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概要

エコジン02・03月号

LESSON5温暖化問題エキスパートによるSPECIAL授業COP21で合意されたパリ協定にはどのような意味があるのでしょうか。そして、この合意によって、世界の温暖化対策は今後どのように進展するのでしょうか。長年COPで各国の交渉を注視してきた高村ゆかりさんと気候変動リスクの観点から温暖化問題にさまざまな発言を行っている江守正多さんが、COP21の意義と成果について語り合う、「SPECIAL授業」です。対談「COP21が世界の温暖化対策を加速させる」高村ゆかりYUKARI TAKAMURA名古屋大学大学院環境学研究科教授江守正多SEITA EMORI国立環境研究所気候変動リスク評価研究室長江守私は2006年から2009年を「第一次温暖化ブーム」と呼んでいるのですが、その間に起きたリーマンショックによる景気低迷などもあり、それ以降の温暖化の議論は一気に盛り下がってしまった印象があります。今回のパリ協定の合意は、社会が温暖化をもう一度きちんと捉え直すきっかけになるのではないでしょうか。高村京都議定書は大きく低炭素社会の方向に道筋をつけたとは思いますが、一方でアメリカが参加しておらず、新興国の排出量が増えているにも関わらず、それらの国の努力が国際的な約束として位置づけられていないという批判もありました。今回のパリ協定では、すべての国がその削減努力を国際的に約束することに道を開いたという意味でも歴史的な合意といえます。江守「世界の平均気温を2℃未満に抑える」という目標は、科学的知見によるというだけでなく「クライメート・ジャスティス(気候の正義)」の問題が大きいと私は考えます。温暖化で深刻な影響を受けるのは、海面上昇によって消滅してしまう小さな島などに住む、ぜい弱な人々です。「彼らは温暖化の原因を何もつくっていないのに、深刻な15