エコジン 2016年12・1月号 VOLUME.56

エコジン・インタビュー

地球上のすべての生き物にラブソングを。

イルカ

世代を超えて歌い継がれる名曲『なごり雪』で知られるシンガーソングライターのイルカさん。
長年、動植物や自然を含む森羅万象を歌にしてきたことからIUCN(国際自然保護連合)の初代親善大使も務めるイルカさんに、地球上のすべての生き物たちへのあふれる愛をお聞きしました。

 イルカさんといえば『なごり雪』や『雨の物語』などのヒット曲で知られるが、『鳥の記憶』や生命保険会社のCMで話題になった『まあるいいのち』など、生き物や自然、命についての歌も多い。生まれも育ちも東京のイルカさんは、小さな頃から生き物や自然と親しんでいたのだろうか。
「子どもの頃から、動物・植物・鉱物、すべて好きでした。街のなかで生まれ育って、身近に雄大な自然がない環境だったから、むしろ強く惹(ひ)かれたんじゃないでしょうか。いちばん憧れたのが田植え。あの泥のなかに足を突っ込んでみたくて仕方がなかった(笑)。でも、何かに対する思いは強いのに、それを人前で言葉にするのは苦手な子どもでした。友だちもいたし、人間が嫌いだったわけでもないけど、それよりも葉っぱや石ころ、虫、そういうものたちにどうしても心がいってしまう。虫よりも人間の方が偉いなんて納得できない! と思っていましたね」

 野生動物のテレビ番組にも夢中になり、「将来はジャングルの奥地で野生生物に関わる仕事に携わりたい、獣医になるぞ」と夢見た少女は、いつしか音楽の世界へ。大学のフォークソング同好会の帰り道、ギターケースを抱えた部員たちの様子を見て「イルカの群れみたい」とつぶやいたことがきっかけでついたニックネーム「イルカ」が、そのままアーティスト名になった。
「いま思えばこの名前で良かったなと思いますし、運命的な気さえしますね。特に2004年からIUCN(国際自然保護連合)の親善大使を務めるようになって、そのことをより実感しています。たとえば、国際会議の場で『親善大使のイルカです。イルカとは、ドルフィンという意味です』と挨拶するだけで、皆さんの顔がふわっと和んで、話を聞いてくれる雰囲気になる。海のイルカのおかげですね」

言葉を発さず崇高な魂をもって生きている生き物たちの思いを伝えたい。

 IUCNは、1948年に設立された生物多様性保全に関する世界最大のネットワーク。世界各国の政府・NGO・研究者らが協働しながら「自然を尊び保護する公正な世界」を目指して活動を続ける中、日本を含むアジア地域でのIUCNの認知度を上げるべく、初代親善大使として白羽の矢が立ったのがイルカさんだった。
「私は学者でも専門家でもないので、歌や絵本などの作品を通じて伝えることしかできませんが、それでもよろしければ、ということでお引き受けしました。自然保護や生物多様性に興味のない人に向けて発信することが何より大切で、それこそが私の役割だと自覚しています。最初は、IUCNの活動を説明する日本語のリーフレットもなかったので、それを作ることから始めました。親善大使は完全なボランティアですから、私のコンサート会場に募金箱を置かせてもらい、集まったお金で毎年印刷し続けています。
親善大使になる時にお約束したのは、自然保護や生物多様性をテーマにしたコンサートを毎年行うこと。『イルカwith Friends』と名付けたステージは、今年で12回目を迎えました。開催地である山梨県富士河口湖町も町をあげて応援してくれています。持続することによって、さまざまなご縁が生まれていることは、とても嬉しいですね」

 親善大使就任10年目にあたる2014年には、IUCNのテーマソングともいえる『We Love YouPlanet!~ひびけ!惑星に。』を作り、世界111カ国に配信。生き物、自然、地球、すべての命に対する、愛に満ちたスケールの大きな名曲となった。他にも、国連生物多様性の10年日本委員会の委員を務め、今年の10月に石川県で開催された第1回アジア生物文化多様性国際会議でも講演を行うなど、イルカさんの自然・環境への関わり方は濃密だ。
「5年前から着物の作家活動も始めたんですが、着物と帯に生物多様性やレッドリストをテーマにした絵柄を描き、IUCNとのコラボレーションも実現しました。伝統的なものづくりと環境活動は密接につながっていると思います。卓越した技術を持った職人さんたちが高齢化して、まさに絶滅危惧の状態ですし、伝統的なものづくりは、地域のきれいな水や森があってこそ成立する。それらを守ることは、そこに棲(す)む生き物を守ることにもつながります。生物の多様性と文化の多様性は切っても切れない関係にあるんです。
よく人と話している時、『それ、人間として言っていますか?』と言われるくらい、いつも私は生き物の側に立っちゃうんですよ(笑)。人間の気持ちを語る人は、いくらでもいるけれど、生き物たちは一切言葉を発さず、それでも崇高な魂をもって生きているわけでしょう? だからこそ、合っているかどうかはわかりませんが、常に彼らの思いを言語化してあげられる人間になりたいなと思いますね」


