4.第3回国別報告書(案)における意見(意見抽出)
 
項目 意見の抜粋
1.「国別報告書(案)」全体について  既に国の色々な資料に記載されているが、日本の温暖化対策の3本柱は「省エネ」「新エネルギー」「原子力」である。量的効果と確実性あるいは日本国民の文化的生活レベル維持等において原子力は我が国の削減目標にとって不可欠な対策であるはずであり、もっと「原子力」の効果を正確に表現すべき。
原子力発電の開発・利用は、我が国の削減目標達成にとって不可欠な対策である。
CO2対策として、原子力をどう位置づけるのか、明確に表現すべきである。原子力は、日本のエネルギー政策の基本であり、現実にも電力供給の約40%を占める重要な電源である。この動向がCO2対策に大きく影響するのであるから当然きちっと評価するべきである。
2.「第1章 温室効果ガスの排出と吸収に関連のある国家の状況」について 「高級車やRV へと 嗜好が移り、より重量の大きな自動車が割合を増やしてきている」 と書かれているが、その背景には、物品税廃止・消費税導入に伴う、大型車への大幅な減税があることを明記すべき。
原単位が悪化している要因について客観的事実が不正確であり、次の点を考慮して書き直すべきである。第1に、産業部門の省エネ投資減退は、エネルギー価格下落によるインセンティブ減退が大きい。第2に、民生・運輸部門の排出増は、ライフスタイルの変化だけではなく、コンビニ・宅配便・スーパーの開店時間延長などサービス産業の事業拡大が大きな要因を占めていることを明記すべきである。
産業・経済について、政策措置の関係では、主要排出源が明かになることが重要であり、産業別エネルギー消費量を記載し、素材系4業種が全体の3分2のを占めること、その生産量、エネルギー効率は90年以降製造業全体で悪化していることは記載すべき。また、素材輸出が少ないことから、素材生産量の大半が国内の建設材料として使われていること、GDP比で公共事業比率が高いことの国際比較を記載すべき。
エネルギー転換について、部門別燃料構成や、1990年以降石炭火力発電所を大幅に増やしていることを記載すべき。
「省エネ法」は履行確保を担保する政策ではないことから「エネルギー有効利用の徹底的推進を図っている」とは不適切な表現であり、削除すべきである。一連の政策が効果をあげているとするならば、定量的な分析を具体的に示すべき。 「エネルギー需給構造高度化対策」について述べられているが、石油代替エネルギーと省エネルギー対策、海外炭の炭鉱・開発などを一括した金額を示すことは不適切であり、省エネルギー対策、ソーラーシステムの普及などの予算内訳を個別に示すべき。
「電源開発促進対策特別会計」が原子力発電所の設置推進のための予算であることが述べられていない。海外関係者に誤解を生じる恐れがあり、この点を明確にする必要がある。「投資促進税制」については、具体的な金額と投資内訳を具体的に示して、これまでの税制の効果についても明記すべきである。
地球環境保全関係予算の内容が一切書かれていない。詳細な内訳を示すべきである。
財政について、地球温暖化対策の内訳を記載すべき。
審議会等をもつ目的として、「民意を反映させ、あるいは専門的知識を導入する等」とあげられているが、審議会でとりまとめられた報告内容が国の温暖化対策における基本方針に生かされることはまれである。NGOや多くの市民から政策決定の透明性に課題があると指摘されていることを一緒に記述すべきである。
日本におけるエネルギー供給構造が脆弱であるが故に、準国産エネルギーとしての原子力発電は重要であり、石油危機以降のエネルギーセキュリティーの向上や生活レベル向上に貢献してきたことを明記すべき。具体的には、「1973年度以降石油代替エネルギーの導入の推進により、天然ガス及び原力が急速にシェアを拡大し、日本におけるエネルギーの安定供給確保に貢献した。」
天然ガスや原子力の導入は、エネルギーの安定供給に寄与した
