環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第7回 特定外来生物等専門家会合議事録


1. 日時 平成18年8月10日(木)14:00~15:14
2. 場所 法曹会館3階富士の間
3. 出席者  
   (座長) 小野 勇一
   (委員) 石井  実
岡  三徳
小林 正典
武田 正倫
村上 興正
岡  敏弘
角野 康郎
多紀 保彦
長谷川雅美
               
   (環境省) 南川自然環境局長
黒田大臣官房審議官
星野野生生物課長
三村外来生物対策室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 武井水産庁生態系保全室長
村上生産局農産振興課技術対策室課長補佐
飯田林野庁森林整備研究・保全課課長補佐
4. 議事  
【移入生物専門官】 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから第7回特定外来生物等専門家会合を開催したいと存じます。
 本日、委員のうち岩槻委員、それから亀山委員がご欠席ということで、ご連絡をいただいております。
 それから、続きまして事務局からの人事異動等に伴う新たな出席者についてご紹介をいたします。
 まず、環境省から星野野生生物課長です。それから、三村外来生物対策室長。それから、水産庁の武井生態系保全室長でございます。農林水産省農産振興課技術対策室の村上課長補佐でございます。林野庁の飯田課長補佐でございます。
 それでは、ちょっと今、環境省の自然環境局長の方が遅れておりまして、到着次第、一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。
 それでは会議の方を具体的に進めてまいりたいと思いますが、まず、お手元にお配りいたしました資料の方の確認をさせていただきたいと思います。
 お配りした資料の一番上が議事次第になっております。順にご説明いたします。
 一枚めくっていただきますと、資料一覧がございます。それから、資料の1と右肩にあります外来生物法の施行状況について。それから資料2、特定外来生物等専門家会合の今後の進め方について。資料3-1、委員の先生方にはカラーでお配りしておりますけれども、特定外来生物・未判定外来生物・種類名証明書添付生物一覧という表でございます。それから資料3-2が、ちょっと厚めのものでございますが、我が国に定着している外来生物のリストの暫定版。資料3-3としまして、要注意外来生物リスト。それから参考資料集としまして、参考になる資料を表紙をつけて一つにまとめて綴じてあるものがございます。
 そのほかに、委員の先生方には冊子で、特定外来生物被害防止基本方針というのをお配りしております。もし、資料に不備等がございましたら、事務局の方におっしゃっていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、早速ではございますが、議事の方に入らせていただきたいと思います。
 議事については、小野座長の方にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【小野座長】 はい。皆さんこんにちは。大変暑い毎日でございますけれども、夏は暑くなると、皆さん地球温暖化じゃないかと言うんですが、真冬に雪が山ほど降っても、あれは温暖化だとは言わないんですね。あれ、不思議なものです。地球温暖化は、最高と最低がぐんと深くなるのが温暖化の特徴だということは、皆さんご承知のとおりでございますが、それに伴っていろいろな生物の動きがあると思いますが、きょうは特にそれに伴う外来種という問題ではございませんで、最初は個々指定をいたしましての、その後の動きにつきまして報告していただきます。施行の実施状況というのが、もう皆さんご承知と思いますけど。
 それからもう一つは、今後どういうふうにこれを扱うのかという、今後の指定の方向というものについて忌憚のない意見を出していただいて、その上で今後のやり方を決めていこうというところでございます。
 それでは早速でございますけれども、特定外来種が指定されてもう1年たったわけでありますけれども、どういうふうに、事務局もいろいろと苦労して対応しておるようでございますから、それぞれ農林水産省等も対応しながらやってきた経過を報告していただきます。三村さん、よろしくお願いします。

【外来生物対策室長】 それでは事務局ということで、私、外来生物対策室の三村がご説明させていただきます。すみません、長くなりますので座って説明させていただきます。
 まず、資料の1、それから参考資料集を使いまして、1年たってどのような施行状況になっているかということについてご説明を申し上げたいと思います。
 その前に一度、法律の仕組みの簡単な流れをご説明する関係で、一度、法律の仕組み、形だけもう一度レビューさせていただきたいと思います。
 先生方のお手元に置きました基本方針、この本の19ページをごらんください。法律の簡単なフロー図が入ってございます。きょう、先生方にご報告しようとしていることのまず1点目は、法律に基づいて各種のランクで種の指定をしてございますので、その種の指定がどうなっているのか。具体的に言いますと法律で、特定外来生物及び未判定外来生物への法律のもとに指定をしてございますので、それがどうなっているかということを、まずご報告いたします。
 それから2点目としまして、その特定外来生物に指定されると、下の矢印になりますが例えば飼うこと、栽培すること、保管すること、また輸入等についての規制がかかってございます。こういう規制が、どういうふうな状態で今なされているかということについてが2点目でございます。
 さらに3点目としてご報告申し上げますことは、さらに野外に定着している外来生物については、防除をするというのも法律の中でうたわれてございます。この防除がどういう形で進んでいるかというようなこと。大きく分けて法律に関してこの三つの観点で、これからお時間をいただいてご説明をしたいというふうに考えてございます。
 まず、これがきょうの私の最初の報告事項ということで、頭に入れていただけた上で、それでは早速ご説明させていただきたいと思います。
 資料の1でございます。また、ここの最初のくだりは特定外来生物の指定状況についてということでございます。参考資料の1ページに、その具体的な種の指定のリストをつけております。先生方にはこの表の方が実は…。
 すみません。ちょっと説明に先に入る前に、局長の方が到着いたしましたので、一言先に。