PROFILE ~ イルカ

1950年、東京都生まれ。女子美術大学在学中にフォークグループを結成、74年にソロデビュー。75年、『なごり雪』が大ヒットし、シンガーとしての地位を確立。現在もコンサートを中心に精力的な活動を続け、45周年を迎えた。女子美術大学客員教授、IUCN親善大使、環境省地球生きもの委員会委員、国連生物多様性の10年委員会委員、環境省中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会委員なども務める。公式サイトには環境活動に関するページも。
http://www.iruka-office.co.jp

写真/千倉志野

今号の特集

特集 生物多様性と私たちの2020年

井の頭自然文化園の「いきもの広場」では、子どもたちが多様な生きものと触れあう

 「生物多様性」とは、さまざまな生きものが、つながりあって暮らすこと。

 2010年に愛知県名古屋市で開催された「生物多様性に関する国際会議(COP10)」では、2011年から2020年までを「国連生物多様性の10年」とすることが決められました。

 2016年は、その折り返し点となる年です。

 特集では、生物多様性を広めるための動きを振り返るとともに、「生物多様性アクション大賞2015」の受賞事例を紹介します。

 

写真/石原敦志

生物多様性の未来を見すえて

生物多様性を広めるための動き

2011年から2020年までの10年間は、国連の定めた「国連生物多様性の10年」です。中間年を過ぎ、生物多様性保全のための世界目標である「愛知目標」の達成に向けて、国や地方自治体、企業、団体が連携して生物多様性の問題に取り組んでいる様子を紹介します。

2010年

2010年10月

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)開催

@愛知県名古屋市

• 戦略計画2011-2020(愛知目標)の採択
• 名古屋議定書の採択 etc…

2010年12月

国連生物多様性の10年(UNDB)が国連総会で決議

2011年から2020年までの10年間を「国連生物多様性の10年」とすることが決定

2011年

2011年9月

国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の設立

国連総会で決議された「国連生物多様性の10年」を受けて、愛知目標の達成を目指し、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みを推進するために設立されました。国、地方自治体、経済界、NGO/NPO・ユース、学識経験者、文化人等、6名・31団体から構成(平成28年12月現在)。

UNDB-Jの主な取り組み

■ MY行動宣言 5つのアクション

国民一人ひとりが生物多様性との関わりを自分の生活の中でとらえることができるよう、5つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)の中から自らの行動を選択して宣言することを広く呼びかけています。2020年までに100万宣言を集めることが目標です。

■ 生物多様性アクション大賞

MY行動宣言の5つのアクションに即した活動を表彰する取り組みです。2013年から実施しており、毎年全国から100件以上の応募があります。

■ 普及啓発に資する推薦図書等の選定

生物多様性の理解や普及啓発、環境学習にも資する図書等を推薦ツールとして選定(愛称:「生物多様性の本箱」~みんなが生きものとつながる100冊~、2013年3月選定)。

WEBで宣言できます!

http://undb.jp/spread-action/entry/

2012年

2012年10月

生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)開催

@ハイデラバード(インド)

資源動員に関する目標(暫定)の合意 etc…

2014年

2014年10月

生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)開催

@ピョンチャン(韓国)

戦略計画2011-2020(愛知目標)の中間評価 etc…

2015年

2015年11月

「国連生物多様性の10年日本委員会中間評価」のとりまとめ・公表

平成27年(2015年)「国連生物多様性の10年」の折り返し年を迎えるにあたり、UNDB-Jのこれまでの成果と課題を中間評価として取りまとめました。

主な内容

各構成団体がそれぞれの立場で取り組みを推進してきており、着実な成果を上げてきた一方で、UNDB-J内外の連携が十分に進んでいないことなどを課題として示しています。