日本におけるエネルギー供給構造が脆弱であるが故に、準国産エネルギーとしての原子力発電は重要であり、石油危機以降のエネルギーセキュリティーの向上に貴献してきたことを明記すべき。具体的には、「1973年度以降石油代替エネルギーの導入の推進により、天然ガス及び原力が急速にシェアを拡大し、日本におけるエネルギーの安定供給確保に貢献した。」
新大綱には原子力発電所に対する民意と反対に、13基の新しい原発の建設が見込まれ、吸収源で3.9%、将来の革新的な技術や国民の更なる努力で6%中の2%も積み上げるなど、現実的に達成が困難で不確実性が高いという問題点がある。このため、新大綱を「京都議定書の6%削減約束の達成に向けた具体的裏付けのある対策の全体像を示す」と形容するのは適切ではない。「京都議定書の6%削減約束の達成に向けた大枠の方向性を示す」といった程度に表現を留めるべきである。
第2章では各種ガスの排出量を、各年の実数値で示している。第1章でも人口、国内総生産、エネルギー消費量などの主要指標について、各年の実数値を示し、容易に分析できるようにすべきではないか。
国土利用について、1990年以降の土地利用変化を定量的に記載すべき。
気候について、平均気温だけでなく、代表的な地域についてでも、冷房、暖房を要する日数を記載すべき。
住宅・商業施設について、新規着工戸数の経緯、断熱性能とその推移、家庭及び業務のエネルギー消費内訳と推移を記載すべき。
運輸部門について、旅客及び貨物のエネルギー消費量またはCO2排出量の90年以降の推移、大型車と普通車,軽乗用車の区別、を記載すべき。また、保有自動車の数と自動車走行量は、本文中に数値を書くべき。
廃棄物について、その内訳、主要な材料の生産量、消費量、廃棄量、リサイクル率とその推移を記載すべき。また、一般廃棄物の焼却割合が90年以降、増加していること、建設廃棄物が多いことの関連で、建築物の寿命、廃棄物の広域移動の実態等を記載すべき。
3.「第2章 温室効果ガスの排出と吸収の目録」について CO2排出原単位の低減に原子力発電が貢献してきたことを明記すべき。具体的には、「発電電力量が民生需要の増加等によリ1990年度比約22%増加していることが主要な原因と考えられるが、原子力発電の増加等により、排出原単位が低下したため、排出量は7.7%増に止まっている。」
CO2排出原単位の低減に原子力発電が貢献してきたことを明記すべき。具体的には、「発電電力量が民生需要の増加等によリ1990年度比約22%増加していることが主要な原因と考えられるが、原子力発電の増加等により、排出原単位が低下したため、排出量は7.7%増に止まっている。」
N20の 2.工業プロセス B.化学工業に主として該当する、アジピン酸と硝酸の製造工程からの排出は、表2.2精度の判断基準を詳細に検討すると、HのC)「実測に基づき既存の統計・調査等で継続的に報告されている。」に該当するのではないか。
IPCC1996年修正ガイドラインにあって日本が排出量を報告していない部分があることを記載すべき。
土地利用変化及び森林について、1996年以降の、また土壌からのCO2については90年以降すべて推計がないのは問題である。
ハイドロフルオロカーボンについて、90年から94年の実排出量、定量的な対策の進展(HFC23の排出係数の変化など)、ドライエッチング、CVDクリーニングにおけるHFC23の排出量を把握していないこと等を記載すべき。
より詳細な実態を示すためにも、製造業の業種毎の排出量を明らかにすべきである。また、民生部門の家庭部門と業務部門を分けたデータを明らかにすべきである。
パーフルオロカーボンについて、90年~94年の実排出量、定量的な対策の進展(排出係数の変化など)、アルミニウムの1次精錬に伴うPFCsの排出量を把握していないこと等を記載すべき。
六フッ化硫黄について、90年から94年の実排出量、定量的な対策の進展(絶縁体の排出係数の変化など)、マグネシウム鋳造に伴うSF6の排出量を把握していないこと等を記載すべき。
発電電力量の増加の原因は需要の増大にあることを記載すべき。
