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平成12年度環境庁重点施策

平成11年12月
環 境 庁


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平成12年度重点施策の基本的考え方

  平成12年度において、環境庁としては、次のような課題に重点的に取り組み、21世紀にふさわしい環境行政に向けた確かな基盤の構築を図る。

 
1.地球環境と共生できる循環型の社会づくりの具体化
 ○21世紀の新たな循環型社会への総合戦略づくり
 ○循環型社会を可能とする経済社会の制度・システムに関する調査研究
 ○循環型社会を可能とする技術面での環境整備に関する調査研究
 ○循環型社会に向けた事業者の取組の支援
 ○循環型社会づくりに向けた草の根の活動等の支援
 ○循環型社会づくりの基盤となる総合的な環境教育・環境学習の充実・強化
 ○共生と循環の地域づくり

2.ダイオキシン類等の化学物質問題への積極的・体系的な取組
 ○ダイオキシン類対策の高度化・推進
 ○化学物質による環境リスク対策の体系的な推進
  ・PRTR制度の基盤整備
  ・環境ホルモン対策の加速化
  ・有害化学物質対策の強化
  ・土壌等への蓄積(ストック)汚染対策の推進

3.地球温暖化をはじめとする地球環境問題に対応する内外の実効ある取組の具体化
 ○京都議定書の発効のための環境づくり
 ○実効ある国内地球温暖化対策の具体化
 ○全世界的な地球環境対策を強化するための主導的役割の発揮

4.大都市地域の自動車環境対策等の拡充
 ○低公害車等の普及
 ○自動車NOx対策の推進
 ○道路騒音対策等の充実・強化
 ○浮遊粒子状物質(SPM)対策の強化

5.国土のそれぞれの場所に応じた多様性のある自然の積極的な保全
 ○多様性のある自然の保全
 ○野生鳥獣の積極的な保護管理
 ○自然とのふれあいの推進

6.公害健康被害の補償と予防
 

7.21世紀にふさわしい環境行政を的確に進め得る「環境省」を実現するための体制整備
 ○環境省設置に向けた体制整備
 ○環境国勢調査情報の提供




○平成12年度環境庁予算概算要求・要望額




(注1) 平成12年12月末日まで厚生省及び総理府が所管していた環境関係施策・事業に係る平成13年1月〜3月末の予算も環境省の予算となるが、総額には計上していない。

(注2) 総額には、省庁再編に伴う移転経費を含む。



○平成12年度財政投融資計画要求額(案)

 <環境事業団関係>

(注)融資事業は、平成11年10月1日から日本政策投資銀行に移管された。


 <環境事業団関係>

 

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単位:百万円(前年度額)
1.地球環境と共生できる循環型の社会づくりの具体化
16,062(14,825)

○ 21世紀の入口において、環境基本計画を見直すとともに、廃棄物・リサイクル問題の解決に向けた循環型社会づくりのための法制度の整備を図る。

○ 新たな環境保全技術の開発や普及に向けた支援を充実するなど、企業活力を生かしつつ、環境保全型製品等が身近に普及する経済社会システムを構築する。

○ 循環型社会実現の重要な担い手である国民の環境保全活動が更に推進されるよう、草の根の活動等の支援や環境教育・環境学習の充実・強化を進める。

○ 住民の参加の下、自然との共生や健全な水循環の確保など共生と循環の地域づくりを進める。


(1)21世紀の新たな循環型社会への総合戦略づくり
8,634(7,997)

[1]循環型社会の仕組みの構築

【制度】
○ 来るべき循環型社会への早期移行を目指して、環境基本計画を見直し、21世紀の入口における新たな計画として策定し、推進する。

○ ダイオキシン対策関係閣僚会議における了解事項、中央環境審議会取りまとめ等を踏まえ、再生資源を利用した製品などの環境負荷の低減に資する製品等の需要の促進のための制度の法制化や、循環型社会の構築に関する基本的な枠組みとなる法制度の整備を図る。

