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[キーワード] 農業用水、脆弱性、波浪、水稲、対応策

[S-4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の
総合的評価に関する研究]
2.影響予測の高度化及び経済評価に関する研究
2−1温暖化による水資源への影響予測に関する研究

(2) 温暖化各レベルに対応する農業水需給への影響と適応策に関する研究[PDF](414KB)

 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構

農村工学研究所

 河海工水理研究室

丹治 肇

  [平成17〜21年度合計予算額]25,730千円
(うち、平成21年度予算額 4,418千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 温暖化に伴うわが国の農業用水への影響予測と適応策を分析し、以下の結論を得た。1)水稲の温暖化影響予測:メッシュ気候値2000の日平均気温による計算の結果、平年値では、一部に、高温障害が生じているが、影響は小さい。+2℃シナリオでは、西日本を中心に、高温障害が発生する。以上は、都道府県毎に1点の平均気温を使った解析と同じ傾向を示している。また、ヒストグラムの最大頻度を見ると、灌漑用パイプラインがゼロから3倍シナリオの偏差では、収量減少を5〜10%抑える効果がある。灌漑用水量は20%程度減少させる効果が期待できる。2)水稲栽培の脆弱性の評価 :統計モデルでは、波浪の被害は九州と東南海に集中する。この地域では、WAST(Mean monthly Worldwide Temperature bias of Augusts and September, 8月と9月の世界月平均気温偏差)で気温が1度上がると年最大波高のMedianが3.3m増加し、海面上昇により大きな影響を与える。3)将来シナリオに関連する検討:20年に1回程度の気象変動に対しては、灌漑水田は非灌漑水田より脆弱である。日本の場合、経年的に灌漑が拡大するに従い、脆弱性が減少する。エネルギー面で持続可能な灌漑システムで、なおかつ、水質等の現在抱える課題を解決できる水田灌漑システムに、現在ある灌漑システムを再編することが必要である。これは、同時に、温暖化対策への
適合策にもなっている。その場合のキーとなる技術は、SGと分散型貯留と思われる。