4.「第3章 政策・措置」について 旧大綱の実効性を示したレビューは国内でも存在しておらず、BaUケースの数値が下がったのは、経済不況や産業構造の変革に伴い素材産業などの経済活動が低く見積もられたことが大きな影響を与えている。仮に、政策担保がない旧大綱が温暖化対策を促進させた根拠や資料が存在するならば、具体的に示すべきである。
「省エネ法」について抽象的な記述にとどまっているので、省エネ法の実効性を示す具体的な事実を明記すべきである。
「地球温暖化防止行動計画」の数値目標について、「2000 年においてこれは達成されていない」と書かれているが、具体的な排出量を記述し、政策破綻の反省点を明らかにすべきである。
温室効果ガス別その他の区分ごとの目標は、旧大綱の大枠を踏襲しただけのものである。削減の実を上げられなかった地球温暖化防止行動計画や旧大綱の検証を行った上で再検討すべきである。
エネルギー起源のCO2排出削減目標は大変厳しい値となっている。とくに、産業部門のに関しては対策を電力供給面に過度に依存している。産業界・電力業界の自主的取組み以上の追加的対策は、もはや国策として強力に推進しなければ到底達成できるものではない。
経団連自主行動計画の効果について産業別に定量的な情報を明記すべきである。また、経団連計画は、オランダや英国などの政府協定ではなく、産業界の一方的な宣言に過ぎず、数値目標の遵守については何ら担保措置がなく、極めて緩やかな内容であることを明記すべきである。
廃棄物発電については廃棄物行政においては発生抑制が掲げられており、現状で燃やさざるを得ないものを燃やしそのエネルギーをなるべく回収するという政策的スタンスが必要である。特に産業系廃プラスチックを燃やすことに対するインセンティヴを与えると、かえってCO2排出量を増加させることになりかねない制度であり、廃棄物発電は対象から外し、発電技術ごとの枠を設けるシステムとするべきである。
実際には、石炭火力発電の設備容量は増えつづけている。燃料転換が円滑に進む見通しは少ない。電力産業の規制緩和の議論の中には環境保全、温暖化防止の視点は弱く縦割り行政の弊害が見て取れる。負荷追従型で電源を確保していくという考え方から需要の抑制および環境保全をエネルギー政策の根幹においた政策を推進する必要がある。
今後、原子力発電所を13基増設することを意味していると思われる記述があるが、現行の電源開発計画を見ると、確定しているのは3基に過ぎず、加えて、世論・住民の反対その他の不確実性を伴う原子力発電を13基増設することは非現実的といわざるを得ない。このような不確実性を帯びている対策をエネルギー転換部門における温暖化対策の柱として据えることは非現実的である。
近年欧米では脱原発が主流となっていることを考慮すれば、再生可能エネルギー、省エネルギー、燃料転換をより一層進めていくことが必要である。核燃料サイクルについても経済的にも安全性の観点からも破綻していることは明らかであり、発電所と処分地の立地を強引に進めるための予算配分を温暖化対策として本報告書に記載すべきではない。
地球温暖化対策推進法の改正によって定められる「京都議定書目標達成計画」は、立案過程から幅広い市民の参画による十分な議論の上で策定するべきであり、単に聞き置くだけのパブリック・コメントで済ませるべきではない。また「本大綱を基礎としつつ」→「本大綱を参考にしつつ」とすべき。
製造業では、生産量あるいは生産高あたりのCO2は大幅に増加しており、大きな削減余地があることを示していることを記載すべき。
民生・運輸部門では、省エネ基準のもう一段の強化が可能なはずだが、効率強化を(機器の対象拡大以外には)行わなかったこと、及び新築住宅・建築物の省エネ基準化を行わなかったことを記載すべき。
自動車の燃費規制以外は実効性に欠ける。またもやかえってCO2排出を増やす道路整備が盛り込まれているのは問題である。
「新エネルギー」について、「RPS法」の中身を説明し、廃棄物発電だけが増えそうな試算があることを記載すべき。
