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エコツーリズムに取り組む地域への支援

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平成26年度エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業

報告会

アドバイザー派遣事業を通じて行われた取組を多くの方々に共有するため、事業報告会を開催しました。本報告会では、アドバイザー派遣を活用して取組を行なった2地域、現地に赴いていただいた3名のアドバイザーから、地域の取組や課題、アドバイザー派遣を通じて目指したこと等を報告していただきました。

主催 環境省 (業務委託先 アオイ環境株式会社)
日時 2015年3月2日(月)13:30〜17:30
会場 千代田区立日比谷図書文化館 4階 スタジオプラス
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-4
参加費 無料
関連資料 パンフレット  PDFファイル[418KB]  新規ウィンドウで開きます

開会挨拶

環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長 中尾 文子

中尾 文子 氏
  • アドバイザー派遣事業は、地域の課題に基づき、アドバイザーによりアドバイスを頂くようにしている。本年度は、派遣をきっかけに、地域の仕組みを整えることや国の認定まで取得しようという地域があり、派遣事業は、北海道から奄美群島と広範囲な地域で取組んで頂いた。
  • 本日は、2つの地域と3人のアドバイザーの方より地域についての報告を行うとともに、皆様の質問に基づきパネルディスカッションを行う。皆様から意見を頂き、実りある報告会にしたいと考えている。

地域からの報告1:静岡県静岡市での取組

[静岡県静岡市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

NPO法人三保の松原・羽衣村 事務局長 遠藤 まゆみ氏

●静岡市の現況について
遠藤 まゆみ 氏
  • 世界遺産文化登録の登録時の問題として、テトラブロック、松枯れが発生していた。テトラブロックについては静岡市が、松枯れについては静岡県と静岡市のジョイントで取り組んでいる。
  • 世界遺産文化の登録後の課題は、7 点あった。(1)車両や観光客の増大の課題については、海上ルートの活用及び三保チャリを展開している。(2)三保の環境問題については、松林をきれいにする必要があった。NPO(ボランティア)ではゴミ収集をしていたが、静岡市の方針では収集したゴミについては自分たちで処分するようにとの指示のもと有料で処理をしていた。しかし、青年よりゴミをペレットにすれば良いのではないかと提案を頂いた。(3)文化芸術の問題については、シンポジウムや講演会を行いながら、三保の松原を文化村として展開できると良いと考えている。(4)観光資産が生かし切れていない課題もある。地図の上に様々な観光資源があるが、なかなかつながっていない。コミュニティバス等で観光地をつなげていきたい。(5)三保は観光地であるが、工業地帯やプラントがあり、世界文化遺産の雰囲気がない。(6)清水港と三保の松原が一体となることを考えていく必要がある。(7)三保の松原に対する住民の共通認識が欠如している。三保半島の特殊性として、工業地帯、産業、物流等、様々なものが混在している。
●エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 来訪者を受け入れる体制の核づくりが必要というアドバイスを踏まえ、羽衣ルネッサンス構想を生み出した。第八の問題として、海外の観光客が非常に増えた。工業地帯と一体化しているなかで、三保の雰囲気作りをしていく必要がある。松林について、松はやめた方が良いのではないか、という意見も頂いている。羽衣ルネッサンス構想を展開していくなかで、ムーブメントが重要であると考えている。企業や自然環境は、相反することもあるが、日本の財産については維持しながら、自然遺産をどのように展開をしていくのか道を切り開いていきたい。天女が安心して戻って来られる、三保の松原を展開していきたい。

