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概要

エコジン12・01月号

3,000万種ともいわれる生き物が暮らしている地球。すべての生命は一つひとつに個性があり、直接または間接的につながり、支えあって生きています。生物多様性とは、このような生き物たちの豊かな個性とつながりのこと。生物多様性条約では、「生態系」「種」「遺伝子」という3つのレベルの多様性があるとしています。「生態系の多様性」とは、森林や里地里山、河川、湿原などさまざまなタイプの自然があること。「種の多様性」とは、動植物から微生物まで豊富な種類の生き物が存在すること。「遺伝子の多様性」とは、同じ種でも異なる遺伝子をもつために、多様な個性があることです。私たちは自然から多くの恵みを受けています。たとえば田んぼは米を生産するだけではなく、洪水を防ぐ水がめとしての役割、水の蒸発により気温を調整する機能、多くの生き物に生息の場を提供する役目などを果たしています。このような自然の恵みを「生態系サービス」と呼びます。しかし現在、生物多様性の損失などにより、地球規模で生態系サービスは低下しています。そこで注目されているのが、「生態系サービスへの支払い(PES : Payment for Ecosystem Services)」という仕組みです。たとえばコスタリカでは土地所有者が持続可能な森林管理を行うことで、その対価が政府機関から支払われる仕組みを導入。日本でも地方自治体により、森林環境税など類似の制度が導入されています。地球上の種の絶滅スピードは、人間活動による影響が主な原因で、いまや自然状態の約100~1,000倍にも達しています。なかでも日本の生物多様性は、4つの危機にさらされています。第1の危機は、開発や乱獲による種の減少と生息地の減少。第2の危機は、里地里山などの手入れ不足による自然環境の変化。第3の危機は、外来種の持ち込みや化学物質など人間が持ち込んだものによる生態系のかく乱。第4の危機は、地球温暖化をはじめとする地球環境の変化です。平均気温が1.5~2.5℃上がると、海水温度の上昇などにより、動植物の20~30%は絶滅のリスクが高まるといわれています。08