原発の発電電力量の2000年度比3割増は、環境負荷の問題がある。また、2010年度運転開始が不確実なものを含むことを記載すべき。
代替フロン等3ガスの排出抑制対策の推進については、業界が策定した自主行動計画では約0%程度(HFC等3ガスでは95年比4%の微増)になるとされたのに、2%排出増加(HFC等3ガスで95年比50%増に相当)という下駄をはかせた割り振りはそのままにされてきた。実際2000年の排出量は、6ガス全体からみて1%削減(HFC等3ガスでは26%削減)しており、下駄をはかせた実態を記載すべき。
革新的技術開発の0.6%削減分は全て今後の技術開発に依存しており、目標達成のための数値として盛り込むのは不適切である。あくまで6%の上乗せ(プラスアルファ)とすべきである。
国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進で挙げられている削減行動は、普及啓発のみに依存した全く裏付けのない行動の羅列に過ぎず、そもそも政策・措置によって削減量を見込む性質のものではない。民生・運輸部門で機器・自動車や建物の省エネ基準強化など実効的な政策・措置を盛り込まず普及啓発のみを行うのは、あえて浪費型製品(含む建物)を容認しつつ市民に対し我慢を求める矛盾したやり方であり、実効性は期待しにくい。
事業者が地球温暖化対策として適切な措置を取るために事業所毎の排出量を把握し、公表する仕組みが不可欠であるが、自主的なもので、義務でないことを明記すべき。
原子力に対する考え方が諸処ある現状の下で、今後、どのように国民の理解を得ていくのか注視していきたい。
原子力の推進なくして日本の目標達成は不可能。プルサーマルの推進も急ぐべき。
原子力発電の温暖化対策としての有用性に関して詳細にわかりやすく説明・記載されたい。例えば、発電時のみならず原料の採掘から建設・輸送・精製・運用・保守などを通したライフサイクルとして、化石燃料や自然エネルギーと比較・評価してはどうか。また、原子力の新規立地は厳しい状況であるが、既存の発電所の稼働率を1%上げるだけでも相当量のCO2排出削減につながることも記載すべき。
「原子力の推進」に記載された施策の確実な実行に向け、政府として積極的に対応していただきたい。
原子力発電は、世界的に見て積極的な導入推進を図る国は少ないが、国内資源の乏しい日本においては、エネルギーセキュリティーの確保に重要な役割を果たしており、原子カなくして、日本のエネルギー供給はあり得ない。今後、日本が成長を続けながら、CO2排出量を抑制していくためには、原子力の推進は欠くことができないと考える。第3章の「原子力の推進」の記載内容に沿って、着実に原子力の推進を図るべきと考える。
ポリシーミックスの考え方については今後実現を図る段階にある。よって、「税・課徴金等の経済的手法については、早期導入の実現を目指し、さまざまな主体の参加の上で政策立案を始める。」と修正すべき。
3章において、自主的取組をエンカレッジする政府の方針をもっとアピールすべきである。
3章において、民生運輸部門の取組がおざなりであるため、CO2対策が進んでいないという実体を報告し、今後政府として本腰を入れて取り組まねば6%達成は難しいということを表明すべきである。また、98ページ以下に「国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」を効果的に実施する手法を追加して記載してもらいたい。
民生部門での対策は、省エネ技術を用いた機器等を消費者が選択するよう、適切な情報提供や教育をすることが不可欠だと考える。
高気密・高断熱住宅等についての情報が少ないため、温暖化だけでない総合的な評価が難しい。省エネ型の住宅・建築物に対する情報提供や、住宅メーカーによる省エネ型製品の顧客への紹介等が必要と考える。
温暖化防止には、自転車の活用が効果的であり、自転車に乗り易くなるよう、道路等を整備すべきである。