【自然環境局長】 どうも遅くなりました。局長の南川でございます。
 きょうはお暑い中、かつ、お盆間近なときに大変ありがとうございます。我々も、来週はできるだけ休もうと思っておりまして、今週無理に詰め込みまして、まことに申しわけございません。
 すみません、おくれまして申しわけございませんでした。久しぶりの実は委員会でございまして、たしか12月に開かせていただいて以来だと思います。
 今、紹介もあったと思うんですけれども、体制を強化いたしまして、新しく外来室というものをつくりまして、三村がそれに就いておるということでございます。それから課長の方も、前の名執が国連大学の方にまいりまして、国際的な観点からの生態系保全とか、環境教育といった仕事に当たるということになりまして、後任が星野ということでございます。
 新たな体制で、しっかりこの問題をやろうと思いますし、私どもあちこち、法施行から1年たちましたけれども、全国各地を回っておりますと、非常に外来種問題を身近に捉えております。何か学問上のことという感じも最初はしたんですけれども、各地を回っておりますと、非常に外来種問題に困っているというところがたくさんございまして、そういう意味では、非常に深刻に問題を受け止めて、しっかり環境省とも仕事をやっていきたいと思っています。
 この1年間、その施行後二次指定のあと、セイヨウオオマルハナバチなどについても指定をしたわけでございまして、きょうはそういった1年間の状況のサーベイ、それからさらにその次のステップでございます三次指定と、それについてもぜひフリートーキングをお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【外来生物対策室長】 それでは、すみません。説明の方に戻らせていただきます。
 資料の1、特定外来生物種の指定状況についてでございます。
 参考資料の1ページの方に具体的な表と、それから多分この表の方が先生方には、具体的に議論の過程等が思い出されて、よりわかりやすいというふうに考えてございますが、17年6月1日に37種類、それから18年2月1日に43種類ということで、現在80種類のものが指定されてございます。
 二次指定のときに、次はセイヨウオオマルハナバチですねということで、昨年の12月にセイヨウオオマルハナバチについての指定というご議論いただいた部分につきまして、今ほど局長がごあいさつの中で申し上げましたとおり、今度の9月1日の施行に向けて動いておるということでございます。
 セイヨウオオマルハナバチにつきましては、その研究、勉強の過程で大体年間7万ケースぐらい、7万巣箱ぐらいのものが使われていると。いろいろ各地の農協、JA等とヒアリングをして、いろいろ話を伺っていると、それぞれ農家の規模によってハウスの規模によって、使用量は随分違うようでございますが、大体6個から8個ぐらいを使っておられるのではなかろうかという想定ができるというようなことから、7万ケースに対して、大体年間6個から8個という計算、単純に割戻しますと、大体1万戸ぐらいの農家の方々が使っておられる可能性があるというようなことがわかってまいりましたので、かなり地元説明とか農家の方々のヒアリングというのをする必要があるだろうということで、今年の7月から、実はきょうも沖縄の方で(事務局訂正:16日の誤り)、JAであるとか、流通業者等を集めた説明会を、あしたは熊本で説明会をするということで、8月のこのお盆直前までの間、いろいろ説明をしながら9月1日の施行に向けての作業をしているというのが、現状として一つあります。
 それから、未判定外来生物の中に指定してございましたクモテナガコガネ属とヒメテナガコガネ属、この2種についても併せましてあとでまた簡単にご説明はしますが、指定をしたらというようなことでご議論いただきまして、併せて9月1日の施行に向けてということで動いてございます。
 これが二次に次いでの、種類数が3種類ということでございますので、三次という方もちょっとどうかなという気はいたしますが、次の指定の方に向けた作業ということで動いております。
 今後の指定ということにつきましては、きょうこれから資料の2という議題の二つ目でご議論をしていただく方向で進めていくというようなことで考えているということでございます。
 続きまして未判定外来生物の指定ということでございます。
 未判定外来生物というのも、法律の中の一つの条項として定めているものでございまして、原則的に導入の記録がない、または記録はあるけれども定着していないという、さらに現在輸入されていないもの、そういったものを指定するというようなことでやってございまして、未判定外来生物に指定をされると、そのものを輸入しようとする人間は届け出をしなければならない。届け出をされると主務大臣は、その種について6カ月以内にいわゆる判定をしなければいけない。特定外来生物種として規制をするのか、特定外来生物種として指定しないで、今後自由に扱えるようにするのかというようなことの判定をすることになります。当然、判定がいわゆる白という状態にならないと輸入ができないという、そういうものでございます。
 先ほどちょっと申し上げましたクモテナガコガネ属、ヒメテナガコガネ属について、今年の3月に、輸入をしたいという業者の届け出がございました。輸入をしたいという届け出がありましたので、3月から6カ月の間に、それを全部白黒を決めなければいけないということで、昆虫グループ会合の先生方にご協力いただきながら検討を進めてまいりまして、4月に開催をして特定外来生物種としての指定をすべきという判断をいただきまして、パブリックコメント、それからWTO通報という作業を進めてまいりまして、9月1日施行に向けた所用の手続を進めてきているということでございます。
 これが特定外来生物種及び未判定外来生物種に関する、この1年間の動きということになります。
 それから3点目としまして、要注意外来生物種リストの公表。
 これは、先ほどの法のレビューのところにも出ていなかったものでございます。平成17年8月12日に公表したものでございますが、これは特定外来生物等専門家会合において、特定外来生物の選定の過程で、生態系に悪影響を及ぼし得るものとして指摘があったもの等をリストとして公表していこうというようなことで出されたものでございます。
 このものにつきましては、資料3-3にちょうどリストそのものをつけさせていただいてございます。この3-3、すみません、リストの表の括弧の中、18年8月12日版となってございます。大変申しわけございません、ミスプリでございます。本日、8月10日でございます。