【予算】
○ 各方面の活動が循環型社会の構築に的確に寄与することとなるよう、各地の多様な活動に対しフレームワークを提供するべく、引き続き物質循環のフロー等実態の推移を把握するとともに、廃棄物削減・物質循環を推進するためのビジョンを明らかにするほか、平成12年度の環境基本計画の見直しを受けてその内容の周知徹底を図る。

○ 環境共生型の社会資本整備を推進するため、計画段階からの環境アセスメントの推進や環境影響評価技術の向上のためのガイドラインの策定、高度な知見を必要とする環境影響評価案件の検証等を行う。

○ 「再生資源の利用の促進に関する法律」に基づく事業者の判断基準等を適切に設定、改訂することに資するべく、製品ごとの再生資源の利用の可能性などに関する調査等を開始する。
【財投】
○ 循環型社会を構築するため、日本政策投資銀行の環境関係の融資の充実を図るとともに、環境事業団に関しては、廃棄物・リサイクル対策等環境政策の推進のために必要な建設譲渡事業を引き続き行う。


[2]循環型社会のための戦略的技術の開発・普及

【予算】
○ 循環型社会の構築に資するよう、環境研究・環境保全技術の情報収集及び評価を行う体制整備を進める。

○ 環境保全政策を将来に向け高度化していく上で核心をなす環境保全技術については、環境庁自らも実地における実証試験を行い、これら技術の普及の加速化に役立つデータを得るための事業を新たに開始する。


(2)循環型社会を可能とする経済社会の制度・システムに関する調査研究
90(    0)

【予算】
○ 大量生産・大量消費・大量廃棄型の現行の経済社会システムを抜本的に変革し、循環型社会を構築するため、必要な基礎的情報の収集整理、リサイクル先進国における諸制度の調査研究等を実施する。


(3)循環型社会を可能とする技術面での環境整備に関する調査研究
55(    0)

【予算】
○ 循環型社会を構築するために必要な環境研究・環境保全技術の情報収集、評価体制に関する調査等を実施する。


(4)循環型社会に向けた事業者の取組の支援
512(  539)

[1]事業者の取組の基盤整備

【予算】
○ 事業活動における環境保全への取組状況が広く公開され、環境保全に熱心な事業者が正しい社会的評価を受けることにより、事業者による環境保全への取組が促進されることとなるよう、環境会計システムの確立、事業者の環境報告書づくりの普及促進、事業者の環境パフォーマンスの評価のためのガイドラインの策定に着手する。

[2]環境保全型製品等の開発・普及の推進

【予算】
○ 環境保全型の製品、技術等の開発・普及に資するため、製品等の評価へのライフサイクルアセスメント(LCA)の導入を進めるための手法・仕組みを提示する。

○ 環境保全型製品の需要を増進するため、その積極的な選択を促す事業を開始するほか、引き続き政府部門等におけるいわゆるグリーン調達を推進する。

【財投】
○ 環境保全型製品の普及を通じて、循環型社会の構築を促進するため、エコマーク製品の製造に必要な設備投資等に対し、日本政策投資銀行による低利融資を行う。



(5)循環型社会づくりに向けた草の根の活動等の支援
2,070(2,071)

[1]国民の具体的なリサイクル活動等の支援

【予算】
○ 飲料容器の再使用強化のための社会実験を地域住民の協力を得て行うほか、特に、リサイクル等の資源の循環的利用に対し住民の参加を支援する事業、住民等が行う各地のリサイクル活動の間でノウハウを交換する等により広域的なネットワークの形成を促す事業を開始する。

○ リサイクル製品等の率先的な購入運動の支援を行うとともに、環境パートナーシップ・プラザにおいて、引き続き、政府と民間環境団体との間及び民間団体相互間の情報交流・連携の強化を支援する。


[2]国民による地球規模の環境保全活動への支援

【予算】
○ 地方公共団体や民間の幅広い主体による国際的な環境協力の活動が、国の活動と適切に連携して一層効果的に進むよう、国、地方公共団体、民間の連携を促進するためのモデル事業などを開始する。

