1.日時
平成21年10月2日(金) 14:00~15:00
2.場所
合同庁舎7号館西館 金融庁共用会議室1(903号室)
3.出席者
- (委員)
- 小野勇一(座長)、石井 実、岩槻邦男、岡 敏弘、小林正典、多紀保彦、武田正倫、村上興正(敬称略、座長以外は50音順)
- (環境省)
- 自然環境局長、野生生物課長、外来生物対策室長、外来生物対策室長補佐
- (農林水産省)
- 農業生産支援課鳥獣被害対策室長補佐、環境バイオマス政策課長補佐
4.議事概要
(自然環境局長)平成18年8月以来の会合となる。本日は、未判定外来生物の輸入に係る届出のあったシママングースについて、主務大臣の判定に当たって学識経験者からのご意見を伺いたい。
〔未判定外来生物の判定について(ムンゴス・ムンゴ)〕
(事務局より資料1、2を用いて説明)
(事務局より資料3を用いて説明)
- 当該資料は、8月31日に開催された分類群専門家グループ会合(以下、「グループ会合」という)における議論を踏まえ、「日本における飼育状況」「ペットとしての可能性」「ジャワマングースの生態系被害」「定着の可能性」に係る記述が追加されている。グループ会合では、マングース科全体の指定に関する意見も出たが、法制度上、未判定外来生物の判定においては届出のあった種のみが判定の対象となるため、今回は見送った。
- マングース科全体の指定は今後も難しいのか。
- (事務局)データの収集状況を踏まえて指定することは法律上は可能。
- 特定外来生物に指定された場合には輸入禁止となるが、国内で飼育している動物園が繁殖させて増やしていくことは可能か。
- (事務局)飼養等の許可を受けて適切に管理するのであれば可能。
- 海外における定着事例はあるのか。
- (事務局)定着事例は知られていない。
- (国外で定着事例がないことと関連して)シママングースはジャワマングースに比べて個体数が少なく、世界各地に持ち込まれていないのではないか。
- 「ペットとして適当である」とあるが、これは動物園からの情報か。
- 動物園での飼育の実績から「ペットとしても飼い易い」と言われている。
- 日本では色々な生物が飼われるため、ペットとして国内に入る可能性はある。
- 今回の件は、参考文献が図鑑やハンドブックのみで、一般論に終始しており、具体的に当該種が海外で問題を引き起こしたといった実例が無い点で、弱い感じがする。
- 原虫クリプトスポリジウムについて、人獣共通感染症なのか、在来の哺乳類に感染しないのか等、もう少し情報がほしい。これについては獣医に確認しておいた方がよい。
- 胞子を作って糞から外に拡散するので、動物園飼育下でも危険性がある。近縁のタヌキ等の食肉類には感染する可能性がある。
- グループ会合では「ペットとして流通可能性があり、野外に逸出して定着する可能性が高い。一旦定着した場合には、個体数が増大して生態系等へ被害を起こす可能性が高い。対策に当たっては、茂みに巣穴を作るため、早期発見・早期駆除が困難。したがって特定外来生物に指定すべき。」との結論。
- 「評価の理由」の書き方について、「野外に逸出する可能性」「定着する可能性」「被害のおそれ」「対策にかかる労力」等の評価項目を立て、科学的に総合評価する、という形にした方がよい。
- 分類群によって定量評価が難しい場合には定性評価でもよい。事務局において評価の際の項目について検討してもらいたい。
(本専門家会合の意見)
- グループ会合の意見を踏まえ、「シママングースを生態系及び農林水産業に被害を及ぼすおそれのある生物として特定外来生物に指定することが適当である」を本会の結論とする。
(事務局よりWTO通報、パブリックコメント等の今後のスケジュールを説明)
(その他質問)
- ジャワマングースの農業被害について、思いの外被害額が少ない。シママングースがジャワマングース以上の被害をもたらすとは想定できないが、農林水産省としては1円でも農業被害があれば輸入は禁止すべきとの考えか。
- (事務局)被害が予測されるのであれば、対策を講ずるのが原則。ジャワマングース資料の作成に当たって、県の担当者に問い合わせたところ、「農家はわずかな被害については報告しない場合がある」とのことで、この被害額に留まっていない可能性もあり、指定をすべきと考えている。その視点に立ってご議論いただきたい。
- 一般人の感覚からすれば、生態系被害と農業被害を同列に並べられていると極端に大きいはずの生態系被害も「その程度」と思われる可能性があるため、PR効果を含めて周知に当たって注意が必要。マングース属は肉食に偏った雑食であるため、本来農作物被害は起こさない。その点も踏まえ、表現の取り扱いを注意してもらいたい。
〔その他 鹿児島市で確認されたマングースについて〕
(事務局より参考資料を用いて説明)
- 24頭生け捕りということだが、さらにいる可能性があるのか。捕獲努力量や面積など、生け捕りのやり方によるが、どうだったのか。
- (事務局)鹿児島市の喜入付近という一定の地域に集中的にわなをかけて捕獲されていると聞いている。
- グループ会合の議論においても、8月31日までに8基のわなで9頭捕獲されたということで、かなりの数いるようだと推定された。今回までに24頭捕獲ということで、かなりの数いることは確実で、危険な状況と言える。
- (事務局)鹿児島県においても、どの程度拡がっているかということを心配しており、周辺の市町村も含めて聞き取り調査を行っていると聞いている。環境省の方でも周辺の九州各県に情報提供しているところで、注視していきたい。
- マングースのはく製は30年前のものだったとのことだが、導入経路は分かっているのか。船に乗ってきたりするのか。
- 奄美における侵入初期と状況が非常によく似ている。初めは港の周辺に少しいるだけであったのが、急速に拡がった。屋久島のタヌキも同様。奄美でも正確な導入経路は分かっていない。喜入も放っておくと高速で拡がる可能性がある。
- グループ会合においては、外来生物法が既に施行されていて、生物多様性条約の原則指針において早期発見・早期対応が決められているにも関わらず、2007年に轢死体が発見されてから、通報等の対応がなされていなかったことが問題視された。今後、早期発見・早期対応について、ルール作りをしておいた方がよい。
- 発見情報を集めるには、一般の啓発が重要。最初の頃はパンフレットを作ったりしていたが、その後テンションが落ちているのではないか。
- 早期発見・早期対応を進める上で、情報の流れのあり方を決めておくのがよい。それによって早期発見を行い、早期対応を行う、ということでよいのではないか。
- 環境省の資料においては、マングースではなくジャワマングースと書いた方がよいのではないか。まだ曖昧な部分があるのか。
- (事務局)事務的にはジャワマングースだと伺っているが、対外的にそうだという発表がなされていないため、こう記述している。
(文責:環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 速報のため事後修正の可能性あり)