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概要

エコジン10・11月号

水俣条約の意義とは?2010年、国連環境計画(UNEP)理事会において、国際的な水銀規制に関する条約制定のための政府間交渉委員会(INC)の設置が決定されました。日本政府は、水俣病の経験を踏まえ、この条約制定に積極的に貢献するともに、条約の採択・署名のための外交会議を日本に招致し、「水俣条約」と名付けたい旨を表明。今年1月に開催されたINCの会合において条文案が合意され、条約名が「水銀に関する水俣条約」に決定。外交会議を熊本市と水俣市で開催することが発表されました。水俣病のような悲惨な公害を繰り返してはならないという決意をこめて、国際的な水銀規制の条約に水俣の名が冠せられたことの意義は大きいといえます。条約名が「水銀に関する水俣条約」に決まり、拍手を贈る日本政府代表団。トン2.500国内における水銀の利用状況(推移)出典:資源統計年報水俣条約で何が変わるの?2.0001.5001.0005000S31S33S35S37S39A41S43S45S47S49S51S53S55S57S59S61S63H2H4H6H8H10H12H14H16H18国内における水銀の消費量は、1964年には年間約2,500トンにものぼりましたが、その後の削減努力によって近年は10トン程度にまで減少。一方、アジアなど新興国からの排出量は全世界の約半分を占めており、中でも最大の排出国が中国(年間825トン、2005年)です。水俣条約では、水銀および水銀化合物による人為的な排出から人の健康と環境を保護することを目的に、鉱山開発の禁止、貿易の制限、一定量以上の水銀を含む電池や照明器具など製品の製造・輸出入の原則禁止、製造プロセスへの水銀の使用の禁止・削減、環境中への排出の削減、環境上適正な保管や廃棄などの内容が盛り込まれています。日本の国際貢献とは?世界における水銀の排出状況出典:UNEP Global Mercury Assessment 2013(2013)地域ごとの大気排出量(2010年)排出源ごとの大気排出量(2010年)日本では、戦後の重化学工業の発展が高度経済成長を支えましたが、その負の遺産としてさまざまな環境汚染や公害問題を引き起こした苦い経験があります。現在、あるいは今後、新興国が直面するであろう同様の事態について、これまで日本が水銀によるリスク削減のためにどうのような対策や取り組みを行ってきたのか、その経験と教訓を世界の国々に発信していく必要があります。環境省も、水銀による国際的なリスクの削減に貢献し、有害物質による健康被害や環境汚染が起こらない社会の構築を目指していく考えです。オセアニア1%北米3%不明※2 4%EU 5%CIS※1+EU以外ヨーロッパ6%中南米15%合計1,960トン(2010)アフリカ17%アジア49%汚染地4%大規模金採掘5%廃棄物5%セメント精製9%非鉄金属生産37%製鉄4%その他※3 3%合計1,960トン(2010)化石燃料燃焼25%小規模金採掘37%※1 the Commonwealth of Independent States(独立国家共同体)※2汚染地からの排出量の総計※3塩素アルカリ工業(1%)水銀鉱山(1%)石油精製(1%)歯科用アマルガム(1%)21