○ 草の根の環境協力など民間の地球環境保全活動の活発化のため、環境事業団の地球環境基金により、これらの民間団体に対して引き続き資金的な支援を行う。


(6)循環型社会づくりの基盤となる総合的な環境教育・環境学習の充実・強化
923(  417)

[1]総合的な環境教育・環境学習システムの構築

【予算】
○ 循環型社会づくりの担い手を育てるため、総合的な環境教育・環境学習システムの構築を図ることとし、環境教育・環境学習のために不可欠なカリキュラムの作成、指導者の養成などの充実を図るとともに、退職者など社会経験が豊富な高齢者層を対象に、地域の環境学習や実践活動の中で活躍していただくことに向け、研修・環境学習プログラムの開発に着手する。

○ 地球温暖化対策を国民の間に普及するため各地に設けられる「地球温暖化防止活動推進センター」への支援を強化する。

[2]多様な環境学習の機会の充実と体験を重視した学習の実践

【予算】
○ 様々なテーマ、アプローチにより広範な分野の環境学習を、特に体験を重視して、行うことのできる機会の充実を目指して、参加者が増加しているこどもエコクラブ事業を充実するとともに、他のモデルとなるよう体験的な学習活動を実施し、その成果を全国的に普及する。

○ 国立公園において、子供たちがレンジャーとともに環境保全活動を経験する「子どもパークレンジャー」事業を文部省との連携の下実施する。さらに、国立公園等の整備の一環として、新たに自然環境学習のための歩道づくりなどを開始する。


(7)共生と循環の地域づくり
3,779(3,800)

[1]自然と共生する循環型の地域づくり

【予算】
○ 国民、事業者等の参加の下、各地で進められている環境保全型の地域づくりを強力に支援するため、全国の地域のモデルとなるべく、地域の自然と共生した循環型の地域づくりに挑戦する地方公共団体を対象に地域と国が一体となって計画づくりの事業を開始する。また、農林水産省と協力して、野生動物の回廊や二次的自然の維持・形成技術などの実証事業を行う。

○ 全国各地における自然と共生する地域づくりを目指した自発的な取組を支援するため、ビオトープの整備等に対する補助を引き続き行う。
○ 国立公園等においては、官民が実施主体となっている各種公園施設の整備に当たって環境庁が率先して地域の自然エネルギーの利用設備の設置に努める。
 また、国立公園と周辺地域とを一体化した広域的な施策を地域住民等の意見を聴きながら進めるためのシステムづくりを行うことによって、国立公園を含めた広範な地域において自然と共生する循環型の地域づくりを進める。

○ 地域における開発事業に際して行われる環境影響評価において、地域住民が積極的に関与することにより、地域の環境を活かした社会資本整備が図られることとなるよう、住民意見の適切な形成を支援するシステムづくりに着手する。

[2]健全な水循環の確保

【予算】
○ 平成11年4月の中央環境審議会水質部会・地盤沈下部会の意見具申を踏まえ、関係省庁との連携の下に、健全な水循環の維持・回復を図る。このため、引き続き、手賀沼流域を対象に水循環回復計画の検討や水質改善の新技術の検討のためのパイロット事業などを行う。また、身近な水辺の回復等に対する補助を引き続き行う。

○ 生活排水による水質汚濁は依然として十分改善されたと言えない状況にあることから、対策推進の効果を示す指標の開発を行い、地域における各種対策の最適な組合せを提案するなど実効ある対策の推進を図る。

○ 湖沼の水質保全を図るため、農地、市街地等の面的に広い範囲の汚染源(非特定汚染源)への対策手法に係るガイドラインを策定するとともに、水質改善が緊要な湖沼について底泥処理など水質浄化対策の調査を行う。

