エコジン12・1月号

エコジン12・1月号 page 20/36

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横山彰先生に聞きました中央大学総合政策学部教授経済学博士環境省・税制全体のグリーン化推進検討会委員税の導入で何が変わるのか、もっとくわしく教えてください環境税については、日本では20年以上前から議論が始....

横山彰先生に聞きました中央大学総合政策学部教授経済学博士環境省・税制全体のグリーン化推進検討会委員税の導入で何が変わるのか、もっとくわしく教えてください環境税については、日本では20年以上前から議論が始まっています。私も長く環境税にかかわってきた者として、今回、地球温暖化対策税が導入されたことには感慨深いものがあります。この税が国会で承認されたということは、「環境税」を環境保全のための重要な政策のひとつとして政治が認めたことの証です。また、CO?の排出量に応じて広く公平に課税する純粋な形での環境税を導入している国は世界でも多くないため、国際社会に向けて日本の姿勢をアピールする上でも意義は大きいと思います。この税制は、消費者サイドよりも、どちらかといえば生産者サイドに環境負荷に応じた負担を求めるものとしての意味合いが強い。これをきっかけに、産業界全体で環境への負荷を軽減する仕組み作りが進むの負荷を軽減するコンパクトシティなど、まちづくりの問題とも関連します。環境税の導入から税制全体のグリーン化への流れは、実はこれからの日本の国のかたちをどのようにつくるのかという議論にまで発展するのです。ここまでグローバル化が進展すると法人税のウエートを下げざるを得ませんが、それに替わるものとして消費税だけに期待するのも難しい。とすれば、環境税を上げていくことも必要になるわけですが、この場合、国民が納得して税を払うことがなにより重要です。見えない形でいつの間にか税を払わされているのではなく、納得した上で環境負荷の軽減のために税を払う。新しい国づくりの理念を国と国民がどこまで共有できるのか。今回の地球温暖化対策税は、そのための一歩と言えるでしょう。ことを期待しています。今回の税の導入は、たとえて言えば、風邪をひいた時に即効性のある薬を飲むのではなく、漢方薬のように長く続けることで体質改善を図るような手法と理解していただけば良いのではないでしょうか。3年半かけて段階的に税率を上げてい地球温暖化対策税をきっかけに、新しい国のかたちを見据えましょう。くという仕組みですが、税を導入したことの成果について政策当局が国民に対してきちんと説明責任を果たすことも、もちろん重要です。推進検討会では、今回の地球温暖化対策税にとどまらず、「税制全体のグリーン化」という観点で捉えています。税制全体のグリーン化から、次は財政全体のグリーン化になり、ひいては産業全体、経済全体、社会全体のグリーン化へとつながる。これは、環境へ教えてくれた人:横山彰(よこやま・あきら)1949年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程満期退学。米ヴァージニア州立ジョージ・メイソン大学公共選択研究センター客員研究員、城西大学経済学部教授などを経て現職。研究テーマは、財政および経済政策に関する公共選択。20