環境省
VOLUME.63
2018年2月・3月号

特集:5つのエコ・アイデアIDEA-3 ソーラーシェアリング【Solor Sharing】再生可能エネルギー・省エネルギー

太陽の光を、
農業とエネルギーづくりに

農作物を作りながら、同時に発電も行う新しい農業スタイル。農地の上に太陽光発電設備を設置し、
一つの土地で農業と発電事業を営む。農家は農業と発電の両方からの収入が得られるうえ、
クリーンなエネルギーでできた農作物を作る「環境調和型」の農業が可能となる。
全国で既に1,000件以上(2017年5月現在)のソーラーシェアリングが行われている。

均等に並んだソーラーパネルの影が美しくすらある農地

均等に並んだソーラーパネルの影が美しくすらある農地

CASE STUDY
千葉エコ・エネルギー株式会社

新しい農地活用法が認められ、農業と発電事業を一緒に営む農家が増えています。
中でも“日本唯一”と言われるメガソーラーシェアリングを紹介します。

環境に寄与し、農業の課題も解決

お話を伺った人/千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役 馬上丈司さん

お話を伺った人/千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役 馬上丈司さん

 1MWの太陽光発電設備を有する日本最大規模のソーラーシェアリングを行っているのが千葉県にある「匝瑳(そうさ)メガソーラーシェアリング第一発電所」。約3万2,000m²の農地に約1万枚のソーラーパネルを設置し、発電した電気を電力会社に売電している。年間発電量は約1,424MWhと想定され、これは一般家庭約300世帯分の電力消費量に相当する。
 ここでの取り組みが注目されているのは、単なる大規模ソーラーシェアリングというだけでなく、長く耕作放棄地だった場所を農地として再生させたことにもある。「環境にやさしいエネルギーを使って、環境に負荷が掛からない有機や無農薬栽培の農業を営みたいという若手農家や新規就農者が賛同している」と話すのは、再生可能エネルギーの専門家で、コンサルタントとして運営母体に参加している千葉エコ・エネルギー代表取締役の馬上丈司さん。しかし「支柱の素材の選定から日射量を計算したパネルの角度など、設置にあたっては配慮しなければならないことがたくさんあります。だからこそ長く農業を続けるためのしっかりした経営計画がなければ、ソーラーシェアリングは成功しません」と、単なる売電目的で導入を考える人には警鐘を鳴らす。
 匝瑳メガソーラーシェアリングでは、栽培した大豆から味噌を、大麦から地ビールをつくるなど6次産業化も視野に入れており、農業に活気が出ている。
「現在、耕作放棄地は全国に40万haあるとされていて、そのすべてに適しているわけではありませんが、ソーラーシェアリングは有望な課題解決方法であると感じています」と、馬上さんは農業とエネルギー事業が融合した未来に期待を寄せている。

 
1.農業用の機械が下を通りやすいよう、パネルを高く設置している 2.パネルでつくられた電流を直流から交流に変えるパワーコンディショナ 3.収穫された大豆1.農業用の機械が下を通りやすいよう、パネルを高く設置している 2.パネルでつくられた電流を直流から交流に変えるパワーコンディショナ 3.収穫された大豆

1農業用の機械が下を通りやすいよう、パネルを高く設置している 2パネルでつくられた電流を直流から交流に変えるパワーコンディショナ 3収穫された大豆

写真/坂本政十賜

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