地域からの報告2:鹿児島県徳之島での取組

[鹿児島県徳之島 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

奄美群島広域事務組合 奄美振興課 世界自然遺産推進係 渡辺 貴之氏

●奄美群島の概況について
渡辺 貴之 氏
  • 奄美群島は有人8島、12万人で構成されている。平成15年頃より島全体を博物館として捉え、奄美群島全体の奄美群島エコツーリズム推進協議会を設置した。奄美群島キャンパスを開催し、自然環境を勉強する場を作った。エコツー推進体制については、各島の作業部会で進めいている。
●エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 奄美群島の課題として、地域全体で理念の共通認識を持つことができていないことがあった。そこで、アドバイザー派遣業務を活用し、地域全体でエコツーリズムを考えているシンポジウムを開催した。エコツーリズムのシンポジウムの目的は、身近なことから取り組むことについて意識を持ってほしいことを伝えた。
  • 奄美群島おいて、愛の三角形という考え方があるが、愛の三角形についてはかなり理解が深まってきた。エコツーリズム推進アドバイスとして、日常の当り前のことが宝、伝えることも宝である。そこで名人のリストアップを行った。そして長寿の方が飲んでいた泉や石垣といった様々なことが宝であることを認識し、地域の宝を気づくことによって自信につながった。地域住民からは、他社がうらやむような宝があったことを知る機会になった。観光事業者からは、様々な観光携帯があることを知った。
  • 全体構想の作成状況については、ワークショップ形式で実施している。みんなが意見を出しやすいように工夫を加えている。各島で、エコツーリズム宣言を実施している。島によって言葉が異なってくるが、心は一つにして取組みを進めていきたい。

アドバイザーからの報告1:宮崎県児湯郡高鍋町

[宮崎県児湯郡高鍋町 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

株式会社ジェイティービー旅行事業本部 観光戦略部長 加藤 誠氏

●エコツーリズム推進アドバイザーを呼んだ目的
加藤 誠 氏
  • 高鍋町では、5年間前に第5次基本構造を策定し、観光への取組を施策として含めた。現在、年間58万人の観光客が高鍋町に来訪している。高鍋町では観光振興計画が策定され、この度アドバイザーとして訪問した。高鍋町の課題は、観光振興計画の具現化ができていない、観光関係者や地域との連携がとられていない点があった。ハード面では、二次交通が整備されていない状況であった。お客様をどのように楽しめるのかといった点が取り組まれていない状況であった。観光は、交通インフラがないとお客様に足を運んでもらうのが厳しいが、高鍋町には東九州自動車道があるので、今後の観光の展開としの可能性としては高い。しかし、何も取組まなければ、東九州自動車道のただの通過点となる。
  • 高鍋町は温暖な気候を利用して、シニアサーフィンを行っている。プロサーファーがたまたま高鍋町の温暖な気候と一年間のサーフィンが出来ることに気に入り、移住したことがきっかけで、地域でシニアサーファーが展開している。これは、ターゲットを絞るという観点からいうと素晴らしい取組である。高鍋町の自然を活用したスポーツを展開し、シニアサーフィンにはプロサーファーが必ずついているので、安全も担保されている。このシニアサーフィンについては、スポーツヘルスツーリズムに展開できる。
  • 天然の牡蠣が採れるが、多くは取れない。だからこそ、高鍋町の牡蠣を、希少価値、ここでしか食べられない、あなたしか食べられないという手法で展開も可能である。また高鍋町には田んぼアートも仕掛けている。地域資源が高鍋町には多くある。
  • 地域資源として「歴史」の視点は忘れてはいけない。高鍋は城下町であった。明林堂という藩校を作り、勉学を勤しむ地域であり、アーティストが移住している地域である。人的資源が高鍋町にはある。
●エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 観光振興計画は昨年できたばかりであるが、高鍋町には仕組みづくりが重要であること伝えた。定住人口が一人減ったら旅行者10名を充てるということを頭に入れて行動することが重要である。地域における観光まちづくりのキーワードとして、「住んでよし 訪れてよしの地域づくり」をすることが重要であり、基本的な考え方であることを伝えた。地域によっては、観光が増えることにより、ごみ・し尿等が増えるというネガティブな側面もでてくることについても伝えた。
  • サスティナブルツーリズムの推進が今後の展開に必要であることを伝えた。消費型観光から環境共生型観光へ展開をしていくことが重要である。エコツーリズムを進めるために250は、地域の古来の伝統、ライフスタイル、文化を理解し磨きをかけて頂くことがこれから重要である。
  • 地域観光マーケティングについての推進について、ステップがあることを伝えてきた。推進体制の構築、役割分担を明確にする、地域の観光資源の分析と活用方法の整理、マーケットの把握と対象マーケットの明確か、効果的な商品化、マーケティング活動の実行があることを伝えた。
  • 高鍋町には情熱を持ったリーダーがまだ存在しないので、リーダー的な存在が必要である。そして地域ならではの文化、資源等を伝えていくことが重要であり、ライフスタイルに合わせていくことを伝えた。
  • 資源をストーリーとして伝えられるコンテンツ展開が必要である。五感で感じる体験が重要。体験する、交流する、学ぶを付け加えると良い。そして旅には5つの力があるので、是非参考として頂きたい。
  • 高鍋町に期待することとして、自然歴史食やコンパクトなマチが特徴である。そして高鍋町の方は全員挨拶をすることが自然となり、ホスピタリティが高い街であった。ひとが人を大切に思えるかは、観光振興のソフト面については重要である。海、シニアサーフィンスクール等があるので、「仮想的なシニア高鍋学校」を展開することを伝えた。具体的には、高鍋町の体育学部、食を中心とした食の部、酒学部を展開し、Iターンとして高鍋を選ばれるようにすれば良いのではないかと提案してきた。