【移入生物専門官】 18年が間違いで、17年の8月12日。

【外来生物対策室長】 すみません。私も今、真っ白になりましたが、17年8月12日に発表いただいた17の方が正しい、ですから、18年じゃなくて17年です、申しわけありません。きょうが8月10日なものですから、私も今、慌てながら言ってしまいました。申しわけございません。
 17年8月12日の公表版のものでございます。ここを見ていただきますと、哺乳類3種類から始まりまして植物84種までで、合計で148種類の外来生物が掲載されているということになってございます。ここは、もう既に四つのカテゴリーということで、被害にかかる一定の知見があるもの、それから被害にかかる知見が不足しているものもありますし、また、選定の対象にならないけれども注意喚起が必要なもの、また、別途総合的な取り組みを進めるものというような四つのカテゴリーに区分してのご議論をいただいて作成いただいたものということでございます。
 続きまして、飼養許可の状況についてということで、移らせていただきたいと思います。資料は2ページになります。
 特定外来生物種の方に指定をされますと、飼うこと、栽培すること、こういったことに規制がかかるということでございますが、まず最初に、輸入の規制がかかってございますが、輸入の状況はどうなっているかということでございます。特定外来生物種のうち、既にカニクイザル等の実験用のサル、それからオオクチバス及びチュウゴクモクズガニが既に輸入がなされております。
 それから、種類名証明書発行機関リストでございますが、これは税関で、外来生物と未判定外来生物との外見が非常に似ているということから、税関でチェックをされるときの工程を助けるために、そういう種類の証明書というのを添付するということになってございますが、それは外国のそういう発行機関を確認をしていくことになります。それが今、54カ国から回答がありまして、54カ国の国からの添付がなされるというような状況になっているという状況でございます。
 それから(3)でございますが、税関において任意放棄事案がどれぐらいあるのかということで、資料をちょっとまとめました。
 一つは、規制の開始当初に、規制内容を知らなかった一般の方が持ち込んでしまったケースということで、いわゆる上海ガニですね、チュウゴクモクズガニが6件、ボタンウキクサが1件、税関の方で任意放棄ということが起こったということでございます。
 それから、輸入が規制されています未判定外来生物のうち、ヒキガエル属のヘリグロヒキガエルが持ち込まれて、同じように任意放棄が1件されてございます。
 それから昆虫、種子、こういうことで、種類名証明書とともに持ち込まれたんですが、例えば要件を満たしていないなどで10件程度起こっているというのも、情報として入ってございます。
 この任意放棄事案というのは、外来生物法25条の輸入を行う際にきちっとしなければいけない部分の違反があるかもしれないというようなことが懸念される部分でもございますので、今後税関当局と一緒にさらに連携をとりながら、ここの部分の水際対策というのはやっていく必要があるんだろうというようなことで、私どもとしては注意をしているという次第でございます。
 次に、輸入をするということではなくて、国内にあるものを飼うこと、それから栽培すること等の、飼養等の許可の実態ということについてご説明をします。
 大体、飼うときにどういう規制があるのかということの事例として、参考資料集の2ページの方に特定外来生物の飼養等の取扱細目ということで、資料をちょっとつけさせていただいております。
 これをごらんいただきますと、飼うときの施設の基準であるとか、飼養の許可の条件というようなことが、施行規則の方にそれぞれ規定が定められておりまして、例えばその基準の例として「おり型の施設」というのはどんなものをいうのかというのを参考としてつけさせていただいています。もうちょっとわかりやすく言わなきゃいけないと思いますので、例えばアライグマだとどういうことになるのかということでご説明を申しますと、アライグマの場合は、まず「おり型の施設」であることというようなこと、それ以外にも擁壁式施設等、ほかの施設でも構わないんですが、「おり型の施設」などの施設で飼ってください、「おり型施設」ということになると、逃げ出さないようなおりで囲ってあって、例えば2にありますけれども、外部との出入口の戸は二重にしておいてくださいというような、こういう施設の基準がございます。
 さらに、例えば許可の有効期間は5年としますというようなこと。さらに、数量が変わってしまったときについては、30日以内に主務大臣の方に報告してくれというような、こういうことがそれぞれ飼養の基準の中に細かくいろいろと規定をされていると、こういう規制がかかっているということになります。
 では、こういう規制がかかる飼養等について、具体的にどれぐらいの申請なりが起こったかというようなことについて、ご説明をしたいと思います。
 資料集の3ページ、次のページをごらんいただければと思います。
 これが、第一次指定をしました37種類につきまして、申請が出てきたものの全数、総数の表でございます。ちょっと字がすごく細かくなってございますので、見にくかろうかと思いますが、全部で総数が1,577件ございました。これにつきましては、今、先ほどお見せしたような基準に見合っている飼い方なのかどうかというようなことをチェックをし、また、許可の際に、許可の基準とした5年でもう1回申請してくださいねとか、数が変わった場合には30日以内に報告してくださいねというようなことをお知らせしながら許可を出しているということになります。
 特にこの中で、3種類が非常に飛びぬけて数字が多うございまして、アライグマが243件、カミツキガメが292件、オオクチバス(ブラックバス)が297件。この3件でおおむね全体の50%を超えてございます。53%という数字になります。これぐらいのたくさんのものが現実、出てきたと。さらに、都道府県ごとに分けてございますので、大体お気づきかとは思いますが、東京、神奈川、茨城のようなやはり大都市に集中して、手続がたくさんなされているという状況もまた、これで見てとれるということになります。
 そもそも、じゃあ1,577件についてどういう状況になっているかということになりますが、先ほど申しましたように申請書をそれぞれチェックをし、必要な措置が足りない場合には、またその改善をお願いするというようなことを、今ずっとやってございます。
 昨日の段階でちょっと調べ直しましたところ、1,577件のうち、許可が終わったのが927件、全体の59%が許可が済みました。残りがございまして、650件余りがまだ残っていると。そのうちの約200件につきましては、現在決裁をしている最中。実は、私ども、この決裁中の許認可業務につきましては、それぞれ全国の地方環境事務所の方で、今、事務を、大事な研究事務をおろしておりますので、それぞれの現地の方で決裁をしているというのが約200件になっているという状況になります。
 残り160件余りが、まだいろいろ報告をいただくなり、指導をしている最中になっている案件でございます。その160件、正確に言いますと162件なんですが、そのうちアライグマが53件、カミツキガメが38件、オオクチバスが23件。これを全部合わせますと大体残っているものの70%が、この3種類でやはりとまっていると。
 状況をご説明申し上げますと、先ほど言いましたように、例えばアライグマであれば、出口を二重にして、門を必ず逸脱防止のために措置をとれと。それから、アライグマが手の届かないところにロック、鍵をかけられるような構造にしてくれというようなことをするんですが、長年、例えば個人がお庭で飼っているようなケースですと、なかなか今までも逃げなかったのに、何でそこまでしなきゃいけないんだというようなことで、ご理解いただけないケースであるとか、どうしてもそのお話をするご主人が土日しかつかまらない。夜、お電話すると、正直なところご心外されて話をなかなか聞いていただけないというようなこともままあるようでして、そういったことが少し残った状態で今、大体6割方は決着がつけられたというような状況になっているというのが現状でございます。
 また、オオクチバスにつきましてですが、3ページにございますが、さらにいろいろ皆さん方の注目もあるということもございまして、特に生業の維持ということで、釣り堀、管理釣り場とか養殖場、こういったものにつきましては必ず共管である水産庁と一緒に現地確認をしまして、基準に照らした改善要求等をしているという状況でございます。これにつきましても、トータルで63件の申請が出てございまして、今43件の方が終わっているというようなことでございます。
 それから、もう一つ飼養の基準の中でお話をしている中で、個体識別というのがございます。
 これは、いわゆる個体を識別するためのマイクロチップの埋め込み等ということでございますが、現在、マイクロチップの埋め込みについての技術講習会であるとか、そういうことのPR、それから具体的にそのマイクロチップを埋められるような社会的な基盤が整うような、そういう普及啓発なり講習会というようなことを進めているというところでございます。
 次に、防除の状況ということでございます。参考資料としては4ページになります。
 環境省が行っています防除につきまして、一つには直接的に環境省自らが駆除をしていく必要があるだろうというようなことで、例えば奄美大島におけるマングースの駆除であるとか、オオヒキガエル、またはオオクチバスを伊豆沼、内沼、羽田沼等でやるというようなことで行われているケースがあります。
 さらに、広域的に生息しているもので、どちらかというと後でまたご紹介しますが、県市町村また、民間の方のご協力もいただきながらやっていく必要があるような種類につきましては、モデル事業ということで効果的な捕獲の方法であるとか、体制整備をどうやって進めたらいいのかというような観点から、例えばアライグマ、タイワンザル等についてモデル事業を進めているというような状況でございます。
 さらに、今申し上げました地方公共団体、また民間の方々が、環境省にかわってというのでしょうか、環境省と同じような形で防除するという仕組みが法律の中に規定がございます。国、地方公共団体が行う防除は主務大臣の確認を、それから、民間の方がなされる場合は主務大臣の認定を受けて、外来生物法の許可であるとか、鳥獣保護法のいろんな各種の許認可をクリアするような形で、円滑な防除ができるような仕組みでございます。
 そのものにつきましてが、資料として5ページにございます。これは、種類別の防除の確認・認定の状況ということでつけさせていただきました。上の方の確認防除というのが、先ほど言いました公共団体、地方公共団体が行うケース。それから、認定防除と下の方の段の方にありますのが民間の方です。実施主体、それぞれ少し例を出させていただきました。資料の1のところで、これまで110件の確認、または認定がなされているということと、ここの表にあります件数がちょっとかわってございますが、これは種類別に整理をし直すとこうなるということでございます。例えば北海道などの場合は、アライグマと、それからミンク、これが非常に大変だということで、アライグマとミンクの防除計画を一度に出されて、1件として私どもとしては処理をしているけれども二つありますというようなことが、実はダブルで、もしくはトリプルでかかってくるケースがありまして、実数はそういうわけでございます。
 見ていただきますと、やはり北海道等で非常に困っている場合は防除計画を出していただいて、その地域地域での防除作業をお願いできているというようなことでございます。また、民間の方で、例えばカミツキガメだと、和亀保護の会、生態工房、外来亀対策委員会、こういう三者の方々が出していただいて、民間ベースでもその防除作業、防除活動というのが行われているというようなことが見てとれるということでございます。
 それから、その他の取り組みといたしまして、こういう防除活動ということというふうな明確な言い方ではないかもしれませんが、例えばブラックバスにつきましては、全国ブラックバス市民防除ネットワークという団体が設立されまして、「全国一斉「STOP」ブラックバスウィーク」ということで、5月に1週間かけて各種イベントがなされて、総勢2,400人の方が防除等の活動をされたというようなことの例もいただいているということでございます。
 この防除につきましては、私ども環境省のほかに、農水省が取り組まれておりますので、ここでちょっと簡単に説明をいただきたいと思います。

