エコジン12・1月号

エコジン12・1月号 page 17/36

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やんばるの自然の魅力を普及啓発するのも大切な仕事。写真は、地元の幼稚園児にヤンバルクイナの巣を見せながら、子育ての様子を解説しているところ。やんばるに生息する、「日本で最も美しいカエル」ともいわれる、....

やんばるの自然の魅力を普及啓発するのも大切な仕事。写真は、地元の幼稚園児にヤンバルクイナの巣を見せながら、子育ての様子を解説しているところ。やんばるに生息する、「日本で最も美しいカエル」ともいわれる、イシカワガエル。絶滅危惧種に指定されている。このような希少な生物がやんばるには数多く生息している。亜熱帯の照葉樹林として国内最大級の広さを誇る沖縄本島北部、やんばる地域。この地の人々は古くから豊かな生態系の恵みを享受し、共存してきた。現在、国立公園と世界自然遺産の候補地となっているこの地域を担当しているレンジャーが滝澤玲子さんである。やんばる地域の特徴と魅力を、滝澤さんはこう話す。「ここには多種多様な生き物がいます。1981年に新種として発見されたヤンバルクイナは日本で唯一の飛べない鳥。ケナガネズミは尻尾までいれると60センチもある日本最大のネズミです。一生のほとんどを幼虫として過ごすヤンバルテナガコガネは日本最大の甲虫。また、日本のカエル類の4分の1がこの地域にいます。くだけた言い方をすると『珍しくて不思議で不器用な生き物がうじゃうじゃいるところ』です」豊かな森林、里、河川、浜辺、干潟、珊瑚礁などが密接につながり合った生態系があり、人間はその自然環境を生かして、林業、漁業、農業という形で関わりながら暮らしてきた。祭祀や芸能とも深くつながっている。「地域のみなさんと協力しながら、職員一丸となって貴重な生き物と自然を守る取り組みを進めています。具体的には、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの調査・保全、外来種対策、普及啓発などです。世界自然遺産の登録は、その価値を証明することとともに、将来にわたって保護する仕組みと体制が求められます。国立公園の指定もその一環です。魅力的な地域づくりのため、どう国立公園を生かしてもらうか、地域の人と一緒に考えていくことが大切です」外来生物のマングースやノネコ対策、ヤンバルクイナなどの交通事故や、ヤンバルテナガコガネの密猟やランなどの盗掘といった課題もある。「交通事故の対策を行っていますが、ヤンバルクイナが道路によく出没する場所を地元の方が教えてくれます。密猟や盗掘防止のための森林パトロールは、どんな方法が効果的か地元の方とお互いにアイディアを出し合いながら力を合わせて行うなど、直接行動できて効果や反応が直に感じられる……現場だから体験できる仕事の醍醐味です」私の仕事道具長靴と懐中電灯。「猛毒の蛇、ハブがいるので森に行くときは必ず長靴を履きます。また夜行性の生き物が多いやんばるでは、懐中電灯が夜の必須アイテムです。密猟や盗掘防止に、地元の人と森林パトロールに出かけるときに欠かせません」(滝澤さん)。17