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講演会等

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平成19年度エコツーリズムフォーラム

JATA世界旅行博2007エコツーリズムフォーラム開催記録

平成19年9月16日(日)にJATA世界旅行博2007において「エコツーリズムフォーラム」が開催されました。

平成19年は、6月に「エコツーリズム推進法」が成立し、エコツーリズムの法的な定義や理念、具体的な推進策が定められ、エコツーリズムの推進にとって大きな一歩となりました。また、わが国において自然公園法が制定されて、50周年の節目に当たる年でもあります。

本フォーラムでは、エコツーリズムの推進法の内容およびガイドに伴われて自然を体感する旅の魅力を紹介するとともに、エコツーリズムの推進に当たり、地域の自然や生活文化の保全のあり方などについて議論されました。

当日は、全国からエコツーリズム推進団体関係者や行政職員など約330名にご参加いただきました。

平成19年度エコツーリズムフォーラム 平成19年度エコツーリズムフォーラム

自然公園法制定50周年記念 特別講演「美しい日本の山へ、でかけよう」

岩崎 元郎 氏(登山家、登山講師)

◆岩崎氏からは、山の持つ魅力やご自身の経験を織り交ぜながら、登山者のモラルの問題などを語っていただきました。

日本の自然のかかわりなかで最も大きく身近な存在として山があります。山登りには、苦しいところやトラブルにも魅力があります。道を間違えたときにどのように対応するかで結果として大きな違いが出てきます。トラブル発生とその対応の繰り返し、人生そのものではないとか思う次第です。

沖縄から北海道まで、一人でも多くの方に山に興味を持ってもらうこと、年齢や体力の関係で日本百名山をあきらめている方の次なる目標となるように新日本百名山なるものを考えました。また、山に登り健康になるだけでなく、自然とのかかわりの中で始めて人の心が癒されていくのではないかと考え「ふるさと八百名山」というものを考えています。

山に登って生身の体をぶつけて初めて自分を発見できる、そうして自分を発見することができた人こそ日本を再生できるのではないでしょうか。 1億2千万人総登山者計画という言葉だけ作ってみました。日本の自然をもっともっと豊かに、活性化し、有効に活用して22世紀につなげていきたいと思います。

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基調講演「触れて、見て、感じる旅を」

星野知子氏(女優、エッセイスト)

◆星野氏からは、五感を使って楽しむ旅のあり方について、アマゾンでの自然との出会いや白神山地など日本での経験を通してお話いただきました。

エコという言葉がつくと、何かとってもいいことをしているような気になります。しかし、エコツーリズムは参加するだけでなく、自分がエコツーリズムに参加して、自分が感じたことをそれからどう生かすか、それで初めて、エコツーリズムの意義があるのではないでしょうか。

初めて、アマゾンに行った時に自然に目覚めました。お風呂もトイレもなく、ずっとアマゾン川を溯っていく旅で辛いことがたくさんありました。けれども、生まれて初めて見るジャングルの本当の雄々しい緑色の中に自分の身を置けたということは、とても貴重な体験でした。自然と共生できる機能、魂みたいなものを感じたり、動物の気配を感じたり、自分は本当に小さいけれど自然界の一粒の生きものだと感じ、自分も愛おしくなってきました。自然の中にいると、生きていることはありがたいなと思えてきたのです。

エコツーリズムは案内してくれる人の魅力如何で決まります。動物もおらず、ガイドがいなければ素通りするところでも、足跡をみたり、糞を見たり、獣道を見たりしながら、ガイドが興味深く、自分の体験談を言ってくれることで私の頭の中で色々な動物を想像することができます。この想像力がエコツーリズムには大事なのです。

自分が楽しむこと、まず興味を持って楽しめるな、何か身体にいいなとか、気持ちにいいなとか、嬉しいなと自分が喜んでいるということを実感できることがエコツーリズムではないでしょうか。もっともっと日本のいいところをたくさん見たいし、教えてもらいたいし、それが自分の生き方にも関わってくると思うので、五感で感じる旅を続けたいと思います。

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エコツーリズム推進法について

盛山正仁氏(衆議院議員)

◆盛山衆議院議員は、エコツーリズム推進法の法案作成の中心的な牽引者であり、本フォーラムでは、法律の背景や目的、仕組みをお話いただきました。

エコツーリズム、観光の対象にもなるような素晴らしい環境、自然、こういうものをできるだけ長く、皆さんに触れて、親しんで、楽しんでもらう、サステイナブルにしていくにはどうしたらいいのか、自然の恵み、大切さをできるだけ多くの人に知ってもらいたい、というのがこの法律を作成するに至った一番大きな動機です。