2016年

2016年10月

「国連生物多様性の10年日本委員会ロードマップ」の取りまとめ・公表

中間評価を受けて、主流化の取り組みをさらに加速するため、UNDB-Jおよび委員の2020年までの目標と具体的取り組みをまとめたロードマップを策定しました。

主な内容

目指すべき社会像として、「生物多様性に配慮した消費活動・産業活動の普及」「日頃から自然と触れあうライフスタイルの一般化」「生物多様性の保全と持続可能な利用を通じた都市や地域づくり」「生物多様性の保全と持続可能な利用が組み込まれた自然共生社会の基盤形成」を提示。目指すべき社会像に向けた具体的な取り組みや2020年の目標等を取りまとめました。

2016年12月

生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)開催

@カンクン(メキシコ)

「生物多様性の主流化」が主要なテーマ

News!

生物多様性アクション大賞・2016速報
つたえよう部門:「糸島こよみ」
糸島こよみ舎(福岡県糸島市)

生物多様性アクション大賞2016

今年は、全国から総数104の応募がありました。10月20日に開催された「第6回生物多様性全国ミーティング」で、5部門の優秀賞が決定。その後、審査委員特別賞、審査委員賞、入賞が発表されました。

優秀賞

たべよう部門:「木の実のシロップ作りと地域の活性化」
株式会社森と暮らすどんぐり倶楽部(福井県三方郡美浜町)

ふれよう部門:「リトルファーマーズ養成塾」
特定非営利活動法人田舎のヒロインズ(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)

まもろう部門:「野生動物交通事故調査活動」
富士山アウトドアミュージアム(山梨県南都留郡富士河口湖町)

えらぼう部門:「輸入合板代替製品で生物多様性に貢献する」
三菱ケミカルホールディングスグループ クオドラント・プラスチック・コンポジット・ジャパン株式会社( 三重県四日市市千歳町)

2020年 BIODIVERSITY ACTION!

PART.1 たべよう

竹林の活用で「人のつながり」を生み出す

特定非営利活動法人 加茂女(かもめ)

生物多様性を損ない、不法投棄の原因にもなる放置竹林の再生を、まちづくりに活かそうというグループがあります。その竹林整備活動の現場を訪ねました。

竹林整備
竹林整備
竹林整備
竹林整備
間伐した竹で作った作業小屋
竹を燃料としたピザ窯
竹を使ったお料理/おやき、御膳

間伐した竹は、その場で燃やして炭にすることで良質な肥料となる。伐ったばかりの竹を運ぶのは重労働だ。
間伐した竹で作った作業小屋や、竹を燃料としたピザ窯もある。
整備に汗を流した後、みんなでピザを焼いて食べるのがお楽しみ

 天まで伸びるような青竹の間から、晩秋の陽が明るく差し込んでくる。ここは京都府木津川市にある竹林。この日は、2008年から放置竹林整備を行う「NPO法人加茂女(かもめ)」のメンバーたちが間伐作業を行っていた。理事を務める曽我千代子さんが、作業の手を休めてこう語る。「この現場で活動を始めたのは今年の春。半年がかりで間伐を終えたエリアは、ずいぶん明るい竹林になりました」

 この地はもともとタケノコの名産地。「山城筍(やましろたけのこ)」ブランドは、京タケノコの代名詞として珍重されてきた。ところが、2000年ごろから価格の安い輸入タケノコに市場を奪われ、生産者が廃業したことで放置竹林が増え始めた。旺盛な繁殖力を持つ竹は、手入れを怠るとたちまち生息域を拡大する。生い茂る枝葉が日光をさえぎることで、他の植物や、その植物を糧とする生きものが生息できなくなり、生物多様性を貧弱なものにしてしまうのだ。昔から「竹の間を、傘をさして歩けるくらい」が、竹林の理想的な密度と伝えられてきた。

 加茂女では、2010年から「竹を食べて放置竹林をなくそう」を合言葉に、竹を活用した商品開発にも取り組んできた。タケノコをたっぷり使った「おやき」は、生地にも竹の粉末を使用。ほかにも、タケノコとリンゴで作った「ちくりんジャム」や、味つけしたタケノコを乾燥させた「筍するめ」など、アイデアあふれる商品が人気を集めている。
「最近では、“ピザ焼き体験と竹林整備で婚活”などのイベントも開催しているんですよ。竹林はこの地域の財産。その価値を活かすも損なうも、ここに生きる人たちに委ねられているんです。私たちの活動を通じて、地域の人たちのつながりを作っていきたいですね」

曽我千代子さん

曽我千代子さん

1989年、アルミ缶回収を行う女性グループから始まった「加茂女」の活動を支え続けてきた。「かぐや姫の時代から続く、京都の“美しい竹の景観”を守っていきたい」と語る。

特定非営利活動法人 加茂女
URL : http://www.npo-kamome.com/

写真/川本聖哉

PART.2 ふれよう

いきもの広場で遊ぼう!