アドバイザーからの報告2:神奈川県横浜市

[神奈川県横浜市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

公益財団法人日本生態系協会 地域計画室長 城戸 基秀氏

●エコツーリズム推進アドバイザーを呼んだ目的
城戸 基秀 氏
  • 今回の派遣先からの要望として、「ハイキングコースの利用ルール策定の支援」の依頼を受けた。横浜市では、平成24年につながりの森構想が策定された。生き物の多様性を楽しむことと自然を楽しむに基づき、11個の取組項目があり、そのなかに横浜のつながりの森エコツーリズムの推進が施策として展開している。ルール作りの背景として、土地属性の異なる場所、環境負荷の高い利用増加、団体の意見調整の必要があった。
●エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 2日間かけて、現場確認を行った。場所の特徴として、近くに団地や住宅地が広がっており、都市の人が集まりやすいという立地であった。現場確認後、公演・意見交換を実施し、公演では、エコツーリズムとルールについて話をさせて頂いた。アドバイスとして、現場を歩いてすべて看板を撮ったが、様々な看板があり、まずは看板のルールを整理することを伝えた。ハイキングコースは様々な方が管理をしているので共通のマニュアルを作成し、都度更新を図り情報について共有を図ることが重要であることを伝えた。
  • 「つながりの森」に関するエコツーリズムの実施方法や目標などを検討する必要について感じたと意見を頂いた。そして、都市近郊における魅力的なエコツーリズムの展開に期待したい。まずはルールを作ることが、全体構想への展開につながると考える。

アドバイザーからの報告3:北海道野付郡別海町・岐阜県飛騨市・福井県池田町

[北海道野付郡別海町 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

[岐阜県飛騨市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

[福井県池田町 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

株式会社ピッキオ マーケティングディレクター/取締役 楠部 真也氏

●別海町のエコツーリズム推進アドバイザー派遣について
楠部 真也 氏
  • 別海町は圧倒的な自然資源があった。オジロワシ、ゴマフアザラシ等の動物を観察が可能な地域であり、自然の動物園であった。外国の方も別海町に来訪している。そして打瀬船、竪穴式住居跡などもあり文化的資源がある。野付半島の課題として、観光面での認知度不足や別海町の観光業が近隣地域と比べて規模が小さく、ガイド業が成り立ちにくくなっている。野付半島への提案として、地元の宿泊事業者との協力体制の構築、別海町外の大型旅館などとの協力体制の構築、認知度向上のための広報戦略(すでにBBCがエゾジカを撮影として撮っている)、町としての観光基本政策を定めるための全体の構想の作成が必要である。そして、どのような方をターゲットにするのか、検討することにも提案した。
●池田町のエコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 池田町はエコツーリズムを始めようとしている初期段階(検討段階)である。有機栽培、直売の先進地として知られ、他地域から視察も多い。課題としては、観光産業は庁内に少ないことが課題だが、自然資源としては里山地域である。池田町では、エコツーリズムの基礎となるセミナーを2 回実施し、様々な方法を模索し、交流人口を増加させる仕組みを探していく。
●飛騨市のエコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 飛騨市は、観光地、飛騨高山、白川郷などに隣接している里地である。飛騨市には農村風景、明治時代の町並み、湿原が残っている魅力的な地域である。さらに評価の高い宿やガイド事業を営むものもいる。ただし、課題として、隣接している高山市との協力体制が作りづらく、観光客が流れてこないが、飛騨の口コミは非常に良い。そして観光のビジョンが明確でなく、観光誘致策が散発的になり、一貫性でない部分がある。課題の解決として、他市町村との連携やエコツーリズム全体構想の作成をすると良いと提案。全体構想を策定し飛騨市の取組の方向性を明確にすることにより、長期的な戦略を築いていくことに展開する。