【農林水産省技術対策室課長補佐】 農林水産省の農産振興課の技術対策室で鳥獣対策を担当しています村上といいます。
 私たちのところは、農作物の被害防止というところで取り組んでおりますけれども、農作物に被害を及ぼすという関係では5種指定されておりまして、そのうちの農作物に実際に被害を及ぼしているというものは、ほとんどがアライグマとヌートリアというものになってございます。
 その被害を及ぼしているということについて、どういうような手段を用いて被害を防止するかというと、わなでもって捕獲するというのが最も簡単で有効であるというふうに思っておりまして、そのために必要なわなとかを、市町村とかがある程度数量をまとめて購入しますということについては、補助事業というものが用意されておりまして、具体的に言いますと、強い農業づくり交付金という以下の施策がありまして、被害防止施設というところで購入することについては、補助の対象になっておりますので、それで主にやってもらえればというふうに思ってございます。
 それ以外にも若干はあるんですが、基本的には強い農業づくり交付金という、交付金の中で対応しているという状況でございます。

【水産庁生態系保全室長】 水産庁の生態系保全室でございます。
 私の方から、外来魚、特にオオクチバス、ブラックバス等の駆除についてでございますが、従来から水産庁は県市町村、あるいは漁業者団体等が実施するブラックバス等の駆除に対して補助金、それから17年度からは交付金ということになったわけでございますが、県に対して交付金もしくは補助金という形で支援するということをやってございました。
 平成17年度につきましても、35道府県で駆除を実施しておるという実績でございます。以上です。

【外来生物対策室長】 ありがとうございました。
 では、最後の方でございます。4ページの後半の方でございますが、こういったもろもろも含めまして、その法執行体制としてはどうですかということについてのご報告でございます。
 まず、この法律は主務大臣が環境大臣でありますが、今ほど農林水産省の方でご説明いただきましたように、農林水産物に係る被害に係る主務大臣につきましては、農林水産大臣も入っているというようなことから、農林水産業に係る被害を与える外来生物についてはその指定であるとか、飼養許可基準の策定、それからこういう防除といったことについて両省と連携をとりながら進めていくという体制がとられております。
 また、輸入規制の執行という観点から申しますと、植物防疫所等の関係機関の協力を得ながらやらせていただいておりまして、さらなる体制の確保というふうな観点から、また引き続き税関等との連携強化というようなことを進めていきながらいきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、先ほど許認可のところで少しご説明いたしましたが、環境省の組織が一部地方支分部局化ということで、17年10月から地方環境事務所が設置されました。地方環境事務所が設置された上で、大臣の権限が一部下ろされるというようなことで、18年の1月から許認可の権限の一部が地方環境事務所になってございます。したがいまして、東京ではなくて、それぞれ現地においてその担当職員がいて、指導等ができるという体制ができましたし、また、職員の数もしたがいまして増えてございますので、その許認可なりもより早く進むような体制がとれてきたというようなことでございます。
 また、私のおりますこの外来生物対策室が4月からスタートいたしまして、外来法に基づく許認可と、あともう一つが、カルタヘナ法に関する、遺伝子組み換え生物に関する業務をしておるんですが、部屋として独立して動けるようになったというようなところがあろうかと思います。
 また、このペーパーにはつけてございませんでしたが、この法律を契機にということだと私どもとしては理解をしておりますし、また先生方の強いご指導があったことだということで考えてございますが、それぞれの例えば県で条例をつくる動きというのも、だんだん出てきているということを承知してございます。多くは希少野生生物を、その当該県における希少野生生物を守るための条例等の枠組み、スキームになってございますが、その中で、外来生物の駆除なりを進めるというようなことを書き込むというようなことで、例えば佐賀県とか滋賀県は、条例は大体できて指定が済んだ、もしくはその指定の作業をしているというような状況だと把握しておりますし、沖縄県ではその条例についてのパブコメを今やられているというような状況だというふうに考えてございます。
 最後になりますが、こういったことをきちっと進めていくために、もう一つ大事な普及啓発ということもあるということで、私どもは、ホームページにおいてのいろんな資料提供をするであるとか、ポスター・パンフレットの作成等々をやって、また、さらに地方環境事務所においても街頭のキャンペーン等をやっていただくというようなことをしてございます。
 この夏休みになっても、例えばペットを捨てないでということで、そのパンフレットを配ったり、幾つかの事務所ではペットショップを回っていただいて、それをまた報道していただくというようなことで地域での普及啓発をしているというようなところでございます。
 また、最後、セイヨウオオマルハナバチにつきましては、北海道では市民が参加して調査をするというような、そういう流れもまた出てきているというのが、この1年の流れであるということでのご報告で終わらせていただきたいと思います。以上でございます。

【小野座長】 ありがとうございました。
 外来生物法後の状況について、全般的な説明をしていただきました。まだ、なかなか県では全部そういう種類がどういう状態にあるかということを受け取っていただけないところもありますが、きのう私がたまたま道具を売っている会社があるんですが、そこに行きましたら、アルゼンチンアリの防除剤を売っておりました。こんなものが商品になるのかと思ってお店の人に聞いてみたら、お店の人は知りませんでした。アルゼンチンアリの薬が入っているんですけれど、なぜですというから、僕はそこですごく説明した覚えがあるんでございますが、しかし少なくともそういう商品になって、もう反応が出ているということは、ある程度パブコメの成果が出たのかなという感じはしています。
 それでは、今、環境省並びに農林水産省の方の説明を受けまして、皆さん方のご意見、ここはわからない、ここはこう思うというようなことがございましたら、しばらくの間、ご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。角野委員。

