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自然再生推進法に基づき誰もが自らの発意により実施者となりうる自然再生事業について、責任の所在が曖昧となって事業の適正な執行に支障をきたすことを懸念する。 |
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(事務局)事業実施にあたっては、実施者が地域住民、専門家、関係自治体、関係行政機関等からなる協議会を組織する。協議会においては、全体構想を作成、実施計画案を協議し、実施に係る連絡調整を行うことになっており、その意味で、協議会が全体として責任を負う。 |
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自然再生と言っても、全く元どおりの自然に戻すことはあり得ず、元あった自然に近い自然を創出するわけであるから、科学的なモニタリングに基づく順応的管理が大変重要であり、適正なモニタリングの実施を担保する必要がある。 |
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(事務局)モニタリングも含めた自然再生事業の実施については、実施者だけでなく協議会が全体として責任を負う。また、主務大臣として、事業の進捗状況報告を求めることができるので、その中で確認したい。 |
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国立公園内では環境省がしっかりやるので大丈夫だと思うが、その他の地域で様々なNPO等による自然再生事業が計画された場合、専門家でも再生の目標やその手段について意見が分かれ、まとまらないおそれもある。 |
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(事務局)意見が異なるのは専門家だけでないと思われる。従来の公共事業と違って、構想・計画段階で様々な関係者が関わって議論することが自然再生の大きな特徴であり、意義あることと考える。なお、法律上、関係行政機関と地方自治体は協議会への参加が必須であり、国立公園区域外の事業であっても、環境省としては、関係行政機関として、必ず協議会に参加していく考え。 |
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中央に設けられる専門家会議が、個々の事業計画に対して主務大臣を通じて意見を述べる仕組みがあったとしても、地域の状況が分からない専門家に十分な意見を期待できない。 |
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(事務局)地域の協議会における専門家の役割が特に重要であり、例えば協議会として小委員会や分科会などを設けて、専門的な議論を行うことが考えられる。この点は、基本方針に明記したところ。 |
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自然公園における自然再生について |
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自然公園法施行令に保護施設として「自然再生施設」が追加されているが、法律的な定義はどうあれ、具体的なイメージが湧きにくい。 |
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(事務局)自然再生施設とは、自然再生を行うために設けられる個々の施設群と自然再生の対象となる土地を含む施設概念。例えば、従来の保護施設としての「植生復元施設」も、過剰利用に伴い裸地化した植生に対して、洗掘防止のために施工する「土 留め工」などの施設や、「播種」し、種子の活着を促す「むしろ」を敷いた土地も含めた概念であった。従来のどちらかと言え ば対症療法的な保護施設のイメージに対し、自然再生施設は、より広域的、総合的に各種の事業を実施するためのものとして、損なわれた自然環境について、当該自然環境への負荷を低減するための施設及び良好な自然環境を創出するための 施設が一体的に整備されるものと法制局には説明。 |
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利用のあり方検討小委員会(平成元年)において、量から質の向上に転換するため公園施設の「再生」を図るべきとの指摘がなされたが、国立公園において自然再生を実施するということは、自然保護の観点から機能不全に陥った国立公園を再生しようとするものなのか。公園内で自然再生を何故実施するのか整理が必要。 |
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(事務局)新・生物多様性国家戦略において「国立・国定公園を自然再生事業を優先的に実施する場所と位置づけ、積極的に自然再生を推進する」と明記されている。自然風景は、それを支える生態系が健全にあってこそ、その維持が可能であり、自然再生事業を、自然公園の資質をアップする有効な手段と位置づけ、積極的に進めていくこととしている。 |
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環境省がトップダウン型の保全手法ばかりでなく、地域の発意によるボトムアップ型によって保全・再生を目指そうとしていることは理解したが、責任の所在が曖昧となることを懸念する。自然再生の今後の動きについては懇談会としても注視していく必要がある。 |
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自然公園における自然環境データの整備について |
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環境省は自然公園に限らず、我が国の自然環境全般について保全管理する責任があり、その中での自然公園の役割を踏まえてデータ整備についても論じる必要があり、その際、地球温暖化の影響などグローバルな視点にも留意する必要がある。 |
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(事務局)自然環境保全基礎調査、モニタリングサイト1000を全国的なデータとして整備しているが、生物多様性保全のホットスポットとしての国立公園において、実際の保全管理に役立てるためには調査密度が不十分であり、これらと連携しつつ国立公園独自の自然環境データの整備も必要と考えている。 |
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予算や人員など調査体制が決定的に不十分であり、裏付けをしっかりすべき。 |
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自然環境データを国内で活用するだけでなく、翻訳してグローバルなデータとして活用してもらいたい。 |
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(事務局)生物多様性センターのホームページでは日英二ヶ国語で情報発信している。 |
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科学的データの収集は大切だが、緻密にデータを集めれば政策・計画が自ずと出来上がるというものではなく、本来、戦略をもってデータ収集を行う必要がある。 |
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なお、次回の第5回自然公園のあり方懇談会は、平成15年6月30日(月)を予定しております。 |