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概要

エコジン8・9月号

左:おくもと・ひできNPO法人オンザロード理事。福島大学経済経営学類教授。2012年12月、オンザロード主催のボランティア除染イベント「福島★元気祭」の企画・運営に携わり、10日間で延べ800名の参加者を動員。その後も「福島の真の再生」に向けて活動する。中左:さとう・としみち成願寺住職。大波地区自治振興協議会長。除染の際には、住民や行政との間でさまざまな交渉を担った。して行っている「グリーンカーテンプロジェクト」でアドバイザーをしています。大波地区でニガウリの栽培が盛んだと聞いて、「ぜひ、福島で作ったニガウリの苗を東京での活動につなげたい」と思い、紺頼さんにご協力をお願いしています。原発事故の影響によって失われたもの佐藤この土地には、譲り合い、支え合い、分かち合うことで地域の和を大切にする文化がありました。ところが事故後、除染などを巡って人々が自分の意見をぶつけ合うようになり、地域の和が崩れつつあります。失われた絆を取り戻すためには、長い時間がかかるでしょうね。紺頼そうですね。地域内だけでなく、家庭内でも断絶が起こり始めています。同じ食卓で、親世代は地元で採れたものを食べ、子ども夫婦や孫たちは、地元のものでも放射線の検査が行われたスーパーなどで買ってきたものを食べているんです。自分たちが作った作物を、家族で分け合って食べられるような状態に、1日も早く戻ってほしいと思います。池田それは悲しい話ですね。奥本福島の環境が完全に元の状態に戻るには、長い時間がかかるかもしれない。でも、その間に僕たちは、福島のコミュニティや文化を守らなければなりません。そのためには、行政と住民が一体となって取り組むことが不可欠だと思います。その意味で、この座談会のように、福島の人たちの生の声、福島の人たちが望むゴールを皆さんに知ってもらう機会は貴重ですね。これからの福島について佐藤今後は、山林や農地などの除染が必要になってきますが、広大な面積ですから人海戦術で進める以外に方法はありません。やはり大勢のボランティアの方々の助けがなくては不可能です。紺頼私も、ボランティアの人たちと交流する中で、大1 21 :昨年1 2月に行われた「福島★元気祭」での水田を除染する作業の模様。風評被害に立ち向かい、次年度の作付けに向けた決意の表れ。2 :大波地区における神社の除染作業。大波では住民が集まる神社に対する除染の要望が強く、地区内4カ所の神社の除染が行われた。08