(公財)東京動物園協会 井の頭自然文化園

都会では、生きものと自然なかたちで触れあうのは難しいと思いがち。
でも探し方さえわかれば、木や土や草にいる生きものを見つけることができるのです。

いきもの広場
いきもの広場
いきもの広場

生きものがひそんでいる場所をスタッフが教えると、最初はおそるおそる見ていた子どもたちも虫に自然と触れるようになる

 「動物園のなかに作った“近所の自然”」。それが東京都武蔵野市にある井の頭自然文化園の「いきもの広場」だ。広場内に整備された雑木林や草地、池といった多様な環境へ自然に集まってくる生きものたちを探し、見つけて、触れる体験の場としている。訪れた子どもたちは、スタッフが指し示す場所をヒントにバッタやカマキリを草の中から見つけたり、土を掘ってカブトムシの幼虫を探したり夢中になって広場内を飛び回る。2人の息子と参加したお母さんは「良い体験ができました。こういう場所があるのはありがたいですね」と笑顔をみせた。

 教育普及係の阿部万純さんは「 “これだけ豊かな自然環境があるから、生きものもたくさんいるんですよね”と言われることがありますが、街にある街路樹や植えこみなどにも生きものはいっぱいいます。ここでの経験を生かして、近所の公園などに目を向けて、もっと生きものを身近に感じてほしい」と話す。いきもの広場が生きものの存在に気付く目を養い、興味を持つきっかけづくりになればと願っている。

井の頭自然文化園
URL : http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ino/ikimono_hiroba/

写真/石原敦志

PART.3 つたえよう

人と自然のふれあい調査

(一社)てるはの森の会

綾ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に指定されている照葉樹林を地域住民が誇りに思い、後世に引き継いでいくために“人と自然”の関わりを掘り起こした活動です。

川中ふれあい散策マップ
新緑の綾の森
高齢者から当時の暮らしについて聞く
マムシグサ、キリシマシャクジョウ、ヨコグラノキ

森によって育まれてきた豊かな和の暮らしを再発見しようと調査が行われた

 宮崎県のほぼ中央に位置する綾町(あやちょう)には、日本最大級の面積を誇る照葉樹林が残されている。人工林に分断された箇所を照葉樹林に復元するプロジェクトが進む中、森を長く後世に残すためには、地域住民が森の大切さを認識することが大切。そこで行われたのが「人と自然のふれあい調査」だ。

 市民団体が中心となって、人と自然との結びつきが強かった、かつての森や里での暮らしを地域のお年寄りから聞き取りするなどして、マップや冊子にまとめた。「以前は川に鮎がたくさんいて、足の指でつかまえられるほどだったことや、桑の実やアケビを口の周りが真っ黒になるほど食べた思い出などを聞き、昔はもっと豊かな自然の恵みを直接受けながら暮らしが営まれていたことを知りました」と、てるはの森の会の下村ゆかり事務局員は話す。

 「人と自然のふれあい調査」は、自然と人との関わりがある生活を地域の人々が再発見するきっかけとなり、調査の成果が綾の森や里を散策する際のガイドマップに使われるなど、綾町を訪れる人の興味や関心を喚起することにも貢献している。

(一社)てるはの森の会
URL : http://teruhanomori.com/

PART.4 まもろう

いきもの保全に取り組む中小企業

湖南 企業いきもの応援団

「企業の持続可能な経済活動」と「地域の自然再生への貢献」を両立させるため地元企業がタッグを組んで、市内を流れる狼川(おおかみがわ)を見守る活動を続けています。

狼川の調査風景
地域の子どもが参加する地域公開講座
地域の子どもが参加する地域公開講座
カワムツ、ドンコ、ヌマムツ

毎回各社を代表する有志が集まり調査に参加。タモ網を使って川の生物を捕獲するなどして報告書にまとめている

 滋賀県草津市の湖南地域にある12の企業が、身近に流れる狼川(おおかみがわ)に目を向け、生き物の観察や水質調査を継続して行っている活動。2010年5月から年4回、6カ所の定点で観測を続け、草津市の環境課や琵琶湖博物館などとも連携して、精度の高い観測を行っている。

