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概要

エコジン02・03月号

VOLUME . 3February-March 2015ENERGY CONSERVATION温暖化対策のカギは省エネ石炭からの脱却も「中国の気候変動目標の達成において最も重要なのは、省エネです」と語るのは、中国の環境問題を専門とする東京財団研究員の染野憲治さん。「たとえば都市や工場における省エネ技術・設備の導入など、さまざまな取組が考えられています。また、第1次・2次産業から第3次産業へ産業構造の転換を図ろうとしていますが、これは経済政策であると同時に、環境政策でもあります。産業構造を製造や加工の分野からサービス業等へシフトすることで、エネルギー消費量を抑える効果があると考えられるからです」また、一次エネルギーを依然として石炭に頼っていることも問題だと染野さんは指摘する。「一次エネルギーの約70%を石炭が占めており、近年やや下がっているとはいえ、他国に比べると極端にその割合が高く、それがPM2.5などの大気汚染の原因にもなっています。すでに石炭に頼るエネルギー構造は限界にきており、その代替として天然ガスの輸入量の増加や、風力発電などの再生可能エネルギーの導入に力を入れています」中国の一次エネルギー構成比率(2013年)水力・原子力・風力石炭9.8%66.0%天然ガス5.8%石油18.4%37.5万tエネルギー消費総量375,000(万t:標準石炭当量)出典:中国環境統計年鑑EMISSION TRADING排出権取引も試験導入強まる「内圧」に対応悪化について国民の不満が高まっています。中国における気候変動対策は、国外からのもの以上に内圧が強く、環境税や気候変動法などの検討も進めざるを得ない状況です」中国では温室効果ガス削減を達成すべく、パイロット事業として2省5市で排出量取引を実施している。経済の発展を停滞させず、温室効果ガスの削減を進めるために行われている事業で、「今後は2省5市以外にも広げていき、将来的には欧州など世界の排出権取引市場につなげることも中国は視野に入れています」と染野さん。「近年、大気汚染など環境のスモッグで白くかすむ北京の街を、マスクをして歩く人たち写真/Imaginechina/時事通信フォト13