きした情報では、最初に6月22日というふうなところで地名が書かれておりますが、鹿児島市の喜入付近という、ある一定の地域で集中的にワナをかけて、そのワナにかかっているというような、ある程度、限られた範囲でワナを仕掛けているというふうには伺っております。

【村上委員】 分科会でそのことが議論になりまして、それで分科会の時点では、8月31日までに累計9頭捕獲されたと書いてあったんです。それで、その文章を見て、一体捕獲努力はどうなっているんだと言ったら、そのときにはワナが8基で9頭とっていますと、その時点で。それで、1ヶ所にかけたもので、ものすごい数ではないかと。それはもうえらいことになっているぞという話が出ていたんです。そのときに既に捕獲努力のことから推定して全体を考えると、かなりのものだという話が出ていまして、今回、24頭と書いていますが、そういう推定とは書いていないですね。だから、かなり個体数がいるということは確実だと思います。だから、これはかなり危ない部類だと。危険な状況であるということは確実だと思います。

【武田委員】 剥製が随分古いのがありますね。30年前。

【外来生物対策室長】 そのあたりも、やはり、県の方もどの程度それが拡がっているかということを非常に心配しておりまして、そういうことも含めて、周辺の市町村も含めて、今、聞き取り調査等を行っているというふうに聞いております。
 環境省の方もそういう情報をいただいて、あるいは、前回の専門家会合でも、こういう情報を周辺の都道府県、九州の範囲ですけれども、情報提供しようということで、宮崎、鹿児島、その他の県にも情報を提供しているところです。注視していきたいと思っております。

【武田委員】 これ、ジャワマングースなんですか。

【小野座長】 ジャワらしいですね、これ、僕も知らないんですけれども。

【武田委員】 奄美のよりもどっちが早いんですか。

【小野座長】 もっと最近でしょう、これ。私、奄美に携わってきた経験からしますと、奄美の初期と非常によく似ています。奄美の初期は、港の周辺にちょろちょろとおっただけだった。あっという間に拡がって、一時期10万なんてすごいことを言う人がいましたけれども、調べてみると、それほどはいなかったんですが、一万五、六千はいたという状況です。それを大騒ぎして、今、たたいているわけですが、喜入も放っておくと周辺の地域に拡がっていく可能性があります。非常に高速です。それは、ちょうど屋久島のタヌキの拡がり方によく似ているんですね。今、屋久島のタヌキは花之江河まで上がっていますから、8合目近くまで行っていますから、ものすごい勢いで拡がったもんだなとは思っています。本来、屋久島というのはタヌキのいないところですから、それが入って、今から十二、三年前ですよ。屋久島のタヌキが30頭ぐらいおるというのを僕は聞いたことがあります。今は30どころの話じゃないだろうと思いますけれども。この前、矢原先生に聞いたら、花之江河で見たというから、「わあわあ、それはえらいことだな」と言ったんですが。ただ、屋久島のタヌキは具体的な被害として何が被害かということは分かっていないんですね。だから、環境省も恐らく放っているんだろうと思うんですけれども、これは喜入の場合は、結構ニワトリとかいろんなところに被害が出てきて、そのうち騒ぎになるだろうと思います。

【村上委員】 もう1点、いいですか。分科会で、もう1点議論になったことは、2007年に轢死体を収容しているにもかかわらず、何も手を打たなかったのかと。そこが非常に問題になりまして、こういう外来生物法を施行しながら、その後で発見されたものに対して、早期発見、早期対応というのは、これは国際的な対応関係は決まっているわけですね。原則指針でも決まっているわけです。国際生物多様性条約にも。原則指針で、各国守るべきこととして、早期発見、早期対応というのはあるんですが、それをしていなかったのはなぜかということが議論になっています。
 それで、やはり、早期発見して早期対応する、早期対応の方が全く遅れているんですが、発見したことすら全部に知れ渡っていなかった。それが問題なんで、その二つの点をもう少し今後、例えば、特定外来生物が発見された場合に、こういう処置をしましょうとか、そういうルールを決めておく必要があるだろうということが議論になりました。

【小野座長】 そうですね、全く。

【村上委員】 それはやはり重要なことなので、哺乳類・鳥類分科会ではなしに、親委員会でやはりそういうことを議論すべきだと、僕は思っています。それで、そういうルールづくりはちゃんとしておくべきだと思います。

【小野座長】 恐らく今の村上発言に対しては全く異論がないと思うんですけれども、早期発見、早期対策というのは、これはもう原則ですから、その原則を知らない町、こちらの方が無視しちゃっているということになったらいけませんから、ルールをつくるということ、これはいつ頃までにつくるかというのは。

