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概要

エコジン10・11月号

これを手作業によってさらに19品目にまで細かく分別。その結果、97%のリサイクル率を実現している。「津波に押し流された初期の混合がれきは、手作業による分別が必要になります。東松島市は、元々、農業や漁業の第一次産業が基幹産業でしたが、その大半が東日本大震災により大きな被害を受けました。災害廃棄物処理事業は、生業を失った方々の雇用支援の側面もあります。そのため、作業する方々の能力や分別されたがれき。上は木材、下はアルミ。アルミなどの金属類は売却し、木材は破砕処理を施し木質チップにした後、土木資材として使用されるほか、バイオマス燃料や可燃ごみ焼却施設の燃料としても利用される。修練度等に違いがあっても、対応できるよう、ベルトコンベアのような流れ作業は採用しませんでした。結果的に、その事が分別の制度を上げ、リサイクルの向上に繋がりました」と東松島市市民生活部環境課廃棄物対策班の担当者は語る。この手作業による分別には、約900人の地元の被災者が携わっている。その一人である大友昭子さんは、「働けることの喜びを日々実感しています。私たちにとってこれはがれきではなくて、みんなが生活してきた証。そう思って作業をしています」と語る。自身も仮設住宅に暮らす被災者だが、「いつまでも悲しんでばかりはいられません」と笑顔を見せた。そのままの状態では震災がれきの山でも、手作業で細かく分類することで有効な資源となる。分別した鉄やアルミは入札で売却。これまでの売却額は約3億6000万円に上り、これを復興財源に充てることができた。当初3年間で想定された震災がれき処理のコストよりも約2 0 8億円の縮減が可能になったのも、きめ細かいリサイクルを実現している結果と言えるだろう。木材やコンクリートなどは破砕され、復興資材などに活用される。震災がれきを可能な限り市内で処理し、再利用できる自己完結型のリサイクルシステムが構築されているのだ。「東松島方式」は、今後他の地域でも応用されそうだ。震災がれきの手選別作業に携わる大友さん。「私たちの手が復興の一端を担っているんだという誇りをもって作業をしています」と胸を張る。Click!!宮城県東松島市http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp19品目に細かく分別する作業を手選別で行う。09