環境省
VOLUME.63
2018年2月・3月号

challenge! わたしたちのエコ宣言

2030年度までに、温室効果ガス26%削減(2013年度比)という目標を掲げた日本。目標の実現には、企業やNPOなど、あらゆる主体の協力が欠かせません。

ここでは、さまざまな企業・NPO・学校等が描く未来と、それを実現するための取り組みを紹介します。

FROM:COMPANY <パナソニック株式会社> 宅配便の再配達がない社会/パナソニック株式会社エコソリューションズ社 髙橋 弘喜さん

FROM:COMPANY <パナソニック株式会社> 宅配便の再配達がない社会/パナソニック株式会社エコソリューションズ社 髙橋 弘喜さん

ネット通販の急増や、共働き世帯・単身世帯の一般化に伴って、宅配便の再配達増加が、大きな社会問題となっている。
パナソニックでは、戸建て住宅用宅配ボックスによるこれらの課題解決に取り組んでいる。

設置スタイルは、住宅の壁に埋め込む、門塀に埋め込む、壁掛け、据え置きなど、さまざまなニーズに対応が可能

▲ 設置スタイルは、住宅の壁に埋め込む、門塀に埋め込む、壁掛け、据え置きなど、さまざまなニーズに対応が可能

労働環境だけでなく、地球環境にも悪影響をおよぼしていた再配達の増加

 「当社では、1992年から戸建住宅用の宅配ボックスを販売しています。宅配ボックスは、いまや新築マンションでは標準設備になりつつありますが、戸建住宅用の認知度はわずか35%(2017年3月現在)でした。ほとんどの人が戸建住宅用の存在を知らなかったというのが現状です」
 そう語るのは、同社エコソリューションズ社の髙橋弘喜さん。宅配便の再配達増加は、宅配事業者の負担につながるだけではない。再配達が原因で排出されるCO2排出量は年間約42万t(※)に上り、環境の面でも社会に大きな影響をおよぼしている。「再配達が大きな社会問題となる中、戸建住宅用の宅配ボックスの存在を多くの人に知ってもらおうと、全国初の試みとして、再配達を減らす実証実験を行ったのです」

※国土交通省「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について」より

設置した住民からの喜びの声

福井県あわら市の実証実験の様子。宅配ボックスを設置した住民にアンケートを行ったところ、宅配便の受け取りについて、モニター世帯の94%のストレスが改善されたと解答があった

▲ 福井県あわら市の実証実験の様子。宅配ボックスを設置した住民にアンケートを行ったところ、宅配便の受け取りについて、モニター世帯の94%のストレスが改善されたと解答があった

宅配ボックス設置によって再配達率は6分の1に減少

 実証実験を行ったのは、福井県あわら市。全国でも特に共働き世帯が多い地域だ。実証実験は、2016年12月から翌年3月までの4カ月間にわたって行われた。共働き世帯106世帯に宅配ボックスを設置し、日本郵便、ヤマト運輸と協力しながら、宅配業者の労働時間やCO2の排出量がどれだけ減るかを調べた。
 「結果は、私たちの予想を上回るものでした。4カ月での再配達率は、宅配ボックス設置前の49%から、設置後は8%に減少したのです。宅配業者の業務時間は約223時間の削減、CO2排出量も約466kgの削減という、うれしい結果になりました」
 この結果を受け、あわら市では宅配ボックスの設置を支援する助成金制度をスタートした。今後も各地での実証実験などを通して、宅配ボックスの周知や、全家庭への設置を目指していく。

不在時でも伝票に押印できる

荷物の受取時に伝票への捺印ができるシステムも搭載。伝票差し込み口に伝票を入れ、「捺印」ボタンを押すだけで自動に押印される。電源を使用しないため、あらゆる家庭への配備が可能

▲ 荷物の受取時に伝票への捺印ができるシステムも搭載。伝票差し込み口に伝票を入れ、「捺印」ボタンを押すだけで自動に押印される。電源を使用しないため、あらゆる家庭への配備が可能

プチeco宣言 ― 京都でも、再配達を減らす実証実験がスタート!

2017年11月から、京都市、パナソニック、京都産業大学、宅配事業者が連携し、宅配ボックスの実証実験「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」がスタートした。市内の5棟(全106世帯)の学生・単身者向けアパートや、大学構内に宅配ボックスを設置し、効果を定量的に計測する

京都でも、再配達を減らす実証実験がスタート!

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