ディスカッション

モデレーター
  • 文教大学 国際学部国際観光学科 教授 海津 ゆりえ氏
パネリスト
  • 静岡県静岡市 NPO法人三保の松原・羽衣村 事務局長 遠藤 まゆみ氏
  • 鹿児島県徳之島 奄美群島広域事務組合 奄美振興課 自然遺産推進係 渡辺 貴之氏
  • 株式会社ジェイティービー 旅行事業本部 観光戦略部長 加藤 誠氏
  • 公益財団法人日本生態系協会 地域計画室長 城戸 基秀氏
  • 株式会社ピッキオ マーケティングディレクター/取締役 楠部 真也氏
  • 環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室 室長 中尾 文子 氏
  • 団体組織、自治体組織を結びつけることについて教えてほしい。
遠藤氏
ディスカッション
  • 静岡市は縦割りがあり、行政単位の会議だと本音がでてこない。NPO が開催する会議だと、なごむ。エコツーリズムという共通の認識と時間をかけていくことが必要であると考える。そして踏み込んで討議することにより本当の意見交換へ展開する。4時間程度、会議を実施し、かなり有意義な話ができた。
楠部氏
  • Win-Win の関係の要素をどの程度作っていくのかが重要である。だれから見てもわかるようなメリットを見せていくと良い。
  • ガイドやリーダーの育成について、行政が行うことはあるか。
加藤氏
  • エコツーリズム推進法において、地域にガイドは必要である。リーダー養成については、当該自治体において、リーダーが存在していないならば地域の首長がリーダーとなればよい。リーダー養成、ガイド育成には予算が必要である。ベクトルを合わせていくためにも、首長の意見は重要であり、観光振興を行っていく意識が重要である。大分の湯布院、全国の温泉地で3番から下に落ちたことはないがここまで40年かかっている。住民、行政等が一体となって進めていくためにも首長が覚悟を決めて推進し、予算をつけ、専門機関が参加していく。観光振興に重要なのは、ばかもの(地域を愛している)、よそもの(観光のプロ等)、わかもの(まちづくりに若者を参加させる)。
渡辺氏
  • 奄美群島では事務組合で予算を取得している。従来までの人たちと連携し、進めている。ガイドをまとめるのは、苦労もある。
  • 受益者負担といった地域にお金を落としていくしくみについて、どのようなことが考えられるのか。
加藤氏
  • 住民が地域を保護し、どれくらいの人の来訪数が良いのか、自ら学ぶことが重要である。保護もでき地元が潤うのかについて定量的に考えていく必要がある。阿寒湖は250円として4億程度、見込まれている。議会も含めて地域がベクトルをどこにあわせるのか検討すると良い。
  • ニセコでは財源が厳しいという実状である。外国人が行政マンとして働いている。2015年度、2016年度から入島税とリフトにお金を取る予定である。定量的に地域が考え、みのたけのお金をもらっていくことが必要である。
中尾氏
ディスカッション
  • 新しい法律で、地域自然資産法がある。地方自治体による地域の自然を利用しながら、税をかけるという法律である。法律に基づき基本方針が明らかになるので、自治体では実施することがしやすくなると思う。徴収の目的を明確にし、何に使うのかを明確にするのが重要であると考えている。支払う方にも納得することが重要であり、地域も納得して使う仕組みが必要である。
城戸氏
  • まだ実現はしていないが飯能市では基金を作ろうとしている。環境に配慮しているということをアピールにもつながる。団体がお金を受け取り、市や基金に回す。環境に役立つという別の方法で進められるというメリットかと考えている。
中尾氏
  • エコツーリズム推進法の基本方針においても、事務経費については徴収できる仕組みとなっている。全体構想を作成ししていくなかで、いくら徴収できるのか、仕組みにすることも可能である。
  • 地域でモニタリングをしっかり取り組んでいる事例、地域で自然観察を行っている事例を教えてほしい。
城戸氏