削減目標の数値は審議会において提示された「試算値」が流用されているとのことであり、多分に不確定な要素が含まれている。今後の評価の際には、数値の見直しを含め、柔軟な対応が図られるべき。
ここでは、地球温暖化による影響の深刻さの記述に止まっており、対策の方向性の記述がされていない。地球環境問題解決のためには二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を「早急に、大幅な削減の実施」が必要である旨の記述を追加すべきである。
  温暖化対策技術の研究開発については、費用対効果を勘案しつつ、プロジェクトの廃止を柔軟に行える意思決定システムを確立すべきである。なお、CO2固定化技術は、多くの研究者が効果や他の環境問題の発生の点から反対しており、早急にプロジェクトを廃止すべきである。
自動車交通対策、環境負荷の小さい交通体系の構築について一般的な記述にとどまっているので、公共交通の整備やモーダルシフトなどの先進的な計画や事例を示すべきである。
本章は、新しい「地球温暖化対策推進大綱」と同じものであるが、こうした対策は2004年に見直し、2005年に必要があれば改定するとの方針を記載すべき。大綱には実現可能性や実効性、推進政策を欠いていることなど多くの問題がある。政策措置のコストについての記載を求められているが、記載がない。
エネルギー起源のCO2については、さらに情報を追加して提供する必要がある。(追加して提示すべき情報)[1]2010年の現在の政策の枠組みを維持した場合の各部門別の排出増加予測値、[2]エネルギー転換部門の排出量(現状政策維持ケースと対策強化ケース)、[3]各部門の削減量の合計(整合性をはっきりさせるべき情報)、[4]各部門の削減量の合計が旧大綱より小さいわけ(BAUとの関係もあり)、[5]民生部門の削減率変更(0→-2%)とエネルギー起源CO2全体の大枠(0%)を変えていないことの関係
産業部門のCO2削減はその大半を90年比±0%の経団連計画に依存しており、追加対策を大幅に強化しない限り7%削減は困難なはずである。7%削減の裏付けを明確に示すべきである。
温室効果ガス吸収源対策の推進における-3.9%という数字は、極めて怪しげである。これまで政府は、「全森林」の純吸収量が-3.7%としてきたが、いつのまにか「森林全体の7割」の森林増加量を吸収に換算したら確保できる量という説明になった。数字の十分な根拠は今でも示されておらず、国際的に定められた上限値を使い切ろうという意図がうかがえる。-3.9%の内訳と算定の根拠を記載すべきである。
5.「第4章 将来見通し及び政策・措置による効果」について 「基準ケース」と「対策強化ケース」については、それぞれ旧大綱・新大綱のもとの措置であるとしていることがわかりにくいので、その旨記載すべき。
産業部門や運輸部門など部門毎の将来見通しを追加すべき。
新大綱は、全体に実効性を大きく欠く政策・措置であり、ここで掲げられた将来の政策・措置による効果は絵に書いた餅でしかない。新大綱で定量的基準の達成が法的に担保されている政策・措置は全体の2割未満にすぎない。また、削減量全体の約4割は、定量的な達成基準を持たず、普及啓発などのみによって実現されることが期待されている。また、削減量全体の3割は業界団体の自主的な取り組みに依存しており、これも削減量を担保するものではない(下記参照)。新大綱の政策・措置は基本的に(旧大綱)からほとんど変わっておらず効果が不確実。
6.「第5章 脆弱性の評価、気候変動による影響及び適応措置」について 食糧安全保障に関する記述が分かりにくいので、たとえばつぎのように書き直したほうがよい。「海外、特に主要食糧輸出地域(北米内陸部など)で温暖化による干ばつのためにコムギなどの減収が生じ、食糧自給率がきわめて低いわが国に深刻な影響がおよぶケースであると考えられる。」