○ 閉鎖性海域の水質改善のため、平成12年度から予定しているCODに窒素・燐を加えた第5次水質総量規制の実施に向けて、新たな総量規制基準の策定を行うとともに、大阪湾を対象として水質改善方策の検討のための調査を行う。

 

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2.ダイオキシン類等の化学物質問題への積極的・体系的な取組
10,591(6,237)

○ 平成11年において「ダイオキシン対策推進基本指針」、「ダイオキシン類対策特別措置法」、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」といった対策の枠組みが整備されたことを踏まえ、ダイオキシン類対策をはじめとする化学物質対策を具体化し、強力に実行する。

○ さらに、国民が次世代にわたって安心して暮らせる21世紀の環境づくりのために、化学物質による環境リスク低減対策の推進に向けて、体系的な取組を強化する。


(1)ダイオキシン類対策の高度化・推進
5,377(2,354)

【予算】
○ ダイオキシン類による環境リスクについての国民の不安を、21世紀の入口の段階で早急に解消することとし、平成11年12月に設定された大気、水質、土壌に係る環境基準等の維持・達成のために、平成12年度においては、大気総量規制導入の検討や簡易測定法の開発、地下水汚染の原因究明、地方公共団体が行う土壌汚染対策事業への補助など各種対策を高度化し、推進する。特に、廃棄物焼却施設については、厚生省と連携し、迅速にダイオキシン類の排出の低減を図る。

○ 「ダイオキシン類対策特別措置法」の施行を受けて、人の曝露の実態を調査するとともに、全国の地方公共団体によるダイオキシン類汚染状況の監視を適正に実施するため、財政的支援やモニタリング研修の充実など地方の体制整備を支援する。

○ ダイオキシン類の曝露による影響、臭素化ダイオキシンの健康影響等についてなお一層の科学的な知見の集積を図る。

【税制】
○ 民間企業のダイオキシン類排出施設(産業廃棄物処理施設等)における排出削減のための設備投資を促進するため、公害防止用設備の特別償却制度、固定資産税の課税標準の特例措置等の適用対象にダイオキシン類排出削減設備を追加する等対象設備の見直しを行う。

【財投】
○ ダイオキシン類等の測定・分析事業を推進するため、ダイオキシン類等有害物質の測定・分析機器の購入等に対し、日本政策投資銀行による低利融資を行う。



(2)化学物質による環境リスク対策の体系的な推進
5,215(3,883)

[1]PRTR制度の基盤整備

【予算】
○ 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(いわゆる「PRTR法」)の着実な施行に向けて、化学物質の排出量の把握、公表及び情報の活用を円滑に進めるとともに、国民に分かりやすく情報を伝えるための基盤整備を進める。特に、地方公共団体の果たす役割が大きいことから、PRTRパイロット(試行)事業の対象地域拡大を通じ地方公共団体との連携を強化する。
 また、PRTR制度により得られるデータを活用し、リスクアセスメントを行うための手法等について調査を実施する。

[2]環境ホルモン対策の加速化

【予算】
○ 内分泌攪乱作用のある化学物質(環境ホルモン)については、国内外の動向等を踏まえて迅速かつ適切に対処すべく、体系的な試験を実施するとともに、化学物質の環境リスクを科学的に管理するためのリスクアセスメント(環境リスク評価)に関する調査に着手するなど、「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」の推進を加速化する。

[3]有害化学物質対策の強化

【予算】
○ 化学物質の環境リスクの評価、環境汚染実態の把握、リスク管理等を充実させるとともに、PRTRの結果や環境リスクに関する情報を国民に分かりやすく説明するための人材育成等を行う。

○ 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の共管化に伴い、新規化学物質の審査・判定等を行う。

○ PCBの除去が困難なPCB含有感圧紙等の処理方法及びその環境安全性の検討を行い、PCB処理の推進を図る。

[4]土壌等への蓄積(ストック)汚染対策の推進

【予算】
○ ダイオキシン類や硝酸性窒素などの汚染物質が最終的に土壌等に蓄積され、環境影響のおそれが高まっていくことに対する対策(ストック汚染対策)などの化学物質対策を推進する。
 地方公共団体が行うダイオキシン類土壌汚染対策の事業を支援するほか、市街地土壌汚染に関する社会的関心の高まりを踏まえ、地方公共団体においてモデル的にデータベース整備・運用を実施し、土壌汚染に関する情報管理のあり方を検討するとともに、汚染土壌からの直接摂取による健康リスクの新たな評価手法を検討する。