  • モニタリングは重要であり、全体構想にも盛り込むことになっている。1、専門的な調査をする方法がある。例えばサンゴ礁の調査を行うなど。2.ツアーの時に気づいたことをチェックする方法がある。里山里地タイプでは、専門的なモニタリングよりもツアーの時に気づいたことをチェックしていく方法が良いだろう。
  • 横須賀市のモニタリングでは、「おもしろ自然リスト」を作成し、ツアーの時に、喜んでくれた内容についてチェックしていくことを検討したことがある。
  • 自然観察を行っている方との連携については、やはり難しいと思う。一番良いのは自然観察を行っている方にツアーに参加してもらえると良い。例えば、ムササビ観察ツアーができる場所では、ムササビの観察をしている方のツアーと他の団体のムササビツアーがあり、モニタリングをしている人、していない人の間で軋轢が生まれる場合がある。
  • 環境省の「モニタリングサイト1000」というものがあるのでうまく活用する方法もある。
楠部氏
  • ムササビウォッチングという売りのツアーを行っており、これは10年位モニタリングしている。日々ガイドによって、ムササビが巣から出る時間や何を食べていたかという情報を記録している。そして、その情報をガイド自身が共有する仕組みを「野鳥の森」ではつくっている。また、カヤックやカヌーのツアーを行っている地域では協議会にて情報を吸い上げて共有している地域もある。
  • 大学と一緒に研究する方法がある。大学もフィールドを探しているので、一緒にモニタリングを進めるのも一つの方法。
  • 平日に連泊してくれるリピーター顧客を獲得する有効な手段を教えてほしい。
加藤氏
ディスカッション
  • お客様が、旅行先を決めて、旅行先で楽しみ、帰ってくるという購買行動がある中で、その地域に行ってお客様が地域から「よく来てくれた」と尊敬されたと感じた時にもう一度行きたくなるという調査結果がある。お客さまが地域と接する機会に街全体でおもてなしをする文化があるとリピーターに繋がると思う。
  • 今回派遣で訪問した高鍋市では群馬県に住んでいた歯科医の方が移住している。この方は一度高鍋市を訪ねて、プロサーファーが開催するシニア講習に参加して素晴らしいと感じて、群馬県の歯科医を閉業し、高鍋市に住んで、根付いて、歯科医を開業し、地域貢献しながら暮らしている。地域ぐるみのおもてなしによる成功事例と考えている。
  • 来訪者と地域の人たちをつなぐコンシェルジュのような役割をつくる予定はあるか教えてほしい。
渡辺氏
  • 平成24年度に全島をまとめる奄美群島観光物産協会をつくり、群島全体でのアピールをしている。ここを通して来訪者と地域の人を繋いで行っている。
  • 奄美博覧会という冊子でもアピールを行っている。
  • エコツーリズム推進全体構想の地域を増やすにはどのようにしたらよいか。
楠部氏
  • 一番大きいのは認定を受けるメリットがあることが重要になる。メリットの一つとして、ガイドの送迎について基本的には認められてはいないが、全体構想の認定を受けると国交省からガイドによる送迎が認められている。また、長期的な観光戦略を作りだすことによってぶれない地域の観光づくりが期待できる。
渡辺氏
  • 奄美群島では、全体構想を作る前に、10年先20年先を検討した「奄美群島成長戦略ビジョン」を策定した。その過程で群島が一体となって取り組む推進力につながっていると考える。これからは行政がつくっていたものを、全体構想を通して地元の人たちが作り、地元の人たちが展開させていくものにしてほしいと考えている。
  • 最後に一言ずつコメントをいただきたい。
渡辺氏
  • 行政の立場としてエコツーリズムに取組むことで地域の人たちが応えてくれるということ感じながら活動してきた。誠意あるコミュニケーションを地域の人たちと続けることで群島一体となった取組みを続けていきたい。
遠藤氏
  • この地域のエコツーリズムは自然発生的に実行しているところがある。例えば、清掃ボランティアでは去年週2回の地域清掃に1033人が参加した。これは近隣の方もいるが、企業研修や修学旅行で来た外部の方も含まれる。その方たちは清掃することで「感謝してもらえることが嬉しい。」という話をしている。地域にある色んな資源を上手に組み立ててエコツーリズムに繋げていきたいと考えている。