【角野委員】 防除についてなんですけれども、防除の確認認定状況というのが一覧表で示されたわけですけれども、実際にはここに出ていない例がたくさんあるわけですね。例えばヌートリアは4件しか認定されていないようですけれど、多分兵庫県なんかは県として取り組んでいますし、それと国交省のいろんな河川事務所が、アレチウリの駆除作業をやるとか、そういう例はたくさんあるわけです。
 そういう意味で、地方の自治体とあるいは他省庁との連携の問題というのが一つ気になるのと、それと、よく聞くのは、例えば特定外来植物が、生物が繁茂しているのに、これ勝手に防除してはいけないんだということを考えられて、要するに防除するにも許可が要るんだというようになったと、どうしようというような声を聞くんですね。ですから、そういうことに対して、やはり適切な指導をされないと、かえってこれが足かせになっているというようなこともありますので、その辺どういうふうにお考えになっているのかお聞きしたいんですけれども。

【外来生物対策室長】 ありがとうございました。まず、外来生物法の中で、特定外来生物をとってしまうこと、つかまえること、もしくは草を抜いてしまうこと、これはいけないことか、もしくは許可が必要な行為かということになりますと、先ほどフロー図でもお示ししましたように、特定外来生物については、飼うこと、栽培すること、それから保管すること、運搬することは許可が要ります。逆に言うと、とることは許可は要らないという形になってございまして、そういう意味で、まず後者の方のご質問からすれば、とって自分の家の庭に持って来て水をやりましょうという話になると、これは外来生物法の許認可の対象になって、基本的にはだめですということでお願いすることになります。一方で、やはり外来生物なんだから、地域環境をよくするために、地域の生態系を確保するために、私も積極的に抜きますという行為は、これはそういう意味では法律に引っかからない行為でございますので、ぜひ、そういう意味では前向きに皆さんのご協力をいただきながらいってほしいなと思っております。
 そういう観点から申しますと、先ほどの最初の方の問いでございますけれども、各地でそれぞれ地域ボランティアの方々が、外来植物をとりましょうということでいろんな動きをされていることについても、許可にかかるような運搬だとか、保管という行為が入らなければ、どんどんやられているでしょうし、また私どももご相談いただけば、ぜひやってくださいということで話をしています。ですので、今回この防除確認の認定をしたものというのは、あくまでもそういう一時保管をして、まとめてどこかに持って行ってから処理をしますとかというような、外来生物法に引っかかってくるようなものが想定されているというふうにお考えいただいた方が、実はよろしいかなと思っています。
 さらに、もうちょっと踏み込めば、例えば国立公園の中で、ボランティアの方がレンジャーと一緒に外来植物を抜くという行為は、過去からもうずっとやられていたわけですから、そういったものはそのまま進めていただきたいと思っています。

【角野委員】 よくわかりましたけれども、例えば植物なんかの場合には、駆除の際に間違ったことをやるとかえって広げてしまうということを、まことしやかに言う人がいまして、それで何かどうしたらいいかわからないというような現状があるんですね。
 ですからその辺も、そうじゃないんだよというようなことを、ちょっとPRの中で、啓発の中で、言っていただければと思います。

【外来生物対策室長】 ぜひ、引き続きさせていただきますし、また、いろんな方法論を先生方に伺いながら進めさせていただければと思います。

【石井委員】 先ほど座長の方からアルゼンチンアリの話が出ましたけれども、アリの防除剤というのは幾らでもあるので、特にアルゼンチンということはないんだと思うんですけど、昆虫の方でやはり心配なのは、防除・駆除のところだと思うんですね。
 余り、自慢するわけではないんですけど、昆虫学の世界で、害虫のたぐいを撲滅したという経緯というのは、今までたったの2種しかいないんですね。それも不妊防除を使うとか、特別な方法を使って、しかも島の中という限定された地域だけでした。そういう意味で言うと昆虫の場合は、特にアリをたくさん選んでいますけれども、見つかった場合にすぐにその小さな個体群をたたきつぶすというような、何と言うんでしょう、消防みたいな形の、出たらすぐにつぶすという緊急の体制が必要になると思うんですね。ある程度広がったら、もう昆虫の撲滅というのは多分無理じゃないかと。そのような体制は、今できているんでしょうかね。その辺、ちょっとお聞きしたいんですけど。

【外来生物対策室長】 先ほどお示ししました参考資料の資料集の方の4ページに、たまたまではありますが一番下に、広島県、山口県でこれから、18年度ですから実はこれから具体的な動きになるんですが、アルゼンチンアリにつきましてモデル事業というのを進めようと思ってございます。具体的に県の方、両県にまたがって広域の防除の協議会というのもできたというように聞いてございますので、そこの方々と連携をしながら、具体的にその拡大、拡散の状況であるとか、それから被害の状況、そういったものをきちっと把握したり、有効な排除方法、駆除方法を検討するというようなことを、ぜひ進めたいということで、今年度から具体的な作業として入ってございます。
 ただ、今、先生ご指摘のとおり、非常に多く、また広範に広がった場合、私ども環境省だけではどうしても多分手が打てないだろうというようなことから、広域分布生物の防除のモデル事業として、まずは取り組んでいきたいというようなことで考えている次第です。

【石井委員】 やはり、ある程度広がったらもう全然だめだと思うんですよね。アルゼンチンの場合は、もう、最初広島で見つかって、今は山口、兵庫まで行っていますよね。いろんなところで現れますけれども、初期消火というんですか、つべこべ言わずに、すぐたたきつぶすという体制って組めないものですかね。そういう環境省直轄の小グループをつくって、出たら文句を言わずにたたきつぶしに行くというふうな体制がないと、昆虫はちょっと絶望的な感じがしております。

【外来生物対策室長】 かなり厳しく、かつ効果的な方法はこれだというようなご指摘をいただきましたので、私どもとしても手が打てるかどうか考えてみたいと思います。
 先ほど言いましたように、それぞれ東京で仕事をしているだけではなくて、いろんな事務の一部を、出先の地方環境事務所の方にもおろしてございますので、具体的に、例えばアリ以外にも、非意図的で入った昆虫の、例えばゴケグモの話なんかは、いろんなところから事務所にも相談が入っているようですから、そういったものと合わせて考えれば、確かに先生がおっしゃるとおり簡単に、すぐ手が打てるような状況であれば、そこはそこでちゃんと芽を摘んでいくということは大事なことだと思いますので、今のご指摘の点、いただきまして、また地方環境事務所と調整しながらそのような体制をつくっていきたいと思います。

