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[キーワード]地球温暖化防止、多目的森林管理、バイオマス・エネルギー、一般化多期間動的計画法アルゴリズム、経済分析

[S-4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の
総合的評価に関する研究]
2.影響予測の高度化及び経済評価に関する研究
2−6地球環境政策オプション評価のための環境・資源統合評価モデルの開発に関する研究
(1)気候政策のマクロ的経済評価に関する研究(H20年度からH21年度)

旧3)資源・経済評価モデルの開発に関する研究(H17年度からH19年度)[PDF](414KB)

※H20年度の研究体制再編に伴い、H20年度から(1)へ統合

 東北大学

 

 大学院環境科学研究科

吉本 敦

  [平成17〜19年度合計予算額]3,900千円
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

本研究の目的は、丸太生産と木質バイオマスエネルギー生産を目的とする多目的森林管理のための動的最適化モデルを構築し、森林が果たす多面的な温室効果ガス削減効果を考慮した最適森林管理計画の経済分析を行うことである。
本研究で得た知見は次の通りである。1)木質バイオマスエネルギー生産からの純便益が少ないと丸太生産のみの管理になるが、純便益が80円(/A重油リットル)以上になると、丸太生産は行われず、すべての木材資源がバイオマスエネルギー生産に割り当てられる結果となった。2)木質バイオマスエネルギー生産の純便益が0から80円(/A重油リットル)へ増加するに伴い、炭素吸収貢献度も増加するが(4.6Ct/ha/yrから5.1Ct/ha/yrへと推移)、純便益が80円(/A重油リットル)を超えると、丸太生産が行われなくなり、直接的な炭素吸収効果はなくなる。その結果、化石燃料代替のみの効果となり、炭素吸収貢献度は2.9Ct/ha/yrへと減少する結果となることが分かった。
3)京都議定書第3条4項における管理された森林の取り扱いを鑑みると、森林資源による炭素吸収量を積算するには、間伐などと言った適切な管理行為が保証される必要があるので、丸太生産に伴う間伐と木質バイオマスエネルギー生産の両立を図ることが効果的な戦略になるものと考えられる。そのような効果的な戦略を促すには、木質バイオマスエネルギー生産の純便益を80円(/A重油リットル)前後に保つように政策的に調整する必要が出てくる。