ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

エコジン12・01月号

多様性に触れたいと思うのは、脳の本能的な働き。小さい頃から蝶が大好きだったという茂木さん。なんと小学生ながらに学会に所属し、5年生のときには発表までしていたというから、驚きだ。「幼稚園のとき近所に、大学で昆虫学をやっている、伊藤さんという方がいまして、そこに弟子入りして、蝶のことをいろいろ教えてもらっていたんです。当時僕が住んでいた春日部には、5 2、3種類の蝶がいまして。それを捕まえては、観察をしていました。ちなみに日本には250種類くらいの蝶がいて・・・って、こんなオタクな話はいらないですよね(笑)」今でも蝶好きは変わらずで、毎日ランニングをしながら、飛んでいる蝶のチェックに余念がない。「走っていても、蝶がいると足を止めちゃう(笑)。最近、アカボシゴマダラ蝶っていうのをよく見かけるんですが、これは以前は、日本だったら奄美大島にしかいない蝶だったんです。それが今や完全に関東に定着している。生き物に目を向けると、環境の変化にも気がつきやすいんですよ」近所の森で、蝶を追いかけた幼少時代。その経験から、生物多様性を知識としてではなく、肌で感じて理解できるようになった、と茂木さんは話す。「脳科学をやるようになってから気がついたんですが、多様性に触れるっていうことは、脳の発達に欠かせないことなんですよね。人間の脳は、多様な刺激を受けた方が発達しやすい。新しい刺激を受けた方が、神経細胞が大きくなるということは、さまざまな実験で実証されていますし。子どもたちが、新しい生き物を見たときに、目を輝かせて大喜びするのは、脳の本能なんです。ところが都会に住んでいると、目に入る自然も画一化されてきて、脳が欲している“多様性”という栄養が得られなくなってきているんですよね。図鑑や本で知識は得られますが、多様性は、感覚で知るということが大事なんじゃないか、と思うんです」さらに、もともと日本の自然は多様性に富んでいる、と感じているそうだ。「僕はイギリスに留学していたんですが、向こうの自然と言えば、一般的には芝生があって、木が生えていて・・・と、きれいなんですけど複雑さがない。それに比べると日04