【小野座長】 ありがとうございました。
 初期防除で失敗したら、全然だめになるというのはもういっぱいありますから、その辺のところの体制を、未判定だったら特に要注意だと思いますが、ぜひつくっていただきたいと思います。私もそう思っております。
 ほかの点でのご意見をいただけたら。ご質問でも結構です。
 はい、どうぞ。武田委員。

【武田委員】 特別、意見というわけじゃないんですけれど、アライグマだとかカミツキガメは、これはやはり以前よりは数というのは、入ってくるのは減っているものなんですか。以前はわからない、それは。
 これだけ問題になりながら、カミツキガメがこんなに輸入されているというのは、何か指導の仕方が、輸入してもいいんだよというのが表に強く出ているんじゃないかという感じがするんです。原則いけないんだという指導の方がいいんじゃないかなという感じがしているんですけど。これは、ほとんど業者が輸入申請なんですか。
 あるいは、もう一つ、アライグマなんかは、マイクロチップはまだ義務づけていないんですか。

【外来生物対策室長】 すみません。私、ちょっと説明が足りなかったかもしれませんが、まず、特定外来生物に指定した場合は、基本的にまず輸入は全部止まってございます。先ほど輸入の例としてご説明申し上げましたのは、このカニクイザルなどのサルと、それからバス、それから上海ガニ、この辺でございます。例えばバスについては、これは先ほど申し上げました生業の維持ということで、養殖をしたり釣り堀をやっておられるというようなことで必要な種魚として入る部分、それは一方で、国内での流通をとめてございますので、結果としてその養殖場等で輸入する必要があるということで入っているケースということでありまして、それ以外のもので、例えばカミツキガメが輸入されたとか、アライグマが輸入されたというのは、今はないというふうに私どもとしては承知しています。それが1点でございます。
 それから、まだマイクロチップについては義務化はしていないのかということですけれども、マイクロチップはまだ義務化まではなされておりません。個体識別としては、例えば、おりにそれぞれ許可書を掲出していただくというようなことも含めて、幾つかの方法論がございまして、今はどちらかというとそれをしていただいています。確かにマイクロチップが一番効果的だし、例えば逃亡した場合でも追えるということがありますので、当然進めたいと思ってございまして、今これは技術論をきちっと確立すること、それから全国の獣医がその施術に応じていただけるような環境をつくっていかないと、先ほどの資料にありましたように全国で300件ぐらいの方が飼っておられますから、なかなかできないということになりますので、今、そういう意味での獣医たちへの技術講習会であるとか、こういったものを今進めているという、そういう状況でございます。

【村上委員】 緑化植物のことを聞きたいんですが、やはり千曲川なんかハリエンジュとかシナダレスズメガヤ、猛烈な勢いで繁殖していまして、非常に問題が起こっているんです。これは各地でもそういう状況がありますので、緑化植物についてたしか話し合いが行われているはずなので、その経過説明をお願いしたいんですが。どういう状態になっているのか。
 これはどこかで、これとは別に、グループで話し合いを行っているという話で、経過説明が一切ないんです。その辺を一緒に。

【外来生物対策室長】 多分、その話は一方で、資料2の方の今後どうするかの課題にもかかる話かと思いますが、先にその緑化植物に関して言いますと、今、いろいろ調査をし、いろんな関係の方々とその評価について議論をしています。ある程度その資料がもちろんまとまれば、まず、私どもとしては、植物の専門家のグループの方にその資料を提供して、どういうふうな対応が取り得るのか、評価としてはどういうふうなものが評価できるのかというようなことをさせていただいて、具体的な種指定の方に挙げるかどうかというご議論をいただくということで進めていくのかなというふうに、私どもとしては今考えてございます。

【移入生物専門官】 少し具体的にご説明申し上げますと、昨年度の全体会合でもご説明しましたように、緑化植物につきましては、環境省以外にも緑化の事業を実際に公共事業の中で行います国土交通省と農林水産省と一緒に、研究会ということを立ち上げまして、昨年度1年調査を行いまして、新たに緑化を行う際に、その植物を使う際の配慮の方向について、特にイネ科の牧草類等についてご検討いただいてきたところです。
 昨年度の調査ですので、ほぼその結果がまとまりつつありますので、まずその結果について、今後全体会合を受けて開催される小グループ会合の植物会合の方で結果をご説明して、それをまた参考にしていただいて、植物会合の中で具体的な取り扱いの案をまずご検討いただくという方向で考えております。

【小野座長】 はい。それは多分のり面緑化も全部含めてだと思いますから、そのようになるべく早急にそういう体制はつくらないと、どんどん事業は実施していきますので。早くしてください。よろしくお願いします。
 そのほかの点で、ご質問、ご意見ございませんか。
 先ほどの、ヌートリアの農業被害の方に問題なんですが、その場合は、例えばそこのヌートリアの個体数でありますとか、サイズでありますとか、そういうことも一応押さえるようにはご指導いただいているんでしょうか。

【農林水産省技術対策室課長補佐】 そうですね。被害の調査というものは、私どもは措置をしております。残念ながら現段階でまとまっているのは、16年度までの数値は持っているんですけれども、この施行をされたのが16年7月以降ですので、その後どうなったかというデータはまだ調査中でございまして、つかんでいないというところでございます。
 それも、私どもは、生息数がどうなのかということではなくて、農作物にどういう被害があったのかということで調査をしておりますので、そこの生息数については、これは環境省の方ではされているんですかね、ないですね。それでそういったときに、言わなかったんですけれども、新たに被害の防止のための技術の開発という面では、私どもも昨年度から始めたというところでして、そこについてはまだ技術の開発をしている最中というふうになってございます。以上です。

【小野座長】 なかなか技術的には難しい問題が多々あると思うんですが。
 はい、どうぞ。

【村上委員】 先ほど、石井さんが指摘した早期発見、早期防除の問題なんですが、これ体制をつくらないとできないと思うんですよ。それで、例えば京都府は、外来種リストを作成しました。それで、ホームページをつくって情報を求めています。そうすると、驚いたことにものすごい情報が集まるんです。それで、僕らが知らなかった情報、ヌートリアの件でびっくりするほど集まっていまして、僕の知らない情報がいっぱいあって、そういうことで各府県がそういった体制をつくって、ホームページでも開いて、こういうことがありますよということをやりますと、環境省でそういうことを牛耳ることって不可能に近いですね。だから、各府県がいかに動くかという、僕はその辺が一番重要で、特に国内外来種の問題は各府県の問題になりますので、そういう意味では、各府県がそういったことの意識を持てるような協力体制を組むような仕組みを環境省は考えるべきだろうと。そうすると、各府県が協力して体制が組めるというのが一番大きな問題だと思うんですよ。そういうことを考えてもらえませんでしょうか。

【小野座長】 具体的な、さっきの石井提案の中身をご提案していただいたと思いますので、よろしくお願いします。これはよろしくお願いして、具体的な成果はどう出るかというのは、また次に報告してもらわなきゃなりませんので。
 ほかの点、ございましょうか。はい、どうぞ。

