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概要

エコジン12・01月号

まず危機感として持つ必要があります。ブラウン・エコノミーからグリーン・エコノミーへしかし、世界各地で多様な問題が起きているように見えて、深層を辿れば実は根っこは同じ一つの問題に過ぎず、地表に現れた時に異なった問題として表出していると考えることもできます。その一つの問題とは、経済の成長の仕方を誤ったということです。これまでの社会は、経済の規模が大きくなることが絶対的な目標であり、その陰では何が起きても構わないという考え方にのっとっていました。こうした社会や経済のあり方を経済用語でブラウン・エコノミーと言いますが、ブラウン・エコノミーが引き起こした問題を解決するためには、現在の経済システム自体を別のシステムに転換するしかありません。今、世界各地で現在のブラウン・エコノミーから、新しい持続可能な経済=グリーン・エコノミーへ転換する動きが起こっています。ビジネスの手法も見直しを迫られています。売り上げを伸ばすにしても、より環境を破壊しない方法で行う。あるいは、今までなかった物を新たに生み出すことによって環境問題を解決する。たとえばこれは風力発電や太陽光発電のような自然エネルギーに代表されるものですが、そうした新しい産業を興すことが経済の大きな転換を促すと考えます。事業の「最後の一押し」を促すて生まれた新しい経済の仕組みと言えます。グリーンファンドでは、CO 2削減とともに地域経済を元気づける事業について出資することを政策目標に掲げています。たとえ小規模でも、地域のコミュニティが主導となるプロジェクトを積極的に支援していきます。できるだけ多様性に富んだ案件を支援することで、新たなビジネスモデルを広め、「こういうやり方もあるのか」という気づきを全国の事業者に与えることができればと考えています。グリーンファンドは、事業のスタート時の最もリスクの高い部分に出資することでプロジェクトの立ち上げをバックアップしていく仕組みが斬新と言えます。民間資金の呼び水となるとともに、事業をスタートさせる「最後の一押し」の役割を担うのです。また補助金などと違い、出資という形をとるため、リターンのある事業であるか各案件ごとにしっかりとした審査を行うことも特徴です。きちんと資金を回収することによって、グリーンファンドの支援を必要とする別の新規案件へも、継続して出資していくことができる仕組みです。10年後には、47都道府県すべてで我々が支援したプロジェクトが各々の独自性を保ちながら起ち上がっている。そんな姿を期待したいと思います。事業スタート時の最も高リスクな部分に出資することで多様な事業をバックアップします。ブラウン・エコノミーからグリーン・エコノミーへ、あるいは高炭素社会から低炭素社会へ。そこに金融が介在することで、この変化を促進していこうというのがグリーンファンドのねらいです。去年の10月に施行された地球温暖化対策税の使い道は、当然CO 2削減に使うことが前提となります。この税収を活用したファンドと事業者からの出資、民間金融機関の融資などによって構成されるファイナンスは、時代の要請によっ教えてくれた人:末吉竹二郎(すえよし・たけじろう)東京大学経済学部卒業後、三菱銀行入行。三菱銀行ニューヨーク支店長、同行取締役、日興アセットマネジメント副社長を経て、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)特別顧問(現職)。2013年5月より一般社団法人グリーンファイナンス推進機構設立にあたり、代表理事に就任。23