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概要

エコジン02・03月号

VOLUME . 2February-March 2015が図られる。これまでの排出削減実績をみると、2 0 1 3年の段階で19%削減となっており、野心的な削減目標の達成に自信を持っていることもうなずける。19 9 0年から2012年までの間に、GDP当たりの排出原単位はほぼ半減し、経済活動と温室効果ガス排出量のデカップリング(分離)に成功している。また、削減実績の要因分析によれば、経済危機による排出減は2 0 0 8年~2012年の間に観察された排出減の半分にも満たず、エネルギー効率改善や再生可能エネルギー導入の取組が寄与していることが示されている。EU内の実質GDPと温室効果ガス(GHG)排出量の比較(19 9 0年を10 0とした場合)出典:EEA,DG ECFIN(Ameco database),Eurostat16014012010080GDPGHG排出量60GHG排出強度401990199119921993199419951996199719981999200020012002200320042005200620072008200920102 0112012ENERGY再生可能エネルギー・省エネルギーの2030年目標2030年枠組では、再生可能エネルギーについて、2030年の一次エネルギーに占める割合を最低でも27%とする目標(注:2 012で約14%)を、エネルギー効率について、2 0 3 0年のエネルギー効率を、ベースラインと比較して最低でも27%削減とする指標を定めている。また、EU域内エネルギー市場の統合を目指し、例えば、2020年目標で10%の電力越境相互接続目標を2030年に15%とすることに言及している。また、1 1月に就任したユンカー新欧州委員長は、優先政策課題の一つとして、「将来を見通した気候変動政策に合致した強靱なエネルギー連合」を掲げており、再生可能エネルギー世界一やエネルギー効率の大きな改善を目指すとしている。このための施策を盛り込んだエネルギー連合パッケージが2月末にも提案される見込みである。エネルギー政策は加盟国での意思決定によるところが大きかったが、EUレベルでの政策を強化する意向が見られる。FOCUS ON COP21世界のリード役を自認する「欧州」パリで開催されるCOP21の成功に向けて、あらゆるレベルで気候変動政策を進めるべく、準備が進められている。気候変動政策は、外交においても内政においても最も成功したEUレベルの政策の一つと考えられている。近年の米国の積極的な気候変動外交への転換を受けて、域内にはEUがリード役を果たしているのか疑問視する声さえあり、また、加盟国によってはEUの存在意義が政治的争点となる中、COP21の成功には「欧州」の威信がかかっているとも言え、引き続き積極的な気候変動政策の展開が予想される。11