【石井委員】 次のポイントなんですけれど、蔓延してしまっているものについては、今後環境省から自治体に対する指導の方針というんですか、こういうのをどういうふうにお考えでしょうか。

【外来生物対策室長】 いただいているお話、基本的にまず特定外来生物種に指定をして、実はその特定外来生物種について全部防除するのかという議論は多分あろうかと思うんですが、私どもは今、指定したものについては全部防除することを前提で指定するんですということで、全種類の生物についてまず防除しますという公示をしております。
 ただ、それを先ほど申しましたように全部、また先ほど村上先生のお話もありましたが、全部環境省がやれと言ったってできないでしょうというところは、また正直少しだけあるものですから、各都道府県、それから市町村にもお願いをして、ぜひお手伝いいただきたいということで、防除の確認・認定をぜひお願いしたいということをしているという次第でございます。
 実はきょうも、午後、この時間に県の野生生物の担当の会議が行われていまして、この会議が終わったあとで、またその説明の場があるんですが、そこでまた防除確認・認定の状況についてご説明申し上げてご協力をお願いするという体制をとっていきたいと思っています。
 ただ、いかんせん、先ほどの重たい宿題と合わせて、すぐに何とかうまくやれる方法がどれだけとれるかということについては、引き続き検討しながらやっていきたいと思っております。

【小野座長】 非常に大事な点に来ているんですね。どういうふうにして、もう既に入ったものを防ぐかということについては、いろんな意見が皆さん方にあるんだと思うし、それから、動物、植物によってまた違うし、それから動物だって無脊椎動物と脊椎動物で全然やり方が違いますし、そういう問題を、これはちゃんと別に一遍、この専門家会議で皆さんの意見を洗ってみる必要があるんじゃないかなと、今、私は感じております。
 そんなことをやっていたらどんどん広がっちゃうぞという心配も片方ではあるんですけれども、それをやっておかないとどうもストラテジーが立たないような感じがしまして、その辺はひとつよろしくご検討ください。
 ちょっと時間がおしておりますので、後半の部分の第2の議題の方が、皆さんの意見をお伺いしなきゃならないことがありますので、そちらの方に移ってよろしゅうございますか。
(なし)

【小野座長】 それでは、2番目の方の議題。

【外来生物対策室長】 それでは、資料の2に基づきまして、今後の進め方ということでご説明をしたいと思います。
 資料の2に入ります前に、資料の3-1、3-2、3-3についてご紹介いたしておきます。これは、それぞれ資料3-1につきましては、特定外来生物及び未判定外来生物、さらにその種類名証明書添付生物を一覧にした表でございます。第一次指定、第二次指定、それから今度の9月1日指定予定のものを濃い黄色、薄い黄色、それからピンクがかった色ということで三色に切り分けながら一覧にしてございます。ここを見直しながらということでの作業に、今後なっていくのかなということでの資料としてつくらせていただいております。
 それから、3-2につきましては、我が国に定着している外来生物種のリストの暫定版ということでつくらせていただいております。これは第1回の専門家会合においてつくったもののリバイス版ということでございまして、おおむね明治以降に導入、定着した生物種をなるべく全種きれいに網羅しましょうということで入れてございます。特定外来生物に指定した種につきましても、この表の中には全部入れてございますので、ある意味ではこれが一番ベースになる定着している外来生物の一覧リストになるんだろうということで考えてございます。
 それから、先ほど言いました3-3につきましては、要注意外来生物種の表ということで、3種類の基礎的なデータとしての表を用意させていただいております。
 それでは、具体的に資料の2のところでの説明をさせていただきます。資料の2に入りますときに、このペーパーはもともと何だろうかということを求めなきゃいけませんので、参考資料集の6ページをごらんください。これが前回、正確には前々回になるんですが、第5回、ちょうど約1年前の専門家会合であったときの議事の概要でございます。ここで、第二次指定の選定が行われて、それぞれのグループ会合のコメントということで、例えば哺乳類・鳥類の方ではマスクラットは1回入ると大変だよということでのエントリーであるとか、そういったものがそれぞれのグループごとにご報告なされて、具体的な種指定につながってきたというような取り組みの経緯でございます。このときに、今後の進め方ということでご議論がなされておりまして、第三次以降どうするのかということについては、一つは、一定の被害知見があるものの条件が整っていないことから今回見送ったような生物については、三次選定の中で重点的に検討を進めて、今後1年程度を目途に一定の成果を得るというようなことでどうだろうかと。また、未判定外来生物、それから要注意外来生物で被害をもたらしている外来生物などについては、随時分類群専門家グループで会合して、特定外来生物の選定作業を行うということでどうだというような感じのご議論がなされたというふうに承知してございます。
 具体的な議論として、その種指定のときに、一つには緑化植物については代替植物の入手可能性であるとか、代替候補の検討等、総合的な取り組みが必要である。各関係省庁における調査検討が動き出したということから、その検討状況をこの専門家会合において活用するというようなことで検討を進めようと。それから、一定の被害知見があるものの条件が整っていないものとして今回指定を見送った生物、例えばインドクジャク、ミシシッピアカミミガメ、ブラウントラウト、アメリカザリガニ、ホテイアオイ、セイタカアワダチソウ、こういったものについては、具体的な対策のあり方も含めて今後重点的に検討する必要があるというようなこと。それから、大量遺棄による被害の発生が懸念される外来クワガタについては、遺棄防止のための普及啓発を先行的に進めつつ、被害に係る科学的知見の集積を図って、その成果をもって検討をしようというようなこと。また、セイヨウオオマルハナバチについては、現在実施されている調査研究の成果を活用して、年内を目途に指定について検討というような5点の大体のまとめがいただいてあるというようなことだと思います。
 それを踏まえまして、資料の2に少し今回まとめさせていただいたものでございます。
 おおむね1年を目途にということで、昨年の8月にご議論いただいたんですが、先ほど申し上げましたセイヨウオオマルハナバチについて、ちょっとかなり踏み込んで現地等の説明会等進めたこと、それから未判定外来生物の2種類が急に届け出が出てきて、それに係る作業等に追われたこと等で、少し私どもの選定がおくれてしまいました。一つ目には、三次選定作業についてはこの年度内を目途に一定の結論を得るものとするというようなことで、少し時間としては遅くなりますが、一定の成果を今年度中に出すということでさせていただいたらどうだろうかということが、1点目でございます。
 それから2点目につきましては、アンダーラインを引いてございますが、要注意外来生物であるとか、海外で被害をもたらしている外来生物などについても、情報の収集を継続すると。新たな知見が得られたものや、影響評価の仕組みの進んだ分類群については、三次選定の作業において検討を進めるということで、きちっと明記をしたらいいのではないかというようなことが、前回と少し変わったところかなと考えてございます。
 それから2ポツの一番最後のところにつけてございますが、先ほど言いましたクモテナガコガネ属、それからヒメテナガコガネ属の2種類の経験も踏まえまして、輸入しようとする者から届け出がない未判定外来生物についても、被害に係る情報の集積を継続して、新たに得られた知見や影響の度合いに係る検討を経て、随時判定を行っていくというようなこともちゃんとやっていく必要があるだろうというようなことを、新しく加えさせていただくということで、今後の進め方をこのような形でまとめていけたらということで、案としてまとめさせていただきました。

