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概要

エコジン04・05月号

植物園フガクスズムシソウなどラン科植物の保全筑波実験植物園現在、日本の野生ランの約62%が絶滅の危機に瀕しています。早急な保全を必要とする絶滅危惧種の系統維持に取り組み、世界有数のラン科研究施設としても知られる筑波実験植物園の活動を紹介します。ランの花の多様さは、生物多様性のバロメーター約3万種ともいわれ、植物界最大の科であるラン科。生態が特殊なこともあり、日本の自生種のうち200種が絶滅の危機にある。筑波実験植物園の園長、岩科司さんはこう語る。「すべてのラン科の植物は、一生のうちで2回、ほかの生物の助けを得なければ子孫を残せません。まずタネの段階では、ランの種ごとに違う特定の共生菌から養分を得ることで発芽。また、花粉を運んでもらう昆虫の種類も特定しているため、ある菌や昆虫が絶滅すれば、それらの生物に依存するランの種も絶滅へと向かいます」絶滅危惧種の一つで日本固有種のラン科であるフガクスズムシソウは、ブナなどの樹上に着生するため、森林伐採によっても行き場を失う。同園ではこうしたランの仲間100種あまりを、無菌状態のフラスコで「器内培養」している。これは温度や光、養分をコントロールし、無菌状態で病原菌から隔離して育てる方法で、この培養により植物を増殖・保存し、必要に応じて植え戻すなどの活動を行っている。筑波実験植物園園長岩科司さん農学博士。植物化学分類学を中心に研究している。(公社)日本植物園協会会長、東京農工大学連合大学院客員教授なども務める。(左)器内培養中のフガクスズムシソウ。フラスコの中には、植物の生育に必要な養分が入った培地が敷かれている。養分の減り具合や植物の成長に合わせて、新しいフラスコに移し替える作業を行う/(右)一般公開されている筑波実験植物園の温室。絶滅危惧種を含む約3,000種のランを育成し、室内には花の甘い香りが漂う筑波実験植物園住所:茨城県つくば市天久保4-1-1TEL : 029-851-5159U R L : http://www.tbg.kahaku.go.jp/index.php12エコジン