エコジン12・1月号

エコジン12・1月号 page 11/36

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ウォームシェアが、新しいコミュニケーションをつくるインタビュー構成/さくらい伸多摩美術大学デザイン学科のゼミで、昨年の東日本大震災直後に「今デザイナーに何ができるのか」という問いかけをしたところ、「家....

ウォームシェアが、新しいコミュニケーションをつくるインタビュー構成/さくらい伸多摩美術大学デザイン学科のゼミで、昨年の東日本大震災直後に「今デザイナーに何ができるのか」という問いかけをしたところ、「家の冷房を消して涼しい場所に集まることで省エネにつなげよう」というクールシェアのアイデアが出ました。省エネというと、新しい省エネ機器に買い替えましょうという話になりがちですが、誰にでもすぐに始められて、さらに昨今希薄になっている人と人とのつながりを深める上でも、一つの場所に多くの人が集まるという発想は理にかなっています。今年の冬からスタートしたウォームシェアは、その冬バージョンですが、一つの空間に多くの人が集まれば、それだけでも十分に暖かいという意味では、クールシェアよりもメリットは大きいと言えます。ウォームシェアでは、真っ先に銭湯の存在に着目しました。日本は、給湯によるエネルギー消費が他国に比べて多く、特に単身世帯の消費が際だっている。たとえば、単身者が自宅で自分一人のためだけに暖房を使い、お風呂を沸かす代わりに、会社帰りに銭湯へ立ち寄れば、それだけでも省エネになります。こうした考えを広げていくと、図書館や公民館などの公共施設を活用したり、百貨店や飲食店などの商業施設で過ごすことによって、自宅で使うエネルギーを削減することができます。このプロジェクトでは、自宅や職場の近くで気軽に集まって暖まることができる「ウォームシェアスポット」をネット上で閲覧できるようにしています。主旨に賛同していただいた施設や組合、団体など、ウォームシェアスポットも増加中です。ウォームシェアの入口は、省エネであり、地球温暖化対策ですが、結果として人と人との関わりやつながりをより深く、そして地域を活性化するための仕組みづくりです。省エネは、夏場の計画停電回避のためだけでなく、通年の取り組みにしていく必要がありますが、そこに我慢や苦痛を強いるのではなく、できれば楽しく続けたい。ウォームシェアは、省エネのみならず、3 .11以降の新しいコミュニケーションデザインの方向性を示唆する活動でもあるのです。http://sharemap.jp/堀内正弘現在公開されているシェアマップでは、公共施設、銭湯、飲食店など、ジャンルごとに近くのウォームシェアスポットを探すことができる。多摩美術大学デザイン学科教授、クールシェア事務局代表。東京芸術大学建築学科卒業。東京大学建築学修士課程、イエール大学建築学大学院修士課程、東京農業大学環境共生学博士課程修了。専門は都市計画、コミュニケーションデザイン。11