エコジン4・5月号

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エコジン4・5月号

広大な芝生が広がる種差海岸。夏になると、多くの市民が涼を求めてここを訪れる。ウミネコの繁殖地として知られる市内の蕪嶋神社にて。地元では「かぶしまさん」と呼ばれ信仰を集める。「新しい国立公園について説明しているとき、地元の人たちから『頑張ってね!期待しているよ!』と声をかけられることがあります。よしっ、もっと頑張ろう!という励みになります」と声を弾ませるのは、2012年4月に新設された八戸自然保護官事務所のレンジャー、高橋瑛子さん。復興への足がかりとして5月24日に新しく指定予定の「三陸復興国立公園」の創設に向け、種差海岸階上岳地域の担当として奮闘中だ。青森県八戸市蕪島から宮城県牡鹿半島まで、陸中海岸国立公園ほかさまざまな国定公園、県立自然公園を合体させた一大国立公園になる。また、環境省が進めるグリーン復興プロジェクトのひとつしおかぜである「みちのく潮風トレイル」は、東北地方太平洋沿岸に沿ってトレッキングルートを設定し、多くの人に東北の自然や人との出会いを楽しんでもらいながら、地域の振興にも役立てようというもの。「地域の方たちがすごく熱心で、みちのく潮風トレイルの勉強会を開催したときは60人ほども来てくださり、地域の魅力や課題について話し合いました。その際『自分たちでも実際に歩いてみよう』とおっしゃってくださったのがうれしくてとても印象に残っています」種差海岸は岩場や砂浜、松林、芝生地など変化に富み、天候や気温によっても表情が大きく変わる。あたかも「全国の景勝地を凝縮したよう」だという。ことに広大な芝生地は、古くから馬の放牧が行われてきたことで形成されたもの。自然とともに、地域の人々が営々と築いてきた歴史や文化も、地域の大きな魅力だ。「漁師さん、民宿のおかみさん、青年会議所のみなさんなど、『自分たちで何かできないか』と相談に来てくださいます。地元の方々が主体となった取り組みでなければ、継続的で中身の濃いものはできません。みなさんの活動を全力でお手伝いしたい」復興とは「元に戻す」だけではない。自然を守りつつ地域の振興を目指すのが、レンジャーとしての役目だ。重責だが新設の事務所で、スタッフは自分ひとり。説明会、調整、現地調査と席を温めている時間もない。だが、「ひとりだからこそ、新しい意見も出しやすい。毎日が楽しみです」と、高橋さんは前向きだ。私の仕事道具防風、防水のジャケット。八戸市内は晴天でも、車で2 0分ほどの海岸部は風が強いことが多く、霧の場合もあるので必須。主に父からの誕生日プレゼントであるピンクのレインジャケットと水色の冬用ジャケットの2色を使っている。実は高橋さんは学生時代、テコンドーの全日本選手権で優勝。小柄だが「体力と根性には自信がある」と、精力的に現地に出かけている。17