○ トリクロロエチレン等による地下水汚染対策の推進のため、より経済的かつ効率的な調査手法を確立するとともに、複合的な地下水汚染について簡易・経済的な浄化方法のマニュアルの整備を行う。また、硝酸性窒素による地下水汚染のある地域において窒素負荷低減総合対策計画を作成し対策を実施するとともに、簡易で経済的な浄化システムの開発・普及を図る。

 

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3.地球温暖化をはじめとする地球環境問題に対応する内外の実効ある取組の具体化
10,633(10,540)

○ 地球温暖化対策については、遅くとも平成14年(2002年)までに京都議定書を発効させるため、国際的な環境づくりに全力を尽くす。

○ 京都議定書の締結に向けて、6%削減目標を達成するための総合的な国内対策の枠組みを平成13年度から具体化できるよう、その要素となる施策の立案や試行を進める。

○ 地球サミット後10年の節目となる平成14年度において途上国を含め世界全体の環境政策が大きく飛躍することとなるよう、大臣級の国際会議の開催等を通じた政策対話やアジア太平洋地域等に対する国際協力の推進により、世界の地球環境問題への取組を主導する。


(1)京都議定書の発効のための環境づくり
320(  326)

【予算】
○ 平成12年(2000年)11月に予定されている地球温暖化防止条約の第6回締約国会議(COP6)を成功させ、遅くとも平成14年(2002年)までに京都議定書を発効させるため、国際合意づくりに全力を尽くす。京都議定書を実施するための排出量取引等京都メカニズムの具体的ルールの決定に向け、引き続き国際的なリーダーシップを発揮する。

(2)実効ある国内地球温暖化対策の具体化
1,473(1,596)

【予算】
○ 地球温暖化防止活動推進センターの取組を活発化させ、各地の自主的取組を促すとともに、排出量取引などに備え、事業者等の自主的な削減努力を認証する仕組みを設計し、実地に検証する。

○ 平成20年(2008年)から始まる京都議定書削減目標達成期間における目標達成のための詳細なシナリオを明らかにする。

(3)全世界的な地球環境対策を強化するための主導的役割の発揮
8,839(8,617)

【予算】
○ G8環境大臣会合、ESCAP環境大臣会合を我が国で開催し、その成果も活かしつつ、地球サミット後10年目の平成14年(2002年)に開催が予定されている、重要な節目となるべき国連の環境会議(「リオ+10」)で、世界の環境政策の飛躍が図られるよう、我が国がリーダーシップを発揮していく。

○ WTO次期交渉が平成12年(2000年)にも開始されることを踏まえ、環境と貿易の相互支持化の進展が図られるよう積極的に貢献する。

○ アジア地域における国際環境協力の推進方策を検討するとともに、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の推進、砂漠化防止対策の充実、東アジア海のサンゴ礁モニタリングネットワークづくり、東アジア酸性雨モニタリングネットワークの設立、北西太平洋地域海計画(NOWPAP)への支援など、アジアを中心とした途上国の環境問題の解決に向け、引き続き、具体的な協力事業を展開する。

○ 直面する地球環境問題の解決に向け、政策手段の開発等の戦略研究及び国際的・学際的な地球環境研究を総合的に推進する。また、温室効果ガス濃度の全地球レベルでのモニタリングを推進するため、衛星搭載センサーを開発する。

 

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4.大都市地域の自動車環境対策等の拡充
2,072(2,042)

