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概要

エコジン04・05月号

大事にしてねライチョウの採卵から飼育まで動物園でライチョウを飼育するため、北アルプスの乗鞍岳にある巣から卵を採取。人工的に孵化させ飼育にあたっている。採卵ふ孵化ひなを育てる昨年6月、生態系に影響を及ぼさないよう留意しながら、産卵期と抱卵期に分けて、それぞれ3つの巣から採卵。富山市ファミもみがらリーパークには籾殻を敷いた保温ケースと携帯孵卵器を使って抱卵期の卵が搬送された。ふらんき孵卵器で温められた5つの卵のうち、1卵は発生初期の中止卵であることが判明した。残りの4卵から6月2 7日に雄2羽、雌1羽と7月2日に雄1羽のヒナが誕生した。しかし7月4日に雌1羽が死亡した。衛生管理をしっかり行いながら、2羽を部屋で飼い、1羽をケージで飼育中。環境変化に敏感なのでストレスを与えないようにしながら、体調の変化などを細かくチェック。9月ごろから夏羽が抜け始め、12月末には真っ白な冬羽に。した卵を人工的に孵化させ飼育を開始。5個の卵から3羽が無事に成長を続けている。「これまで『動物園はレジャー施設』という見方が大半だったと思います。しかし生息地の野生生物の保全をバックアップするために、動物園の飼育技術は非常に有効であり貢献する力があるとJAZAでは考えています」と山本茂行園長は話す。北アルプスと南アルプスのライチョウは遺伝子が異なることがわかっているので、今、飼育しているヒナを南アルプスで野生に戻すわけにはいかない。野外で個体数を増やすまでには長い年月が必要であり、多くのハードルもある。だが、飼育繁殖の方法や野生復帰へのプロセスを確立させるための大きな一歩は踏み出せた。希少種の減少は待ったなしで進んでおり、一刻も早い種の保全体制の構築が求められている。「動物園での保全は、あくまでも生息地の対策の補完。国民のみなさんに希少種を絶滅させないためには生息環境をどうすれば良くできるのかを意識していただき、力を寄せていただくことが重要だと思っています」富山市ファミリーパーク園長山本茂行さん富山県高岡市出身。2005年から富山市ファミリーパーク園長。10~14年まで社団法人(12年~公益社団法人)日本動物園水族館協会会長に就任。富山市ファミリーパーク住所:富山市古沢254電話: 076-434-1234URL : http://www.toyama-familypark.jp/09