【小野座長】 ありがとうございました。
 今後の進め方は、前回の、昨年の会議以降、こういう形で今整理をしていただいております。各6分類群グループの会合というのは、特にその後、本省以外でおやりになっているんですか。

【外来生物対策室長】 本省だけです。

【小野座長】 グループの長が皆おいでいただいているので、それぞれのグループでの特徴とか、こういうことも考えられるとかというようなことがございましたら、ご一緒に発言していただくと、今後の検討の材料になりますのでありがたいと思いますが。ございませんでしょうか。
 はい、どうぞ。

【石井委員】 昆虫が一番多そうなんですけれども、一度ここの全体会合の中で、アリを3種追加するという話をさせていただいた後、アリの専門家からそのうちの2種を取り下げてくれという話が出ました。そのときにもお話ししましたけれども、それはアシナガキアリとツヤオオズアリというアリなんですけれど、これは在来種ではないかということで、問題になってくるのは法律における特定外来生物を選ぶ場合の、外来生物の定義というところにちょっと関わっているんですね。
 昆虫の場合には、非意図的な導入がもちろん多いわけで、いつの間にか入っているケースが多いんですけれども、ですから沖縄に今いる、先ほど言ったアシナガキアリとツヤオオズアリが、前からいたのか、それとも持ち込んだのかというのが、結構重要な課題なんですね。それで、専門家のある人は、台湾ぐらいまで来ていて、そこから自力で飛んできているのではないかと。外来種というのは、この法律上では国、国境を境にしてやっていますので、台湾までは来ていて、そこから自力でいつも供給されているとなると、これは外来種ではないというようなことになってしまいまして、でも、昆虫の場合はどっちに転んでも、だれが入れたかとかそういうのはもともとわからないんですね。これ、特定外来生物に選定したいんですけれど、この定義の問題が少しネックになっているということなんですね。ちょっとご紹介までと。

【小野座長】 何か被害があるんですか。

【石井委員】 これが日本国内に行ってしまいますと、いわゆるIUCNのワースト100に入っている、もう本当、札つきの放浪アリという仲間ですので、大変なことになるんだろうと思っています。

【小野座長】 ありがとうございました。
 E.O.ウィルソンの有名なアリの論文がありますけれども、ああいうふうに倒木なんかに乗って、のこのこやってくるやつがおりますと、やはり今のような問題があるんだろうと思いますが。アリはまあそういうことで、ちょっと要注意部分というのがあるんですが、まだ、専門家会合の方でこれだ、グループの方でこれだという形では、まだご指摘いただいておらないわけです。
 ほかのグループはいかがでしょうか。何かありますか。
 特に、ふやすのが目的ではありませんから。何か問題があればご指摘いただいていた方がいいです。どうぞ。

【角野委員】 植物部会としましては、緑化植物についての研究会の検討結果が出たようですので、それを踏まえて、今までペンディングにしていたものがありますので、それについての結論というのをちょっと急ぎたいと思います。以上です。

【小野座長】 はい、ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。特にご発言がなければ、あえてということは申しませんので。
 それでは、各グループごとにこれから検討が始まるかもしれませんが、ここで、今後の進め方として、第三次以降については、それぞれのグループで挙がってきた形のものを取り上げるという形に、従来どおりのやり方ですね、というその方向は、やっていこうと私は思っておりますが、なお、未判定外来生物については、ここで一番後ろに書きましたようなことが、これから検討対象として入ってきますので、その辺をお心得おきいただきたいというふうに存じます。
 資料2については、それでよろしゅうございますか。
 それから、この3については特に問題ありません。選定対象において必要あれば、新たな小グループの委員をつけ加えていただくということ、これは問題ないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そのほかの。はい、どうぞ、村上委員。

【村上委員】 何か未判定外来生物、要するに諸外国の情報をどのぐらい収集するかということが、かなり問題なわけですね。それで、私、IUCNのISSGなんかでも、そういうデータベース化が行われているんですが、まだそれが十分なものじゃないんですよ。それで、日本の環境省の中にも、データベース化するようなシステムをつくらにゃいかんのじゃないかと思うんですね。そこに問い合わせたら、今、日本にはこれだけのものを把握していますよとか、そういうものをつくらないと、皆が協力してそういうものをつくるような、一部ではやりかけているといううわさを聞いていますが、それでもまだちゃんとした公的なものはないですね。それはかなり重要なことではないかと思うんですが。
 だから、こういうことが今後とも起こりますから、いかにいち早く、諸外国の情報を入れるかという。研究している人がおったらその人が一番情報を持っているんですが、たまたまその研究をしている人がいない分野が当たりますと、みじめなことになるわけですね、これ。この前はたまたま研究している方がおられて、情報を持っておられたということが非常に幸いだったんですけれど。
 そういったことがありますので、やはり、そういう諸外国との連携みたいなことを、もっと積極的に、あるいは日本の、それからもう一つは、防除に関しても、これ防除もありませんけれども、今、各地でいろんな取り組みが行われている。その各地の取り組みみたいなものを、ある程度把握しておくことが必要だと思うんですよ。それで、ただ、いろんな試みがあって、有効なものも無効なものも全部入っていますから、その辺を整理しないといけない。それで、今、環境省では、そのためにモデル事業として、幾つかの重要な種については、防除技術の開発ということをやっているわけですね。そういったものについてもう少し、それも含めてデータベース化をね。国土交通省の河川の方ではそれを一部やりつつあると思うんですが、そういった連携とか、いろいろな形のものが、日本でもいろんなものを集めますと結構あると思うんです、取り組みが。そういったものは、少なくとも把握しておくことが必要なんじゃないか、そのためにはやはり、データベースのシステム化というものを、何かどこかでぼんと打ち上げて、そこへ情報を全部集めるというようなことをする必要があるのではないかと思うんです。

【小野座長】 ありがとうございました。
 ワーストリストアップ委員会みたいなものですな。国内ワーストもあるし、国外ワーストもあると思うんですが、その辺はひとつ、いいご意見をいただいたので、ご検討ください。
 ほかにご意見ございませんでしょうか。
(なし)

【小野座長】 それでは、ご意見がないようでございますので、これで本日の会合は終わりたいと思います。
 では、事務局お返しします。ありがとうございました。

【移入生物専門官】 それでは、よろしいでしょうか。
 では、これをもちまして、第7回の特定外来生物等専門家会合を終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。