○ 大都市地域の自動車交通等に起因する大気汚染の改善を図るため、大型ディーゼル自動車の代替に重点を置いて、低公害車の普及を推進するとともに、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)の総量削減のための新たな施策の検討や新たな騒音環境基準に対応した道路交通騒音対策の充実を進める。

○ 浮遊粒子状物質(SPM)について、規制を含め総合的な対策を検討するとともに、浮遊粒子状物質の中でも微小な粒子状物質(PM2.5)についても、対策の検討に向けて測定・評価手法の確立を目指す。


(1)低公害車の普及
517(  517)

【予算】
○ 大気環境への負荷の大きい大型ディーゼル自動車の代替として、市民に身近な公営バスやごみ収集車への低公害車の計画的導入の促進を図る。また、実証調査を通して、電気自動車の普及基盤整備を図る。

【税制】
○ NOxやSPMなどの排出の少ない自動車の普及を促すため、平成13年排出ガス規制適合車に係る自動車取得税の軽減措置を新設するとともに、低公害車の導入等に係る自動車取得税・所得税・法人税の軽減措置を延長拡充する等の措置を講ずる。


(2)自動車NOx対策の推進
262(  245)

【予算】
○ 環境基準の達成に向けて、自動車NOx対策の効果を予測するとともに、事業者による自動車NOx排出抑制のための新たな施策の実施可能性の検討を行う。

(3)道路騒音対策等の充実・強化
918(  911)

【予算】
○ 騒音の総曝露量(人間の耳に伝達される騒音の総量)を正確に反映し、国際的にも広く採用されている評価手法を採用した新たな騒音環境基準の達成に向けて、現場での対策立案の基礎となる騒音の推計方法を開発する。さらに、騒音による睡眠への影響等に関する我が国独自の知見を充実させるための総合的研究を開始する。また、悪臭、振動等の感覚公害対策を推進する。

(4)浮遊粒子状物質(SPM)対策の強化
376(  370)

【予算】
○ 光化学反応等により粒子化するNOx、炭化水素類等のガス状物質について、工場・事業場の排出源の規制を強化する総合的対策を開始する。

○ 微小粒子状物質(PM2.5:粒径が2.5マイクロメーター以下のもの)の環境基準の設定や発生源対策の検討を進められるよう、実態調査や内容成分に着目した測定・評価手法の検討を開始する。

 

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5.国土のそれぞれの場所に応じた多様性のある自然の積極的な保全
21,943(19,925)

○ 森林や湿原など国土の異なった場所に応じて、それぞれに多様性のある自然が保たれるよう、戦略的な保全を進める。

○ 人と野生鳥獣との共存を図るため、改正鳥獣保護法に基づき、科学的な鳥獣の保護管理を積極的に進める。

○ 自然とのふれあいの推進を図るため、自然公園等において環境との共生や自然環境学習等に重点を置いた施設整備を進めるとともに、自然体験学習などのソフト面の施策等を充実する。


(1)多様性のある自然の保全
2,371(2,196)

【予算】
○ 自然環境保全基礎調査(いわゆる「緑の国勢調査」)などを活用しつつ、森林や湿原など様々な生態系ごとの生物多様性を保全していくための戦略づくりを進める。

○ トキなどの希少な野生動植物の保護増殖を図るとともに、トキの生息環境の保全について中国との国際協力を進める。また、オオタカ関係の施策や、在来種への影響が問題となっている移入種対策を強化する。

(2)野生鳥獣の積極的な保護管理
1,406(  722)

【予算】
○ 著しく増加又は減少している特定の鳥獣について、鳥獣保護法の改正を受けて、科学的、計画的な保護管理を進めるため、国全体の鳥獣の生息状況を把握し、都道府県における計画づくりや人材育成を支援する。また、鳥獣の生息に適した環境の保全・形成を行うための生息環境整備等の事業を充実する。

【施策】
○ 鉛弾による水鳥やオオワシ等の鉛中毒を防止するため、代替弾への切替えや死骸の適正な処理を促進する。


(3)自然とのふれあいの推進
18,167(17,007)

