1 日時 |
平成17年12月19日(月) 14:00~15:00 |
2 場所 |
経済産業省別館825号室 |
3 出席者 |
(委員)小野勇一(座長)、石井 実、岩槻邦男、岡 敏弘、岡 三徳、小林正典、多紀保彦、武田正倫、長谷川雅美、村上興正(敬称略、座長以外は50音順) |
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(環境省)自然環境局長、大臣官房審議官、野生生物課長、移入生物専門官 |
(農林水産省)生産局野菜課課長補佐、林野庁研究・保全課森林保護対策室課長補佐、水産庁資源管理部沿岸沖合課課長補佐 |
4 議事概要 |
- (自然環境局長)まず報告事項として、第二次の特定外来生物の指定について、12月14日に政令が公布され、平成18年2月1日より施行される。
本日の議題は三つある。一つ目のセイヨウオオマルハナバチについては小グループ会合及び昆虫類等陸生節足動物グループ会合で議論していただいたところ。施行に当たっては円滑に進めていく。
二つ目の議題はアリ2種についてであり、第二次指定の候補として挙げられていたが、パブリックコメントで科学的な意見を得たので、これについても議論していただきたい。
三つ目の議題は、外来生物の遺棄に関する話であり、それについての普及啓発についての報告をしたい。
〔セイヨウオオマルハナバチの取扱いについて〕
(事務局より資料1-1、1-2及び1-3を用いて説明)
- 使用済巣箱の処理とはどのようなことを求めるのか。
- 使用後の巣箱の処理は今まであまりしっかりされていなかったようだが、今回提示された巣箱の処理法は、ビニール袋に入れる、熱湯を使うなど簡便な方法なので大丈夫かと思う。さらに、今後ネット展張に関しての普及が必要である。
- 管理体制のチェックは誰が行うのか。
- (事務局)ネット展張及び使用後の適切な処分を条件に飼養等の許可を出すことになる。今年10月からは地方環境事務所ができ、来年1月より外来生物法の許可権限も下ろされるので、必要な場合には職員がチェックに当たる。
- 許可の条件が守られていない場合、どういう指導・措置をするのか。許可を取り消すのか。
- (事務局)まずは条件を守っていない者に対し改善命令を出す。さらに、改善命令に従わなければ許可の取り消しとなる。
- 飼養等の禁止に例外を設けて使い続けるには厳しい条件をつけてきちんとチェックすることが必要。
- (事務局)許可する際には、どのような目的であっても例外的に飼えるということではなく、飼養等の目的は学術研究や生業の維持などに限られる。無秩序に飼養されることのない様にしている。
- 新たに輸入するということもあるか。
- (事務局)一件の農家につき、年に数回新たなものを仕入れていると聞いている。飼養の許可を得ていれば、継続的に輸入して使用することが可能である。
- アメリカなどは、外来マルハナバチをはじめから禁止しているが、日本は例外であろう。産業に使われることを考慮したものだと思う。
- 特定外来生物被害防止基本方針では、特定外来生物への指定には、生態系等に係る被害の防止を第一義に、指定に伴う社会的・経済的影響も考慮するとされている。本来なら定量的な分析をするべきであり、私なりに分析してみた。マルハナバチを使う農家にとって、負担が大きいと予想されるのはネット展張に係る費用である。トマト栽培に使われるハウスには二種類あり、一つ目はかまぼこ型の小さいもので、ハウスの側面にネットを張るタイプ。このハウスへのネット展張は1反当たり5万円程度の材料費だけで可能と思われる。ネットが5年持つとすると、1年当たりの費用は1反あたり1万円となり、夏秋トマト出荷額1反当たり約150万円のうち0.7%程度の負担となる。もう一種類のハウスは、比較的大型の屋根型ハウスであり、天窓にネットを張るのに業者に頼む必要があるのでネット展張の費用は1反当たり40-50万円になると試算される。中間を取って45万円とすると、5年持つとして1年当たり約9万円の負担となり、冬春トマト出荷額1反当たり約311万円の3%以内となる。これはマルハナバチを導入することによる省力化の便益を多少上回るかもしれない。国全体としては、年5億円程度の費用の増分となると思われ、これはマルハナバチ利用トマト出荷額の0.6%、全トマト出荷額の0.3%くらいに当たる。しかしネットを張ることによる病害虫や鳥の侵入の防止、さらにマルハナバチを外に出さないことによりハウス内でよく働くようになるという利点を考慮すると、出荷額の1%以下の出費であれば、これを理由に規制をやめるという根拠にはならないと思う。
- 非常にはっきりとした根拠に基づく指摘である。
