1 日時 |
平成18年8月10日(木) 14:00~15:30 |
2 場所 |
法曹会館 富士の間 |
3 出席者 |
(委員)小野勇一(座長)、石井 実、岡 敏弘、岡 三徳、角野康郎、小林正典、多紀保彦、武田正倫、長谷川雅美、村上興正(敬称略、座長以外は50音順) |
|
(環境省)自然環境局長、大臣官房審議官、野生生物課長、外来生物対策室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)生産局農産振興課技術対策室課長補佐、林野庁森林整備部研究・保全課課長補佐、水産庁増殖推進部漁場資源課生態系保全室長 |
4 議事概要 |
- (自然環境局長)12月以来の会合となる。この間に外来生物対策室が発足し、室長を置いた。外来生物問題は学問上の話ではなく、各地で実際に困っている問題である。法の施行後一年間の状況を踏まえ、議論して頂きたい。
〔外来生物法の施行状況について〕
(事務局より資料1、参考資料集を用いて説明)
- (農林水産省生産局)防除の取り組みとして、「強い農業づくり交付金」から、捕獲用のワナの補助が可能となっている。
- (水産庁)交付金を用い、平成17年度は35都道府県で外来魚の対策を行っている。
- アルゼンチンアリ用の駆除剤も売られているようだ。これも外来生物対策の成果の一部かと思う。
- 防除に関して地方自治体や他省庁との連携はどのように図られているのか。防除するにも許可が必要になった、と言われているが、事務局の考えはどうか。
- (事務局)特定外来生物を採ること自体に許可は不要である。許可が必要な保管、運搬といった行為がなければ、どんどんやって下さいと話している。また、ボランティアと環境省のレンジャーが一緒に外来植物を抜く、といったことも過去からされてきた。
- アリの防除剤はいろいろあるが、日本に侵入した昆虫を駆除できた例は過去に2例しかない。侵入個体が見つかった場合、小さな個体群のうちにつぶす体制が必要である。火事のようなもので、広がったら完全な防除は不可能である。防除体制は整っているか。
- (事務局)アルゼンチンアリは広島、山口に広がっており、自治体と協力しながら具体的な対策をしていく。ただ、環境省だけではどうにもならないところもある。環境省としては、広域分布外来生物防除モデル事業で対策を検討していく。
- アルゼンチンアリはもう根絶不可能だと思う。昆虫の場合、環境省で直轄の小グループを作るなどして、発生したらすぐに叩き潰さないと絶望的という気がする。
- (事務局)外来生物法の業務は地方の環境事務所でも担当しているので、迅速な初期対応が出来るようにしていく。
- カミツキガメの発見事例がよくあるが、国民の間に輸入してもいいという誤解があるのではないか。また、マイクロチップの義務化は進んでいるのか。
- (事務局)技術的な問題があり、まだ義務化されていない。動物愛護管理室と共に、獣医師等へマイクロチップ埋込み技術の普及啓発をしている。また、今年度はマイクチップ埋込み実証事業を行う予定であり、実施体制を整えてから義務化としたい。
- 緑化植物の検討の状況などは情報がないがどのようになっているのか。
- (事務局)緑化植物に関しては、関係省庁による研究会を立ち上げ、その中での議論の結果をまずは植物のグループ会合に報告し、検討の参考にしてもらう。
- 農林水産省によるヌートリアの農業被害対策では、ヌートリアの個体数なども把握しているのか。
- (農林水産省)農作物への被害については把握しているが、ヌートリアの生息数までは把握していない。
- (事務局)環境省も把握していない。
- 京都府では、外来生物のホームページを作って情報を募集した。知られていない情報が沢山集まった。環境省が全国の情報に対応するのは不可能なので、各都道府県に外来生物の情報収集について協力してもらうのはどうか。
- 大阪では、大学のキャンパスなどにセアカゴケグモが蔓延している。保健所も手一杯で、戦意喪失しているところもあるが、環境省から地方自治体への指導の方針はどのようにしているか。
- (事務局)定着しているものを全部防除するのかという話にもなるが、地方自治体には是非積極的な防除をお願いしたい。
- 防除の実施は非常に重要な点であるが、考え方は生物の種類によっても違い、別の場で検討することが必要かと思う。その間に蔓延するということもあるだろうが、検討しないと戦略が立たないと思う。
〔特定外来生物等専門家会合の今後の進め方について〕
(事務局より資料2を用いて説明)
- (事務局)前回の特定外来生物等専門家会合にて、今後の進め方の議論があり、このときには、今後一年程度に一定の結論を得るものとする、としていた。セイヨウオオマルハナバチの指定に際し、踏み込んで説明会等を行ってきたこと、未判定外来生物の判定という作業があったことなどで予定が遅れているが、今年度中に一定の結論を得たい。
- 前回の会議以降、グループ毎にこういうことを考えている、というところがあれば聞きたい。
- 昆虫グループでは、前回アリを3種追加指定するということになったあと、パブリックコメントにて、専門家から、このうち2種が在来種ではないかとの意見が出され、指定されなかった。この2種は台湾に持ち込まれ、台湾から自力でやってきているかもしれない種である。そうであればこの法律が対象とする外来生物ではなくなるという問題があるが、昆虫は誰が持ち込んだか分からないものであり、この2種はIUCNのワースト100にも選ばれている札付きの放浪アリであるので引続き検討したい。
- 植物は、保留としているものの結論を出せるよう検討していきたい。
- 事務局案に沿って、従来どおり、グループ内で意見が上がってきた種について本会合で検討するという進め方でよいか。(一同了承)
- 未判定外来生物の判定については、諸外国の情報をどれだけ知っているかが重要になる。日本の環境省も外来生物データベースを作り、「日本でもこういう種を把握している」と情報を出すべきではないか。侵入してくる種について日本に研究している人がいなければたいへんなことになる。外国との連携、各地の取り組みの把握、対策のうち有効・無効だったものの整理、それらを含めてのデータベース化、外への発信等が課題となる。
(文責:環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 速報のため事後修正の可能性あり)