 狼川は市内の水田地帯や住宅地、工場地帯などを通る、生活の場に近い小さな河川。暮らしの中にある自然に目を向けることで、環境意識を高めることにもつながっている。「ありがたいことに調査を始めてから6年間、目立った水質や生物の変化は見られていない」と参加企業のひとつ郷インテックスの近藤行和氏。今年からは調査の際にゴミ拾いも開始。地域の小学校とも連携して子どもたちも調査に参加するなど環境教育にもつなげている。「下流ではブラックバスなどの外来種が見つかっていますが、上流では多くの生物が生息しており、子どもも楽しめる良い環境を保てていると感じています」と今後も調査を継続しながら環境を見守り続けていく。

湖南 企業いきもの応援団
URL : https://www.facebook.com/konanikimono/

PART.5 えらぼう

いのちをつなぐ街づくり

三菱地所レジデンス株式会社

マンション敷地の緑を、生物たちが立ち寄れる“中継地点”に―。
そうした「点」をつないで「面」を作ることで地域に多様な生物を根付かせています。

いのちをつなぐ街づくり
新緑の綾の森
高齢者から当時の暮らしについて聞く
いのちをつなぐ街づくり

物件の規模や敷地面積にかかわらず、環境に配慮した植栽計画を実施。各マンションの緑を周辺の緑と結びつけ、エコロジカルネットワークを形成することを目指す

1 )入居後、専門家を招いて「五感で触れ合う自然」をテーマにした自然観察会を実施。多くの居住者が参加する人気イベント

2)マンションのパンフレット内の特集ページやマンションギャラリー内に設置したパネルを通して、取り組みを効果的に周知

 三菱地所レジデンス株式会社が2015年2月から取り組んでいるのが、「BIO NET INITIATIVE(ビオ ネット イニシアチブ)」だ。このプロジェクトは地域の植物や日本の在来種を多く取り入れながら、居住者や物件の周辺環境にも考慮した植栽計画を敷地の広狭を問わず実施するというもので、同社の分譲マンション「ザ・パークハウス」が対象。こうして作られたマンションの緑は、一度に飛べる距離が約100mのシジュウカラや約150mのメジロなど、周辺にいる生物が移動する際の“中継地点”として機能する。同社がこのマンションを供給し続けることによって、マンションの緑という「点」は周辺の自然と結びついて「面」となり、多様な生物が根付くエコロジカルネットワークが形成されるのだ。

 現在は、戸建事業においても同様の考えで取り組みをスタートしている。プロジェクトを担当する商品企画部の岡崎新太郎氏は、「こうした取り組みが当たり前になるまでやり続ける」と、住宅供給を通した“街づくり”に意欲を見せた。

三菱地所レジデンス株式会社「ビオ ネット イニシアチブ」
URL : http://www.mecsumai.com/bionetinitiative/

ecoMASTERへの道

“家事えもん”こと松橋周太呂のめざせ!ecoMASTERへの道

エコ初心者のお笑い芸人・松橋周太呂さんが、あらゆるエコな体験をしながら、“エコマスター”を目指すこのコーナー。
各分野の“師範”から、エコの真髄を教わります!

本日のお題:【初級編】
リサイクル工場へ見学に行ってみよう

MOVIE(07:32)

動画はこちら

ペットボトルから循環の仕組みを知る

限られた資源を有効活用するために、リサイクルは重要な役割を担っています。ところが、一旦リサイクルに出した不用品が、どういった経緯を辿(たど)って、また私たちの手元に届くのかは意外と知らないもの。今回は、ペットボトルのリサイクル工場を見学しながら、循環の仕組みを学びます。

チャレンジャー

松橋 周太呂さん

掃除・洗濯・料理などを得意とし、「掃除検定士」や「洗濯ソムリエ」の資格も取得する、家事大好き芸人。「あのニュースで得する人損する人」(日本テレビ系)では、独自の家事テクニックを教える“家事えもん”として活躍中。

本日の師範

伊藤 利子さん

ペットリファインテクノロジー株式会社・管理営業部営業グループ兼広報担当。普段は一般参加者向けに工場見学の案内もしている。

INFORMATION・ペットリファインテクノロジー株式会社
回収したペットボトルを、別の製品へと再商品化する「マテリアルリサイクル」 が一般的だが、化学の力で再びペットボトルに生まれ変わらせる「ケミカルリ サイクル」を日本で唯一実現している。一般向けの工場見学も行っている(要 予約)。
URL : http://www.prt.jp

写真/石原敦志