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概要

エコジン02・03月号

廃棄ミカンを有効活用三重県では平均、年間1万トンの生産量に対して、摘果や傷、腐食などによって、生産量の約3%となる300トンの廃棄ミカンが出ている。これらを“宝の山”に変えるのが技術の狙いだ。分の「リモネン」が、微生物の成長を妨げる懸念があったものの、田丸教授が投入した微生物「クロストリジウム・セルロボランス」はミカンの汁や搾りかすだけでなく、ミカンを丸ごと糖に分解。さらに別の微生物を加えて発酵させることで、バイオ燃料のひとつであるバイオブタノールを作り出した。今のところ300トンの廃棄ミカンから300リットルのバイオブタノールが生産できる。微生物の遺伝子を組み換えるなどすれば、さらに生産量をあ後はここから実用化に向けたさまざまな活動を進めていく。2015年には、大学内でシュレッダーにかけられた紙を原料としたバイオブタノールを使い、乗用車を動かすイベントを行う予定だ。田丸教授は「いつかは鈴鹿サーキットで、このバイオブタノールを燃料にした車を走らせたいですね。日本国内だけでなく、世界にはばたく燃料となることを目指しています」と未来に夢を馳せている。げることも可能だが、田丸教授は、自然のままの微生物を使うことを重要視している。そうすれば微生物に不慣れな人でも、扱いやすいからだ。研究者だけでなく、全国の自治体や生産者など、困っているところに幅広く普及させたいとの思いがある。またこの微生物はセルロース質を効率良く分解するため、ミカン同様にセルロース質を含む紙、稲ワラなども原料とすることが可能だ。現在はベンチャー企業「エコバイオフル」を立ち上げており、今完成したブタノール。ガソリンやエタノールに比べると揮発性が低く、ガソリンのような独特の臭気もない。またガソリンとほぼ同じ発熱量で、既存のガソリンエンジンにガソリンの代替としてそのまま使用できる。優れもののブタノール微生物の力で分解!右の容器にはミカンの皮が沈殿しているが、微生物のクロストリジウム・セルロボランスを投入すると、左の容器のようにミカンの皮が完全に分解された。さらに別の微生物を追加して発酵させるとブタノールができる。文/柳澤美帆29