ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

エコジン04・05月号

水族館での驚きや感動を身近な自然への興味につなげたい大阪湾スナメリ調査2月最後の日曜日、大阪の水族館「海遊館」では、「シャークワールド徹底解剖!」と題する特別講座が開催されていた。参加者は小学生から60代までの22名。講座は、特別展示「シャークワールド~ハンターたちの捕食に迫る!~」を飼育員の解説で観覧した後、全長約1mのサメの解剖を見学するという内容だ。解剖見学では、各部位の外部形態を観察後、ヒレやエラなどサメ特有の器官を解剖して細かく観ていく……学術的内容にもかかわらず、参加者たちの表情は真剣そのもの。メモや写真をとりながら飼育員の説明に聞き入っていた。農学部の2年生という大学生2人組は、「親子向けの講座と思って参加したのですが、専門的な内容で驚きました」と語る。海遊館では、ほかにもワークショップや調査活動を行っている。そのひとつが大阪湾のスナメリ(小型のクジラ)の調査だ。船上から目視でスナメリの調査を行った後、漁港で底曳(そこびき)網にかかった漁獲物を観察し、漁師や研究者からスナメリにまつわる体験談を聞く。こうした取り組みの意義について、西田清徳館長はこう語る。「大阪の人に“大阪湾って、こんなに豊かな海なんだ”ということを知ってほしいのです。海遊館では2ヵ月に1回、地元の中学生たちを集めて岸壁調査も行っていますが、1回の調査で100種類以上の生き物が観察されています。調査を通じて“自分たちの海は捨てたもんじゃない”と感じてほしい」この日、海遊館では企画展「琵琶湖・淀川・大阪湾~水のつながりと生き物たち~」も開催されていた。日本動物園水族館協会と環境省が締結した「生物多様性保全の推進に関する基本協定書」に基づき、環境省の協力で実施する企画展示だ。「水族館は生物多様性を肌で感じることのできる場。こでの感動をきっかけに野山へ飛び出し、身近な生き物に興味を持ってほしい。私たちは、その入口の役割を果たしたいですね」海遊館大阪湾で息づく生命に出会う海遊館で定期的に開催されている「大阪湾スナメリ調査」では、これまでに延べ400頭近くのスナメリが目視されている。写真右は、目視されたスナメリの親子。住所:大阪市港区海岸通1-1-10電話: 06-6576-5501海遊館館長西田清徳さん大阪市出身。北海道大学大学院水産学研究科博士課程修了。エイ類の系統分類研究では第一人者。URL : http://www.kaiyukan.com/index.htmlいきもの学びねっとhttp://www.jaza.jp/edu/program.html(公社)日本動物園水族館協会HP内にある「いきもの学びねっと」では、全国の動物園・水族館で開催される、生き物や自然環境についての学びのプログラムが検索できます。11