【予算】
○ 自然とのふれあいや環境保全に関する国民の意識の高まりに対応して、自然公園等の整備に当たっては、自然エネルギーの利用などの環境共生、自然環境学習、自然環境の復元、高齢者等への配慮などに重点を置く。

○ 自然とのふれあいの場としての国立公園を適切に保全・活用するため、国立公園の重要な草原景観を維持するためのモデル事業の実施や、周辺地域も含めた国立公園の広域的な保護・利用施策を地域との連携を強化し展開するためのシステムづくりを行う。
○ 国立公園において、子供たちがレンジャーとともに環境保全活動を経験する「子どもパークレンジャー」事業を文部省との連携の下実施する。

 

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6.公害健康被害の補償と予防
26,555(21,171)

○ 公害健康被害者の救済に万全を期すとともに、健康被害を予防するための施策の着実な推進を図る。
 水俣病対策については、水俣病総合対策医療事業など、平成7年12 月の閣議了解等に盛り込まれた施策を着実に実施する。また、水俣病対策に係る熊本県の地方債償還に支障を来さぬよう、所要額を国が補助する。



 

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7.21世紀にふさわしい環境行政を的確に進め得る「環境省」を実現するための体制整備
17,039(15,695)

○ 平成13年(2001年)1月に環境省が設置されることに伴い、廃棄物行政の一元化、化学物質対策をはじめとする幅広い事務の共管化、地球環境問題への取組の強化等に対応した組織・定員を確保し、体制の充実強化を図る。

○ 顔の見える環境省を目指して、環境行政への国民の理解と参画を進めるため、環境に関する調査の情報を分かりやすい方法で国民に提供する。


(1)環境省設置に向けた体制整備
15,204(14,106)

【組織・定員】
○ 平成13年(2001年)1月6日に発足する環境省の機構・定員を以下のとおりとする。

環境省の組織・体制のポイント

○地球環境対策の強化

・ 地球環境部を「局」に格上げし、地球温暖化をはじめとする地球環境問題への対応を強化する。

   地球環境部(2課42人体制) →  地球環境局(3課66人体制)

○廃棄物・リサイクル対策の強化

・ 厚生省から移管される廃棄物行政を、リサイクル行政と一体的に扱い、循環型社会の構築を担う「廃棄物・リサイクル部」を新設する。

   厚生省水道環境部の     → 廃棄物・リサイクル部(3課55人体制)
   廃棄物部門(2課38人体制)

○総合環境政策の強化

・ 環境経済対策を強化し、環境行政の総合的展開を図るため、「総合環境政策局」を設置する。

○共管事務等による事務増への対応

・ ダイオキシン等化学物質対策、放射線モニタリング、森林保全をはじめ、他省との共管事務等に対応するための人員を増強する。

○国立公園等現地管理体制の充実

・ 森林保全の共管化に対応して、森林生態系保全を充実する等のため、国立公園等の現地管理(自然保護事務所(国立公園・野生生物事務所の名称変更))の人員を充実する。

○国立環境研究所の廃棄物研究体制の確立

・ 環境省が新たに担当する廃棄物行政を科学的にサポートするため、国立環境研究所に廃棄物研究部を新設する。


(2)環境国勢調査情報の提供
1,835(1,589)

【予算】
○ 2000年を節目として、21世紀の循環型社会に向けた出発点を広く国民に明らかにするため、環境庁をはじめとして、各省庁、各地方公共団体で実施されてきた環境調査に関する情報を整理し、「環境国勢調査情報」として、国民に分かりやすい方法により提供する。

・ その一環として、国民の環境情報に対する具体的なニーズへの適切な対 応を図る上で、地理情報システム(GIS)を活用し、環境情報を国民に 分かりやすく、利用しやすい形で提供する。

・ 情報公開法等に対応した情報システムの強化を推進する。

・ 環境政策の国民への説明責任(アカウンタビリティ)を果たすための政 策評価のあり方を検討する。



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