エコジン8・9月号

エコジン8・9月号 page 23/36

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宮城県南三陸町は、住宅の7割が津波による被害を受けた。この南三陸町で「明日への希望のために元気に働く場を」との願いからスタートしたのが「南三陸復興ダコの会」だ。町の名産がタコであることから、タコのキャ....

宮城県南三陸町は、住宅の7割が津波による被害を受けた。この南三陸町で「明日への希望のために元気に働く場を」との願いからスタートしたのが「南三陸復興ダコの会」だ。町の名産がタコであることから、タコのキャラクター「オクトパス君」を軸に活動。グッズの制作や販売を通して雇用を作り出しており、工房全体では約25名が働いている。オクトパス君は2009年、当時町役場の産業振興課にいた阿部忠義さんが考案した。“置くとパス”の語呂合わせから、文鎮は受験のお守りとして人気商品だったが、東日本大震災で製造・販売は途絶えていた。復活のきっかけは、阿部さんが震災後、公民館にボランティアとして受け入れた立正大学の学生たちの「オクトパス君の文鎮をもう一度つくったら」という提案だった。阿部さんらは「南三陸復興ダコの会」を結成。文鎮は約3万個を売り上げるまでになり、いまではTシャツやバッジ、携帯ストラップなど、若者に好まれる商品も増えている。こうした新商品の企画を手助けしているのが、東京で衣料品や生活雑貨を販売する会社に勤めていた村井香月さん。震災後、「自分のこれまでの経験を生かして被災地に貢献したい」と、東京のNPOが始めた復興リーダー支援事業に応募。阿部さんの“右腕”として派遣されてきた。「復興事業で新しい施設を作っても、町民がいなくなってしまったのでは意味がありません。10年後、若い人が魅力を感じて住み続けられる町にしたい」と語る。このプロジェクトを持続可能な事業にしていくための基盤づくりが、村井さんの目標だ。今年6月には、津波による塩害や倒木などの被害を受けた町内のスギを利用したピンバッジも制作した。「被災したスギの大部分は放置されたまま。バッジがそうした現状に目を向けるきっかけになれば」と村井さん。震災で失われかけた地域の資源に再び息を吹き込む……地道な営みが、いま、大きく花開こうとしている。津波による塩害で枯れてしまったスギの木。斜面の手前部分の木だけが赤く枯れているのがわかる。「南三陸復興ダコの会」の活動拠点は、廃校となった中学校の教室。ここでさまざまなグッズが生み出されている。津波による塩害や倒木など、震災被害木で作られた「オクトパス君ピンバッジ」。Click!!南三陸復興ダコの会http://ms-octopus.jp/23