エコジン4・5月号

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概要:
エコジン4・5月号

プロジェクトとして動き出した『二国間オフセット・クレジット制度』「二国間オフセット・クレジット制度」の仕組みや現状、今後について、実現可能性調査の事務局となっている公益財団法人地球環境センターの加藤真氏に話を聞いた。「二国間オフセット・クレジット制度は、基本的にはCDMと同じ考え方です。ただCDMは、細かなルールまですべて国連で決められていて、それ以外のやり方が認められていないため、国の実情に合わない途上国が“CDMは無理”と投げ出すことが多かった。またC D Mは実施まで時間がかかる点も問題でした。そこで日二国間オフセット・クレジット制度初の署名式2013年1月8日、日本とモンゴル政府との間で、二国間オフセット・クレジット制度の署名式が行われた。これを受け、モンゴルの温室効果ガス削減に向けた実現可能な対策の調査、検討が行われている。首都ウランバートルにおいて最大の発電設備容量を誇る中核発電所の第4火力発電所では、中央電力系統が供給する電力の70%を発電しているが、多くの大気汚染物質とCO2を排出してしまっているのが現状だ。本政府が考え出したのが『二国間オフセット・クレジット制度』です。例えばモンゴルは、冬になるとマイナス4 0度になる寒い国です。石炭を焚いて地域暖房を行っていますが、どれくらい石炭を使用しているかのデータがない場合があります。それではCDMを活用できない。しかしモンゴル政府は温暖化や大気汚染対策をしたいと本気で考えている。そこで日本とモンゴルとで二国間オフセット・クレジット制度を開始するための第一号文書に署名しました。今後合同委員会を設置して、C O 2排出量削減のカウントの仕方など、環境十全性(気候変動対策としての効果)を保ちながらも、モンゴルの実情にあったルールやガイドラインを策定し、プロジェクトに実効性があるかを第三者機関が検証します」いまは日本と途上国との二国間で始まったばかりの制度だが、これがうまく進めば、世界的な取組に広がる可能性もある。未来の低炭素社会の実現に大きく寄与する、日本発信の制度に、世界が注目している。加藤真(かとう・まこと)一般社団法人海外環境協力センター次長/主席研究員国連アジア太平洋経済社会委員会を経て、現職。気候変動分野の途上国支援に携わる。2013年3月現在、25件の実現可能性調査が採択されており、今後プロジェクトが進行する予定です13