【村上委員】 できることなら、そういうことを、ものすごいルールをつくって、それに対して抵抗されても困りますから、できるだけ早急にそういうことをルール化して、例えば、環境省に速やかに届け出るとか、近隣府県に届け出るとか、そういった幾つかのことが決まると思います。例えば、環境省でこういう委員会を開いて、それに対してどう対応するのかと議論して、こういうことをしましょうというものを方針として示す。そのときに議論になったのは、ある人が、ニュージーランドではある種が発見されて、わずか3ヶ月で対策を立てた。その間に委員会を開いて決めたと。3ヶ月以内でもう対策をしたと。

【武田委員】 それはいいと思いますよ、理想的なんですけれども。ということは、高校の先生がこの話が明らかになったのはどういういきさつかわかりませんが、すぐどこかしかるべきところに情報が伝わればいいんですけれども、仮に僕が住んでいる地域で、ある特定の種が見つかって、それが轢かれたものが汚いからって片づけちゃうだけであって、ほとんどこういう情報というのは上がっていかないんじゃないかという心配があります。ということは逆に環境省のフォローをもっと密にして、一般啓蒙を、一般の人々にこういうのがというのを、もっと伝えなきゃいけないんじゃないかと。最初の頃はいろんなパンフレットを作ったり、あちこちやりましたけれども、その後、またテンション落ちているんじゃないかと思いますけれども、啓蒙活動をやるべきじゃないかなという感じはしますね。

【小野座長】 早期発見、早期対策というのは、言うは易しなんだけれどもね。

【石井委員】 これ、入った理由というのかな、どういう経緯で入ったの。

【村上委員】 それを調べるべきだという話があって、分からないです。

【石井委員】 武田先生も言われて、ちょっと曖昧になっちゃったんだけれども、その後、30年、20年前に付近で捕獲された動物の剥製がマングースであることという、この30年前というのが、多分、武田先生、ちらっとこれを見られて、奄美大島に導入したのが1979年で30年前に符合するということを言われようとしたのかなとも思うんですけれども。一体何なんですかね、それは。船に乗ってマングースって来るものなんですか。

【小野座長】 来ないことはない。

【石井委員】 でも30年前に、もう入っていたとしたら。

【村上委員】 放逐が一番多いですね、世界的には、これは。

【石井委員】 九州全土ぐらいに入っていてもおかしくないですね。

【小野座長】 もともと奄美のジャワマングースがどういう経路で入ってきたかというのは分かっていないんです。

【石井委員】 奄美は意図的なんじゃないんですか。

【小野座長】 意図的だけれども、どこの港におろして、そういう経路は分かっていないんです。とにかくあそこの港に上がったということしか分かっていない。

【武田委員】 何かその結果を、内田先生からいろいろ駆除の話を聞かされたんですけれども。

【小野座長】 これはしかし早期発見、早期対策はいいんですが、相手によって随分やり方が違ってくるんですね。それを一般化するというのは、なかなか難しいですね。

【村上委員】 でも、どこかに報告して、これを考えるところに、そういうシステム。

【小野座長】 だから、情報の流れのあり方を決めておけばよろしいと思うんですね。

【村上委員】 そういうことですね。

【武田委員】 どこかに届けるということですね。

【小野座長】 それはちょっと外来生物対策室の方で情報の流れを整理して、こういうふうにして早期発見をやるんだと。対策は環境省が責任を持ってやりますと、マニフェストに書いておけばいいわけです。

【外来生物対策室長】 検討させていただきたいと思います。

【小野座長】 よろしくお願いします。

【石井委員】 資料ですけれども、やっぱり、環境省が書かれるときはマングースじゃだめで、ジャワマングースと書いていただいた方がいいんじゃないですかね。まだ曖昧な部分があるということですか。マングースの種の同定に関して。

【小野座長】 標本があるんでわかっているんでしょう。

【石井委員】 ジャワマングースでいいんですよね、これ。

【村上委員】 ジャワマングースですよ。

【外来生物対策室長補佐】 一応、我々の方も事務的にはそういうふうには伺っているんですが、ちょっと対外的にまだこうですという発表がないものですから、今、資料としてはこうさせていただいております。

【小野座長】 宇賀神さんの方で確認してからやってください、種類を。
 では、よろしいですね。
 それでは、よろしければ、今日の専門家会合の議題はこれで終わりました。
 では、事務局にお返しします。

【外来生物対策室長補佐】 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして第8回特定外来生物等専門家会合を閉会いたしたいと思います。どうもありがとうございました。