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概要

エコジン10・11月号

「世界中を旅してみて、ダンスのない国も民族もないことを知りました。そして、言葉が通じなくても、ダンスを使って、人と人とが理解しあえることを実感したんです」──ダンス&ボーカルユニットEXILEのメンバーであるUS Aさんは、そう「D ANCE E AR TH」について話す。DANCE EARTHとは、2006年から彼がライフワークとして活動を続けているプロジェクト。「世界中のビートを乗りこなしたい!」という思いを胸に、EXILEの活動の傍ら、時間を見つけては、世界中のダンスを求めて旅し、書籍やDVD、絵本などをリリースしてきた。キューバ、アメリカ、セネガル、フランス、ケニア、ジャマイカ、インドなど、彼がステップを踏んだ地は、数え切れないほど。そして、さまざまな国の人々と共に、大地を踏みしめて踊るうち、「地球そのものがダンスフロアなんだ」と痛感するようになったという。「それで日本でも、思い切り屋外で踊れるダンスフロアが欲しいと思って、いっそ自分で作ってしまおうと立ち上げたのが、『DANCE EARTH VILLAGE』なんです」。ビレッジの構想は、今ではさらに発展し、五感を鍛える“究極のエコビレッジ”を目指し、なんと農場まで作ってしまった。しかも、育てる野菜はすべて無農薬・無肥料・在来種(その土地に生き続けてきた伝承の種子)というこだわりよう。ダンスと農業、一見不思議な取り合わせが実現した理由とは…?「昔、オーガニック野菜を使ったイタリアンレストランでバイトをしていたことがあるんです。店には、『健康な人は薬が必要ありません。健康な野菜も薬が必要ありません』という張り紙がしてあって、当時の自分にはあまりピンとこなかった。でも、EXILEの活動の中で食の大切さに気付き出したんです。ダンスで最高のパフォーマンスを実現するには、食べ物はとても重要だって。それに世界を旅している中で、自然の力ってすごいなって実感する機会も多くて、じゃあ、実際に自分たちの食べる野菜を育ててみよう!って思ったんです」そこでU S Aさんが思いついたのが、「踊る野菜」という意表をつくコンセプトだった。「自分が好きなダンスミュージックを聞かせてあげたりすると、面白いカタチの野菜が出来上がることもあるんですよ(笑)。今度、農場に定点カメラを設置してみようと思っているんです。成長していく過程を早送りしてみると、きっと野菜たちも踊っている姿が見られるんじゃないかな」このビレッジでは子どもたちの農業体験も行っている。USAさんはその“体験”にもちょっとした仕掛けを用意している。「子どもたちと一緒に、EXILEの代表曲でもある『Choo Choo TRAIN』のダンスに合せて種を蒔く“種まきダンス”をすることもあります(笑)。一見ふざけているようにも見えるかもしれないけど、どうやって野菜ができているか知らないような子どもたちに、少しでも関心をもってもらえるきっかけになれば良いなと思っています。体を動かしながら自然を感じ、その美しさや楽しさを知ることは、子どもたちにとっても自然を守る心につながっていくんじゃないかな」ダンスを通じたU S Aさんの“冒険”、次はどんなことを考えているんだろう。「振動で発電する『発電床』という技術を使って、“踊る発電”を始めてみようと思ってます。発電量は少ないけど、夜、踊る時の電気くらいは自分たちで発電できるかもしれない」。国を越えて世界の人たちとコミュニケートするためのダンスが、いまやジャンルを越境して、野菜やエネルギーを、踊らせようとしている。「DANCEでEARTHを良くしたい。この活動を世界に広げていきたいですね」。USA(宇佐美吉啓) 1977年神奈川県生まれ。J SoulBrothersに加入後、2001年にEXILEへとグループ名をあらためてヒットを連発、日本屈指のアーティストに。ダンスのテクニックはグループの中でも随一と評判。現在は役者としても活動の幅を広げ、舞台や映画にて活躍中。http://www.dance-earth.com05