特定外来生物の解説
- 和名
- ラスティークレイフィッシュ
- 科名
- アメリカザリガニ(Cambaridae)
- 学名
- Orconectes rusticus
- 英語名
- Rusty crayfish
- 原産地
- 北米(オハイオ、ケンタッキー、テネシー、インディアナ、イリノイ州)原産。国内移動により、北米の他の地域にも分布を拡大している。また、1890年代にドイツに導入され、その後ヨーロッパ諸国に分布を拡大した。
- 特徴
- 雑食性で水生植物、水生無脊椎動物、魚卵、小型魚類などを摂食し、食物の選好性が幅広い。攻撃的で他のザリガニを駆逐する。水生植物を切断する性質がある。ザリガニカビ病の保菌者である。 体長はハサミを含まずに、最大10cmに達する。繁殖期は夏から秋および早春で、80~575個の卵を産む。雌はたいてい次年度から繁殖に参加するが、成長の早い個体は初年度で繁殖可能になる。寿命は3~4年。 同定マニュアル
- 定着実績
- なし
- 被害状況
- ■生態系に関わる被害
- 侵入地において、在来のO. virilis、O. propinquusと競合し駆逐した。
- 隠れ場所を占有し、結果として在来ザリガニの魚類の捕食圧を高めた。
- 水生無脊椎動物や魚類の生息場である水生植物帯を破壊し、種の多様性を減少させた。
- 水生無脊椎動物を捕食するため、多くの淡水魚類と餌をめぐり競合し、さらに魚卵の捕食により、魚類個体群に被害を与えたといわれている。
- ヨーロッパに生息するザリガニはザリガニカビ病に対する免疫がないことから、ザリガニカビ病の保菌者であるラスティークレイフィッシュを含む北米産のザリガニの侵入は、多くのヨーロッパ産ザリガニ個体群の壊滅を引き起こした。
- 在来のニホンザリガニもザリガニカビ病に対し感受性があることがわかっており、ザリガニカビ病が国内に蔓延すれば絶滅の危険性も高いと考えられる。
- 取扱い上の注意
- はさみに注意
- 備考
- 外では釣り餌として利用され、多くの湖に侵入した。海外では教材として学校で用いられ、分布を拡大する要因となった。海外では食用として漁獲されている。
北米産のザリガニが媒介するザリガニカビ病は、ヨーロッパ産ザリガニ個体群を減少させた最大の要因であるといわれている。ザリガニカビ病の原因菌であるAphanomyces astaciの拡散は、必ずしもザリガニの存在を必要とせず、水域を通じてまたは長靴等に付着して他の水域にもたらされることがある。
ウィスコンシン州北部、ミネソタ州の湖では、大発生したラスティークレイフィッシュにより遊泳場所を占有された。
ウィスコンシン州では、水域へのラスティークレイフィッシュの導入を禁止している。 ミネソタ州では、水域へのラスティークレイフィッシュの導入と釣り餌として生きたザリガニを販売することを禁止している。
イリノイ州では、生きたラスティークレイフィッシュの輸入、所有、販売、餌としての使用を禁止している。
アリゾナ州では、生きたザリガニ類の輸入、移動、水域間での移動、所有、生き餌としての利用は、許可を得た場合を除いて禁止されている。 スウェーデンでは生きたザリガニ類全種の輸入が禁じられている。
フィンランドではザリガニ類の輸入には許可が必要である。
オーストラリアでは生きたザリガニの輸入は禁止されている。また、ザリガニの移動を禁止している州もある。
※ 通称につきましては、必ずしも正確なものではない可能性もありますので、ご注意ください。
※ 被害状況につきましては、代表的な事例を挙げています。