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概要

エコジン8・9月号

地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議今年6月29~30日、「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議」(主催:環境省、沖縄県)が沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催された。会議には、石原環境大臣のほか、モルディブ環境エネルギー大臣、パラオ財務大臣、パチャウリI P C C議長、島しょ国における地球温暖化対策やサンゴ礁保全等の幅広い専門家など、合わせて14の国と地域から政府関係者および専門家らが参加して、知見の共有や意見交換を行った。2日間で、本会議のほか4つの分科会とサイドイベントが開かれた。会議冒頭、石原環境大臣から、島国まるごと支援が表明されたほか、エコツーリズムや温暖化の影響への適応策などについても幅広く話し合われ、今後も、沖縄を拠点として、日本と島しょ国とが協力しながら議論を続けていくことが確認された。島国「まるごと」支援…島国日本の知恵を活かした島国「まるごと」支援島国まるごと支援とは?①島の環境対策【気候変動・自然環境・廃棄物】を「まるごと」支援②技術も人材・ノウハウも「まるごと」支援離島を多く抱える島国・日本のこれまでの経験と技術を生かし、島しょ国での気候変動への適応と対策、廃棄物や水といった環境対策等の課題に対して、包括的に支援を行うもの。具体的には、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入や、沖縄での経験を生かしたサンゴ礁の保全などによって、自然と共生した低炭素で循環型の社会を実現していく。温暖化への適応温暖化対策(緩和)環境(廃棄物・水)気候変動への適応と緩和の同時実現(節水、太陽光を利用した浄水)適応計画策定支援サンゴ礁保全事業自立分散型発電整備(太陽光、風力、海洋エネルギー)省エネ緩和と廃棄物対策の同時実現リサイクル制度構築支援浄水/浄化槽/汚水処理施設整備自然共生社会+低炭素社会+循環型社会会議で話し合われた4つのテーマと今後の方針1サンゴ礁保全2沖縄・島しょ国における温暖化対策サンゴ礁生態系は、観光や漁業を通じて島しょ経済に貢献し、気候変動による高潮の増加等に対する防災上の観点からも、その存在意義は大きい。しかし現在、サンゴ礁は地球規模で衰退し、保全の必要性に迫られている。衰退の要因は場所によって異なるため、各地でサンゴ礁のストレス原因を調べ、対策を検討し取組を行わなくてはならない。今後のサンゴ礁保全の経験の共有と、世界に向けた発信の必要性が確認された。ほかの地域と同様に、島しょ地域においても温暖化対策を進めていく必要がある。島しょ地域では、高価な輸入化石燃料への依存度が高いため、再生可能エネルギーを活用した自立・分散型エネルギーシステムの活用などが今後期待されている。だが再生可能エネルギーは導入コストや、系統安定化対策といったさまざまな課題があるため、これらの解決に向けては国際的な協力が欠かせず、日本の技術支援にも大きな期待が寄せられた。3島しょ国のエコツーリズムの現状と展望4温暖化の影響への適応島しょ国にとって、観光は経済を支える大事な産業。そのためサンゴ礁をはじめとする豊かな自然を、今後も大切に守っていかなければならない。エコツーリズムの推進は、環境をベースとした利益をもたらすだけでなく、地域住民と旅行者が自然・歴史・文化の価値を再認識するための重要なアプローチにもなる。環境を利用し、守るというバランス維持のため、地域と行政等をつなぐコーディネーターが重要であることが確認された。島しょ国において、気候変動の影響はすでにさまざまに現れており、将来的には海面上昇や海洋酸性化などが進み深刻な事態となることが予測される。これは島しょ国の経済発展や社会の安全に対する大きな脅威であり、早急に適応策をたてなければならない。サンゴ礁やマングローブなどの生態系を活用した防災・減災も有効だと考えられるが、さらには人材育成、国際的に協力する体制も整えていく必要があることが確認された。