楠部氏
  • エコツーリズムでは、海外の方に日本の自然を見てほしいと考えている。海外の方たちが来ることで日本の自然の価値がもっと高まる。それによりガイドのステイタスが上がり、今は年収200万円程度なのを高めていきたい。日本の観光の形を変えて、環境を意識しながらの環境立国にしていくことに一緒に取組んでいければと思っている。
加藤氏
  • 様々な自治体及び個人がエコツーリズムの推進に参加いただけるように近年変わってきたと考えている。観光振興が地域にとって重要になってきている。観光で地域を活性化するための秘策は、地域の滞在時間を長くしてもらうことが重要となる。滞在時間の中でどれだけ楽しめるコンテンツを作るかが重要になる。
城戸氏
  • 環境省がエコツーリズムを始めて10年位になる。始める際に里地里山もエコツーリズムにいれようということになった。ここまでやってきてエコツーリズムにより地域に誇りを持ち、人と人のつながり作ってきたという社会的なメリットはとても大きいと考えている。里山地域でもエコツーリズムを進めてほしい。
  • 例えば今回の横浜市での取組みはポテンシャルが高い。すでに様々な方が、環境管理や観察活動をしており、周辺にはたくさんの人が住んでいる。都市の中でもエコツーリズムができるということを発信していってほしいと考えている。
  • 総括
海津氏
  • 今回の報告会で一番感じたのは、なんと資源豊かな日本かと言うこと。北から南まで色んな日本をご覧いただいたと思う。地方創生の鍵を握るのはエコツーリズムであると考えている。
  • エコツーリズムでは、いろんなステージを進めていく必要があり、おおきく7 つあると考えている。(1)地域の課題を認識している状態 (2)エコツーリズムがあるということに気がついた段階 (3)エコツーリズムとは何かということを共有し始めた段階 (4)資源を探していく「宝さがし」を行い自分たちの魅力を発掘する段階 (5)宝磨きを活かす段階 (6)モニタリングなどのルール作りをする段階 (7)形にしてビジネスにして実施していく段階がある。そして、最後までいくと全体を振り返るという事になると考えている。自分たちの地域がこの7つの段階のどこであるかということを考える必要がある。全てを順番にやる必要はないが、様々な段階の地域を参考にして進めていただきたい。また、エコツーリズムは新しいものを作るというよりも、既存のものをどうやって変えていったらよいかと言うやわらかい頭で考えていただきたい。
  • これからアドバイザーとアドバイスを受ける地域が仲間になっていくことが重要となる。地域はアドバイスを受け続けるということではなく、アドバイスを受けて取り組んできた所が次の地域を応援するということができたら良いと考える。今後、横の繋がりを縦横無尽に広げていって、エコツーリズムという切り口で日本全体の資源が磨かれていく将来が描けるとよいと考えている。
  • 閉会挨拶
環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長 中尾 文子 氏
  • 本日の説明会では、2つの地域、3名の先生からの報告、パネルディスカッションを実施した。
  • 昨年度、内閣府の協力のもとエコツーリズムに関する世論調査を実施した。その中で「エコツーリズムを通じて地域づくりをしたいと思うか」という設問に対して65%程度が「そう思う」と回答であった。更に20代~30代だけをみると75%が「そう思う」と回答している。これは、潜在的にエコツーリズムを応援したい・関わりたいという人が多くいるということを示していると考えている。その人たちが関わってもらうにはきっかけづくりとお声掛けが重要と考えている。機会があれば周りに声をかけてみると、思っている以上に関心をもってもらえると考えている。環境省としても様々なしかけをしてく予定である。

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