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令和元年に行われた法改正の内容

 令和元年6月19日に、議員立法による改正動物愛護管理法が公布され、令和2年6月1日に一部を除いて施行されました。

1.動物の所有者等が遵守する責務の明確化(第7条関係)

 動物の所有者又は占有者は、環境大臣が関係行政機関の長と協議して動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めたときは、当該基準を遵守しなければならないこととする。

2.第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

(1)第一種動物取扱業の登録拒否事由の追加(第12条関係)

 都道府県知事等が第一種動物取扱業の登録を拒否しなければならない要件を追加する。

(2)遵守基準の具体化(第21条関係)

 第一種動物取扱業者が遵守しなければならない基準は、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して定める。犬猫等販売業者の基準はできる限り具体的なものとする。

(3)動物を販売する場合における対面による情報提供の徹底(第21条の4関係)

 第一種動物取扱業者が動物を販売する場合において、動物の状態を直接見せ、対面による情報提供を行う義務について、その行為を行う場所をその事業所に限定する。

(4)帳簿の備付け等に係る義務の対象の拡大(第21条の5及び第24条の4第2項関係)

 [一]
 犬猫等販売業者に対する帳簿の備付け及び報告に係る義務について、第一種動物取扱業者のうち動物の販売、貸出し、展示その他政令で定める取扱いを業として営む者も対象とする。
 [二]
 犬猫等の譲渡しを行う第二種動物取扱業者について、個体に関する帳簿の備付け及び保存を義務付ける。

(5)動物取扱責任者の要件の適正化等(第22条関係)

 [一]
 動物取扱責任者は、動物の取扱いに関し、十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者のうちから選任する。
 [二]
 都道府県知事等が行う動物取扱責任者研修の全部又は一部を委託することができることとする。

(6)動物取扱業者に対する勧告及び命令の制度の充実(第23条関係)

 [一]
 勧告に従わない第一種動物取扱業者について、その旨を公表することができる制度を設ける。
 [二]
 都道府県知事が動物取扱業者に対して行う勧告及び命令について、特別の事情がある場合を除き、3月以内の期限を設ける。

(7)第一種動物取扱業者であった者に対する監督の強化(第24条の2関係)

 都道府県知事等は、第一種動物取扱業者がその登録を取り消された場合等において、その者に対し、当該取消し等の日から2年間は、動物の不適正な飼養又は保管により動物の健康及び安全が害されること並びに周辺の生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、勧告、命令、報告の徴収及び立入検査を行うことができることとする。

(8)幼齢の犬又は猫の販売等の制限に係る激変緩和措置の廃止

 [一]
 出生後56日を経過しない犬又は猫の販売等の制限について、激変緩和措置に係る規定(平成24年改正法附則第7条)を削除する。
 [二]
 専ら文化財保護法の規定により天然記念物として指定された犬の繁殖を行う犬猫等販売業者が、犬猫等販売業者以外の者にその犬を販売する場合について、出生後56日を経過しない犬の販売等の制限の特例を設ける。(附則第2項関係)

3.動物の適正飼養のための規制の強化

(1)都道府県知事等による不適正飼養に係る指導等の拡充(第25条関係)

 [一]
 都道府県知事等は、周辺の生活環境が損なわれている事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、その事態の改善に必要な指導又は助言を行うことができることとする。また、当該事態が生じたことの起因となる活動に給餌・給水を追加する。
 [二]
 都道府県知事等は、周辺の生活環境の保全等に係る措置に必要な限度において、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養又は保管の状況その他必要な事項に関する報告の徴収及び立入検査を行うことができることとする。
 [三]
 多数に限らず一頭のみの飼養又は保管であっても、措置の対象とする(例えば、1頭であっても吠え癖のある犬による頻繁な吠え声の発生の放置は措置の対象になり得る。)。

(2)特定動物に関する規制の強化(第25条の2及び第26条関係)

 [一]
 特定動物を愛玩飼養等の目的で飼養又は保管することを禁止する。
 [二]
 特定動物が交雑して生じた動物を規制対象に追加する。

(3)犬及び猫の繁殖制限の義務化(第37条関係)

 犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖して適正飼養が困難となるようなおそれがあると認める場合には、所要の措置を講じなければならないこととする。

4.都道府県等の措置等の拡充

(1)所有者不明の犬及び猫の引取りの取扱い(第35条関係)

 都道府県等は、所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められたときは、引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、その引取りを拒否することができることとする。(第35条第3項関係)

(2)動物愛護管理センターの位置付けの明確化(第37条の2関係)

 [一]
 都道府県等は、動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は当該都道府県等が設置する施設において、当該部局又は施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにする。
 [二]
 動物愛護管理センターの業務を定める。

(3)動物愛護管理担当職員の拡充(第37条の3関係)

 [一]
 動物愛護担当職員の名称を動物愛護管理担当職員に改める。
 [二]
 都道府県等に動物愛護管理担当職員を置くこととする。
 [三]
 指定都市及び中核市以外の市町村は、条例で定めるところにより、動物愛護管理担当職員を置くよう努めることとする。

(4)動物愛護推進員の委嘱の努力義務化(第38条関係)

 都道府県等における動物愛護推進員の委嘱を努力義務とする。

5.マイクロチップの装着等

(1)マイクロチップの装着に係る義務(第39条の2関係)

 [一]
 犬猫等販売業者の義務
 犬猫等販売業者は、犬又は猫を取得したときは、当該犬又は猫を取得した日(生後90日以内の犬又は猫を取得した場合にあっては、生後90日を経過した日)から30日を経過する日(その日までに当該犬又は猫の譲渡しをする場合にあっては、その譲渡しの日)までに、当該犬又は猫にマイクロチップを装着しなければならないこととする。
 [二]
 飼い主の努力義務
 犬猫等販売業者以外の犬又は猫の所有者は、当該犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めるものとする。

(2)犬又は猫の登録(第39条の5及び第39条の7関係)

 [一]
 (1)によりその所有する犬又は猫にマイクロチップを装着した者は、当該犬又は猫について、環境大臣の登録を受けなければならないこととする。
 [二]
 狂犬病予防法の登録手続の特例
 犬の登録があった場合における狂犬病予防法の登録手続の特例を設ける。

(3)環境大臣は、その指定する者に、犬又は猫の登録の実施等に関する事務を行わせることができることとする。(第39条の10関係)

6.その他

(1)
 動物を殺す場合の方法に係る国際的動向の考慮(第40条関係)
(2)
 獣医師による動物虐待等の通報の義務化(第41条の2関係)
(3)
 関係機関の連携の強化(第41条の4関係)
(4)
 地方公共団体に対する財政上の措置(第41条の5関係)

7.罰則の強化等

 動物の殺傷に関する罰則について、懲役刑の上限が2年から5年に、罰金刑の上限が200万円から500万円に引き上がり、虐待及び遺棄に関する罰則について、100万円以下の罰金刑に1年以下の懲役刑が加わる。また、具体的な虐待行為の例示をより広範に明記する。

8.施行期日

令和2年6月1日
【下記以外の規定】
令和3年6月1日
【2.(2)遵守基準の具体化及び2.(8)幼齢の犬又は猫の販売等の制限に係る激変緩和措置の廃止】
令和4年6月1日
【5.マイクロチップの装着等】
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