- 生産農家への指導はどうなっているか。罰則を伴うものなので重要だと考える。
- (事務局)ネット展張及び使用済コロニーの処理は、引き続き農林水産省とも協力しながら指導に努めてまいりたい。
- セイヨウオオマルハナバチについては、専門家会合として、小グループ会合等での議論を受け、指定するとの結論でよいか。(委員了承)
〔第二次の特定外来生物の指定候補の取扱いについて〕
(事務局より参考資料1、資料2-1、2-2を用いて説明)
- 日本を代表するアリの研究者からパブリックコメントが寄せられた。指定の検討時には、海外における被害知見があり、IUCNのワースト100にも挙げられていることを考慮したのだが、パブリックコメントを提出した本人にも来ていただいて昆虫会合で再度議論をした。自然分布しているものは特定外来生物に指定できないし、被害も南西諸島ではあまりないということで指定に対し慎重論が出された。しかし、相当「クロ」に近いので、永遠に取り下げということではなく、被害対策についての研究も研究者で行おうとしている。結果が出るのは大体1年後位になるのではないか。
- 自然分布なのか、非意図的に導入されたのかはっきりしない。また、非意図的な導入だったとしても、被害がまだ良く分からないということ。
- 資料2-1の3.における指摘3の、「地域の経済活動や本種の研究に大きな支障を及ぼす」とはどういうことか。
- (事務局)研究については、標識をつけて放ち、再捕獲するという調査が出来なくなるが、それ以外の調査は飼養等許可申請の手続をしていただくことで意見提出者より理解を得ている。また、経済活動というのは、工事に伴う土砂運搬などによる非意図的な運搬を指しているが、非意図的な運搬については外来生物法の規制の対象にならないと説明している。
- 捕獲したその場で標識をつけて放すことは可能なのだから、この点は問題にならないと思う。指摘の3点目は重要ではない。1年後に研究の成果が出たときに、再度検討するということか。
- きっちり1年後というわけではないが、再検討する。
- 小笠原諸島への被害が懸念されているが、本土における被害の予想はどうなっているのか。
- (事務局)亜熱帯性のアリなので、本土では温室以外では定着の可能性は低いと考えている。
- 結論としては、現段階での指定は見送り、研究成果の蓄積を待って、再度昆虫会合で検討していただく、ということでよいか。(委員了承)
〔外来生物に係る普及啓発の取組みについて〕
(事務局より資料3及びチラシを用いて説明)
- 普及啓発活動の趣旨には賛成だが、飼い主は持て余しているので、呼びかけるだけでなく、どこかに処理する場所を作らないといけないと思う。環境省ではできないか。
- (事務局)キャンペーンの中では、ペットを購入する際に、どれぐらい生き続けるのか等を良く知った上で買うというようなことも呼びかけている。また、飼養等許可の申請書には、ほとんどの飼養者が、飼い切れなくなった場合の措置として自分の手で殺処分すると書いているので、多くの場合、責任ある飼育がなされると考えている。
- そうであれば、飼い切れなくなった場合には飼い主が責任を持って殺すことを普及啓発資料に明記した方が良い。外国ではそうしている。
- 酒の缶や瓶は、販売所で回収している。それと同じようなことができないか、ペットショップの組織的な力を引き出す工夫をしなければと思う。
- 自動車にもリサイクルの仕組みがあるので、事務局で検討されたい。
- 学校現場はどうなっているのか。ネット販売等、店を経由しない場合もあるが。
- (事務局)一万部印刷したポスターを、全ての学校に行き渡ったわけではないが都道府県経由で学校等に配布した。
〔その他〕
- 参考資料1に指定種が示されているので、各分野の専門家で、こういうことになっているとご確認いただきたい。
- 参考資料1に、12月14日に指定を行ったとあるが、この委員会の開催より前に指定がされているのはどういうことか。
- (事務局)8月5日の第5回特定外来生物等専門家会合にて42種類という結論を得た後、パブリックコメントを受けて、委員の皆様には文書にてアリ2種について再度昆虫会合で検討することと、残りの種について8月5日の案のとおり、指定の作業を進めることについて意見照会させていただいた。意見聴取要領では「会合によらない意見聴取の形式によることができるものとする」とあり、今回その文書による意見照会の方法を活用した。
- これについては専門家会合の初めのうちに随分議論している。今回の意見照会はこの手続に沿って行われたと考えている。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)