エコツーリズムのエコはエコロジーのエコ、ツーリズムは旅行、環境と観光の両立、そしてそれに併せて地域振興、環境教育、この4つを法律の目的にしています。自然環境の保全に配慮しながら、地域の創意工夫を生かしたエコツーリズムを実現させるために、自然環境の保全、観光振興、地域振興、環境教育の場、この4つを基本理念として位置づけています。

地域資源の保護が、この法律の一番大きなポイントです。これまで法的に保護措置が担保されてこなかった自然観光資源を、特定自然観光資源に指定することで、汚損、損傷、除去、そして入場制限といった保護措置を講じることができるようになるのです。このようなことをこれまで法律で認めた前例はありませんでした。また、エコツーリズム推進協議会の関係者が決めた内容を、第三者・旅行者等に対しても立入り制限の設定等を適用させることができます。

法律の枠組みはできたので、これからはエコツーリズム推進地域の皆様にはこの法律を生かして地域振興とエコツーリズムの定着をお願いしたい。

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パネルディスカッション 「自然と、暮らしの文化を守る=エコツーリズムが目指すものと新しい旅の楽しみ方」

■コーディネーター
原 優二 氏(株式会社風の旅行社 代表取締役)
■パネラー
南 正人 氏(株式会社ピッキオ 取締役)
黒川 惠 氏(アルパインツアーサービス株式会社 代表取締役社長)
日吉 眞夫 氏(屋久島産業文化研究所 有限会社生命の島 代表取締役)
■コメンテーター
岩崎 元郎 氏(株式会社無名山塾 主宰)
岡本 光之  (環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長)

◆エコツーリズム推進法が成立し、観光が地域振興に果たす役割が大きくなるといわれているなかでどのような問題があるのかそれぞれの問題意識を伺いました。自然を利用する際にまずはその自然を理解しながら、観光客に伝えていくことが大事という意見がそれぞれから出されました。特に、エコツーリズムの成否は人に関わっており、ガイド・インタープリターによるという面で難しい問題があることを再確認しました。

◆次に、地域振興という観点に立って議論を進めていきました。南氏からは、住民がまとまっている地域では展望が見えるが、それぞれ利害が絡むなかでエコツアーを実施する際は地域の合意を図ることが難しい。また、協議会についても、地域外の事業者をどこまで含めるかという枠組みやバランスを誰が取っていくのかということがキーポイントになるとの意見をいただきました。また、黒川氏は旅行業者の立場から、地域から旅行業者に「こういうことをしてくれ、こういうことはしないでくれ」と明確に伝えていくことが第一歩であると意見がでました。

◆オーバーユースの問題としては、日吉氏から屋久島での利用分散の取り組み(新たに供用が開始された道は、途中でコースが分散しており一方ばかりに負担をかけないようになっている)を紹介いただき、ルールの必要性を指摘された。岩崎氏からは、山についても頂上の魅力ばかりが取りあげられがちだが、途中の景観や道そのものの魅力をアピールして分散利用を促す必要性について意見をいただいた。

原氏は、オーバーユースについては一定のルールが必要であるが、規制をかけることで解決する問題ではなく、適切な利用と過剰利用のバランスを失わずに地域で議論を進めていくことを指摘しました。

◆「一頭の鹿から地球が見えるツアー」南氏より2007年秋に開始したエコツアーの内容について説明をいただき、会場内で擬似エコツアーを体験しました。

◆黒川氏より、エコツーリズムフォーラムの主催者である社団法人日本旅行業協会(JATA)の取り組みをご紹介いただきました。
JATAでは、環境基金という助成制度を設けており、自然遺産や文化遺産などの保全と地域社会環境保全活動をしている団体への支援を行っています。また、旅行業・ツアー登山協議会ではガイドレシオを策定するなど旅行業界としても自然環境の保全に対して活動を進めています。

◆環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長岡本より環境省の取り組みについて紹介しました。
エコツーリズムを進めていく上でもうひとつ大事なことはモニタリングであり、多大な費用をかけずに効果的にすすめていくことがこれからの課題となっています。環境省としては、各省と連携を図りながら、地域の方々の取り組みや課題を吸収していきながら推進していきます。

◆最後にコーディネーターの原氏より、エコツーリズムは環境問題であるため日本だけでなく世界中の問題であり、日本からアジア型のエコツーリズムを作って、中国や東南アジアに広げていきたいとの期待を語られました。

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