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概要

エコジン10・11月号

成形合板の技術か鍵!丸太から木材のブロックを切り出し、さらに3~ 5 m mの厚さに木材をスライス。その後、大小2つのローラーを使って圧密加工を施す。できた単板を重ねて接着し成形合板を作る。向かず、これまで家具メーカーからは見向きもされずにきた。その概念を覆し、針葉樹の新たな活用法を生み出したのが、山形に本社を置く天童木工だ。開発を手がけた、西塚直臣製造本部長は言う。「国産の木が余っているのに、我々は関税を払って木材を購入している。このいびつな構造を少しでも解消したいと思いました。柔らかい針葉樹を使うために、木材をどう加工するか。圧縮すれ「高いデザイン性を実現できるだけではありません。しっかりとした強度試験を行い、長期にわたって耐えうる製品を作っています」と西塚氏は話す。「杉は学名で『クリプトメリア・ジャポニカ』と言います。訳すと『隠された日本の財産』という意味です。杉の木目はほかの材木にはない美しさがあります。これを生かし、再び針葉樹が日本の宝となる日が来るのではないかと思っています」ば木材の強度が上がることはわかっていましたが、いくら圧縮しても、針葉樹は時間が経つと膨らんでしまう。そこをどう克服するか、またプレスする際に熱で表面が焼けてしまうことも課題でした」理想のプレス機械を求めて、製造メーカーをま地域の文化施設に、既に納入!わり機械をフルオーダー。あとは同社が得意としてきた薄い板を重ねて接着し強度のある板を作る成形合板の技術で、曲線を用いる家具への利用が可能となった。PHOTO:KAI NAKAMURA PHOTOGRAPHY美しい断面!薄い単板を何重にも重ねて作った成形合板の断面は、杉の木目にも似た美しい柄を描き出している。現在の製品は、これまで同社で作ってきた家具のデザインを転用しているが、今後はオリジナルのデザインも考えている。国産の杉を成形合板に活用した先駆けとなった納入先は、隈研吾建築都市設計事務所が手がけた、九州新幹線筑後船小屋駅前にある「九州芸文館」の机や椅子。木材の地産地消を促進するためさまざまなエリアの木材を受け入れ加工を行っている。文/柳澤美帆写真/坂本政十賜29