マングローブへの影響に関する記述は、唐突で言葉足らずであり、つぎのように書き直したほうがよい。 「しかし、近未来の海面上昇は、50cm/100年をはるかにこえる可能性も高いので、その分布域が移動し、森林内部の植生分布が変化することが予想される。」また、「変化」の内容も具体的に記述したほうがよい。
7.「第6章 資金援助及び技術移転」について 資金移転に関して「新規かつ追加的」でなければならないにもかかわらず、既存のODA関連の資金移転が大部分を占めており、「新規かつ追加的」な部分が不明確である。各種の事業が記述されているが、これらが温暖化対策として分類されることに疑問が残る。また、エネルギー・運輸・工業の具体的な内訳を明記すべきである。
8.「第7章 研究及び組織的観測」について 研究及び組織的観測に対する総合政策並びに資金確保について実施状況を具体的に示すためにも、研究の予算・実施体制、主な成果、目標について定量的に記述すべきである。
9.「第8章 教育、訓練及び普及啓発」について 「学校教育における環境教育等の推進」において、環境NGOの情報・知識・経験などの活用を位置付けるべきである。多忙な学校の教師が環境問題について教科横断的・総合的な情報や資料を収集し、総合的な学習をすることは現実には困難が伴う。環境NGOは、それぞれの分野についての情報・知識・経験をもっており、その活用により、こうした総合的な学習を充実することを施策として位置付けるべきである。また、同様のことは「社会教育その他多様な場における環境教育・環境学習」などでも施策として位置付けられるべきである。
「全国及び都道府県の地球温暖化防止活動推進センターを通じた取組」が位置付けられているが、指定法人を公益法人に限定したこと、財政的裏付けがないことの改善を図る施策が記述されるべきである。また、具体的施策のなかに、環境NGOの情報・知識・経験などの活用を位置付けるべきである。「原子力についての普及啓発」についての記述は削除すべきである。
環境NGOの支援の中心に、情報の公開と政策決定への環境NGOの参加を記述すべきである。「環境事業団の地球環境基金」については、その基金の規模や助成申請数や助成団体数などを記述すべきである。また、現状ではこの基金の規模が極めてささやかなもので環境NGOの要請に応えられていないこと、この基金の規模を抜本的に拡充していくことが重要であること施策として位置付けるべきである。
「環境教育・環境学習等の推進」に原子力に関する教育推進を明記すべきである。具体的には、「今後とも各学校における資源・エネルギーに関する教育について充実を図るとともに、原子力に関する教育推進のための環境整備を図っていく。」
「環境教育・環境学習等の推進」に原子力に関する教育推進を明記すべきである。具体的には、「今後とも各学校における資源・エネルギーに関する教育について充実を図るとともに、原子力に関する教育推進のための環境整備を図っていく。」
「学校教育における環境教育等の推進」は重要である。特に、日本におけるエネルギー安定供給確保に貢献し、また地球温暖化対策の観点からも重要な電源である、原子力に関する教育の推進を明記していただきたい。
「新エネルギーや原子力など非化石エネルギーの利用について考えていくことが重要となっている」とされるが、原子力を地球温暖化対策として用いるどうかについては議論があるところであり、「原子力など」の文言は削除すべきである。
都道府県地球温暖化防止活動推進センターの事業をより影響力のあるものにするために、財政措置を講じるべきである。特に地球温暖化対策診断モデル事業について、未だ何の説明文章も来ていない。モデル事業なのだから、具体案がないのはあたりまえで、具体的に地域で取り組んでみないことにはわからないわけだから、それをもったいぶらず、早く出すべき。
地球温暖化防止活動推進員について、都道府県によっては、財政的に委嘱を行なう事が出来ないところも存在する。そういった地域でも、活動がが可能になるよう国からの助成基金など支援する制度を作るべきでは。
資源・エネルギー消費に関する教育の充実のために、まず指導員を育成すべき。