環境省
VOLUME.74
2019年12月・2020年1月号

日本中で進む!地域循環共生圏

先に紹介した事例の他にも、地域資源を最大限に活用しながら、
地域の課題解決や環境・経済・社会の向上に取り組む
自治体や団体のチャレンジが全国で始まっています

OUR CHALLENGE 03
一般社団法人日本シュタットベルケネットワーク

「日本型シュタットベルケ」の創出を支援

 ドイツ語で「町の事業」を意味する「シュタットベルケ」は、ドイツで広まった電気やガス、水道などの公共インフラの整備・運営を行う公社のこと。日本シュタットベルケネットワークは、「日本型シュタットベルケ」の創出を目指して2017年に設立され、2019年3月現在、賛助会員として32の自治体が加盟している。地域エネルギー事業の専門家として自治体による電力小売事業などの設立を支援し、その収益を地域が抱えるさまざまな課題解決のために利用していく考えだ。

設立1周年を記念して開催されたシンポジウムの様子

設立1周年を記念して開催されたシンポジウムの様子

OUR CHALLENGE 04
北海道鹿追町

畜産で生まれるバイオガスから水素を製造

 農業が盛んな北海道鹿追町では、家畜排せつ物や生ごみ、下水汚泥などの廃棄物を有効なバイオマス資源として活用すべく集中型バイオガスプラントを整備。バイオガスを電力や熱エネルギーとして活用するほか、発電機の余剰熱をマンゴーの栽培などの地域産業振興にも活用している。また、バイオガスから水素を製造し、燃料電池による電気・熱の供給や燃料電池自動車・フォークリフトに利用する低炭素水素サプライチェーンモデルの構築実証も行うなど、地域資源の循環による脱炭素に向けた取り組みも進めている。

設立1周年を記念して開催されたシンポジウムの様子

鹿追町環境保全センターにあるバイオガスプラント

OUR CHALLENGE 05
長野県朝日村

地域産木材で新庁舎を建設、再エネも導入

 長野県朝日村では、豊富な森林資源を活かし、地元産のカラマツ材を村内の保育園やキャンプ場のコテージなどの公共施設に活用してきた。2018年に完成した村役場の庁舎にも、カラマツ材をはじめ、県や県内企業が開発した建材を採用。伐採や加工、建設工事に県内の業者が携わることで技術や経験値が蓄積し、人材の育成にもつながっている。また、新庁舎建設に併せて、地中熱・太陽光などの再生可能エネルギーも導入。エネルギー消費量やCO2排出量の削減も見込まれている。

設立1周年を記念して開催されたシンポジウムの様子

交流ホールの柱には樹齢300年と160年の村産材ヒノキを使用

OUR CHALLENGE 06
大阪府吹田市、能勢町

経済性を見据えた街と里のつながり

 大阪府能勢町は、銀寄栗のブランドで知られるクリ林の維持管理によって希少な蝶や植物が保全され、「生物多様性に優れた自治体ランキング」で全国1位になるなど、豊かな自然環境が保たれている。また、都市部の市街地でありながら万博記念公園などの自然豊かな公園が多い吹田市。両市町は2005年にフレンドシップ交流協定を締結。2016年には地域プラットフォームとして「大阪生物多様性保全ネットワーク」に「街と里の連携推進部会」を設置し、街と里の経済性をともなった交流連携活動を進めている。

設立1周年を記念して開催されたシンポジウムの様子

フレンドシップ交流協定を締結した能勢町と吹田市

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